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大学 研究機関のためのクラウドサービス導入チェックリスト 大澤清, 小林久美子, 吉田浩, 合田憲人 国立情報学研究所 k-osawa@nii.ac.jp Checklist for Cloud Service Adoption in Academic Organizations Kiyoshi Osawa, Kumiko Kobayashi, Hiroshi Yoshida, Kento Aida National Institute of Informatics 概要 本稿では 大学 研究機関のクラウド導入 利用を支援するために国立情報学研究所が実施している学認クラウド導入支援サービスにおいて利用されているチェックリストについて その概要と利用方法について紹介する さらに 2017 年 10 月に公開された改訂版 Ver.3.0 について紹介する 1 はじめに クラウドは その迅速性 柔軟性 運用性 経済性といった利点により ビジネス分野のみならず 学術分野においても情報基盤としての期待が高まっている 例えば オンプレミス型の計算機システムの導入には 数日から大規模システムになると数ヶ月を要するが クラウドでは小規模なシステムであれば最短で数分で計算機システムの利用を開始することが可能であり 計算機システムを利用する研究等の業務をより早くに開始することが可能となる 同様に 業務の都合に合わせた柔軟なシステム構成の変更も迅速に行うことができる また オンプレミス型の計算機システム運用では ハードウェアの保守や障害対応のための業務負担が大きく 大学 研究機関では教職員の業務を圧迫する場合も少なくないが クラウドを利用することでこれらの対応は不要となり 教職員が本来の業務により専念することができる さらに クラウド利用に伴う費用は基本的に利用量に応じて課金されるため 繁忙期に合わせた計算機システムの購入が必要であるオンプレミス型に比べると 経費効率を向上させることができる このようなクラウドの利点が注目され 国内 でも いくつかの先駆的な大学が学内の業務系システムの基盤としてクラウドを利用しているほか 海外では INTERNET2 NET+ のような大学間でクラウドを共同利用するための体制が組織されている [1] また 2014 年には 日本学術会議および文部科学省科学技術 学術審議会学術分科会学術情報委員会から 学術情報基盤としてクラウドを積極的に活用すべきとの意見が示されている [2][3] 国立情報学研究所 ( 以下 NII ) では 我が国にクラウドを活用した高度な学術情報基盤を整備することを目的として 大学 研究機関におけるクラウド導入 利用を支援するための活動を進めている その一つである 学認クラウド導入支援サービス では 大学 研究機関がクラウドを導入する場合の着眼点 ( 信頼性 セキュリティ 契約条件等 ) をまとめたチェックリストを策定し 本チェックリストに基づくクラウドサービスの検証結果を大学 研究機関間で共有することにより クラウドの導入 利用を促進することを目指している また 大学 研究機関のクラウドサービスに対するニーズをとりまとめるとともに クラウド事業者からの大学 研究機関向け商品の提案を引き出すことや クラウドサービス調達における課題整理とその解決も目指している

図 1 大学がクラウドを調達する際に想定される作業とそれらに対応するサービス 本稿では 学認クラウド導入支援サービスにおいて 大学 研究機関がクラウドサービスを導入する際に検討すべき項目をまとめたチェックリストについて その概要と利用方法について紹介し さらに 2017 年 10 月に公開された改訂版 Ver.3.0 について紹介する 2 クラウド導入の課題 大学 研究機関がクラウドサービスを導入する際には 機関内で図 1 に示す複数段階の作業が必要となることが想定される これらの作業は あるサービスを調達する際 クラウドサービスを導入 ( クラウド化 ) するべきか否かという段階から始まり 大学の要件定義 要件を満たすようなクラウドサービスの調査 仕様策定等からなる 大学 研究機関のクラウドサービスの導入 利用における大きな課題として クラウドを導入する際の仕様策定が困難であることが挙げられる クラウドの導入にあたっては 技術的な機能要件から 性能 信頼性などの非機能要件 さらに契約条件など多岐に渡る項目を考慮しなければならない クラウドサービスの仕様策定にはこれらの要件 項目について選択基準を明確にし 事業者から提供されている多くのクラウドサービスの中から大学 研究機関の業務のニーズに合うサービスを探し出す必要がある さらに クラウドサービスは サービス商品 であることから 契約 約款 SLA(Service Level Agreement) などの手続きや法律の領域に踏み込んだ検討も必要である 3 学認クラウド導入支援サービス 3.1 導入支援サービスの概要国立情報学研究所クラウド支援室が推進する 学認クラウド導入支援サービス は 図 1 に示すような各作業に対する支援を実施している クラウドサービス導入の検討段階ではスタートアップガイド [4] や NII クラウド支援室が定期的に開催しているクラウド利活用セミナーが参考となる 大学の要件定義では 3.2 項で紹介するチェックリストのクラウド事業者による回答やスタートアップガイドが参考となる クラウドサービスの調査 仕様策定の各作業においてはチェックリストの回答が活用できる また すべての作業について 必要に応じて大学等と NII の間で個別相談を行っている 3.2 チェックリストチェックリストは クラウドサービスの信頼性 セキュリティ 契約条件などについて 大学 研究機関がクラウドを導入する際の選択基準や考慮点となる項目を一覧表としてまとめたものである NII が策定したチェックリスト Ver.2.0 は 18 の大項目 ( セキュリティ 信頼性 データ管理など ) と 116 の小項目 ( 第三者認証 サービス稼働率 ログなど ) から構成される チェックリストを用いたクラウドサービスの導入例として 以下のフローが考えられる 1) NII がクラウド導入 選択のためのチェックリストを策定する 2) クラウド事業者は 自社のサービス商品に

