第 1 4 回 鬼の矢形石 伝説 源為朝が退治 むくどり文庫 点字図書が 2400 冊余 別府 田ノ浦大分賀来 53 光吉 54 56 55 米良 鶴崎 宮河内 佐賀関 水分神社 山に祭られた海の神様 下郡小農園 すくすくランド 地域も協力 はじける笑顔 今市 野津原 竹中犬飼 10 吉野 臼杵 NEXT 初版発行 :2009 年 9 月 18 日
バスを降りたら 第 14 回 p. 2 伝説 源為朝が退治源為朝が祭られている雄城神社 鬼の矢形石(二〇〇五年六月二十六日) むかしむかし 稙田の村に 夕方になると鬼が霊山(りょうぜん)から下りてきては 子どもをさらっていきました と話すのは 大分市稙田地区にある県立新生養護学校の校長 牧野桂一さん 地区には多くの伝説があり その中に 霊山の鬼退治 の話がある 困った村人は弓名人の源為朝(鎮西八郎)に鬼退治を頼んだ 為朝は自慢の弓で雄城台から 鬼がいる霊山に向けて矢を放った 矢は鬼の足に命中 鬼は矢をやっとのことで抜き 逃げて行った 再び鬼が現れることはなかったという バスを降りて長い坂を上り詰めると深緑が広がり 大分雄城台高校の正門になる 門を通って駐車場へ行くと 木々に身を 鬼の矢形石
バスを降りたら 第 14 回 p. 3 潜めるように 直径一メートルほどの丸い石が横たわっている その石が 鬼の矢形石 石には直径約三センチ 長さ約十センチの細長い穴が開いている 鬼は抜いた矢を雄城台の方に投げ返しました この穴は その矢が刺さった跡だといわれています と牧野さん 四月に大分雄城台高校に着任した校長の安田緑一さんは こんなに面白い話があったとは知りませんでした 地域に伝わる伝説を大事にしたいですね と 石の周りの整備を計画している 正門の西には雄城神社があり 雄城台に城を築いたという為朝を祭っている 地域の人からは 為朝神社 として親しまれている メモ 最寄りのバス停は大分バスの 雄城台高校 大分バス本社前2番乗り場から萌葱(もえぎ)台行きなどで約30 分 神楽殿には為朝の孫の牛若丸(源義経)と 弁慶が京の五条大橋で戦う有名なシーンを描いている絵が飾られている 矢が刺さった際 鬼は岩をくわえていた その岩が転がり落ちてきたといわれているのが 市内寒田の西寒多神社にある 鬼の歯形石 だ 稙田地区をウオーキングしながら スケールの大きな伝説に思いをはせるのもいい
バスを降りたら 第 14 回 p. 4 大分市金池小学校の正門を入り 点字ブロックに沿って歩くと 北校舎の教室の一つが点字文庫の むくどり文庫 推理小説 恋愛小説 随筆 読書好きな視覚障害者の心をくすぐ点字図書が2400冊余むくどり文庫金池小学校内にある むくどり文庫 気軽に遊びに来て と富森館長 ( 右から 2 人目 ) (二〇〇五年七月三日)る点字図書二千四百冊余りが並んでいる 一九八九年 市視覚障害者協会が市社会福祉協議会から委託され 市内のアパートの一室に開設した もっと立ち寄りやすい場所に と同校の余裕教室を利用することになり 九九年に移転した 目の見える人は読みたい本があればすぐに買えますが 見えない人はそうは
バスを降りたら 第 14 回 p. 5 いきません はり きゅう専門の点字図書はあっても 文庫本などの点字図書は手に入らないんです と 自身も読書が好きな富森寿弘館長 文庫のモットーは 新刊をできるだけ早く届ける だ パソコンを導入して点字図書にする作業が速くなった 職員の麻生雅代さんが常駐しており ボランティアグループ 点訳友の会 をはじめ 約百十人のボランティアらが点訳に励む 文庫で点訳して六年目の渡辺久美子さんは 自分も本が好き メモ 大分バスの 金池降車場 バス停から歩いてすぐ 昨年度の来館者は約1700人 月曜日から金曜日の午前10 時 午後2時と日曜日の午前10 時 午後4時に開館している(土曜日は休館) 視覚障害の人がたくさんの本を読めるように手助けできたら と話す 点字図書の作製 貸し出しや講師派遣のほか 映画観賞会を開いたり 視覚障害者に点字やパソコンを教えている 富森館長は 点字の世界でも文字離れを感じています みんなが気軽に集まれる場所になれば 視覚障害者に文化を伝えていく場に との思いもあります どんどん本を借りてください と話している
バスを降りたら 第 14 回 p. 6 山に祭られた海の神様水分神社水分神社を見守り続けている二目川自治会長の佐藤米蔵さん(二〇〇五年七月十日)深い緑に囲まれた大分市横尾地区の高尾山自然公園 水分(みくまり)神社はそのふもとにある 水田耕作や豊作の神様として 今も昔も地区住民らを見守り 静かにたたずんでいる 綿津見命(ワダツミノミコト) 八大竜王 竜神の神石の三神体を祭っている 綿津見命は海の神様なのに なぜ山に祭られているのか分かっていません 高尾山は地区では最も高い山(一二七 六メートル) 山は水の流れを分けます 水配り から みくまり と呼ばれるようになったのでは と二目川自治会長の佐藤米蔵さん(76 ) 神社の建立は承安二(一一七二)年 その年は五月中旬から雨が降らず 田畑の農作物が心配されていた ある夜 高尾山に不思議な光が輝き 深夜 村人の夢に玉体が現れた 高尾山の中腹にある池(現 竜神の池)に鎮座する竜神が霊魂を込めた白石がある 池底から上げて祭れば この地に五穀豊穣(ほ
