2030年の住宅市場~“移動人口”の拡大が人口減少下における住宅市場活性化の鍵に~

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( 資料 3) 比較検討した住宅 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資料 4) 住宅の選択理由 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資

法制度改革と電子マネーにおける立法の可能性

表 1) また 従属人口指数 は 生産年齢 (15~64 歳 ) 人口 100 人で 年少者 (0~14 歳 ) と高齢者 (65 歳以上 ) を何名支えているのかを示す指数である 一般的に 従属人口指数 が低下する局面は 全人口に占める生産年齢人口の割合が高まり 人口構造が経済にプラスに作用すると

第 2 章高齢者を取り巻く現状 1 人口の推移 ( 文章は更新予定 ) 本市の総人口は 今後 ほぼ横ばいで推移する見込みです 高齢者数は 増加基調で推移し 2025 年には 41,621 人 高齢化率は 22.0% となる見込みです 特に 平成 27 年以降は 後期高齢者数が大幅に増加する見通しです

別紙2

年 4 月期関西圏 中京圏賃貸住宅指標 大阪府京都府兵庫県愛知県静岡県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新確率 (%)

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平成29年版高齢社会白書(全体版)

統計から見た三重県のスポーツ施設と県民のスポーツ行動

空き家の現状データ 参考資料 ⑴ 住宅数及び空き家数 表 1 住宅数の内訳 ( 資料 : 平成 25 年住宅 土地統計調査 ) 住宅数 居住世帯居住世帯なしあり総数一時現在者のみ建築中空き家 全国 60,628,600 52,102,200 8,526, ,800 88,100 8,19

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平成 29 年度税制改正 ( 租税特別措置 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 ) 制度名既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充 税目所得税 ( 国土交通省 ) 既存住宅流通 リフォーム市場の活性化に向けて 耐震性 省エネ性 耐久性に優れた良質な住宅ストックの形成を促進するため 既存住宅の耐震 省

(2) 高齢者の福祉 ア 要支援 要介護認定者数の推移 介護保険制度が始まった平成 12 年度と平成 24 年度と比較すると 65 歳以上の第 1 号被保険者のうち 要介護者又は要支援者と認定された人は 平成 12 年度末では約 247 万 1 千人であったのが 平成 24 年度末には約 545 万

平成27年版高齢社会白書(全体版)

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共同住宅の空き家について分析-平成25年住宅・土地統計調査(速報集計結果)からの推計-

平成20年 住宅・土地統計調査から見た       美濃加茂

成長可能性に関する説明資料

不動産学会 空き家.key

2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

共同住宅の空き家について分析-平成25年住宅・土地統計調査(確報集計結果)からの推計-

資料-6

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スライド 1

平成28年版高齢社会白書(概要版)

4-2 地域の課題人口の減少により 町内では老朽化した空き家 空き店舗が随所に見られるようになっており 平成 28 年 3 月に町内を調査したところ 空き家 空き店舗と思われる建物が 159 軒存在していることが判明した 特に 商店街 公共機関 医療機関等が近接する利便性の高い中心市街地における空き

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第 7 回大阪市人口移動要因調査報告書 平成 27 年 3 月 大阪市都市計画局

公表内容 2 本機関は業務規程第 22 条に基づき 需要想定の前提となる経済指標として 以下の項目の見通しを策定し 公表します ( 全国の経済見通しの策定 ) 第 22 条本機関は 需要想定の前提となる人口 国内総生産 (GDP) 鉱工業生産指数 (IIP) その他の経済指標について 当年度を含む

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はじめに 我が国の建設投資は 社会経済活動 市場動向等に与える影響は極めて大きい このため 国土交通省では 国内建設市場の規模とその構造を明らかにすることを目的とし 昭和 35 年度から毎年度 建設投資推計及び建設投資見通しを作成し 建設投資見通し として公表している 作成の方法と留意点 建設投資推

2013年7月3日

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新設 拡充又は延長を必要とする理由(1) 政策目的 消費者のニーズに応じた住宅を選択できる環境を整備する観点や低炭素化 循環型の持続可能な社会の実現の観点から 中古住宅取得や増改築等工事の適用要件の合理化や増改築等工事の対象を拡充することにより 中古住宅の流通促進 住宅ストックの循環利用に資する (

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住宅着工とストックの中長期展望

公的な住宅改修制度について

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【補論】戸建注文住宅と消費税の影響度に関する考察

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( 高齢層では単身世帯が増加 ) 高齢化が進む中で高齢者の単身世帯が急増している 65 歳以上の単身世帯は 2000 年の 407 万世帯から 2016 年には 821 万世帯へと倍増している そして単身無職世帯では消費支出が可処分所得を月 4 万円程度上回り 貯蓄の取り崩しにより 生計を立てている

