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1 平成 24 年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 ( 待機時消費電力調査 ) 報告書概要 資源エネルギー庁省エネルギー対策課 1. はじめに 近年の内外におけるエネルギー消費量の著しい増加 国際的な地球環境問題への関心の高まりなどの状況の下 エネルギー消費と密接に関連する地球温暖化問題などの解決に向け エネルギー需要の伸びを低い水準で抑えていくことが喫緊の課題となっている 特に 我が国のエネルギー消費を部門別に見ると 民生部門は 運輸部門とともに高い伸びを示しており 民生部門の一層強力な省エネルギー対策の推進を図ることが必要不可欠な状況となっている 一方 電気機器およびガス 石油機器で消費される電力には 使用している時に消費される電力のみならず 使用していない時にも消費される電力があり これが 待機時消費電力 と呼ばれている この待機時消費電力の問題は国際的な課題として 国際機関や各国において研究や削減への取り組みが行われている また 我が国においても 京都議定書目標達成計画 の中で この待機時消費電力の削減が地球温暖化対策の一つとして挙げられている これらの状況を鑑みると 伸び続ける民生部門のエネルギー需要 とりわけ家庭部門のエネルギー需要を抑制し 我が国のエネルギー利用の効率化と省エネルギーの進展を図るためには 機器の更なる省エネルギー化 および機器に使用されるデバイスの低損失化に加え 待機時消費電力の削減が重要な課題であると考えられる そこで 本事業では 家庭における待機時消費電力に関する調査により 一世帯あたりの年間の待機時消費電力量の推計やメーカーなどの待機時消費電力削減に向けた取り組み状況などを取りまとめ 今後の待機時消費電力削減の可能性や削減に向けた課題の抽出などを行うことを目的とする 2. 事業概要 本事業は以下の5つの事業から構成される 家庭所有機器の使用実態調査( 使用実態調査 ) 家庭所有機器の待機時消費電力調査( ストックベース調査 ) 現販売機器の待機時消費電力調査( フローベース調査 ) 待機時消費電力量の推計 待機時消費電力量削減の可能性および今後の課題 使用実態調査では 全国の一般世帯に対し 家庭で所有されている待機時消費電力が発生すると考えられる電気機器およびガス 石油機器などの所有台数とその使用時間や非使用時のコンセントへの接続状況などの使用状況に関する項目を調査する これにより 機器の種類ごとに保有 i

2 率と待機時消費電力発生時間をまとめ 家庭における待機時消費電力量の推計に活用する また 機器の使用状況や使用方法が待機時消費電力に与える影響などの分析を行う ストックベース調査では 実際に家庭で使用されている電気機器およびガス 石油機器などの待機時消費電力を計測する これにより 機器の種類ごとに待機時消費電力をまとめ 家庭における待機時消費電力量の推計に活用する また 計測による待機時消費電力の状況などの分析を行う フローベース調査では 日本国内で電気機器およびガス 石油機器などを販売しているメーカーなどに対して 販売されている機器の待機時消費電力と メーカーの待機時消費電力削減の取組状況などを調査する これにより 現在販売されている機器の種類ごとに待機時消費電力をまとめ 家庭で所有されている機器が現在販売されている機器に置き換わった場合の待機時消費電力量の推計などに活用する また メーカーの取組状況などの分析を行う 使用実態調査とストックベース調査を踏まえ 一世帯あたりの年間の待機時消費電力量や機器の使用方法による待機時消費電力量の削減量を推計し 全体や個別機器ごとに過去との比較などの分析を行う 使用実態調査とフローベース調査を踏まえ 家庭で所有されている機器を現在販売されている機器に置き換えた場合の一世帯あたりの年間の待機時消費電力量を推計し 家庭全体や個別機器ごとの分析を行う 本調査結果を踏まえ 今後の家庭やメーカーの取り組みによる全体の待機時消費電力量の削減の可能性や使用方法の改善などに向けた課題を抽出する また 平成 11 度に待機時消費電力調査を実施するにあたり 待機時消費電力の定義を定め 平成 20 年度まで同じ定義による継続調査を実施している 他方 近年の機器の多機能化に加えて使用状況も多様化が進んでおり システムも複雑になりつつあることから 日本の業界団体などにおける定義や海外における定義など最新情報を収集し 平成 11 年度に定められた定義との相違点について整理し 新たな定義に変更した場合の継続性の問題や今後の課題の抽出などを行う 事業の構成 ii

