IEEE802.11ac 規格とRF測定

Similar documents
LAN HDTV IEEE a/b/g/n/ac DSSS FHSS OFDM MIMO LAN WiFi I/Q Keysight Signal Studio Keysight N/W9077A LAN Keysight X a/b

M9077A無線LAN a/b/g/n/ac M9391A PXIeベクトル・シグナル・アナライザ用Xシリーズ測定アプリケーション

Keysight Technologies 無線LAN a/b/g/j/p/n/ac/af/ah Xシリーズ 測定アプリケーション N9077A/W9077A

Keysight Technologies LTE規格に準拠したトランスミッタのACLR測定

無線LAN acの測定 アプリケーションノート

Keysight Technologies LTEの動作と測定におけるMIMO:LTEテストの概要

無線LANフレーム構成について

Keysight Technologies 5G空間電波伝搬特性(チャネルサウンディング)の測定手法

Keysight 89601B/BN-SSA スペクトラム解析 VSAソフトウェア

Keysight MIMO MIMO Cluster n Path n σ n, AoA σ n, AoD Θ n, AoA MS/UE Array Boresight Rx0 Tx0 Θ n, AoD LOS BS Array Boresight Θ n+1, AoA Rx1 Tx1 Path n

JAJP.qxd

N4010A 無線コネクティビティ テスト セットおよび N4011A MIMO/ マルチポート アダプタ Configuration Guide 概要 Agilent N4010A Bluetooth LAN WLAN ZigBee TM Agilent N4011A MIMO/ 1/4 N401

802.11ac技術の機器組込み時に理解しておきたいこと

Keysight Technologies スイッチング電源の測定

U4611A/B USB 2.0/3.0プロトコル・アナライザ バージョン3.7.x(MegaZoomテクノロジー採用)

5989_0871JA.qxd

IEEE ax:第 6 世代の Wi-Fi テクニカル ホワイト ペーパー

Keysight Technologies N1055A リモート・ヘッド・モジュール 35/50 GHz 2/4ポートTDR/TDT

E4438C ESG シリーズベクトル信号発生器概要 80MHz の広帯域内部 IQ 変調帯域 ( 外部 IQ 使用時 160MHz) ~6GHz までの RF 出力 携帯電話フォーマットから無線 LAN まで多種のパーソナリティを用意 RF, IQ 差動出力, Digital IQ 出力 ±0.5

Keysight Technologies InfiniiumオシロスコープによるUSB 2.0コンプライアンス・テスト

89600B VSAソフトウェア 使いこなし 20のヒント

Keysight Technologies RF/マイクロ波増幅器

5GHz 作 15-4 DFS 試験時の通信負荷条件定義について 2019 年 3 月 1 日 NTT 東芝 クアルコムジャパン 1

Keysight VXAベクトル信号解析 Xシリーズ 測定アプリケーション N9064A/W9064A

5988_4096JA.qxd

LTE-Advanced キャリア・アグリゲーションの測定 アプリケーションノート

Keysight Technologies GPSレシーバ・テスト

Keysight Technologies 33600Aシリーズ Trueform波形発生器

Keysight Technologies LTE/LTE-Advanced FDD/TDD用Signal Studio N7624B/N7625B

Keysight 89601B/BN-AYA ベクトル変調解析 VSAソフトウェア

資料 ISDB-T SB 信号から FM 受信機への干渉実験結果 1 実験の目的および方法 実験の目的 90~108MHz 帯のISDB-T SB 信号からFM 放送波への影響について干渉実験を行う 実験方法 FM 放送波を 89.9MHz に ISDB-T SB 信号を 90~10

No43 テレビ放送電波はどんな形?(その1・概説)

Agilent U7238A MIPI D-PHY Infiniium Data Sheet エンベディッド D-PHY データ リンクの検証とデバッグ Agilent U7238A MIPI D-PHY Infiniium D-PHY CSI DSI D-PHY U7238A MIPI D-PHY

050920_society_kmiz.odp

JAJP.indd

RF-ASE トレーニング

Keysight Technologies レーダー/EW/ELINTテスト:一般的なテスト上の問題の特定

Keysight Technologies IntegraVision PA2200シリーズ パワー・アナライザ

IS-QZSS サブメータ級測位補強サービス / 災害 危機管理通報サービス編 (IS-QZSS-L1S-001) の構成 Page 1 Quasi-Zenith Satellite System Services Inc. 2015

