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資料2

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2011 年 11 月 25 日 - 低線量被ばく WG 資料 低線量被ばくの健康リスクとその対応 大分県立看護科学大学 人間科学講座環境保健学研究室 甲斐倫明

降下物中の 放射性物質 セシウムとヨウ素の降下量 福島県の経時変化 単位 MBq/km2/月 福島県双葉郡 I-131 Cs Cs-137 3 8,000,000 環境モニタリング 6,000,000 4,000,000 2,000,000 0 震災の影響等により 測定時期が2011年7

学んで、考えてみよう 除染・放射線のこと 使い方

2 年次 以降 : 授業開始は 2 週目 ~ 平成 30 年度看護学専攻 ( 研究者育成コース ) 時間割 10:30-12:00 特別研究特別研究特別研究 特別研究特別研究特別研究特別研究 特別研究特別研究 特別研究 特別研究については 担当教員と相談の上決定する 修士課程 ( 医科学獣医科学専攻

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福島原発事故はチェルノブイリ事故と比べて ほんとうに被害は小さいの?

放射線とは 物質を通過する高速の粒子 高いエネルギーの電磁波高いエネルギの電磁波 アルファ (α) 線 ヘリウムと同じ原子核の流れ薄い紙 1 枚程度で遮ることができるが エネルギーは高い ベータ (β) 線 電子の流れ薄いアルミニウム板で遮ることができる ガンマ (γ) 線 / エックス (X) 線

放射線被ばくによる小児の 健康への影響について 2011 年 5 月 19 日東京電力福島原子力発電所事故が小児に与える影響についての日本小児科学会の考え方 本指針を作成するにあたり 広島大学原爆放射線医科学研究所細胞再生学研究分野田代聡教授の御指導を戴きました 御尽力に深く感謝申し上げます

愛する飯舘村を還せプロジェクト 負げねど飯舘!! 活動支援金ご協力のお願い これまで 子どもたちのために と 皆さまからお預かりしている支援金は 避難 ( 計画的避難の早期完了 ) や健康管理を含め 未来ある子どもたちを守るための活動に大切に使わせていただきます 今後計画的避難が進むにつれて 私たち

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東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故直後の平成 23 年 3 月 17 日には 原子力安全委員会の示した指標値を暫定規制値として設定し 対応を行ってきました 平成 24 年 4 月 1 日からは 厚生労働省薬事 食品衛生審議会などでの議論を踏まえて設定した基準値に基づき対応を行っています 食品


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April 21,2015 原子力委員会定例会合同庁舎 8 号館 5 階 C 会議室 - 福島における放射線リスク評価と管理その壁は何か - 中西準子 ( 国 ) 産業技術総合研究所名誉フェロー横浜国大名誉教授

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防護体系における保守性

Microsoft PowerPoint HRN.pptx

食品安全委員会はリスク評価機関 厚生労働省農林水産省 食品安全委員会消費者庁等 リスク評価 食べても安全かどうか調べて 決める 機能的に分担 相互に情報交換 リスク管理 食べても安全なようにルールを決めて 監視するルを決めて 2

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平成 30 年 3 月 6 日 大熊町住民意向調査調査結果 ( 速報版 ) 復興庁 福島県 大熊町 調査の概要 1. 調査対象 : 世帯の代表者 (5,218 世帯 ) 2. 調査時期 : 平成 30 年 1 月 4 日 ~1 月 18 日 3. 調査方法 : 郵送配布 郵送回収 4. 回答者数 :

飯舘村におけるホールボディカウンタ結果解析 ( 平成 年度施行分 ) 福島県立医科大学放射線健康管理学講座助手 宮崎真 Ver /03/04

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ころにも初期の避難地域と同程度に汚染されている地域が存在することが明らかになり 政府に対する住民の不信と非難の声が高まった その頃 他国のメディアや市民が汚染現地を訪ねることができるようになってきた 化学物質による世界の環境汚染の現場を訪れ 独自の視点で調査研究していたサイエンスライターの綿貫礼子が

(審31)資料5-1 住民意向調査の結果及び住民帰還等に向けた取組について

平成 24 年 11 月 6 日 大熊町住民意向調査調査結果 ( 速報版 ) 復興庁福島県大熊町 調査の概要 1. 調査対象 : 全世帯主 ( 分散避難している場合は それぞれの代表者 ) 5,378 世帯 2. 調査時期 : 平成 24 年 9 月 7 日 ( 金 )~9 月 24 日 ( 月 )

