5 年 3 月 日本銀行大阪支店 における個人消費と所得の特徴について ~ 所得対比でみて消費が堅調な背景 ~ 本稿における は 大阪府 京都府 兵庫県 滋賀県 奈良県 和歌山県の 府 4 県 本稿は 大阪支店営業課調査グループ園田章 ( 現金融市場局 ) 清水俊太郎 道勧麻美絵 長谷川淳子 難波愛子 公平周次郎が執筆しました ホームページ (http://www3.boj.or.jp/osaka/) からもご覧いただけます 本稿の内容について 商用目的で転載 複製を行う場合は 予め日本銀行大阪支店までご相談ください 転載 複製を行う場合は 出所を明記してください 照会先 こうだいら日本銀行大阪支店営業課調査グループ公平 山田(TEL:(6)66-775)
本稿のポイント における個人消費と所得の動向をみると 所得が対比弱めで推移してきた一方 個人消費の堅調さは並みで推移するなど 所得対比でみた個人消費の堅調さ が目立つ の個人消費の特徴を業態別にみると 百貨店 がに比べて好調である一方 スーパー が弱めの姿となっている また 品目別にみると 衣料品 が対比強めで推移する一方 飲食料品 は相対的に弱めとなっている 百貨店が好調な背景としては の家計における株式などの金融資産の保有額が全 国対比で多いことが挙げられるほか ここ数年 大阪市内を中心に魅力的な商業施設の開業が相次いだことに伴い 需要が喚起されている可能性もある また 訪日外国 人客や国内他地域からの観光客の増加も における百貨店などの売上を下支えしている可能性が高い 一方 スーパーが対比で弱めであることの背景として の家計における可処分所得が対比で低く 飲食料品などの日常的な支出が抑制されやすいことなどが考えられる 今後 個人消費が堅調な領域を広げていくためには や関東に比べて見劣りする 可処分所得 の引き上げがポイントとなる の一世帯当たりの収入をみると 世帯主の勤め先収入が 並みにとどまり 関東よりかなり低い 配偶者の収入が 関東に比べて低い という特徴がある 従って 企業の設備投資やイノベ ーションの促進による生産性の向上を通じて世帯主の賃金水準を引き上げていく必要がある 同時に 的にみて女性の大学 短大進学率が高いといった特徴を活か し インバウンド観光やヘルスケアなどの成長分野を含め 女性の就業率を高めていくことが重要と考えられる. 所得対比でみて堅調なの個人消費 の個人消費の動向を 百貨店 スーパーといった販売サイドの代表的な統計の動き を合成した 販売統計合成指数 ( 試算値 ) でみると ともほぼ同様の動きとなっている 一方 家計サイドの支出動向をみると では可処分所得から消費支出に あてられた割合 ( 消費性向 ) が ここへきて既往ピークの水準に達するなど 所得対比でみた消費支出の堅調さ が目立つ ( 図表 ) この間 賃金の動向をみると 4 年春以降 並みに回復しているが それ以前は弱めに推移していた. の個人消費動向の特徴点 次に 商業動態統計の業態別 品目別の動きを で比較すると 業態別では 百貨店 がに比べて好調である一方 スーパー は弱めに推移している 品目別では 衣料品 が対比強めである一方 飲食料品 は弱めとなっている ( 図表 ) 衣料品 食料品 家具 家電 自動車登録台数の各系列を基準年 = として指数化した上で 家計調査の支出金額ウエイトで加重平均して算出した値
