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せながら検討する必要がある 1. 検査結果の各項目における傾向 2002~2005 年の輸入時検査の項目 ( 検査年 原産国 食品 農薬が同じデータセット ) は 肉や魚及びその加工製品を除くと全部で 2,795 項目あった 但し ここに収載されている項目はいずれも検出件数が少なくとも 1 件以上あ

インド 12 3 エビ イカ オーストラリア 13 3 マグロ エビ フィリピン 14 1 マグロ カツオ エビ アイスランド 15 1 その他の魚 ハリバット 魚卵 スペイン 16 1 マグロ タコ マルタ 17 1 モロッコ 18 1 タコ イカ モーリタニア 19 1 タコ ニュージーランド

目 次 I. わが国における輸入食品中残留農薬の検出状況の推移 各年度の輸入食品中残留農薬の検査結果 輸入食品検査結果の項目について 1-2. 項目数及び違反件数の集計 ~2007 年度に検出された農薬 2. 農薬別の検出状況について

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3 農薬類検査 本項は 管理目標設定項目のうち農薬類の詳細について示すものです (1) 検査期日 年 2 回 ( 散布時期に合わせた 6 月及び 9 月 ) (2) 検査項目と方法 各農薬類 109 項目 : 水質基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等並びに水道水質管理における留意事項

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序 文 1 範 囲 2 引 用 規 格 3 用 語 と 定 義 4 技 術 要 求 事 項 4.1 アセフェート 4.2 アシフルオルフェン 4.3 アラクロール 4.4 アルジカルブ 4.5 ディルドリンおよびアルドリン 4.6 リン 化 アルミニウム 4.7 アミトラズ 4.8 アニラジン 4.

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主食 平成 26 年 パン 麺 9 月分 熊谷市産キヌヒカリ県産小麦粉 輸入小麦粉 豆類きな粉大豆 もやし ( フ ラックマッヘ ) ブロッコリーエクアドル じゃがいも枝豆 にんじんこまつな九州 玉ねぎほうれんそう宮崎 にらとうもろこし ごぼうしそ中国静岡 ピーマン温州みかん佐賀長崎 大根青森 きゅ

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熊谷市キヌヒカリ県小麦粉 輸入小麦粉 豆類大豆秋田 キャベツ神奈川こまつな宮崎 にんじんえのきたけ長野 きゅうりブロッコリーエクアドル愛知 りんごたけのこ 熊谷ごまパラグアイグアテマラボリビア にんにくグリンピースニュージーランド しょうがいよかん愛媛 大根神奈川山形れんこん 玉カリフラワーエクアド

検討の背景 現在 輸入乾牧草と競争力のある粗飼料の増産を中心として飼料自給率の向上を目標に施策を展開 一方 稲わら等を給与された家畜に由来する畜産物の安全を確保することが喫緊の課題 19 年度 ( 概算 ) 551 万 TDN トン 輸入 22% 国産 78% 27 年度 ( 目標 ) 590 万

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4. まとめ 4.1 食事摂取量に関する調査について各国における食事摂取量に関する調査の比較結果は表 4-1 に示すとおりである EU 各国の場合 現時点で確認可能なデータは 2005 年 ~2011 年に実施された調査結果である EU のガイドラインが提示されたのは 2009 年であることから 当


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Ⅰ. 世界海運とわが国海運の輸送活動 1. 主要資源の対外依存度 わが国は エネルギー資源のほぼ全量を海外に依存し 衣食住の面で欠くことのでき ない多くの資源を輸入に頼っている わが国海運は こうした海外からの貿易物質の安定輸送に大きな役割を果たしている 石 炭 100% 原 油 99.6% 天然ガ