Keysight Technologies DDRメモリのより良いデザイン/テスト

ディエンベディングとは冶具やケーブルによる観測信号の劣化を S パラメータデータを利用して計算により補正する TX 冶具ケーブル 被測定物の出力 De-Embedding 冶具 ケーブル等の影響を受けた波形 冶具 ケーブル等の S パラメータデータ TX 被測定物の出力 冶具 ケーブル等の影響のない

Microsoft PowerPoint - ①無線通信システム概要12

N9080A LTE FDDN9082A LTE TDD LTE FDD/LTE TDD LTE FDD/LTE TDD X 3GPP LTERF RF LTE enbue 3GPP Agilent X 22 LTE FDD/LTE TDD X X CPU I/O 100 X X XX 14 www

Time and Frequency Division Multiplexing の設定

問題 バイポーラ電源がないと 正と負の電圧や電流を瞬断なくテスト機器に供給することが困難になります 極性反転リレーやスイッチ マトリクスを持つ 1 象限または 2 象限電源では V またはその近傍に不連続が生じ これが問題になる場合があります ソリューション 2 象限電圧のペアを逆直列に接続すれば

Keysight Technologies 標準信号発生器セレクションガイド

RSA3408Aオプション29型ユーザ・マニュアル

Keysight Technologies B1500Aを使用した太陽電池セルのIV/CV特性評価

Keysight Technologies E5072A ENAシリーズ ネットワーク・アナライザ 30 kHz ~ 4.5/8.5 GHz

Keysight Technologies マルチ・プロトコル & ロジック・アナライザ

ヤマハDante機器と他社AES67機器の接続ガイド

MX370108A/MX269908A LTE IQproducer 製品紹介

MX705010A Wi-SUN PHY 自動測定ソフトウェア 製品紹介

MIMOからMassive MIMOを用いた伝送技術とクロスレイヤ評価手法

ィングを使う設計にすることはあまりない これを使うと混雑なく使えるチャネル数が足りなく なるためである 関連記事 : 高速な チャネルボンディング はいいことだけなのか? こうした事情から 無線 LAN の通信が実測で 1Gbps を超えられるかどうかを試したことがあ る人は少ないのではないだろうか

No89 地上デジタル放送受信機(その1・概説)

Keysight Technologies 89601B/BN-BHQパルス解析 VSAソフトウェア

PSA PXA Technical Overview Agilent PXA より優れた性能 : より優れた機能 : より優れた柔軟性 : より優れた互換性 :

世界での接続機能を有するデバイス数の推移予測 様々な業界での IoT への注目 今後出現するアプリケーションやビジネスモデル 標準化やデバイス価格の低下などにより 接続デバイス数は増加すると予測 2022 年には合計 290 億のデバイスがネットワークに接続され そのうち 181 億以上は IoT

Microsoft PowerPoint - wireless-lan.pptx

卒業研究報告

Microsoft Word - Dolphin Expressによる10Gbpソケット通信.docx

資料2-3 要求条件案.doc

高速度スイッチングダイオード

<4D F736F F F696E74202D2091E FCD91BD8F6489BB82C691BD8F E835A83582E >

入門書 WiFi: の物理層とトランスミッタ測定 jp.tektronix.com/wifi

Microsoft PowerPoint - ①無線通信システム概要140409

Keysight Technologies フィールドにおけるRF/マイクロ波の干渉問題をリアルタイム・スペクトラム・アナライザ(RTSA)で解決する方法

Keysight Technologies 5G空間電波伝搬特性測定リファレンスソリューション

Keysight E6640A EXMワイヤレス・テスト・セット

Copyright 2003 アンリツ 株 式 会 社 許 可 なしに 転 載 複 製 することを 禁 じます

JAJP.indd

Keysight Measure Autumn 2018

WLC での n の設定

RF AgilentPXI RF/ RF/ 250 MHz 26.5 GHz Agilent M9392A Agilent Data Viewer Agilent VSA X-COM Spectro-X 2

Keysight Technologies 電源製品について知っておきたい10のヒント

Microsoft PowerPoint - PCIe_Seminar_LeCroyJapan.ppt

JapanCert 専門 IT 認証試験問題集提供者 1 年で無料進級することに提供する

もくじ 1. IEEE TGacにおける 標 準 化 動 向 a. IEEE TGacのscope b. TGacのこれまでの 作 業 進 捗 状 況 今 後 の 予 定 c. TGac Draft D2.0の 電 子 投 票 コメント 解 決 の 状 況 2. TGac D

