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はるまさますはら
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1 2016 年度スポーツデータ解析コンペティション野球部門 (NPB) 真にピンチに強い投手は誰か? 真にチャンスに強い打者は誰か? ークリティカル局面評価に基づく投手と打者の新しい評価手法の提案ー金友良磨, 松原進一朗, 前田俊輔, 奥山壮太, 白井康之大東文化大学経営学部連絡先白井 )

2 研究動機プロ野球選手の既存の評価として, 投手 : 勝負, 防御率, セーブ, ホールド, 奪三振打者 : 打率, 打点, 長打率, 出塁率, 本塁打などがあるしかしながら, 既存の評価指標では, 打者であれば真のチャンスへの強さ, 投手であれば真のピンチへの強さを反映しているとはいいがたい. 試合の各局面での選手起用で必要なのは, 本当にチャンスに強い打者, ピンチに強い投手が誰かという指標である. 例えば, 以下のような重大な局面 (= クリティカル局面 ) での活躍を評価する指標がほしい. WBC の練習試合オランダ戦広島の鈴木誠也 (2016 年 11 月 ) の活躍 DeNA 須田幸太 7 回 1 点リード 2 アウトの満塁の大ピンチで登板して抑えた (2016 年 5 月 28 日広島 vsdena ハマスタ )

3 クリティカル度合いとは? クリティカル度合 : その選手の視点から, 試合の行方を左右するような重要な局面の度合い例 5 回の表で既に 3-0 でリードしており,1 アウトランナーなし < 9 回の裏で得点は 1-1 の同点,0 アウト 1,2 塁で相手打者は 4 番, ボールカウントは 3 ボール 2 ストライククリティカルな局面

4 研究概要一対比較によるアンケート調査を実施 ( 野球経験者向け ). 投手, 打者のそれぞれの視点から, どのような局面がよりクリティカルか? アンケート調査結果から, クリティカル局面度算出パラメータ ( 重み ) を決定し,1 球データの各レコードに対してクリティカル局面度を算出. 選手別に, クリティカル局面度で重みづけした成績を算出し, 重みをつけない ( クリティカル局面を全く考慮しない ) 成績と比較. 算出されたクリティカルランキングの考察. クリティカルランキングの活用方法の提案

5 アンケート票 ( 投手評価 ) の例一対比較により, 右または左を選択. 設問 1 から 3 は精度検証用の問題 ( アンケート票によらずすべて共通 ) アンケートは, 高校または大学で野球経験のある協力者に配布し, その場で回答してもらった打者視点アンケート :14 名回収投手視点アンケート :18 名回収設問 4~20 は, アンケート票により設問が異なる ( ランダムに問題を生成 )

6 アンケート設定項目 ( 打者の例 ) 以下の項目のランダムな組み合わせにより, 局面を生成. 打者 : =1800 通り投手 : =5400 通り項目名回アウトカウントボールカウント得点差走者相手投手選択肢数選択肢序盤 (1~3 回 ) ノーアウト主力投手 ( エー 0ボール /0スト得点差なしなしス, 準エース, ライク抑えの切り札 ) 中盤 (4~6 回 ) 1アウト主力ではない先 1ボール /2ストリード (2 点以 1 塁のみ発または中継ぎライク内 ) 投手終盤 (7 回以 3ボール /1ストビハインド (2 2アウト降 ) ライク点以内 ) 2 塁にランナーあり 3 ボール /2 ストライク 3 点以上リード 3 点以上ビハインド 3 塁にランナーあり ( 満塁除く ) 満塁重みを表す変数名 1 w b 2 w b 6 w b w b w b 4 w b 5