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鹿大広報149号

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92 国立衛研報第 125 号 (2007) Bull.Natl.Inst.Health Sci.,125, 92-100 (2007) Notes 各国のの使用状況に関する調査 山本都 #, 登田美桜, 田中敬子, 杉田たき子, 佐々木史歩, 畝山智香子, 森川馨 Study on usage of pesticides in various countries Miyako Yamamoto #, Miou Toda, Keiko Tanaka, Takiko Sugita, Shiho Sasaki, Chikako Uneyama, Kaoru Morikawa Usage of pesticides in food items in export countries was studied, focusing items which Japan imports in large quantity. Japan has imported field crops such as wheat, corn and soy bean, and also grapefruit in large quantity on a weight base, mainly from United States, Australia and Canada. While, Japan has imported various kinds of vegetables in which China had the largest share. We collected usage data of pesticides for 44 food items of 17 countries of 2004. Pesticides which were used frequently usage rank within top ten in each item/country) were dichlorvos, carbofuran, chlorpyrifos, dimethoate (insecticides), mancozeb, carbendazim, thiophanate-methyl, chlorthalonil (fungicides), glyphosate, 2,4-D, paraquat, acetochlor (herbicides). Carbendazim, thiophanate-methyl, acetochlor and dichlorvos were mainly used in China. Dithiocarbamates are used frequently in various food items in various countries, and also frequently detected in monitoring in foreign countries. Some pesticides such as bisultap, monosultap, etaboxam and triazmate were used only in certain countries, and available information on toxicity or analytical method was very limited. Some of pesticides described above have not been analyzed in the pesticide residue monitoring in Japan before 2005, however, many of them are subjects of analysis for import food after 2006 with the enforcement of positive list system for residues of pesticide and veterinary medicines in food in Japan. Keyword: pesticide, usage, import quantity, monitoring はじめに平成 18 年 5 月より施行された食品中に残留するや動物用医薬品等についてのポジティブリスト制により規制対象物質の種類は大幅に増加した. 輸入食品中の残留検査における効率性向上および精度確保のためには, 輸出国におけるの使用状況等を反映した検査体制の確立をはかることが重要である. 本研究では, 輸入食品検査の対象品目検討における基礎的データ調査の一環として, 各国のの使用状況について調査した. 方法わが国の農作物の輸入量に関しては, 厚生労働省 輸入食品監視統計 ( 平成 16 年次版 ),JETRO( 日本貿易振興機構 ) の貿易統計データベース (2004 年 ) 1), 農水省の海外統計情報 (2004 年 ) 2) をもとに調査し, わが国の輸入量が多い作物及び原産国を抽出した. の使用状況については, 以下の情報源を用いてわが国の輸入量が多い品目 / 原産国を中心に調査した. # To whom correspondence should be addressed: Miyako Yamamoto; Kamiyoga 1-18-1, Setagaya, Tokyo 158-8501, Japan; Tel: 03-3700-1404; Fax: 03-3700-1483; E-mail: yamamoto-my@nihs.go.jp 1. 各国における品目ごとのの種類及び使用量 : i-map SIGMAデータベース (i-map SIGMA DB, 英国 Kynetec 社 ) を用い, 以下の国 / 品目について使用量を調査した (17 ヶ国 44 品目 ). : 米, 雑穀類, サツマイモ, ジャガイモ, ソルガム, 大豆, 茶, トウモロコシ, 梨, ハーブ, 豆類, 野菜, 落花生, リンゴ, レイシ, 柑橘類 ; 米国 : オレンジ, 小麦, 大豆, トウモロコシ ; タイ : キャッサバ, 緑豆 ; 韓国 : トウガラシ ; 台湾 : バナナ, 豆類 ; ベトナム : コーヒー, 野菜 ; インドネシア : コーヒー ; フィリピン : バナナ ; エクアドル : バナナ ; オーストラリア ( 豪州 ): 大麦, ナタネ ; カナダ : 大豆, デュラム小麦, ナタネ ; ドイツ : ジャガイモ ; ブラジル : コーヒー, 大豆 ; コロンビア : コーヒー ; チリ : ブドウ ; メキシコ : アボカド, トウモロコシ, メロン ; 南アフリカ共和国 ( 南ア ): 柑橘類. データは, 2002 年 ( エクアドル, 南ア ),2003 年 ( 台湾, 韓国, ベトナム, ブラジル ) を除き2004 年のものである. 2. 米国における野菜, 果実その他の品目の使用量 : Agricultural Chemical Usage( 米国農務省のNational Agricultural Statistics Service) 3) 大豆, 春小麦, 冬小麦, トウモロコシ, スイートコーン, タマネギ, キャベツ, トマト, 結球レタス, その他のレタス, サクランボ ( 甘い種類 ), ブルーベリー, グ

各国のの使用状況に関する調査 93 レープフルーツ, レモン, オレンジ, ブドウ, 干しブドウ, イチゴ. 調査年は表中に記載した. 結果及び考察 1. 日本で輸入量の多い品目及び原産国各国におけるの使用状況等の調査を行うため, まずわが国の輸入量が多い食品及びその原産国について調査した. 輸入量が多い作物のうち,2004 年の輸入量が概ね1 万トン以上 / 国のものを中心に原産国 ( 輸出国 ) を表 1に示した. 重量ベースでひとつの国からの輸入量が10 万トン / 年を超える品目は, 小麦, 大麦, ライ麦, トウモロコシ, 米などの穀物, 大豆, ナタネ, バナナ, グレープフルーツ, パイナップルなどであった. 小麦や大麦, トウモロコシ, 大豆などについては, 米国を筆頭にカナダやオーストラリア等からの輸入量が多かった. 一方, 野菜の場合, 個々の品目の重量ベースでの輸入量は穀物等より少ないものの種類ははるかに多く, そのうちが1 位か2 位のシェアを占めるケースが多かった. 表 1には輸入量 (2004 年 ) が1 万トン以上のものを記載したが, の使用状況や検出状況等の調査において Table 1:Food items and export countries in which Japan imported in large quantities (2004) 品 目 主な原産国 / 輸入量 (2004) 10 万トン以上 / 年 5~10 万トン / 年 1~5 万トン / 年 うるち精米 米国 タイ 豪州 ベトナム 小麦 米国 カナダ 豪州 大麦 ( はだか麦を含む ) 豪州 カナダ 米国 ライ麦 ドイツ カナダ トウモロコシ 米国 ブラジル 大豆 米国 ブラジル カナダ ナタネ カナダ 豪州 大粒落花生 タマネギ ( 生鮮 冷蔵 ) 米国 ニュージーランド かぼちゃ ( 生鮮 冷蔵 ) ニュージーランド メキシコ トンガ さといも類 ( 生鮮 冷蔵 ) ニンジン ( 生鮮 冷蔵 ) ブロッコリー ( 生鮮 冷蔵 ) 米国 ねぎ ( 生鮮 冷蔵 ) キャッサバ芋 タイ トウガラシ ( 生鮮 冷蔵 ) 韓国 枝豆 ( 冷凍 ) 台湾 タイ しいたけ ( 生鮮 冷蔵 ) しょうが ( 生鮮 冷蔵 ) タイ にんにく ( 生鮮 冷蔵 ) バナナ ( 生鮮 冷蔵 ) フィリピン エクアドル 台湾 グレープフルーツ ( 生鮮 冷蔵 ) 米国 南ア オレンジ ( 生鮮 冷蔵 ) 米国 チリ 南ア レモン ( 生鮮 冷蔵 ) 米国 チリ サクランボ ( 生鮮 冷蔵 ) 米国 メロン類 ( 生鮮 冷蔵 ) メキシコ 米国 アボカド ( 生鮮 冷蔵 ) メキシコ キウィ ( 生鮮 冷蔵 ) ニュージーランド コーヒー豆 : 生鮮 冷蔵 ブラジル コロンビア インドネシア エチオピア グァテマラ ベトナム 紅茶 部分的発酵茶 緑茶

