と, 緊急セッションの内容等をホームページに掲載すること, 今後の進め方については, 特別プロジェクトを立ち上げ長期的な対応も含め検討を開始する事などを確認した. 10 月 30 日 ( 土 ) 第一次合同現地調査井上会長, 山岸北陸支部長他による現地調査が行われ. 結果的に第一次合同調査となり,

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~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

(社)日本地すべり学会 部長、支部長各位

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Microsoft Word - 文書 1

平成 29 年 12 月 1 日水管理 国土保全局 全国の中小河川の緊急点検の結果を踏まえ 中小河川緊急治水対策プロジェクト をとりまとめました ~ 全国の中小河川で透過型砂防堰堤の整備 河道の掘削 水位計の設置を進めます ~ 全国の中小河川の緊急点検により抽出した箇所において 林野庁とも連携し 中

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

新潟県連続災害の検証と復興への視点

(1) 当該団体が法人格を有しているか 又は法人格のない任意の団体のうち次の1~2の要件を全て満たすもの 1 代表者の定めがあること 2 団体としての意思決定の方法 事務処理及び会計処理の方法 並びに責任者等を明確にした規約その他の規定が定められていること (2) 関係市町村との協議体制を構築してい

平成 26 年度経済産業省委託事業 高圧ガス取扱施設における リスクアセスメント手法及び保安教育プログラム調査研究 講師データベースの構築 平成 27 年 3 月 高圧ガス保安協会

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各部会の活動状況予定200505

西日本豪雨 市民への緊急メッセージ 記者発表会 防災学術連携体幹事会 趣旨 防災に関わる56の学会ネットワークである防災学術連携体は 平成 30 年 7 月豪雨による西日本を中心とした豪雨災害に関して緊急集会を行い 地球環境の変化は自然災害として身近に迫っており 今後 夏後半から秋にかけては大雨が降

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スライド 1

スライド 1

資料 2 平成 27 年度の政策対話等の実施実績及び予定について ( 未定稿 ) 1. 概要 平成 27 年度は 以下の取組につき 各国の状況に応じ組み合わせて実施 (1) 各国との政策対話の実施 (2) 対話の場を活用した 我が国食関連産業と先方政府 先方民間企業のとの情報共有 マッチングの促進

5. 資料 ( 答申 ) の入手方法 (1) 札幌市中学校英語教育研究会ホームページに掲載 (2) 会員に簡易メールに添付して配布 平成 23 年 11 月 28 日 ( 月 ) 全会員に送信 6. スケジュール 平成 23

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火山防災対策会議の充実と火山活動が活発化した際の協議会の枠組み等の活用について(報告)【参考資料】

共同住宅の空き家について分析-平成25年住宅・土地統計調査(速報集計結果)からの推計-

九州における 道の駅 に関する調査 - 災害時の避難者への対応を中心としてー ( 計画概要 ) 調査の背景等 道の駅 は 平成 16 年 10 月の新潟県中越地震 23 年 3 月の東日本大震災において 被災者の避難場所 被災情報等の発信や被災地救援のための様々な支援の拠点として活用されたことなどか

国土技術政策総合研究所 研究資料

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177 箇所名 那珂市 -1 都道府県茨城県 市区町村那珂市 地区 瓜連, 鹿島 2/6 発生面積 中 地形分類自然堤防 氾濫平野 液状化発生履歴 なし 土地改変履歴 大正 4 年測量の地形図では 那珂川右岸の支流が直線化された以外は ほぼ現在の地形となっている 被害概要 瓜連では気象庁震度 6 強

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PowerPoint プレゼンテーション

平成 25 年度農林水産省委託業務報告書 平成 25 年度 水資源循環の見える化 調査 検討事業 報告書 平成 26 年 3 月 みずほ情報総研株式会社

第 7 章砂防第 1 節砂防の概要 秋田県は 北に白神山地の二ツ森や藤里駒ケ岳 東に奥羽山脈の八幡平や秋田駒ヶ岳 南に鳥海山など 1,000~2,000m 級の山々に三方を囲まれています これらを水源とする米代川 雄物川 子吉川などの上流域は 荒廃地が多く 土砂の発生源となっています また 本県の地

