天竜浜名湖鉄道株式会社 Tenryu Hamanako Railway

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1 天竜浜名湖鉄道株式会社

2 Ⅰ. ごあいさつ 日頃から 天竜浜名湖線をご利用いただくとともに 弊社の運営にご理解とご支援を賜り心より感謝申し上げます 弊社では 鉄道事業者の最大の責務である 安全で安定した列車運行を確保 継続するため 鉄道施設 設備の更新 保守管理及び社員のスキルアップ並びに安全意識の向上 徹底に努めております 平成 23 年 8 月の遠州天竜舟下り転覆事故を教訓として 安全 安定した列車運行の継続 を経営方針の最上位に掲げ 安全管理体制や安全教育訓練の再構築 設備投資計画の着実な推進 大規模地震に備えた耐震計画の策定など 社員一同が全力でお客様の信頼の確保に努めるとともに 日頃の鉄道運行の安全対策に万全を尽くしてまいります また 平成 26 年度から取り組んでまいりました 特殊自動閉そくシステムの老朽化に伴う新たな信号保安設備の導入も順調に進み 平成 29 年度末をもちまして全て完了いたしました これにより トラブルなどへの対応も迅速となり より安全で安定した運行管理が実現いたしました なお この報告書は 鉄道事業法第 19 条の4に基づき 平成 29 年度の弊社における輸送の安全にかかわる情報を皆様に公表させていただくものです 安全輸送を維持するために そして 地域の皆様に愛され 親しまれる存在になるために 皆様の率直なご意見や天竜浜名湖鉄道株式会社ご感想をいただければ幸いです 代表取締役社長長谷川寬彦 Ⅱ. 安全確保のための基本方針と重点施策 1. 弊社では これまで 利用者の皆様方が 利用しやすく 交通弱者にやさしく 安心してご利用いただけるよう 安全 正確 共存 を社是として定めて 会社運営にあたってまいりました 運転の安全に関する規範として 綱領を次のとおり定めております 一. 安全の確保は 輸送の生命である 二. 規程の遵守は 安全の基礎である 三. 執務の厳正は 安全の要件である 2. 平成 29 年度の経営方針は 安全 安定した列車運行の確保 継続を基本としたうえで 平成 31 年度からスタートする次期経営計画には 将来にわたる鉄道施設の安全な維持管理を目的とした施設長寿命化を盛り込むなど 長期視点に立った会社運営を推進することとし 安全重点施策を次のとおり策定いたしました

3 (1) 計画的な設備投資の実施による安全性の確保 (2) 計画的な教育訓練の実施 (3) 将来にわたる安全確保を目的とした 整備計画の策定 (4) 人材育成の強化 3. 平成 26 年度から安全管理に対する具体的な数値目標を 300 万 km 有責運転事故ゼロ と定め 平成 28 年 8 月には300 万 kmを達成し さらに200 万 km 延長し 500 万 km 有責運転事故ゼロ に目標値を再設定して 目標達成に向け安全運行に取り組んだ結果 平成 30 年 4 月に達成いたしました * 弊社社員の責任で発生した列車脱線や踏切障害等の事故 Ⅲ. 弊社の安全管理体制 弊社の安全管理規程に従い 社長をトップとする下表の安全管理体制を設け運用しております 社 役職 長 安全統括管理者 ( 運輸技術部長 ) 管理部長 運転管理者 ( 運転課長 ) 施設管理者 ( 工務課長 ) 車両管理者 ( 車両課長 ) 役割 輸送の安全の確保に関する最終的な責任を担う 輸送の安全の確保に関する業務を統括管理する 輸送の安全確保に必要な投資計画 人員計画等に関する業務を統括する 安全統括管理者の指揮の下 運転に関する事項を統括する 安全統括管理者の指揮の下 軌道施設に関する事項を統括する 安全統括管理者の指揮の下 車両に関する事項を統括する 乗務員指導管理者 ( 運転区長 ) 運転管理者を補佐し 乗務員の資質について維持管理する * 社長 役員 安全統括管理者 ( 運輸技術部長 ) 営業部長 管理部長 運転管理者 ( 運転課長 ) * 車両管理者 ( 車両課長 ) 施設管理者 ( 工務課長 ) 駅務課長 * 営業課長 * 総務課長 乗務員指導管理者 ( 運転区長 ) 車両区長 工務区長 各駅務区長 営業担当 総務担当 * 上席者が兼務