94 国立衛研報第 125 号 (2007) は, 輸入量 1 万トン未満のものでも, それぞれの品目で特定の国のシェアが大きいもの ( 例 : の各種野菜, チリの生鮮ブドウ, 米国の生鮮イチゴ, タイのハーブ類, 米国や韓国のトマト, 米国のセロリ, ベトナムやの冷凍ホウレンソウなど ) については今後も着目していく必要がある. 2. 主な原産国 / 品目におけるの使用状況 2.1 の使用量に関する情報源各国のの使用状況については, 特定のテーマあるいはに焦点をしぼった資料や使用に関わる国の施策についての解説資料などはあるものの, 各国で個々の作物に使用されているの種類や使用量について具体的データがまとめられている情報源はきわめて限られており, 今回の調査で入手できたのは米国農務省のweb サイトから提供されている Agricultural Chemical Usage 及び民間のデータベース(i-map SIGMA DB) のみであった. 特定の原産国, 品目, に限って使用量が示されている資料はいくつかあったが, そうした情報は断片的で他との比較ができないため, 参考程度にとどめた.EUの使用量に関する情報は調査年が古いため(1992 ~ 1999), 本研究には利用できなかった. 米国農務省の Agricultural Chemical Usage には, Field Crops( トウモロコシ, 大豆, 小麦など ),Vegetables( タマネギ, トマト, イチゴ, メロンなど ),Fruits( サクランボ, グレープフルーツ, オレンジなど ) 等についての使用量 ( 重量ベース, ポンド ) が収載されている. 年度によって調査対象となる作物や調査を実施する州 ( 主な産地 ) の数が異なる. 例えば2004 年の冬小麦は14 州, タマネギは6 州,2005 年のグレープフルーツは3 州, サクランボは4 州, オレンジは2 州 ( カリフォルニア州, フロリダ州 ), レーズンは1 州 ( カリフォルニア州 ) が対象となっており, 州ごとの使用量及び各州を合計した使用量が掲載されている. i-map SIGMA DBは, 民間調査会社が行った世界約 60 ヶ国の消費量についての市場調査データベースで, 同社のパンフレットによれば本データベースは世界の消費の約 90% をカバーしているとしている. 他に類似した情報源が入手できないため,i-map SIGMA DB の使用量データの正確性については検証できないが,i-map SIGMA DBに収載されている米国の小麦, トウモロコシ, 大豆, オレンジでの使用の種類を米国農務省の Agricultural Chemical Usage のデータと比較したところ, 各品目で特に使用量が多いは, 順序が異なる場合はあるものの両者でほぼ同じであり, 以下のとおりであった. 小麦 : グリホサート,2,4-D 及びその塩類,MCPA 類 (4- クロロ-2-メチルフェノキシ酢酸 ), クロルピリホス トウモロコシ : アトラジン, アセトクロール,s-メトラクロール, グリホサート, シマジン, ジメテナミド, クロルピリホス 大豆 : グリホサート, ペンディメタリン, トリフルラリン,2,4-D 及びその塩類 オレンジ : マシン油, グリホサート, ジウロン, シマジン使用量については, Agricultural Chemical Usage のデータが全米ではなく特定の州を対象とした使用量であることから, 国全体での使用量を対象としているi-map SIGMA DBと直接比較することはできなかった. しかし, 例えば大豆のグリホサート使用量は Agricultural Chemical Usage (2005) で約 29,000トン,i-map SIGMA DB (2004) で約 32,000トン, ペンディメタリン使用量は前者で約 960トン, 後者で約 1,600トン, 冬小麦の2,4-D 類の使用量は前者, 後者とも約 1,600トンであり, さほど大きな違いはみられなかったことから, 各国の使用状況の調査にi-map SIGMA DBを用いることは妥当と判断した. したがって本報告では, 基本的にi-map SIGMA DBを用いて 方法 の項に示した17 ヶ国 44 品目についての使用状況を調査した. この中には, 米国の小麦, トウモロコシ, 大豆, オレンジについての使用量データも含まれる. 米国のこれ以外の品目については Agricultural Chemical Usage を参照したが, 既述のように Agricultural Chemical Usage の調査は特定の年に特定の州を対象として行われるため, 全米の使用状況を反映したものではない. 以下, Agricultural Chemical Usage を用いたと特に記載していない場合は,i-map SIGMA DBを用いて調査したデータである. 2.2 における使用状況における作物ごとの使用状況については16 品目を調査したが, その中から野菜, 米, 豆類, 茶, 落花生, 雑穀類について使用を使用量の多い順に10 位まで表 2に示し, 大豆及びトウモロコシについては他の国と共に表 4に掲載した. 野菜については, わが国はからさまざまな種類の野菜を輸入しており, 特にタマネギ, ネギ, ニンジン, しょうが, さといもなど国別輸入量でがシェア1 位のものが非常に多い.i-map SIGMA DBののデータは, 個々の野菜ごとではなく 野菜 として一括してまとめられていた. 豆類については, 日本で検査されている豆類は, ささげ, 小豆, 緑豆などの beans 及びスナップエンドウ, さやえんどうなどのpeasであるが,i-map SIGMA DBではBeansとしてのみ収載されているため, ここでは両者を特に区別はせず, 表 2には豆類として記載した.

