の無償資金協力で整備されたニバンガⅢ 号 (2015 年 ) 及びマヌフォラウ号 (2002 年 ) が担っているが これら定期船 2 隻は 1 回の航海で複数の離島に寄港するため 限られた時間内での離島訪問等には対応できないため マナウイ号が補完的な役割を担っている しかしながら マナウイ号は現在

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国 アメリカ ロシアに次いで世界第 4 位の電力消費国となっている (2014 年 ) 国内の電力供給に関しては 1,114,408GWh の需要に対して供給量は 1,090,851GWh と 2.1% の不足 供給能力もピーク時 153,366MW の需要に対して 148,463MW と 3.2%

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重工業から農林漁業まで 幅広い産業を支えた動力機関発達の歩みを物語る近代化産業遺産群 *

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手法 という ) を検討するものとする この場合において 唯一の手法を選択することが困難であるときは 複数の手法を選択できるものとする なお 本規程の対象とする PPP/PFI 手法は次に掲げるものとする イ民間事業者が公共施設等の運営等を担う手法ロ民間事業者が公共施設等の設計 建設又は製造及び運営

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間を検討する 締約国が提出した 貢献 は 公的な登録簿に記録される 締約国は 貢献 ( による排出 吸収量 ) を計算する また 計算においては 環境の保全 透明性 正確性 完全性 比較可能性及び整合性を促進し 並びに二重計上の回避を確保する 締約国は 各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有して

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5 この施策に係る事務事業 ( 重要度 貢献度順 ) 番号 事務事業名 魅力個店づくり整備促進事業 歳出決算額 ( 千円 ) 施策への関連性 目的に対する指標 年度目標値 年度実績値 推移 区内の既存個店や出店希望 22 者が行う 魅力的な店舗づ 809 くりを支援することで 魅 力個店の集積を図る

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事業事前評価表

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事業事前評価表

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

政策目標 6-2: 開発途上国における安定的な経済社会の発展に資するための資金協力 知的支援を含む多様な協力の推進 1. 政策目標の内容自由かつ公正な国際経済社会の実現やその安定的発展に向け 開発途上国における貧困の問題や気候変動等の地球環境問題等の課題への対応を含む国際的な協力に積極的に取り組むこ

市税に係る減免措置調査票 所属名 此花区役所 1 減免対象 市税の税目 ( 該当に 印 ) 減免内容 ( 該当条例等 ) 個人市民税 法人市民税 固定資産税 軽自動車税 事業所税 児童遊園の用に供する固定資産 条例第 4 条の 3 第 4 号規則 (1) 政策目的地域コミュニティの中核的組織として

内航海運の現状 内航海運は 国内貨物輸送全体の 44% 産業基礎物資輸送の約 8 割を担う我が国の国民生活や経済活動を支える基幹的輸送インフラである 一方 産業基礎物資輸送が輸送需要の大宗を占めることから 国内需要の縮小 国際競争の進展等により 内航貨物全体の輸送量はピーク時に比べ 27%( 輸送ト

⑴ 政策目的本件は, 我が国において開発資金のための国際連帯税 ( 国際貢献税 ) を導入し, 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ 等, 国際的な開発目標の達成に対応 貢献するために, 世界の開発需要に対応し得る幅広い開発資金を調達するもの これは, 外務省政策評価, 基本目標 Ⅵ 経済協

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平成 25 年 5 月 9 日海洋技術フォーラム 我が国の海洋をめぐる状況 国土面積約 38 万 km2 ( 世界第 61 位 ) 領海 排他的経済水域の面積約 447 万 km2国土面積の約 12 倍 離島の数 6,847 島 ( 北海道 本州 四国 九州 沖縄本島の主要 5 島以外の島によって広

の理解と参加を促進し, 開発協力を支える社会的基盤をより一層広げ, 強化するために, NGO/ 市民社会 (CSO) との連携が推進されるべきことが謳われたところである 以上の経緯と背景の下に NGO と ODA の連携に関する中期計画 ~ 協働のための 5 年間の方向性 ~ が策定されることとなっ


小笠原・伊豆諸島周辺海域における外国漁船への対応について

支援 及び 不均衡の是正と安全な社会造りへの支援 の中で重点分野として掲げており また JICA も国別分析ペーパーの協力プログラムにおいて 首都圏の都市基盤整備プログラム や 地方開発 拠点都市圏整備プログラム の中で開発課題として位置づけている 上水道セクターにおいては 日本は下記 3.(9)

Transcription:

