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れんまたつざわ
6 years ago
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1 特集 : 中東の学術情報トルコの科学技術政策と学術情報流通環境 UDC 02: : * 林瞬介トルコの科学技術政策の現状と学術情報流通環境について概観するトルコにおいて科学技術学術研究と学術情報流通にかかわる政府関係機関は多数の省庁にまたがっているが, 開発政策の枠組みに位置づけられて開発省と科学技術研究機構が中心的な役割を果たしている大学で情報記録管理の学位を取得した図書館員が中心となってヨコの協力体制である専門職団体やコンソーシアムが立ち上げられ, 科学技術研究機構を中核とする集中的な協力体制とともに研究図書館ネットワークを形成している学術情報流通に関係するオンラインサービスは科学技術研究機構を中心に整備が急速に進み, トルコの学術情報流通環境はオープンアクセスに向かっているキーワード : トルコ, 科学技術政策, 学術情報, 開発省, 科学技術研究機構, 図書館ネットワーク, オープンアクセス 1. はじめに 21 世紀に入ってから十数年あまりの間, トルコの経済発展は目覚しいものがあったほんの 20 年ほど前, 面積は日本の 2 倍, 人口は日本の 2 分の 1 ほどでありながら経済規模は日本の 20 分の 1 にも満たなかったトルコは,2014 年には名目 GDP を米ドル換算にして当時の 4 倍, 実質 GDP でも当時の 2 倍以上に成長した 1) 国別 GDP の順位は 20 位以内に入り, トルコは新興国の一角として世界経済に一定の影響力を持つに至っている特に過去 10 年, トルコの経済成長を支えてきた原動力は, 積極的に進められてきた海外直接投資の導入もさることながら, 人口増加に伴う民間消費の拡大にある 2) 増え続ける若者の進学率も上昇し, 大学の数は爆発的に増加を続けてきた文化学術分野への投資については依然として不十分な面が見られるものの, この領域における情報アクセス環境の整備はこの国が後発であるがゆえの急速さで進んでいる特に, 科学技術分野における情報アクセス環境整備の進展は, トルコ政府が開発計画の政策立案官庁である開発省を中心に策定してきた開発計画で近年, 科学技術 IT への投資が重視されていることが背景になっているこれに加えて, 情報記録管理のプロフェッショナルとしてヨコの人的ネットワークを結ぶ図書館員たちの熱心な活動も見落とすことはできない大学図書館を中心とした研究図書館はコンソーシアムを結び, 限られた予算の中で大きな成果を挙げるべく努力を重ねている本稿では, トルコの科学技術学術情報政策の枠組みについて概観し, 科学技術研究と学術情報流通をめぐる制度と現状を把握する次いで, 大学研究図書館における図書館員の人的資源の背景と専門職団体を通じた協力, 研究 * はやししゅんすけ国立国会図書館東京都千代田区永田町 Tel ( 原稿受領 ) 図書館の資料共同利用とコンソーシアムについて触れ, トルコの研究図書館ネットワークを俯瞰する最後に, 学術情報流通にかかわるデータベースやサービスを紹介し, オンラインサービスの利用方法についても簡単に述べる以上を通じて, トルコにおける学術情報をめぐる全体像を理解することが本稿の目的である 2. トルコの科学技術学術情報政策最初に, 現在のトルコにおいて科学技術研究と学術情報流通にかかわる政府関係機関を紹介し, 科学技術学術情報政策の特徴を明らかにするなお, トルコの政府機関は日本語の定訳がないものも存在するため, ここで用いる日本語訳名称は筆者の仮訳である 2.1 科学技術研究と学術情報流通にかかわる政府機関 (1) 高等教育評議会 (YÖK: Yükseköğretim Kurulu / Council of Higher Education) 3) 高等教育を統括する独立行政機関軍政下の 1981 年に大学統制の強化を目的に設立され,1982 年制定の現行憲法 4) で 130 条と 131 条に設置と権限が明記された憲法機関となった高等教育評議会は, 高等教育法 5) により, 高等教育行政を担う唯一の機関として強力な権限を与えられているトルコの大学学部の設置は認可制ではなく法定制で, 国立大学だけでなく私立大学も高等教育機関組織法 6) に基づいて設置される大学は組織や運営について高等教育評議会の統制を受け, 大学本部事務局の組織内に図書館を置くことを義務付けられる (2) 文化観光省図書館出版総局 (Kütüphaneler ve Yayımlar Genel Müdürlüğü / General Directorate for Libraries and Publications) 7) 文化観光省の部局のひとつで, 図書館出版事業を所管するトルコでは全国の県, 郡に設置される公共図書館が文化観光省の地方支局である県文化観光局に属する国の出先機関として運営されており, 図書館出版総局は全国 20 情報の科学と技術 66 巻 1 号,20~25(2016)

