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1 1 アカデミッククラウド実現にむけた クラウド支援サービス 合田憲人, 山地一禎, 中村素典, 横山重俊, 吉岡信和, 政谷好伸 ( 国立情報学研究所 ), 西村浩二 ( 広島大学 ), 棟朝雅晴 ( 北海道大学 )

2 将来の研究教育環境 2 n 研究 教育に必要なツールやコンテンツがクラウドに n 欧米ではクラウドを利活用した最先端研究教育環境の整備が進行中 商用クラウドサービス 研究データ Open Access 国際共同研究 学術クラウドサービス 研究環境 HPC ビックデータ NII クラウドサービス 学術クラウドサービス 教育環境 CiNii 学術クラウドサービス 教材 MOOCs 商用クラウドサービス 研究者 教員 学生

3 Internet2 NET+ n パブリッククラウドサービスを調達して Internet2 参加組織 ( 大学等 ) に対して提供 Ø 49 のクラウド事業者が参加 ( うち 2 2 事業者が正式にサービスを提供 ) n 独自のサービス検証 n サービス事業者との契約も NET + が実施 n シングルサインオン (InCommon) NET+ の提供サービス例 IaaS 認証 ビデオ会議 e- learning クラウドストレージ 暗号化 インターネット TV 電話 ファイル転送 CMS 事業者数 3

4 クラウド連携 4 n NeCTAR Research Cloud Ø オーストラリア国内の 8 拠点の計算資源を結び, 学術機関向けに IaaS サービス (30000 コア ) を提供 n MIT, Univ. Texas, Notre Dame Univ. Ø 学内の計算資源と商用クラウド (Rackspace) を Internet2 の高速回線で結び, ハイブリッドクラウドを構築する計画を進行中 Ø HPC,Big Data 解析への利用 n CERN Ø CERN の計算資源と商用クラウド (Rackspace) からなるハイブリッドクラウドを構築する計画を進行中 Ø LHC 実験データの解析 big-bang -hybrid-cloud/

5 クラウド利活用促進に向けて 5 n 大学等 ( 研究機関含む ) における IT 資源への経済的負担が増大する一方で, オンライン教育やビッグデータ利活用のための新たな IT 資源需要が増大 n クラウドは有効な解決策であるが, 課題山積 Ø クラウドの構築 運用の技術的ハードルが高い. ü 全ての大学がクラウドを持てるわけではない. Ø パブリッククラウドの事業者選択が難しい. ü 通信速度, 安全性, 費用 ü クラウドサービスや事業者に対する選択基準がない. 文科省委託事業 コミュニティで紡ぐ次世代大学 ICT 環境としてのアカデミッククラウド 日本学術会議 我が国の学術情報基盤のあり方について ( 提言 ) クラウドを利活用した最先端の研究教育環境実現のための取り組みが必要

6 講演内容 6 n 目的最先端の研究教育環境を実現することを目的としたクラウド利活用促進策 ( 基盤サービス案 ) の紹介 議論 n 構成 1. SINET4とクラウド 2. クラウドゲートウェイ 3. インタークラウド 4. まとめ

7 7 SINET4 とクラウド

8 クラウド DC 接続 8 u クラウドサービスプロバイダ (DC) を SINET に直結する枠組みを整備 u 高性能 高セキュア 低コストなクラウドサービスの提供を推進 クラウドサービスプロバイダ (DC) DC サービス提供機関状態 札幌さくらインターネット ( 株 ) 利用可 札幌東日本電信電話 ( 株 ) 利用可 直結 東京伊藤忠テクノソリューションズ ( 株 ) 東京 NTT コミュニケーションズ ( 株 ) 利用可 利用可 東京 ( 株 ) データホテル 利用可 東京富士通 ( 株 ) 利用可 東京 UQ コミュニケーションズ ( 株 ) 東京アマゾンデータサービスジャパン ( 株 ) 利用可 利用可 779 機関 大阪 ( 株 ) インターネットイニシアティブ 大阪福岡 NTT スマートコネクト ( 株 ) 利用可 利用可 大学 A 大学 B 福岡 ( 株 )NTT データ九州 利用可

