経済産業省における最近の議論 (1) 産業構造審議会では今後日本は何で稼ぎ何で雇用していくのかについて検討をすすめ今般産業構造ビジョン2010 を取りまとめたその中で日本経済の行き詰まりは一過性のものではなく以下の3つの構造的な要因が存在していると分析された 1. 産業構造全体の

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なおしもとり
7 years ago
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1 本日の講演内容はじめに Ⅰ. 営業密管理とは Ⅱ. 営業密管理指針について Ⅲ. 営業密管理指針 ( 改訂版 ) の内容おわりに 1

2 経済産業省における最近の議論 (1) 産業構造審議会では今後日本は何で稼ぎ何で雇用していくのかについて検討をすすめ今般産業構造ビジョン2010 を取りまとめたその中で日本経済の行き詰まりは一過性のものではなく以下の3つの構造的な要因が存在していると分析された 1. 産業構造全体の問題 ( 自動車依存の一本足構造で良いのか等 ) 2. 企業のビジネスモデルの問題 (DVDプレーヤーのように技術で勝って事業で負けるのはなぜか等 ) 3. 一企業ではどうしようもない国のビジネスインフラの問題 ( 法人税等のコストが高いのではないか等 ) ( 出典 ) 産業構造ビジョン経済産業省における最近の議論 (2) 産学官一体となって前頁 1.~3. の全ての問題を解決していく必要があるが各企業にはまずもって2. のビジネスモデル問題を解決することが期待される ( 出典 ) 産業構造審議会産業競争力部会第一回資料ビジネスモデルを構築するに当たっては何をオープン化し何をブラックボックス化するのかなど知財情報の管理について十分に 3 検討する必要がある 3

3 知的資産経営の推進知的資産とは知的資産経営の意義知的資産とは従来のバランスシート上に記載されている資自社の持つ経営資源を最大限活用する産以外の無形の資産であり企業における競争力の源泉であ企業の成長発展のためには不断の経営改善が必る人材技術技能知的財産 ( 特許ブランド等 ) 組要そのためには限られた経営資源 ( 内部外部 ) 織力経営理念顧客とのネットワーク等財務諸表には表を有効に活用する気づきが重要であり財務情われてこない目に見えにくい経営資源の総称を指す報 ( 決算書 ) に表現されない自社の個性強みなど競争力の源泉を明確にしそれを認識活用するこイメージ図とで将来にもわたり持続的な経営が可能となる無形資産 ex.) 借地権電話加入権等知資産等的知的資産 ex.) 人材組織力経営理念顧客との NW 等知的財産 ex.) 営業密ノウハウ知的財産権 ex.) 特許権著作権等知的資産経営とは知的資産経営とは自らの強みである知的資産を内部で把握しそれを企業の内部外部における経営活動に活かしていく経営手法である財務資産資金設備企業内非財務資産 = 知的資産人材顧客 NW 情報技術力ブランド知財人材顧客資金 NW 情報設備技術力ブランド知財企業外 ( 外部ステークホルター ) 金融機関共同開発先仕入先協力会社顧客ユーザー内部マネジメントに有効自社の強みや将来性を金融機関取引先等に知ってもらう自社の経営方針や強み将来の企業価値の源泉について金融機関取引先社員株式市場に十分に示されておらず経営者の頭の中だけにイメージされている場合が多いそれらを多くのステークホルダー ( 利害関係者 ) と共有し支持されることが重要となる外部コミュニケーションに有効知的資産経営報告書は気づきのツールとして有効 ( 活用例 : 指南書備忘録人材育成 ) 見せる化のツールとして有効 ( 活用例 : 新規取引先開拓資金調達動機付け ) 1 4 Ⅰ. 営業密管理とは 5