平成19年就業構造基本調査結果概要

目 次 第 1 計画の目的と対象 2 1. 計画策定の背景 2. 計画の目的 3. 計画期間 4. 計画の対象 5. 計画の改訂について第 2 大阪市の空家の現状 5 1. 大阪市の空家 ( 住宅用途 ) の状況 2. 空家の発生の経緯等第 3 空家等対策の基本的な方針と目標 基本的な方

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

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1. 山陰地域の住宅投資動向の概要 山陰地域の新設住宅着工戸数の動きをみると 振れを伴いつつも 持家 貸家ともに持ち直しの動きが続いている また 分譲マンションも持ち直し傾向にあるが 市内中心部の一部地域に限られているとの声が聞かれている ( 図表 1 2) 持ち直しの背景としては 1 総人口が減少

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四国中央市住宅マスタープラン 概要版 平成 30 年 3 月四国中央市 Since

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建設の施工企画 特集 5 長寿命化 維持管理 リニューアル 住宅の長寿命化への取組 国土交通省住宅局住宅生産課 今後の住宅政策においては これまでの つくっては壊す フロー消費型社会から いいものをつくっ て きちんと手入れして 長く大切に使う という ストック重視型への転換を図ってい

マイホームを欠陥から守る

高齢者の居住安定確保プラン 第2章 東京の高齢者を取り巻く状況

栃木県高齢者居住安定確保計画 ( 二期計画 ) 概要版 1 計画の目的と背景 高齢化が急速に進行する中 平成 24 年 3 月に県土整備部と保健福祉部が連携のもと高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく 栃木県高齢者居住安定確保計画 ( 以下 現計画 という ) を策定し 高齢者が安心して快適に暮

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要望理由 (1) 政策目的 既存住宅の流通の円滑化を通じ 既存住宅流通 リフォーム市場の拡大 活性化を図る また 消費者のニーズに応じた住宅を選択できる環境を整備するとともに 既存住宅の耐震化を促進し 住宅ストックの品質 性能を高め 国民の住生活の向上を目指す (2) 施策の必要性 国民がライフステ

年 1 月期首都圏賃貸住宅指標 東京都 全域 23 区 市部 神奈川県埼玉県千葉県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新確率 (%

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2014人口学会発表資料2

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Ⅰ 障害福祉計画の策定にあたって

設 拡充又は延長を必要とする理由 関係条文 租税特別措置法第 70 条の 2 第 70 条の 3 同法施行令第 40 条の 4 の 2 第 40 条の 5 同法施行規則第 23 条の 5 の 2 第 23 条の 6 平年度の減収見込額 百万円 ( 制度自体の減収額 ) ( - 百万円 ) 東日本大震

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新潟県労働金庫

407-1 No.

我が国中小企業の課題と対応策

の各種税制優遇を受けやすくする見直しが行われ 入居までに耐震基準に適合するという証明があれば 1 住宅ローン減税 2 住宅取得資金に関する贈与税の非課税措置 3 中古住宅に関する不動産取得税の特例措置の適用が可能となる 耐震基準に適合しない中古住宅を取得し 耐震改修工事を実施した後に入居するような場


資料 4 明石市の人口動向のポイント 平成 27 年中の人口の動きと近年の推移 参考資料 1: 人口の動き ( 平成 27 年中の人口動態 ) 参照 ⑴ 総人口 ( 参考資料 1:P.1 P.12~13) 明石市の総人口は平成 27 年 10 月 1 日現在で 293,509 人 POINT 総人口


3 高齢者 介護保険を取り巻く現状 1 人口 高齢化率本市は高齢化率が 45% を超えており 本計画の最終年度である 2020( 平成 32) 年度には 高齢化率 48.0% 2025( 平成 37) 年度には高齢化率 49.7% まで増加することが推計されます また 2018( 平成 30) 年以

平成 28 年 12 月 国土交通省住宅局

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空き家数の推移と種類別内訳 住宅 土地統計調査 ( 総務省 ) によれば 空き家の総数は この 20 年で 1.8 倍 (448 万戸 820 万戸 ) に増加 空き家の種類別の内訳では 賃貸用又は売却用の住宅 等を除いた その他の住宅 ( いわゆる その他空き家 ) がこの 20 年で 2.1 倍

需要・供給の両面から見た国内住宅市場 2030年までの見通し

3. 研究の概要等 1 章では 第 1 節で相続税法の歴史的経緯について 特に贈与の位置づけの変遷を中心に概観し 明治 38 年に創設された相続税法での贈与に対する扱いはどうであったのか また 昭和 22 年のシャベル勧告により贈与税が導入され 昭和 25 年のシャウプ勧告で廃止 その後 昭和 28

