きのこの輸出 ( 生鮮及び冷蔵のもの ) 門司税関の 2013 年輸出金額 数量過去最高 ( シェア全国第 1 位 ) はじめに お鍋のおいしい季節となりました 鍋の具材には何を入れますか 鍋の具材にぴったりなものと言えば ぶなしめじ えりんぎ まいたけ きのこ類は健康と美容によい食材として注目されています 身体に良い菌を積極的に食生活に取り入れる活動 菌活 という言葉も最近 話題になっていますが 海外においても菌活ブームが起きているのでしょうか 今回は 2013 年に門司税関において数量 金額ともに過去最高を記録した きのこ の輸出にスポットを当ててみました 平成 26 年 12 月 17 日 門司税関 きのこ : 輸出統計品目番号 0709.51-000 0709.59-000 きのこ ( 生鮮のもの及び冷蔵したものに限る ) 乾燥した きのこ は 含まない 例えば 干しシイタケ 輸出動向 全国における きのこ の輸出推移をみると 2004 年は金額 2 億円 数量 504トンであったものが 2008 年に金額 9 億円 数量 1,448トンとなり金額は過去最高となりました その後 2009 年 ~2010 年まで減少していましたが 2011 年以降毎年増加し 201 3 年には金額 4 億円 数量 1,184トンとなり 2004 年と比較して金額は2.7 倍 数量は2.3 倍となりました 次に門司税関管内における きのこ の輸出推移をみると 2004 年は金額 500 万円 数量 8トンであったものが 2013 年には金額 2 億円と46.9 倍 数量 411トンと54.5 倍に増加し 金額 数量ともに過去最高となっています 1
全国港別金額シェア 2013 年の全国における きのこ の輸出実績は 金額 4 億円 数量 1,184トンとなっていますが 海上輸送がほぼ100% を占め 金額ベースでみると博多港が金額 2 億円で55. 3% 数量 411トンで34.7% を占め 金額 数量ともに全国第 1 位となっています 博多港のシェアが高い理由は 輸出するきのこの大半は九州で生産されたものであり 同港が生産地に近く また東南アジアへの航路も多いことによります 因みに生鮮きのこは 4 程度の状態を保ち続ければ 一般的には 1 ヶ月 ~1.5 ヶ月程度 保存が可能であることから コストの低い海上輸送を利用しているとのことです 全国及び門司税関国別金額シェア 国別の金額シェアをみると 2013 年は全国 門司税関ともにマレーシア 台湾 シンガ ポール 香港の 4 カ国 ( 地域 ) で 70% 以上を占めています 2
おわりに 門司税関管内からは 主にぶなしめじ まいたけといったきのこ類が輸出されていますが 2014 年の1 月から10 月の実績 ( 金額 3 億円 数量 596トン ) で 2013 年の実績を既に上回っており 2014 年も2 年連続で過去最高を更新する見込みとなっています 業界は 1 日本ブランドのきのこは 安全 安心なものとして 海外において信頼が厚いこと 2 海外において きのこは日本と同様に鍋物 炒め物等に使用されており需要は見込めること 3 国内の人口は減少傾向にあるため 国内消費の伸びがあまり期待できないことから 海外市場開拓を積極的に行っていること などの理由により 今後もきのこの輸出は堅調に推移するとみているようです 本稿において 過去最高 とは 検索が可能な 1988 年以降 2004 年 ~2013 年の統計数値は確定値 2014 年 1 月 ~10 月の統計数値は確報値です 統計数値の単位未満は 四捨五入を行うため 総数の内訳の計が一致しない場合があります 3
参考資料 1 きのこの輸出推移 ( 門司税関及び全国 ) 門 司 税 関 全 国 年 数量 (KG) 金額 ( 千円 ) 数量 (KG) 金額 ( 千円 ) 前年比 全国比 前年比 全国比 前年比 前年比 2004 年 ( 平成 16 年 ) 7,531 55.5% 1.5% 4,876 57.5% 3.2% 504,175 144.1% 151,103 117.4% 2005 年 ( 平成 17 年 ) 1,917 25.5% 0.3% 1,544 31.7% 0.7% 588,502 116.7% 234,992 155.5% 2006 年 ( 平成 18 年 ) 6,260 326.6% 0.5% 5,325 344.9% 0.8% 1,270,688 215.9% 703,996 299.6% 2007 年 ( 平成 19 年 ) 52,090 832.1% 