各国のの使用状況に関する調査 95 野菜 全体で使用量が多かったは, マンコゼブ ( での野菜への総使用量の26%) であり, 続いて, ジクロルボス (9%), クロロタロニル (6%), グリホサート (6%), カルベンダジム (5%), トリクロルホン (5%), チオファネートメチル (4%), ジメトエート (2.6%), ホキシム (2.5%), アセトクロール (2.5%) であった. これらののうち, ジクロルボス, ジメトエート, アセトクロール以外はポジティブリスト制実施以前の残留分析の検査対象となっていなかったが,2006 年度以降はこれらの多くが検査対象となったことから, 今後, 上記のが野菜で検出される事例が多くなる可能性がある. わが国の輸入食品検査で検出例や違反例の多いクロルピリホスについては, における野菜への総使用量の約 1.9% で12 位であった. またわが国の輸入食品検査では, 産スナップエンドウやさやえんどうでシペルメトリン, 大粒落花生でダミノジッドの違反事例が比較的多いが, の 豆類 もしくは 落花生 の使用量データには, シペルメトリンやダミノジッドは含まれていなかった. 米で使用量が1 位のビスルタップ (Bisultap)(14%) 及び3 位のモノスルタップ (Monosultap)(9%) は日本でほとんど知られていないであるが, では米の他に豆類でもモノスルタップが使用量 1 位 (26%) であった. 以外の国の使用量データにはこれら2つのは記載されておらず,CODEX, 日本, 米国やカナダ,EU, オセアニア, タイ, 台湾でもこれらのMRL( 最大残留基準 ) は設定されていない. ビスルタップ及びモノスルタップの情報はきわめて少なく,CAS 番号や構造についてweb 情報からきわめて限られた情報が得られたものの, その正確さについては確認できていない. 米や豆類での使用量が多いことから, これらの物質については今後情報を継続的にフォローしていく必要がある. 今回調査したの16 品目において, 使用量が10 位以内に入っている頻度が最も高かったはカルベンダジムで,16 品目のうち15 品目で10 位以内であり, 残りのジャガイモでも16 位であった. カルベンダジムに次いでさまざまな作物に使用されていたのは, マンコゼブ (12 品目 ), ジクロルボス (11 品目 ), チオファネートメチル (10 品目 ) アセトクロール (8 品目 ), クロロタロニル (7 品目 ), チラム (7 品目 ) であった. わが国の輸入食品検 Table.2:Usage of pesticides in China (2004) 品目野菜米豆類総使用量 27,151 トン総使用量 57,179 トン総使用量 668 トン 順位 1 マンコゼブ 殺菌 25.8 ビスルタップ 殺虫 13.7 モノスルタップ 殺虫 26.1 2 ジクロルボス 殺虫 9.3 ブタクロール 除草 11.3 メタミドホス 殺虫 17.4 3 クロロタロニル 殺菌 6.3 モノスルタップ 殺虫 8.5 カルボフラン 種子 10.5 4 グリホサート 除草 6.1 トリアゾホス 殺虫 7.8 ジメトエート 殺虫 8.7 5 カルベンダジム 殺菌 5.2 バリダマイシン 殺菌 7.2 カルベンダジム 種子 7.0 6 トリクロルホン 殺虫 4.7 メタミドホス 殺虫 6.5 チラム 種子 7.0 7 チオファネートメチル殺菌 4.2 ジクロルボス 殺虫 5.3 チラム 殺菌 4.8 8 ジメトエート 殺虫 2.6 カルベンダジム 殺菌 3.0 パラコート 除草 4.6 9 ホキシム 殺虫 2.5 ホキシム 殺虫 2.1 グリホサート 除草 3.9 10 アセトクロール 除草 2.5 ジメトエート 殺虫 2.0 トリアジメホン 殺菌 2.9 品目 茶 落花生 雑穀類 総使用量 1,238 トン 総使用量 5,787 トン 総使用量 454 トン 順位 1 グリホサート 除草 42.0 アセトクロール 除草 21.1 メタミドホス 殺虫 22.2 2 ジクロルボス 殺虫 11.6 カルベンダジム 殺菌 17.5 ジクロルボス 殺虫 21.0 3 パラコート 除草 11.0 マンコゼブ 殺菌 6.8 アトラジン 除草 16.6 4 チオファネートメチル殺菌 4.0 クロロタロニル 殺菌 5.6 トリクロルホン 殺虫 12.7 5 エンドスルファン 殺虫 3.4 ホキシム 殺虫 5.1 アセトクロール 除草 8.2 6 マンコゼブ 殺菌 3.2 カルボフラン 殺虫 4.6 パラチオンメチル 殺虫 7.9 7 ペンタクロロフェノー除草 3.0 硫黄 殺菌 3.7 カルベンダジム 殺菌 3.6 ル 8 クロロタロニル 殺菌 2.8 チオファネートメチル殺菌 3.3 マンコゼブ 殺菌 3.3 9 カルベンダジム 殺菌 2.5 オメトエート 殺虫 2.5 トリアジメホン 殺菌 1.6 10 ブプロフェジン 殺虫 2.5 ジネブ 殺菌 2.5 チラム 種子 1.1 *1: 用途 : 殺虫 : 殺虫剤 殺菌 : 殺菌剤 除草 : 除草剤 種子 : 種子粉衣剤 *2: 総使用量に対する割合 (%)

