下記注意事項をよく読んでください 成年後見等申立ての手引 1. 成年後見制度と後見人等の職責について (1) 成年後見制度は, 本人の保護のための制度であり, 後見人等に選任された者は, 自らの判断で適正な後見等事務を遂行する責務があるとともに, 家庭裁判所から監督を受け, 後見等事務の結果を家庭裁

Transcription

1 下記注意事項をよく読んでください 成年後見等申立ての手引 1. 成年後見制度と後見人等の職責について (1) 成年後見制度は, 本人の保護のための制度であり, 後見人等に選任された者は, 自らの判断で適正な後見等事務を遂行する責務があるとともに, 家庭裁判所から監督を受け, 後見等事務の結果を家庭裁判所に報告する義務があります (2) 成年後見は, 申立ての目的 ( 定期預金の解約, 遺産分割, 不動産の売買など ) を達した以後も原則として本人が回復又は死亡するまで続き, 後見人等は本人の財産を管理し続けなければいけません (3) 後見人等になっても本人の財産を本人以外の者のために自由に消費, 処分するなど, 本人の不利益になる行為をすることはできません 2. 後見人等候補者について後見人等候補者があっても, 第三者専門職 ( 弁護士, 司法書士等 ) が後見人等に選任されることがあります その場合, 通常, 本人の財産から報酬を支払う必要があります 3. 鑑定について主治医又は, 診断書の作成を依頼した医師に, 鑑定をすることになった場合に引き受けてもらえるかどうか, 確認をしてください また, 鑑定をする必要があると判断された場合, 鑑定費用 ( 約 10 万円くらい ) が必要になります 4. 不服申立ての対象について即時抗告の対象は家事事件手続法 123 条に規定する事項に限られます 誰を後見人等や後見監督人等に選任するかという点や後見制度支援信託の締結については不服の申立てができません 5. 取下げの制限について申立てを受理した後は, 審判がされる前であっても, 自由に申立てを取り下げることはできません 裁判官の許可が必要です (1) なお, 後見等の開始審判がされた後は, 取下げはできません (2) 候補者が選任されないという理由で取下げがなされても, 通常, 取下げは許可されません 6. 後見制度支援信託契約の締結について本人の財産が多額 (1200 万円以上 ) の場合は, 財産管理の方法として原則, 成年後見制度支援信託を利用します 詳細は, 後見制度において利用する信託の概要 をお読み下さい また, 同契約締結の適否の検討及び契約締結のため, 第三者専門職後見人を選任します その場合, その専門職後見人の報酬を支払う必要があります 信託利用するかどうかの判断に対しては, 不服の申立てはできません 管理が継続している間に財産が増加した場合も同様です 7. 裁判所の後見監督処分について裁判所の監督に従わない場合は, 成年後見人等を解任されることがあります 松山家庭裁判所 (H27.10)

2 目 申立ての手順について 2 成年後見制度について 1 成年後見制度とは 3 2 成年後見について 4 3 保佐について 4 4 補助について 5 5 任意後見制度について 6 申立ての仕方や手続について 6 申立てをする裁判所 ( 管轄 ) 7 7 申立てができる人 7 8 申立てに必要な書類や費用 8 申立てに必要な書類等のチェック表 1 9 申立てに必要な書類等のチェック表 標準的な審理の流れ 後見制度支援信託について 成年後見人等への報酬について 16 成年後見人, 保佐人, 補助人になろうとする方へ 12 成年後見人 ( 保佐人, 補助人 ) の職務について 17 仕事の始まり 17 成年後見人, 保佐人, 補助人に共通すること 17 成年後見人の主な職務 18 保佐人の主な職務 19 補助人の主な職務 後見等監督について 19 後見等監督とは 19 家庭裁判所の許可が必要な場合 成年後見人 ( 保佐人 補助人 ) の仕事が終わるとき 20 次 - 1 -

3 申立てまでの手順 以下の順で書類を揃えると, 準備がスムーズにいくことが多いので, 参考にしてください 凡例 申 = 申立人 本 = 本人 候 = 候補者 病院 ( 主治医など ) 診断書 ( 本 ) 診断書附票 ( 本 ) 申立書は, 成年後見 保佐 補助の各類型ごとに作成していただきます どの類型を申し立てるかは, 診断書の 3 判断能力についての意見 欄が目安となります 市区町村役場 ( 本籍地の市区町村役場 ) ( 住民票登録先の市区町村役場 ) 戸籍謄本 ( 申 本 候 ) 身分 ( 元 ) 証明書 ( 候 ) 住民票 ( 本 候 ) 本籍地の市区町村役場で 発行する戸籍附票でも可 本人名義の不動産がある場合 固定資産評価証明書 ( 本 ) 健康 ( 介護 ) 保険の加入者 健康保険料納付書 ( 本 ) 介護保険料納付書 ( 本 ) 法務局 ( 松山地方法務局で窓口交付できます ) 最寄りの法務局又は法務省のホームページで申請書を取寄せ, 郵送により東京法務局へ請求してください 登記されていないことの証明書 ( 本 ) 本人名義の不動産がある場合 不動産登記簿謄本 ( 本 ) - 2 -

