地方自治体における中間前払金制度の導入 活用の促進について 1 中間前払金制度の概要 中間前払金とは 当初の前払金 ( 請負代金の4 割 ) に加え 工期半ばで2 割を追加 ( 合計 6 割 ) して行う前金払いのこと 地方自治体では 地方自治法施行規則の改正によりH から制度の導入が可

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1 平成 29 年 6 月 22 日 ( 木 ) 国土交通省関東地方整備局 建政部 記者発表資料地域建設業の資金繰りの円滑化 安定化について ~ 中間前払金制度を導入している関東地方整備局管内の地方自治体が300 団体を突破!~ では 地域建設業の資金繰り円滑化 安定化のため 管内の地方自治体における中間前払金制度の導入 活用の促進等を進めています この度 東日本建設業保証 ( 株 ) にご協力いただき 平成 29 年 4 月 1 日現在の制度の導入状況を調査したところ 管内 429 団体のうち 約 70% にあたる305 団体が制度を導入済みであることが確認されました こうしたなか 平成 29 年 3 月 29 日に 建設業法令遵守ガイドライン が改訂され 1 下請代金の現金払い2 手形の割引料に配慮した下請代金の設定 3 手形期間の短縮化が追加されたことにより 元請建設企業は これまで以上に手許資金の充実を図るために 低廉なコストによる資金調達が可能な前払金 中間前払金 地域建設業経営強化融資制度を適切に利用し 資金繰りを円滑化 安定化させることの重要性がますます高まってきています では 今後も 地域建設業の資金繰りの円滑化 安定化のため 地方自治体における前払金支払限度額の撤廃 見直し 中間前払金 地域建設業経営強化融資制度の導入 活用の促進等の取組に努めてまいります 発表記者クラブ 竹芝記者クラブ 神奈川建設記者会 埼玉県政記者クラブ 問い合わせ先 たかしばとしあき 建政部建設産業調整官髙芝利顕 ( 内線 6112) きたのじゅん建設産業第一課長北埜順 ( 内線 6141) あおきひとみ建設産業第一課建設専門官青木均美 ( 内線 6143) 電話 ( 代表 ) FAX

2 地方自治体における中間前払金制度の導入 活用の促進について 1 中間前払金制度の概要 中間前払金とは 当初の前払金 ( 請負代金の4 割 ) に加え 工期半ばで2 割を追加 ( 合計 6 割 ) して行う前金払いのこと 地方自治体では 地方自治法施行規則の改正によりH から制度の導入が可能 当該工事の請負契約約款等に中間前払金の条項があり 次の要件を満たしている場合 発注者の認定を受けたうえで 請求することができる 当初の前払金が支出されていること 工期の2 分の1を経過していること 工期の2 分の1を経過するまでに実施すべき作業が行われていること 工事の進捗出来高が請負金額の2 分の1 以上に達していること 発注者のメリット 出来高に対する支払となるため 出来高認定を厳密に行う必要のある 部分払 と異なり 建設企業への円滑な資金提供 資金繰りの改善を目的とするため 上記要件の確認は原則書類のみで行うなど 極めて簡易な事務手続き 34 運用事例参照 特に 厳しい資金繰りに迫られている零細な元請建設企業 5 参考参照 の資金繰りの安定化 元下間の請負代金支払 労働者に対する賃金支払に関するトラブルの抑制などにより 適正な施工に寄与 建設企業のメリット 上記要件の認定は原則書類のみで行うなど 極めて簡易な事務手続きによる資金調達が可能 34 運用事例参照 当初前払金保証料率 (0.23%~0.35%) を下回る低廉なコスト ( 保証料率一律 0.065%) 資材業者 下請業者 労働者等に対する請負代金の前払 速やかな支払並びに現金での支払いが円滑となり 関係事業者間における信用力の向上 労使関係の安定化につながるとともに 法令遵守の観点からも適切な対応 地方自治体の導入状況 関東地方整備局管内の自治体 429 団体 (9 都県 +420 市区町村 ) のうち 305 団体 ( 全体の約 70%) が中間前払金制度を導入済み ( 平成 29 年 4 月 1 日現在 ) 特に 茨城県 山梨県では県内の全市町村が 栃木県 群馬県 神奈川県 長野県では県内の全市が導入済み 導入状況導入済みの自治体 ( 都県は全て導入済み ) 茨城県内 (45/45)100% 県内全市町村導入済み 栃木県内県 市 (15/15) 100% 県内全市導入済み (22/26) 84.6% 町 村 (7/11) 63.6% 上三川町芳賀町壬生町高根沢町那須町那珂川町益子町 群馬県内県 市 (13/13) 100% 県内全市導入済み (25/36) 69.4% 町 村 (12/23) 54.5% 吉岡町甘楽町中之条町東吾妻町長野原町嬬恋村草津町高山村みなかみ町 板倉町大泉町邑楽町 埼玉県内県 市 (32/41) 78.0% さいたま市川越市熊谷市川口市行田市秩父市所沢市飯能市加須市 (33/64) 51.6% 本庄市東松山市春日部市狭山市羽生市鴻巣市深谷市上尾市草加市 町 村 (1/23) 4.3% 越谷市戸田市朝霞市志木市桶川市新座市和光市八潮市富士見市 三郷市日高市吉川市ふじみ野市 三芳町 千葉県内県 市 (31/38) 81.6% 千葉市市川市船橋市館山市野田市茂原市成田市木更津市松戸市 (32/55)58.2% 佐倉市東金市習志野市柏市市原市流山市八千代市我孫子市君津市 町 村 (1/17) 5.9% 鎌ケ谷市浦安市四街道市袖ケ浦市八街市印西市白井市いすみ市南房総市 香取市山武市大網白里市 多古町 東京都内都 区 市 (43/50) 86.0% 中央区新宿区文京区江東区品川区目黒区大田区世田谷区渋谷区 (47/63) 74.6% 中野区杉並区豊島区北区荒川区板橋区練馬区足立区葛飾区 江戸川区立川市武蔵野市三鷹市府中市昭島市調布市小金井市小平市 東村山市国分寺市国立市西東京市狛江市武蔵村山市八王子市町田市日野市 多摩市稲城市青梅市福生市羽村市あきる野市 町 村 (4/13)30.8% 八丈町新島村奥多摩町日の出町 神奈川県内県 市 (20/20) 100% 県内全市導入済み (30/34)88.2% 町 村 (10/14) 71.4% 葉山町寒川町中井町大井町松田町山北町開成町真鶴町湯河原町 愛川町 山梨県内 (28/28)100.0% 県内全市町村導入済み 長野県内県 市 (20/20) 100% 県内全市導入済み (43/78) 55.1% 町 村 (23/58) 39.7% 佐久穂町軽井沢町立科町下諏訪町辰野町箕輪町松川町池田町坂城町 (305/429) 71.1% 山ノ内町木曽町宮田村南箕輪村豊丘村大鹿村王滝村松川村白馬村 小谷村木島平村野沢温泉村小川村栄村