無償資金協力案件概要書 2017 年 8 月 29 日 1. 基本情報 (1) 国名 : ツバル (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 : フナフチ島 (3) 案件名 : 離島開発用多目的船建造計画 (The Project for Construction of the Multi-purpose Vessel for Outer Island Development) (4) 事業の要約 : 本事業は 離島開発用の多目的船の建造及び関連機材の整備を行うことにより 漁業分野の資源調査及び技術改善並びに補完的な海運機能の維持 改善を図り もって同国の海上輸送分野における脆弱性の克服に寄与するもの 2. 事業の背景と必要性 (1) 本事業を実施する外交的意義我が国は 1978 年にツバルに対する経済協力を開始して以来 これまで 無償資金協力や技術協力を通じ 主要ドナー国として同国の開発に大きく寄与している 同国は こうした我が国の協力を評価し 国際場裡における我が国の立場や国際機関の選挙における我が国の立候補者を支持するなど 我が国と良好な二国間関係を築いている また 同国との間で民間漁業協定を有しており 漁業分野でのつながりも深く 本支援の実施により 二国間関係の強化や国際社会における日本のプレゼンス強化に寄与する また 本事業は 第 7 回太平洋 島サミットで採択された 福島 いわき宣言 の重点支援分野である 海洋 漁業 及び 持続可能な開発 に該当する支援であり 島サミットにおける我が国のコミットメント達成に寄与するものである (2) 当該国における水産 海運セクターの開発の現状 課題及び本事業の位置付けツバルは 陸地総面積が約 26 平方 km であり 九つの環礁島が東西に約 150km 南北に約 700km の楕円の中に散在している 首都フナフチと最北部の島ナヌメアとの距離は約 450km で 国内に航空路線はなく フナフチから各島への人 物資の輸送手段は 海上輸送のみである 現在当国では 首都機能が集中するフナフチへの人口集中が進み 全人口 (9,916 人 (2015 年 )) の約 6 割が居住している フナフチへの過度な人口集中を緩和するため 当国政府は 各島における地域開発を進め 生活水準の向上及びフナフチとの経済格差是正を図っている 当国の主要産業である水産業は 食糧調達及び生計手段として国民の約 67%( 離島では約 76%) が何らかの形で携わっており 当国政府は各島に地域漁業センターを整備し 漁業の技術指導 運営指導を行ってきた こうした活動を支えるため 我が国は 1988 年に水産無償資金協力で漁業支援船 マナウイ号 を整備し 同船は漁業指導 漁業資源調査 漁獲物輸送 人工魚礁のメンテナンス等の水産関連業務に加え 水産局その他省庁の資機材運搬 人員輸送に活用されてきた また近年では 他セクターにおける離島開発業務に係る活用や離島住民の傷病等に係る搬送等 重要なライフラインとしても活用されている 現在 当国の離島間の貨客輸送は 主として我が国

の無償資金協力で整備されたニバンガⅢ 号 (2015 年 ) 及びマヌフォラウ号 (2002 年 ) が担っているが これら定期船 2 隻は 1 回の航海で複数の離島に寄港するため 限られた時間内での離島訪問等には対応できないため マナウイ号が補完的な役割を担っている しかしながら マナウイ号は現在船齢が 29 年に達し 船底にはひびが入る等 老朽化が激しく安全性に大きな問題がある 従って マナウイ号の後継船として 水産セクター業務を行うとともに 離島開発業務や離島における公共サービスとしての貨客輸送を行う船舶の更新が必要となっている こうした状況の下 当国政府は 2016 年に 持続的開発戦略 (2016-2020) を発表し 今後の開発についての方向性を示すとともに 12 の重要開発課題のうち 天然資源 を掲げ その中で水産業の強化の必要性を唱えている また インフラ整備 においては 安全な国内輸送網の整備 維持が同国の持続的開発に不可欠としており 離島開発用多目的船建造計画 ( 以下 本事業 という ) を ツバルインフラ戦略投資計画 (2016-2025) における優先事業の一つとして位置付けている (3) 水産 海運セクターに対する我が国の協力方針等と本事業の位置付け第 7 回太平洋 島サミット (2015 年 5 月 ) で採択された 福島 いわき宣言 の重点支援分野 海洋 漁業 持続可能な開発 に該当する また我が国は 対ツバル国別援助方針 (2012 年 12 月 ) において 脆弱性の克服 を重点分野として掲げ 開発課題 経済活動の拡大 において 経済インフラ整備 維持管理能力強化プログラム を展開することとしている 上記のとおり 我が国はこれまで当国の離島間貨客輸送船 ( マヌフォラウ号 (2002 年 ) 及びニバンガⅢ 号 (2015 年 )) 漁業支援船( マナウイ号 ( 期分け 1987 年 ~1991 年 関連施設の整備を含む )) 等の船舶を無償資金協力により整備してきているほか 当国唯一の国際港であるフナフチ港 (2009 年 ) の整備等を支援しており 漁業振興及び海運インフラにかかる主要ドナー国である (4) 他の援助機関の対応ニュージーランド政府が実施した Ship to Shore Transport Project ( 2008 年 ~ 2013 年 ) により 離島の船着き場と水路の整備 標識 信号等の航行安全設備が整備されているほか 豪州政府が 1994 年に警備艇を 1 隻供与している また UNDP が National Adaptation Programme of ActionⅡ (2013 年 ~2017 年 ) のもと タラモアナ号を貸与し 気候変動にかかる調査業務及び離島への資材運搬を行っている しかしながら 運航経費 維持管理費用が高額であり 事業終了後 継続利用しない見込みであるため これまでマナウイ号とタラモアナ号が担ってきた離島間の貨客輸送は 本事業で整備する船舶のみが担うこととなる さらに ADB は Outer Islands Maritime infrastructure Project ( 2017 年 ~2020 年 ) にて離島 3 島の桟橋 波止場等の整備を実施予定 なお 大洋州のインフラ分野のドナー協調枠組みである Pacific Region Infrastructure Facility では インフラ維持管理の課題に対応するため 当国政府に財政支援を行いつつ 財務管理能力向上を図っている (5) 本事業を実施する開発政策上の意義本事業は 我が国の協力方針 分析並びに当国政府の政策に合致し 生計手段と