96 国立衛研報第 125 号 (2007) 査において,2005 年以前はカルベンダジム, チオファネートメチル, クロロタロニル, ジチオカルバメート系 ( マンコゼブ, マンネブ, ジネブ, ジラム, チラム, フェルバム, プロピネブ, メチラムなど ) は検査対象となっていなかったため検出事例はほとんどないが, 今後これらのの検出状況について特に注目していく必要があろう. 2.3 その他の主な国における使用状況表 3に, 以外の輸入量が多い主な原産国 / 品目におけるの使用状況をまとめて記載した. 表 2ののデータでは使用量の多い順に10 位まで示したが, 表 3では紙面の関係上, 使用量 5 位まで, もしくは5% 以上のものまでを示し, また殺菌剤, 殺虫剤, 除草剤などの用途は省略した. ベトナムもと同様, データは 野菜 としてまとめて記載されていた. 韓国のトウガラシ, 台湾の豆類及びバナナ, ベトナムの野菜, ドイツのジャガイモ, メキシコのメロンでは, 使用量の1 位はジチオカルバメート系 ( マンコゼブ, ジネブ, マンネブなど ) であり, この他, 南アの柑橘類, メキシコのアボカド, フィリピンやエクアドルのバナナ, ベトナムのコーヒーでもジチオカルバメート系は使用量の5% 以上を占めていた. ドイツのジャガイモでは, 使用量 5 位までののうち, マンネブ ( 総使用量の23%), マンコゼブ (19%), メチラム (16%), プロ ピネブ (7%) の4 種類がジチオカルバメート系であった. またベトナムの野菜では, ジネブ, マンコゼブ, プロピネブなどがジチオカルバメート系であった. で各品目の使用量 10 位以内に入っている頻度が高かったカルベンダジムやチオファネートメチルは, 今回調査したその他の国の使用量上位には入っておらず, これらのがで特に多く使用されていることが推測される. ドイツのジャガイモで使用量 4 位のプロスルホカルブ ( 総使用量の10%) は, 日本ではいずれの品目においてもMRLは設定されていない ( 一律基準適用 ). 米国のオレンジ, 南アの柑橘類, フィリピンのバナナでは, 総使用量の70% 以上はマシン油 ( 殺虫剤または殺菌剤として ) であった. またチリのブドウ, メキシコのメロンやアボカド, ブラジル, ベトナム, インドネシアのコーヒーでは, 硫黄 ( 殺菌剤, 殺虫剤 ), 塩基性塩化銅 ( 殺菌剤 ), 硫酸銅 ( 殺菌剤 ) などが用いられていた. これらはわが国では, 人の健康を損なうおそれがないものとして一律基準の規定から除外されている. コーヒーについては, ブラジル, ベトナム, コロンビア, インドネシアのうちインドネシア以外の3 ヶ国でグリホサート ( 除草剤 ) の使用量が最も多かった. 表 4には, 大豆, トウモロコシ, 小麦など, いわゆるフィールド作物 (Field crops) とよばれる作付面積の広い品目についての使用状況を示したが, グリホサート類 Table.3:Usage of pesticides in some food items/countries 国 品目 総使用量 ( トン ) (*1) 韓国 トウガラシ 1,351 マンコゼブ (23%) クロロタロニル(9%) イソプロチオラン(5%) パラコート(5%) プロピネブ(5%) 台湾 豆類 179 マンコゼブ (31%) テルブホス(12%) カルバリル(11%) ホレート(8%) ペンディメタリン(8%) ベトナム 野菜 1,067 ジネブ (17%) マンコゼブ(16%) 硫酸銅(13%) ジメトエート(10%) タイ キャッサバ 1,970 パラコート (42%) グリホサート(35%) アラクロール(17%) ジウロン(5%) 緑豆 510 グリホサート (25%) アラクロール(17%) マンコゼブ(17%) パラコート(14%) シペルメトリン(9%) ドイツ ジャガイモ 3,425 マンネブ (23%) マンコゼブ(19%) メチラム(16%) プロスルホカルブ(10%) プロピネブ(7%) 米国 オレンジ 32,781 マシン油 (78%) グリホサート(6%) 南ア共和国 柑橘類 4,847 マシン油 (72%) マンコゼブ(5%) チリ ブドウ 8,885 硫黄 (54%) マシン油(20%) グリホサート(8%) シアナミド(5%) メキシコ メロン 640 マンコゼブ (23%) 硫黄(16%) メタミドホス(12%) クロロタロニル(12%) 塩基性塩化銅(6%) アボカド 302 塩基性塩化銅 (34%) グリホサート(17%) 硫黄(13%) マンコゼブ(8%) 硫酸銅(6%) フィリピン 3,907 マシン油 (70%) マンコゼブ(16%) エクアドル バナナ 1,455 グリホサート (39%) マンコゼブ(12%) クロロタロニル(11%) トリデモルフ(8%) 台湾 172 マンコゼブ (33%) ホレート(12%) アメトリン(10%) フェニトロチオン(9%) クロルピリホス(8%) ブラジル 5,846 グリホサート (45%) 塩基性塩化銅(11%) グリホサート トリメシウム塩(9%) 硫黄(7%) ベトナム 390 グリホサート (37%) 硫酸銅(16%) エンドスルファン(7%) 2,4-D(6%) マンコゼブ(5%) コーヒーコロンビア 370 グリホサート (71%) クロルピリホス(15%) インドネシア 135 塩基性塩化銅 (24%) カルバリル(11%) グリホサート(10%) 2,4-D アミン塩 (10%) ジウロン(10%) *1: 使用されている ( 使用量の多い順に記載 ). カッコ内は総使用量に対する割合.