7 パラメータの推定 : 打者視点の場合 ( 投手視点も同様 ) 打者視点のアンケート回答データをもとにして, パラメータ ( 重み ) 推定を行う (w b = (w b 1, w b 2, w b 3, w b 4, w b 5, w b 6 )). 各パラメータは,1~5 のいずれかの値をとるものとする. 以下の式に従い, もっとも識別能力の高いパラメータ w max を推定する. w max = argmax wb E(w b ) ここで,E(w b ) はパラメータを w b = (w b 1, w b 2, w b 3, w b 4, w b 5, w b 6 ) としたときの ( 一対比較に対する ) 推定結果と実際のアンケート結果との一致率 ( ただし, 精度確認問題不正解者はウェイトを低くする ). パラメータを w b としたときの推定は, 以下のような線形評価に基づく ( こ L,i こで,v b R,i v b は, 各設問項目における左側 ( 右側 ) のシナリオの設定パラメータ. σ w b i v b L,i < σ w b i v b R,i ならば右と推定する. σ w b i v b L,i > σ w b i v b R,i ならば左と推定する. w max はパラメータのすべての組み合わせ (5 6 =15625 個の組合わせ ) を試し, アンケート結果との一致率が最も高いものとした

8 重みパラメータの推定結果 ( 打者視点 ) 打者視点の最適パラメータは,w b =(3,1,1,4,5,1) であった. 打者視点項目重み回 3 アウトカウント 1 ボールカウント 1 得点 4 走者 5 相手投手 1 回答データが意味のあるものであるかどうかを確認するためにランダムな回答データを作成し, パラメータを最適化したところ, 以下のような結果となった. 少なくともランダムな結果以上に意味のあるアンケート回答が得られており, したがって, 意味のあるパラメータが生成されていることがわかる. アンケート回答に対する最適パラメータ w b =(3,1,1,4,5,1) 推定結果とアンケート結果の一致率 77.9% 56.7% 推定結果とアンケート結果の不一致率 22.1% 43.3% ランダム回答に対する最適パラメータ w b =(1,4,1,3,2,4)

9 重みパラメータの推定結果 ( 投手視点 ) 投手視点の最適パラメータは,w p =(1,1,1,5,5,1,2) であった. 投手視点項目アンケート回答に対する最適パラメータ w p =(1,1,1,5,5,1,2) 推定結果とアンケート結果の一致率 74.8% 55.9% 推定結果とアンケート結果の不一致 25.2% 44.1% ランダム回答に対する最適パラメータ w p =(5,1,1,2,1,1,1) 重み回 1 アウトカウント 1 ボールカウント 1 得点 5 走者 5 相手打者 (1) 1 相手打者 (2) 2 回答データが意味のあるものであるかどうかを確認するためにランダムな回答データを作成し, パラメータを最適化したところ, 以下のような結果となった. 少なくともランダムな結果以上に意味のあるアンケート回答が得られており, したがって, 意味のあるパラメータが生成されていることがわかる.

10 評価値について各選手別の評価値 (NORMAL) σ 抑えた局面 ( 投手の場合 ) σ 被出塁 σ 出塁 ( 打者の場合 ) σ 抑えられた局面各選手別の評価値 (BIAS) σ v i 抑えた局面 ( 投手の場合 ) σ v i 被出塁 σ v i 出塁 ( 打者の場合 ) σ v i 抑えられた局面 v i = 局面 i のクリティカル度合い

11 クリティカル局面に強い選手評価値 (BIAS) と評価値 (NORMAL) によるポジションマップクリティカル度を全く考慮しない評価値 ( N O R M A L ) 高低低評価値 (BIAS) 高クリティカル度で重みづけしたもの

12 クリティカル局面に強い打者 (2014 年 ) 抜粋版評価値 (BIAS) と評価値 (NORMAL) によるポジションマップ鈴木誠也 ( 広島外野手チャンスに弱い ) 2013 年より広島に入団.2014 年には,36 試合の出場ながら 344 という高打率をマークしたが,2014 年時点では, 打率の高さに比べてチャンスに打てるというわけではなかった. 一方,2015 年には,3 試合連続で適時打を放つなど, チャンスへの強さが増し ( 実際 2015 年のポジションマップでは右下に推移している ), さらには 2016 年には, 交流戦での 3 試合連続決勝ホームランなどの活躍を通じて勝負強さには定評がある. 松元ユウイチ ( ヤクルトチャンスに強い ) サンパウロ出身.2014 年は, 故障がちであったものの, オールスター以降は, 代打の切り札として活躍. 特に, シーズンでの代打での打率は 317 であったが, 得点圏打率は 448 で勝負強さを見せていた.2015 年は前年に比べ, 著しく調子を落とし, 2015 年末で引退