百貨店や衣料品が対比で好調な背景については 以下の 3 点が指摘できる まずの家計は 対比で株式や株式投信などの金融資産保有額が多い 最近の株式相場の上昇などを受けた資産効果が 百貨店などにおける高額消費の押し上げに繋がっている可能性がある ( 図表 ) また ここ数年 大阪市内を中心に魅力的な商業施設の開業やリニューアルが相次いだことに伴い 需要が喚起されている可能性がある 百貨店の売り場面積をみると ここ数年 はほぼ右肩下がりで縮小している一方で は緩やかに拡大してい る こうした下でも 4 年のの百貨店売り場効率 ( m当たりの売上高 ) は低下しておらず 増床効果が百貨店販売額の押し上げに寄与していることが分かる ( 図表 ) 3 このほか ここ数年 訪日外国人客や国内他地域からの観光客が増加 していること も における百貨店などの売上を下支えしている可能性が高い 一方 スーパーや食料品の販売が弱めとなっている背景としては 以下の 点が指 摘できる の家計では 毎月の収入である可処分所得が平均よりも低い ( 図表 3) このため スーパーで販売されている飲食料品などの日常的な支出が抑制されてい る可能性がある に加え 消費増税後は 特に飲食料品などが節約対象となっている可能性もある 3. 個人消費が堅調な領域を広げていくために 今後 の個人消費が堅調な領域を広げていくためには や関東に比べて低めとなっている可処分所得の引き上げがポイントとなる の可処分所得の低さの背景として 中小企業の比率が高いことが指摘されることもあるが 全産業における中小企業雇用 者の割合は でほぼ同じであることから これ以外に要因があると考えられる ( 図表 3) そこで 一世帯当たりの可処分所得を世帯主と配偶者 ( 女性が 99% を占める ) に分け てみると の世帯主の勤め先収入は 並みにとどまり 関東よりかなり低い こ とが確認できる ( 図表 3) 企業の設備投資やイノベーションを促進し 生産性を向上させることによって 賃金水準を引き上げていくことが必要と考えられる 一方 配偶者の収入は 関東に比べて低い ことが確認できる ( 図表 3) これは配偶者の就業率が 関東に比べて低いことが影響していると考えられるが の女性の大学 短大進学率はの中でも高い ( 図表 4) こうした教育水準の高さを活かし 観光 医療 研究開発などの成長分野を含めて女性の就業率向上を図り 配偶者の所得を増やしていくことが重要と考えられる 以 上 の企業では 近年急増する外国人観光客の需要取り込みについても総じて積極的である その点については 当店レポート 訪日外国人客による消費が近畿の個人消費にもたらす効果について (4 年 月 8 日公表 ) を参照
賃金動向を踏まえた個人消費動向 ( 図表 ) 賃金はより遅れて改善したが 個人消費はと遜色がなく堅調 所得対比でみた消費支出 ( 消費性向 ) は既往ピークの水準に上昇 () 販売統計合成指数 () 消費性向 8 ( 前年比 %) 8 78 6 4 76-74 -4-6 7-8 - 3 4 年 7 8 9 3 4 年 (3) 賃金 ( ) (4) 賃金 ( ) ( 前年比 寄与度 %) ( 前年比 寄与度 %) - - - - -3-4 -5 所定内給与所定外給与特別給与名目賃金 -3-4 -5 所定内給与所定外給与特別給与名目賃金 -6-6 8 9 3 4 年 8 9 3 4 年 ( 注 ).() は衣料品 食料品 家具 家電 自動車登録台数の各系列を基準年を として指数化 ( 注 )3. した上で家計調査の支出金額ウエイトで加重平均して算出 直近は 4 年 - 月 ( 注 ).() は 消費支出 可処分所得 の後方 カ月移動平均 二人以上の世帯 ( 勤労者世帯 ) ( 注 )3. 直近は 4 年 - 月 ( 注 )3.(3)(4) は事業所規模 5 人以上 直近は 4 年 - 月 ただしは - 月 ( 資料 ) 経済産業省 商業動態統計 専門量販店販売統計 日本自動車販売協会連合会 ( 資料 ) 大阪軽自動車協会 BCN 総務省 家計調査 厚生労働省 毎月勤労統計
