ご購入先様説明会資料 (Web 公開版 ) SKG09-004 2009 年 04 月 製品含有化学物質管理のお願い ( 禁止物質不含有の品質保証体制 ) 品質 環境本部 QA センタ
目次 1.REACH 規則とRoHS 指令の違い 2.RoHS 指令の説明 ( 規制値と定義 ) 3. 禁止物質混入防止に向け日常管理徹底のお願い 3-1 2007 年度禁止物質混入状況 3-2 禁止物質含有事例 4. 参考資料 1
1. REACH 規則と RoHS 指令の違い RoHS の最大許容濃度保証と REACH の含有情報伝達の違い 法令内容義務食品に例えて言うと RoHS ELV 特定物質の含有禁止 ( 最大許容濃度管理 ) 不含有の品質保証 残留農薬規制 ( 基準を超える残留農薬含有禁止 ) REACH 特定物質を含有している場合 情報伝達 情報伝達 JAS 法 ( 食品の原材料表示 ) RoHS 指令は 06 年 7 月から施行され EU で違反例が報告されており 取り締まりも強化され 一部では訴訟になっているとの報告もあります 引き続き厳重な禁止物質の不含有管理を徹底ください 2
1. REACH 規則と RoHS 指令の違い 食品表示の例 3
2.RoHS 指令の説明 ( 規制値と定義 ) 物質名 ( 化合物を含む ) 記号 濃度の算出 1 製品の部位毎の含有濃度が許容濃度以下であること 2 部位とは それ以上に分割できない均質物質の部分を指す 法規制値 ( 最大許容濃度 ) 使用事例 大手顧客調達基準 (S 社例 ) 1 カドミウム Cd 100ppm 着色剤 5ppm 2 鉛 Pb 1,000ppm 鉛はんだ 100ppm 3 水銀 Hg 1,000ppm 蛍光灯 1,000ppm 4 六価クロム Cr6+ 1,000ppm クロメート処理 1,000ppm 5 ポリ臭化ビフェニル PBB 1,000ppm 樹脂難燃剤 1,000ppm 6 ポリ臭化ジフェニルエーテル PBDE 1,000ppm 樹脂難燃剤 1,000ppm 抵抗のリングマーク例インク層は部位 大手電子部品メーカで抵抗の赤帯に鉛含有事例有 4
2.( めっき 表面処理での定義 ) 母材 めっき クロメート処理膜それぞれ独立した部位 ( 均質物質 ) として扱う めっき 3 クロメート処理膜 ( 三価六価クロム含有 / )) 1 母材 ( 鋼 ) 2 亜鉛めっき層 1 母材 ( 鋼 ) 5
3. 禁止物質混入防止に向け日常管理徹底のお願い これから不具合事例の傾向と実例を紹介しますが 禁止物質混入防止のため以下の徹底をお願いします 1) 確実な 2 次 3 次取引先の管理 製品含有化学物質仕様の確実な伝達 製品含有化学物質管理体制確認 2) 確実な変更 ( 区別 ) 管理の実施 6
3-1. 2007 年度禁止物質混入状況 (1) 二次購入先以降の管理の強化 が最重要課題 < サプライチェーン > 1 次 2 次 3 次 4 次以降 < 材質 > 樹脂 めっき はんだ 塗料 その他 < 混入物質 > カドミウム 鉛 六価クロム 特定臭素 7
3-1. 2007 年度禁止物質混入状況 (2) 1) 管理の基本ができていない!! 古い在庫の混入 在庫管理 区分管理不徹底 変更時のミス 2 社購買に対する購入先管理不備 (1 社だけに変更を指示 ) 2) 禁止物質併行生産 ( ハイリスク ) 購入先がある! 購入先様の 把握と管理強化 が不十分 誤使用誤発注リサイクル材 誤投入 連絡ミス 古い在庫の混入 変更時のミス めっき管理不良 併行生産での混入 8
3-2. 禁止物質含有事例 1: 変更 区分管理 不具合事例 部品購入先 A 社で 倉庫に残っていた同一型番の部品を納入したが 鉛が検出された 原因 1A 社では 2005 年より非鉛製品製造に切替 自然切替で 2006 年 6 月以降は RoHS 対応製品になっていると考えていた 2 倉庫にあったものは 2005 年より前に製造されたものが 流動せずに残っていた 3 同じ型番なので 製造日を確かめずに出荷したため 非鉛化前のものが納入されてしまった あるべき姿 1 可能なら 法律が施行された段階で 非対応品は一括廃棄するべきだった 2 仕様が違うものは 保管場所 表示 ( 識別 ) を確実に区分すべきだった 3 先入れ先出しを徹底するべきだった ( 先入先出しをしないと 古い製品が長期滞留してしまい 間違って使用される危険がある ) 4 含有化学物質管理に対する教育の徹底が必要だった 9