13 年度別の変化に関する考察 ( 打者 ) ( 例 ) 鈴木誠也 ( 広島 ) と田村龍弘 ( ロッテ ) の 2014 年 2015 年での変化

14 シーズン別ランキング打者編 2014 年打率評価値 (BIAS) 2015 年打率評価値 (BIAS) 丸佳浩柳田悠岐鳥谷敬関本賢太郎バレンティン近藤健介栗山巧相川亮二ロサリオ小窪哲也糸井嘉男秋山翔吾福浦和也山田哲人バトラー川端慎吾和田一浩高橋由伸マートン牧田明久山田哲人筒香嘉智ブラゼル鳥谷敬ラッツ福留孝介天谷宗一郎中村晃ジョーンズ渡辺直人

15 シーズン別ランキング打者編 ( 規定到達 ) 2014 年打率評価値 (BIAS) 2015 年打率評価値 (BIAS) 丸佳浩 C 柳田悠岐 P 鳥谷敬 C 近藤健介 P バレンティン C 秋山翔吾 P 栗山巧 P 山田哲人 C 糸井嘉男 P 川端慎吾 C マートン C 筒香嘉智 C 山田哲人 C 鳥谷敬 C ジョーンズ P 福留孝介 C 柳田悠岐 P 中村晃 P 陽岱鋼 P 浅村栄斗 P 銀次 P ペーニャ P 平田良介 C 李大浩 P 長谷川勇也 P 角中勝也 P 角中勝也 P 清田育宏 P ルナ C ルナ C

クリティカル局面に強い投手 (2015 年 ) 先発抑え中継ぎ含む抜粋版評価値 (BIAS) と評価値 (NORMAL) によるポジションマップ山崎康晃 ( 横浜抑えピンチに弱い ) 2015 年に横浜に入団し前年までクローザーを務めていた三上の故障によりクローザーを務めることになる成績だけを見れば登板数セーブ数防御率どれをとっても一見非の打ちどころがないように見える

16 クリティカル局面に強い投手 (2015 年 ) 先発抑え中継ぎ含む抜粋版評価値 (BIAS) と評価値 (NORMAL) によるポジションマップ山崎康晃 ( 横浜抑えピンチに弱い ) 2015 年に横浜に入団し前年までクローザーを務めていた三上の故障によりクローザーを務めることになる成績だけを見れば登板数セーブ数防御率どれをとっても一見非の打ちどころがないように見えるしかし中継ぎや抑えの投手が多く迎えることになるクリティカル場面の強さは散布図を見ると決して良いとは言えないむしろ多く場面を迎えることになるので図の右側に突出することが当たり前で他の中継ぎ抑えの投手はそうなっているのにも関わらず山崎に関してはピンチに弱いという所に甘んじている内竜也 ( ロッテ中継ぎピンチに強い ) 前シーズンである 2014 年に 5 試合に登板するも前年の手術箇所である右足首を再び痛めその後の 1 軍登板はなかったしかし 2015 年 8 月 23 日に 1 軍登録され西野勇士の故障離脱後はシーズン終了までクローザーとして起用され最終的に 22 試合で 6 セーブを挙げた散布図を見てみるとクリティカル場面に強い即ちピンチに強いとされる点に位置しているピンチといわれる場面での投球が多い役割ではあるが防御率も 1 点台と低いまた奪三振率も高くまさにピンチに頼れる投手であることがわかるただし, ピンチには強いがケガが多い. 登板回数も多くないので, その点で課題が残るが, ポテンシャルが高い

