カラマーゾフの兄弟 24 における国家と教会の問題 カラマーゾフの兄弟 で フョードルの殺害という事件 本も読んだことがなさそうな 百姓 同然の人々である に際して イヴァン ドミートリーが実際の犯人ではな ことが書かれている ドミートリーに陪審員たちによる いにもかかわらず罪の意識を持ち 罪はイヴァンが負う 有罪判決が下ったときには 傍聴人たちの間から 百姓 べきものであると主張したはずのスメルジャコフも自殺 どもが我を通した という声が聞こえる し 興味津々で事件を見守る周囲の人々皆にまるで罪が を参照 あるかのように描かれていることは ロシア語ロシア文 また ドストエフスキーは 学研究第 38 号 所収の拙論 では農奴だった人々が陪審員になることで 陪審員の間 おける罪の連帯性 葉の呼応 カラマーゾフの兄弟 に 町で起こる事件とゾシマ長老の言 に 自 で 指 摘 し た こ の 小 説 で は ド ミート リーの逮捕の際にグルーシェンカが罪は自 作家の日記 で 少し前ま たちの権限についての過剰な権力意識や でき るだけ無罪にしさえすればよいといった誤った意識があ にあると名 ることなどを批判している - 参照 乗り出る場面もあり アリョーシャが望む 万人が万人 27 に赦しを請う ことは罪の連帯性を前提にした思想であ るといった点において 罪の問題は 作品全体のテーマ 28 であるといえる リーザ自身の罪の意識や リーザが指 摘するすべての人にある罪も このキリスト教的な罪の 研究 司法改革とその 時代 29 連帯性のテーマに合致するものである 25 193 頁 ジャクリーヌ コスタ ラスクー 林瑞枝訳 宗教の共 生 フランスの非宗教性の視点から 法政大学出版局 26 高橋一彦 帝政ロシア司法制度 1997 年 1-37 頁参照 陪審員たちの様子の描写では 彼らが低い身 のもので 57