Microsoft Word - 10_Printing_1May07.doc

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1 印刷業 2007 年 1 月 1 日 概況 中国政府の産業政策の変更のためにかつて製紙産業やパッケージ製造業は大混乱を来し 必然的に印刷業もその打撃を受けた 幸い 政策は後に変更された ( 製紙 板紙 木材パルプ 製紙用パルプが製造業 禁止 項目から除外された ) 印刷業の動向は 技術の進歩 特に工程に組み込まれた技術の進化によってもたらされる 最近では 精確さの改善 納期短縮やコスト削減のために 印刷と各種プリプレスやポストプロダクションを組み合わせるのが一般的動向であり そのための新型印刷機が開発されている もう一つの動向として 環境に優しい印刷用品を用いるなどの環境保護意識の高まりが見られる 印刷機で壁紙 デスクパッド マウスパッド 布製ポスター プラスチックラベルなど より多くの素材に印刷できるようになった 香港は米国 ドイツ 日本とともに世界の 4 大印刷センター である 自由な情報の流れと出版の自由のおかげで 規制のために中国国内では印刷できない多数の地方紙 国際紙 雑誌 定期刊行物 宗教書 教科書などが香港で印刷されている 印刷業の特徴 * 印刷業は 出版 印刷やさまざまな軽消費財産業 ( 玩具 食品 化粧品等 ) を補助する産業である 印刷業は 企業数では香港最大の製造業であり 2005 年 9 月現在計 4,262 社が 3 万 7,063 人を雇用する 企業の大半は 香港における従業員が 10 人未満の中小企業 (SME) である 印刷業は 事業の中国本土への移転やインターネット普及に伴う 新聞 雑誌の売上低迷のために 90 年代半ばに低迷した 製造 輸出入 企業数 4,262 (2005 年 9 月 ) 244 (2005 年 12 月 ) 雇用者数 37,063 (2005 年 9 月 ) 1,130 (2005 年 12 月 ) * 産業統計データは香港での企業活動のみを対象にしたものである 香港の印刷業者は 書籍 冊子 パンフレット リーフレット 紙や板紙製ラベル 広告

2 資材 商業カタログ カレンダー ポストカード グリーティングカードを含め 幅広い印刷物を生産している 児童向けの飛び出す絵本などの特殊書籍 小切手帳 パスポート 請求書 計算書 証券 目論見書など 高度技術や高額の資本投資 信用を必要とする高付加価値製品 / ハイテク印刷物を専門とする企業もある 海外の顧客は 頻繁な小口発注によって利益率を高めるために 香港企業の迅速なターンアラウンドと納品に注目するようになってきた 香港の印刷業者は 高品質な製品を競争価格で素早く納品することができ また急な注文に応じられることで有名である 香港の印刷品質は 印刷業のパイオニアである米国 ドイツ 日本のそれに匹敵する 次第に激しくなる本土印刷業者との価格競争にもかかわらず 香港は厳しい品質要件を満たす能力を評価され 世界の主要な印刷 出版拠点のひとつになっている 香港の優れた通信ネットワークも印刷業の優れた資産のひとつになっている 実際 香港の印刷業者は世界各地の情報に素早くアクセスできる 時間に厳しい出版業界ではこれが重要な優位性を持つ 本土市場に近接し 高度な出版の自由が認められた香港には 多くの国際的な出版社 / 報道機関 ( 例えばメディア企業 ) が地域センターを設置している フィナンシャルタイムズ ( アジア版 ) エコノミスト インターナショナル ヘラルド トリビューン アジアン ウォールストリートジャーナル USA トゥデイ インターナショナル アジア 日経 ファーイースタン エコノミック レビューが香港で印刷され その一部は国内流通のために中国本土にも出荷されている また香港では 域内向けに約 50 紙の地方紙 ( 無料新聞を含む ) 700 誌以上の雑誌やその他の定期刊行物 ( 電子形態を含む ) が発行されている 印刷業は常に技術進化を続ける産業である そのため生産技術の進歩に追従することが不可欠である Heidelberg Man Roland Agfa Konica Minolta などの大手印刷機器メーカーは 香港に事業拠点を設置している 香港の印刷業者は 最新型のレーザセッタ カラースキャナー 電子組版システム デジタルプリンター 自動仕上げシステム 1 色刷から 5 色刷の印刷機を装備している また多くの香港企業は 品質確保のためにすべての生産プロセスを社内で行うことができるよう ラミネート装置 型抜き機 紙裁断機 収縮包装機 紙折り機 はく押し機 製本装置等を所有している 証券印刷機や CTP (computer-to-plate) システムを導入している企業もある

