未成年者の犯罪と親権者の監督義務違反 植村恭介大森幸子重松沙織藤枝祐人 Ⅰ 平成 18 年 2 月 24 日第二小法廷判決 Ⅱ 学説 ( 松坂論文 / 緩和説と限定説 ) Ⅲ 評釈 判例 ( 昭和 49 年 3 月 22 日第二小法廷判決など ) Ⅳ 山田論文の紹介 Ⅴ 私見 Ⅵ

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1 未成年者の犯罪と親権者の監督義務違反 植村恭介大森幸子重松沙織藤枝祐人 Ⅰ 平成 18 年 2 月 24 日第二小法廷判決 Ⅱ 学説 ( 松坂論文 / 緩和説と限定説 ) Ⅲ 評釈 判例 ( 昭和 49 年 3 月 22 日第二小法廷判決など ) Ⅳ 山田論文の紹介 Ⅴ 私見 Ⅵ 参考文献 Ⅰ 平成 18 年 2 月 24 日第二小法廷判決 < 事案の概要 > 当時 19 歳であったA B C( 以下 Aら ) は 傷害などの非行事実により収容されていた少年院から仮退院して保護観察に付されたが 犯罪者予防更正法に基づき 特別遵守事項として 親権者の下で生活すること 友達を選ぶこと 定職に就いて辛抱強く働くこと等が定められた Aは 当初は真面目に働いていたが その後親権者 Y1 の了解を得ずに家を出 入所中に知り合ったBと遊び歩くようになり Bの親権者 Y2 宅に寝泊まりするようになったが 犯罪に結びつく問題行動はみられなかった またBの先輩 Cは 親権者 Y3 の元を離れ Y3 の知らないうちに暴力団事務所を出入りするようになった CがA Bを誘い Aらは Xに集団で暴行を加える強盗致傷事件を起こした Xが 未成年者であったAらの親権者 Y1~Y3( 以下 Yら ) に対し 不法行為 (709 条 ) に基づく損害賠償請求をした Yらは親権者として遵守事項を守らせ または少年院に再入院させる監督義務があったが 怠って放任し これが事件の原因となったという理由による < 原審 ( 札幌高裁平成 17 年 1 月 28 日 )> 未成年者らがいずれも少年院を仮退院中で 保護観察の遵守事項の遵守状況は良くはなかったものの Yらにおいて 未成年者らの保護者としての対応を一応はしていたし 強盗傷人事件の発生を具体的に差し迫ったものとして予測させるような特段の事情や情報に接していなかったのであるから Yらが未成年者らを少年院に再入院させるための手続きを執るべきであったとはいえないなどとして Xの請求を棄却すべきものとした X 上告 < 最高裁平成 18 年 2 月 24 日第二小法廷判決 > 上告棄却 1

2 未成年者が責任能力を有する場合であっても その監督義務者に監督義務違反があり これと未成年者の不法行為によって生じた損害との間に相当因果関係を認め得るときには 監督義務者は 民法 709 条に基づき損害賠償責任を負うものと解するのが相当である ( 最高裁昭和 49 年 3 月 22 日第二小法廷判決 ) 本件のAらは 暴行 恐喝等の非行歴を有し 保護観察や少年院送致の処分を繰り返し受けていたところ 少年院を仮退院して保護観察に付され 一般遵守事項に加え特別遵守事項が定められていたにもかかわらず これらを守らないで遊び歩いていたり 暴力団事務所に出入りするなどしていた しかし 本件事件当時 Aらは いずれも 間もなく成人に達する年齢にあり 既に幾つか職歴を有し Y1 らの下を離れて生活したこともあったというのであり 少年院を仮退院した後のAらの行動から判断しても Y1 らが親権者として Aらに対して及ぼし得る影響力は限定的なものとなっていたといわざるを得ないから Y1 らが Aらに保護観察の遵守事項を確実に守らせることができる適切な手段を有していたとは言い難い Xは Aらを少年院に再入院させるための手続等を執るべきであったと主張するが しかし Aらは いずれも 19 歳を超えてから少年院を仮退院し 以後本件事件に至るまで特段の非行事実は見られず AとBは 本件事件の約 1 週間前まで新宿のクラブで働き 本件事件当時はY3 宅に居住していたというのであり Cは 本件事件当時 漁業の手伝いをしていたというのであるから Y1 らにおいて 本件事件当時 Aらが本件事件のような犯罪を犯すことを予測し得る事情があったということはできない (Cが暴力団事務所に出入りするようになっていたことをY3 が知らなかったことは前記のとおりである ) し Aらの生活状態自体が直ちに再入院手続き等を執るべき状態にあったということはできない 以上から Y1 らに 本件事件に結びつく監督義務違反があったとはいえず 民法 709 条に基づく損害賠償請求責任を認めることはできない Ⅱ 学説 < 第 1 期 > 明治期末から大正前期 714 条責任と 709 条の過失責任との 相違 を特に意識していなかった時代 民法の起草者 ( 穂積委員 ) は 責任能力ある未成年者の不法行為に対して親権者等が 709 条の責任を負うことを想定していなかった すなわち 法典調査会における 714 条の責任に関して 1 監督義務者自身の過失責任であること 2 加害者の責任無能力を要件とする補充的責任であることを前提とした そして 初期の学説の多くもこの考え方に追随した 2