4 成年後見制度について 1 成年後見制度とは 成年後見制度とは, 認知症, 知的障害, 精神障害などによって物事を判断する能力 ( 売買や贈与等をする際に, その行為が自分に有利なのか不利なのか, 適正か不適正か等を考えるのに必要な精神能力 (= 判断能力 )) が十分ではない方 ( 本人 ) について, 本人の権利を守る援助者 ( 成年後見人 等 ) を選び, 本人を法律的に保護し, 支えるための制度です 例えば, 本人のために預金の解約, 福祉サービス契約の締結, 遺産分割協議, 不動産の売買等をする必要があっても, 本人の判断能力が全くなければ, そのような行為はできませんし, 判断能力が不十分な場合にこれを本人だけで行うと, 本人にとって不利益な結果を招くおそれがあります そのような場合に, 家庭裁判所が本人に対する援助者を選び, その援助者が本人のためにそうした法律行為を代わって行ったりして, 本人に不利益にならないようにして援助します したがって, 本人の障害が身体的なものだけの場合や, 本人が単なる浪費者, 性格の偏りがあるだけである場合にはこの制度を利用できません また, 本人を保護するための制度ですから, 本人の財産を贈与したり, 貸し付けたりすることは原則として認められません 親族が本人の財産の内容を知る目的でこの制度を利用することも適切ではありません 成年後見制度には, 法定後見制度と任意後見制度の 2 種類があり, また, 法定後見には成年後見, 保佐, 補助の 3 つの類型があります 法定後見制度 ( 法律による後見制度 ) 成 年 成年後見 保 佐 本人の判断能力が全くない場合に, 家庭裁判所が成年後見人を選びます 本人の判断能力が著しく不十分な場合に, 家庭裁判所が保佐人を選びます 後見制度 本人の判断能力が不十分な場合に, 家庭裁判所が補補助助人を選びます 本人の判断能力が, 上の3 区分のどれに該当するかは, 医師の作成する 診断書 ( 成年後見用 ) 及び 診断書附票 ( 成年後見用 ), 鑑定など (8ページ参照 ) を参考に裁判所が判断します 任意後見制度 ( 契約による後見制度 ) 本人に判断能力があるうちに, 将来判断能力が不十分な状態になることに備 え, 公正証書を作成して任意後見契約を結び, 任意後見人を選んでおきます - 3 -

5 2 成年後見について 成年後見とは, 本人が一人で日常生活を送ることができなかったり, 一人で財産管理ができないというように, 本人の判断能力が全くない場合です その場合, 家庭裁判所が後見開始の審判 ( 裁判の一種で, 家庭裁判所が出す判断をいいます その内容が記載された書面を 審判書 といいます ) をするとともに, 本人 ( 成年後見制度では 成年被後見人 ともいいます ) を援助する人として成年後見人を選任します 成年後見人は, 本人の財産を管理するとともに, 広範な代理権 ( 本人に代わって, 本人のために取引や契約等を行う権限のこと ) 及び取消権 ( 本人が後見人等の同意を得ないで重要な財産行為等を行った場合, 後見人等がその行為を無効なものとし, 原状に戻す権限のこと ) を持ちます したがって, 本人に代わって様々な契約を結ぶなどして, 本人が日常生活に困らないよう十分に配慮していかなければなりません 申立てのきっかけとなったこと ( 保険金を受け取る等 ) だけをすれば良いものではなく, 成年後見人は, 本人のために活動する義務を広く負うことになります これは通常の場合, 病状が改善などして, 本人が判断能力を回復するか又は本人が亡くなるまで続きます 具体的な仕事内容は 17~21 ページをご覧ください 成年後見が開始されると 成年後見が開始されると, 本人は, ごく日常的な買い物などを除き, 単独で法律行為ができなくなり, 印鑑登録は抹消されます また, 医師, 税理士等の資格を失い, 会社役員などになれない等の制限が生じます 3 保佐について 保佐とは, 本人が日常的な買い物程度は一人でできるが, 金銭の貸借や不動産の売買等, 重要な財産行為は一人ではできないというように, 本人の判断能力が著しく不十分な場合です その場合, 家庭裁判所が保佐開始の審判をするとともに, 本人 ( 成年後見制度では 被保佐人 ともいいます ) を援助する人として保佐人を選任します 保佐開始の審判を受けた本人は, 一定の重要な行為 ( 民法 13 条 1 項記載の行為, 次ページ参照 ) を, 単独で行うことができなくなります 保佐人は, 本人が一定の重要な行為を行う際に, その内容が本人の利益を害するものでないか注意しながら, 本人がしようとすることに同意したり ( 同意権 = 本人が重要な財産行為等を行う際に, その内容が本人に不利益でないかを検討して, 問題がない場合に了承する権限 ), 本人が保佐人の同意を得ずに既にしてしまったことを取り消したりします ( 取消権 ) この同意権は, 保佐開始の審判とともに自動的に保佐人に与えられますが, 保佐人が本人に代わって特定の法律行為を行う権限 ( 代理権 ) については, 代理する事項を特定し, 保佐開始の申立てのほかに, 別途, 代理権付与の申立てが必要です また, 本人の同意も必要になります 具体的な仕事内容は 17~21 ページをご覧ください 保佐が開始されると 保佐が開始されると, 本人は, 日用品の購入などの日常生活に関する行為は一人で行えますが, 一定の重要な財産行為 ( 金銭の貸し借り, 不動産や自動車などの売買, 自宅の増改築など ) は一人で行うことができなくなり, 保佐人の同意が必要となります また, 医師, 税理士等の資格を失い, 会社役員などになれない等の制限が生じます - 4 -

