(1) 農林水産省の事務官である特定個人 Aが職務上作成した行政文書で公にできる行政文書は存在するはずであり, 公開しなければならない ( 諮問第 551 号 ) (2) 本来であれば, 開示できる文書が存在しない, 存否応答しない, 不存在と, 文書の性質によって, 処分内容が異なるはずである 特

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非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

諮問庁 : 防衛大臣諮問日 : 平成 28 年 2 月 25 日 ( 平成 28 年 ( 行情 ) 諮問第 192 号 ) 答申日 : 平成 29 年 1 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 行情 ) 答申第 694 号 ) 事件名 : 洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準 運用上の留意事項等に

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

く, 未支給年金受給権者の個人情報の開示を求めているとして, 法 12 条 自己を本人とする開示を請求することができる に当たらないため, 開示することはできないことを伝え, 取り下げの意思を確認した しかしながら, 異議申立人は, 不開示である旨の正式な回答がほしいとして, 開示請求を続けたもので

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異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

第 3 諮問庁の説明の要旨 1 本件事案の概要本件は, 審査請求人が平成 29 年 8 月 29 日付けで法人文書の開示請求を行ったことに対し, 同年 9 月 29 日付け千大総第 307 号により, 法人文書の一部を不開示とする開示決定等処分 ( 処分 1) を行ったところ, 審査請求が提起された

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

おいて開催されていた法の制度運営に関する検討会の報告 ( 平成 17 年 3 月 29 日 ) では, 法の運用に関する改善措置として, 理由付記に関して 特に, 文書不存在を理由とする不開示決定については, 例えば, 請求対象文書をそもそも作成 取得していない, 作成したが保存期間が経過したので廃

て本学が過去に公表した内容は除く ) 及び 3 当該事故に係る診療科, 機構への報告日その他報告内容に係る情報として事務担当者が加筆したメモ について全部開示を求める 少なくとも患者, 医師の個人情報に係らない部分については開示すべき そもそもこの報告書は同じような事故が起きないようにするために医師

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

無い (3) 特定市が振興協会会長 Aと市教育委員会とで一体に推進した当該文化事業は事業の実施前と実施後のまちの変化における事業の効果について国への報告義務があり, 公正に適法に事業を行う責務の存在は当該文化事業の目標の1は中心市街地の賑わいの促進にあって中心市街地活性化ソフト事業であって公開されて

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

0 月 22 日現在, 通帳紛失の総合口座記号番号 特定番号 A-B~C 担保定額貯金 4 件 ( 特定金額 A): 平成 15 年 1 月 ~ 平成 16 年 3 月 : 特定郵便局 A 預入が証明されている 調査結果の回答書 の原本の写しの請求と, 特定年月日 Aの 改姓届 ( 開示請求者本人

消費者庁にも苦情相談を行い, 今にも消費者庁が動くであろうこと等を話し, 異議申立人に謝罪及びデータ削除を求めているとのことであった 当初監察部は, 異議申立人に謝罪に応じるよう促したが, 異議申立人が使用しているデータは, 登記事項証明書記載のデータと同一であり 法 を犯していないので謝罪には応じ

理の手引 は, 開示の実施においては, 行政文書をありのまま開示する (23 枚目 ) として, 原則として加工はしない ( 同上 ) としている したがって本件対象文書の電磁的記録の開示に当たっては, 当該電磁的記録をそのままのデータ形式で開示すべきである また, 同様な趣旨で本件対象文書の電磁的

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

業務 とあるが, 当該支払の一時差止めに係る決定を除く と, されている すなわち, 決定に係る業務は, 事業管理課長である ウその決定に係る文書及びデータは存在する 事業管理課長の決定により, 年金機構は, 障害者の年金給付を一時差し止めるための電算処理をしている事実がある そして, その事実から

ありどのような証言がなされたのか ( 請求人にとって虚偽と思われる証言が無いか等 ), また産業医が本人の意見を聞かずにどう判断し診療録に記載したのかを知る権利が請求人にはあると考える 3 請求人については, 特定理由等から特定機関等が千葉大学に対して診療録の開示を求める可能性もあり得るが, 千葉大

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っている以上, 被面接者においてそもそも特別な対応策を採る必要はないといえる ウよって, 本件対象文書の不開示部分は法 5 条 6 号に該当しないといえる (2) 意見書 ( 添付資料省略 ) ア裁判官の場合, 新任判事補志望者カードの全部が開示されている ( 資料 1) ことからすれば, 検事に関

情報公開答申第733号本文(諮問第923号)