バスを降りたら 第 14 回 p. 7 うじょう)をもたらす とお告げを残したという さっそく村人が神石を池のそばに安置して祈願したところ たちまち池の上に雲煙が立ち上り 雨が降ったという 神社からさらに上ったところに竜神の池はある 直径約三 五メートルほどの小さな池にはオオイタサンショウウオがすみ 池の周りの木にはコケが生え どこか神秘的な雰囲気が漂っている どんな日照りでも水が絶えることがなく 一九五八年に昭和井路が通水する前までは ここで雨ごいをしていた と佐藤さん 二目川地区を見守り続ける神々に 自治会も真心を込めてお礼をする 神社の修復や管理のほか春 夏 冬に大祭を催し メモ 最寄りのバス停は大分バス 高尾水分神社前 市中心街から萩原経由パークプレイス行きで約30 分 建立から三十三年ごとに式年祭を開いている 今月十二日は水分神社の夏季祭典 二十五日には水分神社境内にある天満社の祭典があり 地区の男性グループ 川友会 を中心に 虫おくり の行事をする 境内には行事に使う竹がずらりと干されており 伝統を守り続ける地区住民の姿が伝わってくる
地域も協力 はじける笑顔下郡小農園 すくすくランド バスを降りたら 第 14 回 p. 8 ここにも水をやって 大きく育てばいいなあ 大分市下郡北にある下郡小学校の農園 すくすくランド で児童と地域の人たちの笑い声が響く 農園は二〇〇〇年 児童の祖父である田島繁男さん(75 )=南下郡=が小学校から相談を受け 友人の野崎永保さん(68 )=下郡北=に土地の提供を依頼 野崎さんが快諾して畑(約九百九十平方メートル)を貸している これまでサツマイモやタマネギ ジャガイモを育ててきた こと(二〇〇五年七月十七日)児童と地域住民の触れ合いの場 さまざまな作物を育てている
バスを降りたら 第 14 回 p. 9 しは児童の希望で落花生の栽培にも取り組んでいる 三月からプランターで育苗し 五月に農園に植え直した 児童たちは 落花生の葉っぱを初めて見た 農園に来るたびに成長するのが分かって面白い と収穫を心待ちにしている 活動に協力しているのは南下郡地区の老人クラブやグラウンドゴルフクラブ 盆栽会のメンバーら計十二人 声を掛け合い 空いた時間に草取りや水やりなどの世話をしている 自然の大切さを学んでほしい いい表情で作物を育てているんですよ と子どもたちの成長も見守っている 種や苗 肥料は田島さんが用意 サツマイモの苗は臼杵市野 メモ 最寄りのバス停は大分バスの 米良バイパス入り口 市中心部の本社前3番乗り場から米良経由の パークプレイス 行きで約15 分 津町の友人からもらっているという すくすくランド と書いた看板も業者に頼んで作り このほど畑に設置した 田島さんは 子どもたちの笑顔が見たくてやっています メンバーも気軽に集まってくれます と笑う メンバーの自宅には毎年 児童からお礼の手紙や収穫した作物が届く 農園は子どもたちの心も育つ 世代間の触れ合いの場になっている
バスを降りたら 第 14 回 p. 10 オオイタデジタルブックとはオオイタデジタルブックは 大分合同新聞社と学校法人別府大学が 大分の文化振興の一助となることを願って立ち上げたインターネット活用プロジェクト NAN-NAN( なんなん ) の一環です NAN-NAN では 大分の文化と歴史を伝承していくうえで重要な さまざまな文書や資料をデジタル化して公開します そして 読者からの指摘 追加情報を受けながら逐次 改訂して充実発展を図っていきたいと願っています 情報があれば ぜひ NAN-NAN 事務局にお寄せください NAN-NAN では この バスを降りたら 以外にもデジタルブック等をホームページで公開しています インターネットに接続のうえ下のボタンをクリックすると ホームページが立ち上がります まずは クリック!!! 大分合同新聞社 別府大学 デジタル版 バスを降りたら 第 14 回 鬼の矢形石 ほか編集大分合同新聞社初出掲載媒体大分合同新聞社 (2004 年 5 月 23 日 ~ 2006 年 4 月 2 日 ) デジタル版 2009 年 9 月 18 日初版発行編集大分合同新聞社制作別府大学メディア教育 研究センター地域連携部 / 川村研究室発行 NAN-NAN 事務局 ( 870-8605 大分市府内町 3-9-15 大分合同新聞社総合企画部内 ) c 大分合同新聞社 デジタル版 バスを降りたら について バスを降りたら は 大分合同新聞社が 2004 年 5 月 23 日から 2006 年 4 月 2 日まで同紙朝刊に不定期連載した記事 大分市内各地のバス停ごとに その近くに暮らす人々や自然 歴史などを紹介した 今回 デジタルブックとして再構成し 公開する 登場人物の年齢をはじめ文中の記述内容は 新聞連載時のもの NAN-NAN 事務局