3 < 第 2 期 > 大正後期から昭和初期にかけての学説 相違 を意識すると共に 714 条責任の帰責根拠に対する理解が曖昧となっていった 加害者自身の責任と監督者の責任を併存させるべきであり 714 条責任は 709 条の過失責任と異なる ( 鳩山 ) 鳩山説を完成させたのが我妻博士 我妻説 714 条責任と 709 条の過失責任との 相違 として 1 監督義務者の過失は責任無能力者の行為について一般的な監督行為を怠ることを意味し 当該違法行為の為されることについての過失ではないこと 2 監督義務懈怠の不存在についての証明責任が監督義務者に課されていることの二点を挙げ 過失責任は違法行為自体についての過失がなければ責任がないということであるからこの意味では無過失責任であり 監督義務を怠るという範囲の過失を必要とする意味では責任者の意思と無関係な絶対的な責任ではないから 中間責任 であるとした また 民法の起草者と同様に 責任能力ある被監督者の責任を監督者が負うことはないとした しかし 上記のように解すると 次のような問題が起こる すなわち 1 被害者は 責任能力ありとして未成年者を訴えるべきか責任能力なしとして監督義務者を訴えるべきなのか迷わざるをえず その責任能力の有無は事実問題として裁判所の判断を待つべき問題で 結局 被害者は敗訴の危険を負うこととなる 2 責任能力ありとされた未成年者に資力がなくて現実に賠償してもらえないことが多く そのとき資力ある監督義務者に責任を追及しえないのは不合理ではないか 3 未成年者に責任能力ありとされたときは 仮に監督義務者は監督義務に違反していたとしても免責されることになり 不合理ではないかということである これらを克服し 被害者の救済を図るために 次の松坂論文が発表された < 第 3 期 > 昭和 32 年に発表された松坂説および判例の立場 監督者責任の帰責根拠に対する理解の曖昧さが頂点に達した時代 松坂説 3

4 714 条の責任とは別に 親権者等が 709 条の責任を負うべきことを明確に主張したもの 民法 714 条は 民法 709 条の特則として 監督義務者の監督義務違反を免責事由とした点に意義があり 未成年者に責任能力ある場合 被害者が監督義務者に対して その監督義務違反を故意過失と構成して 民法 709 条によって賠償責任を追及する余地を封ずるものではないと考える 松坂説も 我妻説と同様に 714 条責任の帰責根拠が団体主義的責任理論と個人主義的責任理論の 妥協 つまり中間責任であるとする 下級審判例もこれに従い 最高裁もこの解釈を支持し 松坂論文はその後の学説 裁判例に多大な影響を及ぼした しかし 従前の学説に見られた 714 条責任の帰責根拠に対する理解 ひいては監督者責任全体の帰責根拠に対する理解は さらに曖昧なものとなった この松坂論文の曖昧さのため 次の第 4 期では 監督義務者 ( 親権者 ) の不法行為責任が生じる要件について様々な解釈がなされることとなり 限定説 緩和説と学説の流れは大きく分かれることになった < 第 4 期 > 近時の学説 過失責任原則とは異なる 709 条と 714 条の統一的帰責根拠を求 める学説の登場 次の四宮説 平井説の 2 説は 親権者の不法行為責任が生じる要件を緩和して認めると いう意味で 緩和説と呼ぶ 四宮説 学説による昭和 49 年最判の分析を踏まえて 714 条と 709 条とによって合成された特 殊な規範 が同判決により成立したと考える説 四宮博士は 714 条の立法趣旨は判断能力が低くて加害行為を行いやすい責任無能力者の加害行為について それを監督する義務ある者にいわば 人的危険原 の継続的 管理者 として 709 条よりも重い責任を課すものであるとし 714 条責任を 一種の危険責任 であるとしている そして 714 条をこのように捉えることは責任能力ある未成年者の不法行為に対する監督義務者の責任と同条との連続性を理解することにも役立つとした上 昭和 49 年判決における過失及び相当因果関係に 709 条の適用上必要とされる関係が認められない ( 過失や相当因果関係の判断が 714 条的考え方によっている ) こと及び監督義務者の過失に関する証明責任について 714 条但書の適用が排除されていることを指摘し この昭和 49 年判決が適用したのは 709 条と 714 条の合体した特殊な規範で われわれは ここに 4

