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ゆゆこわかはら
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1 3.2 地震情報収集提供システムの開発目次 (1) 業務の内容 (a) 業務題目 (b) 担当者 (c) 業務の目的 (d) 5ヵ年の年次実施計画 (2) 平成 19 年度の成果 (a) 業務の要約 (b) 業務の実施方法 (c) 業務の成果 (d) 結論ならびに今後の課題 (e) 引用文献 (f) 成果の論文発表口頭発表等 (g) 特許出願ソフトウエア開発仕様標準等の策定 21

2 (1) 業務の内容 (a) 業務題目地震情報収集提供システムの開発 (b) 担当者防災科学技術研究所地震研究部小原一成 (c) 業務の目的本サブテーマでは即時的地震情報の基になる高感度地震観測網の地震データの即時収集および地震情報の即時配信に関わる機能を実現するシステムを構築することを目的とする社会的な影響の大きいデータの集配信でありシステムの構築に当たっては運用中の観測網への適用を考慮し限られた経費で可能な限り高い信頼性長期にわたって安定して情報提供が可能な運用の簡易性はもちろん地震災害発生時にも機能停止しないアベイラビリティが求められる当然のことながら一過性のシステム構築にて終わるものではなく永続的に性能を維持することが求められる既存の観測網の観測点設備であるセンサ AD コンバータテレメータおよびデータセンタの処理装置類のアプリケーションおよびハードウェアを変更することなくデータ集配信を行うシステムへの接続が可能である設計であることさらに将来的に上記観測網に適用されることをふまえ十分な拡張性を備えるようあらかじめ考慮しなければならない (d) 5 年間の年次計画 1 年目 ( 平成 15 年度 ) に基本システムの構築及び基本的性能に関する実証的調査 2 年目 ( 平成 16 年度 ) にシステムの安定性に関する実証的調査を実施し 3 年目 ( 平成 17 年度 ) は高感度地震観測網 Hi-netに導入されたNTTコミュニケーションズ株式会社が独自開発した実験 IPインフラ ( 商品名 EarthLAN) の実稼動状況確認等を行った 4 5 年目 ( 平成年度 ) は Hi-netにおけるデータ伝送網稼働状況について確認作業を継続する (2) 平成 19 年度の成果 (a) 業務の要約地震情報の収集 / 配信の高速化及び標準フォーマットプラグインの作成を行い様々な地震情報を迅速に発信でき安定稼動するシステムの開発を行うものであるが基本システムは平成 15 年度に完成した平成 16 年度は実際の地震波形連続データをIP-VPNを利用してデータ伝送しデータの保証複製同報高速伝送などの機能について検証を行い伝送遅延に関してはアダプタ間で1 秒以下であることが実証され他の機能に関しても問題ないことがわかった平成 17 年度は 1Hi-netに導入された実験 IPインフラの実稼動状況の確認 2 気象庁緊急地震速報配信に向けた複数の伝送路 (IP-VPN フレームリレーアクセス ( 以下 FR) IP-SecによるインターネットVPN 環境でのフレッツADSL( 以下 ADSL) フレッツISDN( 以下 ISDN)) によるデータ配信が確実かつ迅速に伝送できるかに関する性能差異の調査及び配信系におけるインターネット活用のための検討を 22

3 行った平成 18 年度及び19 年度はHi-netにおけるデータ伝送網稼働状況について確認を行なった (b) システム概要 1) システムの概念本システムは地震情報の収集 / 配信の高速化を目指し様々な地震情報を迅速に発信でき安定稼動するシステムの開発を行うものであるが基本的には各観測システム処理システムの違いをアダプタにおけるフォーマット変換で吸収しデータ伝送にかかわるネットワークプラットフォームを完全共有化することによって実現しようというものであるシステムの概念を図 1に示す従来システム独自独自 NW システム独自インタフェース独自インタフェース機関 A 構築システム独自インタフェース独自インタフェース機関 B 構築システム観測点 / テータセンタプラットフォームの共通化実用化システム本システムの適応範囲独自インタフェース独自インタフェース独自インタフェース独自インタフェース機関 A 機関 B 既存そのまま図 1 システム概念図 2) システム要件本システムを評価するにあたって目標としたシステム要件を列挙するなお既存システム以上の機能性能を実現することを目標としているが定量的な目標値を決定 23