4 Ⅳ. 輸送の安全確保への取組 平成 29 年度に実施した取組 (1) 安全対策委員会社長を委員長とする各管理者と現場長による安全対策委員会を開催し 輸送障害の原因分析や教育訓練をはじめとする安全施策の協議を行っております また 委員会ではPDCA 進行管理表により 年間計画の進捗状況を確認しております 平成 29 年度においては 定例の委員会のほか 臨時の委員会も開催し 発生課題の対応について努めてまいりました 安全対策委員会 (2) 信号保安設備の更新特殊自動閉そくシステムの老朽化に伴い 平成 26 年度から計画的に全区間の信号保安設備の更新を進めてまいりました 平成 28 年度末には掛川駅から新所原駅の全線にわたり 線区集中電子連動システムに移行し これにより運行管理が 運転指令室で一元的に管理 制御することが可能となり より安全 安定した列車雨量計の増設運行が実現しております 設備更新の最終年度となる平成 29 年度の第 4 期工事では この新しいシステムのさらなる機能向上を図るとともに 雨量計や風速計の増設を行い近年の局地的豪雨など異常気象時における最適な運転規制が実施できるようになりました (3) 軌道 電気 土木構造物の調査診断長期視点に立った事業運営のため 長寿命化の視点を取り入れた次期経営計画 (2019 年度 ~2023 年度 ) の策定に取り組みました 将来にわたる安全の確保を目的として 鉄道施設整備計画を策定するため 軌道や土木構造物の診断や老朽化した電気設備の点検など 現有施設の長寿命化に向けた諸課題の整備に取り組みました トンネルの調査診断 (4) 内部監査安全輸送に関する適正な業務執行を徹底させるため 平成 29 年 12 月に常勤監査役と内部監査員に指名した社員による内部監査を実施いたしました

5 (5) 安全パトロールの実施全国安全週間にあわせ 社長及び担当部課長らによる安全パトロールを実施いたしました パトロール箇所は 社内全部署を対象とし職場の整備状況や環境などを点検し安全状態が保たれているか確認いたしました (6) 踏切事故防止のための啓発活動春の全国交通安全運動期間中は 街頭広報活動の一環として踏切道及び駅構内において踏切通行者や鉄道利用者に対し 一旦停止や左右の安全確認等を呼びかけるなど 踏切事故防止の啓発活動を行いました 踏切事故防止啓発活動 (7) 年間計画に基づいた教育訓練業務の安全管理に関する社員力の向上を図るため 安全統括管理者が年間の教育訓練計画を策定し その計画に基づいて 基本作業の習熟や災害発生時の行動に関する実践的な教育訓練を行うほか 各種協会等が実施する外部研修会の受講を積極的に推進しております 教育訓練の実施状況については 月毎の定例会議で進捗状況を確認しております 平成 29 年度に実施した教育訓練の一例を以下に記載いたします 工事管理者保安講習 (7 月 ) 安全で的確な工事管理を推進するため 弊社独自の工事管理者資格制度を設け 管理方法の習得と知識確認のための講習を請負業者に実施いたしました 事故災害復旧訓練 (9 月 ) 南海トラフ地震の発生を想定した社内合同の防災訓練を実施いたしました 訓練では対策本部の設営訓練や 旅客の避難誘導訓練等を行いました 異常時訓練 (11~1 月 ) 全ての駅係員を対象に 信号故障などのトラブル発生時に備え ポイントの切換えや信号の取扱いに関する訓練を実施いたしました

6 Ⅴ. 平成 29 年度の運転事故 輸送障害等に関する報告 平成 29 年度は 運転事故および インシデント ( 事故の兆候 ) はありませんでした 輸送障害については 自然災害 8 件 鉄道外の要因 6 件 土木施設 1 件 車両関係 1 件の合計 16 件が発生いたしました 平成 27~29 年度における運転事故 インシデント 輸送障害の発生件数 区分 平成 27 年度 平成 28 年度 平成 29 年度 運転事故 0 件 2 件 0 件 インシデント ( 事故の兆候 ) 0 件 0 件 0 件 輸送障害 8 件 16 件 16 件 輸送障害とは 運転事故以外で運休や30 分以上の遅延が生じたものです 主な輸送障害の概況 平成 29 年 6 月 21 日発生 : 自然災害 ( 水害 ) 全線において雨量が運転規制値を超えたため 全線の運転を見合わせた その後 線路を点検したところ宮口駅 ~フルーツパーク駅間で線路上部の切取面の崩落が確認されたため 宮口駅 ~ 金指駅間を終日バス代行輸送とした この影響で上下 36 本の列車が運休した 平成 29 年 8 月 7 日発生 : 自然災害 ( 倒木 ) 下り列車が西鹿島駅 ~ 岩水寺駅間の曲線区間を走行中 線路内に入り込んでいた倒木と衝突し前面ガラスを破損したため 前途の運転を取り止め車両基地に収容した この影響により 上下 6 本の列車が運休した 平成 29 年 10 月 14 日発生 : 土木施設 ( 軌道 ) 運転士から 列車の運転中に列車が揺れる旨の報告があった このため運転指令は 直ちに係員を現場へ派遣した 調査したところ 線路に異常が確認されたため 西気賀駅 ~ 三ケ日駅間の運転を見合わせ 応急処置を行った この処置により上下 20 本の列車が運休した 平成 29 年 10 月 22 日発生 : 自然災害 ( 風害 ) 台風 21 号の接近に伴い 三ケ日駅の風速計が運転規制値に達したため西気賀駅 ~ 三ケ日駅間を徐行運転とした その後 さらに風が強まったため全線で当日の運転を取止めることとした 翌日には風が弱まったため 線路や施設の点検を行い異常のないことを確認し 運転を開始した この影響により2 日間で上下 33 本の列車が運休した