3 3. 結果概要 家庭における機器の保有状況 待機時間 待機時消費電力に関する調査結果より 一世帯あたりの待機時消費電力量は228kWh/ 年と推計される これは 併せて本調査で集計した一世帯あたりの全消費電力量 4,432kWh/ 年の5.1% に相当するものである 家庭の消費電力量 4,432kWh/ 年 世帯 待機時消費電力量 228kWh/ 年 世帯 5.1% 機器使用による消費電力量 94.9% 家庭の消費電力量に占める待機時消費電力量の割合 待機時消費電力量が多い機器はガス温水器 テレビ 冷暖房兼用エアコン 電話機 BD HDD DVDレコーダーなどである また 大区分別では 映像 音響機器 給湯機器 情報 通信機器などが大きな割合を占めている その他 32% ガス温水器 19% テレビ 10% 照明 その他機器 15% 冷暖房 空調機器 11% 映像 音響機器 28% インターホンセット 2% パソコンネットワーク機器 3% 温水洗浄便座 5% 電話機 8% 冷暖房兼用エアコン 8% 情報 通信機器 19% 給湯機器 27% 電子レンジ オーブンレンジ 3% パソコン 4% BD HDD DVD レコーダー 6% ガス温水器は ガス給湯器 ガス給湯付きふろがまを含む 待機時消費電力量機器別構成比 iii

4 今回推計された一世帯あたりの待機時消費電力量 228kWh/ 年は 平成 20 年度調査の待機時消費電力量 285kWh/ 年に比べ 57kWh/ 年減少した また 全消費電力量に占める待機時消費電力量の割合は5.1% で 平成 20 年度調査時の6.0% と比べ 0.9ポイント減少した また 大区分別にみるといずれの機器も減少しており 特に給湯機器や冷暖房 空調機器が大きく減少している (kwh/ 年 世帯 ) H11 H14 H17 H20 H24 照明 その他機器冷暖房 空調機器給湯機器 家事 調理機器情報 通信機器映像 音響機器 家庭における待機時消費電力量の過去調査結果との比較 待機時消費電力量削減の可能性として 主電源オフを徹底した場合 今回推計した228kWh/ 年が 184kWh/ 年となり 19% の削減効果が期待される さらに プラグをコンセントから抜いても機能への支障が少ない機器について 非使用時にプラグを抜く あるいは節電タップなどを利用して完全に非通電状態にすることを徹底した場合は116kWh/ 年となり 228kWh/ 年に対して49% の削減効果が期待される なお プラグを抜くという行為はコンセントの位置や使い勝手などの問題に加え 機器によっては安全面や耐久性などの問題もあることに留意が必要である 300 (kwh/ 年 世帯 ) ストックベース 主電源オフ コンセントから プラグを抜く 照明 その他機器冷暖房 空調機器給湯機器家事 調理機器情報 通信機器映像 音響機器 機器の使用法による待機時消費電力量の削減効果 iv

5 ストックベース調査およびフローベース調査の結果として 家庭所有機器と現販売機器の待機時消費電力を以下に示す 家庭では古い機器も使われているため 最新の機器を調べるフローベース調査の結果よりもストックベース調査の結果は大きな値となっている フローベース調査では0Wあるいは1W 以下の機器が多くなっている (W) 8 ビデオデッキ 2.27 映像 音響機器 一体型オーディオ ( ミニコンポ等 ) HDD DVDレコーダー /DVDプレーヤーテレビ ( 高速起動設定時を含む ) ポータブルオーディオシステム テレビ ( 高速起動設定時を除外 ) 0.38 外付けモデム DSU ホームケ ートウェイ機器等 7.34 パソコンネットワーク機器 5.92 情報 通信機器 FAX 付電話またはFAX 専用機その他の電話機 ( 本体 ) プリンタ パソコン 1.22 パソコン用モニター 0.96 食器洗乾燥機 1.35 電子レンジ オーブンレンジ 1.09 電気炊飯器 1.00 電気オーブン 0.97 家事 調理機器 ホームベーカリークッキングヒーター洗濯機コーヒーメーカーオーブントースター トースターミキサー電気ケトル 給湯機器 ( ガス 石油式 ) ガス瞬間湯沸器ガス給湯付ふろがま石油給湯付ふろがま 冷暖房兼用エアコン可搬式ストーブ 空気清浄機 0.99 冷暖房 空調機器 オイルヒーター加湿器扇風機 サーキュレーターホットカーペット電気毛布電気こたつ 充電式掃除機 2.82 充電式電気シェーバー 2.34 充電機器 ビデオカメラ電話機子機デジタルカメラ 充電式電動歯ブラシ携帯電話 /PHS/ スマートフォン 温水洗浄便座 2.21 照明 その他機器 テレビゲーム機健康器具電子楽器電気スタンド ドライヤー テレビは起動時間を短くするための待機状態である高速起動設定時の値を含む場合と含まない場合の両方を表示 家庭で所有されている主要機器 ( ストックベース ) の待機時消費電力 標準モード v