9 JAIRO Cloud 9 u JAIRO Cloud = NII が開発 提供する機関リポジトリのクラウドサービス 独自で機関リポジトリの構築 運用が難しい大学等に対して, 研究成果の収集 保存 発信を容易にする仕組みを提供 機関リポジトリとは, 大学 研究機関等で生み出されたさまざまな知的生産物 ( 論文, 実験データ, 教材等 ) を集約 蓄積 保存し, 発信するためのインターネット上の電子書庫 NII のクラウド上に機関ごとのサイトを構築. 利用機関はコンテンツ管理をするだけ 大学は JAIRO Cloud を利用して機関リポジトリを構築 研究者は JAIRO Cloud に研究成果 ( 雑誌論文, 学位論文等 ) を搭載 A 大学 JAIRO Cloud により 大学でのシステム運用負荷の軽減により機関リポジトリ数の拡大 必要な機能を備えたシステムをクラウド上で提供することで全体の効率化 学術情報のオープンアクセスを推進 大学の研究成果をオープンアクセスで公開 NII は機関リポジトリのソフトウェアを NII のクラウドに構築 提供 日本の機関リポジトリ数 2 10 JAIRO Cloud で公開予定 JAIRO Cloud 利用 独自構築 C 大学 運用機関 (NII) B 共同利用機関 機関リポジトリで本文閲覧可能なコンテンツ数は 120 万件突破

10 11 クラウドゲートウェイ

11 クラウドゲートウェイ ( 仮称 ) n 大学等向けクラウドサービスの収集 提供 Ø 大学等が利用するクラウドサービスに関する選択基準の策定 Ø 選択基準に基づくクラウドサービスの仕様調査 分類 n クラウドサービスの共同調達 n クラウドサービスを利用するためのポータル整備 12 日本版 NET+ 事務 パブリッククラウドサービス ( 商用 ) 事務 オンライン講義 オンライン教育 学習管理 ファイル共有 IaaS 計算機 ストレージ 学術クラウドサービス ( 大学等 ) 学術情報検索ファイル共有,IaaS 学術情報検索 データベース 計算機 ストレージ 共同調達によるボリュームディスカウントにより, 大学等のクラウド経費を削減 共同調達 仕様調査 分類 ユーザ毎にカスタマイズされたポータル 大学等が利用するクラウドの仕様調査 分類により, 大学等の仕様策定コストを軽減 クラウドゲートウェイ ポータル 大学等 大学等大学等大学等

12 日本版 NET+ の方法論 13 大学 / ベンダー / 事務局の協働で, サービス分野ごとに, クラウドサービス選択基準 チェックリストを作成します. 日本版 NET+ に提案したい商品をお持ちのベンダーは, チェックリストでの確認結果とあわせて, 事務局に商品をご提案いただきます. 事務局ではサービスごとに提案をとりまとめ, チェック結果一覧のリストを作成, メンバー大学に公開します. 各大学は自学のニーズに合わせて商品を選択. 契約は各大学とベンダーが個別に行います. 日本版 NET+ で取り扱われるクラウドサービスを利用する際は, 学認による認証を必須とします.

13 サービス選択基準 チェックリスト 14 n クラウドサービス利用ガイドラインチェックリスト ( 広島大学 ) をベースに作成 Ø n 大学図書館コンソーシアム連合 JUSTICE 標準提案書 を参考に, 契約関係の事項を補足 Ø n 基本となるチェックリストを 1 本作成 Ø サービス分野ごとに特有の評価項目を補い, バリエーションを作成していくことを視野に

14 チェックリスト構成 ( 案 ) 15 項目 詳細項目 商品 / サービスの概要 製品概要, ライセンス体系,... 参加条件 成立条件 契約機関数,... 契約申込み 契約期間, 契約書言語, 支払通貨,... 一般的事項 学認対応状況,... 信頼性 サービス稼働率, データ保証率,... ネットワーク 通信機能 SINET 接続状況,VPN 利用, 通信暗号化,... 管理ツールの提供 負荷分散, フェイルオーバ,API, 互換性,... 動作保証 動作保証済アプリ,... スケーリング ネットワーク帯域, レスポンス時間, リソース追加単位,... データセンター 防犯, 防災, 入退室管理,... クラウド事業者の信頼性 第三者認証, 国内法人 / 代理店有無 契約条件 準拠法, 管轄裁判所,... データの取り扱い データ所有権, 契約終了時の取り扱い,... セキュリティ セキュリティ対策, インシデント対応,... データ管理 多重化, アクセス制限, 暗号化, ログ,... バックアップ バックアップ方法, バックアップデータのセキュリティ,...

