Microsoft Word - 税_0110.doc

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1 第 6 税システム Ⅰ 概要 1 税システムの概要さいたま市は 平成 13 年 5 月の旧浦和 大宮 与野市の 3 市合併により誕生し その後 平成 17 年 4 月に旧岩槻市と合併を行った 税システムは 個人市民税 法人市民税 固定資産税 軽自動車税 市たばこ税 入湯税 特別土地保有税 事業所税及び都市計画税を対象とした税業務並びにそれらの収納管理業務を行うためのシステムで 合併時には 旧浦和市で稼動していた汎用機によるコンピュータシステムにデータを片寄せする方法でシステムの統合を図った しかしながら システムは構築されて 10 年を経過し 使い勝手やデータ連携の面で非効率となる他 一社随意契約により運用 保守に要する経費は増大するといった問題から 再構築されることになった 再構築に当たっては 同様の問題を抱えている住民記録システムなど他の汎用機で稼動するシステムも含め 総合的な再構築計画が検討された 平成 16 年 6 月に情報化の基本方針となる さいたま市情報システム最適化プラン が策定されたのち 平成 17 年 4 月には 基幹系システムのオープン系システムへの移行 を最適化事業の第一ステップとして位置づけた さいたま市情報システム最適化プランプロジェクト R2005 が策定され システム統合基盤の上で各業務システム ( 税システム 住民記録システムなど ) が連携するといった具体的な再構築方針が決定した 税システムは システム統合基盤の上で稼動する最初の業務システムとして平成 19 年 6 月に総合評価一般競争入札により構築業者を決定し 構築に着手したところであり 平成 21 年 4 月にデータ移行を開始し 同年 10 月より本番運用を開始する予定である -86-

2 Ⅱ 監査の結果及び意見 (1) 入札不調による業務等への影響の分析 ( 意見 ) 再構築されることになった税システムは 平成 18 年 8 月に さいたま市税システム再構築業務 案件として公告され 入札前には 2 社から競争入札参加の申し込みがあった しかしながら 提案依頼書に記載された構築スケジュールが短いとの理由による辞退 と 指名停止による競争入札参加資格の喪失等 の理由により 入札時には 1 社の参加もなく 入札は不調 ( 不成立 ) に終わった 改めて 平成 19 年 4 月に さいたま市税システム再構築業務 案件として公告された結果 平成 19 年 6 月に 3 社が入札に参加し その中から 1 社が決定された 当初の調達仕様によると システム構築は平成 20 年 3 月に完了させ 平成 20 年 4 月にデータ移行を開始し 同年 7 月より本番運用を開始する予定であったが 不調により再度行った調達では 開発期間が約 5 ヶ月 データ移行期間が 3 ヶ月延長された この結果 システム構築は平成 21 年 3 月に完了 平成 21 年 4 月にデータ移行を開始 同年 10 月より本番運用を開始するといった予定に大幅変更された 情報政策課では 税システム 住民記録システムなどの基幹系システムのオープン化による経費は 約 50 億円と試算しており 平成 22 年度からは 毎年 10 数億円の経費の削減を見込んでいる 当初の予定からすると 本番運用は 1 年 3 ヶ月遅れたことになるため 削減時期のずれ込みが予想される システム調達が不調に終わった原因と影響の分析を行うとともに 調達を 2 回実施したことによる 追加に要した費用や予定していた投資コスト削減への影響について総括し 今後の調達の参考とされることが望まれる (2) 一般競争入札による業務委託の検討 ( 意見 ) 収納対策課における 納付済通知書に係るマイクロフィルム撮影 CD 変換及び検索システムデータ入力 業務委託は 納付済通知書原本からマイクロフィルムを作成し そのマイクロフィルムから検索用データベースソフトで動作する電子媒体の -87-

3 作成及び検索用データの入力並びに検索システムへのセットアップを行う委託業務である 検索システムは 平成 9 年に旧浦和市でパッケージソフトウェアをカスタマイズしたものを継承し 現在に至っている 旧 4 市分の一部を含め約 4 千万件の納付済通知書が収録されている 委託業者は パッケージソフトウェア著作権の制約や機器の賃貸借及び保守契約の継続等を随意契約理由として平成 9 年以降同一の業者である なお 担当者によると 平成 20 年度以降は 一般競争入札による業務委託が可能かどうか検討するとのことである パッケージソフトウェア著作権の制約や機器の賃貸借及び保守契約の継続性を理由とし 平成 9 年度以降現在まで継続して同一業者に保守 運用業務を委託しているが 保守部品がないなどにより システムの維持が突然困難になる恐れがある 他自治体の事例や最新パッケージの調査を行い 新システム導入に向けた検討が望まれる (3) 組織改正時の部署別業務権限の見直し ( 結果 ) さいたま市情報セキュリティポリシー ( 第 3 節情報セキュリティ対策第 3 項技術的セキュリィ対策 (4) アクセス制御 1) では 情報システム管理者 ( システム所管課の課長 ) は 職員等の業務範囲に応じて 情報システムに対する適切なアクセス制御を実施し 定期的にその妥当性を見直す こととなっている 平成 19 年 4 月の組織改正により軽自動車税 事業所税及び市たばこ税の各業務が市民税課に移管されたが それ以前の組織改正分も含め 不要となった業務権限が税制課に設定されたままになっている このため ID カードを配布された 2 名の税制課職員は 担当業務と直接関係のない業務の データの更新 や データの照会 が行える状態にある システムへのアクセス制御は 情報漏洩を防止するなどの重要なセキュリティ対策であるため セキュリティポリシーに基づき定期的又は組織改正など適宜 業務権限設定の見直しを行い 不要な権限設定がないよう厳格な管理が必要である また セキュリティポリシーによると アクセス制御を実施し 部署別業務権限 -88-