各国のの使用状況に関する調査 97 が使用量 1 位のものが多い. の大豆及びトウモロコシでは, 使用量 1 位はいずれもアセトクロール ( 除草剤 ) であった. この他, 米国及びメキシコのトウモロコシ, 豪州のナタネでの使用量 1 位はアトラジン ( 除草剤 ), カナダのデュラム小麦及び米国の春小麦と冬小麦は1 位が 2,4-D 類 ( 除草剤 ) であった. 表 4に記載した品目は, フィールド作物 (Field crops) といわれている大豆, トウモロコシ, 小麦などの作物であるが, ここに示した使用量上位のは, メタミドホス ( 殺虫剤 ), カルボフラン ( 種子粉衣剤 ), クロルピリホス ( 殺虫剤 ) 以外すべて除草剤であった. 表 3 及び表 4において, 例えば大豆, トウモロコシ, バナナ, コーヒーなどについては複数の国の使用状況を記載したが, 国によって作付面積や使用方法が異なるため, 表中の総使用量が他の国より多くてもそれが単位面積当たりの使用量が多いということを意味するものではない. 一般に表 4のフィールド作物や表 3の米国のオレンジなど作付面積が広いと思われる品目では総使用量が他と比べてはるかに多かった. 2.4 米国における使用状況 ( Agricultural Chemical Usage のデータから) 米国はと並んで, わが国の食品輸入量が最も多い. i-map SIGMA DBでは, 重量ベースでの輸入量が特に多いオレンジ, 大豆, トウモロコシ, 小麦 ( 春小麦及び冬 小麦 ) についての使用量を調査したが, この他の主な品目について米国農務省の Agricultural Chemical Usage で調査した. 表 5に各品目についての使用を使用量の多い順に記載した. Agricultural Chemical Usage の使用量調査は, 年ごとに調査対象となる品目及び州が異なる. 調査対象の州の数が異なるため, 各品目におけるの使用量合計の数字は省略した. 全般的にフィールド作物 ( トウモロコシ, 大豆, 小麦など ) は野菜 果実に比べての使用量が多いが, 表 4に示したカナダや豪州などその他の国の結果と同様, 米国ではそのほとんどが除草剤であった. 大豆ではグリホサート類, 小麦ではグリホサート類,2,4-D 類,MCPA(4- クロロ-2-メチルフェノキシ酢酸 ) 類, トウモロコシではアトラジン,S-メトラクロール, グリホサート類の使用量が多かった. タマネギ, トマト, レタス, キャベツなどでは, フィールド作物に比べの絶対使用量ははるかに少ないが, 使用しているの中では殺虫剤や除草剤に比べて, ジチオカルバメート系やクロロタロニルなど殺菌剤の割合が比較的高かった. 果実では, オレンジのマシン油, ブドウの硫黄の使用量が多かった. 全体として, 果実に使用されているは, 殺虫剤ではマシン油, 硫黄など, 殺菌剤では水酸化銅, 硫酸銅, 硫黄など, わが国では人の健康を損なうおそれがないとして一律基準の規定から除外されているものが多かった. Table.4:Usage of pesticides in field crops in some countries 国 ブラジル 品目 総使用量 ( トン ) (*1) 54,102 グリホサート類 (63%) トリフルラリン (7%) メタミドホス (5%) 米国 38,794 グリホサート類 (85%) ペンディメタリン(4%) 大豆 14,949 アセトクロール (50%) カルボフラン(6%) カナダ 1,538 グリホサート類 (67%) メトラクロール(18%) 米国 76,971 アトラジン (36%) アセトクロール (20%) s- メトラクロール (14%) グリホサート (12%) トウモロコ 27,924 アセトクロール (33%) アトラジン(22%) カルボフラン(6%) シアトラジン (22%) グリホサート(16%) 2,4-D アミン塩 (12%) パラコート(8%) クロルピメキシコ 4,128 リホス (5%) カナダ デュラム小麦 1,896 2,4-D 類 (30%) グリホサート (17%) MCPA 類 (18%) ブロモキシニル (8%) カナダ 5,910 グリホサート (15%) 2,4-D 類 (28%) MCPA 類 (20%) ブロモキシニル(10%) 春小麦 米国 4,095 2,4-D(25%) MCPA(23%) グリホサート(14%) ブロモキシニル(12%) 米国 冬小麦 3,932 2,4-D(40%) グリホサート(25%) MCPA(7%) 豪州 大麦 4,725 グリホサート (47%) トリフルラリン(30%) MCPA(5%) カナダ 2,937 グリホサート類 (73%) グルホシネート アンモニウム(9%) ナタネ 豪州 1,665 アトラジン (31%) グリホサート(30%) トリフルラリン(22%) シマジン(10%) *1: 使用されている ( 使用量の多い順に記載 ). カッコ内は総使用量に対する割合.