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2-1 沖縄県の住宅事情 (1) 人口 世帯数及び住宅ストックの状況 1 平成 22 年 ~42 年に人口 2.7% 増 ( 全国 :8.9% 減 ) 世帯数 13.0% 増 ( 全国 :5.9% 減 ) 推計によると 本県は人口 世帯数ともに平成 37 年まで増加する ( 全国では人口 H22 世

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平成 31 年度税制改正概要 ( 住宅局 ) 結果特例措置税目 - 消費税率引上げを踏まえた住宅取得対策 住宅ローン減税の控除期間を 3 年間延長 ( 建物購入価格の消費税 2% 分の範囲で減税 ) 所得税個人住民税 延長 拡充 空き家の発生を抑制するための特例措置 ( 延長 ) 相続した空き家につ

表紙

社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

2019年度はマクロ経済スライド実施見込み

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1. 国土交通省土地 建設産業局関係の施策 不動産流通に関する予算要求が拡大 ここ数年 国の住宅 不動産政策において 不動産流通に関する施策が大幅に拡大している 8 月に公表された国土交通省の 2019 年度予算概算要求概要によると 土地 建設産業局における施策は大きく 4 項目あるが 全体の予算額

IT 人材需給に関する調査 ( 概要 ) 平成 31 年 4 月経済産業省情報技術利用促進課 1. 調査の目的 実施体制 未来投資戦略 2017 ( 平成 29 年 6 月 9 日閣議決定 ) に基づき 第四次産業革命下で求められる人材の必要性やミスマッチの状況を明確化するため 経済産業省 厚生労働

NRI未来創発フォーラム2014 抄録

図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

要望理由 (1) 政策目的我が国の住宅ストックのうち 高齢者が安心し自立して暮らせるバリアフリー化された住宅は極めて限られている状況を踏まえ サービス付き高齢者向け住宅の供給を促進することにより 高齢者に適した住まいの確保を図る (2) 施策の必要性本特例措置により 1 高度のバリアフリー化 2 安

人 ) 195 年 1955 年 196 年 1965 年 197 年 1975 年 198 年 1985 年 199 年 1995 年 2 年 25 年 21 年 215 年 22 年 225 年 23 年 235 年 24 年 第 1 人口の現状分析 過去から現在に至る人口の推移を把握し その背

略式代執行による特定空家等 ( ) の除却等 平成 27 年 5 月に施行された 空家等対策の推進に関する特別措置法 に基づき 所有者不明の特定空家等については 地域の安全確保等の観点から 市区町村が略式代執行により除却等が可能 略式代執行の費用は本来所有者等の負担であるが 市区町村による回収が困難

建設経済モデルによる建設投資の見通し

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第 236 回 NRI メディアフォーラム 2030 年の住宅市場 ~ 移動人口 の拡大が人口減少下における住宅市場活性化の鍵に ~ 2016 年 6 月 7 日 コンサルティング事業本部 上級コンサルタント主任コンサルタント副主任コンサルタント副主任コンサルタントコンサルタント 榊原渉大道亮亀井敬太出口満吉澤友貴

目次 1. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場規模の予測 (2016 年度版 ) 2. 空き家数の予測 (2016 年度版 ) 3. 既存住宅流通量の予測 4. まとめ Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2

目次 1. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場規模の予測 (2016 年度版 ) 2. 空き家数の予測 (2016 年度版 ) 3. 既存住宅流通量の予測 4. まとめ Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 3

新設住宅着工戸数に影響を与える因子 新設住宅着工戸数に大きく影響を与えるのは 1 移動人口 2 名目 GDP 成長率 3 住宅ストックの平均築年数の 3 点 人口 世帯数経済成長住宅ストック 総人口 生産年齢人口 総世帯数 世帯主が生産年齢に該当する世帯数 移動人口 移動世帯数など 実質 GDP 実質 GDP 成長率 前年度の実質 GDP 前年度の実質 GDP 成長率 名目 GDP 名目 GDP 成長率 前年度の名目 GDP 前年度の名目 GDP 成長率など 住宅ストック総数 平均築年数 空家数 空家率など 新設住宅着工戸数に影響する因子として 論理的に適切か 統計的に 新設住宅着工戸数に影響していると言えるか 新設住宅着工戸数に影響を与える因子 1 移動人口 2 名目 GDP 成長率 3 平均築年数 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 4