17 年度別の変化に関する考察 ( 投手 ) ( 例 ) 野村祐輔 ( 広島 ) と岩貞祐太 ( 阪神 ) の 2014 年 2015 年での変化

18 シーズン別ランキング投手編 2014 年防御率評価値 (BIAS) 2015 年防御率評価値 (BIAS) 呉昇桓サファテ西野勇士バーネットサファテ五十嵐亮太五十嵐亮太大谷智久又吉克樹森唯斗谷元圭介松井裕樹岸孝之西野勇士森福允彦青山浩二佐藤達也マイコラス秋吉亮増井浩俊金子千尋山崎康晃森唯斗岡田俊哉前田健太大谷翔平高橋朋己エレラ岩田稔白村明弘

19 シーズン別ランキング投手編 ( 規定到達 ) 2014 年防御率評価値 (BIAS) 2015 年防御率評価値 (BIAS) 岸孝之 2.51 P マイコラス 1.92 C 金子千尋 1.98 P 大谷翔平 2.24 P 前田健太 2.60 C 前田健太 2.09 C 岩田稔 2.54 C 西勇輝 2.38 P 菅野智之 2.33 C 大野雄大 2.52 C 大谷翔平 2.61 P 黒田博樹 2.55 C 則本昂大 3.02 P 菅野智之 1.91 C 杉内俊哉 3.16 C 則本昂大 2.91 P 西勇輝 3.29 P メッセンシャー 2.97 C スタンリッジ 3.30 P 武田翔太 3.17 P メッセンシャー 3.20 C ジョンソン 1.85 C 大野雄大 2.89 C 東明大貴 3.35 P 内海哲也 3.17 C 高木勇人 3.19 C モスコーソ 3.39 C 小川泰弘 3.11 C 能見篤史 3.99 C ポレダ 2.94 C

20 課題クリティカル局面の指標化には, アンケートデータを用いているが, 線形評価を前提としている. しかし, 現実的には線形評価ではない, より局面に応じた評価手法が望まれる. 例えば, シーズンにおける順位争いやタイトル取得との関連も本来は考慮すべきである. また, チームにおける自身のポジションも重要なファクターとなろう. 打者評価では, チャンスにおける四球と安打併殺と三振やゴロアウトの違いが反映されていない. 投手評価では,( 登板回数を考慮しなければ ) 試合後半に登場するクローザーの評価が圧倒的に高くなった. 先発投手とクローザーでは評価方法を再度検討する必要がある

21 まとめ野球において勝敗を決するのは, 個々の選手の力量のほか, 適切な選手の配置もまた重要な要因である. 従来, 選手の力量は, 防御率, 打率, 出塁率, 長打率等で計られてきたが, それぞれの局面を考慮したチャンスに強い打者, ピンチに強い投手という視点が重要である. 従来, こうした視点は定量化されていなかったが, 本研究では, クリティカル局面という観点から定量化を試行し,2014 年と 2015 年のデータに対して分析を試みた. 出場機会の多い選手については, 概ね感覚と一致する結果であったが, これらが定量化される意義は大きい. また, 出場機会の少ない選手は, このような評価をされること自体が少ないため, 今後活躍が期待できる選手を抽出することに有効に活用できると思われる

053 T- 岡田 (Bs) 054 武田健吾 (Bs) 055 岡田明丈 (C) 056 田中広輔 (C) 057 新井貴浩 (C) 058 菊池涼介 (C) 059 B. エルドレッド (C) 060 安部友裕 (C) 061 X. バティスタ (C) 062 丸佳浩 (C) 063 鈴木誠也

053 T- 岡田 (Bs) 054 武田健吾 (Bs) 055 岡田明丈 (C) 056 田中広輔 (C) 057 新井貴浩 (C) 058 菊池涼介 (C) 059 B. エルドレッド (C) 060 安部友裕 (C) 061 X. バティスタ (C) 062 丸佳浩 (C) 063 鈴木誠也 BBM ベースボールカードプレミアム 2017GENESIS [ レギュラーカード ] レギュラー各 150 枚限定のグリーン箔版各 60 枚限定のオレンジ箔版各 30 枚限定のパープル箔版 001 加藤貴之 (F) 002 近藤健介 (F) 003 田中賢介 (F) 004 レアード (F) 005 中田翔 (F) 006 石井一成 (F) 007 西川遥輝 (F) 008 大谷翔平 (F)