6 重要な法律行為 ( 民法 13 条 1 項 ) 1 預貯金を払い戻すこと 2 金銭を貸し付けること 3 金銭を借りたり, 保証人になること 4 不動産などの重要な財産に関する権利を得たり失ったりする行為をすること 5 民事訴訟の原告となって訴訟行為をすること 6 贈与, 和解, 仲裁合意をすること 7 相続を承認, 放棄したり, 遺産分割をすること 8 贈与や遺贈を拒絶したり不利なそれらを受けること 9 新築, 改築, 増築や大修繕をすること 10 民法 602 条の一定期間を超える賃貸借契約をすること 一定期間とは Ⅰ 樹木の栽植または伐採を目的とする山林の賃貸借 10 年 Ⅱ 前記 Ⅰ 以外の土地の賃貸借 Ⅲ 建物の賃貸借 Ⅳ 動産の賃貸借 5 年 3 年 6 か月 4 補助について 補助とは, 本人が一人で重要な財産行為を適切に行えるか不安があり, 本人の利益のためには誰かに代わってもらったほうがよいというように, 本人の判断能力が不十分な場合です その場合, 家庭裁判所が, 補助開始の審判をするとともに, 本人 ( 成年後見制度では 被補助人 ともいいます ) を援助する人として補助人を選任します 補助人は, 本人が望む一定の事項についてのみ ( 同意権や取消権は民法 13 条 1 項記載の行為の一部に限る ), 保佐人と同様, 同意や取消しや代理をし, 本人を援助していきます 補助開始の場合は, その申立てと一緒に, 必ず同意権や代理権を補助人に与える申立てをしなければなりません また, 補助開始の審判をすることにも, 補助人に同意権又は代理権を与えることにも, 本人の同意が必要です 具体的な仕事内容は 17~21 ページをご覧ください 補助が開始されると 補助が開始されると, 家庭裁判所で定められた一定の法律行為について一人で行うことができなくなり, 補助人の同意が必要となったり, 補助人が代わって行うことになります - 5 -

7 後見, 保佐, 補助を開始する審判手続の違いや成年後見人, 保佐人, 補助人に与えられる権限の違いをまとめると, 次の表のとおりです 対象となる方 ( 本人 ) 申立てができる人 ( 申立人 ) 申立てについての 本人の同意 成年後見保佐補助 判断能力が全くない方 判断能力が著しく不十分な方 判断能力が不十分な方 本人, 配偶者, 親や子や孫など直系の親族, 兄弟姉妹, おじ, おば, 甥, 姪, いとこ, 配偶者の親 子 兄弟姉妹等 不要不要必要 医師による鑑定原則として必要原則として必要原則として不要 成年後見人等が同 意又は取り消すこ とができる行為 成年後見人等に与 えられる代理権 日常の買い物などの生 活に関する行為以外の 行為 財産に関する全ての法 律行為 重要な財産関係の権利を 得喪する行為等 ( 民法 13 条 1 項記載の行為 ) 申立ての範囲内で裁判所 が定める特定の行為 申立ての範囲内で裁判 所が定める行為 ( 民法 13 条 1 項記載の行 為の一部に限る ) ( 本人の同意が必要 ) 申立ての範囲内で裁判 所が定める特定の行為 ( 本人の同意が必要 ) ( 本人の同意が必要 ) 本人の状態を見て, 後見, 保佐, 補助のどれに該当するか明らかでない場合, 申立ての段階では, 診断書の内容に対応する類型の申立てをしていただくことで構いません 申立て後に行われる鑑定で, 申立ての類型と異なる結果が出たときには, 申立ての趣旨の変更という手続をすれば問題ありません 申立ての趣旨の変更には, 新たな費用負担は生じませんが, 申立ての趣旨の変更に伴い, 新たに代理権付与や同意権付与の申立てをする場合には, 別途申立手数料 ( 収入印紙各 800 円 ) が必要になります ただし, 成年後見, 保佐, 補助のいずれの開始の審判の申立てであっても, 裁判所の許可を受けなければ, 申立てを取り下げることはできません 5 任意後見制度について 任意後見制度とは, 将来自分の判断能力が不十分になった際に援助してもらう後見人を前もって指定し, 援助してもらう内容についても前もって具体的に定めておく制度です この制度を利用するためには, 本人にきちんとした判断能力があるうちに, あらかじめ, 公正証書によって, 後見人になってもらう予定の人と契約を結んでおく必要があります そして, 将来本人の判断能力が不十分になったときに, その契約に基づいて予定された人 (= 任意後見人 ) が本人を援助することになります なお, この契約は, 家庭裁判所が 任意後見監督人 ( 任意後見人の職務内容をチェックする人 ) を選任したときから, その効力が生じることになります 任意後見制度の詳しい内容や手続方法については, 最寄りの公証人役場でお聞きください - 6 -