4 するにあたっては主にデータ収集システムとしてデータ量が多く常時リアルタイムデータ伝送を行っているHi-net を比較対象とした伝送遅延: 伝送遅延はおおむね一秒前後であること信頼性: データの消失がなく ( 再送による補完されている ) データのボディの破壊がない ( データの正当性が確保されている ) ことスケーラビリティ: 将来的にHi-net 全点に展開した場合でも対応できる構成であることフォーマット非依存性: データフォーマットを意識せず伝送が可能で複数フォーマット混在状態に対応できる仕組みであることまた収集システムにて毎秒 1 パケット以上が送出されるデータ地震の震度情報配信にて数日間に一回程度の間欠データのいずれのデータ発生頻度にも対応できる仕組みであること既存システムとの整合性: 既存の配信系システムである防災科学技術研究所が開発中のリアルタイム地震情報システム収集系システムであるHi-net の両方のデータを処理するインタフェースを有しデータの送受信機能を提供できることまた既存システムとの接続にあたってはセキュリティを確保できるシステムであること 3) システム特性本システム全般で次の品質特性を考慮した機能性全体として WAN 回線により接続されている観測網を中心とした多拠点間通信において機器故障や網輻輳などでデータ損失しない伝送保証とリアルタイム伝送 ( 低遅延化 ) を両立させるここでの伝送保証とは RFC にて認知されているセッション層プロトコルを単に実装するのではなくコネクション管理経路管理再送管理輻輳制御フロー管理を上位のアプリケーションで保証することを差すリアルタイム伝送については観測点からデータセンタまでの伝送遅延を既存観測網より大幅に低減させる移行性本システムの接続に当たっては既存設備に改修を加える必要がないもしくは簡易な設定変更でシステムへの接続が可能である拡張性本システムの構成を適用し既存配信系システムや既存観測網へ展開した場合も拠点拡充による新たな開発を必要としないまた既存の各システムへ展開した場合も性能が劣化しないことが試験等の結果により証明できる運用性本システムにおける運用が容易簡便であることのほか既存配信系システムおよび既存観測網へ展開後も同様に運用できる 4) システム構成本システムは各観測機器送受信端末を一様にADP と呼ぶ装置にて接続し共通の通信 AP( コアAP) で伝送制御を行うことにより低遅延伝送データ伝送の高信頼性さらには複製同報といったさまざまな機能を実現しているまた各観測機器送受信端末は既存システムのものを改修することなく本システム側でソケットAP にてインタフェース要件を合致させ接続しているこのためさ 24

