< 一般演題 1> 座長足立病院矢野樹理先生 1. 扁平上皮癌と組織診断された子宮内膜症の1 例 京都第一赤十字病院産婦人科松尾精記 片山晃久 山口菜津子 森崎秋乃 小木曽望 松本真理子 冨田純子 安尾忠浩 大久保智治 2. 直腸腟瘻を形成した異所性子宮内膜症の一例 京都第二赤十字病院産婦人科福山真

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子宮頸がん 1. 子宮頸がんについて 子宮頸がんは子宮頸部に発生するがんです ( 図 1) 約 80% は扁平上皮がんであり 残りは腺がんですが 腺がんは扁平上皮がんよりも予後が悪いといわれています 図 1 子宮頸がんの発生部位 ヒトパピローマウイルス (HPV) 感染は子宮頸がんのリスク因子です

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

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1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

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U 開腹手術 があります で行う腎部分切除術の際には 側腹部を約 腎部分切除術 でも切除する方法はほぼ同様ですが 腹部に があります これら 開腹手術 ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を受けられる方へ 腎腫瘍の治療法 腎腫瘍に対する手術療法には 腎臓全体を摘出するU 腎摘除術 Uと腫瘍とその周囲の腎

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平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 ,034 平成 28 年度 -



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子宮頸がんと子宮体がん 卵管 子宮体癌 子宮頸癌 子宮体癌 自覚症状初期は無症状不正性器出血 好発年齢 30~40 代 (20~30 代で急増 ) 閉経後の 50 代以降 卵巣 子宮頸癌 リスクファクター 高リスク型 HPV 感染 肥満 高血圧 糖尿病 未経産婦 エストロゲン製剤の長期使用など 腟

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

『卵巣がん,子宮体がん〈40歳からの女性の医学シリーズ〉』

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

第39回神奈川産婦人科内視鏡研究会抄録集

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Transcription:

第 10 回京都婦人科鏡視下手術研究会抄録集 開催日時 2018 年 12 月 1 日 ( 土 )16:00~19:00 会場 TKP ガーデンシティ京都 2 階 桜 京都市下京区烏丸通七条下ル東塩小路町 721-1 TEL:075-600-2821 ( 代表 ) 本研究会は一般社団法人日本産婦人科内視鏡学会の認定を受けています 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定制度における取扱いは以下のようになります 1. 新規申請 : 学会発表のカウント対象になります ( プログラム 抄録集の写しが必要 ) 2. 更新申請 : 学会参加 (1ポイント) に計上可能です ( 参加証が必要 ) 学会発表 (1ポイント) に計上可能です ( プログラム 抄録集の写しが必要 ) 共催 京都産婦人科医会 / 京都婦人科鏡視下手術研究会持田製薬株式会社 / シ ョンソン エント シ ョンソン株式会社

< 一般演題 1> 座長足立病院矢野樹理先生 1. 扁平上皮癌と組織診断された子宮内膜症の1 例 京都第一赤十字病院産婦人科松尾精記 片山晃久 山口菜津子 森崎秋乃 小木曽望 松本真理子 冨田純子 安尾忠浩 大久保智治 2. 直腸腟瘻を形成した異所性子宮内膜症の一例 京都第二赤十字病院産婦人科福山真理 衛藤美穂 益田真志 栗原甲妃 浅野正太 山本彩 加藤聖子 藤田宏行 3. 腹腔鏡下に治療しえた子宮筋腫分娩の 1 例 京都府立医科大学大学院女性生涯医科学 藪本和也 伊藤文武 小芝明美 楠木泉 北脇城 < 一般演題 2> 座長京都府立医科大学大学院女性生涯医科学楠木泉先生 4. 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定制度をめぐる最近の動向と変更点 京都府立医科大学大学院医学研究科女性生涯医科学楠木泉 5. TLH における基靭帯処理の再考 尿管同定の意義はどこにあるか 三菱京都病院産婦人科小林弘尚 砂田真澄 櫻井梓 中妻杏子 松本有紀 佐々木聖子 藤本真理子 堀江克行 6. 術前因子を用いた長時間手術予測スコアの作成 ~より安全な腹腔鏡下子宮筋腫手術を目指して~ 京都大学医学部附属病院産科婦人科河合恵理 伊藤美幸 河原俊介 千草義継 村上隆介 安彦郁 堀江昭史 濵西潤三 近藤英治 万代昌紀