7 平成 29 年 10 月 23 日発生 : 自然災害 ( 倒木 ) 上り列車が走行中 倒木と衝突し車両の下部に枝を巻き込んで停車した このため 係員を現場へ派遣し倒木の撤去作業を行い車両点検後 異常のないことを確認し 運転を再開した この影響により上下 8 本の列車が運休した 平成 30 年 3 月 18 日発生 : 自然災害 ( 倒木 ) 上り列車が宮口駅 ~フルーツパーク駅間を走行中 倒木を発見し非常制動をかけたがこれに及ばず衝突した 派遣された係員が倒木の撤去及び車両点検を行い運転を再開したが 当該列車は修理のため天竜二俣駅で運転を取り止めとし 車両基地へ収容した この影響により上下 7 本の列車が運休した 国土交通省による保安監査の実施平成 29 年 12 月 4 日から6 日にかけて 施設や車両 運転などの管理状況について国土交通省中部運輸局による保安監査が実施されました この監査において 施設における整備不良や定期検査の不備などについて指摘があり 安全管理体制の強化を求められました これを受け弊社では 指摘箇所の整備計画を策定し処置していくほか 経営管理部門と現業部門の情報共有を図るための会議体を新たに設置するなど 適切な鉄道施設の維持管理に努めていくことといたしました Ⅵ. 施設整備 保守検査等の計画的な取組 平成 29 年度安全輸送設備等整備事業や 交通サービスインバウンド対応支援事業等の補助を得て 以下の施設整備 保守検査を行いました なお 施設整備関係は 284,326 千円 車両関係は 71,686 千円でした 区分 : 設備改修整備内容 レール まくら木交換線路設備 分岐器交換など レール交換 分岐器交換

8 区分 : 設備改修 電路設備 整備内容 閉そく装置における連動装置の改修 雨量計 風速計の増設 踏切器具箱の更新など 雨量計の増設 風速計の増設 踏切器具箱の更新 転てつ装置の更新 区分 : 車両検査 検査修繕 重要部検査( 計 4 両 ) 車輪削正( 計 4 両 ) 整備内容 重要部検査 ( 機関分解検査 ) 重要部検査 ( 減速機分解検査 )

9 区分 : その他 保全 保守点検 その他工事等 整備内容 軌道 土木構造物の検査 沿線の除草薬散布 植栽管理 軌道整備 電気設備保全点検など 駅舎の修繕 運転状況記録装置の取付など 軌道 土木構造物の検査 除草対策 ( 防草シート敷設 ) 伐採作業 軌道整備 駅舎の修繕 運転状況記録装置取付工事

10 Ⅶ. ご利用の皆様 通行される皆様にお願い 事故防止のため 皆様のご理解とご協力をお願いいたします 駅構内の通路では 警報機が鳴ったら渡らないでください 駆け込み乗車は危険です 余裕をもってホームで列車をお待ちください 線路内には 立入らないでください 大変危険です 踏切では 必ず一旦停止をし左右をよく見てから渡りましょう 大型自動車や荷物を積んでガードをくぐるときは 高さ制限に注意してください Ⅷ. 問い合わせ先 安全報告書へのご意見やご感想は 下記までお寄せください 静岡県浜松市天竜区二俣町阿蔵 天竜浜名湖鉄道株式会社 TEL ( 土曜 日曜 祝日を除く 9:00~17:00 で受付 ) のどかな田園風景と奥浜名湖を巡る天浜線