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Microsoft PowerPoint - (資料3)G7向け資料rev19.pptx

1 放射線のホント ってほんとうなの? (中略) 放射線のホント 1 頁甲状腺がんの多発 作業員の肺がん死 被ばくに安全な量はない など 放射線そのものが人々を苦しめています 放射線のホント は放射能影響を風評被害にスリ替えています 放射線のホント 原文を読みながら問題点を考えてみました

和解案提示理由書4(平成30年5月28日:成立に至らなかった事例)

被ばくの経路 外部被ばくと内部被ばく 宇宙や太陽からの放射線 外部被ばく 内部被ばく 呼吸による吸入 建物から 飲食物からの摂取 医療から 医療 ( 核医学 * ) による 傷からの吸収 地面から 放射性物質 ( 線源 ) が体外にある場合 放射性物質 ( 線源 ) が体内にある場合 * 核医学とは

Microsoft PowerPoint - 資料6 福島県県民健康調査「甲状腺検査」の現状について

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2 チェルノブイリ事故でどんなことが起こったか ( いろんな報告があるが 国連の会議で検討した結果 2008 年に発表された内容による ) ⑴ 緊急作業従事者 134 人が重篤な被ばくにより急性放射線障害を発症した このうち 28 名は致命的な被ばくであった ( 皮膚障害 白内障 ) ⑵ 復興作業員

IAEA Report DOC

Microsoft PowerPoint - S3:1 Thomas(和)

福島県立医科大学復興基本構想 計画 福島県復興計画 医療拠点しての復興基本構想 計画 県民の心身の健康を守るプロジェクト 県民の健康保持 増進 地域医療の再構築 最先端医療提供体制の整備 被災者等の心のケア 1 福島県 県民健康管理調査 2 最先端診断 治療拠点整備による早期診断 早期治療 医療関連

Microsoft Word 改(QA集)HP掲載.doc

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福島県内の災害廃棄物の処理の方針


妊産婦に 関する調査 支援実績と内容 支援対象者の推移 調査票にご回答いただいた方のうち 記載内容から支援が必要と判断され た方を対象に専任の助産師等による電話やメール支援を行っています 平成23年度調査 平成24年度調査 平成25年度調査 平成26年度調査 電話支援対象者数 1,401人 回答者の

(3)IAEAにおける安全基準作り等ア.IAEAでは IAEA 憲章に基づき 原子力施設 放射線防護 放射性廃棄物の管理及び放射性物質の輸送等に係るIAEA 安全基準文書 (IAEA Safety Standards Series) を作成し 加盟国における国際的に調和の取れた安全基準類の導入を支援


QA- 内部被ばくの特徴は どのようなものですか 内部被ばくの特徴として 放射性核種によって特定の臓器に集まりやすいことがあります 特定の臓器についてはこちら * をご参照ください * 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料上巻第 章 ページしかし 体内に取り込まれた放射性物質は代謝によって

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原子力災害対策指針の改悪に反対しよう 毎時 20μSv( 一時移転の基準 ) を計測しても 1 日がまん SPEEDI 等の予測的手法は使わず 実測値による避難指示 被ばく前提の避難 30 km圏外のプルーム対策 (PPA) は必要なし 屋内退避のみ安定ヨウ素剤の準備も不要子どもや妊婦の基準もなし

目 的 GM計数管式 サーベイメータ 汚染の検出 線量率 参考 程度 β線を効率よく検出し 汚染の検出に適している 電離箱型 サーベイメータ ガンマ線 空間線量率 最も正確であるが シン チレーション式ほど低い 線量率は計れない NaI Tl シンチレー ション式サーベイメータ ガンマ線 空間線量率

授業項目 行動目標に準じ 必要な事項について下記の講義を行う 学習項目 Keywords 1 放射線物理学 1 放射線の歴史 原子の構造 放射線の種類と単位 放射性崩壊 放射線被ばくの形式 環境放射線と医療放射線 2 放射線物理学 2 放射線と物質の相互作用 3 放射線生物学 1 放射線の人体への影

資料第10-1-1号 :文部科学省によるプルトニウム、ストロンチウムの核種分析の結果について

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内閣府自殺対策推進室提出資料 平成 23 年 6 月 15 日内閣府自殺対策推進室内閣府経済社会総合研究所自殺分析班警察庁厚生労働省 東日本大震災に関連する自殺の実態把握について 平成 23 年 3 月 11 日に発災した東日本大震災に関連する自殺の実態把握について 以下 のとおり実施する 1. 定