< 教育講演 > 座長京都府立医科大学大学院女性生涯医科学教授 北脇城先生 演者帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科教授 西井修先生 演題 内視鏡手術の適正な評価 - 安全性を担保した子宮筋腫の手術 -

扁平上皮癌と組織診断された子宮内膜症の 1 例 京都第一赤十字病院産婦人科 松尾精記 片山晃久 山口菜津子 森崎秋乃 小木曽望 松本真理子 冨田純子 安尾忠浩 大久保智治 症例 43 歳 0 妊 0 産 左下腹部痛を主訴に救急受診 骨盤内に新生児頭大の腫瘤を認め 当科紹介受診 MRI 撮像にて右卵巣子宮内膜症性嚢胞 (12cm) と左卵巣内膜症性嚢胞 (4cm) 子宮筋腫(5cm) を疑う像を認めた これらに対して 腹腔鏡下筋腫核出 + 右付属器切除 + 左卵巣嚢腫核出手術を実施した 病理組織検査にて 右卵巣から扁平上皮癌を認めた 病変は漿膜面に達していなかった 奇形腫成分は認めず 発生母地として 上皮性化生から生じた扁平上皮癌の可能性が考えられた CT 検査にて明らかな遠隔転移を疑う所見なし CA125:57 U/ml SCC:0.5ng/ml 初回手術の3か月後に 開腹手術によるstaging laparotomy( 子宮全摘出 + 左付属器切除 + 大網部分切除 + 骨盤リンパ節生検 ) を実施した 腹水細胞診は陰性 摘出臓器に悪性所見を認めず pt1cn0m0と診断した 術後補助化学療法は実施せず 経過観察中である 考察 卵巣内膜症性嚢胞は頻度の高い良性腫瘍である 卵巣内膜症性嚢胞の約 0.7% に癌の合併が報告されている これらの組織型の内訳として 明細胞腺癌 (61%) 類内膜腺癌 (33%) との報告があり 扁平上皮癌の合併する報告は少ない 今回の症例においては 病理学的検査から 上皮性化生を発生母地として扁平上皮癌が生じたと考えられた

腸腟瘻を形成した異所性子宮内膜症の一例 京都第二赤十字病院 福山真理 衛藤美穂 益田真志 栗原甲妃 浅野正太 山本彩 加藤聖子 藤田宏行 経腟分娩後 異所性内膜症のため直腸腟瘻をきたした症例を経験したので報告する 症例は 44 歳 1 経産 経腟分娩から 10 年経過後より 腟から便汁 ガスの排泄を自覚していた 両側卵巣子宮内膜症性嚢胞 子宮腺筋症 直腸腟瘻の疑いに対して 手術目的に当科を受診し 術前検査としての注腸造影検査で直腸腟間の瘻孔形成を確認した 外科併診のもと 三期的な手術計画とし治療を開始した まず 回腸人工肛門増設術を施行した その後 腹腔鏡下直腸低位前方切除術及び腹腔鏡下子宮全摘術 卵巣嚢腫摘出術を施行した この際 子宮頸部及び腟壁と直腸を瘻孔で連続させて同時切除することができた 当初 直腸腟瘻は経腟分娩時の裂傷により形成された可能性を考慮していた しかし瘻孔開口位置は腟円蓋部であり 分娩時裂傷の好発部位より高位であった また病理検査では瘻孔と思われる索状物に子宮内膜症を認め 異所性内膜症による瘻孔形成と診断した 今後三期手術として 人工肛門閉鎖術を予定している 異所性内膜症は 外科との合同手術を要する場合があり 症状がある場合には術前に精査し 連携して治療を行うことが重要である