Microsoft PowerPoint - 【150105】02-2検討プロセス及び検討体制

土木工事に係る設計 調査等業務委託における管理技術者及び照査技術者等の資格要件 別紙 2 1. 管理技術者 照査技術者の資格要件 業務の種類管理技術者照査技術者 設計業務 技術士法 ( 昭和 58 年法律第 25 号 ) 第 2 条に規定する技術士 [ 総合技術 監理部門 ( 業務に該当する選択科目

9 箇所名 江戸川区 -1 都道府県東京都 市区町村江戸川区 地区 清新町, 臨海町 2/6 発生面積 中 地形分類 盛土地 液状化発生履歴 近傍では1855 安政江戸地震 1894 東京湾北部地震 1923 大正関東地震の際に履歴あり 土地改変履歴 国道 367 号より北側は昭和 46~5 年 南

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第 7 章砂防 第 1 節 砂防の概要 秋田県は 北に白神山地の二ツ森や藤里駒ヶ岳 東に奥羽山脈の八幡平や秋田駒ヶ岳 南に鳥海山など 1,000~2,000m 級の山々に三方を囲まれています これらを水源とする米代川 雄物川 子吉川などの上流域は 荒廃地が多く 土砂の発生源となっています また 本県

働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

2004年10月24日の中越地震で大規模な移動を引き起こした 小地谷市塩谷の地すべり 明瞭な滑落崖 とそれに続くすべり面 山側に傾いた水田 井上 向山著 建設技術者のための地形図判読演習帳 初 中級編 古今書院

国土技術政策総合研究所 研究資料

イドライン が策定されたところです こうした中 平成 30 年 6 月 29 日に第 196 回通常国会で成立した 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律 ( 以下 働き方改革関連法 という ) に基づく改正後の労働基準法において 建設業については 平成 31 年 4 月の法施行から5

第3 復興整備計画 参考様式集

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~BCP から BCM へ ~ 静岡県事業継続計画モデルプラン ( 第 3 版 ) の概要 静岡県経済産業部

【論文】

事務連絡平成 30 年 10 月 26 日 各都道府県消防防災主管課東京消防庁 各指定都市消防本部 } 殿 消防庁予防課 外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン のリーフレットの配布について 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会が開

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Ⅱ 取組み強化のためのアンケート調査等の実施 (1) 建設技能労働者の賃金水準の実態調査国土交通省から依頼を受けて都道府県建設業協会 ( 被災 3 県及びその周辺の7 県を除く ) に対し調査を四半期ごとに実施 (2) 適切な賃金水準の確保等の取組み状況のアンケート調査国は 平成 25 年度公共工事

浸水深 自宅の状況による避難基準 河川沿いの家屋平屋建て 2 階建て以上 浸水深 3m 以上 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 浸水深 50 cm ~3m 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難上階に垂直避難 浸水深 50 cm未満 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 自宅に待

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平成 28 年熊本地震における対応 平成 28 年熊本地震 ( 前震 :4/14 本震 :4/16) において 電力 ガス等の分野で供給支障等の被害が発生 関係事業者が広域的な資機材 人員の融通を実施するなど 迅速な復旧に努めた結果 当初の想定よりも 早期の復旧が実現 また 復旧見通しを早い段階で提

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業界で躍進する 工事現場 の 要 登録基幹 技能者 登録基幹技能者制度推進協議会 一財 建設業振興基金

あなたの宅地は大丈夫か -地震による谷埋め盛土造成地被害事例と安全性調査方法-

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(社)建設コンサルタンツ協会 北海道支部 行

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これだけは知っておきたい地震保険

学識経験者による評価の反映客観性を確保するために 学識経験者から学術的な観点からの評価をいただき これを反映する 評価は 中立性を確保するために日本学術会議に依頼した 詳細は別紙 -2 のとおり : 現時点の検証の進め方であり 検証作業が進む中で変更することがあり得る - 2 -

5_【資料2】平成30年度津波防災教育実施業務の実施内容について

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土砂災害防止法よくある質問と回答 土砂災害防止法 ( 正式名称 : 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関 する法律 ) について よくいただく質問をまとめたものです Ⅰ. 土砂災害防止法について Q1. 土砂災害は年間どれくらい発生しているのですか? A. 全国では 年間約 1,00

平成 27 年度第 1 回状況説明 ( 要望 ) 活動 平成 27 年 8 月 3 日 ( 月曜日 ) 1 国土交通省 財務省 総務省 内閣府への状況説明 ( 要望 ) 活動について国土交通省へは 岡﨑高知市長と清水大洲市長を先頭に 国土交通省幹部及び関係部局へ状況説明 ( 要望 ) 書の手渡しと要