3-2. 禁止物質含有事例 1: 変更 区分管理 部品在庫 (RoHS 対応済み品 ) 部品在庫 ( RoHS 未対応品 ) ( 倉庫に残っていた ) 2 次購入先 何故未対応品を残していたか? 何故管理できなかったか? 誤出荷の発生は想定されていたか? 1 次購入先 当社 2 次購入先の確認は? 受入時の確認方法は? 出荷時の製品保証は? 受入検査で発見検査間隔によって流出の危険あり 10
3-2. 禁止物質含有事例 2: はんだ槽の管理 不具合事例 購入部品リード線の接続はんだに鉛が検出 (3800ppm) 原因 1リード線はんだ付けに使用するはんだポット ( 無鉛 ) が鉛で汚染されていた 2 汚染は鉛入り予備はんだを使用した別製品を同じポットで作業したため 3 混入を知らずに作業継続 ( 定期的な濃度測定をやっていなかった ) 結果として1000ppmを超える鉛が検出された あるべき姿 1 無鉛 有鉛はライン 冶工具 部品まで含めて完全分離の徹底する 2やむなく共用の場合は管理基準 ( 区分管理 清掃基準等 ) を明確にする 3うっかりミス防止のため ライン区分の表示 ( 色分け等 ) 冶工具の識別管理 ( ラインと同じ色分け ) 部品の識別は確実に判別できる必要がある 4 定期的にはんだ槽を分析する ( 期間は併行生産の有無など考慮して決定 ) 5 含有化学物質管理に対する教育の徹底が必要だった < 用語説明 > はんだポット: 溶けたはんだが入った槽 予備はんだ: はんだ付き性を良くするため予めはんだを施すこと 11
3-2. 禁止物質含有事例 2: はんだ槽の管理 本はんだ槽予備はんだ ( 有鉛 ) 2 次購入先 ( はんだめっき ) 1 次購入先 当社 はんだ槽管理 ( 確認内容 / 方法は適切か ) 1 回 / 年の確認時は OK 1 回 / 年の確認頻度は適切か? 受入検査で発見検査間隔によって流出の危険あり 12
3-2. 禁止物質含有事例 3: 区分管理 不具合事例 一部のねじから六価クロムが検出 原因 1 米国向け製品 ( 非 RoHS) と日本向け製品 (RoHS 対応 ) を併行生産 2 米国向けねじには 六価クロムでクロメート処理がしてあった 3 使用した日本向け製品用ねじの箱には RoHS 対応品の自社管理ラベルが貼ってあったが 実際は米国向け製品用ねじが入っていた 4 資材担当者が RoHS ラベルを間違って貼り付けたのか 米国製品向けで余ったねじを間違って戻したかは不明 あるべき姿 1RoHS 製品用部品は 保管場所 冶工具 部品まで含めて完全分離の徹底をする 2 やむなく共用の場合は管理基準 ( 区分管理 清掃基準等 ) を明確にする 3 うっかりミス防止のため 区分の表示 ( 色分け等 ) 部品の識別が必要 4 含有化学物質管理に対する教育の徹底が必要だった 13
3-2. 禁止物質含有事例 3: 区分管理 RoHS 対応済み品 RoHS 未対応品 2 次購入先 何故対応品の箱に未対応品が入っていたか? 何故管理できなかったか? 誤表示の発生は想定されていたか? 1 次購入先 当社 2 次購入先の併行生産を確認したか? 2 次購入先の生産状況の確認方法は? 出荷時の製品保証は? 受入検査で発見検査間隔によって流出の危険あり 14