98 国立衛研報第 125 号 (2007) 各国の残留モニタリング結果では, 米国産イチゴのキャプタン, メソミル, ジチオカルバメート系, ベノミル等, 米国産サクランボのキャプタン, カルバリル, イプロジオン, クロロタロニルの検出頻度が比較的高かった. Agricultural Chemical Usage の使用量データでは, イチゴでキャプタン, メソミル, サクランボでカルバリル, クロロタロニルの使用量は比較的多かったが, サクランボのキャプタン及びイプロジオンは少なかった. 米はこれまで少なくとも数年間は調査対象となっていなかったが, 最近公表された2006 年の調査結果で米の使用量が報告されたため, 表 5にはその結果も収載した. 使用の種類は, 多い順にプロパニル, グリホサート イソプロピルアミン塩, クロマゾン, 塩素酸ナトリウム, モリネート ( 以上, いずれも除草剤 ) であった.i-map SIGMA DBで調査したの米での使用量データで は, 多い順にビスルタップ (Bisultap, 殺虫剤 ), ブタクロール ( 除草剤 ), モノスルタップ (Monosultap, 殺虫剤 ), トリアゾホス ( 殺虫剤 ), バリダマイシン ( 殺菌剤 ) などであり, 米国とでは使用の傾向はまったく異なっていた. 2.5 各国の使用量に関する全体の概要 i-map SIGMA DBで今回調査対象とした各国の品目 ( 計 44 品目 ) において,10 位以内に入る頻度の高かったは, 殺虫剤ではジクロルボス, カルボフラン, クロルピリホス, ジメトエート, トリクロルホン, メタミドホス, 殺菌剤ではマンコゼブ ( ジチオカルバメート類 ), カルベンダジム, チオファネートメチル, クロロタロニル, 塩基性塩化銅, 除草剤ではグリホサート ( グリホサート トリメシウム塩を含む ),2,4-D 類 (2,4-Dアミン塩,2,4-D エステル等を含む ), パラコート, アセトクロール, アトラジン, アラクロールであった. このうち, カルベン Table.5:Usage of pesticides in the United States 品目 (*1) 調査年 調査対象州の数 イチゴ 臭化メチル クロルピクリン ジクロロプロペン 硫黄 キャプタン 2004 3 レモン マシン油 硫黄 グリホサート ( イソプロピルアミン塩 ) 2005 1 ブルーベリー キャプタン ジラム マラチオン 水酸化銅 2005 5 サクランボ ( 甘い種類 ) マシン油 硫黄 ポリ硫化カルシウム 水酸化銅 カオリン 2005 4 グレープフルーツ マシン油 硫黄 水酸化銅 シマジン グリホサート ( イソプロピルアミン塩 ) 2005 3 オレンジ マシン油 グリホサート ( イソプロピルアミン塩 ) ジウロン 水酸化銅 シマジン 2005 2 ブドウ 硫黄 ジクロロプロペン マシン油 グリホサート ( イソプロピルアミン塩 ) テトラチオカルブナトリウム 2005 3 干しブドウ 硫黄 クリオライト グリホサート ( イソプロピルアミン塩 ) シマジン 2005 1 タマネギ ジクロロプロペン メタムナトリウム マンコゼブ クロロタロニル 水酸化銅 2004 6 キャベツ 生鮮 クロロタロニル マンネブ マンコゼブ 2004 7 トマト 生鮮 臭化メチル クロルピクリン マンコゼブ 水酸化銅 クロロタロニル 2004 2 ブロッコリー DCPA クロルピリホス オキシデメトンメチル ダイアジノン ジメトエート 2004 1 結球レタス マンネブ ベンスリド ホセチルアルミニウム ダイアジノン 2004 2 その他のレタス メタムナトリウム マンネブ ベンスリド ダイアジノン 2004 2 スウィートコーン 生鮮 メソミル マンコゼブ アトラジン クロルピリホス S- メトラクロール 2004 13 トウモロコシ アトラジン アセトクロール s- メトラクロール グリホサート類 シマジン 2005 19 大豆 グリホサート ( イソプロピルアミン塩 ) スルホサート ( グリホサート トリメシウム塩 ) ペンディメタリン トリフルラリン グリホサート 2005 17 春小麦 MCPA グリホサート 2,4-D ブロモキシニルオクタノエート ブロモキシニル 2004 7 冬小麦グリホサート 2,4-D 類 MCPA クロルピリホス ジカンバ 2004 14 米 プロパニル グリホサート ( イソプロピルアミン塩 ) クロマゾン 塩素酸ナトリウム モリネート 2006 6 *1: 使用されている主な ( 使用量の多い順に記載 )