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事務連絡 平成 29 年 10 月 25 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局建設業課長 平成 28 年熊本地震の被災地域での建設工事等における 予定価格の適切な設定等について 公共工事の予定価格の設定については 市場における労務及び資材等の最新の実勢価格を適切に反映させつつ 実際の施工

PRESS RELEASE 2019/2/8 北海道の防災研究を考える ~ 広域複合災害研究センターへの展開 ~ を開催 ~ これまでの成果報告と新センター設置の展望を紹介 ~ 概要 大規模災害に対する実践的な研究と国土保全を担う人材の育成を目的とした本学大学院農学研究院 国土保全学研究室 ( 寄附

1. 地域ケア会議の定義, 法的な位置づけ狛江市 ( 以下 市 ) では, 多様な生活課題を抱えている高齢者が, 地域で安心して自分らしく生活できる環境づくりを進めるため, 介護支援専門員 ( ケアマネジャー ) 等への個別支援や関係機関 団体等の連携体制の構築を通じて, 介護支援専門員等が包括的か

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4:10 防災科学技術研究所第 2 回災害対策本部会議を開催 各班による状況報告による情報共有等を実施 9:34 防災科学技術研究所第 3 回災害対策本部会議を開催 各班による状況報告による情報共有等を実施 11:50 防災科学技術研究所職員が熊本県庁 ( 熊本県災害対策本部 ) に到着 16:00

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土砂災害防止法ホームページの改造について

厚生労働科学研究費補助金 (地域健康危機管理研究事業)

課題名 中間評価報告書

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Microsoft PowerPoint - 参考資料 各種情報掲載HPの情報共有

の復旧状況に関する長期的な見通しを可能な限り明らかにしながら 復旧の段階に 応じた役割の分析を行う 5) 交通事業者ヒアリング調査沿線地域に関係する交通事業者 ( 鉄道事業者 2 社 バス事業者 2 社 タクシー事業者 2 社その他 ) に聞き取り調査を行い 定性的な利用特性や地域の公共交通の問題点

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Microsoft Word - 参考1 第2回評価会議議事概要+

土砂災害警戒情報って何? 土砂災害警戒情報とは 大雨警報が発表されている状況でさらに土砂災害の危険性が高まったときに, 市町村長が避難勧告等を発令する際の判断や住民の方々が自主避難をする際の参考となるよう, 宮城県と仙台管区気象台が共同で発表する防災情報です 気象庁 HP より :

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ポイントカードについては 日本食生活協会のホームページに掲載してあります のでダウンロードをしてコピーをして活用下さい useikatsu.or.jp/ ( 平成 23 年 8 月 8 日からダウンロード可能 ) 2) 男性会員の加入について平成 9 年度地域保健法が

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資料 4 第 2 回オープンデータ官民ラウンドテーブル インフラ 防災 減災 安全 安心 分野 地盤情報のオープンデータ化の提案 平成 30 年 3 月 一般社団法人全国地質調査業協会連合会

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資料 3-1 男女共同参画の視点からの 防災対応について 東日本大震災への男女共同参画の視点を踏まえた被災者支援 平成 23 年 7 月 20 日 内閣府男女共同参画局

資料 4 平成 29 年 1 月 27 日記者会見 土地区画整理事業に関する土地利活用意向調査の実施結果について 復興推進本部都市整備推進室 1 土地利活用意向調査の目的 市内 4 地区の土地区画整理事業は 平成 29 年度末を目標に全ての宅地引渡しが完了できるよう鋭意工事を進めております 地権者へ

平成 31 年度宮崎河川国道事務所災害時協力会社募集要項 1. 目的宮崎河川国道事務所では 管理する大淀川 小丸川 宮崎海岸 国道 10 号 国道 220 号 東九州自動車道 霧島砂防を主に 災害が発生し または発生のおそれがある場合に迅速な状況把握 ならびに的確な災害対応を図るため 下記の部門にお

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溶結凝灰岩を含む火砕流堆積物からなっている 特にカルデラ内壁の西側では 地震による強い震動により 大規模な斜面崩壊 ( 阿蘇大橋地区 ) や中 ~ 小規模の斜面崩壊 ( 南阿蘇村立野地区 阿蘇市三久保地区など ) が多数発生している これらの崩壊土砂は崩壊地内および下部に堆積しており 一部は地震時に