福島原発とつくばの放射線量計測

中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会(第49回)

2. 調査対象 国道 114 号等を自動車で通行する運転手等の被ばく線量 国道 114 号等で 事故 車両の故障等のために車外に待機した運転手等の被ばく線量 3. 調査方法 (1) 調査対象区間 ( 図 1) 経路 1: 国道 114 号川俣町 / 浪江町境界付近 ~ 浪江 IC 付近 [27.2k

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管理区域の区域分け A 区域 B 区域 C 区域 D 区域 汚染区分表面汚染 空気中放射性 表面汚染 空気中放射性 表面汚染 空気中放射性 表面汚染 空気中放射性 密度 物質の濃度 密度 物質の濃度 密度 物質の濃度 密度 物質の濃度 (Bq/cm2) (Bq/cm3) (Bq/cm2) (Bq/c


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1 調査概要調査手法 : 各県 300 票インターネットによるモニター調査調査時期 :2018 年 12 月 7 日 ~10 日調査対象 : 300 票宮城県 茨城県 東京都 大阪府各 300 票調査方法 : 合計 1500 票の調査を実施抽出方法 : 年層 (20 代 ~60 代 ) 男女割当法

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評価 今後の方向性 1 本調査で得られた線量推計結果や当時の行動記録は 事故後 4か月間の外部被ばくに限られたデータであるが 今後被ばくによる健康影響を長期的に見守っていく上での基礎となるものである 2 本調査で得られた線量推計結果 ( 事故後 4か月間の外部被ばく実効線量 :99.8% が5mSv

2017 年 7 月 30 日 福島県七方部市町村空間放射線量 6 年間の変遷について 一般社団法人南相馬除染研究所 Chief Coordinator 田中節夫 はじめに東日本大震災に端を発した福島第一原発事故より 6 年余を経過しました 事故発生以来 測定機器の整備に伴い福島県では空間放射線量の

大学院看護学研究科教育課程及び履修方法に関する規程 ( 準拠 ) 第 1 条本規定は 人間環境大学大学院学則第 28 条 2 項に基づき 教育課程及び履修方法について定める 2 本学大学院の教育は 授業科目の授業及び学位論文の作成等に対する指導 ( 以下 研究指導 という ) によって行うものとする

看護学部教育課程概念図 大学の基本理念 人間重視を根幹とした人材の育成 地域社会への積極的な貢献 大学の教育目標 学術研究の高度化等に対応した職業人の育成 まちづくり全体により大きな価値を生みだす 知と創造の拠点 教育目標 育成する人材像 的確な実践力を有する人材の育成 人間性を尊重した対人関係形成

防護一般課程 (10 日間コース ) シラバス 各科目の時間配分とキーワード 講義 放射線防護の原則と安全基準 [90 分 ] 放射線防護の考え方 安全基準の考え方 放射線の物理学 (1)(2) [90 分 x2] 原子構造 放射線と物質との相互作用 単位 放射線計測 (1)(2) [90 分 x2

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資料 3 前回の小委員会の振り返りについて 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会 事務局

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4 月 17 日 4 医療制度 2( 医療計画 ) GIO: 医療計画 地域連携 へき地医療について理解する SBO: 1. 医療計画について説明できる 2. 医療圏と基準病床数について説明できる 3. 在宅医療と地域連携について説明できる 4. 救急医療体制について説明できる 5. へき地医療につ

安定ヨウ素剤 現在 日本で使用されている安定ヨウ素剤は医療用医薬品のヨウ化カリウム製剤です ( た だし 放射線被曝による甲状腺がん発症予防の保険適応はありません ) 作用機序安定ヨウ素剤の予防服用により 高濃度の安定ヨウ素 (I) との共存により 放射性ヨウ素 (I-131) の甲状腺濾胞細胞への

山梨県地域医療再生計画 ( 峡南医療圏 : 救急 在宅医療に重点化 ) 現状 社保鰍沢病院 (158 床 ) 常勤医 9 名 実施後 社保鰍沢病院 峡南病院 (40 床 ) 3 名 市川三郷町立病院 (100 床 ) 7 名 峡南病院 救急の重点化 県下で最も過疎 高齢化が進行 飯富病院 (87 床

食品と放射能 Q&A 参考 日常生活と放射線 ( 単位 :msv( ミリシーベルト )) CT スキャン (1 回 ) 胃の X 線集団検診 (1 回 ) 東京 ニューヨーク航空機旅行 ( 片道 ) 500Bq/kg の放射性セシウム 137( 野菜 穀類等の暫定規制値 ) が検出された飲食物を 1

Microsoft Word - 2-1

等価線量

Microsoft PowerPoint - 放射線安全教育訓練2014甲状腺_楫.pptx

1 海水 (1) 平成 30 年 2 月の放射性セシウム 海水の放射性セシウム濃度 (Cs )(BqL) 平成 30 年 平成 29 年 4 月 ~ 平成 30 年 1 月 平成 25 ~28 年度 ~0.073 ~ ~0.