新設住宅着工戸数に影響を与える因子についての将来予測 (1) 移動人口は 2015 年の 1,010 万人から 2030 年には 800 万人まで減少する見通し 移動人口 の推移と予測 ( 百万人 ) 14 12.6 実績値 ( 推計 ) 予測値 12 10 8 10.1 8.0 6 4 2 0 1988 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 ( 年 ) 移動人口 : 当該年に住所を移動した人の数 出所 ) 実績値 : 総務省 住民基本台帳人口移動報告 国勢調査 よりNRI 推計予測値 : 国立社会保障 人口問題研究所 日本の将来推計人口 よりNRI 予測 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 5

新設住宅着工戸数に影響を与える因子についての将来予測 (2) 名目 GDP 成長率は 日本経済研究センターの予測を採用 ( 中長期的に成長力が低下し 2030 年頃にはマイナス成長時代へ ) 名目 GDP 成長率の推移と予測 (%) 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0-1 -2-3 -4-5 1988 1995 2000 2005 実績値 予測値 2010 ( 年度 ) 出所 ) 実績値 : 内閣府 国民経済計算 予測値 : 日本経済研究センター 中期経済予測 (2016 年 3 月 23 日発表 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 6 1.5 2.1 2015 2020 2025-0.7 2030

新設住宅着工戸数に影響を与える因子についての将来予測 (3) 住宅ストックの平均築年数は 2013 年の 22 年 から 2030 年には 29 年 近くに延びる見通し 着工時期別に 住宅ストックが建築後にどれだけ減少していくかという 減衰曲線 を算出 ( 右の図表 ) 減衰曲線に基づき着工年別住宅ストックを算出することで 平均築年数を算出 ( 左の図表 ) ( 住宅ストックの減少率 着工時期別 ) 着( 年 ) 実績値 ( 推計 ) 予測値 1 30 0.9 平均築年数の推移と予測 減衰曲線 25 20 0.8 0.7 0.6 1999~2003 15 10 5 0 1988 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 ( 年度 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 7 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 1 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 1994~1998 1989~1993 1982~1988 1971~1981 1961~1970 ~1960 出所 ) 国土交通省 住宅着工統計 総務省 住宅土地統計 より NRI 推計 予測 工時期築後年数 ( 年 )

新設住宅着工戸数の予測結果 新設住宅着工戸数は 人口 世帯数の減少や住宅の長寿命化等の要因により漸減し 2030 年度には約 54 万戸となる見通し 新設住宅着工戸数の推移と予測 ( 万戸 ) 180 166 167 167 160 140 120 100 80 60 40 20 151 156 163 142 148 134 134 バブル崩壊 123 121 125 129 119 118 117 117 消費税増税前 115 104 駆け込み需要 + 阪神淡路大震災復興需要耐震偽装事件建築基準法改正 リーマンショック 実績値 消費増税前駆け込み需要 予測値 104 99 89 88 92 88 82 84 83 83 78 81 79 77 74 72 69 67 65 62 60 57 54 0 1988 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 ( 年度 ) 出所 ) 実績値 : 国土交通省 建築着工統計 予測値 :NRI Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 8

リフォーム市場規模に影響を与える因子 リフォーム市場規模に大きく影響を与えるのは 1 新設住宅着工戸数 (8 年前 ) 2 名目 GDP 成長率 3 平均築年数の 3 点 世帯数経済成長住宅ストックの質 総世帯数 世帯主が生産年齢に該当する世帯数 移動者数 移動世帯数 新設住宅着工戸数など 実質 GDP 実質 GDP 成長率 前年度の実質 GDP 前年度の実質 GDP 成長率 名目 GDP 名目 GDP 成長率 前年度の名目 GDP 前年度の名目 GDP 成長率など 平均築年数 空家数 空家率など リフォーム市場規模に影響する因子として 論理的に適切か 統計的に リフォーム市場規模に影響していると言えるか リフォーム市場規模に影響を与える因子 1 新設住宅着工戸数 (8 年前 ) 2 名目 GDP 成長率 3 平均築年数 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 9

リフォーム市場規模の予測結果 リフォーム市場規模は 成長が期待されているものの 成り行きでの拡大は困難市場活性化に向けては 政策的支援はもちろん 民間事業者の創意工夫も必要 リフォーム市場規模の推移と予測 ( 兆円 ) 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 7.5 7.1 6.8 6.9 5.8 6.1 3.4 3.6 4.1 4.4 4.5 4.2 広義 ( 実績値 ) 広義 ( 予測値 ) 狭義 ( 実績値 ) 狭義 ( 予測値 ) 9.1 8.1 8.1 7.3 7.5 7.5 7.2 7.3 7.0 6.6 6.8 6.2 6.0 6.1 5.6 6.4 実績値 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 10 予測値 1989 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 ( 年 ) 狭義 : 住宅着工統計上 新設住宅 に計上される増築 改築工事 及び 設備等の修繕維持費 広義 : 狭義のリフォーム市場規模に エアコンや家具等のリフォームに関連する耐久消費財 インテリア商品等の購入費を含めた金額 を加えたもの出所 ) 実績値 : 住宅リフォーム 紛争処理支援センター 住宅リフォームの市場規模 (2014 年版 ) 予測値 :NRI 7.5 7.4 6.5 6.7 6.7 6.6 5.9 6.2 6.3 6.5 6.7 6.5 6.6 6.6 6.5 6.5 6.5 6.5 6.5 6.5 5.3 5.7 5.4 5.0 5.1 5.3 5.2 5.6 6.1 6.1 5.4 5.1 5.3 4.8 5.0 4.7 4.8 5.3 5.4 5.5 5.5 4.9 5.2 5.3 5.4 5.7 5.5 5.6 5.6 5.5 5.6 5.6 5.6 5.6 5.6 4.4

