2020 年東京オリンピック パラリンピックに係る調査団 報告書 <2012 ロンドン大会レガシー > <2016 リオデジャネイロ パラリンピック大会 > 渋谷区
表紙の写真 ロンドン地下鉄駅内 パラリンピック広告看板 ロンドンベロドローム での自転車教室 ロンドンセント パンクラス 駅施設に設置の卓球台 リオ大会ウィルチェアー ラグビー日本代表 リオ大会ゲート担当 のボランティア リオ交流活動笑顔の メダル作りを行う子ども達 * 報告書内のオリンピック パラリンピックに係る表記については 下記の大会略称を使用しています 12012 年ロンドン市で開催された第 30 回オリンピック競技大会及び夏季パラリンピック第 14 回大会 ロンドン大会 22016 年リオデジャネイロ市で開催された第 31 回オリンピック競技大会及び夏季パラリンピック第 15 回大会 リオ大会 3 第 32 回オリンピック競技大会 (2020/ 東京 ) 及び東京 2020パラリンピック競技大会 東京 2020 大会
目次 はじめに 1 調査団報告 ( 団長あいさつ ) ---------------------------------- 1 2 調査団の概要 ---------------------------------------------- 2 (1) 調査概要 ( 目的 期間 調査先 団員 調査日程 ) (2) 事前検討会 事後検討会 3 東京 2020 大会の概要 ------------------------------------ 6 大会概要 渋谷区内競技会場 開催予定競技 4 調査報告 (1) ロンドン大会について ----------------------------------- 8 1 大会概要 特色 2ニューアム区自治体訪問 3クイーン エリザベス オリンピックパーク視察 4ロンドン市内のバリアフリー状況調査 5スポーツ施設 SPACe 視察 6ロンドン市の障害者施策の事例検証 (2) リオ大会について -------------------------------------- 28 1 大会概要 特色 2マラカナ地区ライブサイト視察 3ウィルチェアーラグビー競技会運営 会場視察 4TOKYO2020ジャパンハウス視察 5パラ卓球競技会運営 会場視察 6リオ交流活動 ジーコサッカーセンター 訪問 (3) 調査のまとめ ~ 東京 2020 大会及び渋谷区の施策課題 ~ -- 53 5 調査団員報告 ~ 視察を終えて ~ -------------------------- 58 6 資料 ---------------------------------------------------- 68
はじめに 渋谷区では 2020 年の東京大会を契機として 区民の皆さんがより一層スポーツに親しみ 健康 体力づくりを進めていただきたいと考えています また 大会では世界最高峰の選手のプレイや躍動感を実際に観戦 体感していただき さらには世界中からの来訪者をおもてなし 大会を大いに盛り上げていただくことを目指しています そして 特に注目していきたいのが パラリンピック大会 です パラリンピアンが 超人 という言葉にふさわしく 力強く競技に挑戦している姿を身近に感じ 限りない人間の可能性と努力に共感していただくことで 心のバリアフリーが浸透することを大会のレガシー ( 遺産 ) として残していきたいと考えています そのために 平成 28 年度から専管組織を設置し 大会の各種準備をはじめ イベントの開催 オリンピック パラリンピック教育 おもてなし関係者のスキルアップなどのオリンピック パラリンピック推進事業を実施して 気運醸成を図っています このたび 今後 4 年間の開催準備や気運醸成事業を進めていくうえで 史上最高と評価の高いロンドン大会のレガシーを視察 調査し さらに リオ大会の実際の運営を学ぶために 2020 年東京オリンピック パラリンピック大会に係る調査団 をロンドン市及びリオデジャネイロ市へ派遣しました 本冊子は 派遣職員が事前検討会で視察 調査内容を精査したのちに 現地で関係者からの説明 施設調査 体験交流 競技会運営視察などに精力的に取り組んだ成果を報告するものです 今回の実際に得た視察 調査結果を今後の開催準備 気運醸成事業 東京 2020 大会の運営などに活かしていきます ちがいをちからに変える街 渋谷区 渋谷区の未来像 / 渋谷区基本構想