5 709 条による責任と 714 条による責任との統合を見ることができる と述べている ( 林 ) 平井説昭和 49 年最判が樹立した準則は 709 条に関するものではなく 714 条 1 項但書の監督義務が 820 条による親権者の教育監護義務に一致し この義務の違反により 基本型不法行為で要求される因果関係を要さずに 親権者の損害賠償責任を認めるという新たな複合型不法行為の類型を創造したものであると考える説 平井教授は 714 条の立法趣旨はその沿革に求めざるを得ないとし 主に 家族関係の特殊性 ( とくに父母の義務 ) に求めるべきであるとしている この 家族関係の特殊性 あるいは 父母の義務 が何を意味するのかそれ自体からは明らかではないが 平井教授は 714 条の沿革について 旧民法財産編 371 条 372 条が由来するフランス民法は父母と同居する未成年の子に 教育 監護 善行をする重い義務を認め ( 一種の保証責任である ) 被害者の権利行使を容易にしようとしたが わが国の民法起草者は家長の絶対的責任を個人責任的に構成したドイツ民法草案の考慮も採り入れて旧民法に修正を加えたと述べている このことから 平井教授は 714 条責任の帰責根拠を個人責任的に構成された ( 教育 監護 善行をする重い義務の違反に基づく ) 一種の保証責任 に求めているものと思われる そして 709 条責任については 709 条責任で問題となる監督義務懈怠は 714 条責任のそれと同じであり 709 条責任の 相当因果関係 は監督義務の程度とその及ぶ範囲を示す命題として基本的不法行為におけるそれと異なり 他方で原告が監督義務違反を立証しなければならない点において 714 条とも異なるとして 709 条と 714 条がいわば融合した 新しい複合型不法行為の類型が創造されたと認むべきである とする ここでも 四宮説と同様に 証明責任の所在だけが 709 条的に理解されていることから 監督義務違反の統一的帰責根拠を個人責任的に構成された 一種の保証責任 に求められているものと考えられる ( 林 ) 次の潮見説は 親権者の不法行為責任が生じる要件を限定するという意味で 限定説と 呼ぶ 潮見説 709 条 714 条の両責任で 監督義務の内容と構造が異なるとする つまり 714 条責任の監督義務については四宮博士や平井教授と同様の階層構造を認め 監督過失の中には 教育過失 も含まれているとするが 他方で 709 条責任の監督義務については 通常の不法行為における過失と同様 予見可能性を前提とした具体的危険回避 5

