Copyright 2005-2010 Miyata / Akimoto / Tanaka Lab. All rights reserved. 二次電池による社会システムイノベーション第 10 回分科会 2012/2/23 リアルタイムの地域電力経営法と充放電アルゴリズムの選択 東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻 宮田秀明研究室 M2 今西佑希 M1 柴田一樹
目次 1. 本研究の趣旨 2. リアルタイムの地域電力経営支援法 3. リアルタイム電力経営支援法適用例 2
1. 本研究の趣旨 3
1. 本研究の趣旨 リアルタイム電力経営支援 電力需要と PV 発電量の予測をもとにリアルタイムに地域電力システムの電力経営支援を行う手法の開発 最適アルゴリズム検証 電力需要変動や PV 及び二次電池の導入量に応じた最適な充放電アルゴリズムの検証 重要なのは 目的によって最適なアルゴリズムは異なる ということ 4
2. リアルタイム地域電力経営支援法 5
2. リアルタイム電力経営支援法電力経営支援法のシステムフロー 統合データベース 開始 データの読み込み 電力システムモデル化 充放電アルゴリズムの決定 day=0 準備段階 PV 発電 二次電池の容量や配置など電力システムをモデル化充放電アルゴリズムの決定 設備仕様データ パラメータデータ RE 発電, 電力需要の予測 予測誤差許容ラインの算出 充放電計画の策定 step=0 予測修正条件 Y 予測修正 運用段階 電力システムにおいて日々の電力経営支援を行う 需給関連データ オペレーションデータ 計画修正条件 充放電の実行 Y 計画修正 step=last day=last 終了 6
2. リアルタイム電力経営支援法運用段階における電力経営支援法のシステムフロー 開始 電力需要量の予測 前日のオペレーション PV 発電量の予測 予測誤差許容ラインの算出 充放電計画の策定 step=0 当日のオペレーション 修正予測条件 修正計画条件 Y Y 修正予測 修正計画 充放電の実行 step= Last 終了 7
2-1-3. 予測誤差許容ラインの算出予測誤差許容ラインの定義 二次電池は通常容量の 30%~70% を利用するが 予測誤差に対応するために下から 10%~30% の間の 20% を予測誤差吸収領域 ( マージン ) とする オペレーション当日早い時間帯にマージンを使い切らないように 各ステップでの予測誤差吸収領域の利用可能量を制限し その制限値を定めたラインを予測誤差許容ラインと定義する 二次電池の利用容量 予測誤差許容ライン 70% 系統供給計画を立てる際に利用する二次電池の容量 30% 25% 20% 時刻 t におけるマージンの利用可能量 30% 10% 予測誤差を吸収するマージン部分 15% 10% 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 時間に応じて マージンの利用可能量が変化する 8
2-1. リアルタイム電力経営支援法前日のオペレーション 4. 充放電計画の策定 開始 電力需要量の予測 前日のオペレーション PV 発電量の予測 予測誤差許容ラインの算出 充放電計画の策定 step=0 当日のオペレーション 修正予測条件 修正計画条件 Y Y 修正予測 修正計画 充放電の実行 step= Last 終了 9
power[mwh/0.5h] 2-1-4. 充放電計画の策定充放電アルゴリズムによる計画 power[mwh/0.5h] storage[mwh] 充放電アルゴリズムとは電力需要及び PV 発電量をもとに ある時点から一定期間の二次電池からの充放電を最適化するアルゴリズム 充放電アルゴリズムを用いることで 目的とする電力経営を実現できる 2 1.4 10 1.5 1 0.5 0 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00-0.5 demand re netdemand 充放電アルゴリズム 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0:00-0.2 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 9 8 7 6 5 4 3 2 1-0.4 0 netdemand supply storage バラバラな需要と発電 目的の電力経営を実現 10
2-1-4. 充放電計画の策定目的に応じた充放電アルゴリズムの用意 PV 容量 二次電池容量 需要カーブ 目的に応じて充放電アルゴリズムを用意する 用いるアルゴリズムは以下の四つ 1. 余剰電力最小化アルゴリズム 2. 多段平滑化アルゴリズム 3. ピークカットアルゴリズム 4. ピークカットボトムアップ (PCBU) アルゴリズム 重要なのは 目的によって最適なアルゴリズムは異なる ということ 11
2. リアルタイム電力経営支援法運用段階における電力経営支援法のシステムフロー 開始 電力需要量の予測 前日のオペレーション PV 発電量の予測 予測誤差許容ラインの算出 充放電計画の策定 step=0 当日のオペレーション 修正予測条件 修正計画条件 Y Y 修正予測 修正計画 充放電の実行 step= Last 終了 12
3. リアルタイム電力経営支援法適用例 13
3. リアルタイム電力経営支援法適用例適用例の対象地域選定 リアルタイム電力経営支援法を二つの対象地域に適用する (1) コミュニティ 東京都 1000 戸のコミュニティ 1 日平均電力需要 20MWh 対象期間 :2010 年の 1 年間 (2) 沖縄のリゾート施設 宿泊可能人数 1200 人 1 日平均電力需要 10MWh 対象期間 :2008 年の 1 年間 14
日次電力需要量 [MWh/day] 3-2. リゾート適用需要データ準備 電力需要量 [KWh/0.5h] 0:00 8:00 16:00 0:00 8:00 16:00 0:00 8:00 16:00 0:00 8:00 16:00 0:00 8:00 16:00 0:00 8:00 16:00 0:00 8:00 16:00 コミュニティに比べて需要変動は小さいが 細かい変動には対応が必要 需要データの準備データ期間 :2007 2008 年リゾート施設の需要データは 実データを使用する一日の平均需要は10MWh 16 14 12 10 8 6 4 2 0 Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct ov Dec 400 350 300 250 200 150 100 50 0 需要の特徴 年間の日次電力需要 ある一週間の電力需要 年間で見ると 夏場だけ需要が高く 他の時期は同程度の大きさである一日の変動の形状はあまり変化していない 15