1 調査団報告 ( 団長あいさつ ) 渋谷区オリンピック パラリンピック担当部長安蔵邦彦 東京 2020パラリンピック大会では 区内競技会場 ( 東京体育館 国立代々木競技場 ) で ウィルチェアーラグビー パラバドミントン パラ卓球の3 種目が実施されます 渋谷区では区民の皆さまとともに 大会を盛り上げていく中 特に区内で実施するパラリンピック種目を支援し 障害者に対する心のバリアフリーも進めることで大会の成功を目指しています そのような中 パラリンピックの成功が大きな要因で史上最高と評価の高いロンドン大会のレガシーとリオデジャネイロ大会での実際の運営やサポート体制を視察する機会を得ることができました ロンドンでは 市内在住で障害のある子を持つ日本人の母親とお話をする機会がありました その中で 息子 ( 現在 26 歳 ) を出産し 障害があると知った時はひどく落ち込んだが イギリスの社会保障制度や周囲の支援があることを知り 今は気持ちも落ち着いて子育てをしている そんなイギリスにおいても 4 年前のロンドン大会以降は さらに障害者に対する心のバリアフリーが進んでいると感じる その要因のひとつは テレビ ( チャンネル4) がパラリンピック大会のPRを大々的に行い 多くの人が観て パラリンピアンの 努力の結果の技やチームワーク に驚き 感動したことである と聞いて あらためて 知って 感じてもらう という 今まで区が進めてきた方向が間違っていないと確信するとともに 身が引き締まる思いがしました リオデジャネイロの会場では ブラジルの子ども達が自国以外の試合でも選手たちを熱心に応援する姿があり ボランティアにも通じる ホスピタリティの心 を感じることができました 子ども達はパラリンピック教育の一環として観戦に来ていることも知り 現在区が進めているオリ パラ教育をさらに進化させる必要があると感じました 今回の視察を東京 2020 大会の成功につなげ 区が目指す ダイバーシティ インクルージョン 社会に向けた意識改革の推進に活かしていきたいと考えます 団員一同 その思いを胸に報告書をまとめましたのでご一読いただければ幸いです マラカナ地区スタッフとのバッチ交換 1
2 調査団の概要 (1) 調査概要 1 目的ア.2012 年のロンドン大会について 史上最高の成果を収めたその準備プロセス 大会期間中の各種運営や対応 大会後の現状などハード ソフト両面の大会レガシーに関するケーススタディを行う イ.2016 年のリオ大会について 現地視察により 国民や大会気運を体感し 障害者に考慮した大会運営 おもてなしやボランティア体制づくり 街や開催都市の対応などに関する調査を行う ウ.2020 年の東京大会に係る渋谷区の役割 開催準備内容などを明らかにするとともに 大会レガシーを構築するため 特にパラリンピック大会を通じた共生社会づくりに必要な施策を調査する 2 調査期間平成 28 年 9 月 11 日 ( 日 )~18 日 ( 日 ) 8 日間 3 調査先ア. グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国ロンドン市イ. ブラジル連邦共和国リオデジャネイロ市 4 調査団員 右から オリンピック パラリンピック担当部長安蔵邦彦教育委員会事務局スポーツ振興課主事上田理紗教育委員会事務局スポーツ振興課長富井一慶 左から ロンドン アクアティックセンター前でニューアム区職員ジュリー マディルさんと ( 左から3 番目 ) オリンピック パラリンピック推進主査 主事小島美華オリンピック パラリンピック推進主査田中豊福祉部障害者福祉課長早川淳 2
5 調査日程 1 2 月日日程備考 9 月 11 日 [ 羽田国際空港発 ] 移動日 ( 日 ) [ ロンドンヒースロー国際空港着 ] ニューアム区自治体訪問 9 月 12 日 クィーン エリザベス オリンピックパークロンドン市 ( 月 ) 視察 ロンドン市内のバリアフリー状況調査 3 9 月 13 日 ( 火 ) スポーツ施設 SPACe 視察 ロンドン市の障害者施策の事例検証 ロンドン市 4 9 月 14 日 ( 水 ) [ ロンドンヒースロー国際空港発 ] [ リオデジャネイロガレオン国際空港着 ] 移動日 5 9 月 15 日 ( 木 ) マラカナ地区ライブサイト視察 ウィルチェアーラグビー競技会運営 会場視察 TOKYO2020ジャパンハウス視察 リオデジャネイロ市 6 9 月 16 日 ( 金 ) パラ卓球競技会運営 会場視察 リオ交流活動 ジーコサッカーセンター 訪問 [ リオデジャネイロガレオン国際空港発 ] リオデジャネイロ市 7 8 9 月 17 日 ( 土 ) 9 月 18 日 ( 日 ) [ ロンドンヒースロー国際空港着 ] [ ロンドンヒースロー国際空港発 ] 移動日 [ 羽田国際空港着 ] 移動日 3