(Microsoft Word - 06 \223\232\220\\\217\221\201i\214\210\222\350\201j.doc)

として本件対象文書にかがみを加えたものを特定した 本件開示請求に対しては, 法 11 条に規定する開示決定等の期限の特例を適用し, まず, 平成 27 年 4 月 20 日付け防官文第 6779 号により, かがみについて開示決定を行った後, 同年 9 月 3 日付け防官文第 号により

文書の探索が不十分であるか, または, 対象文書を情報公開の適用除外か解釈上の不存在と判断することが違法である 本件不開示情報は, いずれも, 法 5 条各号に該当しないか, 例え該当したとしても, 開示を定めたただし書き全てに該当する 本件不開示情報は, いずれも, 法 7 条に該当する とくに,

基づき, 平成 27 年 9 月 29 日付けで, 特定労働基準監督署( 以下 特定署 という ) へ特定日までに提出された特定事業場の就業規則, 就業規則届及び意見書 36 協定書, 同月 30 日付けで, 特定署に提出された特定事業場の36 協定書 3 年分 に係る開示請求を行った (2) 三重

問にさらされることはむしろあるべき姿であり, それによって一層公益の増進に資するともいえる 特に, 本件のような面接試験の場合には, 試験結果の開示が, 面接試験以外の事由で受験者を選抜したのではないことを示すといった効果もあり, 面接試験が適正に行われることを確保するに大きく資すると言える したが

第一審査会の結論 豊中市教育委員会が行った 内部公益通報に係る調査の実施について ( 報告 ) を不 開示とした決定は妥当ではなく 別紙に記載した部分を除き開示すべきである 第二審査請求の経過 1 開示請求審査請求人は 平成 25 年 7 月 17 日 豊中市情報公開条例 ( 以下 条例 という )

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大情審答申第 号

Microsoft Word - 20年度(行情)答申第585号.doc

( 別紙 ) 答申 : 行文第 24 号 諮問 : 行文第 24-1 号 答申第 1 審査会の結論実施機関が行った本件不開示決定処分については適正であったと認める 第 2 諮問事案の概要 1 行政文書の開示請求異議申立人は 平成 24 年 5 月 7 日 奈良市長 ( 以下 実施機関 という ) に

ターの上司職員に隠匿 ( 隠滅 ) され送付がない為に, 法律に基づいた開示請求により送付をして頂きたいための開示請求であるが, 平成 19 年 10 月 22 日現在, 通帳紛失の郵便貯金 : 総合口座 特定番号 A ( 担保定額定期 : 枝番特定番号 B~Cを含む ):( 口座名義人 ) 開示請

答申第203号(公表用)

う 9 枚の行政文書 及び開示すべきとされた 別紙に掲げる部分 の全て について, 民事裁判管轄権に関する日米合同委員会合意関連文書 ( 以下 文書 1 という ) 及び 合意に係る日米合同委員会議事録 ( 以下 文書 2 という ) を特定し, 前者を開示, 後者を不開示とする各決定 ( 原処分

り公表されないことが日米両政府間で合意されており, これを公にすることは, 米国との信頼関係が損なわれるおそれがあると認められることから, 法 5 条 3 号に該当するため不開示とする決定 ( 原処分 ) を行った (3) これに対し, 異議申立人は, 国土交通大臣に対して, 原処分の取消しを求めて

ついて その取消しを求めるというものである (2) 異議申立ての理由異議申立人が 異議申立書及び意見書で主張している異議申立ての主な理由は 次のように要約される ア異議申立書における主張異議申立人の配偶者が一方的に有り得ない夫婦間暴力の被害申告 ( 以下 虚偽 DV 被害申告 という ) を 警察署

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

諮問庁 : 国土交通大臣諮問日 : 平成 30 年 9 月 26 日 ( 平成 30 年 ( 行情 ) 諮問第 424 号 ) 答申日 : 平成 31 年 3 月 29 日 ( 平成 30 年度 ( 行情 ) 答申第 554 号 ) 事件名 : 不動産鑑定士に対する懲戒処分について に係る決裁文書の

警備の下にあり 仮に本件対象文書が開示されたとしても院内への不法な侵入及び院内での不法な活動は困難であり 犯罪の予防 鎮圧等に支障を及ぼすとは考えられず 合理性を欠いている したがって 本件対象文書は法第 5 条第 4 号には相当せず 規程第 4 条第 3 号に定める事務局不開示情報に該当しないこと