3 地方自治体における中間前払金制度の導入 活用の促進について 2 これまでの中間前払金制度の導入 活用に関する取組 が 導入市町村の少ない埼玉県 千葉県 茨城県内を中心に制度未導入の自治体 (80 団体 ) を訪問し 制度導入の直接要請をスタート (H23.11 月 ~H24.1 月 ) 以後 H25(8 団体 ) H26(19 団体 ) H27(18 団体 ) H28(18 団体 ) と自治体を訪問し 直接要請を継続 管内の中小建設業者を対象に 中間前払金制度 に関するアンケート調査を実施し 工事期間中の資金調達手段としての期待の高さを把握 (H ) 結果を公表するとともに 管内都県を通じて市区町村に送付 品確法に基づく 発注関係事務の運用に関する指針 (H ) 中間前払金制度等の活用 既に中間前払金制度を導入している場合は 発注者側から利用の促進及び手続きの簡素化 迅速化を図ること等により 受注者にとって利用しやすい環境の整備に努める旨の記載 地域建設業の経営改善のための取組みについて ( 依頼 ) (H 付建政部長から各都県部長あて ) 市区町村に対する制度の中間前払金制度の導入等の周知依頼 公共工事の円滑な施工確保について (H 付総務省 国交省局長から各都道府県知事等あて通知 ) 建設業者の資金調達円滑化のための取組として 中間前払金制度の導入や前払金制度の支払限度額の見直し等を要請 H28 年度下期関東甲信ブロック監理課長会議 (H ) 中間前払金制度の導入 利用状況等について意見交換 下請契約及び下請支払代金の適正化並びに施工管理の徹底等について (H < 盆暮通達 >) 中間前払金制度の導入が進んでいることを踏まえ 積極的な活用を要請 関東地方における地方自治体の導入率の推移 平成 23 年 11 月から始めた管内市町村への直接要請後 順調に推移 平成 27 年 1 月の改正品確法に基づく運用指針公表後 導入率が大幅に上昇 ( 全体の 71.1% が導入済 ) 特に ここ 2 年間の茨城県内の導入が急激に進み 山梨県とともに 導入率が 100% に 100.0% 90.0% 80.0% 70.0% 60.0% 50.0% 40.0% 30.0% 20.0% 10.0% 0.0% 都県別導入率 関東 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 長野県 中間前払金制度の導入 活用の促進に関するご意見 ご相談は 関東地方整備局建設産業第一課経営支援係又は 建設業フォローアップ相談ダイヤル ( ) へ 中間前払金制度の詳細な手続き等については 保証事業会社の支店までお問い合わせください