15 サービス選択基準のイメージ ( クラウドストレージ ) 16 研究データのバックアップ長期保存 ( データの耐久性, 価格重視 ) Ø データの高耐久性に関する SLA Ø アクセス頻度小 Ø 低価格 サービス SLA データ多重化 暗号化 データアクセス 国内 DC 利用 準拠法 A 社サービス稼働率 =99.9% 有有即時無米国法 B 社サービス 1 B 社サービス 2 サービス稼働率 =99.95% データ耐久性 = % サービス稼働率 =99.95% データ耐久性 = % 料金 (100GB 月額 ) 600 円 (30GB まで無料 ) 有有即時有米国法 330 円 有 有 3-5 時間待ち 有米国法 114 円 C 社サービス稼働率 =99.95% 有有即時有米国法 900 円 D 社サービス稼働率 =99.99% 有有即時有日本法 1,100 円 E 社サービス稼働率 =99.9% 有無即時無日本法 799 円 (7GB まで無料 ) 学務データ ( 個人情報含む ) の保存 ( データの安全性重視 ) Ø データ暗号化 Ø 国内 DC かつ日本法準拠事業者

16 日本版 NET+ の目指すもの セキュリティ 学認によるセキュアな認証 セキュリティをチェックリストで確認 カスタマイズ 大学のニーズに基づいたラインナップ 自分の大学にぴったりの商品を選べる コスト ワンストップで商品情報を収集 比較 アカデミック価格で購入可能

17 日本版 NET+ を実現するために 18 ケーススタディ 大学 / 企業からのヒアリング チェックリスト試作版 (1~2 分野 ) 実証実験 チェックリスト拡充 (5~6 分野 ) シミュレーションの実施 サービス試行 実際の調達で使っていただく n より多くの大学 企業からの 生の声 が不可欠 Ø 実際の商品選択 契約手続きに役立つチェックリストづくり Ø どのような情報が提供可能か, 企業へのヒアリングも継続 n 大学との協働による, 取扱サービスの拡大 Ø 商品ラインナップにリアルなニーズを反映 Ø チェックリストのバリエーション増加のため, ご協力ください

18 ポータルシステム 19 n 基本機能 Ø 大学向けクラウドサービスメニューを 提供 ü クラウドサービスの選択基準に 基づく仕様調査 分類結果 Ø 認証 アクセス管理 ü 学認による認証 ü Gakunin map によるアクセス管理 Ø UI 画面管理 ü 属性 ( ユーザ, グループ ) に基づくカスタマイズ n 先進機能 ( 将来的に検討 ) Ø クラウドサービスの検索 推薦 Ø 課金 契約管理

19 GakuNin map のアーキテクチャ 20 サービス P ismemberof: SID-P, GID-4 SP P サービス Q SP Q SP コネクタ SP 管理者 SP コネクタ GakuNin map グループ管理者 グループ 4 グループ 1 グループ 2 グループ 3 大学 A IdP A SP への アクセス IdP B 大学 B 大学 C IdP C 西村他, 個人属性と集合属性が共存する認証認可モデル, 信学会 IA 研究会,2014 年 9 月 12 日, 東工大

20 21 インタークラウド

21 インタークラウド ( 仮称 ) 22 n 全国規模の高性能ネットワークと計算資源を一体的に利用する基盤を提供 Ø 学内やクラウドの計算資源をオンデマンドに仮想ネットワークで結び, 高速かつ安全な通信を実現 Ø 計算資源へのソフトウェアデプロイ 設定をオンデマンドに実施 複数のクラウド事業者の計算資源と学内計算資源をハイブリッドに活用 学外の ( 複数 ) クラウドをより安全 高速に利用 複数の大学や事業者のクラウド ( オンプレも含む ) を効率的に相互利用 大学間の共同研究 教育の加速 クラウド事業者クラウド事業者クラウド事業者 クラウド事業者 大学 大学 大学 研究所