はじめに RS-232 などのシリアル バスのデバッグでは RS-232 プロトコルでトリガできる機能を持つオシロスコープを使わないと非常に面倒です RS-232 などのシリアル バスをデバッグする従来の手法として 手動でビットをカウントするやり方があります しかし 目視で "1" と "0" をカ

Keysight Technologies CMOSイメージセンサのランダム・テレグラフ・ノイズ(RTN)評価

もくじ axの 的と展開領域 標準化スケジュール 先 市場の ち上がり 主要技術 規定 スループット改善効果 ( 例 ) ax 導 に関連する電波法規則 2

FortiAP-11ac_DS

Transcription:

Application er s Manual Note Keysight Insert the Title in this Space Keysight Technologies IEEE802.11ac 規格と RF 測定

02 Keysight IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note はじめに 1990 年 無線 LAN の統一規格を作成するためのワーキンググループである 802.11 が設立されてから 20 年以上が経ちました その間 IEEE802.11 は市場の要求に答えるべく 802.11a/b/g と新たな規格を作ってきました そして 実効速度 100MBps というさらなる高速化を実現し 新たに MIMO 技術を使用した規格 802.11n が 2009 年に策定され 現在広く用いられています しかしながら昨今では無線 LAN も単なるデータ通信用途だけではなく 音声や高画質映像のストリーミングなどリアルタイム性 の要求も高まり さらに高速な通信が必要となっています その要求に答えるべく 2013 年に 802.11n を拡張し 1GB/s のスループットを目指す 802.11ac 規格が策定予定です 本アプリケーション ノートでは IEEE802.11ac の規格と RF 測定について説明します 本アプリケーションでは www.ieee802.org から最新の 802.11ac ドラフト仕様 IEEE P802.11ac /D3.1 を参照しています 内容 はじめに... 2 1. 無線 LAN 各規格の位置付け... 3 2.802.11ac の使用周波数... 4 3.802.11n 技術との違い... 4 4. パケットフォーマットとサブキャリア配置... 5 5.MCS Index... 7 6.Multi User MIMO... 8 7.RF テスト項目... 9 8. まとめ... 10 付録 A Keysight 関連製品... 11 付録 B 関連文献... 13

03 Keysight IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note 1. 無線 LAN 各規格の位置付け 802.11ac の説明に進む前に 現在使用されている IEEE802.11 各規格の概要を表 1 にまとめます 802.11b 以外の規格で OFDM が用いられています 802.11n は 802.11a/g の拡張 802.11ac は 802.11n の拡張規格と言えます 周波数は 2.4GHz 帯と 5GHz 帯が用いられています 表 1 無線 LAN 各規格のまとめ 規格周波数帯域幅変調方式最大データレート 802.11b 2400~2483.5MHz(ch1~13) 2471~2497MHz(ch14) 26MHz 以下 802.11g 2400~2483.5MHz(ch1~13) 26MHz(CCK) 18MHz(OFDM) 802.11a 5150~5250MHz 5250~5350MHz 5470~5725MHz 802.11n 2400~2483.5MHz(ch1~13) 5150~5250MHz 5250~5350MHz 5470~5725MHz 802.11ac 5150~5250MHz 5250~5350MHz 5470~5725MHz DSSS/CCK ( スペクトラム拡散 ) DSSS/CCK OFDM 11Mbps 11Mbps 54Mbps 18MHz 以下 OFDM 54Mbps 18MHz 以下 38MHz 以下 18MHz 以下 38MHz 以下 80MHz 以下 1 160MHz 以下 1 OFDM OFDM 600Mbps ( 実効レート 100Mbps~) 6.93Gbps ( スループット 1Gbps ~ ) 1 規格策定前のためチャネル幅を記載