各国のの使用状況に関する調査 99 ダジム, チオファネートメチル, アセトクロール, ジクロルボスについてはでの使用量が上位のケースがほとんどであった. 一方, グリホサート類,2,4-D 類, ジチオカルバメート類 ( マンコゼブやチラムなど ), パラコートは, 特定の国に偏らずさまざまな国で使用されていた. 使用量が多かったのうちグリホサート, パラコート, カルベンダジム, チオファネートメチル, マンコゼブ ( ジチオカルバメート類 ), クロロタロニルなどは, わが国では2005 年度以前は検査対象となっていなかったため検出事例はほとんどみられなかった. しかし, 当部で行った北米, 欧州, オセアニア各国の残留モニタリングの検出状況の調査結果では, ジチオカルバメート類, カルベンダジム, クロロタロニルなどの検出例が多かった. グリホサートは各国における使用量が特に多いが, 外国の検査結果での検出例はきわめて少なかった. 外国の残留モニタリングでは, グリホサートだけでなく他の除草剤の検出頻度も全般的に低かった. グリホサートは分析操作が比較的煩雑なため検査件数が他のより少なかった可能性はあるものの, 一般にグリホサートをはじめ除草剤は使用時期などからみて殺菌剤や殺虫剤に比べ最終製品に残留しにくいことが考えられる. 大豆, トウモロコシ, 小麦や大麦などは重量ベースでの輸入量が非常に多いが, 表 4に示したように使用されているは主に除草剤であったことから, これらの作物による残留暴露量はさほど多くはない可能性がある. わが国の輸入食品検査 (2002 ~ 2005 年度 ) では, 特にクロルピリホスとシペルメトリンの違反例が多かった 4). クロルピリホスの違反例は,2002 年度は主に産冷凍ほうれんそうやしゅんぎくであったが,2003 ~ 2005 年度は各国 各品目に分散していた. シペルメトリンの違反例は,2002 ~ 2005 年度を通じて主に産の未成熟さやえんどう及びスナップエンドウであった. 今回の使用量調査において, の野菜におけるクロルピリホスの使用量は総使用量の1.9%( 使用量 12 位 ) であったが, シペルメトリンは約 0.5% であった. シペルメトリンの使用量が少ないのに違反例が多かった理由として,1) 日本の検査で違反例が見つかったためにその後の検査件数が多くなり, それに伴って違反件数も多くなったと思われること,2) の使用量が 野菜 としてまとめて集計されていたため, シペルメトリンを使用する作物と使用しない作物の区別がなされず, 全体としてはシペルメトリンの使用量の割合が少なくなった可能性などが考えられる. 3. MRL 設定状況からみた各国の使用状況前項では各国の品目 ( 作物 ) ごとの使用量について検討したが, この他に各国でMRLが設定されているの種類についての情報もの使用状況の検討に有用と考えられる. ここでは, 国外でMRLが設定されているのうち, 日本でMRLもしくは暫定 MRLがいずれの品目にも設定されていない ( 一律基準値適用 ) を中心に検討した. 韓国, 台湾, ブラジルなどは,MRLが設定されているの総数が多く, したがってその中には日本でMRLが設定されていないも比較的多い. 例えば韓国でMRL が設定されているのリスト 5) には, 日本でMRLがどの品目についても設定されていないが, エタボキサム (Etaboxam), トリアズメート (Triazmate), ヌアリモル (Nuarimol) など約 10 種類あった. エタボキサムの MRLは, トマト1.0ppm, キュウリ2.0ppm, ブドウ3.0ppm, 緑及び赤トウガラシ ( 生鮮 )1.0ppm, トリアズメート (Triazmate) のMRLは, リンゴ1.0ppm, 緑及び赤トウガラシ ( 生鮮 )0.5ppm, ピーマン / パプリカ (sweet pepper)0.5ppm, ヌアリモル (Nuarimol) のMRLは, リンゴ, ナシ, メロン, ネギなどで0.5ppmである. エタボキサム及びトリアズメートは韓国に特徴的なで, 現時点では資料がきわめて少ないが, エタボキサムについては 2007 年 2 月, 英国保健省の変異原性委員会 (COM) がエタボキサムの変異原性に関する情報を公表している. ヌアリモール (CAS 番号 :63284-71-9) はピリミジン系の殺菌剤で, 台湾でもメロンやナシ, ドイツでも穀物やバナナなどにMRLが設定されているが, 詳細な情報は得られていない. 台湾でも上記と同様, アロキシジム ( ナトリウム塩 ), エチリモール, ヌアリモール, チオファノックス, ブトラリン, ホルメタネートなど10 数種類のがあった 6). ドイツも, アクロニフェン, アニザリン, ヌアリモール, プロスルホカルブ, キンメラックなど日本でどの品目にもMRLが設定されていないが比較的多かった 7). ブラジルはMRLが設定されているの数が非常に多く, 例えばコーヒーについても, コーヒーの収穫後, 種, 苗木, 発芽後, 発芽前などいくつものカテゴリーに分けてそれぞれMRLを設定している. したがってコーヒーに MRLが設定されているの種類は非常に多く, そのうち日本でMRLが設定されていないの種類も約 50 種類と非常に多かった. の米や豆類での使用量が多かったBisultap,Mono- sultapなどや韓国のエタボキサム, トリアズメートなど, 特定の国に特徴的なで情報量が非常に限られているについては, 今後新たに出される文献や関連機関の情報などを注視していく必要がある.

100 国立衛研報第 125 号 (2007) 4. おわりに本研究においては, わが国の輸入量の多い原産国 / 品目を中心に, 使用量の多いの種類や傾向について検討した. 当部では本研究における使用状況調査とは別に, 各国の残留モニタリングによる検出状況の調査も行っている. ポジティブリスト制実施以降, これまでと比べ検査対象品目及びの種類は大幅に増加している. 検査を効果的に行うための検査対象品目の検討において, 使用量の多いは, 検出頻度の高い品目 / などの情報と合わせ, 有用な基礎的情報になると考えられる. 今回の調査において使用量が多かったの中には, ポジティブリスト制実施以前にわが国の検査対象となっていなかったも多いことから, 今後の検査における違反事例等の傾向はこれまでとかなり異なったものになる可能性もある. 今後, 輸入量やシェアが多い原産国の作物において使用量の多い ( 特に殺虫剤や殺菌剤 ), 及び使用量やMRLの設定状況からみて特定の国に特徴的ななどを中心に, わが国の検出状況の変化と共に, 各国の動向や新しい研究結果などについて継続的にフォローしていくことが重要と考えられる. References 1)Homepage of the Japan External Trade Organization (JETRO), Japanese Trade Statistics Database (URL: http://www3.jetro.go.jp/cgi-bin/nats/cgi-bin/top. cgi?pgid=000&rep_cnt=0, May 2007) 2)Homepage of the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries of Japan (MAFF), 海外統計情報 (URL:http://www.toukei.maff.go.jp/world/index.html, May 2007) 3)Homepage of the United States Department of Agriculture (USDA), National Agricultural Statistics Service, Agricultural Chemical Usage, (URL:http://usda.mannlib.cornell.edu/MannUsda/viewDocumentInfo.do?documentID=1001 May 2007) 4)Homepage of the Ministry of Health, Labour and Welfare (MHLW), Imported Foods Inspection Service Home Page, Recent Cases of Violation of the Food Sanitation Law that were Found on the Occasion of Import Notification, (URL:http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/tp0130-1.html, May 2007) 5)Homepage of the Korean Food & Drug Administration, MRLs for Pesticides in Foods (2005.7), (URL:http://kfda.go.kr/open_content/english/file/KoreanM- RLsforPesticides2005.pdf, May 2007) 6)Homepage of the Department of Health(Taiwan), FoodSanitation Standards, ( URL:http://www.doh.gov.tw/EN/Webpage/list. aspx?dept=l&class_no=248&level_no=1&show=show&lme nu=lmenu5&rmenu=, May 2007) 7)Maximum Residue Levels according to German legislation, (URL:http://www.kennzeichnungsrecht.de/english/mrlsearch.htm, May 2007)