22 インタークラウド実現方法 23 n ネットワーク Ø 高速化 Ø 仮想ネットワーク (SDN) n 認証連携 学認 (NII), n クラウド間連携方式 Ø HaaS( 物理計算機 ) レベルの連携 dodai(nii), Ø PaaS/IaaS( 仮想計算機 + ソフトウェア環境 ) レベルの連携 n 管理ツール Ø 仮想ネットワーク 資源管理 Ø マーケットプレイス / ブローカ 分散クラウドシステムにおける遠隔連携技術 ( 北大 ),JHPCN,

23 クラウド化を支えるネットワークの高速化 24 u 大学 IT 資源のクラウド化拡大により, これまでの学内通信が SINET 上に展開 ü 大学 SINET 間接続は 10Gbps 以上が主流に ü SINET クラウド DC 間接続の増強 ü SINET バックボーンの増強 (100Gbps, 将来的には 400Gbps 1Tbps) 現在 次期 SINET 時代 クラウド DC どんどん高速に 100~500Gbps 1~10Gbps 34% 100~500Mbps 55% SINET ~100Mbps 5% 10Gbps~ 22% 1~10Gbps 63% 100~500Mbps 14% 大学 LAN 化 SINET 大学 LAN 10~100Gbps 回線速度は学術情報基盤実態調査 ( 平成 25 年度 ) の学内 LAN 及び対外接続速度より

24 クラウド化を支えるネットワークの安全性確保 25 u 大学とクラウド DC 群を結合した仮想大学 LAN を柔軟に構成して各種 ICT 機能を提供 u 学認を用いたセキュアな認証機構を提供 HPC, 学術クラウド, 商用クラウド 学内基幹システム 研究教育システム その他 NII サービス 認証, Web, メール, VPN, ルータ等 コンピュート, ストレージ, 処理ソフト等 学務システム, TV システム等 コンテンツ, 教育, 仮想 NW 等 学認 ( クラウドに安全にシングルサインオン ) SINET 仮想大学 LAN ( 各大学が自由かつオンデマンドに設定 ) 学内 LAN

25 クラウド群連成基盤 26 n クラウド群連成基盤が, ユーザからの要求 ( 拠点, 資源量, ネットワーク性能 ) に応じて, インタークラウド環境をオンデマンドに作成 n クラウド群連成基盤をクラウドゲートウェイ上にサービスとして提供 パブリッククラウドサービス 学術クラウドサービス ( 大学等 ) データベース コンテナ 計算機 ストレージ コンテナ 計算機 ストレージ コンテナ データベース コンテナ 計算機 ストレージ コンテナ コンテナ ユーザからのリクエストに応じて ü データ拠点と計算拠点間に仮想ネットワークをオンデマンドに構成 ü コンテナ技術を用いて計算資源上のソフトウェア環境をオンデマンドに構成 クラウド群連成基盤 クラウドゲートウェイ 大学等コンテナ大学等

26 クラウド群連成基盤利用例 27 n バックアップサイトオンデマンド構築 バックアップサイト サービス運営サイト コンテナ backup 仮想ネットワーク backup Proxy コンテナ サービス サービス管理者 クラウド群連成基盤 切替 DNS 利用者

27 まとめ 29 n 最先端の研究教育環境を実現することを目的としたクラウド利活用促進策 ( 基盤サービス案 ) の紹介 Ø クラウドゲートウェイ Ø インタークラウド n クラウドを利活用するための活動を大学や研究機関と連携しながら推進.( 各プレーヤーの得意分野を融合 ) クラウドを利活用した新しい研究教育環境の実現

28 ロードマップ 30 クラウドゲートウェイ ケーススタディ インタークラウド アーキテクチャ サービス検討 n チェックリスト試作 Ø 広島大 クラウドサービス利用ガイドラインチェックリスト を参考 n 企業へのヒアリング Ø どのようなサービスを提供可能? Ø 回答しにくい項目はないか? n 大学へのヒアリング Ø どのようなサービスを導入したいか? Ø どのような情報がリストにあると嬉しいか? n チェックリストのブラッシュアップ n ユースケース定義 Ø アカデミック利用におけるユースケースの検討 n アーキテクチャ検討 Ø 要素技術の検証 ( 仮想ネットワーク, コンテナ, モニタリング, データ分析基盤 ) Ø プロトタイプ設計 n テストベッド試作 実験