04 Keysight IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note 2.802.11ac の使用周波数 802.11ac は 802.11a や 802.11n が使用している 5GHz 帯域を使用します なお 5GHz 帯の中で 5.2GHz 帯 5.3GHz 帯は屋内専用 5.6GHz 帯は屋外利用可能となっています また 5.3GHz 帯 5.6GHz 帯は 気象レーダが使われている帯域のため レーダを探知したチャネルは一定期間使用することができません 802.11ac は 802.11n と同様の 20MHz, 40MHz のチャネルに加えて 80MHz, 160MHz のチャネルを使用することが可能です さらに連続した 160MHz 帯が確保できない場合においても 160MHz 伝送と同等の伝送速度を実現する 80+80 MHz noncontiguous mode が定義されています 設定可能な 80+80MHz non-contiguous チャネル配置を含む日本における具体的な周波数割り当てを図 1 に示します なお 国内では 2012 年 12 月現在 法制度化がされていないため 80MHz 160MHz のチャネルは使用することができません 図 1 日本における周波数割り当て ( 図中数字はチャネル番号 ) 3.802.11n 技術との違い 802.11ac の物理層は 802.11n 規格の拡張であり 下位互換性があります 表 2 は 802.11n の主な仕様 表 3 はどのように 802.11ac が拡張しているかが示されています 802.11n の理論的な最大データレートは 40MHz 帯域 4 ストリームを使用した時の 600MB/s となります ただし多くのコンシューマ デバイスは 2 ストリームに限られています この場合最大のデータレートは 300MB/s です 802.11ac の理論的な最大データレートは 6.93Gb/s です これは 160MHz 帯域 8 ストリーム 256QAM を用いた MCS9 ショート ガード インターバルを使ったときの値です コンシューマ デバイスのより現実的な最大データレートの例として 80MHz 4 ストリーム MCS9 ノーマル ガード インターバルを用いたと場合 1.56GB/s となります 表 2 802.11n の主要な仕様 特性必須オプション 伝送方式 チャネル帯域 20 MHz 40 MHz OFDM FFT サイズ 64 128 サブキャリア数 / パイロット 52 / 4 108 / 6 サブキャリア間隔 312.5 khz OFDM シンボル間隔 4 us 3.6 us + ショート ガード インターバル 変調方式 BPSK, QPSK, 16QAM, 64QAM 前方誤り訂正 Binary convolutional coding (BCC) Low density parity check (LDPC) コーディング レート 1/2, 2/3, 3/4, 5/6 MCS 対応 0 to 7, 0 to 15 for access points 8 to 76, 16 to 76 for APs MIMO ストリーム数 オペレーティングモード / PPDU フォーマット 1, 2 for access points direct mapping Legacy/non-HT (802.11a/b/g) Mixed/HT-mixed (802.11a/b/g/n) 3 or 4 streams Tx beamforming, STBC Greenfield/HT-Greenfield (802.11n only)

05 Keysight IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note 表 3 802.11ac の主要な仕様 特性必須オプション チャネル帯域 20 MHz, 40 MHz, 80 MHz 160 MHz, 80+80 MHz FFT サイズ 64, 128, 256 512 サブキャリア数 / パイロット 52 / 4, 108 / 6, 234 / 8 468 / 16 変調方式 BPSK, QPSK, 16QAM, 64QAM 256QAM MCS 対応 0 to 7 8 and 9 MIMO ストリーム数 1 2 to 8 Tx beamforming, STBC Multi-user MIMO (MU-MIMO) オペレーション モード / PPDU フォーマット Very high throughput / VHT 4. パケットフォーマットとサブキャリア配置フレーム構造内のプリアンブルとトレーニング フィールドにより受信機は物理層の規格を自動で認識します 802.11n と 802.11ac のプリアンブルフォーマットを図 2 に示します Legacy (non-ht, non-vht) STF, LTF, や SIG は下位互換性を保つために送信されます VHT プリアンブルを詳細に見ていくと まず 20MHz よりも広い帯域では Legacy フィールドはそれぞれの 20MHz サブバンドに適切な位相回転をして複製されています サブキャリアは Peakto-average Power ratio(papr) を減らすために 90 度または 180 度回転されます VHT 伝送であることを示すため そして自動識別可能にするための VHT-SIG-A の 1 番目のシンボルは BPSK となり 2 番目の VHT-SIG-A シンボルは 90 度位相が回転している BPSK(QBPSK) となります 802.11n の HT-SIG はどちらのシンボルも QBPSK 変調を用いているので VHT-SIG と HT-SIG は異なっています VHT-SIG-A フィールドは VHG パケットの情報 すなわち帯域 ストリーム数 ガード インターバル コーディング MCS ビーム フォーミングが要求されます プリアンブル中の残りのフィールドは VHT デバイスのみに対して使用されます VHT-STF は MIMO における自動ゲイン コントロールの推定に使われます 次に受信機が送信と受信のアンテナ間 の MIMO チャネルを推測するためのロング トレイニング シーケンスがあります VHT-LTF の数はスペース タイム ストリームの数に依ります 1, 2, 4 の VHT-LTF のマッピングは 802.11n と同じです 6 もしくは 8 の VHT-LTF が追加されています VHT-SIG-B フィールドはシングルもしくはマルチユーザモードにおけるデータ長と MCS を記述しています 次にサブキャリア配置について見ていきます 20MHz 40MHz チャネルではサブキャリア数とパイロットは 802.11n と同じです 80MHz チャネルに新規の値が定義されています 図 3 図 4 にキャリア配置を示します 160MHz と 80+80MHz チャネルは 2 つの 80MHz と同様に定義されます まず プリアンブル部分ですが 80MHz の帯域幅では 40MHz の帯域幅のサブキャリア配置を 2 つならべ 160MHz の帯域幅では 80MHz の帯域幅のサブキャリア配置を 2 つならべています 一方 データ部分のサブキャリア配置は 80MHz の帯域幅では 242 本 160MHz の帯域幅では 484 本のサブキャリア数となっています 図 2 802.11n/ac のプリアンブルフォーマット