Commissariat à l’énergie atomique

福島県では 東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の拡散や避難等を踏まえ 県民の被ばく線量の評価を行うと共に 県民の健康状態を把握し 疾病の予防 早期発見 早期治療につなげ もって 将来にわたる県民の健康の維持 増進を図ることを目的とし 県民健康調査 を実施しています 県民健康調査では全県

病院避難教材.pptx

福島第一原発事故の避難指示解除の基準をめぐる経緯

防護の原則 放射線防護体系 科学的知見の収集 評価 放射線安全基準策定 原子力 放射線安全行政 放射線影響研究放射線安全研究 各国の委員会の報告書 ( 全米科学アカデミー (NAS) 等 ) 国際機関世界保健機関 (WHO) 国際労働機関 (ILO) 経済協力開発機構原子力機関 (OECD/NEA)

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Microsoft PowerPoint - ②HP掲載内容.pptx

Transcription:

放射線被ばくと住民の健康管理長崎大学 川内村復興推進拠点の設立とその活動 長崎大学原爆後障害医療研究所 国際保健医療福祉学研究分野 高村昇

チェルノブイリでの経験と反省 ~ 復興モデル形成へ

チェルノブイリと福島における放射性物質の比較 チェルノブイリ原発事故 東電福島第一原発事故との比較 50 6.8 倍 180 11.3 倍 4.4.4 倍 8.5 5.7 倍 0.8 57 倍 0.003 10,000 倍 総放出量 ヨウ素換算 ヨウ素 131 半減期 8 日 セシウム 134 半減期 年 セシウム 137 半減期 30 年 ストロンチウム 90 半減期 9 年 プルトニウム 39 半減期.4 万年 福島第一原発事故 77 万テラベクレル 16 1.8 1.5 0.014 0.0000003

チェルノブイリ原子力発電所周辺地域における内部被ばくの拡大 放射能雲 吸入 原発事故による放出 外部被ばく汚染 放射性降下物 食物連鎖 広範な環境汚染

チェルノブイリにおける甲状腺の内部被ばく線量と甲状腺がんの発症リスク 甲状腺被ばく線量の中央値 :300mSv ミリシーベルト と推定される Fukushi ma ウクライナ ベラルーシ

甲状腺がん頻度 チェルノブイリにおける甲状腺がんと事故当時の年齢 1.0 0.5 0 がん 結節性病変 8 7 6 5 4 3 結節性病変の頻度 0 1 3 4 5 6 7 8-10 事故当時の年齢 歳

WHO 報告書 006 年 甲状腺がんは 好発年齢が若年者 ~ 成人へのシフトしてきている 白血病については 小児ならびに成人の一般住民における増加傾向は認められていない 甲状腺がん以外の固形がん 良性疾患 さらには遺伝的影響や胎児に対する影響についても現時点で周辺住民において増加しているという科学的証明はなされていない 社会的不安 精神的なダメージによる精神的影響が懸念され 今後の解決が必要である

福島第一原子力発電所事故 011 年 3 月 11 日

チェルノブイリと福島における放射性物質の比較 チェルノブイリ原発事故 東電福島第一原発事故との比較 50 6.8 倍 180 11.3 倍 4.4.4 倍 8.5 5.7 倍 0.8 57 倍 0.003 10,000 倍 総放出量 ヨウ素換算 ヨウ素 131 半減期 8 日 セシウム 134 半減期 年 セシウム 137 半減期 30 年 ストロンチウム 90 半減期 9 年 プルトニウム 39 半減期.4 万年 福島第一原発事故 77 万テラベクレル 16 1.8 1.5 0.014 0.0000003