6 映像 音響機器 情報 通信機器 家事 調理機器 給湯機器 冷暖房 空調機器 充電機器 照明 その他機器 (W) 9 ビデオ等内蔵テレビ ( 高速起動設定時等を含む ) 8.12 プロジェクター 6.31 テレビ ( 高速起動設定時等を含む ) 3.04 BD HDD DVDレコーダー 1.28 ポータブルオーディオシステム BD HDD DVDプレーヤー一体型オーディオ有線放送ホームターミナルテレビ ( 高速起動設定時等を除外 ) ホームシアターセパレート型オーディオビデオ等内蔵 TV( 高速起動設定時等を除外 ) 回線終端装置 5.72 パソコンネットワーク機器外部記憶装置 固定式電話機 FAX 機能付および携帯電話を除く 1.44 FAX 機能付電話機 FAX 専用機プリンタパソコンモニタースキャナプリンタ複合機食器洗乾燥機電気炊飯器食器乾燥機衣類乾燥機コーヒーメーカーミキサークッキングヒータートースター電気ケトル電子レンジ洗濯乾燥機洗濯機 ヒートポンプ式給湯機 5.74 ガス瞬間湯沸器 3.89 石油給湯機付ふろがま油だき温水ボイラ ガス温水暖房機 2.58 ガスふろがま石油小形給湯機浴室換気暖房乾燥機 電気温水器 ( ヒートポンプ式を除く ) 0.93 固定式ストーブ 2.82 蓄熱式電気暖房機 2.38 除湿器可搬式ストーブ冷暖房兼用エアコン空気清浄機 イオン発生機加湿器扇風機 サーキュレーター換気扇電気こたつホットカーペット電気毛布電話機子機デジタルカメラ携帯電話 /PHS/ スマートフォンビデオカメラ充電式電気シェーバー 温水洗浄便座 1.08 家庭用照明器具 リモコン付 センサ付 0.61 美容器具電子楽器家庭用照明器具 ( スタンドタイプ ) 太陽光発電システムドライヤー ヘアアイロン テレビおよびビデオ等内蔵テレビは起動時間を短くするための待機状態である高速起動設定時等の値を含む場合と含まない場合の両方を表示 現在販売されている主要機器 ( フローベース ) の待機時消費電力 標準モード vi

7 4. 今後の課題 待機時消費電力削減の可能性や使用方法の改善に向けた課題家庭における待機時消費電力量を削減するためには 待機時消費電力の低い機器が流通し さらに 機器がどのような待機状態で何 Wの電力を消費するのか 使用者が容易に認識できるような状況を整備する必要がある また 使用者には待機時消費電力量を削減する意識を持ってもらうことが必要である これらの課題解決のためには関係者の協力が不可欠である メーカーにおいては 待機時消費電力の低い製品を開発 販売し それらの情報を積極的に公開してもらうことが期待される また さらに取扱説明書などで待機状態の説明やその時の消費電力を明示するなど 使用者にとっての使い勝手の良さなどの利点と それにより増えてしまう消費電力などの負担の両面を認識できるような情報提供が必要である 一方 家庭の省エネ診断 の実施などにより 消費電力とその時の状況を把握して 使用者がその後の行動を変更するための判断材料を提供することが求められる これまで電気機器およびガス 石油機器の待機時消費電力は それぞれの業界の自主的取組が効果を上げている 一方 製品の低価格化に伴い海外生産品の割合が増えてきている機器においては 自主的取組の効果が低くなる可能性があり その場合には何らかの基準が必要となることも考えられる vii

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