第1 審査会の結論

答 申 第 1 審議会の結論名古屋市長 ( 以下 実施機関 という ) が 本件異議申立ての対象となる保有個人情報を一部開示とした決定は 妥当である 第 2 異議申立てに至る経過 1 平成 23 年 12 月 21 日 異議申立人は 名古屋市個人情報保護条例 ( 平成 17 年名古屋市条例第 26

情報公開に係る事務処理規則 ( 平 18 規則第 16 号平成 18 年 8 月 1 日 ) 改正平 19 規則第 52 号平成 19 年 9 月 21 日平 26 規則第 2 号平成 26 年 5 月 13 日平 26 規則第 22 号平成 27 年 3 月 31 日 第 1 章総則 ( 目的 )

11総法不審第120号

ださい との付記があったことから, 処分庁が行政文書の特定を容易にできるよう, 審査請求人において法人設立時に提出されたものと思われる行政文書の名称を列記して記載したところである 本件請求を受けて, 処分庁は, 補正を要する事項があるとして, 平成 27 年 11 月 17 日付け特定記号第 136

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

処分済み

11総法不審第120号

( イ ) 私は, 平成 27 年 4 月 8 日の年機構発 2 号 保有個人情報の開示をしない旨の決定について ( 通知 ) を見て驚いている 書類があるのに開示しないのは, 非常に遺憾である 特定年金事務所が, 私の 保有個人情報の開示請求 を受付けないことで, 私は会社との民事裁判平成 23

2 審査請求の理由 (1) 審査請求書 ( 諮問第 586 号ないし第 589 号 ) ア審査請求の経緯 ( ア ) 特定年月日 A, 平成 26 年度司法書士試験筆記試験実施 ( イ ) 特定年月日 B, 平成 26 年度司法書士試験多肢択一式における法務省解答発表 ( ウ ) 特定年月日 C,

子ファイルを紙に出力する際に, 当該ファイル形式では保存されている情報が印刷されない場合が起こり得る これと同様に当該ファイル形式を他のファイル形式に変換する場合にも, 変換先のファイル形式に情報が移行しない場合が設定等により技術的に起こり得るのである 本件対象文書が当初のファイル形式を変換して複写

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

< F2D F8C668DDA A91E D86939A905C>

平成 27 年度 特定行政書士法定研修 考査問題 解答と解説 本解答と解説は 正式に公表されたものではなく 作成者が独自に作成したものであり 内容の信頼性については保証しない 以下の事項に全て該当 遵守する場合にのみ 利用を許可する 東京都行政書士会葛飾支部会員であること 営利目的でないこと 内容を

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

2 当事者の主張 (1) 申立人の主張の要旨 申立人は 請求を基礎づける理由として 以下のとおり主張した 1 処分の根拠等申立人は次のとおりお願い書ないし提案書を提出し 又は口頭での告発を行った ア.2018 年 3 月 23 日に被申立人資格審査担当副会長及び資格審査委員長あてに 会長の経歴詐称等

Microsoft Word - 答申第141号.doc

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

これを公にした場合には 政府の情勢認識 関心事項 情報収集能力等が明らかとなり 又は推察されると認められる したがって 当該不開示部分を公にすることにより 我が国の安全が害されるおそれ 又は公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき 相当の理由があるとして法 5

1 審査会の結論平成 30 年 1 月 12 日付けで審査請求人が行政文書公開請求した 深沢地域整備事業に関し J R 東日本の要望 条件 要請 意向等の文書 ( 復命書含む ) 及び前記の記載がある文書 に対して実施機関鎌倉市長が平成 30 年 3 月 12 日付けで行った行政文書一部公開決定処分

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第183号.doc

sannomaruriyou

11総法不審第120号

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社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

< F2D F8C668DDA A91E D86939A905C>

諮問第 483 号 答 申 第 1 審査会の結論 千葉県教育委員会 ( 以下 実施機関 という ) の決定は妥当である 第 2 異議申立人の主張要旨 1 異議申立ての趣旨異議申立ての趣旨は 実施機関が平成 24 年 3 月 28 日付教財第 1947 号で行った行政文書不開示決定 ( 以下 本件決定

横情審答申第 1534 号 平成 3 0 年 11 月 15 日 横浜市長林文子様 横浜市情報公開 個人情報保護審査会 会長 藤原靜雄 横浜市個人情報の保護に関する条例第 53 条第 1 項の規定に基づく諮問 について ( 答申 ) 平成 29 年 5 月 1 日総職健第 86 号による次の諮問につ

< F2D F8C668DDA A91E D86939A905C>

標準例6

厚生局受付番号 : 近畿 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 近畿 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論 請求者の A 社における厚生年金保険被保険者資格の取得年月日を昭和 63 年 2 月 26 日から同 年 2 月 16 日に訂正することが必要である 生年月日 :