2 1000 館以上の公共図書館を統括している文化観光省組織法 8) で定められた所掌事務の上では, 他の公的機関や民間団体によって設立された図書館に対し, 館種を越えて支援と指導を行うこととされているが, 実態はそのような事業を主体となって行うには至っておらず, 総合目録データベース等の図書館協力にかかわる事業は後述するトルコ科学技術研究機構の国立学術ネットワーク情報センター (ULAKBİM) が実施している (3) 国立図書館 (Milli Kütüphane / National Library of Turkey) 9) トルコの首都アンカラに所在する文化観光大臣に直属する部局級の機関で, 図書館出版総局とは組織上で指揮命令関係にない対等関係に位置づけられている納本法 10) に基づいて文化観光省が収集した国内出版物を保管し, 全国書誌を作成する書誌センターとされ, 図書館ネットワークの中心的な役割は与えられていない (4) 開発省 (Kalkınma Bakanlığı / Ministry of Development) 11) 国の開発計画を所管する中央省庁 1960 年に設立された首相直属機関である国家計画庁が,2011 年に省に格上げされる形で発足した開発計画の立案と経済政策の総合調整を任務とし, 開発 5 か年計画と年次開発計画を国会に提出し, 承認された計画の執行調整を行う開発省が立案調整する開発計画は経済のみならず社会文化政策にわたり, 国家のすべての領域において予算の政策的配分に影響を及ぼす中でも科学技術分野は, 1979 年策定の第 4 次 5 か年計画から, 計画の中で重視されてきた 12) (5) 科学産業技術省科学技術総局 (Bilim ve Teknoloji Genel Müdürlüğü / General Directorate of Science and Technology) 13) 科学技術研究開発イノベーション政策に関する執行管理と政策評価を所管する科学産業技術省の部局 2011 年までは産業通商省の産業研究開発総局という名称で, 産業研究に関する公的投資プロジェクトの審査と評価などを所管していたが 14), 省庁再編で後述するトルコ科学技術研究機構が首相府から当省に移管されたことにより, 現在の名称に改名して所管事務を拡大した科学技術政策の方針策定と調整は, トルコ科学技術研究機構を事務局とする科学技術高等会議 (BTYK) が行っており, 本省の科学技術総局の機能は産学官連携の調整や, 産業研究のプロジェクト管理が中心である (6) トルコ科学技術研究機構 (TÜBİTAK: Türkiye Bilimsel ve Teknik Araştırma Kurumu / Scientific and Technological Research Council of Turkey) 15) 科学技術政策の推進, 研究インフラストラクチャの整備支援, 研究開発活動の奨励を目的とする科学産業技術省所管の公法人 1963 年に首相府所管のもとに設立され,1983 年には首相を議長, 関係閣僚等を委員として, 国の科学技術政策の方針策定と調整を行う科学技術高等会議の事務局機能も付加されたトルコ科学技術研究機構は, 科学技術高等会議の承認に基づいて, 科学技術研究開発資金のファンディングを行うほか, 機構に属する多数の国立研究所を運営し, 政策立案から資金分配, 研究の実施に至るまでトルコの科学技術政策において重要な役割を与えられている学術情報流通においては, 科学技術研究の支援を目的とする付属機関の国立学術ネットワーク情報センター (ULAKBİM) 16) が 1996 年に設立された ULAKBİM は科学技術研究機関が無償でインターネットアクセスを共同利用できる全国学術ネットワーク (ULAKNET) を構築しているほか, 図書館部門であるジャーヒトアルフ情報センター (CABİM) を擁する CABİM はトルコ科学技術研究機構の情報事業と, 高等教育評議会に付属していたドキュメントサプライセンターを統合した機関で 17), 後で詳しく触れるように, トルコ国内へのドキュメントサプライサービス, 全国総合目録相互貸借システムの構築, 電子ジャーナルのナショナルライセンス, 電子情報資源のディスカバリーサービス, オープンアクセスジャーナルのホスティングなど, 学術情報流通に関する様々な事業を提供している 2.2 