6 のための行為義務 ( 結果回避義務 ) に限定されるべきである としている この見解によれば 709 条責任については 一般的監督の義務は問題にならないと言うことになると考えられる しかし この見解は 上述のように両責任の帰責根拠が共に過失責任原則に求められるとすれば 何故監督義務の内容と構造を両責任で異にするのかについては特に述べていない ( 林 ) Ⅲ 評釈 判例 責任能力ある未成年者と監督義務者の責任をめぐる判例 最判 S 責任能力を有する未成年者が不法行為を犯した場合であっても 監督義務者につき義務違 反によって民法 709 条に基づく不法行為が成立し得るものとされた事例 < 事案の概要 > 中学 3 年生 Y₁は 小遣銭欲しさに 昭和 39 年 2 月 27 日夕刻 新聞代の集金をしていた中学 1 年生 A を殺害して その新聞代金約 1 万 3900 円を強奪した そこで A の母親 X は 責任能力ある未成年者たる Y₁に対して A 殺害の不法行為者として Y₁の両親 Y₂ Y₃に対して 親権者としての監督義務違反により Y₁をして上記不法行為に走らせる原因を惹起した故に共同不法行為者として A の逸失利益の賠償並びに慰藉料そして X の慰藉料の支払いを求めた ( なお X は A の雇主たる新聞販売店主 Y₄に対しても 雇用上の注意義務違反を理由に損害賠償請求をしているが この点については省略する ) 原審 ( 広島高松江支判 S ):X の請求認容 親権者である Y₂ Y₃のもとで養育監護を受けていたものであるから Y₂らの Y₁に対する影響力は責任無能力者の場合と殆ど変わらない程強いものがあるというべきであり Y₁ について中学 2 年生の頃から不良交友を生じ 次第に非行性が深まってきたことに対し適切な措置をとらないで全くこれを放任し 一方 Y₁のさほど無理ともいえない物質的欲望をかなえてやらなかったのみならず 家庭的情愛の欠如に対する欲求不満をもつのらせ その結果同人をして本件犯行に走らせたものということができるから Y₂らの Y₁に対する監督義務の懈怠とAの死亡の結果との間における因果関係はこれを否定することができない Y₂ Y₃は 未成年者が責任無能力で賠償責任を負わない場合にのみ民法 714 条が監督義務者に賠償責任を負わせることになっており 未成年者に責任能力がある場合には 監督義務者も並列して責任を負うという解釈は成立しないとして 上告 6

7 最高裁 : 上告棄却 X の請求認容 未成年者が責任能力を有する場合であっても監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係を認めうるときは 監督義務者につき民法 709 条に基づく不法行為が成立するものと解するのが相当であって 民法 714 条の規定が右解釈の妨げとなるものではない そして Y₂ Y₃らの Y₁に対する監督義務の懈怠と Y₁ によるA 殺害の結果との間に相当因果関係を肯定した原審判断は その適法に確定した事実関係に照らして正当として是認できる 平成 18 年判決の評釈 本判決は 責任能力ある未成年者の不法行為に対する親権者の民法 709 条の責任を最高裁として初めて認めた昭和 49 年判決以来の最高裁判決であり 監督義務の射程範囲を 民法 709 条の注意義務と同じであるとして 子の特定の加害行為を防止する監督義務違反にのみ責任を負うとした すなわち 民法 709 条の監督義務は 過失の前提となる注意義務であるから 民法 714 条の監督義務と異なり 具体的な結果の予見可能性 回避可能性が必要であると解釈した点に意義がある 判例の流れ判例は 責任能力ある未成年者の加害行為に対する親権者の損害賠償責任を否定していた ( 大判明 ) が 松坂説の登場後に 下級審が親権者の 709 条の責任を認めるようになった そして 最高裁も昭和 49 年判決により 責任能力ある未成年者の不法行為に対する親権者の 709 条の責任を肯定するに至った 同判決後の下級審は 親権者に 709 条の責任が生じうることを前提とするが その帰責根拠がばらばらであるがゆえに 各判決の事案ごとに責任の有無は分かれている よって 加害行為者である未成年者の年齢や不法行為の類型からは 重過失が問題となる失火の場合を除いては 判例の傾向は明らかではない 昭和 49 年判決と平成 18 年判決の比較 昭和 49 年判決 平成 18 年判決 加害少年の年齢 15 歳 19 歳 学歴 職歴 中学生 ( 義務教育終了前 ) 幾つかの職歴あり 親権者との生活実態 両親と同居 離れて生活 判例の立場 緩和説 限定説 7