事故直後の福島県下における空間線量率の推移 空間線量 マイクロシーベルト / 時 50 45 40 35 30 5 0 15 10 5 0 a 1 b c d e 3 1. 1 号機水素爆発. 3 号機水素爆発 3. 4 号機水素爆発 a. 1 号機ベント b. 3 号機ベント c. 号機ベント d. 3 号機ベント e. 号機ベント 3/11 3/13 3/15 3/17 3/19 3/1 3/3 3/5 3/7 3/9 3/31 3/1 3/14 3/16 3/18 3/0 3/ 3/4 3/6 3/8 3/30 4/1 南相馬市川内村飯舘村田村市白河市玉川村いわき市 Nagataki et al. 013

外部被ばく低減対策 : 避難指示 km 圏内 :3 月 11 日 0 時 50 分 3km 圏内 :3 月 11 日 1 時 3 分 10km 圏内 :3 月 1 日早朝 0km 圏内 :3 月 1 日午後 0-30km:3 月 15 日 屋内退避 11 万人の住民が避難を余儀なくされた

人数 人 福島県における外部被ばく線量 453,065 人 放射線業務従事経験者を除く 300,000 81,446 50,000 福島平均 0.8mSv 福島県県民健康調査結果 00,000 150,000 143,718 100,000 50,000 5,003 最高値 :5 ミリシーベルト 0 1,465 495 376 8 114 73 39 34 31 13 1 6 1

内部被ばく対策 : 食品管理 3 月 17 日 : 内部被ばく低減化対策として 暫定基準値 500Bq/kg を設定 暫定基準値を上回る食品 水 については摂取制限 流通制限を行った 史上初めての 放射性物質の検出 という事態をうけ 首都圏においてもコンビニやスーパーからミネラルウォーターが消えるというパニックが起こったが この措置によって福島県民の内部被ばく線量の低減化が図られた

福島第一原子力発電所周辺地域における内部被ばく予防 放射能雲 吸入 暫定基準値の設定による放射性ヨウ素内部被ばくの予防 原発事故による放出 外部被ばく汚染 放射性降下物 食物連鎖 広範な環境汚染

011 年 3 月 4 日 ~30 日に行われた福島県川俣町 飯舘村 いわき市における小児甲状腺被ばく線量評価 被験者数 700 600 598 0mSv: 55.4% 500 400 300 00 100 0 31 <5mSv: 85.1% <10mSv: 95.7% 114 <15mSv: 98.8% 34 >50mSv:0 7 3 1 1 1 0 0-5 5-10 10-15 15-0 0-5 5-30 30-35 35-40 40-45 45-50 甲状腺等価線量 msv Nagataki et al. 013

チェルノブイリ原発事故 ベラルーシ ウクライナの避難者 60.0 55.4 50.0 40.0 40. 30.0 0.0 10.0 0.0 0 ~ 3.8 ~ 0.4 ~ 0.1 ~ 0.1 ~ 東電福島第一原発事故 飯舘村 川俣村 いわき市の小児 10mSv 0mSv 30mSv 40mSv 50mSv 未満 未満 未満 未満 未満 環境省 : 放射線の基礎知識と健康影響

甲状腺がん発症リスク 甲状腺がん発症リスク 甲状腺の被ばく線量に関するチェルノブイリと福島の違い 福島 Fukushi ma 福島 Nagataki et al. 014 甲状腺被ばく線量 Sv ウクライナ 甲状腺被ばく線量 Sv ベラルーシ

福島県民健康調査結果より : 放射線の健康影響についての認識について 可能性は極めて低い 可能性は非常に高い 1 原発事故当初から現在までの放射線被ばくで急性の放射線障害 例えば 脱毛 皮膚のただれ 鼻血など がどのくらい起こると思いますか? 19,114 58.5% 7,40.% 3,59 10.0% 3,045 9.3% 現在の放射線被ばくで 後年に生じる健康障害 例えば がんの発症など がどのくらい起こると思いますか? 10,5 31.4% 9,531 9.% 6,488 19.9% 6,35 19.5% 3 現在の放射線被ばくで 次世代以降の人 将来生まれてくる自分の子や孫など への健康影響がどれくらい起こると思いますか? 7,857 4.3% 8,98 7.7% 7,331.6% 8,15 5.4% 福島県県民健康調査結果