の個人消費の特徴点 ( 図表 ) は 衣料 身の回り品等の販売がより強く 百貨店の好調さが目立つ 資産効果や増床効果が寄与している可能性 () 百貨店 スーパー販売額 () 商業動態統計 ( 品目別 - の差 ) 5 5-5 - ( 前年比 %) 百貨店 スーパー 3 4 年 3 4 年 - - ( 前年比 寄与度 %) 衣料品 身の回り品等飲食料品家具 家電 家庭用品食堂 喫茶その他合計 3 4 年 の方が強い の方が強い (3) 株式等保有残高 ( 一世帯当たり 3 年平均 ) (4) 百貨店売り場面積 4,5 ( 千m ) ( 千m ) 8, 8 6 平均 6 万円 3 95 5,4,3, 参考 m当り売上 ( 年 4 年 ) 万円 万円 7,5 7, 4, ( 左軸 ) ( 右軸 ) 6,5 関東東海, 上 下 上 下 上 下 3 上 3 下 4 上 4 下 6, ( 注 ).() は全店ベース 直近は 4 年 - 月 ( 注 ).() は の商業動態統計合計 ( 前年比 ) に対する各項目の寄与度をとで ( 注 ). 比較した値 直近は 4 年 - 月 ( 注 )3.(3) は二人以上の世帯 ( 全世帯 ) ( 注 )4.(4) のうち 4 年下期は 7- 月 ( 資料 ) 経済産業省 商業動態統計 総務省 家計調査
の可処分所得が低い背景 ( 図表 3) の個人消費が堅調な領域を広げていくためには や関東に比べて見劣りする可処分所得 ( 世帯主 配偶者の年収の低さに起因 ) の引き上げが必要 () 世帯あたりの年間可処分所得 () 中小企業に勤める雇用者の割合 ( 年 ) 6 関東 75 7 中小企業に勤める雇用者の割合は とほぼ同じ 55 65 67. 67.4 5 6 の可処分所得はより少ない 55 45 3 4 5 6 7 8 9 3年 5 (3) 世帯主の年収 (4) 配偶者の年収 6 関東 5 関東 55 5 5 の世帯主の年収は 並みだが 関東より低い の配偶者の年収は 関東より低い 45 3 4 5 6 7 8 9 3年 3 4 5 6 7 8 9 3年 ( 注 ).() は二人以上の世帯 ( 勤労者世帯 ) ( 注 ).() は全産業ベース ( 注 )3.(3)(4) は勤め先収入ベース ( 注 )4.(4) の配偶者のうち約 99% は女性 働いていない配偶者の年収は 万円 として集計 ( 資料 ) 総務省 家計調査 就業構造基本調査
の可処分所得が低い背景 ( 図表 4) 配偶者の年収の低さは 就業率の低さに起因 教育水準の高いの女性の就業率向上が重要 () 配偶者の就業率 () 賃金 ( 年収 ) 5 8 45 関東 7 4 6 ( 男性 ) 関東 ( 男性 ) ( 男性 ) ( 女性 ) 関東 ( 女性 ) ( 女性 ) 35 3 5 の配偶者の年収の低さは 就業率の低さ に起因 5 4 の女性の賃金は より高い 3 4 5 6 7 8 9 3 年 3 3 4 5 6 7 8 9 3年 (3) 大学 短大進学率 ( 女性 3 年 ) 75 65 55 45 35 東京兵広奈神愛大山滋埼岐岡石福富栃福三千徳群静香愛長高大和茨宮島鹿宮熊山秋鳥佐山福長新青岩沖北京都庫島良奈知阪梨賀玉阜山川岡山木井重葉島馬岡川媛野知分歌城城根児崎本形田取賀口島崎潟森手縄海川山島道 ( 注 ).() は二人以上の世帯 ( 勤労者世帯 ) ( 注 ).() は従業員 5 人以上の事業所の一般労働者ベース ( 資料 ) 総務省 家計調査 厚生労働省 賃金構造基本統計調査 文部科学省 学校基本調査