科学技術政策と学術情報流通上で見てきたとおり, トルコの科学技術政策は国の開発計画と密接な関係がある 1960 年代以降, 国家計画庁 ( 現在の開発省 ) が開発 5 か年計画と年次開発計画を立案し, 科学技術政策もその枠組みで推進されてきた開発 5 か年計画のもとで科学技術政策の推進を担ってきたのは首相府直属 ( 当時 ) の公法人であるトルコ科学技術研究機構であり,1980 年代には首相を議長とし, 関係する大臣や行政機関の長を委員とする科学技術高等会議が発足して, 科学技術に関する実行計画を策定してきた開発計画主導の科学技術政策に対しては批判も存在する産業イノベーションに資する科学技術研究を重視するあまり, 基礎研究の重要性が十分に認識されず, 基礎研究に対するリソース配分が軽視される傾向がある科学技術高等会議の会合は年に 1 度程度しか行われず, 議題は評議会の事務局であるトルコ科学技術研究機構を中心に立案された基本計画の承認に留まる 18) 学術情報流通に関する政策的な予算配分も, 国家開発庁とトルコ科学技術研究機構の主導で行われてきた大学研究図書館と密接に関係する学術情報流通に関する施策は, 高等教育を監督する高等教育評議会, 図書館行政と国立図書館を所管する文化観光省ではなく, トルコ科学技術研究機構の付属機関である国立学術ネットワーク情報センター (ULAKBİM) が中心に実施してきた国家開発庁によって策定され,2006 年から 2010 年まで 5 か年で実施された情報化社会戦略行動計画 19) では, 教育や行政各分野の IT 化が推進されたが, 同計画の統合電子図書館システム構築の目標は, 文化観光省から ULAKBİM に委任され,ULAKBİM によって全国総合目録相互貸借システムが構築されたなお,2015 年に開発省によって策定された情報化社会戦略行動計画 20) でも文 21

3 化科学分野のデジタル情報オープンアクセス推進が明記され, デジタル化の基準や対象範囲の明確化やオープンアクセスの実現に向けた施策が政策的に推進されている 3. トルコの図書館員と図書館ネットワークトルコの図書館は, 先進国に比べ文化政策への予算配分が不十分であったこともあり, 貧弱な公共図書館に対して大学研究図書館が相対的に恵まれた状況にある 21) トルコにおける近代的図書館の歴史は 19 世紀に遡るが, 大学における図書館専門職養成は第二次世界大戦後に米国の経済援助を受けて開始された情報記録管理学の学位を取得した図書館員は増加を続ける全国各地の大学図書館に職を得て, 専門職団体を結成し, 大学研究図書館のコンソーシアム形成を主導してきた国レベルではトルコ科学技術研究機構が科学技術政策の国家予算を投じて研究機関に無償または低廉なサービスを集中的に提供し, 大学研究図書館の図書館員が中心になって結成されたコンソーシアムのヨコの連携とともに図書館ネットワークを構築している 3.1 司書職制トルコでは司書の資格は法定されたものではないが, 大学の文学部等に設置され, 図書館アーカイブズ専門職の養成を担う情報記録管理学科の学位取得者が公務員の人事制度上で事実上の司書有資格者として扱われるトルコの公務員制度では, 国の省庁, 県, 自治体や公法人の職員は, 公務員選別試験(KPSS) と呼ばれる, 全国共通試験の受験者から採用される全国の官庁公法人が採用を募集する官職は, 採用条件を明記した上で KPSS の実施機関である高等教育評議会傘下の学力測定選抜センター (ÖSYM) を通じて公示されるので, 受験者は自分が採用条件を満たした官職の中から任官を希望するものを自己申告する学力測定選抜センターはひとつひとつの官職ごとに任官希望者の中から KPSS の総合得点合計の高い者を割り出し, 採用内定者として決定する仕組みであるこの際, 国立図書館, 公共図書館, 大学図書館などで採用される司書の官職は, 採用条件として情報記録管理学科の学位を要求するため, 同学科を卒業していない者は司書の官職を得ることができないもっとも, 公共図書館の職員に占める司書の割合はそれほど多くなく, 司書以外の図書館員も数多い 22) 3.2 専門職団体図書館員を代表する専門職団体は, トルコ図書館員協会 (TKD) 23) と大学研究図書館員協会 (ÜNAK) 24) の 2 団体がある前者がすべての情報記録管理学科卒業者と図書館員を代表するのに対して, 後者は大学図書館, 研究図書館や情報センターの職員から構成され, 法人会員も受け入れている大学研究図書館員協会は, 今日の急速な技術の変化発展に伴って発生する諸問題の調査, 他国の類似の問題と対応状況の比較検証, 図書館情報センターで働く専門職が直面する諸問題の分析と解決策の検討, 新技術の定着に向けた活動の実施等, 