目次 1. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場規模の予測 (2016 年度版 ) 2. 空き家数の予測 (2016 年度版 ) 3. 既存住宅流通量の予測 4. まとめ Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 11

予測方法 以下の方法により 総住宅数 空き家数 空き家率を予測 総住宅数 空き家数 空き家率予測の考え方 5 年前の総住宅数 + その後 5 年間の新設住宅着工戸数 - その後 5 年間の除却住宅戸数 = 総住宅数 実績値 : 総務省 住宅 土地統計調査 予測値 :NRI NRI 予測値 新設住宅着工戸数との相関から NRI 予測 空き家率 空き家数 居住世帯あり住宅数 総住宅数 - = 居住世帯なし住宅数 建築中住宅数 国立社会保障 人口問題研究所の将来予測と同水準で推移すると仮定 一時現在者のみ住宅 数 昼間だけ使用している 何人かの人が交代で寝泊まりしているなど そこにふだん居住している者が一人もいない住宅 過去の傾向を近似して按分 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 12

総住宅数 空き家数及び空き家率の予測 世帯数の減少と総住宅数の増加に伴って 2033 年の空き家数は約 2,167 万戸 空き家率は 30.4% となる見通し 総住宅数 空き家数及び空き家率の推移と予測総 予測値 ( 万戸 ) (%) 8,000 実績値 35% 6,900 7,126 7,000 6,646 6,367 30% 6,063 30.4% 6,000 5,759 5,025 5,389 25% 25.7% 空5,000 4,588 き20% 家21.1% 率住宅数 空き家数4,000 3,000 2,000 1,000 0 3,545 3,861 4,201 7.6% 8.6% 9.4% 9.8% 11.5% 12.2% 13.1% 13.5% 268 330 394 448 576 659 757 820 16.9% 1,078 1,404 1,773 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所 ) 実績値 : 総務省 住宅 土地統計調査 予測値 :NRI 13 2,167 1978 1983 1988 1993 1998 2003 2008 2013 2018 2023 2028 2033 空き家数 ( 左目盛 ) 総住宅数 ( 左目盛 ) 空き家率 ( 右目盛 ) ( 年 ) 15% 10% 5% 0%

総住宅数に対する割合 予測値 宅数空き家の内訳及び総住宅数に対する割合の予測 空き家の内訳は 2033 年に 賃貸用 売却用 が約 1,270 万戸 ( 総住宅数の 17.8%) 利活用の目途が立っていない その他の住宅 が約 790 万戸 ( 同 11.0%) になる見通し住 除却 減築が進まないことによって その他の住宅 が引き続き増加するとともに 世帯数の減少によって 賃貸用 売却用の住宅 が増加すると考えられる 空き家の内訳及び総住宅数に対する割合の推移と予測 ( 万戸 ) (%) 実績値 ( 年 ) 別荘他 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所 ) 実績値 : 総務省 住宅 土地統計調査 予測値 :NRI 14

目次 1. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場規模の予測 (2016 年度版 ) 2. 空き家数の予測 (2016 年度版 ) 3. 既存住宅流通量の予測 4. まとめ Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 15

予測方法 外部データから 世帯数 と 持家率の変化 を また NRI の独自調査から 初めて住宅を購入する比率 と 既存住宅を購入する比率 を把握し 既存住宅流通量を推計 予測 国勢調査 ( 総務省 ) 日本の世帯数将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 ) 住宅 土地統計調査 ( 総務省 ) NRI アンケート調査注 ) ( 住宅購入者対象 ) (A) 世帯主の年齢 5 歳区分別の世帯数 (B) 世帯主の年齢 5 歳区分別の持家率の変化 注 ) アンケート調査の概要は以下の通り インターネットアンケート 調査名 : 住宅取得に関するアンケート 対象 :2000 年以降の各年で住宅を購入した日本全国の 25~59 歳の男女 (9,204 名 ) 実施時期 :2016 年 4 月 22 日 ~28 日 (C=A B) 当該期間に初めて住宅を購入する世帯数 (D) 住宅を購入する全世帯のうち 初めて住宅を購入する世帯の比率 (E=C D) 住宅を購入する全世帯数 (F) 住宅を購入する全世帯のうち 既存住宅 ( 新築以外 ) を購入する世帯の比率 (G=E F) 既存住宅流通量 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 16