06 Keysight IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note 図 3 キャリア配置 - プリアンブル 図 4 キャリア配置 プリアンブル ( 左 ), データ ( 右 )

07 Keysight IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note 5.MCS Index MCS 番号は 802.11n と番号の付け方が変わりました 802.11n では 0~76 までの番号ですべての状態を表していましたが 802.11ac では各帯域幅 ストリームの数において 0~9 までの MCS 番号を使用し 変調方式 符号化率 GI 時間 データレートの状態を表す形に変更されました 表 4 は 20MHz の帯域で 1 ストリームの時の状態になります Mandatory となっていますが MCS8, 9 は全条件で Optional です 表 5 は最大の帯域幅である 160MHz 最大のストリーム数である 8 ストリーム時の状態になります MCS9 の時 最大の転送レート 6933.3Mbps が実現されます 表 4 VHT MCSs for mandatory 20MHz, NSS = 1 (MCS 8, 9 は Option) MCS Index Modulation R NBPSCS NSD NSP NCBPS NDBPS NES Data Rate(Mb/s) 800ns GI 0 BPSK 1/2 1 52 4 52 26 1 6.5 7.2 1 QPSK 1/2 2 52 4 104 52 1 13.0 14.4 2 QPSK 3/4 2 52 4 104 78 1 19.5 21.7 3 16-QAM 1/2 4 52 4 208 104 1 26.0 28.9 4 16-QAM 3/4 4 52 4 208 156 1 39.0 43.3 5 64-QAM 2/3 6 52 4 312 208 1 52.0 57.8 6 64-QAM 3/4 6 52 4 312 234 1 58.5 65.0 7 64-QAM 5/6 6 52 4 312 260 1 65.0 72.2 8 2 256-QAM 3/4 8 52 4 416 312 1 78.0 86.7 9 Note: MCS9 is invalid due to mod (NCBPS/NES, DR) not being equal to 0. R Coding Rate, NBPSCS Bits/Subcarrier (per Spatial Stream), NSD Modulated Data Symbols, NSP Pilot Symbols, NCBPS Coded Bits/Symbol, NDBPS Data Bits / Symbol, NES Data Field BCC Encoders 400ns GI 表 5 VHT MCSs for optional 160 MHz, NSS = 8 MCS Index Modulation R NBPSCS NSD NSP NCBPS NDBPS NES Data Rate(Mb/s) 800ns GI 0 BPSK 1/2 1 468 16 3744 1872 1 468.0 520.0 1 QPSK 1/2 2 468 16 7488 3744 2 936.0 1040.0 2 QPSK 3/4 2 468 16 7488 5616 3 1404.0 1560.0 3 16-QAM 1/2 4 468 16 14976 7488 4 1872.0 2080.0 4 16-QAM 3/4 4 468 16 14976 11232 6 NA 36120.0 5 6 64-QAM 3/4 6 468 16 22464 16848 8 4212.0 4680.0 7 64-QAM 5/6 6 468 16 22464 18720 9 4680.0 5200.0 8 9 256-QAM 5/6 8 468 16 29952 24960 12 6240.0 6933.3 Note: MCS9 is invalid due to mod (NCBPS/NES, DR) not being equal to 0. 400ns GI 2 MCS 8,9 はオプションです