図書館情報センターが近代図書館の原則に適合するために必要とされる事業を行うことを目的としている専門職団体としての特徴は, 大学研究図書館の現場で働く図書館員を代表する団体であるだけでなく, 図書館情報センターが直面する技術的な問題に即した実践的な目標を掲げていることである ÜNAK-OCLC コンソーシアムは, 大学研究図書館協会の会員の中から,OCLC に参加を希望する図書館有志により 2000 年に結成された非営利法人である大学研究図書館員協会の仲介のもとで,OCLC の提供する FirstSearch,NetLibrary,WorldCat の共同価格交渉や利用に関する協力を行っていたが 25),2015 年 10 月現在, ÜNAK-OCLC コンソーシアムのウェブサイトは消滅しており, 最近の活動状況は確認できない 3.3 資料の共同利用と電子情報資源コンソーシアムトルコでは図書館情報センターの館種を越えた情報資源の共有は不十分であるが, トルコ科学技術研究機構と大学研究図書館のコンソーシアムによって資料共同利用と電子情報資源のナショナルライセンスが推進されているトルコ科学技術研究機構の国立学術ネットワーク情報センター (ULAKBİM) は情報化社会戦略行動計画 (2006 年 ~2010 年 ) に基づいて全国総合目録を立ち上げたのと平行して, 大学研究図書館を対象とする文献提供相互貸借システム (TÜBESS) を構築した 26) 全国総合目録と文献提供相互貸借システムに参加した大学研究図書館は ULAKBİM のドキュメントサプライサービスのほか, 参加館相互の文献複写資料貸借や, 高等教育評議会全国学位論文センターからの学位論文の複写物の取り寄せをワンストップで利用可能である ULAKBİM はまた, 研究機関の電子情報のアクセス保証を目的として電子情報資源全国学術ライセンス (EKUAL) 事業を行っている EKUAL はトルコ科学技術研究機構のプロジェクトとして 2006 年に開始され,2015 年現在,247 機関の大学, 軍学校, 公的研究機関と教育研究病院が参加しており, フルテキストデータベース 7 件を含む 12 件の有料データベースが ULAKBİM の締結するナショナルライセンスに基づいて参加館に無償で提供されている 27) 2000 年に発足したアナトリア大学図書館コンソーシアム (ANKOS) 28) は, 参加図書館の電子情報資源のアクセスを確保することを目的とする任意団体である発足当初, 12 の大学図書館が参加して 3 件の有料データベースの共同ライセンス契約を結んでいた ANKOS は,2015 年現在, 155 館の大学研究図書館が参加し, 参加館は 92 件の有料データベースの中から任意のものを共同契約可能になった 29) ANKOS の活動は電子ジャーナルの共同ライセンス契約にとどまらず, 機関リポジトリの構築支援 30) や相互貸借資料の追跡システム運営 31) まで広がっている 22

4 4. 学術情報流通に関係するオンラインサービストルコのオンライン情報資源は過去十年間で長足の進歩を示した本稿では割愛するが, 国立図書館やトルコ写本機構 32) などの機関によって古典籍や古文書, 古雑誌の本文画像データベースが多数構築され, 人文系の研究者は自宅にいながらにして様々な資料を利用できるようになったデジタル資料の利用は有料であったり, 利用者を限定されたりしているものも多く, すべての資料のオープンアクセスは実現していないものの, 現在, 政府の情報化社会戦略行動計画で文化科学分野のデジタル情報オープンアクセス推進が目指されていることはすでに触れたとおりである本稿で取り扱う科学技術を中心とした学術情報流通においても, トルコ科学技術研究機構の国立学術ネットワーク情報センター (ULAKBİM) を中心にオンラインデータベースやホスティングサービスが立ち上げられている 4.1 学術文献情報データベース (1) トルコ雑誌記事索引 (Türkiye Makaleler Bibliyografyası) 33) 学術誌を中心に採録する雑誌記事の書誌データベーストルコ共和国の成立年である 1923 年以降にトルコ国内で刊行された雑誌記事約 90 万件を収録している 1952 年から国立図書館が編纂を行っており, 日本の国立国会図書館の雑誌記事索引に相当する以前は冊子体の逐次刊行物として公刊されていたほか, 国立図書館成立以前の雑誌記事を統合した累積版も別に作成されていたインターネット公開後も 1999 年までの累積版と,1995 年以降のカレント版,2 つのデータベースに分かれていて使い勝手が悪かったが, 最近になってデータベースが統合され, 非常に使いやすくなったフリーワード検索のほか, 論題名 (makale adı), 著者名 (yazar adı), 出版年 (yayın