8 申立ての仕方や手続について 6 申立てをする裁判所 ( 管轄 ) 申立ては, 本人の住所地 ( 生活の本拠地 ) を管轄する家庭裁判所にしてください 詳しくは, 最寄りの家庭裁判所にお問い合わせてください 松山家庭裁判所 所在地, 電話番号 松山市南堀端町 2-1 松山家庭裁判所大洲支部 大洲市大洲 845 松山家庭裁判所西条支部 ( 電話 ) ( 電話 ) 西条市明屋敷 165 松山家庭裁判所今治支部 ( 電話 ) 今治市常盤町 松山家庭裁判所宇和島支部 ( 電話 ) 宇和島市鶴島町 8-16 松山家庭裁判所愛南出張所 ( 電話 ) 南宇和郡愛南町城辺甲 3387 ( 電話 ) 管轄区域 松山市, 伊予市, 東温市, 上浮穴郡, 伊予郡, 喜多郡内子町の一部 ( 旧上 浮穴郡小田町 ) 大洲市, 八幡浜市, 喜多郡 ( 内子町 の旧小田町部分を除く ), 西宇和郡, 西予市の一部 ( 三瓶町 ) 西条市, 新居浜市, 四国中央市, 今 治市の一部 ( 友の浦の内, 梶島, 明 神島, 家島, 美濃島, 鼠島 ) 今治市 ( 友の浦の内, 梶島, 明神島, 家島, 美濃島, 鼠島を除く ), 越智 郡 宇和島市, 北宇和郡, 西予市 ( 三瓶 町を除く ) 南宇和郡 7 申立てができる人 申立てができる人は, 本人, 配偶者, 四親等内の親族 ( 下図に示した人 ), 成年後見人等, 任意後見人, 成年後見監督人等, 市区町村長, 検察官です 高祖父母 4 四親等内の図 曾祖父母 3 曾祖父母 3 祖父母 2 大おじ祖父母 2 大おば 4 おじおば 3 父母 1 父母 1 配偶者 3 おじおば 3 兄弟姉妹 2 配偶者本人配偶者兄弟姉妹 2 2 いとこ 4 甥姪 3 子 1 配偶者 1 子 1 配偶者 3 甥姪 3 孫 2 配偶者 2 孫甥姪の子 2 4 曾孫 3 配偶者 3 曾孫 3 親子には養親 養子も含まれます 数字は親等を示す 玄孫 4-7 -

9 自分一人で申立てや手続を進めていくことに不安を感じる方には, 弁護士や司法書士に相談することをお勧めします 8 申立てに必要な書類や費用 申立ての際は, 申立てに必要な書類等の 9~12 ページのチェック表 12 に記載された書類及び費用 ( 収入印紙, 郵便切手 ) を御用意ください 申立人は, 申立書に使用した印鑑 ( 認め印で構いません ) を必ず持参してください なお, 個々の申立ての内容により, 申立後にチェック表記載の書類以外の書類の提出を求めることがあります 申立てに必要な費用については, 裁判所の申立手数料及び東京法務局の登記費用のための収入印紙, 手続を進める上で必要な郵便切手のほか, 関係者の戸籍謄本などの申立てに必要な書類の交付手数料等に 1~2 万円程度かかる場合があります また, 申立後に本人の精神の状況について鑑定を実施することとなった場合, 鑑定費用として 10 万円前後を鑑定実施前に納付していただくことがあります ( 本人の状況により, 鑑定を行わない場合もありますので, 申立時に納付する必要はありません ) 申立費用 ( 鑑定費用を含む ) は, 原則申立人の負担となります これらの費用については, 家庭裁判所が事情により本人に負担させる判断をした場合, 選任された成年後見人等に対し, 本人の財産の中から償還を求めることができますので, 申立費用の本人負担を希望される場合は, 申立書の 費用上申 欄の 本件手続費用については, 本人の負担とすることを希望する に印を付けてください 鑑定について 鑑定を行う場合は, 通常, 本人の病状や実情をよく把握している主治医に鑑定をお願いしていますが, 事案によっては, 主治医に鑑定を依頼できない, 又は鑑定を引き受けていただけないこともあります その場合は, 主治医から他の医師を紹介していただくなど, 申立人に鑑定を依頼できる医師を探していただくことがあります 申立ての前 ( 申立てのための診断書を依頼する機会など ) に, 主治医に鑑定を引き受けていただけるかどうか, また鑑定費用についての意向などを聞くなどして, その結果を申立事情説明書 ( 11 本人の鑑定に関して の欄 ) に記入してください 鑑定を行うことになった場合には, 鑑定費用額や納付方法について, 家庭裁判所から連絡します 鑑定費用 ( 鑑定人への報酬 ) は, 鑑定人の意向や鑑定のために要した労力等を踏まえて決められます ( 本人の判断能力を判定するための作業であり, 一般の診察よりも時間や労力を必要とし, 健康保険の適用外になりますので,10 万円前後を目安とお考えください ) - 8 -