3 香港企業の印刷物輸出業績 ^ 100 万 HK ドル 2004 年 2005 年 2006 年 1-11 月 成長率 % 100 万 HK ド成長率 % 100 万 HK 成長率 % ルドル 国内輸出 3, , ,609-9 再輸出 10, , , うち本土原産 9, , , 総輸出高 13, , , 市場別輸出高 シェア % 2004 年 2005 年 2006 年 1-11 月 成長率 % シェア % 成長率 % シェア % 成長率 % 米国 EU (25 か国 ) 英国 ドイツ 中国本土 ASEAN オーストラリア 日本 台湾 品目別 シェア % 2004 年 2005 年 2006 年 1-11 月 成長率 % シェア % 成長率 % シェア % 成長率 % 各種書籍 パンフレットなど あらゆる種類の紙 板紙ラベル 児童書 絵本 塗り絵 プリント済みまたはイラスト入りポストカード & カード トランスファー その他の印刷物 ^オフショア貿易が通常の貿易統計に含まれていないため 上記のデータは香港企業の輸出業績を必ずしも正確に反映していない

4 販路 輸出の約 60~70% は 海外からの直接受注によるものと推定される その約 4 分の 1 は Oxford University Press Longman Macmillan などの国際的な大手出版社からの注文である それ以外の海外顧客には Walt Disney Penguin Reader's Digest Hallmark Cards などがある 輸出注文は 海外顧客との間に安定した取引関係のある大手印刷業者やディーラーが主に取り扱っている 香港の大手印刷業者は 国際顧客獲得のために海外に営業所を設置している 香港企業や流通業者は 取引網の拡大 市場機会の探求や海外での企業イメージ構築のために 香港貿易発展局 (HKTDC) が主催する香港国際印刷 包装展や北京国際ブックフェア展示会などの展示会や調査使節団に参加している HKTDC は随時 商機会の探求や取引関係獲得のために特定市場を訪問する香港企業のための視察またはマッチメーキング使節団を主催している 他の重要な展示会には Drupa IPEX All in Print Graph Expo Print 01 などがある 業界の動向 印刷業界の動向の多くは 新技術や生産技術に関係している CTP などのフィルムレスプリント プロセスでは 色彩管理や色分解フィルムの作成を行わずに亜鉛版に直接 画像を転写することができる これによってプリプレス作業時間を短縮し より鮮明な画像を印刷できる デジタル印刷はまだ欠点もあるが 成熟してきた デジタル印刷は コンピュータのテキストとグラフィックを印刷版を使わずに印刷機に転写できるようにする これによって生産時間とコストが削減され 速度 正確さ 印刷品質が改善される デジタル印刷は 操作がしやすく柔軟性があるため 少ない部数の印刷にも適している ( 例えばプリント オン デマンド ) また準備時間が短く カスタマイゼーションを自由にできるため( 広告やパーソナル化したダイレクトメール チケット ) 今後は利用が拡大するであろう 伝統的なオフセット印刷は成長が鈍るであろう しかし 特定部数 (5,000~7,000 部 ) を超える場合には 低コストのためまだ競争力を持っている 特定印刷物にオフセット印刷とデジタル印刷の両方を利用する試みもなされている 技術進化の加速に連れて 最新動向に追従できなくなる企業が出てくるであろう 中規模企業の中には 競争力や技術ノウハウの強化のために グループを結成して顧客により包