新請願・陳情全部

< F2D8EE888F882AB C8CC2906C>

債務のうち所定の範囲内のものを当該事業主に代わって政府が弁済する旨規定する (2) 賃確法 7 条における上記 政令で定める事由 ( 立替払の事由 ) として 賃金の支払の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 51 年政令第 169 号 以下 賃確令 という )2 条 1 項 4 号及び賃金の支払の確

して 当審査会に対し諮問をした 以上の事案の経緯は 諮問書 審査請求書及び懲戒処分書から認められる 2 関係する法令等の定め (1) 司法書士に対する懲戒及びその手続についてア法 47 条は 司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局

第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

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エーシーニールセン・コーポレーション株式会社 個人情報保護方針

Microsoft Word - guideline02

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

処分済み

11総法不審第120号

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

11総法不審第120号

2 異議申立ての理由 文書不存在 はあり得ないと考える 第 4 実施機関の説明要旨 実施機関から提出された理由説明書の要旨は次のとおりである 1 本件開示請求と関わる可能性がある文書がないか調査した 開示請求のあった文書が 沖縄県と福建省との友好省県締結に関わるものであることが推測されたことから 対

厚生局受付番号 : 九州 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 九州 ( 国 ) 第 号 第 1 結論昭和 50 年 4 月 30 日から昭和 51 年 4 月 1 日までの請求期間 昭和 51 年 4 月 1 日から昭和 53 年 4 月 1 日までの請求期間 昭

個人情報保護規程

個人情報の開示等に関する規程

- 2 - ⑷ 保育所又は学童クラブにおいて 保育又は学童クラブの目的を達成するために 児童又はその保護者に対してされる行政指導 ⑸ 市の職員 ( 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 2 条に規定する地方公務員に該当する職員をいう 以下同じ ) 又は市の職員であった者に対して

Transcription:

諮問庁 : 農林水産大臣諮問日 : 平成 27 年 9 月 14 日 ( 平成 27 年 ( 行情 ) 諮問第 551 号及び同第 552 号 ), 同年 11 月 6 日 ( 同第 655 号 ) 及び同年 12 月 15 日 ( 同第 737 号 ) 答申日 : 平成 28 年 9 月 5 日 ( 平成 28 年度 ( 行情 ) 答申第 277 号ないし同第 279 号及び同第 282 号 ) 事件名 : 特定個人が特定期間において作成に関与した文書の不開示決定 ( 存否応答拒否 ) に関する件特定個人の特定期間における農林水産省での勤務部署等を示した文書の不開示決定 ( 存否応答拒否 ) に関する件特定日の特定個人の出勤管理簿の不開示決定 ( 存否応答拒否 ) に関する件特定職員が特定日に異動してきて以来, 現在に至るまでの官職名等が分かる文書の不開示決定 ( 存否応答拒否 ) に関する件 答申書 第 1 審査会の結論別紙に掲げる文書 1ないし文書 4( 以下, 併せて 本件対象文書 という ) のうち, 文書 2につき, その存否を明らかにしないで開示請求を拒否した決定は妥当であるが, 文書 1, 文書 3 及び文書 4につき, その存否を明らかにしないで開示請求を拒否した各決定は, 取り消すべきである 第 2 異議申立人の主張の要旨 1 異議申立ての趣旨行政機関の保有する情報の公開に関する法律 ( 以下 法 という )3 条の規定に基づく開示請求に対し, 平成 27 年 6 月 25 日付け27 経営人第 42 号, 同年 7 月 7 日付け27 経営人第 51 号, 同年 9 月 28 日付け2 7 経営人第 97 号及び同年 11 月 9 日付け27 経営人第 117 号により農林水産大臣 ( 以下 処分庁 又は 諮問庁 という ) が行った各不開示決定 ( 以下, それぞれ 原処分 1, 原処分 2, 原処分 3 及び 原処分 4 といい, 併せて 原処分 という ) について, これを取り消して, 本件対象文書を開示するよう求める 2 異議申立ての理由異議申立人の主張する異議申立ての理由は, 原処分 1ないし原処分 4に対する異議申立書及び意見書の記載によると, おおむね以下のとおりである ( なお, 異議申立書及び意見書に添付された資料の内容は省略する ) - 1 -