腹腔鏡下に治療しえた子宮筋腫分娩の 1 例 京都府立医科大学大学院女性生涯医科学 藪本和也 伊藤文武 小芝明美 楠木泉 北脇城 緒言 子宮筋腫分娩とは 子宮体部や頸部に発生した粘膜下筋腫が有茎性に子宮頸管から腟へと脱出したものを指すが 巨大なものでは子宮全摘が必要となる場合がある 今回われわれは 重症貧血をきたした巨大筋腫分娩に対して腹腔鏡下に治療しえた 1 例を経験したので報告する 症例 47 歳の 0 妊の女性 当院受診の数年前から頻尿 不正性器出血 下腹部腫瘤および動悸を自覚していたが婦人科は未受診であった 今回 下腹部痛が持続するため当院救急受診となった 診察上 腹部に巨大な腫瘤を触れ 腟内に易出血性で暗紫色の腫瘤を認めた 血液検査ではヘモグロビン値が 3.5 g/dl と著明な貧血を認め 腫瘍マーカーは陰性であった 骨盤部 MRI 検査では子宮内腔から頸管 腟を占拠する 190 mm 大の腫瘤を認めた 積極的に悪性を疑う所見はなく 子宮筋腫分娩と診断した 濃厚赤血球 8 単位を輸血してヘモグロビン値は 8.8 g/dl まで改善し 根治目的に腹腔鏡下子宮全摘術 (TLH) を行った 腹腔鏡下に卵管および卵巣固有靱帯の処理を先行した後に子宮動脈を切断して子宮への血流を減少させ 子宮粘膜面からの出血リスクを下げた その後経腟操作で子宮筋腫を捻除し子宮体積を減少させ 鏡視下の十分な視野および操作スペースを確保することで定型的な TLH が施行可能となった 手術時間は 238 分 出血量は 30 g 子宮重量は 1136 g であった 病理組織学的検査では虚血を伴う平滑筋腫の診断で 悪性所見を認めなかった 術中および術後合併症を認めず術後 6 日目に退院となった 結語 巨大筋腫分娩に対して 子宮動脈の処理および腟式操作を先行させることで良好な視野で TLH を施行しえた 1 例を経験した 巨大筋腫分娩に対する本術式の有用性が示唆された 本産科婦人科内視鏡学会技術認定制度をめぐる最近の動向と変更点

日本産科婦人科内視鏡学会技術認定制度をめぐる最近の動向と変更点 京都府立医科大学 楠木泉 一般社団法人日本産科婦人科内視鏡学会は 産婦人科領域における内視鏡手術に携わる医師の技術と知識を評価し 内視鏡手術を安全かつ円滑に施行する者を認定し 本邦産婦人科領域における内視鏡手術の発展と普及を促し さらには国民の健康維持に寄与すること を目的として日本産科婦人科内視鏡学会技術認定制度規則を定め 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医 ( 以下 技術認定医 ) の審査 認定を行っている 技術認定審査は 技術認定審査指針 に基づき医療技量そのものが公平に審査されるという特徴を持つため 技術認定医資格は安定した内視鏡手術における技術レベルの証明となり 医療を受ける側にとっては医療機関を選択する上での一助となる 2016 年度より腹腔鏡技術認定申請の要件に 日本産科婦人科内視鏡学会認定研修施設 での 6 ヶ月以上の研修もしくは 認定研修施設の技術認定医のもとで 執刀医もしくは助手として 25 例以上の腹腔鏡手術を行うことが必須条件という要件が加わった そのため 認定研修施設の腹腔鏡技術認定医がいなければ腹腔鏡技術認定の申請資格が得られないことになるため 救済処置として 2019 年度より 5 年間の暫定措置として 暫定認定研修施設指定常勤医 が所属していることを条件として 暫定認定研修施設 を認定する 暫定認定研修施設指定常勤医 のおもな条件は 100 件以上の腹腔下手術経験がありかつ技術認定医と 10 例以上執刀あるいは助手経験があること 学会発表 学術研究会 コンセンスミーティングへの参加 施設の年間腹腔鏡手術症例数が 50 例以上 である 今年度から 技術認定審査の申請方法が変更され 本申請の前に事前登録が必要となった 事前登録期間は 12 月 1 日から 1 月 31 日で ウェブ登録となる 本申請期間は 1 月 31 日から 2 月末日必着である 提出する動画の記憶媒体は DVD のみとなった 技術認定制度をめぐる最近の動向と変更点について概説する