福島県民健康調査の調査結果 震災前後の BMI の変化 男性 受診者数 人 平均年齢 平均値 5 <18 H0 1,19 66.4 3.5 30.4%.0% H1 1,333 66.7 3.5 9.6%.4% H 1,033 67.0 3.5 9.8%.5% H3 3,67 65.6 4.5 41.9% 1.% H4 9,39 66.7 4. 38.1% 1.5% 女性 受診者数 人 平均年齢 平均値 5 <18 H0 14,996 65.9 3.5 31.0% 3.3% H1 14,707 66.1 3.4 9.9% 3.% H 14,75 66. 3.3 9.8%.5% H3 4,554 63.4 3.7 34.9% 3.3% H4 1,645 64.8 3.8 33.4% 3.3% 福島県県民健康調査結果

福島県立医科大学での医療従事者への説明会 011 年 3 月 18 日

放射線リスクコミュニケーション : 放射線を 正しく 怖がる

福島県川内村における復興支援 福島市 郡山市 30km 0km 0km 福島第一原子力発電所 総面積 ; 約 00km² 人口 ; 約,800 人

富岡町からの避難者受け入れ 川内村役場資料

郡山市への全村避難 川内村役場資料

地表面への放射性セシウムの蓄積 川内村は 他の 30km 圏内の市町村と比較しても放射線量が低いことが示された

保育園付近の徹底した除染 川内村長による帰村宣言 011 年 1 月 当時の野田首相の事故収束宣言を受け 01 年 1 月 川内村は避難した自治体の中で初めて 帰村宣言 を行い 以降 村内の除染を徹底的に進め 特に子供のいる家庭 幼稚園 小学校 中学校といった施設を優先的に除染に行った

川内村における幼稚園 学校の除染 川内村役場資料

川内村における住居の除染 川内村役場資料

除染後の管理 保管と仮置き場 フレコンバック フレコンバッグに防護シートを被せた状態 仮置き場 川内村役場資料

反転作業 川内村における住居の裏山 農地の除染 ゼオライト散布 裏山の除染作業

検査場の設置による食品モニタリングの実施 川内村役場資料

帰村に向けた川内村インフラの整備 川内村役場資料

帰村率 川内村住民の帰村率 015 年 1 月現在 未帰村 帰村 116 168 56 3 68 455 48 361 37 84,739 94 18 174 137 178 196 15 96 133 51 1,158 40 8 95 90 59 330 65 39 33 1,581 年代 川内村役場資料

川内村内における土壌モニタリング 外部被ばく線量 μsv/h 帰村に先立ち 川内村の各行政区における土壌を採取して放射性物質 放射性セシウム の測定を行い あわせて被ばく線量を推定することで 帰村が妥当であるかどうかについて 科学的な見地からの評価を行った 0km 圏内 0km 圏外 発電所からの距離 km Taira et al. PLoS ONE 01

長崎大学保健師による放射線に関する健康教育 健康相談 戸別訪問 帰村直後の 01 年 5 月から長崎大学の保健師が川内村に常駐し 川内村内 郡山の仮設住宅における戸別訪問を通じて 放射線被ばくと健康影響についての相談事業を行った

川内村住民における帰村の有無に関連する因子の解析 変数単位オッズ比 95% 信頼区間 p 値 性別 女 / 男.43 1.13-10.45 0.03 自宅所在地 下 / 上川内 3.60 1.4-9.17 0.01 現在の職業 有 / 無 0.44 0.18-1.08 0.07 線量による影響 有 / 無 8.91 3.3-4.58 <0.01 食品による影響 有 / 無 0.69 0.7-1.77 0.43 買い物 移動 有 / 無 0.46 0.16-1.33 0.15 Orita et al. Rad Prot Dosim Rad Prot Dosim 013 住民の帰村には 性別 自宅における線量 線量による影響に対する考え方 など個々の悩み 不安 疑問が大きく関わっている 復興の推進には 一人一人に寄り添い ともに問題を解決していく被ばく医療の専門家の存在が不可欠!!

長崎大学 川内村復興推進拠点の設置 013 年 4 月 復興推進拠点における長崎大学と川内村の連携事項 1. 土壌等の放射性物質測定を通じた 除染効果の評価に関すること. 食品 飲料水等の放射性物質測定を通じた 住民の安全 安心の担 保に関すること 3. 健康相談や講演活動 検診等を通じた住民の健康管理に関すること 4. 保健医療福祉活動等を通じた住民の健康増進に関すること

長崎大学 川内村復興推進拠点における復興支援 地域リハビリテーションを通じた健康増進活動 ゲルマニウム半導体検出器の導入による食品 土壌 水のモニタリング機能強化 復興子ども教室 の開催を通じた全学横断的支援の推進