(1) 農林水産省の事務官である特定個人 Aが職務上作成した行政文書で公にできる行政文書は存在するはずであり, 公開しなければならない ( 諮問第 551 号 ) (2) 本来であれば, 開示できる文書が存在しない, 存否応答しない, 不存在と, 文書の性質によって, 処分内容が異なるはずである 特定個人 A に関しては全て情報公開できないという, お粗末な本末転倒の考え方であり, 極めて法の趣旨を踏みにじる態度で違法である ( 諮問第 551 号及び同第 737 号 ) (3) 本件では, 特定個人 Cという氏名, 官職や所属部署は特定個人 Aと同じ経営局ということが, 農林水産省の担当課の明記から明らかになっており, その点での開示はしなければならない 不開示決定通知書が経営局から出ているということは, そこに特定個人 Cが在職していると疑われてもやむを得ない 特定個人 Cが農林水産省のどこにも所属していないのであれば, 存否応答拒否ではなく, 不存在で応答するはずだからである ( 諮問第 552 号 ) (4) 平成 27 年 2 月 25 日に路上で, 農林水産省の特定個人 Aと特定個人 Cが, 職務上の話として特定個人 Cが係長である旨の身分を明らかにしており, 仮にそれが本当であれば, 特定個人 Cは少なくとも特定個人 A と同じ課で仕事をしている関係にあることが話からうかがわれる しかも, 不当な権力行使を特定個人 Aは特定個人 Cに教唆しており, この点で, 被害者である異議申立人は, 両人の官職名, 氏名, 所属部署を知る権利がある ( 諮問第 552 号 ) (5) 平成 27 年 2 月 25 日に特定個人 Aは, 明確に農林水産省での立場や職務をほのめかしており, 異議申立人に対して, 特定個人 Cと思われる男性を唆し, 権利侵害を行っている 一連の行為が特定個人 Aのスパイ活動行為であることを立証するためにも, 行政文書の開示は公益上必要である ( 諮問第 655 号 ) (6) 特定個人 Aが農林水産省に勤務し, 本人 ( 特定個人 A) に会って調査したことは, 特定個人 Bの書面によって明らかであるし, 現に, 平成 2 6 年 12 月 22 日,26 日に電話で回答を得ている その際の, 外出命令も休暇届も出ていないという回答から, 出勤簿と出入館記録の齟齬が生じていると思い, 本件開示請求となっている ( 諮問第 655 号 ) (7) 農林水産省の事務官である特定個人 Aの所属や担当部署, 官職名, 役職 ( 係長か課長補佐 ) を根拠付ける行政文書で公にできる行政文書は存在するはずであり, 公開しなければならない 通常は, 公務員はあいさつ代わりに名刺を交換して身分を明らかにすることが慣例であるところ, そのような類似のものは存在するはずである 存在しないのであれば, 存在しないとの理由が付されるべきである ( 諮問第 737 号 ) - 2 -

(8) 特定個人 Aは, 特定行政機関から農林水産省に異動する際に, 異動の挨拶をメールで送ってきており, この事実は公になっているも同然である このことは, 特定個人 A 自身が, 農林水産省に在職している, あるいは, 特定行政機関から農林水産省に異動したことの証拠である また, 平成 26 年 12 月に農林水産省に問い合わせた結果, 複数の担当者が当初, 特定個人 Aの存在を回答しており, その際の実際の担当者は特定個人 B 事務官であり, 特定個人 Aの在職関係を明らかにしている ( 諮問第 737 号 ) (9) 特定個人 B 事務官からは, 平成 26 年 5 月 2 日の特定個人 Aの行動について 特定個人 Aに 異議申立人を職場まで跡をつけたのか と尋ねたところ, 異議申立人の職場がどこか特定して下さい, 特定していただかないと答えられません と回答された と, 説明を受けた 当初, 特定個人 B 事務官の説明では,5 月 2 日は特定個人 Aは出勤になっており, 休暇も出されていないとのことで, これ以上, 突っ込んだ質問を特定個人 Aにはできなかったとのことであるから, 証拠保全の必要性から本件の情報公開請求となっている 農林水産省が公益上の開示の必要性を無視しているのは, 違法である ( 諮問第 655 号 ) (10) 特定個人 Aの異動辞令書, 名刺と言ったのは, あくまで, 例示として述べたまでで, 異議申立人としては, それに限っているわけではない 本件は, 文書課の特定個人 Dから電話で どのような文書のことですか と尋ねられたので, どのようなものでもいい, 特定個人 Aが農林水産省のどのような立場で職務を遂行しているのかがわかる文書であれば何でもいい, わかりやすいのは辞令書とか名刺とかです それ以外では, 例えば特定行政機関では, 顔写真付きの名前一覧表 ( 配置図 ) を来客にわかるように貼ってあった などと説明してある したがって, 処分庁は, 異動辞令書や名刺は, あくまで例示であることを見落としている ( 諮問第 737 号 ) (11) 異議申立人は, 特定個人 Aの現住所等も知らない状態であり, 民事訴訟を起こすにも, 所在の把握は就業場所しかない 裁判所に問い合わせた結果, 特定個人 Aの現住所は不明でも, 本人 ( 特定個人 A) 特定のための点も含めて, 訴状の送達は何とか可能であるとの回答を得ている 就業場所で本人 ( 特定個人 A) を特定できるのであるから, 農林水産省は, 速やかに在職関係を明らかにすべきである ( 諮問第 655 号 ) (12) 本件各開示請求に対して, 法 7 条の公益上の理由による裁量的開示をしなかった原処分は違法である ( 諮問第 551 号, 同第 552 号, 同第 655 号及び同第 737 号 ) (13) 法が定める開示請求制度は, 何人に対しても, 請求の目的のいかんを問わず開示請求を認める制度であり, 開示請求者の個別事情により開 - 3 -