既存住宅流通量の推計 予測方法 ( その 1) 国勢調査 ( 総務省 ) 日本の世帯数将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 ) 住宅 土地統計調査 ( 総務省 ) NRI アンケート調査注 ) ( 住宅購入者対象 ) (A) 世帯主の年齢 5 歳区分別の世帯数 (B) 世帯主の年齢 5 歳区分別の持家率の変化 注 ) アンケート調査の概要は以下の通り インターネットアンケート 調査名 : 住宅取得に関するアンケート 対象 :2000 年以降の各年で住宅を購入した日本全国の 25~59 歳の男女 (9,204 名 ) 実施時期 :2016 年 4 月 22 日 ~28 日 (C=A B) 当該期間に初めて住宅を購入する世帯数 (D) 住宅を購入する全世帯のうち 初めて住宅を購入する世帯の比率 (E=C D) 住宅を購入する全世帯数 (F) 住宅を購入する全世帯のうち 既存住宅 ( 新築以外 ) を購入する世帯の比率 (G=E F) 既存住宅流通量 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 17

(A) 世帯主の年齢 5 歳区分別の世帯数 世帯数は 2019 年をピークに減少に転じ 2030 年には約 5,100 万世帯となる見通し 世帯数の推移と予測 ( 世帯主の年齢 5 歳区分別 ) ( 万世帯 ) 6,000 5,000 実績値 予測値 5,307 5,123 < 世帯主年齢 > 75 歳以上 70~74 歳 4,000 65~69 歳 60~64 歳 55~59 歳 3,000 50~54 歳 45~49 歳 2,000 40~44 歳 35~39 歳 30~34 歳 1,000 25~29 歳 25 歳未満 0 2005 2010 2015 2020 2025 2030 ( 年 ) 出所 ) 実績値 : 総務省 国勢調査 予測値 : 国立社会保障 人口問題研究所 日本の世帯数将来推計 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 18

(B) 世帯主の年齢 5 歳区分別の持家率の変化 2018 年以降の持家率は 2013 年と同じと仮定 2003 年時点で 25 歳未満 であった層の持家率は 2018 年には約 46% へ 持家率の推移と予測 ( 世帯主の年齢 5 歳区分別 ) (%) 100% 実績値 予測値 < 世帯主年齢 > 75 歳以上 70~74 歳 80% 60% 40% 20% 0% 0 2.7% 11.5% 8.8pt 増 28.5% 17.0pt 増 45.8% 17.3pt 増 2003 2008 2013 2018 2023 2028 2033 65~69 歳 55~59 歳 50~54 歳 45~49 歳 40~44 歳 35~39 歳 30~34 歳 25~29 歳 25 歳未満 ( 年 ) 出所 ) 実績値 : 総務省 住宅 土地統計調査 (2003 年 2008 年 2013 年 ) 予測値 :NRI Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 19

(C) 当該期間に初めて住宅を購入する世帯数 初めて住宅を購入する世帯数は 2026~2030 年の 5 年間累積で約 275 万世帯 ( 年平均 55 万世帯 ) となる見通し 初めて住宅を購入する世帯数 (5 年間累積 ) の推移と予測 (5 年間累積 万世帯 ) 350 300 250 200 150 100 50 0 2006-2010 2011-2015 2016-2020 2021-2025 2026-2030 ( 年 ) 出所 ) 国勢調査 総務省 人口推計 国立社会保障 人口問題研究所 日本の世帯数将来推計 総務省 住宅 土地統計調査 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 20

既存住宅流通量の推計 推計方法 ( その 2) 国勢調査 ( 総務省 ) 日本の世帯数将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 ) 住宅 土地統計調査 ( 総務省 ) NRI アンケート調査注 ) ( 住宅購入者対象 ) (A) 世帯主の年齢 5 歳区分別の世帯数 (B) 世帯主の年齢 5 歳区分別の持家率の変化 注 ) アンケート調査の概要は以下の通り インターネットアンケート 調査名 : 住宅取得に関するアンケート 対象 :2000 年以降の各年で住宅を購入した日本全国の 25~59 歳の男女 (9,204 名 ) 実施時期 :2016 年 4 月 22 日 ~28 日 (C=A B) 当該期間に初めて住宅を購入する世帯数 (D) 住宅を購入する全世帯のうち 初めて住宅を購入する世帯の比率 (E=C D) 住宅を購入する全世帯数 (F) 住宅を購入する全世帯のうち 既存住宅 ( 新築以外 ) を購入する世帯の比率 (G=E F) 既存住宅流通量 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 21