10 申立てに必要な書類等のチェック表 1 (1) 申立書類及び費用など 1 申立書類 申立書 申立事情説明書 親族関係図 本人の財産目録及びその資料 本人の収支目録及びその資料 2 費用 収入印紙 800 円分 同意権追加申立 +800 円分 代理権追加申立 +800 円分 同封の定型用紙を使用してください 22~37 ページの記載例をご参照ください 資料を除く各書類の写しも 1 部ずつ提出して 下さい 申立手数料用と登記申請用の収入印紙は, 分けて用意してください 申立手数料用 収入印紙 2,600 円分登記申請用 保佐又は補助開始における同意権及び代理権 付与の申立てには, 追加の収入印紙が必要です 郵便切手 3,540 円分 500 円 5 枚,82 円 10 枚,20 円 5 枚, 3 鑑定費用 10 万円前後 10 円 10 枚,1 円 20 枚 鑑定に伴う医師への報酬です 申立後に, 必要な方のみ納付していただきます (2) 申立人についての書類 (3か月以内に発行されたもの ) 4 現在の戸籍謄本本籍地の市区町村役場で発行 申立人と本人との関係を示す 4,5 以外の各戸籍謄本 7 の証明書交付申請の際に準備した戸籍謄本等をコピーしたものでも可 ( 但し, 申立時に謄本を提示すること ) ( 注 ) 申立人が候補者となる場合は,(4) の書類も必要です (3) 本人 ( 判断能力が不十分な人 ) についての書類 (3か月以内に発行されたもの ) 5 戸籍謄本本籍地の市区町村役場で発行 6 住民票 本人が申立人の場合は不要 ( 世帯全部, 省略のないもの ) 7 登記されていないことの証明書 8 診断書 ( 成年後見用 ) 及び診断書附票 ( 成年後見用 ) 申立人と本人の関係がわかる改製原戸籍, 除籍 謄本等が必要になる場合があります 住民登録先の市区町村役場で発行 本籍地役場で発行される戸籍附票でも可 最寄りの法務局又は地方法務局 (10 ページ参照 ) 医師に作成してもらう 可能な限り最新のものを準備してください この封筒の中に定型用紙があります - 9 -

11 (4) 成年後見人, 保佐人又は補助人の候補者についての書類 (3か月以内に発行されたもの ) 9 候補者事情説明書同封の定型用紙を使用してください 10 戸籍謄本 11 住民票 12 身分 ( 身元 ) 証明書 4と同じとなる場合は 1 通でかまいません 住民登録先の市区町村役場で発行 本籍地の市区町村役場で発行される戸籍附票でも可 本籍地の市区町村役場で発行 破産宣告などを受けていないことの証明書です (5) 親族に作成してもらう書類 13 同意書 ( 注 ) 同封の定型用紙を使用してください ( 注 ) 円滑に後見等の事務を行っていくためには, 手術の同意や実際の介護行為など, 本人の親族 の協力が必要ですので, 本人の親族に同意書を作成してもらい提出してください 同意書を作成してもらう範囲の親族は, 同居している親族及び本人の推定相続人 ( 一般的に は本人の配偶者と子, いない場合は本人の父母など ) です 本人が知的障害者の方で療育手帳をお持ちの場合は, 次の書類も提出下さい 14 療育手帳の写し身体障害の手帳ではなく, 知的障害の手帳です 任意後見監督人選任を申し立てる場合には, 次の書類も準備してください 15 任意後見契約書の写し 公証人に作成してもらいます 16 任意後見の登記事項証明書 東京法務局で発行 登記されていないことの証明書 について成年後見制度では, 後見等が開始された場合には, 本人の住所氏名や成年後見人等の氏名, 成年後見人等の権限などについてコンピュータ システムに登録することになっています ( 後見登記制度 ) 任意後見契約がされた場合にも同じように登録がされます 成年後見等の申立てをする際には, 同じ人に二重に後見等が開始されないように, 本人について, そのシステムに登記されていないことを証明する書類を提出してもらうことになっています これが 登記されていないことの証明書 です 登記されていないことの証明書 は, 最寄りの法務局又は地方法務局の窓口にて請求することができます ただし, 法務局の 支局 や 出張所 では取り扱っていませんのでご注意ください ( 松山地方法務局戸籍課 : 電話 ) なお, 郵送による請求も可能ですが, その場合には, 東京法務局にご請求ください 請求先は下記のとおりです ( 郵送請求は, 東京法務局の集中取扱いとなっています ) 東京都千代田区九段南 九段第 2 合同庁舎東京法務局民事行政部後見登録課電話 ( 代表 ) ( ダイヤルイン ) 登記されていないことの証明書 の申請書用紙を記入するに当たっては, 証明事項欄の 成年被後見人, 被保佐人, 被補助人, 任意後見契約の本人とする記録がない という項目に必ずチェックを入れてください

12 申立てに必要な書類等のチェック表 2 本人の財産内容 ( 亡くなられた親族から相続する財産がある場合はそれを含む ) を証明する資料として, 下記の書類を提出してください 書類申請の手続や手数料は, それぞれの発行機関にお問い合わせください (1) 不動産に関する資料 不動産登記簿謄本 固定資産評価証明書 法務局, 地方法務局又は支局で発行 不動産所在地の市町村役場毎年市町村役場から送付される固定資産税の納税通知書に同封されている 平成 年度固定資産税課税明細書 の写しでも可 (2) 預貯金に関する資料 預金通帳の写し 残高証明書 預金通帳をもっている人 事前に最新の残高等を記帳して, 表紙とその裏側及び最近 1 年分の出納がわかるページを全てコピーする 預金口座のある銀行などで発行 ( 預金通帳の写しを提出できない場合に提出 ) (3) 有価証券 ( 株券 国債 手形など ) に関する資料 取引残高報告書取引先の証券会社で発行 有価証券の写し証券を持っている人 表裏両面コピー ( 注 ) 国債をコピーすることは禁止されていますので, 必ず金融機関が発行する証明書を資料としてください (4) 生命保険等に関する資料 保険証書の写し 証書を持っている人 表裏両面コピー (5) 負債に関する資料 ローン契約書又は借用書本人 ( 債務者 ) 又は銀行などの債権者 の写し 支払明細書の写し銀行などの債権者で発行