yılı) などで絞り込んだ詳細検索も可能である著者抄録は採録しておらず, おおまかに分類された主題件名のみが付与されている (2) TR Dizin 34) ULAKBİM が提供する学術雑誌抄録データベース 2013 年にナショナルデータベース (Ulusal Veri Tabanlar) から現在の名称に変更された dizin は索引という意味である 2000 年のオンラインサービス開始以来, 採録対象分野を徐々に拡大し, 現在はトルコ科学技術研究機構助成研究論文 (1966 年 ~), 生命科学 (1992 年 ~), 医学 (1996 年 ~), 建築学基礎科学 (1992 年 ~), 社会学 (2002 年 ~), 法学 (2010 年 ~) の 6 部からなっている論題名 (başlık), 著者名 (yazar), 抄録 (öz) などから検索でき, 一部の雑誌は検索結果の抄録データから本文の PDF をダウンロードすることができるトルコ国内の登録利用者は, このデータベースを経由して ULAKBİM のドキュメントサプライサービスに申し込むことも可能である 4.2 総合目録 (1) 全国総合目録 (TO-KAT: Ulusal Toplu Katalog) 35) 国立図書館と大学研究図書館を中心とする総合目録国家計画庁 ( 当時 ) の情報化社会戦略行動計画 (2006 年 ~ 2010 年 ) に基づき, 文化観光省と ULAKBİM の共同事業として構築された全国総合目録に参加する大学図書館は, 同時に ULAKBİM の相互貸借システム (TÜBESS) に加入することになっており, 総合目録が文献の共同利用に活用されている簡易検索 (Basit Tarama) と詳細検索 (Detaylı Tarama) が可能 (2) ULAKBİM ディスカバリーサービス (ULAKBİM Keşif) 36) EBSCO A-to-Z を利用したディスカバリーサービス抄録データベース TR Dizin, 総合目録 TO-KAT に収録された書誌情報や, オープンアクセスジャーナル,ULAKBİM を通じて契約者が利用できる電子ジャーナルなどを統合検索できるまた,ULAKBİM が作成した大学研究図書館の雑誌総合目録もデータベースに統合されており, 検索メニューから雑誌 (Dergiler) を選択すると, 雑誌総合目録のみの検索も可能になっている 4.3 オープンアクセスリポジトリ (1) ジャーナルパーク (DergiPark / JournalPark) 37) ULAKBİM が提供するオープンアクセスジャーナルのプラットホームサービス 2013 年に, トルコ国内のすべての学術雑誌をオープンアクセス化してホスティングする目標のもとに立ち上げられた ULAKBİM がホスティングサーバーとソフトウェアのインフラストラクチャを無償で提供している学術雑誌の発行者はシステムにアップロードするだけで, 雑誌のオープンアクセス化を行うことができる日本の J-STAGE と基本的な役割は共通しているが, 海外のデータベースとのリンクは提供していない将来的には参加雑誌に DOI を付与する計画で, 現在, 準備が進められている (2) 全国学位論文センター (Ulusal Tez Merkezi / National Thesis Center) 38) 高等教育評議会に提出された学位請求論文 ( 修士論文と博士論文 ) を検索できるデータベース 2006 年以降の学位論文はすべて, それ以前の学位論文も著者が高等教育評議会に許諾したものはオープンアクセス化されており,PDF をダウンロードできるなお, オープンアクセス化されていない学位論文は大学図書館を通じたコピーサービスが提供されている 5. おわりに最後に, トルコの科学技術政策の現状と学術情報流通関 23

5 係についてその特徴を指摘するトルコにおける科学技術政策の大きな特徴は, 科学技術の振興が開発政策の枠組みに位置づけられ, 開発省の立案する開発計画に基づいている点にある産業イノベーションに貢献する研究が重視された開発計画のもとで, 科学産業技術省所管の公法人であるトルコ科学技術研究機構が政策立案から研究実施に及ぶ重要な役割を与えられている学術情報流通にかかわる図書館情報センターは, 国立図書館, 公共図書館, 大学図書館, 科学技術研究機関の研究図書館がそれぞれ異なった行政機関に統括されていて, 図書館行政を所管する文化観光省の調整機能が十分に発揮されていないように見受けられるこうした中で, 大学研究図書館においては, 大学で情報記録管理の学位を取得した専門職の図書館員が中心となって, ヨコの協力体制である専門職団体やコンソーシアムを立ち上げて精力的に活動しているまた, トルコ科学技術研究機構に属する研究支援機関である国立学術ネットワーク情報センター (ULAKBİM) は大学研究図書館を対象とする様々なサービスシステムを構築し, 大学研究図書館の連携協力における中心的な役割を果たしているトルコの研究図書館ネットワークは, これらが重なり合って形成されているオンライン情報資源は急速に整備が進んでいる学術情報流通に関係するオンラインサービスは ULAKBİM が積極的に新システムの構築に務めており, 政府の開発政策とトルコ科学技術研究機構のイニシアチブの下で, 学術情報流通環境はやや遅ればせながら, 目下, オープンアクセスに向かって舵を切っているところである注参考文献 (WEB 参照日はすべて 2015 年 10 月 10 日 ) 01) IMF. World Economic Outlook Database ndex.aspx 02) 萬場大輔. トルコ経済の現状について. 国際協力銀行ロンドン駐在員事務所 /04/2821/jbic_RRJ_ pdf 03) Yükseköğretim Kurulu Başkanlığı. 04) Türkiye Cumhuriyeti Anayasası. Kanun no ) Yükseköğretim Kanunu. Kanun no ) Yükseköğretim Kurumları Teşkilatı Kanunu. Kanun no ) Kütüphaneler ve Yayımlar Genel Müdürlüğü. 08) Kültür ve Turizm Bakanlığı Teşkilat ve Görevleri Hakkında Kanun. Kanun no ) Milli Kütüphane Başkanlığı. 10) Çoğaltılmış Fikir ve Sanat Eserlerini Derleme Kanunu. Kanun no ) Kalkınma Bakanlığı. 12) Yıldız, Bahadır; Ilgaz, Hale; Seferoğlu, S. Sadi. Türkiye'de bilim ve teknoloji politikaları: 1963'den 2013 e kalkınma planlarına genel bir bakış. Akademik Bilişim 10-XII. Akademik Bilişim Konferansı Bildirileri. Muğla, /12. p z-seferoglu_bilimvetekpol.pdf 13) Bilim ve Teknoloji Genel Müdürlüğü. 14) Sanayi ve Ticaret Bakanlığının Teşkilat ve Görevleri Hakkında Kanun. no ) Türkiye Bilimsel ve Teknik Araştırma Kurumu. 16) Ulusal Akademik Ağ ve Bilgi Merkezi. 17) Alpay Aslan, Selma. Turkey. Turkish libraries and technology in the early twenty-first century. Libraries in The Early 21st Century. Vol. 1. An International Perspective. Sharma, Ravindra N. ed. De Gruyter Saur, 2012, p ) Uzun, Ali. Science and technology policy in Turkey : national strategies for innovation and change during the period and beyond. Scientometrics. 2006, Vol. 66, Issue 3, p ) Bilgi Toplumu Stratejisi Eylem Planı ( ). Devlet Planlama Teşkilatı /Bilgi_Toplumu_Strateji_Eylem_Plani_ pdf 20) Bilgi Toplumu Stratejisi ve Eylem Planı. Kalkınma Bakanlığı deca014bea ) 林瞬介. トルコの図書館. アジア情報室通報 ,9 巻 1 号,p letin9_1.pdf?contentno=1 22) 林瞬介. トルコの司書職制と図書館情報学教育. カレントアウェアネス ,No.307,p ) Türk Kütüphanecileri Derneği. 24) Üniversite ve Araştırma Kütüphanecileri Derneği. 