(D) 住宅を購入する全世帯のうち 初めて住宅を購入する世帯の比率 2016 年以降に初めて住宅を購入する世帯の比率は 2000 年以降に住宅を購入した者へのアンケート結果から 平均値である 77% と設定 住宅を購入する全世帯のうち 初めて住宅を購入する世帯の比率 (%) 100% 80% 初めて購入 2 回目以降の購入平均値 2000 年 ~2015 年の各年における住宅購入者に対するアンケート調査結果の平均値 (76.7%) 60% 40% 20% 0% 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 住宅購入年 ( 年 ) 出所 )NRI アンケート調査 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 22

(E) 住宅を購入する全世帯数 住宅を購入する全世帯数は 2026~2030 年の 5 年間累積では約 360 万世帯 ( 年平均 72 万世帯 ) となる見通し 住宅を購入する全世帯数 (5 年間累積 ) の推移と予測 (5 年間累積 万世帯 ) 450 400 350 300 住宅を購入する全世帯数 250 200 150 100 ( 再掲 ) 初めて住宅を購入する世帯数 50 0 2006-2010 2011-2015 2016-2020 2021-2025 2026-2030 ( 年 ) 出所 ) 国勢調査 総務省 人口推計 国立社会保障 人口問題研究所 日本の世帯数将来推計 総務省 住宅 土地統計調査 NRIアンケート調査 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 23

既存住宅流通量の推計 予測方法 ( その 3) 国勢調査 ( 総務省 ) 日本の世帯数将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 ) 住宅 土地統計調査 ( 総務省 ) NRI アンケート調査注 ) ( 住宅購入者対象 ) (A) 世帯主の年齢 5 歳区分別の世帯数 (B) 世帯主の年齢 5 歳区分別の持家率の変化 注 ) アンケート調査の概要は以下の通り インターネットアンケート 調査名 : 住宅取得に関するアンケート 対象 :2000 年以降の各年で住宅を購入した日本全国の 25~59 歳の男女 (9,204 名 ) 実施時期 :2016 年 4 月 22 日 ~28 日 (C=A B) 当該期間に初めて住宅を購入する世帯数 (D) 住宅を購入する全世帯のうち 初めて住宅を購入する世帯の比率 (E=C D) 住宅を購入する全世帯数 (F) 住宅を購入する全世帯のうち 既存住宅 ( 新築以外 ) を購入する世帯の比率 (G=E F) 既存住宅流通量 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 24

(F) 住宅を購入する全世帯のうち 既存住宅 ( 新築以外 ) を購入する世帯の比率 新築以外の既存住宅を購入する世帯の比率は 2000 年 ~2015 年までの上昇傾向が 2016 年以降も継続すると仮定すると 2030 年で約 48% に 近年の既存住宅の競争力向上 ( 品質 立地等 ) 消費者の変化 ( 価値観 所得等 ) により 既存住宅の選択率は今後も増加し続けるとみられる ( それでも欧米とは大きな格差 ) 住宅を購入する全世帯のうち 既存住宅 ( 新築以外 ) を購入する世帯の比率の推移と予測 (%) 60% 50% 40% 30% 20% 実績値 ( 推計 ) 東日本大震災による突発変動の可能性リーマンショックによる突発変動の可能性 28.8% 予測値 < 参考 ( 国土交通省資料より )> アメリカ (2014 年 ):83.1% イギリス (2012 年 ):88.0% 2000 年 ~2015 年の各年における住宅購入者に対するアンケート調査結果に基づく線形近似 ( 決定係数 R 2 =0.96) 47.8% 10% 0% 0 ただし 2010 年と 2012 年については 突発的な変動であると想定し 近似式の対象から除外した 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 ( 年 ) 出所 )NRI アンケート調査 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 25

(G) 既存住宅流通量 既存住宅流通量は 既存住宅の競争力向上や消費者の変化により今後も増加し 2030 年には約 34 万戸となる見通し NRI が予測するように 既存住宅流通が順調に拡大したとしても 住生活基本計画 ( 平成 28 年 3 月閣議決定 ) における既存住宅流通の政策目標 (2025 年に 2013 年比で倍増 ) には 約 13 万戸が不足 既存住宅流通量の推移と予測 ( 万戸 ) 50 実績値 ( 推計 ) 予測値 既存住宅流通量の政策目標 (2013 年比で倍増 ) 40 約 13 万戸 30 20 10 22.1 30.7 33.6 0 2005 2010 2015 2020 2025 2030 ( 年 ) 出所 ) 国勢調査 総務省 人口推計 国立社会保障 人口問題研究所 日本の世帯数将来推計 総務省 住宅 土地統計調査 NRIアンケート調査 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 26

