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18 19 はい 点に海を越えた広大な信仰空間を形成しているのであ 信仰の場が相互に遥拝できる位置にあり 沖ノ島を起 風 景 と は 信 仰 の 記 憶 で あ る よう 遥 拝 る や遠く福岡城下の魚ノ町 福岡市赤坂付近 等にも遙 れたようで 宗像三女神を祀る神興神社 福津市津丸 沖ノ島に対する遙拝所は九州本土にも幾つか設けら いる 島へ渡る定期便はなく 玄界灘は穏やかな日が 拝所があったとの伝承がある 離れて 少ない 厳しい禁忌により 女人禁制で 男性でも一 遥拝 は宗像大社の信仰の特徴である 宗像地域 大島からでも 般の人は上陸できない それでも神宿る島に対し手を 沖ノ島は 神湊から 合わせたいと願う人々によって 大島の北端に 沖津 の人々は 風景に神の気配を感じつつ 宗像大社への ようはいしょ 宮遙拝所 が設けられた 信仰を大切に守り続けてきた そもそも宗像大社は沖ノ島への信仰を起源とする 九州本土の釣川沿いに位置する辺津宮もかつては入海 沖ノ島 沖津宮 大島 中津宮 は言うまでもなく 海が結ぶ信仰 遥拝 とは 文字通り遥か遠くから拝むことである 遙拝所は沖津宮 すなわち沖ノ島そのものをご神体と し その拝殿としての機能を持つ 空気の澄んだ日に 古代の沖ノ島祭祀の時期に 大島の御嶽山山頂 御嶽 に面していた 釣川が入海であったことは 日本書紀 は水平線上に沖ノ島の姿を望むことができる 山祭祀遺跡 中津宮 と九州本土の宗像山中腹 下高 において 海浜 と書いて へつみや と読むことか 釣川と同様に 新原 奴山古墳群の入海も 江戸時 らもうかがえる 入海の浜辺に浜殿が存在していたこ 代 初 頭 に 海 岸 線 に 防 風 林 と し て 松 原 が 植 林 さ れ 新 宮祭祀遺跡 辺津宮 でも同様の祭祀が行われ 宗像 また 新原 奴山古墳群も海との関係性が強い そ 田 塩田開発が進んだ 役目を終えたかつての入海は 大社三宮へと発展を遂げた 御嶽山山頂からは沖ノ島 の周辺もかつては入海で 付近には出入りする舟を係 現在の田園風景に姿を変えるが 海を行き交った船な とや 中世末頃の様子を表わす境内絵図に 釣川が境 留した 舟つなぎ石 が残っている 九州本土の双方を見渡すことができ 宗像山山頂 上 新原 奴山古墳群は 沖ノ島祭祀を奉斎した宗像氏 基が現存する ど往時の風景を想起させてくれる 基 方墳1基の計 さらに沖ノ島へ続く海を見渡すことができる台地上 みならず 人々の海にまつわる信仰に裏打ちされた風 の一つとして位置付けられていた この海岸から辺津宮へと続く一帯は 景である 宗像大社と宗像氏の古墳群 これらを包み められた特権であった さらに旧宗像郡は 日本で8つしかない 神郡 に古墳群を築いた は天からの授けものとして宗像大社の神物とされ 末社 大社に付属 込む信仰と暮らしの風景を将来に伝えたい する小さな神社 の造営費用に充てられた これは朝廷から正式に認 新原 奴山古墳群は墳墓そのものだけでなく 海に 古代より 宗像の海で座礁した船から流れ出した積荷 いわゆる 寄物 臨むその立地と周囲の景観が一つになって古代宗像 大島御嶽山の山頂に立ち 九州本土に目を向けると 鐘崎から渡半島 氏の信仰の姿を現在まで伝えている 海の記憶が続く風景 辺津宮や新原 奴山古墳群の眼下に広がっていた入 海の風景は現在へと続く かつて入海だった釣川は 河川の堆積作用によって 徐々に埋まり湿地となり 辺津宮へ船が遡上すること が困難となる 筑前誌 福本日南著 に むなかた の地名が 沼無潟 や 空潟 と記されているのはそ のためである 江戸時代には 釣川一帯の湿地が干拓 され 田園の一部は宗像神社の神田となり 現在の 田 島 と い う 地 名 と な る 現 在 の 辺 津 宮 は 田 に 浮 大社の神域というべき空間だったのである よせもの に至る宗像の海 そして連なる山々を一望できる 49 km 宗像大社辺津宮と新原 奴山古墳群周辺の旧入海範囲 内とその外部を区切るように描かれていることなどか 宗像大社辺津宮 高宮 現在は神域のため禁足地 からも沖ノ島を遠望 新原 奴山古墳群 御嶽山山頂からは 辺津宮や新原 奴山 の墳墓群で 5世紀から6世紀にかけて築かれた前方 後円墳5基 円墳 41 宗像氏は その死後も神宿る島沖ノ島を意識し 大島 宗像地域に広がる風景は 目に見える美しい景色の 35 かぶ 島 のように鎮守の杜に覆われ田園風景に溶け 込んでいる 神郡 宗像 60 km ら 辺津宮も海との深い関係があったことが分かる 宗像大社中津宮 できる つまり 沖ノ島 大島 九州本土それぞれの 沖津宮遙拝所 になった信仰の景色である 古墳群のある本土を見渡せる 海と一体
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