平成 30 年度豊後大野市公立幼稚園 幼児教育方針 豊後大野市教育委員会 平成 30 年 3 月
はじめに P1 Ⅰ 豊後大野市幼児教育の現状と課題 P2~3 1 幼児数の変遷... P2 2 幼児教育の現状... P2~3 3 幼児教育の課題... P3 Ⅱ 豊後大野市幼児教育の基本方針 P4~7 1 豊後大野市幼児教育の基本... P4 2 豊後大野市幼児教育のねらい... P5 (1) 育みたい資質能力 ------------------------------------------ P5 (2) 基本となる 5 領域のねらい ---------------------------------- P5 (3) 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 --------------------- P6~7 Ⅲ 幼児教育の実際 P8~11 1 教育課程の編成について... P8 2 幼稚園教諭の専門性向上... P9 3 特別支援教育の充実... P9 4 学びの連続性を踏まえた小学校との連携... P10 5 家庭や地域との連携... P10 6 子育て支援... P11
はじめに 幼児期は 生活や遊びなどの体験を通して人と関わる力 感性 表現する力など生涯にわたる人間形成の基礎が培われる大切な時期であり 幼児教育は義務教育をはじめ その後の学習活動につながる重要な役割を担っています 基本的な生活習慣の乱れ 規範意識の希薄化 コミュニケーション能力の不足などは 幼児期の育ちが影響していると言われており これらの解決が課題になっています そのような中 生活や遊びなどの体験を通して 様々な体験を積み上げさせるなど幼児教育のさらなる充実を図ることが求められています 幼児を取り巻く環境は 人々の価値観や生活形態の多様化に伴い 急速に変化しています また 家庭や地域の教育力の低下も指摘されており 幼児の実態からは 自立が遅れている 集団になじめないなど 発達の個人差による課題が多くみられるようになっています さらに 近年 問題になっている小学校入学後に 集団学習や生活に適応できないといった小 1プロブレムの解消に向けて組織的な取り組みをする必要があります そのためには 市内の公立幼稚園や私立幼稚園 保育園 ( 所 ) 認定こども園が相互に連携をとって幼児教育を含む就学前教育の充実を図ることが必要です また 子どもを取り巻く環境や生活様式などが大きく変化する中 子育てに関する悩みや不安 孤立感を抱えている保護者や職業に就いているものの子どもを幼稚園に通わせたいという保護者もいることから そのような保護者への支援が課題となっています 子ども 子育て関連 3 法に基づく 子ども 子育て支援新制度 が平成 27 年 4 月より導入され 地域の子育て支援の量の拡充や幼児期の教育 保育の質の向上が求められています 公立幼稚園は現在 三重幼稚園 東幼稚園 新田幼稚園 ( 休園中 ) おおのさくら幼稚園 千歳幼稚園 通山幼稚園があり 平成 29 年度は 5 歳児 53 名 4 歳児 15 名の在籍があります 公立幼稚園では 利用者負担額の変更と4 園 ( 三重幼稚園 東幼稚園 おおのさくら幼稚園 通山幼稚園 ) で預かり保育 (5 2 名利用 ) を実施しています 今後も 保護者のニーズに応える幼稚園教育を提供していく必要があります - 1 -
Ⅰ 豊後大野市幼児教育の現状と課題 1 幼児数の変遷 平成 25 年度平成 26 年度平成 27 年度平成 28 年度平成 29 年度 三重幼稚園 24 24 14 13 22 東幼稚園 34 21 23 9 15 新田幼稚園 3 5 休 6 休 おおのさくら 29 26 25 16 16 幼稚園 (4 歳児 9) (4 歳児 13) (4 歳児 8) (4 歳児 3) (4 歳児 10) (5 歳児 20) (5 歳児 20) (5 歳児 17) (5 歳児 13) (5 歳児 6) 千歳幼稚園 15 17 15 20 8 通山幼稚園 20 23 17 10 7 (4 歳児 9) (4 歳児 16) (4 歳児 5) (4 歳児 4) (4 歳児 4) (5 歳児 11) (5 歳児 7) (5 歳児 12) (5 歳児 6) (5 歳児 3) 合計 125 116 94 74 68 ア菅尾幼稚園 百枝幼稚園 長谷幼稚園は 平成 27 年度より廃園し 平成 29 年度現在は 三重幼稚園 東幼稚園 おおのさくら幼稚園 千歳幼稚園 通山幼稚園が開園し 新田幼稚園が休園している イ園児数は 5 年間で半減している 2 幼児教育の現状 ア現在 5つの園にて 豊かな自然環境 少人数の良さを取り入れた教育 が遊びを通して行われている イ教育課程についても 5 領域 健康 人間関係 環境 言葉 表現 を複合的にバランスよく取入れた 1 期 2 期 3 期 4 期 年間の活動で構成されたものを作成 運用している ウ市主催の研修を 幼稚園職員 市内保育所 子ども園職員も参加し 年 3 回行っている 内容は平成 29 年度幼稚園教育課程地区別協議会教育 - 2 -