25) Toplu, Mehmet. Elektronik yayıncılığın ortak koleksiyon geliştirme ve kütüphane konsorsiyumlarına etkileri ve Türkiye deki uygulamalar. Türk Kütüphaneciliği. 2009, Cilt 23, Sayı 3, p ) TÜBESS. 27) EKUAL. 28) ANKOS. 29) ANKOS. Database subscriptions ) ANKOS. Açık Erişim Kurumsal Arşivler. 31) ANKOS. Kütüphanelerarası İşbirliği Takip Sistemi. 32) Türkiye Yazma Eserler Kurumu 33) Türkiye Makaleler Bibliyografyası. 34) TR Dizin. 35) Ulusal Toplu Katalog. 24

6 36) ULAKBİM Keşif. 37) DergiPark. 38) Ulusal tez Merkezi. Special feature: Scholarly Information in the Middle East. Science and technology policy in Turkey and its current situation of scholarly communication. Shunsuke HAYASHI (National Diet Library, Nagatacho, Chiyoda-ku, Tokyo JAPAN) Abstract: In Turkey, the science and technology policy is implemented as a part of national development framework. Although government agencies on S&T policy and scholarly communication extends over a number of ministries, the Ministry of Development and The Scientific and Technological Research Council of Turkey (TÜBİTAK) play the central parts in the policy making. Librarians who have bachelor s degree in information and records management science formed professional associations and consortia, and made the research library network with TÜBİTAK. Online services on scholarly communication are rapidly developing based on effort of TÜBİTAK and are directed to the open access. Keywords: Turkey / Science and Technology Policy / Scholarly Communication / Ministry of Development / Scientific and Technological Research Council of Turkey / Library Network / Open access 25

1998 8,878, Erdem Şahin İktisadi kalkınmadaki önemi bakımından Türkiye de turizm sektöründeki gelişmelerin değerendirilmesi htt

1998 8,878, Erdem Şahin İktisadi kalkınmadaki önemi bakımından Türkiye de turizm sektöründeki gelişmelerin değerendirilmesi htt 1963 1960 1980 1979 1983 1985 1989 1990 1-1 1-2 2001 2005 2-1 2-2 2-3 1 1998 8,878,555 1963 1960 1980 1990 Erdem Şahin İktisadi kalkınmadaki önemi bakımından Türkiye de turizm sektöründeki gelişmelerin