4 地方自治体における中間前払金制度の導入 活用の促進について 3 制度導入後の運用事例 1( 東京都三鷹市 ) 制度導入後の運用事例 2( 神奈川県厚木市 ) 1. 中間前払金制度導入時期 : 平成 21 年 3 月 1 日 1. 中間前払金制度導入時期 : 平成 17 年 4 月 1 日 2. 過去三カ年の前払金利用実績に占める中間前払金利用実績件数平成 26 年度 : 9 件 / 32 件 ( 利用率 :28.1%) 平成 27 年度 : 11 件 / 42 件 ( 利用率 :26.2%) 平成 28 年度 : 13 件 / 50 件 ( 利用率 :26.0%) 3. 制度の周知について 入札公告において 中間前払金の利用が可能である旨を明示 契約時に 前払金等請求確認書 の提出を求め 中間前払金請求の要否を確認 4. 認定手続きの流れ 受注者は工事主管課に認定請求書を提出 建築工事においては 請求の大半が工期の 7~8 割時点で行われるため添付書類は工程表のみ ただし 工期半ば頃に請求されるような場合は 案件によっては 実績率が記入された 工事費内訳書 ( 請負契約書の付属書類 ) の提出を受けることがある 土木工事においては 添付書類として工程表及び工事進捗表の提出を求めている 認定は工事主管課長名で行う ( 他部署への稟議等はない ) 認定請求書提出から認定調書の交付までの期間は 建築工事で概ね 1 ~2 日 土木工事で 3~7 日間 制度を運用している市の担当者の声 工事主管課が各工事の出来高 進捗状況を把握しているとともに 土木工事においては工事進捗率の提出も求めていることから 出来高認定に係る発注者側 ( 工事主管課 ) の事務負担はほとんどない 制度を利用した建設企業の声 三鷹市で複数の工事で利用しており 非常に役立っている 下請の際にも元請に中間前金を請求してもらい竣工前に 60% までは請求している 認定請求時の添付書類も負担にはならない 手続きが簡単なので 東京都の工事も受注したら積極的に請求していこうと思っている 2. 過去三カ年の前払金利用実績に占める中間前払金利用実績件数平成 26 年度 : 7 件 /112 件 ( 利用率 : 6.3%) 平成 27 年度 : 9 件 / 99 件 ( 利用率 : 9.1%) 平成 28 年度 : 10 件 / 95 件 ( 利用率 :10.5%) 3. 制度の周知について 市のホームページで 公共工事中間前払金について を掲載し 周知している 4. 認定手続きの流れ 受注者は工事主管課に確認請求書及び工事履行報告書を提出 添付書類はなし 庁内の手続きは工事主管課で完結 ( 他部署への稟議等はない ) 事務担当者向けの事務手順マニュアルにおいて 中間前金払はあくまでも前払金 よって 出来高確認の検査は必要ない 旨を明示し 出来高確認事務手続きの簡素化を徹底 確認請求書提出から確認調書の交付までの期間は概ね 1~3 日 制度を運用している市の担当者の声 工事主管課が各工事の出来高 進捗状況を把握しており 受注者から特別な書類の提出を受けたり 現場を見に行かなくても出来高等の確認は行えるため 出来高認定に係る発注者側 ( 工事主管課 ) の事務負担はほとんどない 制度を利用した建設企業の声 何回か利用しているが 非常に有難い制度と思っている 当初 4 割の前金だけで 残りを完成後 ( 完成金 ) では資金的につらい 部分払は以前は利用したことがあったが 負担が大きく今は利用していない 発注者からも嫌な顔はされず 好意的な対応をして頂けている 確認請求し 1 週間程度で手続き完了 早くしてほしい旨を言うと 翌日に交付してもらえることもある 工事履行報告書をつけるだけでよく そもそも発注者が事前に現場をみているため 請求して構わない旨内諾を得ており 手続きはすぐに終わる 2