8 以上のことから 昭和 49 年判決では両親の加害少年に対する親権行使は十分に可能であったが 本件では Y らが親権者として A らに対して及ぼしうる影響力は限定的なものとなっていたと言わざるを得ない ( 本判決 ) とし また 仮退院後本件事件に至るまで特段の非行事実が認められなかったことなどから Y らにおいて 本件事件当時 Aらが本件事件のような犯罪を犯すことを予測し得る事情があったということはできない ( 本判決 ) とした つまり Y らに具体的な事実の結果の予見可能性があったとは言えないから 過失があったとされず Y らの民法 709 条に基づく監督義務違反を否定した しかし 非行歴があり 特別遵守事項も破っている今回のような未成年者に対しては 親は 成人間近でも十分な教育監護を続けるべきであるとして 子に対する一般的な監護教育義務の違反についても親権者の責任を問う余地を残すべきとする見解もある ( 高田 ) Ⅳ 山田論文の紹介山田貴之さん ( 第 10 期中田ゼミ生 ) は 責任能力ある未成年者の不法行為と親の責任 の中で 親の帰責根拠についての議論が不十分であった結果が 狭義説や広義説をとる裁判例のばらつきの原因だと主張する そして 解釈論によって被害者 加害者 親権者という三者間を規定する適当な理論を見出すのは難しいとし 被害者保護を極力欠かすことなく かつ 子の不法行為の類型にも考慮して親権者に責任を負わせる確たる帰責根拠を示した立法論を展開する そこで 本レジュメでは その立法論のうち 親の帰責根拠をいかに考えるべきなのか についてその議論の一端を紹介したい 親の帰責根拠は 親が負うべき責任の法的性質と密接に関連する そして 親の責任の範囲は子の責任能力の有無によって 異なると考えられる 1 子が責任能力を有しない場合この場合 子は家庭内で叱責という処罰に委ねられ 外部からの責任追及からは将来を守られるのであり そのことの反射的効果として 親が対外的に金銭での保障を強いられるという構造が存在する ここでは 子に不法行為をなしうる能力がないにもかかわらず親が責任を負うのであるから 子と親の関係は 717 条の工作物責任における工作物と所有者の関係に類似する すなわち この場合に親が負うべき責任の法的性質は 中間責任というよりも危険責任に近いものとして構成されるべきものである したがって 現行法 714 条但書の責任制限事由を設けることは妥当でない 2 子が責任能力を有する場合 この場合 親に課された義務内容を明らかにし その義務懈怠と子の不法行為態様 す なわち過失による不法行為なのか 故意による不法行為なのか との関連において検討が 8

9 なされるべきと考える 親が親権者として負うべき義務は 820 条の監護教育義務という形で示されているが 従来の議論では かかる義務の内容を分析的に構成 把握する視点に欠けていた これに対し 監護教育義務は その内容を 監護 と 教育 に分解し 分析的に再構成していく必要がある なぜなら このように分けて考えることにより 後述のように 親の帰責根拠の適正化及び被害者 加害者 ( と親 ) 間の適切なリスク分配が期待できるからである まず 監護 とは 自己のコントロール下にある者が違法行為をしないよう監視し 必要とあらば命令を下すことをいう これに対し 教育 とは 社会的に適合性を有する人間の育成そのものをいう 監護 義務違反が問題になる場合とは 子が監督 命令の前提としての親によるコントロール下にある場合であり 教育 義務違反が問題となる場合とは そのような親のコントロールによる制限を受けない そして 監護 及び 教育 の義務懈怠は それぞれ子の不法行為の態様との関連で 次のような帰結を導く それは 故意 過失を問わず子の不法行為一般に対する監護義務懈怠 ( 以下 監護過失 という ) と 故意の不法行為に対する教育義務懈怠 ( 以下 教育懈怠 という ) という関係である すなわち それぞれの義務は 監護義務 = 故意 過失を問わない子の不法行為全般 教育義務 = 故意不法行為 という関係にあり また 監護義務 = 親のコントロール下にあることが必要 教育義務 = 親のコントロール必ずしも必要でない というのは前述の通りである 監護過失とは 親が子に ( 同居をはじめとした場所的関係による ) 影響力を及ぼしうる場合に限り問題となる損害回避行動義務違反であり その法的性質は 親の過失である ( 狭義説に近似 ) 監護過失有無の判断は 具体的予見可能性を前提とした結果回避行動を行ったか否かによる 監護過失が場所的に離れて親の影響力が存在しなくなった場合に認められないのは 突発的な事故を防ごうと思えば その場で監護するより他にない点を根拠とする 親としては防ぐ手立てがないにもかかわらず すでに別居等して監護の及ばない範囲での事故にまで親の責任を肯定するのでは 行き過ぎであろう これに対し 教育懈怠とは 親の影響力の有無を問わない結果責任であると定義され 影響力がない場合の故意不法行為について親に責任を負わせる概念である 影響力がない場合の過失不法行為については 教育懈怠は適用されない 教育懈怠は 子が既に親の影響下を離れていた場合に 故意の不法行為に限って例外的に親の責任を肯定する点に機能的意義がある 監護がその場その場での具体的加害行為の防止を指すのに対して 教育は将来的加害行為の防止をも含めての人格形成を指すものといえる 教育が恒常的 全人格的に作用するがために 例え身体的に親の影響下を離れても その子の人格や規範意識 社会常識は 未だ親の教育の成果として残存するのである このように親の帰責根拠として監護過失 教育懈怠を分けることにより 両者の関係について 子の不法行為の態様と親が執ることが可能な手段との関連において 親に過度の負担を負わせるべきでないという価値判断と 侵害行為の違法性に対応して増減する被害 9

