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観光科学 Journal of Tourism Sciences Title 観光資源としての食 Author(s) 米屋, 武文 Citation 観光科学 = Journal of Tourism Sciences, Issue Date 2011-09 URL http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/handle Rights

観光といった要素の方が上回っているというのが現状であろう グルメを主目的とした旅行者にとっ ては沖縄の優先度は他のグルメ都市と比ぺて優位性が低いと考えられ,今後,観光旅行における食へ のニ-ズの高まりに応えるための方策を考えていくことが沖縄にとっての課題といえる 表2 外園人に人気の食事ランキング 海外からの旅行者と食 (複数国答) 日本政府観光局によると, 2010年の訪日外国人旅行者数 順位 日本 の 食事 割 合 (% ) は861万人で,観光目的の旅行者は57.8%であった 国 1 す し 4 2.1 地域別では韓国が最も多く,中国,台湾が続いた 観光客 2 ラー メ ン 2 0.8 が訪日前に期待したことは食事(62.5%)が2年連続1位で, 3 刺 身 1 9.8 ショッピング(53.1%),歴史的 伝統的な景観.旧跡(45.8%) 4 て んぷ ら 1 1.1 が続いた 外国人旅行者にとっても国内旅行者同様,食へ 5 う どん 8.9 の関心の高さが明らかである. 6 魚介.海鮮料理 7.2 政府は訪日外国人旅行者数の目標として2013年に1500 7 そ ば 6.0 万人, 16年に2000万人を掲げ, 19年までに2500万人を目 8 し やぶ し やぶ 4.9 指している 表2に外国人に人気の食事ランキングを示し 9 焼 肉 4.5 たが,食の強化によるもてなしという視点で参考にすべき 10 豚かつ.かつ井 4.1 であろう (日本政府観光局調ぺ) 伝統食の現代風アレンジ 現代日本の食は質 量ともに過去の歴史に例がない程,豊かで恵まれている 日本食だけでなく, 居ながらにして世界中の食を手に入れることが可能である そのような成熟した社会にあっては,食 は簡便化が進んだり,逆に伝統食が復括するという現象がみられる 新たな食品を開発しようとする 人にとって各地に残る伝統食はアイデアの宝庫であるが,地域にとっても伝統食は観光客を呼び寄せ る重要な要素となりつつある.それでも,多くの伝統食は若い人からは見放され,いずれ消え去って しまいかねない状況にあるのも現実である 地域の特産晶として伝統食を売り出していくには,やは り現代人の噂好に合うようにアレンジし,精力的に情報発信し ていくということも必要である ここでは,筆者が住む浜松市 ないしはその周辺に残る伝統食を現代風にアレンジした事例と して浜納豆と柚餅子(ゆぺし)を取り上げる 浜納豆は,糸引き納豆とは異なるタイプのこうじカビを用い た大豆発酵食晶で,塩辛納豆,唐納豆,寺納豆ともいう 中国 で2,200年ほど前から作られていたものが,奈良時代に朝鮮半 島を経て仏教僧によって日本にもたらされ,粗食を重んじる各 地の寺院で重宝されてきた なかでも浜松市三ケ日町にある大 福寺で室町時代から製造されてきた大福寺納豆は有名であるが, 現在は,浜松市内では大福寺を含めて3カ所で製造されている なお,浜納豆は浜名納豆の略称で,浜名湖畔でつくられたこと に由来する 製法の詳細は文献2)を参照されたい 今日,浜納 豆はお茶うけや酒のつまみとして,あるいはご飯とともに食さ れているが,知名度の高さほど食べられていない 米国農務省 が1950年代にアジアの大豆発酵食品を調査した際の報告書の -76- 写真1浜納豆の色の比較