おいて これらの項目に関して何がどのように提供されているかをチェックリストに記入する 3) 記入済のチェックリストを NII が検証した上で 大学 研究機関に提供する 4) 大学 研究機関はチェックリストの情報を活用して クラウドの調達を行う 3.3 チェックリストの構成 2016 年 8 月に公開したチェックリスト Ver.2.0 の構成を図 2 に示す チェックリストはクラウドの調達の際に検討すべき点を網羅的にまとめたものであり サービスの種類によってはチェックリスト内のいくつかの項目について 未対応 や 対応不可 とするクラウド事業者からの回答も存在する チェックリストの利用方法として このような回答が含まれるサービスを無条件に調達の候補から除外するのではなく 大学の求める要件に対応した項目がどれであるかを大学自身が判断し それらの項目の回答を調達の参考として仕様書を作成するというような利用方法を想定している クラウド事業者が回答を記入したチェックリ ストは導入支援サービスに参加した大学 研究機関の担当者のみがアクセスできる Web サイトにて表形式で閲覧することができる ( 図 3) 以下ではチェックリストの各大項目における考慮すべき点について述べる 3.3.1 商品 / サービスの概要 運用実績クラウドサービスの導入検討時には サービス内容だけでなく ( 大学等における ) 利用実績も導入検討の参考になる 3.3.2 契約申し込みクラウドサービスの支払い方法や課金体系は多様であり 組織の会計手続きで対応可能かを検討しておくことが必要である 無料の試用 ( トライアル ) サービスを設けているクラウド事業者もあり これらのサービスの利用は導入検討の参考になる 3.3.3 学認対応状況学術認証フェデレーション ( 学認 ) に参加している大学等では クラウドサービスの学認への対応状況 ( 今後の対応予定も含む ) は導入検討の参考になる 図 2 チェックリスト Ver.2.0 の構成

図 3 クラウド事業者が回答を記入したチェックリスト ( サンプル ) 3.3.4 信頼性レス割当ては クラウド事業者によって異なるたクラウドサービスでは システム保守のためのめ 大学等の運用との整合性を確認することが必計画停止や障害等による計画外停止に関する情報要である をクラウド事業者が持つため これらの情報の利 3.3.7 管理機能用者への通知方法を確認することが必要である クラウドサービスのユーザやサーバ管理を利用多くのクラウド事業者では Service Level 者が実施する場合は これらの管理ツールを確認 Agreement(SLA) を示しており サービスの信頼することが必要である ロードバランサやフェイ性に関する指標として導入検討の参考になる 大ルオーバ等の機能を提供するクラウド事業者もあ学等が利用するクラウドサービスが事業者の事情り サーバの安定運用を実現する手段として導入 ( 事業撤退等 ) で終了してしまうと 非常に影響検討の参考になる が大きい 事業継続性に関する第三者認証を取得 3.3.8 動作保証しているクラウド事業者もあり 事業継続に関すオンプレミス型のサーバ上で利用しているソフる指標として導入検討の参考になる トウェアをクラウドサービス上で利用する場合は 3.3.5 サポート関連ソフトウェアの動作保証や実績について確認するクラウドサービスでは システムの状態やサーことが必要である ビスに関する情報をクラウド事業者を介して取得 3.3.9 スケーラビリティする必要があるため クラウド事業者のサポートクラウドサービスのメリットの一つは サーバ体制について確認することが必要である の仕様や数を動的に変更できる ( スケーラビリテ 3.3.6 ネットワーク 通信機能ィ ) ことである これらの機能を確認することは クラウドサービスでは 学外のデータセンタースケーラビリティを必要とする運用では これらのサーバを利用するため 大学等とデータセンタの機能を確認することが必要である ー間の通信の安全性および性能を確認することが 3.3.10 データセンター必要である また サーバへのグローバル IP アドクラウドサービスの信頼性や安全性を判断する