川内村におけるキノコの分布と放射性セシウム濃度 0 n.d. 10-49 50-99 100-999 >1,000 Bq/kg

川内村の避難指示区域における環境放射能と個人被ばく線量の評価 旧避難指示解除準備区域 福島第一原発 川内村役場 旧居住制限区域 福島第二原発

Orita et al. PLOS ONE 015 空間線量と個人被ばく線量との比較 log msv/y *:p<0.001vs 積算線量 年間被ばく線量の推定値 最大値 3.8mSv * 最大値 9.6mSv 最小値 0.71mSv 個人積算線量 自宅玄関前 畑

川内村における避難区域の再編

震災後から現在までの放射線被ばくで急性の放射線障害が起こると思うか 起こる たぶん起こる 9.1% 0.7 % 9.8 % 起こらない 40.4 % たぶん起こらない

震災後から現在までの放射線被ばくで 現在の子どもに健康影響が起こると思うか 震災後から現在までの放射線被ばくで 将来生まれてくる子どもや孫への健康影響が起こると思うか 起こる 6.3 % 7.7 % たぶん起こる 起こらない 9.8% たぶん起こらない 36.1 % 起こる 1.4% 7.7% たぶん起こる 起こらない 10.% たぶん起こらない 40.7%

空間線量 0.3µSv/h の場所に 1 年間住んだ場合 放射線被ばくによる健康影響が起こると思うか 100Bq/kg のきのこを 1 年間食べ続けたら健康影響が起こると思うか 起こる 14.0 % たぶん起こる 3.5 % 起こらない 17. % たぶん起こらない 45.3 % 起こる 1.8 35.8% たぶん起こる 起こらない 11.% たぶん起こらない 31.%

長崎大学 福島県立医科大学共同大学院 災害 被ばく医療科学共同専攻 修士課程 Master Sgt. Jeremy Lock 放射線被ばくを伴う発災から復興支援まで 専門的知識を持った 保健看護 医療 救助のプロフェッショナルへ 46

災害 被ばく医療科学 において必要な人材 通常の救急医療 救命活動に加え 放射線被ばくの形態 放射性物質の同定 被ばく線量の推定などについて 各専門家と連携しながら適切な判断と対応ができる人材 さらには除染 放射線防護 被ばくによる健康影響等に関する住民への説明や心のケアにも対応できる人材が必要となる 汚染の除去 共働 国 自治体 災害拡大防止 事故現場 医療 消火活動 専門的支援 社会秩序の維持 救急 救援警察 消防 自衛隊など 看護 保健 原子力災害医療 総合支援センター 高度被ばく医療支援センター 緊急時モニタリング 飲食物の摂取制限 避難誘導活動 医療活動 被災者の救助 救命など 緊急輸送 47

アジアにおける原子力発電所の増加 原子力発電所は増え続けているが 災害 被ばく医療や環境モニタリング分野などの人材は絶対的に不足している アジアにおいても災害 被ばく医療科学専門家育成が急務リスクコミュニケーション放射線モニタリング緊急放射線被ばく医療 48

長崎大学と福島県立医科大学による 災害 被ばく医療科学 分野の人材育成 長崎大学 福島県立医科大学 原爆後障害医療研究所 大学院医歯薬学総合研究科 大学院医学研究科 ふくしま国際医療科学センター放射線医学県民健康管理センター 川内村復興推進拠点 福島県 ベラルーシ拠点 WHO 甲状腺研究協力センター 共同大学院災害 被ばく医療科学共同専攻 修士課程 医科学コース 保健看護学コース 外部被ばく線量調査 甲状腺検査 健康調査 こころの健康度 生活習慣に関する調査 妊産婦に関する調査 国際機関のトップレベルのスタッフによる英語講義とトレーニングマテリアルの導入 世界保健機関 WHO 国際原子力機関 IAEA