課程研究会に係るもので 教育の今日的課題や実際の公開保育を通しての協議会を行っている エ家庭や地域との連携を生かした教育を行い 幼児が多くの 人 こと もの にふれあう機会をつくり 体験的な遊びを通しての学びを行っている オ接続する小学校との連携を生かした教育では 小学生とのふれあい活動を通して 人間関係形成に役立っている また 小 1プロブレムの解消にもつながっている カ子育て支援として 各園で預かり保育を実施している キ未就園の子どもを対象に 園庭開放や体験活動などを行っている 3 幼児教育の課題 ア幼児数の確保が課題イ園の教育方針を もっと保護者に理解してもらう必要がある ウ新しい教育課題に対応するための 教職員の研修の機会確保が必要となる しかし 預かり保育等のため 参加が難しい面もある エ家庭の多様化により 教育内容や子育て支援も個に応じたニーズが高まっている オ特別支援を要する子どもは 一人一人対応が違うので その子どものニーズに合った支援計画などの作成が必要となる カ小学校との接続を考えると 小学校区に幼稚園があるといいが 人数確保に課題が生まれ幼稚園教育の基本である集団による教育が難しくなる キ地域との連携もよりすすめる必要がある - 3 -
Ⅱ 豊後大野市幼児教育の基本方針 1 豊後大野市幼児教育の基本 豊後大野市は 日本ジオパークの認定を受け 自然豊かな環境を生かしたさまざまな体験活動が可能で 幼児教育には適した環境があります 公立幼稚園では 教師と幼児との十分な信頼関係のもとに幼児期の特性を踏まえて教育を行う必要があります 環境を通して行う教育 遊びを通して行う教育 を基本とする幼稚園教育要領 ( 平成 30 年新幼稚園教育要領施行 ) の下 幼児が身近な環境に主体的に関わり 環境との関わりや意味に気づき これらを取り込もうとして試行錯誤したり考えたりするプロセスを通して 幼児教育にて育みたい資質能力 ( 知識及び技能の基礎 思考力 表現力 判断力等の基礎 学びに向かう人間性等 ) の育成をめざします そのため 幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿を見通した教育課程を編成し 幼児一人ひとりの個性を把握して その個性に適応した指導方法の工夫改善に努めなければなりません また 地域と連携をとった体験活動を重視し 幼児期にふさわしい豊かな感性を培います さらに 幼小連携 家族との会話や幼児同士の遊びを通して健全な生活習慣を確立するとともに コミュニケーション能力や規範意識などの社会性を育成していきます このような幼稚園における幼児教育を土台にして 連続する小中学校のキャリア教育につなげ 子どもたちが将来 学び と 将来の仕事や夢 を主体的に自己実現できるよう 幼児教育を 豊後大野市 3Dヘプタゴン教育 の一環として取り組みます 主体的な自己実現をめざして ~ 15 に春を ~ 3D ヘプタゴン 多面的な教育の実現をめざした 3 次元空間で育てる豊後大野っ子 - 4 -
2 豊後大野市幼児教育のねらい 幼児教育では 幼児からの発達の連続性や 資質 能力 を中心とした考 え方によって 小学校以降で育む 知識及び技能 思考力 判断力 表現 力等 学びに向かう力 人間性等 の 基礎を培うことをねらいとします (1) 育みたい資質能力 1 知識及び技能の基礎 2 思考力 判断力 表現力等の基礎 3 学びに向かう力 人間性等 (2) 基本となる 5 領域のねらい 1 健康 健康な心と体を育て 自ら健康で安全な生活をつくり出す力を育成する 2 人間関係 他の人々と親しみ 支え合って生活するために 自立心を育て 人と関わる力を育成する 3 環境 周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり それらを生活に取り入れていこうとする力を育成する 4 言葉 経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し 相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て 言葉に対する感覚や言葉で表現する力を育成する 5 表現 感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して 豊かな感性や表現する力を育成し 創造性を豊かにする - 5 -