10 者の要保護性という価値判断との調和が図られる 図 : 監護過失と教育懈怠の適用関係 故意不法行為過失不法行為過失なし 監護過失 教育懈怠 影響力あり なし あり なし は適用あり はなし は後述 Ⅴ 私見 A. まず 山田さんも指摘されているように 親の帰責根拠についての議論が必要になってくる 図の2は 18 年判決の限定説を表すが 何故 709 条の求める具体的予見可能性 結果回避可能性が生じるのかを理由付けていない 一方で 1( 緩和説 ) も分析的な視点が欠けているというのは山田さんもご指摘されているとおりである そこで やはり山田さんの言うような監護と教育に分離し 前者については 709 条で規律し ( 影響力が及ぶ子に対して 突発的な事故を防ごうと思えば その場で監護するより他にない点 を帰責根拠とする ) 後者については 820 条で規律する ( 教育は恒常的 全人格的に作用するがために 例え身体的に親の影響下を離れても その子の人格や規範意識 社会常識は 未だ親の教育の成果として残存すること を帰責根拠とする ) 説を採るべきだと思われる B. その上で 山田さんの言う影響力について考えてみたい 責任を負うか否かの重要な分 岐点であるため明確な判断基準が必要になる この点 第一に同居をはじめとする場所的 同一性がなければ影響力は及びにくくなると思われるため 共同生活事実の存在が重要で あると思われる 監護の場面では一緒に暮らしているならば予見可能性も高まることから もそう考えるべきである また 一方でお金を自分で稼いでいる自立した個人に対する親 からの影響力は少ないと思われるた め 経済的依存度についても同様に重 影響力 故意不法過失不法行為行為 過失無し 監護 あり 10 過失 なし 教育 あり 懈怠 なし

11 要性が認められると思われる これはそもそも被害者の救済を目的とした解釈からも重要 な要件といえるのではないか よってこの 2 点の総合考慮によって影響力の有無を判定し ていく方法が妥当であると考える 図 : 監護過失と教育懈怠の適用関係 ( 再掲 ) C. さて ここで一つ疑問に思ったのだが 共同生活事実が存在し 経済的にも依存をしている者 (ex. 内縁の連れ子 20 歳を過ぎても職につかないで実家にいつまでもいる子 さらには高齢者 ) ならば監護者からの影響力はあると言えるので 820 条を類推適用して これらの者に対する責任についてもその監護者に及ぼすべき余地があるのであろうか つまりは成年にまで監護過失や教育懈怠を認めていいかという議論にもつながってくるのであるが 近代法のとる個人主義の原則と衝突することになるため一考の価値があると思われる Ⅵ 参考文献前田泰 責任能力ある未成年者の強盗傷人と親権者の監督義務違反 リマークス 2007 上青野博之 親権者の監督義務違反による損害賠償責任を否定した例 民商 135 巻 2 号伊藤昌司 親権者の監督責任に関する最高裁判決 NBL835 号高田淳 責任能力のある未成年者の行為に関する親権者の責任 法セ 620 号林誠司 監督者責任の再構成 北大法学論集 55 巻 56 巻 57 巻内田貴 民法 Ⅱ 債権各論 山口純夫 昭和 49 年判決の判例批評 民商 72 巻 1 号中嶋功 責任能力がある未成年者の監督義務者の責任 判タ 1145 号川口富男 昭和 49 年判決の判例解説 最高裁判所判例解説民事篇昭和 49 年度潮見佳男 債権各論 Ⅱ 不法行為法 森島昭夫 不法行為法講義 四宮和夫 不法行為 平井宜雄 債権各論 Ⅱ 不法行為 山田貴之 責任能力ある未成年者の不法行為と親の責任 11

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