08 Keysight IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note 6.Multi User MIMO 従来の WLAN 規格ではアクセスポイントとデバイス間は 1 ストリームのみです MIMO 伝送が 802.11n から取り入られることにより 2 つ以上の完全に分離した伝送 受信チェーンで通信することが可能になりました 802.11n に用いられている MIMO の目的は単一ユーザのデータレートを上げることです ここでいう MIMO すなわち Multi Input Multi Output の Input と Output は RF コンポネンツを含む送信機と受信機の伝達経路 いわゆる チャネル に対する入出力です 2 つの送信機を持ったアクセスポイントから 2 つのチャネルに入力がある場合 MI と表し 逆に 2 つの受信機を持つデバイスに対してチャネルから 2 つの出力がある場合 MO と表します Single Input Single Output (SISO) は多くシステムにおける標準的な伝送モードです より複雑なシステムの容量や測定されるデータレートは SISO と比較して表されます Single Input Multiple Output は受信ダイバーシティと呼ばれます 一つの送信機から単一のデータストリームが 2 つの受信機に送られます S/N が悪い場合の受信データの品質の向上が目的です エラー率や再送の減少によるデータレートの向上が期待できますがデータ容量は変わりません Multiple Input Single Output は送信ダイバーシティ技術です 送信機が同じデータを違うタイミングで送る Space Time Block Coding が信号のロバストネスを向上するために使われます 左図にあるように独立したデータを 2 つの送信機と 2 つの受信機で送受する Multiple Input Multiple Output は Spatial Multiplexing とも知られています それぞれの受信機は送信機からの出力の合成であるチャネルの出力を見ます チャネル推定技術を使って受信機は 2 つのデータストリームを分け データを復調するために行列式を用います ストリーム間で最大の相関除去ができる理想的な状態であればデータ容量は 2 倍になりますが実際にはシステムには必ずノイズが乗ります S/N が良くかつアンテナ間の相関が低いほど理論値に近づきます 現在の 802.11n のコンシューマ デバイスは MIMO をサポートしていても 2 つの Spatial Stream のみサポートしている製品が多くを占めています 最大ストリーム数が 8 の 802.11ac でも当面は 2~4 ストリーム程度となるのではないかと言われています 802.11ac に取り入られた新しい技術として Multi-user MIMO (MU-MIMO) があります MU-MIMO は個々のデバイスのデータレートは変えずに効率的にネットワーク全体のスループットを向上します 802.11n で採用しているシングルユーザ MIMO 技術は 1 対 1 の通信ですのでアクセスポイントと 1 つのデバイスが通信している間 他のデバイスは通信できません またアクセスポイントが MIMO 機能を持っていたとしても端末側が SISO であれば SISO 通信をすることになるためこの点からもシステムの効率は良くありません 一方 MU-MIMO はアクセスポイントが持っている MIMO のストリームを各端末デバイスに割り当て 各デバイスと同時通信が可能になりますのでシステム効率が上がります 802.11ac の MU-MIMO は最大 4 ユーザ 1 ユーザにつき最大 4 ストリーム 1 システムあたり最大 8 ストリームまでの使用が可能です 図 5 伝送モード

09 Keysight IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note 7.RF テスト項目 802.11ac の送信 受信テストを表 4 に示します 802.11n と似ていますが 802.11ac で加わった規格をカバーするべくいくつか新たな定義と仕様が追加されています ここでは 802.11ac ドラフト仕様 (Draft 3.1) から送信系の仕様 22.3.19 と受信系の仕 様 22.3.20 を引用しています 80 160MHz のスペクトラル マスク試験は 100kHz の RBW, 30kHz の VBW で測定される 40MHz のマスクの拡張です 80+80MHz ではマスクは離れた周波数における 80MHz マスクの和になります ( 図 6) 表 6 テスト項目 送信系試験 Transmit Spectrum Mask Spectral Flatness Transmit center frequency and symbol clock frequency tolerance Modulation Accuracy Transmit center frequency leakage Transmitter constellation error and Transmitter modulation accuracy(evm) 受信系試験 Receiver Minimum input level sensitivity Adjacent channel rejection Nonadjacent channel rejection Receiver maximum input level Clear channel assessment(cca) sensitivity RSSI 図 1 中心周波数が 160Mhz 離れている場合の 80+80MHz モードのスペクトラル マスク ( 出典元 :IEEE P802.11ac /D3.1) 表 7 は 802.11n と 802.11ac のスペクトラル フラットネスの仕様です 802.11ac Draft 3.1 で記載されているリミットは 802.11n-2009 で定められている 802.11n のリミットに対して 2dB 緩和されています ちなみに 802.11-2012 では 802.11n の 5GHz 帯の仕様が 802.11ac と同じ値に変更されました (2.4GHz 帯では 802.11n-2009 から変更はありません ) 表 8 は 802.11n と 802.11ac の Relative Constellation Error (RCE) (= EVM) の仕様です 256QAM が追加されコーディング レート 5/6 のときに最も厳しい -32dB となります また 802.11n の 5GHz 帯における 64QAM, コーディング レート 5/6 時の EVM 仕様は 802.11n-2009 では -28dB, 802.11-2012 では -27dB に変更になっています こちらも 802.11ac に合わせる形となっています