3.5% 39,903 749.4% 5.0% 1,507,348 118.6% 804,911 114.3% 2008 年 ( 平成 20 年 ) 30,238 58.0% 2.1% 22,662 56.8% 2.6% 1,448,340 96.1% 878,156 109.1% 2009 年 ( 平成 21 年 ) 31,486 104.1% 6.2% 19,523 86.1% 7.3% 511,655 35.3% 267,782 30.5% 2010 年 ( 平成 22 年 ) 37,894 120.4% 9.7% 24,119 123.5% 16.8% 391,478 76.5% 143,306 53.5% 2011 年 ( 平成 23 年 ) 155,398 410.1% 25.0% 90,940 377.0% 45.8% 622,658 159.1% 198,585 138.6% 2012 年 ( 平成 24 年 ) 360,742 232.1% 38.3% 207,732 228.4% 66.1% 941,670 151.2% 314,237 158.2% 2013 年 ( 平成 25 年 ) 410,549 113.8% 34.7% 228,618 110.1% 55.3% 1,184,479 125.8% 413,711 131.7% 2014 年 ( 平成 26 年 ) (1 月 ~10 月 ) 595,910 187.4% 47.1% 329,469 187.1% 70.2% 1,266,261 130.0% 469,032 142.3% 2014 年 (1 月 ~10 月 ) は前年同期比となります 2 きのこの全国港別輸出シェア (2013 年 ) 港名 数量 (KG) 金額 ( 千円 ) 前年比構成比前年比構成比 全国 1,184,479 125.8% 100.0% 413,711 131.7% 100.0% 博多 410,549 114.7% 34.7% 228,618 110.9% 55.3% 名古屋 329,250 92.9% 27.8% 51,037 122.0% 12.3% 横浜 279,454 328.0% 23.6% 50,154 1199.3% 12.1% 東京 86,606 122.6% 7.3% 43,160 130.6% 10.4% その他 78,620 6.6% 40,742 9.8% 3 きのこの全国国別シェア (2013 年 ) 国 数量 (KG) 金額 ( 千円 ) 前年比構成比前年比構成比 世界 1,184,479 125.8% 100.0% 413,711 131.7% 100.0% 台湾 393,004 111.2% 33.2% 104,363 71.4% 25.2% 香港 355,290 97.6% 30.0% 90,335 151.3% 21.8% シンガポール 111,116 174.5% 9.4% 67,217 186.8% 16.2% マレーシア 100,046 159.6% 8.4% 60,105 152.4% 14.5% アメリカ合衆国 74,122 全増 6.3% 41,296 全増 10.0% タイ 127,625 145.1% 10.8% 36,920 139.7% 8.9% インドネシア 17,686 182.9% 1.5% 10,294 164.3% 2.5% ベトナム 5,590 全増 0.5% 3,181 全増 0.8% 4 きのこの門司税関管内国別シェア (2013 年 ) 国 数量 (KG) 金額 ( 千円 ) 前年比構成比前年比構成比 世界 410,549 113.8% 100.0% 228,618 110.1% 100.0% マレーシア 95,880 158.0% 23.4% 59,046 154.4% 25.8% 台湾 98,000 52.0% 23.9% 50,371 48.4% 22.0% シンガポール 80,992 185.8% 19.7% 48,055 194.1% 21.0% 香港 79,396 293.2% 19.3% 38,106 275.3% 16.7% タイ 33,005 105.5% 8.0% 19,565 95.0% 8.6% インドネシア 17,686 182.9% 4.3% 10,294 164.3% 4.5% ベトナム 5,590 全増 1.4% 3,181 全増 1.4% 4