( 参考 ) 住替え頻度の推移と予測 人口 世帯数減少時代において 既存住宅流通の目標達成に必要な約 13 万戸を生み出すためには 移動人口の拡大 ( 移住 住替え 買替え等 ) が重要 仮に 移動人口の拡大が既存住宅流通量のみに寄与すると仮定した場合でも 移動人口は20% ( 約 872 万人から約 1,009 万人にまで ) 拡大させる必要がある 注 ) なお 本来であれば 移動人口の拡大は 既存住宅流通のみならず 新設住宅着工にも影響を及ぼすが 今回の推計では具体的な定量化を行っていない 住宅流通量と移動人口の関係 成り行きケース 住宅流通量 ( 戸 ) 新築住宅 ( 戸 ) 既存住宅 ( 戸 ) 移動人口 ( 人 ) 98 万 67 万 31 万 872 万 +13 万戸 1.2 倍 既存住宅流通の目標達成ケース 111 万 67 万 44 万 1,009 万 注 ) 移動人口 と 名目 GDP から 住宅流通量 の算定式を簡易的に設定し 住宅流通量が 111 万戸 となる場合の 移動人口 を推計 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 27

( 参考 ) 住替え頻度の推移と予測 既存住宅流通の約 13 万戸を移動人口の拡大 ( 移住 住替え 買替え等 ) で生み出すと想定した場合 生涯 7.1 回の移住 住替え 買替え等 (2009 年水準程度 ) が必要 移動人口の推移と予測 住替え頻度の推移と予測 ( 平均寿命 85 歳を想定 ) ( 億人 ) 1.4 実績値 予測値 ( 万人 ) 1,400 ( 回 ) 9.0 実績値 ( 推計 ) 予測値 1.2 1.0 1,200 1,009 万人の移動人口が必要 1,000 0.8 総人口 ( 左目盛 ) 800 移動人口 ( 右目盛 ) 0.6 600 0.4 400 0.2 200 0.0 0 出所 ) 実績値 : 総務省 住民基本台帳人口移動報告 国勢調査 より NRI 推計予測値 : 国立社会保障 人口問題研究所 日本の将来推計人口 より NRI 予測 5.0 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 出所 )NRI Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 28 8.0 7.0 6.0 成り行きでは 住替え頻度は減少し 2025 年には生涯 6.1 回 (14 年に 1 回 ) となる見通し 生涯 7.1 回 (12 年に 1 回 ) の移住 住替え 買替え等が必要

目次 1. 新設住宅着工戸数 リフォーム市場規模の予測 (2016 年度版 ) 2. 空き家数の予測 (2016 年度版 ) 3. 既存住宅流通量の予測 4. まとめ Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 29

まとめ 2015 年度に 92 万戸であった新設住宅着工戸数は 2030 年度には約 54 万戸まで減少すると見込まれる 一方 成長が期待されるリフォーム市場規模も成り行きでの拡大は難しく 2030 年まで約 6 兆円台 ( 広義 ) で横ばいに推移すると予測される また 既存住宅の除却や 住宅用途以外への有効活用が進まなければ 2033 年の空き家数は約 2,170 万戸 空き家率は 30.4% へといずれも上昇すると予測される 本格的な人口 世帯数減少時代を目前に控え 住宅市場の長期的な低迷が懸念されるなか 既存住宅流通量は 2013 年の約 22 万戸から 2025 年には 31 万戸 2030 年には 34 万戸に増加すると予測され 明るい材料の一つである しかしながら NRI が予測するように 既存住宅流通が順調に拡大したとしても 住生活基本計画 ( 平成 28 年 3 月閣議決定 ) における政策目標 (2025 年に 2013 年比で倍増 ) には及ばない 人口 世帯数減少時代において 既存住宅流通をさらに活性化させていくためには 移動人口 の拡大 ( 移住 住替え 買替え等 ) が重要であり 以下のような取組の推進が求められる 既存住宅の価値評価システムの整備 既存住宅やリフォーム向けローンの充実 お試し移住や多地域居住等を促進する環境整備 民間事業者による新規ビジネスの創造 ( 移住 住替え 買換えサポートビジネスなど ) 高齢化社会で 移動人口 を拡大していくことは ライフステージの変化に応じて 最適な住宅を選択できる環境を整備することでもあり 生活者の住生活環境の質的向上につながると考える Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 30