5 まざまな独自インタフェースの観測機器処理装置間のデータ伝送をデータフォーマットや発生頻度などを意識せず一様に扱うことが可能となる図 2にシステム構成を示す通信アプリケーションとしては実験 IPインフラを利用した本システムでは異なるフォーマットのデータを同一システムで伝送する地震波形データの伝送用にHi-net で標準仕様とされているWin32 フォーマットのほか将来的に気象庁や大学で標準仕様とされているWin1 フォーマットその他地震情報を即時伝達するためのナウキャストフォーマット少なくとも3 種類のデータフォーマットに対応しなければならないまた既存のデータ流通機能に相当する複製同報やフォーマット変換再送などの仕組みを同時に実装する将来的にさまざまな種類のデータをフレキシブルかつ一元的に伝送できる仕組みにするためデータの伝送に関する中心的な働きをなすコア部分はデータフォーマットに依存しないアプリケーションを実装するこのコアアプリケーションは地震データの伝送に限定されることはなく一般的に非同期なデータの伝送を行うコアアプリケーションではデータ欠落のない信頼性の高い伝送品質とともに複数受信機関向けの同報処理 NW 輻輳を避ける負荷分散や優先制御処理を実現するコア部分と既存 HW インタフェース間のデータ処理を行う部分をソケットと呼ぶソケットでは観測点テレメータとデータセンタ処理装置などの既存機器とコアアプリケーションの間のハンドリングを行う配信系システムにおいてはコアアプリケーションからデータを受け取り表示端末 ( ノートPC) に引き渡す収集系システムにおいては Win32 データフォーマットで観測点テレメータからデータを受信しコアアプリケーションに引き渡すソケットアプリケーションについては現在運用中の各システムの処理内容を考慮した上で整合性親和性を確保した ADP アユーザ入力ユーザ実用化システム ( ハードウェア類 ) アクセス( 実験 IPインフラ網コアアプリケーション ( 注 )) クセス網ADP 出力図 2 システム構成概略図 ( 注 ) 本システムではコアアプリケーションとしてNTTコミュニケーションズ株式会社の実験 IPインフラを使用している実験 IPインフラはユーザにフレキシブルで信頼性の高いデータ伝送機能を提供するNTTコミュニケーションズ株式会社の実験システムである 5) システム機能 1. データ転送再送機能 ADP にてデータを受取り制御情報をカプセリング化して転送する欠落データは 25

6 自動再送により補完し信頼性を向上させる 2. データアーカイブ機能複数個所でデータアーカイブし複数利用者からのデータ配信要求にそなえるとともに網故障の際には再送動作をおこなう 3. データ複製同報機能データを複数 ADPに複製し配信する 4. データ負荷分散機能データ種別により経路を変更することで受信側の負荷を分散させる 5. データ優先制御機能データ種別により優先度をつけて送信することで網輻輳時重要データの喪失を防ぐ 6. 稼動情報提供機能システム全体の稼動状態 (NW 状態データ送出量再送データ量喪失データ量 ) を常時モニタし統計情報を提供する (c) 業務の成果基本的機能に関する試験及びデータ伝送の長期的安定性に関する試験は平成 15 年度平成 16 年度に実施済みである平成 17 年度に関しては Hi-netへの実験 IPインフラ導入後の実稼動状況及びデータ配信の際に利用する可能性が高い伝送路品目について性能差異に関する試験を行った平成 18 年度は引き続きHi-netに導入されたデータ伝送システムの稼働状況の確認を行なった平成 19 年度においても引き続きHi-netに導入されたデータ伝送システムの稼働状況の確認を行なった以下では比較的大きな地震発生時におけるデータ伝送システムにおける影響について示す 1) 調査対象概要平成 20 年 3 月 24 日福島沖における有感地震発生時におけるリアルタームデータ伝送状況の分析を行うため下記の項目について情報をまとめたリアルタイムデータ伝送受信数: 観測点からEarthLANを通じてHi-netシステムへリアルタイムにデータ伝送を行っているパケット数リアルタイムデータ欠損数: 観測点からEarthLANを通じてHi-netシステムへリアルタイムにデータ伝送を行うことができなかったパケット数リアルタイム遅延時間: 観測点ロガーから受信した時点からEarthLANにより防災科学技術研究所サイトへデータ伝送に要する時間調査対象期間として12 時 40 分の1 分前後及び5 分前後における状況を整理した TDXからの受信データは対象外とする 26

7 a) 平成 20 年 3 月 24 日 12 時 39 分から 12 時 42 分における 1 秒単位でのデータ受信量分 00 秒 39 分 30 秒 40 分 00 秒 40 分 30 秒 41 分 00 秒 41 分 30 秒地震発生 1 分前後においてリアルタイムデータの受信には影響がなく安定的にデータ受信を行っていた b) 平成 20 年 3 月 24 日 12 時 39 分から 12 時 41 分における 1 秒単位での遅延時間 ( 単位 : ミリ秒 ) 分 00 秒 39 分 30 秒 40 分 00 秒 40 分 30 秒 41 分 00 秒 41 分 30 秒地震発生してから1 分後あたりから1kHzのイベントデータ受信を行っているため遅延時間が増加していると思われる 27