10 Keysight IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note 表 7 スペクトラル フラットネスの仕様 帯域 (MHz) 20-16 ~-1 +1 ~+16 40-42 ~-2 +2 ~+42 80-84 ~-2 +2 ~+84 160-250 ~-6 +6 ~+250 40 Non-HT Duplicate 80 Non-HT Duplicate 平均パワーを算出するためのサブキャリア -42 ~-33, -31 ~-6, +6 ~+31, +33 ~+42-84 ~-70, -58~ -33, -31 ~-6, +6 ~+31, +33 ~+58, +70 ~+84 テストするサブキャリアインデックス -16 ~-1,+1 ~+16-28 ~-17, +17 ~+28-42 ~-2, +2 ~+42-43 ~-58, +43 ~+58-84 ~-2, +2 ~+84-122 ~-85, +85 ~+122 802.11n 最大偏差 (db) IEE802.11n-2009 +/- 2 +2 / -4 +/- 2 +2 / -4 802.11ac 最大偏差 (db) +/- 4 +4 / -6 +/- 4 +4 / -6 +/- 4 +4 / -6-250 ~-6, +6 ~+250 +4 / -6-42 ~-33, -31 ~-6, +6 ~+31, +33 ~+42-43 ~-58, +43~+58-84 ~ -70, -58 ~-33, -31 ~-6, +6 ~+31, +33 ~+58, +70 ~+84-122 ~-97, -95 ~-85, +85 ~+95, +97 ~+122 +/- 2 +2 / -4 +/- 4 +4 / -6 +/- 4 +4 / -6 表 8 Transmitter Relative Constellation Error (RCE) (=EVM) Modulation Coding Rate 802.11n RCE(dB) 802.11n-2009 BPSK 1/2-5 -5 QPSK 1/2-10 -10 QPSK 3/4-13 -13 16QAM 1/2-16 -16 16QAM 3/4-19 -19 64QAM 2/3-22 -22 64QAM 3/4-25 -25 64QAM 5/6-28 -27 256QAM 3/4 N/A -30 256QAM 5/6 N/A -32 8. まとめ 802.11ac は 1GB/s を達成するため 80MHz, 160MHz の広帯域の追加 256QAM 変調の追加 MU-MIMO の採用といった技術が採用されています しかしながらこのような複雑な仕様を採用することにより開発には 802.11n に比べ厳しいチャレンジが必要であると言えるでしょう キーサイト テクノロジーでは 802.11ac の 160MHz 帯域 MIMO に対応した 送信 受信測定ソリューションをご提供することが可能です 802.11ac RCE (db)

11 Keysight IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note 付録 A Keysight 関連製品 信号生成ソリューション Signal Studio は basic 802.11ac option (GFP) と advanced 802.11ac option (TFP) の 2 つのオプションがあります 使用する信号が限定的である部品テストには GFP 受信機の感度測定などのテストには TFP が推奨です 主な特長 : BCC または LDPC チャネルコーディングを含む 802.11ac 信号の生成 全ての変調とコーディング レート (MCS 0-9) に対応 1 台の信号発生器で 20, 40, 80, 160MHz 帯域までの信号生成に対応 ( 最大帯域はハードウェアに依存 ) RF コンバイナと 2 つの信号発生器を使うことにより 80+80MHz 信号の生成可能 柔軟な Spatial Stream 構成によりシングルまたは 4 ストリーム アンテナまでのマルチ ユーザ MIMO(MU-MIMO) に対応 信号発生器 N5172B, N5182A/B, E4438C, E8267D と N5106B PXB ベースバンド ジェネレータ + チャネル エミュレータ (E8267D は MIMO 未対応 ) に対応 N7617B Signal Studio for WLAN 802.11a/b/g/n/ac N5182B MXG Vector Signal Generator1 主な特長 : 9 khz ~ 6 GHz 内蔵ベースバンド ジェネレータで 160 MHz までの RF 変調帯域 1GSa ベースバンド メモリ搭載 外部 I/Q 入力で 200 MHz バンド幅 ビルトイン I/Q スキューとチャネルコレクション機能で EVM 性能の改善 複数の EXG のベースバンド ジェネレータをシンプルに同期させ MIMO に対応 オプション 012 により MIMO のための位相同期を実現 N5172B EXG Vector Signal Generator1 主な特長 : 9 khz ~ 6 GHz 内蔵ベースバンド ジェネレータで 120 MHz までの RF 変調帯域 512 MSa ベースバンド メモリ搭載 外部 I/Q 入力で 200 MHz バンド幅 ビルトイン I/Q スキューとチャネルコレクション機能で EVM 性能の改善 複数の EXG のベースバンド ジェネレータをシンプルに同期させ MIMO に対応 オプション 012 により MIMO のための位相同期を実現