(3) 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 1 健康な心と体幼稚園生活の中で充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ 見通しをもって行動し 自ら健康で安全な生活をつくり出せるようになる 2 自立心身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で しなければならないことを自覚し 自分の力で行うために考えたり 工夫したりしながら 諦めずにやり遂げることで達成感を味わい 自信をもって行動するようになる 3 協同性友達と関わる中で 互いの思いや考えなどを共有し 共通の目的の実現に向けて 考えたり 工夫したり 協力したり 充実感をもってやり遂げるようになる 4 徳性 規範意識の芽生え友達と様々な体験を重ねる中で してよいことや悪いことが分かり 自分の行動を振り返ったり 友達の気持ちに共感したりし 相手の立場に立って行動するようになる また きまりを守る必要が分かり 自分の気持ちを整理し 友達と折り合いを付けながら きまりをつくったり 守ったりするようになる 5 社会生活との関わり家族を大切にしようとする気持ちをもつとともに 地域の身近な人と触れ合う中で 人との様々な関わり方に気付き 相手の気持ちを考えて関わり 自分が役に立つ喜びを感じ 地域に親しみをもつようになる また 幼稚園内外の様々な環境に関わる中で 遊びや生活に必要な情報を取入れ 情報に基づき判断したり 情報を伝え合ったり 活用したりするなど 情報を役立てながら活動するようになるとともに公共の施設を大切に利用するなどして 社会のつながりなどを意識するようになる - 6 -
6 思考力の芽生え身近な事象に積極的に関わる中で 物の性質や仕組みなどを感じ取ったり 気付いたりし 考えたり 予想したり 工夫したりするなど 多様な関わりを楽しむようになる また 友達の様々な考えに触れる中で 自分と異なる考えがあることに気付き 自ら判断したり 考え直したりするなど 新しい考えを生み出す喜びを味わいながら 自分の考えをよりよいものにするようになる 7 自然との関わり 生命尊重自然に触れ感動する体験を通して 自然の変化などを感じ取り 好奇心や探究心をもって考え言葉などで表現しながら 身近な事象への関心が高まるとともに自然への愛情や畏敬の念をもつようになる また 身近な動植物に心を動かされる中で 生命の不思議さに気付き 身近な動植物への接し方を考え 命あるものとして関わるようになる 8 数量や図形 標識や文字などへの関心 感覚遊びや生活の中で 数量や図形 標識や文字などに親しむ体験を重ねたり 標識や文字の役割に気付いたりし 自らの必要感に基づき これらを活用し 興味や関心 感覚をもつようになる 9 言葉による伝え合い先生や友達と心を通わせる中で 絵本や物語等に親しみながら 豊かな言葉や表現を身に付け 経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり 相手の話を注意して聞いたりし 言葉による伝え合いを楽しむようになる 10 豊かな感性と表現心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で 様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き 感じたことや考えたことを自分で表現したり 友達同士で表現する過程を楽しんだりし 表現する喜びを味わい 意欲を持つようにする - 7 -
Ⅲ 幼児教育の実際 1 教育課程の編成について 幼児は 遊びを通して成長することから 幼稚園においては 幼児期の発達の特性を踏まえ 幼児教育の基本である遊びを通しての教育の充実を図りながら 安定した情緒のもとで 知識及び技能の基礎 思考力 判断力 表現力等の基礎 学びに向かう力 人間性等 を養い 生きる力 の基礎をはぐくむ幼児教育の教育課程編成を推進します (1) 新幼稚園教育要領の趣旨や意義を踏まえ 幼児期の終わりまでに育っ てほしい姿を見通した編成を行います そして 主体的 対話的で 深い学び を実現できるよう具体的な指導の手立てを講じます (2) 健康 人間関係 環境 言葉 表現 の 5 領域がバランスよく 取り入れられた単元構成を行い 自主性や社会性 言語能力や知的能 力を育成します (3) 教育課程の評価改善を促進し