示 不開示の判断が左右されるものではないが, 開示請求者の個別事情は, 開示請求の契機となるものである 人は何の動機も目的もなく請求するものではないからである それが, 自然な考え方である そうであれば, 開示請求者の個別事情を一般化することが必要となる 公務員は国民全体の奉仕者であり, 奉仕を受ける立場の国民は, 一体誰が責任をもって公務上の職務を遂行しているのか知る権利があり, これは誰しも同じである ( 諮問第 551 号, 同第 552 号, 同第 65 5 号及び同第 737 号 ) (14) 農林水産省は, 係長クラス以上の氏名, 官職, 立場等は慣例上公にしているのであるから, 存否応答拒否によってその所在を行方不明にすることは, 法の趣旨に反する行為であり, 権限を逸脱した濫用行為である ( 諮問第 551 号, 同第 552 号, 同第 655 号及び同第 737 号 ) 第 3 諮問庁の説明の要旨 1 原処分において不開示とした理由本件各開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで, 法 5 条 1 号に規定された特定の個人を識別することができる情報を開示するのと同様の結果が生じることになることから, 法 8 条の規定により行政文書の存否を回答できないので不開示とした 2 原処分を維持する理由 (1) 文書 1ないし文書 3は, 特定個人 Aが作成に関与した行政文書, 又は特定個人 Aの出勤管理簿, 時間休等が記載されている行政文書並びに特定個人 Cが農林水産省に在職していたとした場合のその勤務部署と官職名を示した行政文書であることから, これらに記録されている情報は, 個人に関する情報であって, 当該個人を識別することができるものであり, 法 5 条 1 号本文に該当すると認められる ( 諮問第 551 号, 同第 552 号及び同第 655 号 ) (2) 文書 4を特定するために本件開示請求者に確認したところ, 氏名 官職名 職場の所属がわかる行政文書としては, 特定個人 Aの異動辞令書, 名刺ということであった このうち, 名刺については, 職員個人が任意で作成するものであり, 行政機関の職員が職務上作成し, 又は取得した文書 ( 法 2 条 2 項 ) には当たらないことから, 法 3 条に基づく開示請求の対象となる行政文書には該当しない また, 本件開示請求の対象の行政文書となる異動辞令書に記載された氏名 官職名 職場の所属については, 個人に関する情報であって, 特定の個人を識別することができるものであり, 法 5 条 1 号に規定された不開示情報に該当すると認められる ( 諮問第 737 号 ) (3) 一方, 法 5 条 1 号本文に該当する情報であっても, 当該個人が公務員 - 4 -