(2) 事前検討会 事後検討会 1 事前検討会 (11 回 ) 視察先及び調査内容の検討を行うとともに オリンピック パラリンピックの開催準備に係る研修 検討を行いました 回月日内容 調査目的について 1 4 月 15 日 ( 金 ) 調査内容 視察先の検討 1 事前検討会の予定 内容の検討 1 委託事業者からの情報提供 2 4 月 26 日 ( 火 ) 調査内容 視察先の検討 2 事前検討会の予定 内容の検討 2 3 5 月 11 日 ( 水 ) 調査内容 視察先の検討 3 事前検討会の予定 内容の検討 3 4 5 月 19 日 ( 木 ) 東京都主催 東京区政会館を拠点とした区部における2020 大会に向けた事業に係るセミナー 障害者スポーツから学ぶこと 5 5 月 31 日 ( 火 ) ( 講師 ) 公益社団法人東京都障害者スポーツ協会事業推進部長村松重太氏 1964 年東京オリンピックの体験とレガシー 6 6 月 22 日 ( 水 ) ~ 渋谷区地域住民の立場から東京大会への期待 ~ ( 講師 ) 千駄ヶ谷地区体育会前会長斎藤一夫氏 私にとっての1964 年東京オリンピックと東 7 7 月 6 日 ( 水 ) 京大会へ向けた子ども達への教育 ( 講師 ) 渋谷区教育委員会教育長森富子氏 8 7 月 20 日 ( 水 ) 調査内容 視察先の検討 4 報告書及び報告会の検討 1 9 8 月 3 日 ( 水 ) 調査内容 視察先の検討 5 10 8 月 24 日 ( 水 ) 11 9 月 7 日 ( 水 ) 調査内容 視察先の検討 6 競技会運営 競技会場視察の視点 報告書及び報告会の検討 2 調査内容 視察先の最終確認 リオ2016オリンピック大会視察報告比嘉明日香 ( 東京都派遣職員 組織委員会所属 ) 4
2 事後検討会 (6 回 ) 視察及び調査結果を整理 分析し 東京大会の開催準備と大会レガシー構築のための課題と施策の方向性をまとめました 回月日内容 1 10 月 14 日 ( 金 ) 報告書原稿の調整 1 報告会の予定と内容の検討 1 視察報告の状況 2 10 月 27 日 ( 木 ) 報告書原稿の調整 2 報告会の予定と内容の検討 2 3 11 月 18 日 ( 金 ) 報告書原稿の調整 3 調査のまとめと方向性の協議 1 4 12 月 2 日 ( 金 ) 報告書原稿の調整 4 調査のまとめと方向性の協議 2 5 12 月 16 日 ( 金 ) 報告書原稿の調整 5 調査のまとめと方向性の協議 3 6 12 月 27 日 ( 火 ) 報告書原稿の最終確認 調査のまとめと方向性の最終確認 事後検討会の様子 5
3 東京 2020 大会の概要 (1) 大会ビジョン スポーツには世界と未来を変える力がある 1964 年の大会は日本を大きく変えた 2020 年の東京大会は すべての人が自己ベストを目指し ( 全員が自己ベスト ) 一人ひとりがお互いを認め合い ( 多様性と調和 ) そして未来につなげよう ( 未来への継承 ) を 3 つの基本コンセプトとし 史上最もイノベーティブで 世界にポジティブな改革をもたらす大会とする (2)3 つの基本コンセプト 全員が自己ベスト 万全の準備と運営によって 安全 安心で すべてのアスリートが最高のパフォーマンスを発揮し 自己ベストを記録できる大会を実現 世界最高水準のテクノロジーを競技会場の整備や大会運営に活用 ボランティアを含むすべての日本人が 世界中の人々を最高の おもてなし で歓迎 多様性と調和 人種 肌の色 性別 性的指向 言語 宗教 政治 障がいの有無など あらゆる面での違いを肯定し 自然に受け入れ 互いに認め合うことで社会は進歩 東京 2020 大会を 世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し 共生社会をはぐくむ契機となるような大会とする 未来への継承 東京 1964 大会は 日本を大きく変え 世界を強く意識する契機になるとともに 高度経済成長期に入るきっかけとなった大会 東京 2020 大会は 成熟国家となった日本が 今度は世界にポジティブな変革を促し それらをレガシーとして未来へ継承していく 6
(3) 開催概要正式名称 : 第 32 回オリンピック競技大会 (2020/ 東京 ) 開催期間 :2020 年 7 月 24 日 ( 金 )~8 月 9 日 ( 日 ) 競技数 :33 競技 正式名称 : 東京 2020 パラリンピック競技大会開催期間 :2020 年 8 月 25 日 ( 火 )~9 月 6 日 ( 日 ) 競技数 :22 競技 (4) 渋谷区内競技会場 開催予定競技 東京体育館渋谷区千駄ヶ谷 1-17-1 < オリンピック > 卓球 < パラリンピック > 卓球 国立代々木競技場渋谷区神南 2-1-1 < オリンピック > ハンドボール < パラリンピック > バドミントン ウィルチェアーラグビー 引用 詳細 公益財団法人東京オリンピック パラリンピック競技大会組織委員会 https://tokyo2020.jp/ 東京都オリンピック パラリンピック準備局 http://www.2020games.metro.tokyo.jp/ 7