TLH における基靭帯処理の再考 尿管同定の意義はどこにあるか 三菱京都病院産婦人科 小林弘尚砂田真澄櫻井梓中妻杏子松本有紀佐々木聖子藤本真理子 堀江克行 腹腔鏡下子宮全摘術 ( 以下 TLH:total laparoscopic hysterectomy) を行う際に 子宮動脈と尿管を交差部より外側で同定 単離した後に 基靭帯周囲組織を剥離 切断する施設が多い 尿管の走行を一部確認することで尿管損傷のリスクを軽減できる反面 狭い術野操作により出血対応に苦慮する場合や 同定した尿管と基靭帯周囲の連続性が見られず 基靭帯処理で尿管損傷をきたすケースも報告される そのため尿管トンネルまで尿管を追跡する必要性が議論されるが 疑問が残る 当院では初めに敢えて尿管の単離を行わない 広間膜を浅く広く切開し 暫定で膀胱側腔を展開する この際に子宮動脈を同定し 膀胱剥離と並行して腹側の膀胱子宮靭帯前層周囲の結合織処理を行う 後方では子宮動静脈上行枝と後腹膜後葉の間を剥離し 尿管内側の腔を意識して広く展開する 仙骨子宮靭帯付着部と子宮動脈上行枝の屈曲する走行ラインをメルクマールとして 基靭帯処理の高さを決定する 尿管が自然と同定される症例もあるが 子宮動静脈上行枝の腹側 背側で子宮頸部表面を十分露出させることで尿管の安全性が担保される 基靭帯処理の際に膣カップは子宮頸部周囲の解剖構造を偏移させるため 当院では使用しない 内膜症等の癒着症例でも 子宮動脈を腹側 背側に意識し剥離する過程で自然と尿管が露出される 尿管同定の先行は一つの選択肢であるが 全例尿管を同定する必要性は検討の余地がある 当院での最近の基靭帯処理を提示し 議論したい

術前因子を用いた長時間手術予測スコアの作成 ~ より安全な腹腔鏡下子宮筋腫手術を目指して ~ 京都大学医学部附属病院産科婦人科 河合恵理 伊藤美幸 河原俊介 千草義継 村上隆介 安彦郁 堀江昭史 濵西潤三 近藤英治 万代昌紀 背景 近年 子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術は急速な広がりを見せているが 長時間の手術は医療者 患者双方の負担が大きくなる そこで 長時間の手術となることが術前に予測可能となれば両者にとって有用であると考え検討を行った 方法 子宮筋腫に対して全腹腔鏡下子宮全摘術 腹腔鏡下筋腫核出術 腹腔鏡補助下筋腫核出術を施行した 48 症例を対象とした 手術長時間群 (240 分以上, n=17) 短時間群 (240 分未満, n=31) の 2 群に分け 術前因子との相関について後方視的解析を行った 結果 短時間群と比較し長時間群では 筋腫最大径が大きく 筋腫の個数が多く 子宮底が岬角を超える症例が有意に多かった (p<0.05) が 患者背景には有意差を認めなかった さらに 筋腫最大径 70mm 以上 筋腫個数 5 個以上 岬角越えを各 1 点とする長時間手術予測スコア (0-3 点 ) を作成し ROC 解析を行ったところ 同スコア 2 点以上の場合に長時間手術 (4 時間以上 ) であった (AUC=0.9013) 結論 術前因子を用いた長時間手術予測スコアを作成した 本スコアを活用することにより適切に手術スケジュールが管理され 医療者 患者の両者にとってより安全に腹腔鏡下子宮筋腫手術が行われることを期待する