ために サーバが設置されるデータセンターの仕様 ( 安全対策等 ) を確認することが必要である データセンターに関する第三者認証を取得しているクラウド事業者もあり 導入検討の参考になる また データの保存については 保存場所 ( 国や地域 ) の確認や保存場所指定の可否を確認することが必要である 3.3.11 セキュリティクラウドサービスでは 提供されるサービスに関わるセキュリティ管理はクラウド事業者が責任を持つため クラウド事業者のセキュリティポリシや対策を確認することが必要である セキュリティに関する第三者認証を取得しているクラウド事業者もあり 導入検討の参考になる また クラウドサービスでは 複数の利用者 ( 組織 ) がサーバ等の資源を共有する場合があるため 資源分離のレベル ( 複数ユーザの仮想マシンが同一の物理サーバを共有等 ) を確認することが必要である 3.3.12 データ管理 バックアップクラウドサービスでは データはクラウド事業者が管理するサーバに保存されるため データの多重化やアクセス制限 バックアップ等について確認することが必要である また クラウドサービスに関するログはクラウド事業者が管理するため 利用者によるログの利用方法について確認することが必要である 3.3.13 クラウド事業者の信頼性 契約条件クラウド事業者の信頼性を確認するため 経営状況や監査等の情報は 導入検討の参考になる クラウドサービスの利用は 利用契約に基づいて提供されるため 準拠法や管轄裁判所等の契約条件を確認することが必要である 特に クラウドサービスでは クラウド事業者が責任を持つ部分と利用者が責任を持つ部分があるため 両者の責任範囲を確認することが必要である 3.3.14 データの取り扱い 引き継ぎクラウドサービスでは データはクラウド事業者のサーバ上に保存されるが データの所有権は利用者にあるべきである そのため データ所有権 および契約終了時のデータやアカウント情報の取り扱いについて確認することが必要である また 他の事業者のクラウドサービスへ利用を移行する場合は データ等の移行支援に関する情報が 導入検討時の参考になる 3.4 チェックリスト Ver.3.0 大学 研究機関のクラウド調達により役立つ内容とするために 2017 年 7 月にチェックリストの改訂を行った 2016 年 9 月に開始した本運用の中で出た課題や クラウドサービスの有識者による意見をもとに変更を加え 19 の大項目 121 の小項目から構成される Ver3.0 として 2017 年 10 月に公開した [5] 以下に主要な変更点について述べる 図 4 チェックリスト回答の記入対象となる第三者認証

信頼性指標を SLA に含めていないサービスへの対応 信頼性に関する指標を規定してはいるが SLA には含めていない というサービスについて Ver.2.0 ではその旨を備考欄に書くしか回答方法が無かったため Ver.3.0 では サービス稼働率を数値 ( 例. 99.9%) で規定していますか ( 中略 )SLA に規定している場合には その旨を明記してください とし SLA 内における規定を必須とはしないように変更した 質問内容の明確化質問中の 計画停止 について 本運用中に複数の事業者から用語の定義について質問を受けたため 計画停止は月次等の定期的なメンテナンスに加え ユーザへの事前通知を行った上でのサービス停止も含みます という文言を追加した 第三者認証関連項目の集約複数の大項目に分散して配置されていた第三者認証関連項目 ( 事業継続性 データセンター セキュリティ 経営 事業 ) を一つの大項目に集約し 視認性を高めた 記入の対象となる第三者認証を図 4 に示す 項目の追加その他 要望として挙げられた 多要素認証 スケジュールされたサーバ起動 停止 セキュリティアップデートの自動適用 暗号化鍵の管理方法 サービスの監査結果の開示 等の項目を追加した 参考文献 [1] INTERNET2 NET+ http://www.internet2.edu/vision-initiatives/initiati ves/internet2-netplus/. [2] 日本学術会議情報学委員会 提言 我が国の学術情報基盤の在り方について SINET の持続的整備に向けて 2014 年. [3] 科学技術 学術審議会学術分科会学術情報委員会 教育研究の革新的な機能強化とイノベーション創出のための学術情報基盤整備について クラウド時代の学術情報ネットワークの在り方 ( 審議まとめ ) 2014 年. [4] 国立情報学研究所クラウド支援室 大学 研究機関のためのクラウドスタートアップガイド http://cloud.gakunin.jp/dist/pdf/startupguide-publi c-v1.pdf 2016 年 [5] 国立情報学研究所 学認クラウド導入支援サービス チェックリスト Ver.3.0 http://cloud.gakunin.jp/dist/pdf/20170724_03_00 _Checklist.pdf 2017 年. 4 おわりに 本稿では 大学 研究機関がクラウドを導入する際に発生する課題に対して支援を行う学認クラウド導入支援サービスを紹介し その中で利用されているチェックリストの概要と利用方法について述べた さらに 2017 年 10 月に公開された同リストの改訂版 Ver.3.0 における主な変更点について紹介した 謝辞 学認クラウド導入支援サービス にご協力いただいている大学 研究機関ならびにクラウド事業者の方々に深く感謝いたします