等である場合において, 当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは, 当該情報のうち, 当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分については, 同号ただし書ハにより不開示情報から除外されている この点については, 一般に, 公務員が作成に関与した行政文書, 又は公務員の出勤簿及び休暇簿に記載された所属, 印影及び勤務状況等については, 職務の遂行に係る情報に該当すると考えられることから, 本件対象文書は, 開示すべき情報である当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分と, 不開示情報である特定の個人の氏名等に区分されることとなる (4) 上記 (3) の当該情報は, 法令の規定により又は慣行として公にされ, 又は公にすることが予定されている情報とは認められないことから, 法 5 条 1 号ただし書イに該当せず, また, 人の生命, 健康, 生活又は財産を保護するため, 公にすることが必要な情報とは認められないことから, 同号ただし書ロにも該当しない (5) 本件各開示請求については, 本件対象文書の開示を求めるものであることから, 仮に本件各開示請求に応じ, 開示すべき情報である当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分を開示し, 又は存在しない旨を答えること ( 原処分 1 及び原処分 3), 並びに本件対象文書が存在しているか否かを答えること ( 原処分 2 及び原処分 4) で, 当該特定の個人の氏名及び農林水産省の職員としての在職の有無等の不開示情報を開示することと同様の結果となる (6) このことから, 当該行政文書の存否を明らかにしないで不開示とした原処分 1ないし原処分 4は妥当であり, 異議申立てに対しては原処分を維持することが適当である 第 4 調査審議の経過当審査会は, 本件各諮問事件について, 以下のとおり, 併合の上, 調査審議を行った 1 平成 27 年 9 月 14 日諮問の受理 ( 平成 27 年 ( 行情 ) 諮問第 5 51 号及び同第 552 号 ) 2 同日諮問庁から説明理由書を収受 ( 同上 ) 3 同月 24 日異議申立人から意見書 1 及び資料 ( 諮問第 551 号 ) 並びに意見書 2 及び資料を収受 ( 同第 552 号 ) 4 同年 10 月 5 日異議申立人から意見書 3 及び資料を収受 ( 諮問第 551 号 ) 5 同年 11 月 6 日諮問の受理 ( 平成 27 年 ( 行情 ) 諮問第 6 55 号 ) - 5 -

6 同日諮問庁から説明理由書を収受 ( 同上 ) 7 同月 18 日異議申立人から意見書 4を収受 ( 同上 ) 8 同年 12 月 4 日異議申立人から意見書 5 及び資料を収受 ( 同上 ) 9 同月 11 日異議申立人から意見書 6を収受 ( 諮問第 5 52 号 ) 10 同月 15 日諮問の受理 ( 平成 27 年 ( 行情 ) 諮問第 7 37 号 ) 11 同日諮問庁から説明理由書を収受 ( 同上 ) 12 平成 28 年 1 月 14 日異議申立人から意見書 7 及び資料並びに意見書 8を収受 ( 同上 ) 13 同月 15 日異議申立人から意見書 9を収受 ( 同上 ) 14 同月 18 日異議申立人から意見書 10を収受 ( 諮問第 551 号, 同第 552 号, 同第 655 号及び同第 737 号 ) 15 同年 2 月 5 日異議申立人から意見書 11を収受 ( 同上 ) 16 同年 8 月 8 日審議 17 同年 9 月 1 日平成 27 年 ( 行情 ) 諮問第 551 号, 同第 552 号, 同第 655 号及び同第 737 号の併合並びに審議第 5 審査会の判断の理由 1 本件対象文書について本件各開示請求は, 本件対象文書の開示を求めるものであり, 処分庁は, 本件対象文書の存否を答えるだけで, 法 5 条 1 号の不開示情報を開示することとなるとして, 法 8 条の規定に基づき, その存否を明らかにせずに開示請求を拒否する原処分を行った これに対し, 異議申立人は, 原処分の取消しを求め, 諮問庁は原処分を妥当としていることから, 以下, 存否応答拒否の妥当性について検討する 2 存否応答拒否の妥当性について (1) 原処分 1,3 及び4についてア異議申立人は, 文書 1, 文書 3 及び文書 4の開示を求めているところ, これらは, その存否を答えることにより, 平成 24 年 4 月から平成 27 年 5 月までの間 ( 文書 1), 平成 25 年 1 月 30 日から平成 2 6 年 11 月 12 日までの間 ( 文書 3) 又は平成 24 年 4 月から平成 2 7 年 10 月 12 日 ( 文書 4に係る開示請求の日 ) までの間 ( 文書 4) における, 特定個人 Aの農林水産省での在職の有無 ( 以下, 併せて 本件存否情報 1 という ) を明らかにすることとなるものと認められる - 6 -