5 括的かつ最新の出版 印刷サービスを提供する企業もある またこうした試みは M&A を通じて行われることもある またデザイン データ処理 翻訳 編集 電子出版などの補助サービスを含む トータルソリューション を提供する企業もある 一部の大手企業は 用紙の価格変動の影響を軽減し 資材供給の管理を改善するために 製紙や用紙売買事業への進出やサプライヤーとの戦略提携などを通じて 縦方向に企業を成長させている これまで下請に出されていた色分解など 特定の作業プロセスを社内処理する動きも見られる こうした社内作業には コールドフォイル加工 ダイカッティング コーティングなどのプリプレスまたは仕上げ機能を組み込んで自動化する新設備が用いられている これによって経済の規模を達成できるだけでなく 品質管理を強化し 生産プロセスを合理化することができる また大手印刷業者は ISO 9002 の認証を受けている 印刷業は 社会経済的動向の重大な影響を受ける 例えば印刷業界はホームプリントの普及に対抗するために 複雑なフォーマットを用いた 4 色刷や大量印刷 メタリックカラー 箔押し 蛍光色などの高度印刷の開発に努めている また CD-ROM や電子出版の普及も 伝統的な出版物の未来に影を落とす可能性がある 大手企業を中心に香港の印刷業者は 中国の印刷分野の海外投資規制が緩和されたことを受け 営業経費削減のために業務の 70%( 特にマンパワーと敷地が必要なポストプレス サービス ) を中国に移転させた しかし 国際注文の受注のために香港に事業拠点を残している またブロードバンド接続による海外からの直接受注など ハイテクを用いたコスト削減にも力を入れている このような受注形態が可能なのは 海外の出版社が香港の印刷業者の評判を信頼し 香港企業と長期的な取引関係を維持したいと考えていることが理由である これによって 仕様の指定や照会 見本刷りの校訂 校訂情報の伝達 注文確定などの作業をすべてオンラインで行うことができる それ以外に コンピュータシステムを用いた生産プロセスの自動化が進められており 情報技術を用いて生産プロセスを管理する企業が増えている 生産プロセスをコーディネートし 生産監視を強化するために 工場では ERP ソフトウェアが使用されている 2003 年 6 月に経済貿易緊密化協定 (CEPA) が締結され 2004 年から 2006 年にかけて拡大された CEPA の原産地規則に従い すべての香港原産品は無関税で本土に輸出できる 香港原産以外の印刷物には 2006 年の中国関税表に従い 7.5% の関税が課される CEPA に関する詳しい情報は香港工業貿易署の CEPA 関連のウェブページに掲載されている

6 製品トレンド 児童書が次第に高度化しつつある かつては読むだけのものだったが 今では本が喋ったり 本に話しかけたり 本で模型を作ったり パズルを解いたり 中に収められたソフト玩具で遊べるようになった 教師と生徒が距離的に離れた遠隔教育の普及に伴い 情報交換のために電子デバイスだけでなく印刷物も用いられるようになってきた そのため教育関連の印刷物の需要が拡大する可能性がある 伝統的な印刷物は 各市場分野のニーズに合った斬新なデザインが求められるようになった 例えば カレンダーなどの日用品が 一般的な卓上タイプから大型の 3D 壁面カレンダーまで多様な形を採るようになった こうしたニーズに応えるには高い印刷品質が必要であり そのために 5 色刷や 7 色刷工程が導入されている インクに関しても 香りのするインクなどイノベーションが見られる 3 次元の物体のイメージを完全に記録再現する方法にホログラムがあるが ごく最近までホログラムはクレジットカードなどの限定的目的にしか用いられていなかった しかし技術改善によりホログラムの量産が可能になり ラベルを含め 多様な包装に用いられるようになった また流通産業の進化に伴い バーコードの需要が増大した 包装が重視されるようになるにつれて 高度に装飾的な折畳箱 タンパー防止や安全性機能 一見ラベルには見えない感圧式接着ラベル 耐熱素材 深冷凍結用素材など より高度な包装資材が用いられるようになった 出版社が環境保護を約束しているため 印刷業者もリサイクル紙や合成紙 ( 印刷品質に影響を及ぼすことがあり 印刷業者側の調整が必要になる ) UV インクや豆を原料とするインク ( 洗浄の際に化学溶剤の使用を削減できる ) など 環境に優しい資材の使用をさらに迫られることになるだろう 薬品が不要なケミカルフリー印刷版システムも導入されている 今ではより多くの物に印刷機で印刷できるようになった 例えば布 ( ポリエステルや絹 ) に印刷して 布製ポスターを生産することもできる 市販用の壁紙も印刷機でプリントできる ほかにデスクパッド マウスパッドなどのプラスチックにも印刷可能である