4 営業密とは不正競争防止法によって保護される以下の 3 要件を全て満たす情報である密として管理されていること ( 密管理性 ) 1 情報にアクセスできる者を制限すること ( アクセス制限 ) 2 情報にアクセスした者にそれが密であると認識できること ( 客観的認識可能性 ) 有用な営業上又は技術上の情報であること ( 有用性 ) 当該情報自体が客観的に事業活動に利用されていたり利用されることによって経費の節約経営効率の改善等に役立つものであること現実に利用されていなくても良い設計図製法製造ノウハウ顧客名簿仕入先リスト販売マニュアル公然と知られていないこと ( 非公知性 ) 有害物質の垂れ流し脱税等の反社会的な活動についての情報は法が保護すべき正当な事業活動ではないため有用性があるとはいえない保有者の管理下以外では一般に入手できないこと第三者が偶然同じ情報を開発して保有していた場合で刊行物等に記載された情報も当該第三者も当該情報を密として管理していれば非公知といえる 6 裁判例において営業密として主張された情報製造方法 ( ノウハウ ) 製袋機の製造工程白アリ防除剤製造方法( 配合割合加熱温度攪拌方法攪拌時間冷却温度等 ) 等技術情報営業情報図金型図面組立図面面部品図面ソフトウェアのプログラムその他機械効率のデータ経営情報ソフトウェアの開発方針取締役議事録野菜の輸入先目録( 生産者の氏名住所連絡先等 ) 商品の原価仕入先 / 販売先に顧客目録( 顧客の名称住所連絡先過去の取引実績及び支払状況等 ) 関する情報電話帳より抜粋した顧客名簿( ただし電話勧誘の際の反応成約に至る見込みなども記載 ) 等従業者( システムエンジニア ) の情報 ( 連絡先売上高報酬額その差額である粗利益等 ) その他派遣会社における派遣社員情報( 氏名連絡先年齢性別経歴取得資格派遣実績等 ) 等等等等 7

5 営業密と特許権等との対比営業密として管理特許権等の知的財産権を取得メリット自社の事業戦略の方向性が他社に明らかとならない失敗した実験のデータ等特許になじまないノウハウも営業密として保護対象となり得る製品等を分解することによって明らかにならない限り保護期間の制限もなく他社との差別化を図れる事前の審査を通じ権利の内容が明確となる登録を通じ権利の存否が明確となる一定期間譲渡可能な排他的独占権を取得できるデメリット登録制度がないので権利の内容存出願内容を公開することを制度の前提否が不明確としており自社の開発動向が知られた他社が独自開発した場合独占できなくり周辺特許を取得されたりする可能なる性がある適切に管理しない場合法律による保護保護期間が満了したら誰でも利用可能を受けられないとなる 8 知財戦略の選択肢のひとつ技術ノウハウ等を活用して利益を持続的に確保するには他社に使用させる部分と使用させない部分とを明確にする必要があるそしてそれぞれの部分について特許等を用いたオープン化と営業密として管理するブラックボックス化とを戦略的に使い分けることが求められるこうした使い分けは今後大企業のみならず中小企業においても求められるものと考えられる公開 ( オープン化 ) して権利取得非公開に ( ブラックボックス化 ) して保護特許権発明を保護原則出願から 20 年営業密保護期間に制限なし各企業においてベストミックスを追求 9

6 Ⅱ. 営業密管理指針について 10 営業密管理指針とは適切な営業密管理に向けた企業のアプローチを支援することを目的に策定されたガイドライン営業密として法的に認められうる密管理の水準を示している 11

7 営業密保護に係る制度整備及び管理指針策定改訂の経緯平成 2 年民事保護規定の創設営業密の不正取得使用開示行為に対する民事保護規定の創設平成 14 年知的財産戦略大綱企業が営業密に関する管理強化のための戦略的なプログラムを策定できるよう参考となるべき指針を2002 年度中に作成することが盛り込まれる平成 15 年営業密管理指針の策定公表平成 15 年営業密侵害罪の創設営業密侵害行為のうち特に違法性の高い行為類型に限定して刑事罰の対象とする平成 16 年裁判所法等の改正民事訴訟における営業密保護のための密保持命令制度当事者尋問等の公開停止規定導入平成 17 年営業密侵害罪の罰則強化国外処罰規定退職者処罰規定法人処罰規定等の導入 ( 平成 17 年 11 月 1 日施行 ) 平成 17 年営業密管理指針の改訂公表平成 18 年営業密侵害罪の罰則強化懲役刑の上限を10 年罰金刑の上限を1000 万円法人重課の上限を3 億円に引き上げ ( 平成 19 年 1 月 1 日施行 ) 平成 21 年営業密侵害罪の罰則強化目的要件の変更第三者等による営業密の不正な取得に対する刑事罰の対象範囲の拡大従業者等による営業密の領得自体への刑事罰の導入 ( 平成 22 年 7 月 1 日施行 ) 平成 22 年営業密管理指針の改訂公表 12 平成 21 年不競法改正時の指摘とそれを踏まえた指針の改訂点 1 処罰対象となる行為ならない行為を具体的に明らかにするべきではないか 2 高度な管理水準を一律的に要求しているような印象を与えているのではないか 3 中小企業等にとってより使いやすいものにするべきではないか 1 処罰対象行為の明確化第 2 章 2 合理性のある密管理方法の提示第 3 章 3 中小企業向けの参照ツールなどの提示参考資料第 1 章第 2 章第 3 章概説不正競争防止法上の営業密の保護営業密を保護するための管理の在り方参考資料 1 参考資料 2 参考資料 3 参考資料 4 営業密管理チェックシート各種契約書等の参考例我が国における情報管理に関する各種ガイドライン等について営業密を適切に管理するための導入手順について ~はじめて営業密を管理する事業者のために~ 13