12 Keysight IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note 信号解析ソリューション 89600 Vector Signal Analysis Software Option BHJ 802.11ac 変調解析ソフトウェア 主な特長 : 全ての帯域と変調方式に対応 自動またはマニュアル検出による 4Spatial stream に対応 EVM, OFDM エラー IQ パラメータ シングルチャネルとクロスチャネルパワー測定に対応 ストリームごとの EVM チャネル周波数応答 チャネル マトリックス Condition Number を含む MIMO 測定に対応 OFDM データ バースト情報と VHT-SIG 情報の表示 様々なハードウェアの構成に対応しているので性能 帯域 チャネル数の要求に柔軟に対応できます シグナルアナライザ 80000 90000 シリーズオシロスコープ PXI モジュールなどに対応しています 対応ハードウェアについて詳しくは Technical Overview 5990-6389EN をご確認ください 主な特長 : 全ての 802.11a/b/g/n/ac 規格に対応 ワンボタンで IEEE 規格 送信項目の Pass/Fail 測定が可能 PXA などの X-series シグナルアナライザの内部で駆動 容易に自動測定プログラムの構築が可能 N9077A WLAN 802.11ac Measurements Application 主な特長 : 2Hz 最大 50GHz 最大 160MHz 帯域 89600VSA と同様 25 の内蔵測定アプリケーションに対応 表示平均雑音レベル -172dBm/Hz 残留 EVM 0.4%( 実測値 ) N9030A PXA Signal Analyzer 主な特長 : 10 MHz ~ 26.5 GHz 4 チャネルの位相同期可能なダウンコンバータを使用 最大 2GSa/s 12 bit レンジのデジタイザを使用 89600VSA と使用すること 最大 800 MHz 帯域 1 シャーシで最大 4 チャネル搭載可能 Wideband MIMO PXI Signal Analyzers

13 Keysight IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note 付録 B 関連文献 IEEE P802.11ac/D3.1 Testing New-generation Wireless LAN Application Note, 5990-8856EN N7617B Signal Studio for WLAN 802.11a/b/g/n/ac Technical Overview, 5990-9008EN 89601B/BN-B7R, 89601B/BN-B7R, 89601B/BN-B7Z WLAN Modulation Analysis VSA Software Technical Overview, 5990-6389EN MXG/EXG X シリーズ標準信号源, 5990-9957JAJP N9077A & W9077A WLAN X-series Measurement Application Technical Overview, 5990-9642EN Testing Very High Throughput 802.11ac Signals Application Note, 5990-9987EN 次世代 802.11ac 無線 LAN トランスミッタのデザイン検証, 5990-9872JAJP MIMO の基礎と MIMO 受信機の性能試験, 5991-0671JAJP MIMO 無線 LAN 物理層の測定, 5989-3443JAJP

キーサイト テクノロジー合同会社本社 192-8550 東京都八王子市高倉町 9-1 計測お客様窓口受付時間 9:00-18:00( 土 日 祭日を除く ) TEL 0120-421-345 (042-656-7832) FAX 0120-421-678 (042-656-7840) Email contact_japan@keysight.com ホームページ www.keysight.co.jp 記載事項は変更になる場合があります ご発注の際はご確認ください Keysight Technologies. 2015 Published in Japan, August 13,2015 5991-1012JAJP 0000-08A www.keysight.co.jp