内視鏡手術の適正な評価 帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科 西井 修 内視鏡手術は どのような評価基準で 診療報酬上の点数が決まっているか その根拠はどこにあるか 診療報酬点数の根拠は示されていない そこで 診療報酬改定の流れを解説するとともに 改定要望を行う際の判断根拠にしている外保連試案を解説し 子宮鏡下子宮筋腫切除術を例にとって 適正な評価を考える また 今回の保険適用となったロボット支援内視鏡手術について 審査の過程を解説する 子宮鏡下手術における頻度の高い合併症は 水中毒と子宮穿孔である 灌流液に電解質利用することで 水中毒を予防することが可能である 近々我が国でも導入予定のモルセレーションを利用した子宮鏡下手術では 子宮穿孔の発生頻度が低い このような手術を新規あるいは改正として 適正に評価すべきと考える 診療報酬上の医療技術の評価にあたって 平成 24 年度より医師数の時間当たりの相対値に手術時間数を加味して算出した外保連手術指数が 高度の医療技術の指標として DPC 病院群を設定する実績要件として使われている 外保連試案においては 手術手技料を手術の技術度 手術協力者数 手術の所要時間から算出し これに医療材料を加えた費用を診療報酬額としている 手術の技術度は初期臨床研修医レベルの技術度 A から 初期臨床研修修了者 B, 基本領域の専門医 C, 指導医 D, 特殊技術の E までの 5 段階の技術度となっている 平成 30 年度診療報酬改定に際しては 医療技術評価分科会に提案のあったロボット支援手術 15 術式のうち 既存技術と同等程度の有効性 安全性があると評価されたもの 12 術式については 診療報酬改定において対応する優先度が高い技術となり 婦人科領域では 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 ( 子宮体がんに限る ) と腹腔鏡下腟式子宮全摘術が内視鏡手術支援下手術として保険適用となった なお 保険適用するに当たっては 施設基準として 当該ロボット支援内視鏡手術又は関連する手術の実績や 関係学会によるレジストリに参加する等の要件を設けることとなった

略歴 所属 : 帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科 役職 : 教授 にしいおさむ氏名 : 西井修生年月日 : 昭和 31 年 9 月 7 日 学歴 職歴 : 1981( 昭和 56) 年 3 月東邦大学医学部医学科卒業 1981( 昭和 56) 年 6 月東京大学医学部附属病院分院産婦人科研修医 1983( 昭和 58) 年 10 月東京都立築地産院研究員 1984( 昭和 59) 年 4 月東京大学医学部附属病院分院産婦人科文部教官助手 1989( 平成元 ) 年 4 月東京大学医学部附属病院分院産婦人科医局長 1998( 平成 10) 年 5 月国立習志野病院産婦人科厚生技官 2001( 平成 13) 年 4 月東京大学医学部附属病院女性外科講師 2003( 平成 15) 年 11 月帝京大学溝口病院産婦人科助教授 2008( 平成 20) 年 4 月帝京大学溝口病院産婦人科教授現在に至る専攻分野内視鏡下手術 社会保険 不妊症 生殖内分泌 性感染症 学会の役職日本産科婦人科内視鏡学会常務理事 日本生殖医学会常務理事 外科系学会社会保険委員会常任委員 外科系学会社会保険委員会実務委員会副委員長 日本医師会疑義解釈委員 日本産科婦人科学会社会保険委員会副委員長 日本産婦人科医会医療保険委員 日本婦人科腫瘍学会社保委員 日本性感染症学会幹事 中央委員厚生労働省医療技術評価分科会委員 保険医療専門審査員 ( 薬価算定組織 保険医療材料等専門組織 ) 資格日本産科婦人科学会専門医日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医日本生殖医学会生殖医療専門医日本性感染症学会認定医