13 (6) 収入内容を証明する資料 給与明細書の写し本人又は勤務先の会社等 年金証書の写し証書をもっている人 年金改定の通知書の写し住民登録先の市区町村を管轄する年金事務所 年金の振込口座の通帳の通帳をもっている人 写し (7) 支出内容を証明する資料 施設利用料, 入院費等の領本人の入院している施設又は病院 収書の写し 健康保険料納付書の写し住民登録先の市町村役場 介護保険料納付書の写し住民登録先の市町村役場 固定資産税納付書の写し物件所在地の市町村役場 地代, 家賃などの領収書の家主などの貸し主又は管理会社など 写し

14 9 標準的な審理の流れ (1) 申立て 窓口に持参して提出する場合 郵送して提出する場合 申立後は, 裁判所の許可を受け なければ, 申立てを取り下げるこ とはできません (2) 調査 申立ては, 事件受付窓口に持参する方法又は郵送による方法のいずれでも結構ですが, 提出書類に不備等があった場合や手続の迅速な進行のために必要な資料の提出をお願いする場合は, 後日改めて家庭裁判所にお越しいただくことがあります 事件受付窓口に持参する場合は, 申立書及び必要添付書類に記入漏れ等の不備がないか確認し, 不備等があればその場で訂正等を行っていただきますので, 申立書に押印した印鑑を準備の上, 時間に十分な余裕を持たせて来庁してください 1 申立人及び成年後見人等候補者からの事情聴取 2 親族の意向の把握申立人からは, 申立時に提出していただく 申立事情説明書 に基づいて, 申立てに至る事情, 本人の生活状況, 判断能力及び財産状況, 本人の親族らの意向等について説明を伺います このうち, 本人の財産状況に関しては, 申立事情説明書 と併せて 財産目録 と 収支目録 を提出していただきますが, 申立時に把握している範囲で結構です 財産目録 には, 不動産登記簿謄本, 預貯金通帳や有価証券類等のコピーを, 収支状況報告書 には領収書等のコピーを添付していただくようお願いしておりますので, あらかじめ御用意ください 成年後見人等候補者からは, やはり申立時に提出していただく 後見人等候補者事情説明書 に基づいて, 欠格事由の有無, その適格性に関する事情を確認いたします 家庭裁判所は, 審理の参考とするため, 本人の親族に対して, 書面等により, 申立ての概要及び成年後見人等候補者の氏名を伝え, これらに関する意向を照会することがあります

15 (3) 本人調査 ( 本人との面接 ) 本人の意思を尊重するため, 申立ての内容などについて本人からご意見を直接伺うことがあります 本人調査の際には, 本人に家庭裁判所にお越しいただくことがありますが, 入院又は体調不良等によってお越しいただくことが困難な場合は, 後日, 家庭裁判所の担当者が入院先等に直接伺います なお, 補助開始の場合や, 保佐開始で代理権を付ける場合は, 本人の同意が必要となりますので, 本人調査の手続の中で同意の確認も行います (4) 鑑定 ( 医師による鑑定 ) 本人に判断能力がどの程度あるかを医学的に判定するための手続です 鑑定とは, 申立時に提出していただく診断書とは別に, 家庭裁判所が医師に鑑定を依頼する形で行います ( 鑑定依頼から鑑定書が提出されるまで,1か月程度要することがあります ) なお, 親族からの情報や診断書の内容などを総合的に考慮して本人の判断能力を判断できる場合は, 鑑定が省略されることもあります (5) 審判 ( 後見等開始 成年後見人等の選任 ) 審判書の送付 ( 成年被後見人には通知のみ ) 鑑定や調査が終了した後, 家庭裁判所は, 後見等を開始するかどうかの審判をし, 開始する場合には併せて最も適任と思われる方を成年後見人等に選任します また, 保佐開始や補助開始の場合には, 必要な同意 ( 取消 ) 権や代理権も定めます 申立てを受け付けてから審判となるまで, 事案により異なりますが,2か月程度かかります 誰を成年後見人, 保佐人又は補助人に選任するかは, 家庭裁判所が本人の生活状況や財産状況, 今後予想される本人のための事務等を考慮して決めますので, 申立書に記載している候補者が必ず選任されるわけではありません 弁護士や司法書士, 福祉関係の専門家等にまかせたほうが適当な場合には, そうした専門家を

16 選ぶことになります 後見人等を同時に2 人以上の人になってもらうことや監督人を選任することもあります なお, 次の人は成年後見人等になることができません ( 欠格事由 ) 1 未成年者 2 成年後見人等を解任された人 3 破産者で復権していない人 4 本人に対して訴訟をしたことがある人, その配偶者又は親子 5 行方不明である人 (6) 審判の確定と東京法務局への登記申請 審判書が成年後見人等に届いてから2 週間以内に, 不服申立てがされない場合は, 後見等開始の審判の法的な効力が確定します 後見等を開始する旨の審判に不服がある場合, 法律に定める者は, この2 週間の間に不服申立て ( 即時抗告 といいます ) の手続をとることができます しかし, 誰を成年後見人等に選任するかという点について不服申立てをすることはできません 審判確定後, 家庭裁判所が, 東京法務局に審判内容を登記してもらうよう依頼します ( 戸籍に記載されることはありません ) 審判確定後 2 週間程度で成年後見人等には家庭裁判所から登記番号を通知しますので, その番号をもって, 東京法務局か県庁所在地等の法務局へ登記事項証明書を金融機関への届出等必要に応じて入手してください ( 郵送取り寄せもできます ) 成年後見人等の事務初回財産目録 収支予定目録の作成及び提出 成年後見人等は, 速やかに本人の財産調査や年間の収支状況調査を行 い, 財産目録及び収支予定目録並びにその資料 ( 通帳の写しなど ) を, 就 任後 1 か月以内に家庭裁判所へ提出しなければなりません