5 地方自治体における中間前払金制度の導入 活用の促進について 4 制度導入後の運用事例 3( 埼玉県東松山市 ) 制度導入後の運用事例 4( 栃木県佐野市 ) 1. 中間前払金制度導入時期 : 平成 25 年 9 月 1 日 1. 中間前払金制度導入時期 : 平成 22 年 4 月 1 日 2. 過去三カ年の前払金利用実績に占める中間前払金利用実績件数平成 26 年度 : 18 件 / 80 件 ( 利用率 :22.5%) 平成 27 年度 : 15 件 / 78 件 ( 利用率 :19.2%) 平成 28 年度 : 18 件 / 77 件 ( 利用率 :23.4%) 3. 制度の周知について 制度導入当初は窓口等において周知していたが 現在は 定型的に工事請負契約書の頭書に中間前払金の限度額が記載されているようになっており 工事の受注業者は必然的に分かるため 取扱要綱を HP に掲載している以外は特別な周知は行っていない 4. 認定手続きの流れ 受注者は工事発注課に認定請求調書を提出 ( 工事履行報告書及び工程表添付 ) 工事発注課で受領後 工事監督課の確認を受けたうえ 工事発注課が認定通知 確認請求書提出から認定調書の交付までの期間は概ね 2~7 日 制度を運用している市の担当者の声 制度導入当初はとまどうこともあったが 制度が定着してからは 工事監督課が各工事の出来高 進捗状況を把握していることもあり 事務手続きに関して負担を感じたことはない 工期末近くに請求してくるようなケースもあるが 中間前払金制度の主旨 ( 資金繰りの円滑化 ) は理解しており 受注業者との信頼関係構築のためにも スムーズな手続きが必要であると認識している 制度を利用した建設企業の声 発注者が認定請求の際にスムーズに手続きしてくれるため 手続きが面倒と感じたことはない 比較的工期の長い工事については 前払金だけでは 資金が不足してしまうため 資金繰り面で大変助かっている 2. 過去三カ年の前払金利用実績に占める中間前払金利用実績件数平成 26 年度 :15 件 /145 件 ( 利用率 :10.3%) 平成 27 年度 :16 件 /143 件 ( 利用率 :11.2%) 平成 28 年度 :14 件 /139 件 ( 利用率 :10.1%) 3. 制度の周知について 平成 17 年度 ~ 平成 19 年度まで時限的に制度を導入 利用者がいなかったため 一旦廃止したが 事業者から制度復活の要望があったため 平成 22 年度から再度導入した 再度制度を導入した際 当時の公共工事競争入札参加資格者名簿に登録されていた全ての業者に対して 制度導入の案内を通知した 入札公告において 中間前払金の利用が可能である旨を明示 4. 認定手続きの流れ 受注者は工事主管課に確認請求書及び工事履行報告書を提出 工程表を添付 ただし 月報の内容と同じであれば省略可 庁内の手続きは工事主管課で完結 ( 他部署への稟議等はない ) 確認請求書提出から認定調書の交付までの期間は概ね 1~2 日 制度を運用している市の担当者の声 工事主管課が各工事の出来高 進捗状況を把握しており 受注者から特別な書類の提出を受けたり 現場を見に行かなくても出来高等の確認は行えるため 出来高認定に係る発注者側 ( 工事主管課 ) の事務負担はほとんどない 制度を利用した建設企業の声 認定請求 ( 出来高認定 ) が書類のみで済むので楽である 資金調達の方法は 色々あるが その選択肢は多いほうが良いので 助かっている 発注者の担当者が必要な書類などを教えてくれる 指示されたとおりの書類を提出すればいいので 全然面倒ではない 利用して特に不便は感じなかった 3

6 地方自治体における中間前払金制度の導入 活用の促進について 5 参考 中小建設企業の厳しい資金繰り 売上高の規模が小さくなるほど 支払手形 工事未払金の割合が低い 短期借入金の割合が高い 取引先への速やかな現金払いを求められ 資金繰り環境が厳しい 前払金 中間前払金の活用が有効 売上高別 流動負債に占める各負債科目の割合 売上高支払手形工事未払金買掛金短期借入金 未成工事受入金 自己資本比率 5 千万円未満 2.7% 14.8% 1.0% 48.5% 8.8% -11.5% 5 千万円以上 4.9% 21.0% 0.8% 34.8% 14.4% 19.5% 1 億円以上 7.2% 24.0% 0.8% 26.3% 19.5% 33.6% 2 億円以上 8.9% 24.8% 0.7% 21.7% 24.5% 39.8% 3 億円以上 10.4% 25.6% 0.9% 19.0% 26.5% 42.2% 5 億円以上 12.7% 25.1% 0.9% 16.5% 29.7% 43.2% 10 億円以上 14.5% 23.7% 0.7% 15.9% 32.2% 41.8% 20 億円以上 18.1% 26.0% 0.7% 12.4% 30.0% 40.9% 建設業の経営分析 ( 平成 27 年度 ) ( 一般財団法人建設業情報管理センター ) より作成

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