3-2. 禁止物質含有事例 4: 2 次購入先管理 不具合事例 成型前樹脂ペレットの一部から鉛 (500ppm) 検出 ( 顧客要求により樹脂中の鉛の最大許容濃度は 300ppm) 原因 12 次購入先が鉛品を製造しているとしらなかった 22 次購入先へ本購入品について以下を伝えていなかった RoHS 管理品で かつ 樹脂中の鉛の最大許容濃度は 300ppm のであること 同じ機械で鉛品の後に非鉛品を製造すると RoHS 管理値を超える鉛が検出される可能性があること RoHS を守るために行うべき清掃基準等 あるべき姿 1RoHS 対応及び鉛の最大許容濃度を 2 次購入先が必ず確認する書類 ( 購入仕様書 図面など ) で明確に指示する 22 次購入先の含有化学物質の管理状況を確認し 必要に応じ 適切な管理方法指示する 3 管理状況を定期的に確認する 4 含有化学物質管理に対する教育の徹底が必要だった 15
3-2. 禁止物質含有事例 4:2 次購入先管理 樹脂混練工程 前作業 後作業 有鉛樹脂 無鉛樹脂 2 次購入先 ( 併行生産 ) 1 次購入先 当社 顧客の要求仕様を確認しているか? 工程内汚染防止管理は適切か? 2 次購入先の併行生産を確認したか? 2 次購入先の生産状況の確認方法は? 出荷時の製品保証は? 受入検査を通り抜け製品検査で発見検査間隔によって流出の危険大 16
4. 参考資料 ( 禁止物質混入リスクが高い例 ) その 1( 代表的物質含有顔料 ) 代表的禁止物質含有顔料 顔料名 禁止物質 ( 化学式 ) 顔料素材色 調合色相 ( 疑いのある色相 ) 黄鉛 ( クロムイエロー ) 鉛 六価クロム (PbCrO4) 黄 黄 橙 茶 緑など カドミウムカドミウムレッド赤赤 紫 茶 橙など (CdS+CdSe) カドミウムイエロー カドミウム (CdS) 黄 黄 橙 茶 緑など 17
4. 参考資料その 2( 快削黄銅のカドミウム ) JIS H3250 による快削黄銅の組成 材質記号 鉛規格値 カドミウム規格 備考 特記 C3601 2.5-3.3% 記載なし C3602 1.8-3.3% C3604 2.7-3.6% 超快削性 最も一般的 C3605 3.6-4.4% 超超快削性 鉛含有量 RoHS 非対応 注意! 銅合金中のカドミウムの RoHS 除外規定なし ( 最大許容濃度 100ppm) JISH3250 にカドミウム規格値なし カドミウムは規格外で不純物として 30~150ppm 含有している RoHS 対応品はカドミウムの最大許容濃度やメーカが RoHS 対応と謳っている名称を指定する必要がある ( 単に JIS 記号や材料名での購入は NG) カドミウム 100ppm 以下を謳っている製品例 メーカー RoHS 対応品名称 Cd 管理値備考 日立アロイ V シリーズ /E シリーズ 100/75 http://www.halotec.co.jp/ 18
4. 参考資料その 3( 快削黄銅の鉛 ) JIS H3250 による快削黄銅の組成 材質記号 鉛規格値 カドミウム規 格 C3601 2.5-3.3% 記載なし C3602 1.8-3.3% 備考 特記 C3604 2.7-3.6% 超快削性最も一般的 C3605 3.6-4.4% 超超快削性鉛含有量 RoHS 非対応 注意! RoHS 指令の除外規定 銅合金中の鉛 Max4%(JIS 規格では C3605 以外は鉛含有量は RoHS 指令を満足 ) C3605 の RoHS 製品への使用は NG RoHS 対応品は鉛の最大許容濃度を指定する必要がある ( 単に JIS 記号や材料名 ( 快削黄銅 ) での購入は NG) 19
4. 参考資料その 4 ( 快削アルミニウムの鉛 ) JISH4040 による快削アルミニウムの組成 材質記号 鉛規格値 備考 特記 A2011 0.2-0.6% 最も快削性 鉛含有量 RoHS 非対応 A2017 規定なし 硬質材 注意! RoHS 指令の除外規定 アルミ合金中の鉛 Max 0.4%(JIS 規格では鉛含有量は RoHS 指令を満足しない ) A2011 の RoHS 製品への使用は NG RoHS 対応品は鉛の最大含有量を指定する必要がある ( 単に JIS 記号や材料名 ( 快削アルミニウム ) での購入は NG) 20
まとめ 禁止物質混入防止のため以下の徹底をお願いします 1) 確実な 2 次 3 次取引先の管理 製品含有化学物質仕様の確実な伝達 製品含有化学物質管理体制確認 2) 確実な変更 ( 区別 ) 管理の実施 21