17 10 後見制度支援信託について 一定の財産がある場合, 第三者専門職を成年後見人に選任した上で, 第三者専門職後見人に後見制度支援信託 ( 後見制度において利用する信託の概要 ご覧ください ) の利用を検討してもらうことがあります 後見制度支援信託を利用する場合, 日常的な支払に必要な預貯金は親族の成年後見人に管理をお願いしますが, それ以外の預貯金は信託銀行等に信託することになります 後見制度支援信託の利用には, 信託銀行等の信託報 酬がかかる場合があります 11 成年後見人等への報酬について 家庭裁判所は, 後見人及び被後見人の資力その他の事情によって, 被後見人の財産の中から, 相当な報酬を後見人に与えることができるものとされています ( 民法 862 条 ) 成年後見監督人, 保佐人, 保佐監督人, 補助人, 補助監督人及び任意後見監督人についても同様です 成年後見人等に対する報酬額は, 成年後見人等からの報酬付与の申立てを受けて, 家庭裁判所が対象期間中の後見等の事務内容 ( 財産管理及び身上監護 ), 成年後見人等が管理する被後見人等の財産の内容等を総合的に考慮して決めます

18 成年後見人, 保佐人, 補助人になろうとする方へ 12 成年後見人 ( 保佐人, 補助人 ) の職務について (1) 仕事の始まり ( 財産目録及び収支予定目録の作成 ) 成年後見人に選任された方は, 本人の今後の生活の経済的基礎を把握するため, まず財産目録を作成し家庭裁判所に提出するとともに, 年間の収支予定を立てなければなりません 特に, 後見人は, この財産目録の作成が終わるまでは, 急迫の必要がある行為しかできないことが法律で定められていますので注意してください ( 民法 854 条 ) 財産目録及び収支予定目録は, 就任後 1か月以内に家庭裁判所へ提出しなければなりません ( 民法 853 条 1 項本文 ) なお,1か月以内に財産調査が終了できない事情がある場合は, 財産目録作成期間の伸長の審判の申立 ( 民法 8 53 条 1 項ただし書 ) を行ってください (2) 成年後見人, 保佐人, 補助人に共通すること成年後見人等は, 申立てのきっかけになったこと ( 例えば, 保険金の受取りや預貯金の引出し, 遺産分割など ) が終わった後も, 本人を法的に保護しなければなりません 本人の財産管理は, 本人の利益を損なわないよう, 元本が保証されたものなど安全確実な方法で行うことを基本とし, 投機的な運用はしないでください ( 本人の利益に反して本人の財産を処分 ( 売却や贈与など ) してはいけません 成年後見人とその配偶者や子, 孫など ( 親族が経営する会社も含む ) に対する贈与や貸付けなども原則として認められません ) 後見の任務に適さない不適切な財産管理本人の預貯金を, 他人名義の預貯金口座で管理すること本人が受取人となっている保険金を, 他人名義の預貯金口座に入金すること株式等への投資など, リスクのある投機的な資金の運用をすること本人の財産を担保にして借金をすること贈与, 寄付, 貸付及び一時借用をすること本人に扶養義務のない者の生活費を負担すること本人が相続人となっている遺産分割において, 本人の法定相続分を確保しないことその他, 本人に不利益となること

19 相続税対策を目的とする贈与等についても同様です 本人の財産を減ら すことになり, また, ほかの親族との間で無用の紛争が発生するおそれが あるからです 本人の財産から支出できる主なもの 本人自身の生活費 本人が第三者に対して負っている債務の弁済金 成年後見人等がその職務を遂行するために必要な経費 本人が扶養義務を負っている配偶者や未成年の子などの生活費など 身内や親しい友人の慶弔の際に, 常識的な金額の範囲内で支払う祝儀や香典等については, 本人の財産からの支出が一切認められないというものではありません ただし, これらの支出の必要性, 相当性については, 本人の生活費や必要経費よりも一層慎重な判断が必要です 成年後見人等に不正な行為, 著しい不行跡その他後見の任務に適さない事由 ( 報告書等の提出期限を守らない又は裁判所からの出頭要請に応じないなど ) があるときには, 解任されることがあります また, これとは別に, 不正な行為によって本人に損害を与えた場合には, その損害を賠償しなければなりません さらに悪質な場合には, 業務上横領罪 ( 刑法 253 条 ) 等の刑事責任を問われることがあります (3) 成年後見人の主な職務成年後見人は, 本人の財産の全般的な管理権とともに代理権を有します つまり, 本人の意思を尊重し, かつ, 本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら ( 身上配慮義務 ), 財産を適正に管理し ( 財産管理義務 ), 必要な代理行為を行っていきます そして, それらの内容がわかるように記録しておくとともに, 原則として毎年 1 回家庭裁判所に報告しなければなりません ( 報告義務 ) 具体的には, 本人の財産が他人のものと混ざらないようにする, 通帳や証書類を保管する, 収支計画を立てる等の財産管理をするとともに, 本人に代わって預金に関する取引, 治療や介護に関する契約の締結等, 必要な法律行為を行います