きのこ について書かれた文献はあまり多くなく 日本でいつ頃から食べられていたのかは 詳 しくわかっていません しかし 奈良時代に大伴家持によって編纂されたとされる 万葉集 に 高松のこの峯も狭に笠立ててみち盛りたる秋の香のよさ ( たかまつのこのみねもせにかさたててみちさかりたるあきのかのよさ ) という歌が詠まれています このことから すでに奈良時代には食べられていたようです また いろいろな時代の文献によると 日本人が昔から食べてきた きのこ はマツタケ シイタケ エ ノキタケ シメジ ヒラタケ マイタケなどが記述されています きのこは 低カロリー 食物繊維がたっぷり ビタミン ミネラルが豊富 GABA( アミノ酸の一種 ) が多く含まれる (GABA: リラックスさせる効果がある ) βグルカンが豊富に含まれる(βグルカン: 免疫力を高める効果がある ) このようなカラダにとてもよい きのこ を 毎日の食事に取り入れてはいがかでしょうか ( 参考 : ホクト株式会社ホームページ ) 5
乾しいたけ きのこ類 乾しいたけは 森林内等においてコナラ クヌギ等を用いた原木栽培で生産されているため 気温 降雨等の気象条件によって生産量が大きく左右されます 平成 25 年の生産量は 3,499 トンで前年比 5.6% 減となっています 主な生産地は 大分県 宮崎県 愛媛県等となっています 生しいたけ 生しいたけは 乾しいたけと同じく森林内で行う原木栽培が主流でしたが 最近は原木に比べて扱いやすい菌床栽培 ( おが粉等をブロック状に固めたものに種菌を接種し きのこを栽培する方法 ) が急速に普及しています 平成 25 年の生産量は 67,945 トンで 対前年比で 2.2% 増となりました また 生産量に対する菌床栽培の比率は 89% と前年に比べ 2 ポイント増加しました 主な生産地は 原木栽培では静岡県 群馬県 鹿児島県等 菌床栽培では徳島県 北海道 岩手県等となっています なめこ なめこは 古くから森林内で原木による栽培が行われてきましたが 現在は空調施設を活用した菌床栽培がほとんどを占めています 平成 25 年の生産量は 22,972 トンで 対前年比 11% 減少しました 主な生産地は 新潟県 長野県 山形県等となっています えのきたけ えのきたけは きのこ類の中でも生産量が最も多く 鍋料理には欠かせない食材となっています 平成 25 年の生産量は 133,509 トンで 対前年比 0.4% 減となっています 主な生産地は 長野県 新潟県 福岡県等となっています ひらたけ ひらたけは しいたけやなめこと同じく古くから栽培されています 平成 25 年の生産量は 2,290 トンで 対前年比で 21.6% 増となっています 主な生産地は 新潟県 長野県 静岡県等となっています 6
ぶなしめじ ぶなしめじは 使いやすさ等から消費者に受け入れられ 近年 生産量が伸びてきました また 大手企業の参入などで競争が激しいきのこです 平成 25 年の生産量は 117,363 トンで 対前年比 4% 減となっています 主な生産地は 長野県 新潟県 福岡県等となっています まいたけ まいたけは 菌床による栽培法が確立されてから 大手企業の参入もあり生産量は伸び 平成 25 年の生産量は 45,383 トンで 対前年比 4.9% 増となりました 主な生産地は 新潟県 静岡県 福岡県等で 特に新潟県は全国シェアの約 60% を占めています エリンギ エリンギは 地中海沿岸を原産とするきのこで くせがない 歯ごたえがよい等の食感から和洋中どの料理にも合い 消費者に受け入れられたことから 大手企業等の参入により生産量が飛躍的に伸びました 平成 25 年の生産量は 40,200 トンで 対前年比 5.3% 増となっています 主な生産地は 長野県 新潟県 広島県等となっています まつたけ まつたけは しいたけ なめこ等の枯死木に発生する腐生性きのこと異なり アカマツ等の根と共生関係を保ちながら生育する菌根性きのこであることから 現在のところ実用的な人工栽培技術がなく 自然発生したものを採取し 市場等へ出荷しています このため 生産量は気象条件に大きく影響を受けます 平成 25 年の生産量は 38 トンで 対前年比 140.8% 増となっています なお 国内消費量の 97% は輸入品が占めており その大半は中国からの輸入です 主な生産地は 長野県 岩手県 岡山県等となっています その他のきのこ ほんしめじはたけしめじその他のきのことしては 最近栽培技術が確立され生産が伸びてきたものや 今後伸びが期待される やまぶしたけ はたけしめじ たもぎたけ や ほんしめじ 等があります ( 写真提供 : 株式会社プランツワールド ) ( 林野庁ホームページによる ) 7