イ本件存否情報 1は, 上記各期間における特定個人 Aの農林水産省での在職の有無に関する情報であり, 法 5 条 1 号本文前段の個人に関する情報であって, 特定の個人を識別できるものに該当すると認められる ウそこで, 本件存否情報 1の法 5 条 1 号ただし書該当性について, 以下検討する 特定個人 Aの氏名等が独立行政法人国立印刷局編 職員録 ( 以下 職員録 という ) に掲載されているか否かにつき, 当審査会事務局職員をして諮問庁に確認させたところ, 少なくとも平成 27 年版職員録に特定個人 Aの氏名及び職名が掲載されていることが確認されたとのことであった なお, 職員録には, 当該職員録の名称に記載された年の前年の7 月 1 日, つまり平成 27 年版職員録では平成 26 年 7 月 1 日を基準として, 職員の氏名等が掲載されているとのことである そうすると, 本件存否情報 1は, 上記職員録に掲載されている限りにおいて, 慣行により公にされており, 法 5 条 1 号ただし書イに該当するものと認められる エしたがって, 文書 1, 文書 3 及び文書 4については, 法 5 条 1 号ただし書イに該当するものと認められるので, その存否を明らかにして改めて開示決定等をすべきである (2) 原処分 2についてア異議申立人は, 文書 2の開示を求めているところ, これは, その存否を答えることにより, 平成 25 年から平成 27 年までの間における, 特定個人 Cの農林水産省での在職の有無 ( 以下 本件存否情報 2 という ) を明らかにすることとなるものと認められる イそして, 本件存否情報 2は, 上記アの期間における特定個人 Cの農林水産省での在職の有無に関する情報であり, 法 5 条 1 号本文前段の個人に関する情報であって, 特定の個人を識別できるものに該当すると認められる ウそこで, 法 5 条 1 号ただし書該当性について, 以下検討する 当審査会事務局職員をして諮問庁に確認させたところ, 平成 25 年版ないし平成 28 年版の職員録には, 特定個人 Cの氏名及び職名は掲載されておらず, その他, 特定個人 Cが上記アの期間において農林水産省の職員であった旨を公表したという事実も存しない上, 原処分 2 の当時, その旨を公表する予定もなかったとのことであり, その説明に特段不自然, 不合理な点はない そうすると, 本件存否情報 2は, 法令の規定により又は慣行として公にされ, 又は公にすることが予定されている情報 には当たらないので, 法 5 条 1 号ただし書イに該当しない - 7 -

また, 法 5 条 1 号ただし書ロ及びハに該当すると認めるべき事情も存しない エしたがって, 文書 2の存否を答えることは, 法 5 条 1 号の不開示情報を開示することとなるため, 法 8 条の規定により, その存否を明らかにしないで本件開示請求を拒否したことは, 妥当である 3 異議申立人のその他の主張について (1) 異議申立人は, 特定個人 Aの犯罪を暴くために文書 2の開示を求める旨主張しているが, 法は, 何人も等しく目的を問わず行政文書の開示請求ができることとしており, 開示請求の理由や利用目的等の個別事情は, 文書 2についての存否応答拒否の妥当性の判断に影響を及ぼすものではない (2) 異議申立人は, 法 7 条に基づく裁量的開示を求めているが, 上記 2 (2) のとおり, 文書 2の存否に係る情報 ( 本件存否情報 2) は, 法 5 条 1 号の不開示情報に該当するものであり, これを開示することに, これを開示しないことにより保護される利益を上回る公益上の必要性があるとまでは認められないから, 法 7 条による裁量的開示を行わなかった処分庁の判断に裁量権の逸脱又は濫用があるとは認められない (3) 異議申立人のその他の主張は, 当審査会の上記判断を左右するものではない 4 本件各不開示決定の妥当性について以上のことから, 本件対象文書につき, その存否を答えるだけで開示することとなる情報は法 5 条 1 号に該当するとして, その存否を明らかにしないで開示請求を拒否した各決定については, 本件対象文書のうち, 文書 2については, 本件存否情報 2は同号に該当すると認められるので, 妥当であるが, 文書 1, 文書 3 及び文書 4については, 本件存否情報 1は同号に該当せず, その存否を明らかにして改めて開示決定等をすべきであることから, 取り消すべきであると判断した ( 第 4 部会 ) 委員鈴木健太, 委員常岡孝好, 委員中曽根玲子 - 8 -

別紙 ( 本件対象文書 ) 諮問第 551 号文書 1 特定個人 Aが農林水産省において一般的抽象的職務権限がどこにあるかを調査するために2012 年 4 月 ~2015 年 5 月現在において, 特定個人 Aが作成に関与した行政文書すべて 諮問第 552 号文書 2 特定個人 Cが,2013 年 ~2015 年中において, 貴省の調査員あるいは事務員, 事務官, 消費者の部屋の相談員として勤務していたとすれば, その官職名等, 勤務部署と官職名を示した行政文書 諮問第 655 号文書 3 2013/1/30,2014/5/2,2014/5/14,2 1,28,2014/6/4,2014/11/12の特定個人 A の出勤管理簿, 時間休等が記されているもの 諮問第 737 号文書 4 特定個人 Aが2012 年 4 月に特定行政機関から異動してきて以来, 現在に至るまでの氏名 官職名 職場の所属がわかる文書 職務上, 問い合わせがあれば, 公にすることが慣例である範囲に限る - 9 -