8 Ⅲ. 営業密管理指針 ( 改訂版 ) の内容 14 第 1 章概説知的資産経営競争力の維持強化の観点から事業者が無形の経営資源である技術ノウハウ等を強みとして把握しこれらを適切に管理し活用していく知的資産経営が求められているオープンイノベーションオープンイノベーションン ( ) の促進ためには事業者間で相互に営業密を開示しあうことが必要となるところその前提として実効的な営業密の管理が重要となるオープンイノベーションとは企業等が情報を自社内でクローズにするのではなく企業間で相互に情報を開示し合うことによりイノベーションを起こしていくことをいう人的マネージメント営業密管理の実効性を高めるためには人的マネージメントの充実を図ることが重要である 15

9 第 2 章不正競争防止法上の営業密の保護営業密侵害行為類型 ( 第 2 条第 1 項第 4 号 ~9 号 ) 不正取得の類型不正に取得 4 使用 4 使用 5 悪意 or 重過失で取得 5 開示 5 開示 4 悪意 or 重過失で使用 6 善意 and 無重過失で取得悪意 or 重過失で開示 6 正当取得の類型正当に取得図利加害目的で不正使用 7 悪意 or 重過失で取得 8 図利加害目的で不正開示 7 善意 and 無重過失で取得使用 8 開示 8 悪意 or 重過失で使用 9 悪意 or 重過失で開示 9 囲いの数字は不正競争防止法第 2 条第 1 項の各号の不正競争に該当することを意味する悪意 or 重過失 = 当該行為があったことを知っているあるいは重大な過失により知らないこと善意 and 無重過失 = 当該行為があったことを重大な過失なくして知らないこと図利加害目的 = 不正に利益を上げたり他人に損害を与える目的 16 営業密侵害罪の類型 ( 第 21 条第 1 項 ) (1 号 ) 図利加害目的で詐欺等行為又は管理侵害行為によって営業密を不正に取得する行為 (5 号 ) 営業密を保有者から示された現職の役員又は従業者が図利加害目的でその営業密の管理に係る任務に背き営業密を使用又は開示する行為詐欺等行為管理侵害行為により営業密を不正に取得 1 (2 号 ) 不正に取得した営業密を図利加害目的で使用又は開示する行為詐欺等行為管理侵害行為により不正に取得開示 2 使用 2 (3 号 ) 営業密を保有者から示された者が図利加害目的でその営業密の管理に係る任務に背き ( イ ) 媒体等の横領 ( ロ ) 複製の作成 ( ハ ) 消去義務違反 + 仮装のいずれかの方法により営業密を領得する行為従業者在職中に営業密を既に示されている者管理の任務に背いて使用 5 管理の任務に背いて開示 5 (6 号 ) 営業密を保有者から示された退職者が図利加害目的で在職中にその営業密の管理に係る任務に背いて営業密の開示の申込みをし又はその営業密の使用若しくは開示について請託を受け退職後に使用又は開示する行為従業者退職退職者使用 6 開示 6 営業密を示された者が媒体の横領等の方法により営業密を領得 3 (4 号 ) 営業密を保有者から示された者が第者 3 号の方法によって領得した営業密を図利加害目的でその営業密の管理に係る任務に背き使用又は開示する行為在職中に営業密を既に示されている者在職中に図利加害目的で使用開示の約束 (7 号 ) 図利加害目的で 2 4~6 の罪に当たる開示によって取得した営業密を使用又は開示する行為営業密を示された者が 3 号の方法により営業密を領得管理の任務に背いて使用 4 管理の任務に背いて開示に当たる開示を通じ取得開示 7 使用 7 17