Transcription:

新潟県中越地震による土砂災害研究小委員会 の立ち上げと途中経過 研究企画委員会 昨年,10 月 23 日に発生した新潟県中越地震では, 地震発生後に緊急の理事打ち合わせを実施し, 日本地すべり学会との合同現地調査 ( 一次, 二次 ) を実施することにしました. その結果については, 今年 2 月 5 日に都内で調査報告会を開催し, 被害の実態を報告しました. さらに,5 月下旬に第三次合同現地調査を実施しました. このような中で,4 月の理事会においてこの緊急活動を正式に研究小委員会として立ち上げることが承認されました. これまでの活動経過と今後の活動計画をここに報告いたします. なお, この研究小委員会の今後の活動に参加を希望される方は, 学会事務局研究企画委員会 ( 委員長 : 大塚 ) にご連絡下さい. ( 資料 -1) 新潟県中越地震による土砂災害研究小委員会 経過報告 研究小委員会委員長 : 千木良雅弘 ( 京都大学防災研究所 ) 1. はしがき周知のように 2004 年中越地震はわが国有数の地すべり地帯に発生し, 甚大な土砂災害を引き起こした. この災害過程を科学的に解明し, 復興の糧とし, また, 今後の災害軽減に生かすことは我々応用地質学を専門とするものに課せられた緊急の使命である. この使命を果たすことを目的として, 日本応用地質学会では地震直後から緊急の活動を開始した. その後平成 17 年 4 月理事会において, この活動を研究企画委員会のもとに研究小委員会として位置づけることが提案された. ここでは, この主旨に基づき, これまでの活動経緯や構成メンバーならびに今後の活動計画をとりまとめて報告するものである. なお, 参考までに日本地すべり学会と日本応用地質学会が合同で現地調査を行った際に, 山古志村役場等関係機関に提示した合同現地調査趣意書 ( 資料 -2) を添付する. 2. 日本応用地質学会新潟県中越地震災害緊急プロジェクトの活動報告平成 16 年 10 月 23 日に発生した新潟県中越地震災害に対する, 日本応用地質学会の17 年 4 月までの対応を要約すると以下のようになる. なお, 緊急に開始した活動であるため, 委員は公募ではなく理事会での議論を基に選定されたが, 合同調査の成果や報告会の内容は, 逐一当学会のホームページ及び日本応用地質学会誌に情報を載せている. 平成 16 年 10 月 28 日 ( 木 ) 研究発表会会場の新潟ユニゾンプラザ会議室で, 緊急の理事打ち合わせを開催し, 学会としての今後の対応方について意見交換を行い, 新潟県へは翌日義捐金をもって挨拶に出かけるこ