1 年次カリキュラムマップ 50 課題研究 6 専門実習 4 専門科目 1 基礎科目 1 必修科目 6 選択必修科目 4 選択科目 4 選択必修科目 4 必修科目 4 選択科目 4 必修科目 8 課題研究 6 長崎大川内村実習 長崎大原爆被爆者医療実習 長崎大放射線看護学実習 福島医大救急医学実習 福島医大放射線災害医療実習 シミュレーション医療教育学 災害地域ヘルスプロモーション学 救急医学特論 地域医療学 保健医療社会学特論 国際プロジェクト管理学 リ スク管理学特論 国際保健学特論 災害こころの医学 災害医学特論 社会医学特論 放射線防護学 疫学 リ スクアセスメント概論 メンタルヘルス概論 緊急被ばく医療概論 被ばく影響学 基礎放射線医科学 1 基礎放射線医科学 1 救急医学概論 1 災害医学概論 1 災害看護学概論 1 リ スクコミュニケーション学 1 研究方法特論 課題研究 6 コンサルテーション特論 看護管理学特論 看護教育論 看護理論 看護倫理 国際保健学特論 国際被ばく公衆衛生看護学 放射線ヘルスプロモーション看護学 臨床放射線看護学 災害公衆衛生看護学 放射線看護学 赤 : 各大学それぞれで開設する科目青 : 長崎大学開設科目緑 : 福島県立医科大学開設科目 内は単位数 医学系非履修者は 自由科目として医学概論 を履修する 修了要件 34 単位以上医科学コース 修士 医科学 保健看護学コース 修士 看護学 年次

被ばく医療機関看護師の想定履修モデル 51 課題研究 6 専門実習 4 専門科目 1 基礎科目 1 必修科目 6 選択必修科目 4 選択科目 4 選択必修科目 4 必修科目 4 選択科目 4 必修科目 8 課題研究 6 長崎大川内村実習 福島医大放射線災害医療実習 看護理論 看護倫理 放射線ヘルスプロモーション看護学 臨床放射線看護学 放射線看護学 放射線防護学 緊急被ばく医療概論 被ばく影響学 基礎放射線医科学 1 基礎放射線医科学 1 災害医学概論 1 リスクコミュニケーション学 1 救急医学概論 1 災害看護学概論 1 研究方法特論 赤 : 各大学それぞれで開設する科目青 : 長崎大学開設科目緑 : 福島県立医科大学開設科目 内は単位数

原発周辺自治体保健師の想定履修モデル 5 課題研究 6 専門実習 4 専門科目 1 基礎科目 1 必修科目 6 選択必修科目 4 選択科目 4 選択必修科目 4 必修科目 4 選択科目 4 必修科目 8 課題研究 6 長崎大川内村実習 長崎大原爆被爆者医療実習 看護管理学特論 看護倫理 放射線ヘルスプロモーション看護学 災害公衆衛生看護学 放射線看護学 放射線防護学 緊急被ばく医療概論 リスクアセスメント概論 基礎放射線医科学 1 基礎放射線医科学 1 災害医学概論 1 リスクコミュニケーション学 1 救急医学概論 1 災害看護学概論 1 研究方法特論 赤 : 各大学それぞれで開設する科目青 : 長崎大学開設科目緑 : 福島県立医科大学開設科目 内は単位数

国際保健に興味を持つ方の想定履修モデル 53 課題研究 6 専門実習 4 専門科目 1 基礎科目 1 必修科目 6 選択必修科目 4 選択科目 4 選択必修科目 4 必修科目 4 選択科目 4 必修科目 8 課題研究 6 長崎大川内村実習 福島医大放射線災害医療実習 看護管理学特論 コンサルテーション特論 国際被ばく公衆衛生看護学 災害公衆衛生看護学 放射線看護学 放射線防護学 被ばく影響学 メンタルヘルス概論 基礎放射線医科学 1 基礎放射線医科学 1 災害医学概論 1 リスクコミュニケーション学 1 救急医学概論 1 災害看護学概論 1 研究方法特論 赤 : 各大学それぞれで開設する科目青 : 長崎大学開設科目緑 : 福島県立医科大学開設科目 内は単位数

c 54 内部被ばく線量評価復興推進拠点を活用した川内村における復興支援長期にわたる住民の健康管理緊急放射線被ばく医療体制の確立事故初期の土壌中放射性物質評価緊急時モニタリングと除染発災直後混乱期 ~ 事故収束復興へ被ばく線量評価を通じた帰還の妥当性評価緊急被ばく医療に関わる人材医学的知識をもって救援活動に携わる人材放射線健康リスクコミュニケーションの人材環境放射能や被ばく線量測定 評価の人材地震 津波災害からの救援活動被災住民を長期的にサポートできる人材環境放射能や被ばく線量測定 評価の人材病院の入院患者等の移送 受入避難所における医療支援 健康管理活動避難所等における多数の被災住民の健康管理に携わる人材川内村から国内外の 災害 被ばく医療科学 分野のスペシャリストを育成 復興推進拠点 から 知の交流拠点 へ