4 設定の見直しを行うことについては システム所管課 ( 本件は税制課 ) 長の職務であると考えられが 電子計算機の管理部署である情報政策課としても 各システム所管課において業務権限設定の見直しがもれなく行われるよう 権限設定見直しを促すなどの対応を行うことが望まれる (4) 部署別業務権限の適正な付与 ( 結果 ) 情報政策課では 税システムの保守 運用業務において調査のために端末からデータを照会することがあるため データの照会 権限が付与されているが 業務として不要な データの更新 権限も付与されていた 電子計算機の管理部署といえども 業務として不要な データの更新 権限が付与されることは 内部統制上好ましいことではないことから 情報政策課職員によるデータの更新が行われないよう 部署別業務権限を早急に見直す必要がある (5) ID カードの適切な管理 ( 結果 ) 端末機取扱基準 ( 第 7 条 ) では 端末責任者 ( 端末機設置課所室の長 ) は ID カードの管理について 業務終了後は施錠管理する等 その取り扱いに万全を期さなければならない となっている しかしながら ID カードについて 残業 休日出勤などがあるため毎日の回収は現実的でないなどとして 職員に貸与したままの課がみられた ( 市民税課 固定資産税課 収納対策課 ) 貸与された職員は 業務終了後は各自の机に収納するが 机の施錠は必ずしも徹底されているわけではないとのことである このようなことから ID カードの管理については 課によって意識や管理レベルが異なり 基準に基づく統一された取り扱いとなっていないため 紛失 盗難等の恐れがある ID カードの施錠管理については 業務上の理由により基準どおり運用されていない課があるため 情報政策課は 各課の運用状況を把握するとともに 端末機取扱基準第 2 条第 3 項の 端末責任者は 当該事務の一部を分掌させるため端末機取扱 -89-

5 責任者 ( 以下 責任者 という ) を置くことができる による取扱責任者を置 くなどし 適切に運用するよう周知する必要がある (6) システム障害時の報告書の作成 ( 意見 ) 平成 18 年 4 月に市民税課において 法人市民税に関する予定申告の必要がない事業所に予定申告書が発送されるシステム障害が発生した 担当係は影響が 1 法人に限られているため 軽微な事案であると判断し 庁内では報告書を作成せず 課長へは口頭で報告を行ったとのことである なお 本件は 法人から問い合わせがありシステムのソフトウェアによる障害が判明したものである 軽微な影響とはいえ市民や庁内事務に何らかの影響があった場合は 影響の範囲や大きさ 原因 対処 再発防止策などを纏めた報告書を庁内で作成し それに基づき課内報告するとともに 対応策が確実に実行されたかどうかの進捗を管理することが望まれる (7) システム障害時の報告体制の整備 ( 意見 ) 平成 18 年 3 月に固定資産税課において さいたま市と旧岩槻市の計算仕様の相違から 納税通知書に一般住宅用地の課税標準額が表示されないという事象が 担当課職員により発見された 納税通知書の発送前にデータを修正する対処ができたため 市民には影響が及ばないとして 庁内において障害報告書の作成は行わなかった 本件の抜本的解決のためには プログラム修正が必要であるが 次回の 19 年度賦課までに対応することとされた 業者が作成した報告書によると 19 年度賦課までにプログラム改修を実施すること 今後再発防止に向けた取り組みとして両市の計算仕様のすり合わせ 担当課と業者との意識合わせ及び帳票間の比較などを行うこととなっているにもかかわらず 報告書は情報政策課には提出されたが システムの所管課である固定資産税課には提出されなかった 納税通知書の発送前に対処ができたため 市民への影響はなかったが 影響の範囲や大きさ 原因 対処 再発防止策などを纏めた報告書を庁内で作成し それに -90-

6 基づき課内報告するとともに 再発防止策が確実に実行されたかどうかの進捗を管理することが望まれる また システム保守業者が作成した障害報告書は 情報政策課だけでなく システムの所管課である固定資産税課にも通知されるよう報告体制の整備が望まれる 以上 -91-