と, 緊急セッションの内容等をホームページに掲載すること, 今後の進め方については, 特別プロジェクトを立ち上げ長期的な対応も含め検討を開始する事などを確認した. 10 月 30 日 ( 土 ) 第一次合同現地調査井上会長, 山岸北陸支部長他による現地調査が行われ. 結果的に第一次合同調査となり, その成果は 11 月 4 日に両学会ホームページにて発表された. 11 月 1 日 ( 月 ) 関係者臨時打合せ関係者間の事前調整等を行った結果, 他学会との連携は山岸北陸支部長が地すべり学会会長でもあるため地すべり学会と連携することし, 各種情報のホームページへの掲載, 調査団結成や委員会設置を行うこととなった. また日本応用地質学会は千木良理事を代表とし, 事務局を中筋理事とする中越地震災害対応の緊急プロジェクトを立ち上げた. 11 月 22 日 ( 月 ) 第二次合同調査団のメンバー決定両学会の幹事が調整した結果, 第二次合同調査団のメンバーと行程が決まった. メンバーは, 山岸団長 ( 新潟大 ) のもと, 日本地すべり学会は, 丸井 ( 新潟大 ) 宮城 ( 東北学院大 ) 桧垣 ( 弘前大 ) 八木 ( 山形大 ) 千葉 ( 東北工業大 ) 井口 ( 防災科研 ) 渡部 ( 新潟大 ) とする. 日本応用地質学会は, 千木良 ( 京都大学防災研 ) 中筋 ( 国際航業 ) 須藤 ( 応用地質 ) 福井 ( 基礎地盤コンサル ) 棚瀬 ( 住鉱コンサル ) とする. 12 月 5 日 ( 日 )~7 日 ( 火 ) 第二次合同現地調査 5 日越後湯沢集合湯沢泊 6 日山古志村池谷地区, 梶金地区とその周辺 7 日寺野地区, 東竹沢地区とその周辺以上の調査成果は, 両学会のHPに掲載済みである. 平成 17 年 2 月 5 日 ( 土曜 ) 東京の機械振興会館にて両学会合同調査報告会を開催. 13:00~ 開催の挨拶山岸宏光 ( 新潟大学教授地すべり学会会長 ) 13:10~ 空中写真判読による斜面災害の特徴八木浩司 ( 山形大学教授 ) 13:35~ 斜面災害の地形 地質的特徴千木良雅弘 ( 京都大学防災研究所教授 ) 14:00~ 新潟県中越地震により発生した斜面崩壊の特徴と考察鵜飼恵三 ( 群馬大学教授 ) 14:40~ 高分解能デジタル写真による中越地震の被災状況小野田敏 ( アジア航測 地質部長 ) 15:05~ 中越地震による郊外住宅地の斜面災害釜井俊孝 ( 京都大学防災研究所助教授 ) 15:30~ 中越地震による液状化現象吉田望 ( 応用地質 技師長 ) 15:55~ 中越地震により生じた地すべりダム対策丸井英明 ( 新潟大学教授 ) 16:20~ 総合討論 - 融雪期にそなえて- 山岸宏光 ( 新潟大学教授 ) 16:50~ 閉会の挨拶北川修三 ( 日本応用地質学会副会長 ) なお, 以上の発表内容は予講集に, また概要は応用地質第 46 巻第 1 号に掲載済みである. 5 月 21 日 ( 土 )~23 日 ( 月 ) 第三次合同現地調査 5 月 21 日は, 両学会 10 名が早朝現地集合し, 渡部氏 野崎氏の案内で, 半蔵金地区を踏査. 特に入道沢で大規模かつ新鮮な地すべりに遭遇. 5 月 22 日は, 総勢 14 名で, 午前中に濁沢と妙見, 午後に小栗山を踏査.

5 月 23 日は,9 名で旧山古志村を中心に踏査し, 夕方現地解散. 3. 日本応用地質学の緊急プロジェクト現地調査メンバー 1) 千木良雅弘 : 京都大学防災研究所教授 2) 中筋章人 : 国際航業 技術センター技師長 3) 須藤宏 : 応用地質 東京支社グループリーダー 4) 福井謙三 : 基礎地盤コンサルタンツ 部長 5) 棚瀬充史 : 住鉱コンサルタント 応用地質部部長 6) その他 : 合同現地調査には参加しなかったが, 個別に現地調査を実施した釜井助教授はじめ, 研究発表会で緊急報告を行った北陸支部の各位, その他調査をされた会員なども小委員会活動のメンバーとして位置付けられよう. 4. 今後の活動計画今後の活動計画は, 地すべり学会との調整もあることから, 明確には決めてはいないが, 新たなメンバーに加わっていただくことも含めて, 以下のように考えている. 応用地質 8 月号 2004 年 ( 平成 16 年 ) 新潟県中越地震および豪雨災害特集号 プロジェクトメンバーから3 編投稿予定. 地すべり学会との合同シンポジュウム秋以降に融雪期の土砂移動調査や地下構造 地震環境の調査成果をまって行う予定. 報告書の作成地すべり学会との合同研究成果をレポートとしてとりまとめる. 時期は未定. 新たな小委員会メンバーによる活動計画の検討新たに公募した小委員会メンバーが出揃った段階で今後の研究活動方針を討議し, 各自の分担や工程を決めるたうえで活動する. ( 資料 -2) ( 社 ) 日本地すべり学会と日本応用地質学会の合同現地調査趣意書 平成 16 年 11 月 29 日合同調査団長 ( 社 ) 日本地すべり学会会長新潟大学教授山岸宏光 ( はじめに ) 本来, 地すべり地は人が生活するには大変優れた土地です. 大昔の地すべりにより, 泥岩が適度に撹乱され, 耕作地に適した緩斜面を形成し, 豊富な湧水とあわせ肥沃な土地を形成しています. このため, 平野のすくない我が国の山間地においては, こうした地すべり地形が古くから棚田として活用され, 豊かな生産の場として, また美しい景観として人々の生活を潤しています. とくに新潟県は典型的ともいえる地域であり, 先人の教訓に基づき, 地すべりとは長いつき