20 (4) 保佐人の主な職務保佐人の主な職務は, 本人の意思を尊重し, かつ, 本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら ( 身上配慮義務 ), 本人に対し適切に同意を与えたり, 本人に不利益な行為を取り消すことです 特定の行為について, 代理権を行使する場合もあります そして, それらの内容について定期的に家庭裁判所に報告しなければなりません ( 報告義務 ) 具体的には, 本人が重要な財産行為を行う際に同意をすることや, 本人が保佐人の同意を得ないで重要な財産行為をした場合にこれを取り消すことができます また, 代理権付与の申立てが認められれば, その認められた範囲内で代理権を有し, これに対応した限度で本人の財産の管理権を有することになります ( 財産管理義務 ) また, 年月の経過により, 本人の判断能力に変化があると認められる場合は, 診断書を提出してもらうことがあります (5) 補助人の主な職務補助人の主な職務は, 本人の意思を尊重し, かつ, 本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら ( 身上配慮義務 ), 本人に対し適切に同意を与え, 本人の行為の取消権又は代理権の行使をすることです そして, それらの内容について定期的に家庭裁判所に報告しなければなりません ( 報告義務 ) 代理権付与の申立てが認められれば, 認められた範囲内で代理権を有し, これに対応した限度で本人の財産の管理権を有することになります ( 財産管理義務 ) また, 年月の経過により, 本人の判断能力に変化があると認められる場合は, 診断書を提出してもらうことがあります 13 後見等監督について (1) 後見等監督とは後見監督, 保佐監督, 補助監督 ( 以下 後見等監督 といいます ) とは, 家庭裁判所が, 成年後見人等に対して, 後見等の事務を適切に行っているかどうか確認し, 問題があれば, これを是正するように指導監督することをいいます 成年後見人等は, 原則として毎年 1 回本人の誕生月の翌月 15 日までに, 本人の現状や財産状況について, その裏付けとなる通帳や領収書等のコピーを添付して, 自主的に家庭裁判所に報告しなければなりません

21 また, 家庭裁判所は, 成年後見人等に対し, 照会書を送付して, 後見事務の状況について報告を求めることもあります 照会書が送られてきた場合には, 成年後見人等は, 本人の収支の状況, その他照会内容に対応した報告を家庭裁判所にしなければなりません そのため, 日ごろから, 領収書や取引に関する書類をきちんと保管するとともに, 収支状況を把握しておく必要があります 事案によっては, 弁護士や司法書士などの専門職を後見等監督人に選任する場合があります その場合は, 報告の回数, 時期及び内容は後見等監督人の指示に従ってください (2) 家庭裁判所の許可が必要な場合成年後見人等が次の行為をする場合は, 事前に家庭裁判所の許可が必要となります 1 本人の居住用不動産について, 売却, 賃貸, 抵当権の設定のほか, 建物を取り壊したり, 賃借物件であるときは賃貸借契約の解除をする場合などには, 居住用不動産の処分許可の申立て が必要です 居住用不動産とは, 本人が居住するための建物又はその敷地 ( 現に 住んでいる建物等だけでなく, 施設入所中 入院中の者が施設等を 出たときに住むべきものを含む ) のことを指します 2 本人と成年後見人等がいずれも相続人である場合に遺産分割協議をしたり, 成年後見人等が本人所有の不動産を買い取る等, 本人と成年後見人等との間において利益が相反する場合, 特別代理人( 臨時保佐人, 臨時補助人 ) の選任の申立て が必要です 3 成年後見人等が本人の財産から一定の報酬をもらう場合, 報酬付与の申立て が必要です 14 成年後見人 ( 保佐人, 補助人 ) の仕事が終わるとき 一度, 成年後見人等に選任されますと, 申立てのきっかけとなったこと, たとえば 保険金をもらう とか 遺産分割をする といった手続が終わったとしても, 成年後見人や保佐人, 補助人らの仕事は終わるわけではなく, その後も, 本人の判断能力が保護を要しない程度に回復したとき又は本人が亡くなるまで, 財産管理などの仕事は続きます 辞任するには家庭裁判所の許可が必要であり, 成年後見人等自身が, 病気

22 などのためその仕事をすることができなくなったなど正当な事由がある場合に限られます (1) 本人が死亡したとき本人が死亡した場合には, 後見等自体が終了することになりますから, 速やかに家庭裁判所に連絡してください そして, 本人の相続人に報告し, 管理していた財産を引き継いでください (2) 成年後見人等の辞任成年後見人等は, 病気などやむを得ない事情がある場合は, 家庭裁判所の許可を得て, 辞任することができます ただ, 辞任しても後見等は終了しませんから, 後見人等辞任の許可の申立て のほか, 別途, 後任の 後見人等選任の申立て が必要です 辞任が許可され, 新たな成年後見人等が選任された場合には, 後任の後見人等に引継ぎを行うことになります (3) 本人の判断能力が保護を要しない程度に回復したとき本人の判断能力が, その開始の審判による保護を要しない状態に回復した場合 ( 更に能力が低下したことによる法定後見の類型変更は含まない ) は, 本人の判断能力についての医師の診断書などを添付して, 当該開始の審判の取消しの審判申立てを行ってください