10 平成 21 年法改正後に処罰対象となる行為類型と処罰対象とはならない行為類型とを具体的に明示 < 処罰対象となる行為の例 > 金銭を得る目的で競業企業以外に営業密を不正に開示する行為外国政府を利する目的で営業密を外国政府関係者に不正に開示する行為保有者に損害を加える目的で持出しが禁止されたファイルを無断で外部に持ち出す行為 < 処罰対象とならない行為の例 > 公益の実現を図る目的で企業の不正情報を内部告発する行為労働者の正当な権利の実現を図る目的で労使交渉により取得した保有者の営業密を労働組合内部 ( 上部団体等 ) に開示する行為権限を有する上司の許可を受け営業密をコピーしたり営業密が記載された資料を外部に持ち出したりする行為 18 ( 参考 ) 平成 21 年法改正の背景近年以下のような営業密に対する不正な侵害が多く発生し法改正の必要性が指摘されていた < 従業員による機密情報の不正な持ち出し> ある企業に勤務する従業員が当該企業が密として管理する図面データ等を貸与パソコンに大量にダウンロードし無断で繰り返し自宅に持ち帰っていたこれを知った同社が同従業員に事情聴取を行ったところ持ち出されたデータはどこにも残っておらず貸与パソコンに記録媒体を装着した痕跡はあったが不正にコピーがなされたと見られる私用パソコンが破壊されておりデータの使用や外部への送信について確認することはできなかった < 外国政府によるデュアルユース技術の不正取得 > 元ロシア共和国在日大使館職員が光学系機器メーカー従業員から軍事転用されるおそれのある光通信の機密部品を不正に入手した元大使館職員は警察の出頭要請に応じず帰国し元従業員についても起訴猶予処分となった < 取引先企業によるノウハウの取り上げ> ある中小企業が取引先である大手企業から業務提携を前提として試作品を提供してほし業務提携を前提として試作品を提供してほしい旨の申出を受け試作品とその設計図面を提供したところ取引先企業がその複製の作成をし当該設計図面をもとに自社の製品として勝手に製品化をしてしまった 19

11 ( 参考 ) 平成 21 年法改正の主な内容 1 営業密侵害罪の目的要件の変更 2 第三者等による営業密の不正な取得に対する刑事罰の対象範囲の拡大 3 従業者等による営業密の領得自体への刑事罰の導入の刑事罰の導入目的要件 < 第三者等による不正な取得 > 目的要件 < 従業者等による領得 > 正当な目的正当な目的図利加害目的拡大図利加害目的拡大不正の競争の目的拡大行為態様不正の競争の目的拡大行為態様使用開示記録媒体等の取得等使用開示領得取得 : 改正前の処罰対象 : 改正後の処罰対象 : 改正前の処罰対象 : 改正後の処罰対象 20 第 3 章営業密を保護するための管理の在り方営業密の管理に当たっては物理的管理技術的管理人的管理等により - 営業密を他の情報と区分し -アクセスした者が密であると認識して取り扱うために必要な措置及び - 権限のない者がアクセスできないような措置を講じることが必要であるこれらの管理を適切に機能させるために組織的管理を行うことが重要である組織的管理物理的管理技術的管理企業にとって大事な営業密人的管理 ( 密保持契約 ) 21

12 合理的な管理がなされていることが重要である高度な管理方法さらに高いセキュリティレベルを求める事業者は営業密の漏えいリスクを最小化するための高度な管理手法を採用することも考えられる < 高度な管理方法の例 > -プリンターででデジタル透かし情報 ( 廃棄期限や密表示など ) を付加する - 情報を外部に持ち出す際には記録媒体に含まれる情報全体を暗号化する -コンピュータにアクセスする際に生体認証などを利用する - 理解度確認付きe-ラーニングなど全員の受講が確認できる教育プログラムを実施する一般的な管理方法営業密として法律上の保護を受けるためには必ずしも一律に高度な水準が要求されるものではないそれぞれの事情を踏まえ各種の管理方法を組み合わせて合理的な管理がされていれば足りる < 一般的な管理方法の例 > - 紙媒体の隅に厳やなどのスタンプを押したりシールを貼り付ける - 施錠可能な金庫などに施錠して保管する -コンピュータの閲覧に関するパスワードやIDを設定する - 定期的行われる朝礼などの際に随時営業密の取り扱いなどの注意喚起を行う 22 今回の再改訂によって営業密侵害に備えた証拠確保のための措置に関する記載が加わったた (1) 密指定アクセス権者の指定 (2) 物理的技術的管理 (3) 人的管理 (4) 営業密侵害に備えた証拠確保のための措置厳重な管理方法を実施しても営業密が漏えいするおそれを完全になくすことはできないそこで営業密が漏えいした場合に備え証拠確保のための措置を講じることが考えられる < 管理方法 ( 証拠確保措置 ) の例 > 営業密が記録されている書面記録媒体等に関する閲覧複製持ち出しについて台帳に記録するアクセス権者等のコンピュータの利用状況や通信の記録を保存する営業密を保管している施設に監視カメラを設置し記録するなど (5) 組織的管理 23