あいをしながら, 生活をしてきました. 今回, 直下型の新潟県中越地震災害が, こうした豊かな中山間地を襲ったため未曾有の土砂災害が発生しました. そこで, 地すべり 崖崩れなどを主な対象とする専門家からなる ( 社 ) 日本地すべり学会は, 応用地質学の専門家集団である日本応用地質学会の協力を得て, ランドスライドダムなどの発生した山古志村を始めとする土砂災害地域を現地調査することになりました. 災害発生原因のみならず, 間近に迫った積雪期 融雪期の危険度判定, さらには長期的視野にたった土砂災害対策や復興方策を, 専門的立場から検討させていただき, 被災地が見事に復旧されるように両学会とも微力ながらお手伝いさせていただければと考えています. 1. 両学会の紹介 ( 社 ) 日本地すべり学会は, 地すべりの調査 研究 対策工の立案に携わる全国の大学 国の研究機関 民間などの研究者, 技術者および行政の実務に携わる方々で構成され, 地質学, 地形学, 土質工学, 森林工学などさまざまな専門分野からなり, 現在 2000 名の会員で構成されています. とくに, 最近では, 本学会が国土交通省の各事務所, 岩手県や宮城県から依頼されて実施した地すべり危険カ所調査手法検討業務などの実績があります. 日本応用地質学会は, 人間の自然に対する生産活動を地質学の立場から調査 研究する各界の研究者および技術者で構成されています. 研究分野は土木地質, 農林地質, 水理地質, 災害地質等に加えて, 近年においては環境問題を取り扱う環境地質にも取り組んでいます. 現在正会員および賛助会員併せて 2 千数百名に達する組織になっています. 今回 ( 社 ) 日本地すべり学会と日本応用地質学会の災害地質を主に研究しているグループは合同で現地調査を行うことを計画し, 現地調査を申請する次第です. 2. 災害発生後の対応 ( 特に地すべり分布図の作成 ) 災害発生後, 両学会はただちに調査を行い, 適切なアドバイスを行いたいと考えていましたが, 人命救助および復旧作業を最優先に考え, 地元の方々の迷惑にならない時期まで調査を控えさせていただいておりました. この間に, 空中写真による写真判読を行い,1/2.5 万の地すべり分布図を作成し,( 社 ) 日本地すべり学会のホームページに掲載しました. この分布図は研究者や実務に携わる技術者には大変好評でしたが, 写真判読のみで作成しているため, 地すべりや崖崩れの細かい実態を把握するには不十分です. したがいまして, 降雪時期も近づいており, 調査から得られる貴重な成果を今後予想される降雪時や融雪時の地すべり災害を防止する対策に反映させるため, やむを得ずこの時期に現地調査することになりましたことをご理解いただければと存じます. 3. 今回の調査目的地すべりと崖崩れは総数で1800カ所に達すると言われています. すべてのカ所を2 日間で調査するのは無理であるため, 今回はモデル地区を選び, 以下のような目的で現地調査を実施する予定です. 1 地すべりのタイプ分けをおこない, 災害形態の分類を行う. 2 古い地すべり地形の分布と今回の地震による地すべり分布を対比させその特徴を把握する. 3 地すべり対策を行っている地すべりと, 優先順位の関係でまだ対策が行われていない地すべ

り地における地震時の変動形態の特徴把握. 4 モデル地として選んだ地すべりの危険度判定を試み, 降雪時や融雪時の安定度について検討 する. 4. 今後の方針 ( 社 ) 日本地すべり学会では11 月 24 日に開催された幹事会において, 新潟県中越地震による土砂災害研究委員会 を3 年間設置する方針を決定し, 日本応用地質学会と共同研究することになりました. 両学会はこれからも地域住民の良き相談相手となり, 今後予想される2 次災害に対し, 危険かどうかのアドバイスや長期的な対応方針についても提言していきたいと考えています. なお, 調査結果は両学会のホームページに掲載するとともに, 関係市町村にはレポートを提出する予定です. レポートは今後も定期的に発行する予定です. ( おわりに ) 調査においては地元の皆様には御迷惑を掛けることもあるかと思いますが, ご配慮賜りたい と存じます. これからも両学会との長いおつきあいをお願いいたします.