8 c) 平成 20 年 3 月 24 日 12 時 35 分から 12 時 46 分における 1 秒単位でのデータ受信量分 00 秒 36 分 00 秒 37 分 00 秒 38 分 00 秒 39 分 00 秒 40 分 00 秒 41 分 00 秒 42 分 00 秒 43 分 00 秒 44 分 00 秒 45 分 00 秒地震発生 5 分前後においてリアルタイムデータの受信には影響がなく安定的にデータ受信を行っていた d) 平成 20 年 3 月 24 日 12 時 35 分から 12 時 46 分における 1 秒単位での遅延時間 ( 単位 : ミリ秒 ) 分 00 秒 36 分 00 秒 37 分 00 秒 38 分 00 秒 39 分 00 秒 40 分 00 秒 41 分 00 秒 42 分 00 秒 43 分 00 秒 44 分 00 秒 45 分 00 秒地震発生してから12 時 41 分から43 分頃において1kHzのイベントデータ受信を行っているため遅延時間が増加していると思われる e) 考察平成 20 年 3 月 24 日福島沖における有感地震発生時においても下記の理由により EarthLANは安定してリアルタイムデータ伝送を行うことができたと考える地震発生 1 分前後 5 分前後においてリアルタイムデータ受信量に変化はなかった 28

9 ( 参考資料にある1 日単位での状況を見ても大きな変化は見られなかった ) 地震発生後 1 分から3 分後に1kHzイベントデータのデータ受信により遅延時間は一時的に大きくなっているが地震によるデータ遅延は発生しない (d) 結論ならびに今後の課題本研究成果に基づく IP-VPN を利用したデータ伝送 EarthLAN が高感度地震観測網 Hi-net に導入され伝送遅延や安定性などの確認を行なった結果非常に有効であることが実証された EarthLAN は平成 20 年 3 月現在では防災科研の基盤的地震観測網 H-net/F-net のデータ収集に利用されるだけでなく気象庁においても導入されており徐々にそのユーザーを増やしつつあるコスト的には従前のシステムに比べると安価になっているものの最近の信頼性を重視しない格安の通信サービスに比べると割高となっている今後はよりリアルタイム性を追求する場合においては 1 秒パケットからさらに分割したパケット伝送も視野に入れるなどさらに技術改良を重ね信頼性を損なわずに安価な通信サービスとすることによってユーザーの獲得を目指しそれが低コスト化に繋がるものとして大いに期待されるところであるこのリーディングプロジェクトは緊急地震速報の実運用への道を導いたということで大きな成功を収めたものであるが要素技術として新たな通信サービスの基礎を形成しその部分での商品化に成功したという観点においても大きな成果として挙げられるものである今後の通信速度信頼性向上低価格化はまた新たなシステム構築とそれに伴う経済活性化を導くであろう (e) 引用文献なし (f) 成果の論文発表口頭発表等小原一成汐見勝彦針生義勝松村稔島貫卓 (2008): データ伝送ネットワークプラットフォームの開発と Hi-net システムへの実用化,2008 年地球惑星科学連合合同大会,S144. (g) 特許出願ソフトウエア開発仕様標準等の策定なし 29

スライド 1

スライド 1 ADVNET2016 @ 小柴ホール事例紹介全国地震データ流通ネットワークと熊本地震の臨時観測について鷹野澄 1 酒井慎一 1 中川茂樹 2 鶴岡弘 1 1 東京大学地震研究所 2 気象庁 1 2016/10/14 我が国の地震観測網 ( 高感度 + 広帯域地震観測データ ) 広帯域地震観測点 ( 約 120 地点 ) 高感度地震観測点 ( 約 1200 地点 ) + 臨時観測 2 観測機関