13 参考資料 1 営業密管理チェックシート裁判例分析を踏まえた密管理性について自己診断等ができる活用方法としては以下が考えられる自社診断ツールどの水準の管理体制を構築するか判断するための参照ツール情報毎に機密レベルを分ける場合にどの機密レベルをどの管理水準で管理するか決める際の参照ツール得点を高めることにより個別の事情の影響度を減少させ密管理性が認められる可能性を高くすることができる 24 参考資料 2 各種契約書等の参考例各企業における密管理において参考となる各種契約書等の参考例を示している実際に本参考例を用いる際は自社にとって参照することが適切かを十分検討し活用頂きたい ( 例 ) 就業規則営業密管理規程入社時の密保持誓約書工場見学時の密保持誓約書取引基本契約書( 製造請負契約 ) 共同研究開発契約書等 25

14 参考資料 3 我が国における情報管理に関する各種ガイドライン等公的機関等により提示されている各種ガイドライン等とその対象となる情報との対応関係を概観できる例えば顧客情報は営業密という観点からの管理と個人情報保護法からの管理が求められる場合があるなど同一の情報でも異なる管理を要請される場合がある ( 相互に参照 ) 本図表を用いることで効率的な管理の在り方を整理把握することが期待される 26 参考資料 4 導入手順例管理体制を構築するための具体的な導入手順を紹介している 1 自社の強みとなる情報資産を把握する ( 営業密として管理する情報資産の把握 ) Step1 技術やノウハウブランド力等の自社の強みとなる知的資産を把握する Step2 製造プロセス販売マニュアル仕入先等知的資産を構成する具体的な情報を把握する Step3 把握した具体的な情報の中から営業密として管理したいと考える情報を選択する Step1 Step2 Step3 個性的な製品等を完成させるた製造プロセス段取りに関する情報めの技術やノウハウ研究開発情報 ( 技術開発試験記録等 ) 製造協力先下請事業者の情報中長期的な取引関係等に基づく仕入先販売先品目数量価格情報等販売マニュアルサービスマニュアル等アル等営業密として信頼に裏打ちされた製品等や販売協力先( 代理店 FC 等 ) 情報管理したいと事業者のブランド力製品商品サービスに対する利益額( 率 ) 考える情報を選択顧客のニーズに応える製品等を顧客から受け取る各種資料及び情報提供する営業力顧客との各種契約情報及び契約内容技術者教育育成に関する情報高い技術を有する従業者 ( 教育プログラム資料等 ) 27

15 参考資料 4 導入手順例 2 チェックシートを用いて現在の管理水準を認識する 3 営業密の管理ルールを決め周知実施する事業者の規模業種営業密として管理する情報量取扱状況を踏まえ Step1 チェックシートを用いて目標とする管理水準を検討する Step2 管理方法を選択する Step3 選択した管理方法を書面等用いて周知する < 具体的な導入手順の流れ > 4 管理ルールが適切に行われているかチェック見直しをする構築した管理ルールが実効性を欠く事態に陥っている場合には営業密として認められないおそれがあるため管理状況をチェックすることが望ましいチェック方法としては規模等に応じて例えば社長が日常的に目を配る監査を実施するなどを行うことが考えられる実効的な管理が行われていない場合には要因に応じて対応策を実施する必要がある 28 おわりに各企業には自社のビジネスモデル知的資産を見つめ直し自社の競争力の源泉となる情報を合理的に管理することが期待される管理の際は営業密侵害に備えた証拠確保のための措置についても予め検討しておくことが期待される参考情報知的資産経営に関する情報は知的資産経営ポータルサイトへ知的資産経営ポータルで検索営業密管理に関する情報は営業密のHP へ営業密を守り活用するで検索 29 29

不正競争防止法と営業秘密

不正競争防止法と営業秘密湊信明平成 27 年 2 月 24 日 1 秘密情報管理の重要性企業の重要な情報を適切に管理していなかった従業員が退職時に顧客名簿を持ち出してライバル会社に転職したライバル会社に有望な顧客を奪われてしまった仕入先リストが盗まれた製品の価格優位がなくなってしまった企業の重要な情報を安易に公開してしまった開発中の製品の製造方法を特許志願したら出願公開制度を通じて一般の知るところとなった