カリキュラム マネジメントを実施し ます (4) 小学校との接続を意識したアプローチカリキュラムを作成し活用しま す (5) 家庭や地域との連携を取入れます (6) 支援を要する子どもの個別の支援 指導計画を作成し活用します (7) 豊後大野市 3D ヘプタゴン教育の要であるキャリア教育で育む 人間 関係形成能力 を あらゆる教育活動にて育むようにします 人間関係形成能力 とは 多様な他者の考えや立場を理解し 相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができるとともに 自分の置かれている状況を受け止め 役割を果たしつつ他者と協力 協働して社会に参画し 今後の社会を積極的に形成することができる力である 要素としては 他者の個性を理解する力 他者に働きかける力 コミュニケーション スキル チームワーク リーダーシップ等があげられる - 8 -
2 幼稚園教諭の専門性向上 幼稚園の教員等には 教育にたずさわる者としての責任感や使命感 深い幼児理解を基礎として 協力し総合的な指導を展開する力 多様な保育ニーズに対応する力量を養うことが求められています そこで 園内 園外における各種研修の充実を図るとともに 教員等は 日々の保育や生活の中においても 常に自己啓発 自己研鑽に努めます (1) 新幼稚園教育要領の趣旨や意義の周知及び理解を図ります (2) 教育課程研における園内研修の実施 園外研修への参加を積極的に推進し 教育の今日的課題解決に努め 実践力の向上を図ります (3) 研究協議会を定期的に開催し 研修を深めるとともに 各園の課題の解決を図ります (4) 実践交流 人事交流 幼稚園間の情報交換を促進し 幼稚園教諭の資質向上を図ります (5) 接続を見通し 小学校教育についての理解を深めます (6) 学校評価について理解を深め 全職員で学校評価を実施し 園の教育の質を高めます 3 特別支援教育の充実 幼稚園においては 知的 情緒 肢体不自由などの障がいだけでなく LD ( 学習障がい ) ADHD( 注意欠陥 / 多動性障がい ) 高機能自閉症なども含め 障がいのある幼児について 一人一人の教育的ニーズや発達の課題を的確に把握し 遊びや生活上の困難を改善または克服するため 適切な指導や教育的支援を行います (1) 個別の配慮が必要な幼児の指導方法について 合理的配慮を提供する観点から 園内で 教職員全体の協力体制をつくりながら 安全面の確保 施設の整備等に共通理解を図り 教育にあたります (2) 個別の支援計画 指導計画を作成し 指導に活用します (3) 医療福祉などの専門機関と連携し 教育相談にあたり指導に生かします - 9 -
4 学びの連続性を踏まえた小学校との連携 全国的にも いわゆる 小 1プロブレム と呼ばれる問題が発生する中 幼稚園と小学校とがそれぞれの教育目標や指導の内容 方法などについて 情報を共有するとともに生活の連続性に配慮しつつ 小学校との連携 接続の取組の充実に努め 小学校以降の生活や学習につなげる教育を推進します (1) 小学校の教育活動への円滑な接続を図るためのアプローチカリキュラム スタートカリキュラムの充実を図ります (2) 公立幼稚園の園児と小学校の児童の交流活動 公立幼稚園教諭と小学校教職員の交流を促進します (3) 幼児教育と小学校教育の円滑な接続に関する県や市等で開催される研修会に参加します 5 家庭や地域との連携 幼稚園においては 保護者や地域住民の幼児教育への関心を高め 園の教 育方法や幼児の生活について理解と協力を得るために 保護者や地域住民と 積極的な連携に努めます (1) 家庭や地域の方に参観保育や行事などに参加してもらうことを通して 園の教育方針の理解を図ります (2) 家庭や地域の方の参観保育や行事などを積極的に行い 子どもたちに多様な教育の機会を提供します (3) 家庭や地域に 園の教育方針や教育活動を 積極的に広報します - 10 -
6 子育て支援 幼稚園は 保護者の子育てを積極的に支援するため 園舎 園庭の開放 子育て講演会 子育て相談 子育てに関する情報提供 保護者同士の交流の機会を提供するとともに 教育 児童福祉機関などと密接な連携を図り 子育て支援活動の一層の充実に努めます (1) 子育て相談や園の開放日を設定し 子育ての相談を受ける体制をつくります (2) 預かり保育を実施し 子育て支援を行います 地域の実態や子育てニーズを十分検討しその充実に努めます 実施に当たっては 適切な指導体制を整えるとともに 幼児の心身の負担に配慮した保育内容 方法 実施時間の工夫を図ります (3) 児童館や放課後児童クラブとの連携を深めます - 11 -