3-2. リゾート適用発電データ準備 コミュニティと同じデータを使用する 電量も変動が大きく日によって異なるため 電池による電力経営が必要と考えられる PV 発電量データの準備 データ期間 :2008 2010 年 都内某所に設置された PV 発電設備の実データを使用する出力 :100kWp PV 発電量の例 PV 発電量の特徴 7/1~7/4 の PV 発電量 需要に比べて変動が大きい日によって変動の形状が異なる 10/1~10/4 の PV 発電量 期間が異なるが 2010 年データを 2008 年のものとしてシミュレーションを行う 16
CO2 削減率 ピーク削減率 CO2 削減率 ピーク削減率 3-2. リゾート適用シミュレーション結果 PV 二次電池導入量 アルゴリズムごとの評価値比較 目的や設備導入量によって最適な充放電アルゴリズムは異なる 評価値 35% CO 2 削減率 [%] ピーク削減率 [%] 25% 30% 25% 20% PV1MWp 需要 0.3 日分 * 20% 15% 10% 5% 多段平滑化ピークカット PCBU 余剰電力 15% 10% 5% 多段平滑化ピークカット PCBU 余剰電力 0% 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 二次電池容量 [MWh] 0% 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 二次電池容量 [MWh] 90% 30% PV3MWp 需要 0.9 日分 * 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 二次電池容量 [MWh] 多段平滑化ピークカット PCBU 余剰電力 25% 20% 15% 10% 5% 0% 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 二次電池容量 [MWh] 多段平滑化ピークカット PCBU 余剰電力 *1 日の需要量と同じ電力量を発電する PV 導入量を 需要 1 日分 と表記する 17
CO2 削減率 ピーク削減率 CO2 削減率 ピーク削減率 3-2. リゾート適用シミュレーション結果 PV 二次電池導入量 アルゴリズムごとの評価値比較 目的や設備導入量によって最適な充放電アルゴリズムは異なる 評価値 35% CO 2 削減率 [%] ピーク削減率 [%] 25% 30% 25% 20% PV1MWp 需要 0.3 日分 * 20% 15% 10% 5% 多段平滑化ピークカット PCBU 余剰電力 15% 10% 5% 多段平滑化ピークカット PCBU 余剰電力 0% 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 二次電池容量 [MWh] 0% 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 二次電池容量 [MWh] 90% 30% PV3MWp 需要 0.9 日分 * 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 二次電池容量 [MWh] 多段平滑化ピークカット PCBU 余剰電力 25% 20% 15% 10% 5% 0% 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 二次電池容量 [MWh] 多段平滑化ピークカット PCBU 余剰電力 PV1MWp, 二次電池 3MWh, PCBU アルゴリズムを用いたケースを詳細に確認する 18
3-2. リゾート適用シミュレーション結果 PV1MWp, 二次電池 3MWh, PCBU アルゴリズムの結果 電力量 [KWh/0.5h] 電力量 [KWh/0.5h] 電力貯蔵量 [KWh] 電力貯蔵量 [KWh] 予測 計画修正により ピークの削減が実現される 7/8 7/14 の電力量推移 当日の修正を行わない 系統購入量 二次電池貯蔵量 PV: 需要 0.3 日分電池 : 需要 0.3 日分 400 2500 350 300 2000 250 1500 200 150 100 二次電池の下限 50 0 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 需要 : 実績需要 : 予測 PV 発電 : 実績 PV 発電 : 予測系統供給電力貯蔵量 当日の修正を行う 1000 500 0 400 2500 350 300 2000 250 1500 200 150 1000 100 二次電池の 50 下限 0 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 需要 : 実績需要 : 修正予測 PV 発電 : 実績 RE 発電 : 修正予測系統供給電力貯蔵量 500 0
3-3. 仕様設計シミュレーションとの比較各対象地域のシミュレーション結果の評価 需要 発電予測 当日の修正法ともに 改善していく余地がある コミュニティ (PV1MWp, 二次電池 3MWh, 多段平滑化 ) ピーク削減率 (%) CO 2 削減率 (%) 仕様設計シミュレーション 21.3 15.5 電力経営シミュレーション 17.8 15.5 リゾート施設 (PV1MWp, 二次電池 3MWh, PCBU) ピーク削減率 (%) CO 2 削減率 (%) 仕様設計シミュレーション 22.5 27.3 電力経営シミュレーション 15.7 26 仕様設計と比較すると CO2 削減率はほぼ同水準の精度である 一方ピーク削減率は小さいが これは日の前半で予測誤差が蓄積することにより日の後半のピークに備えて蓄電を計画しておくことが難しいためである 20
結論 1. 大規模蓄電設備及び PV 発電設備が導入された地域電力システムのリアルタイム電力経営支援法を開発した. 2. 電力需要量,PV 発電量の修正予測法の構築, 予測誤差に応じて二次電池の充放電計画を修正する修正計画法を構築した. 3. 二次電池及び PV 発電設備が導入されたコミュニティとリゾート施設に対して電力経営シミュレーションを行い, リアルタイム電力経営支援法の有用性を示した. 4. 最適な充放電アルゴリズムは需要変動だけでなく PV と二次電池の導入量に依存することを示し, 目的に応じて適切な選択が重要であることを示した. 21