食料確保を漁業に 国内の人と物の輸送を海運に大きく依存するツバルの漁業振興及びライフラインの維持 改善に資するものであることから 国内及び国家間の不平等の是正を目指す SDGs ゴール 10 海洋 海洋資源を保全し 持続可能な形での利用を目指す SDGs ゴール 14 に貢献すると考えられる なお ツバルの所得水準は相対的に高いことから 所得水準が相対的に高い国に対する無償資金協力の効果的な活用について に基づき 無償資金協力の供与の適否について精査した結果 我が国は同国と漁業分野のつながりが深く 本事業は二国間関係の強化や国際社会における日本のプレゼンス強化に寄与する ( 外交的観点 ) ものであり また 同国は小島嶼国であり 国内市場が小さく 国際市場から地理的に遠いなど 経済的に脆弱である ( 経済的脆弱性 ) ことに加え 気候変動や自然災害に対する脆弱性を抱えている ( 環境的脆弱性 ) と言える 以上から 無償資金協力による本事業実施は適当であると判断する 3. 事業概要 (1) 事業概要 1 事業の目的 : 本事業は 離島開発用の多目的船の建造及び関連機材の整備を行うことにより 漁業分野の資源調査及び技術改善並びに補完的な海運機能の維持 改善を図り もって同国の海上輸送分野における脆弱性の克服に寄与するもの 2 事業内容ア ) 施設 機材等の内容 機材 多目的船 1 隻 ( 総トン数 60t 全長 19m 幅 5.2m 喫水約 2.1m 繊維強化プラスチック ( 以下 FRP という ) 製 定員 18 名 ( 乗客 12 名 船員 6 名 )) の建造 関連機材 ( ウインチを含む ) 予防的保守管理に必要な予備部品及び船舶用安全機器の調達イ ) コンサルティングサービス / ソフトコンポーネントの内容詳細設計 入札補助 調達監理等 ( 協力準備調査にて詳細確認する ) ウ ) 調達 施工方法主要機材は日本製品の調達を想定 3 他の JICA 事業との関係 : 特になし (2) 事業実施体制 1 事業実施機関 / 実施体制 : 天然資源環境省水産局 (Ministry of Natural Resources and Environment, Department of Fisheries) 2 他機関との連携 役割分担 : 特になし 3 運営 / 維持管理体制 : 前身船であるマナウイ号と同様に水産局が担う また本事業ではマナウイ号と同様に FRP 製の船の整備を想定しており 乗組員及び維持管理スタッフは十分な経験と技術がある また マナウイ号の維持管理費は継続的に確保されており 運営経費の一部を他省庁等利用時の実費徴収により賄う体制である 詳細は協力準備調査にて確認する (3) 環境社会配慮 1 カテゴリ分類 A B C FI

2 カテゴリ分類の根拠 : 本事業は 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月公布 ) 上 環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため (4) 横断的事項 : 特になし (5) ジェンダー分類 : ジェンダー主流化ニーズ調査 分析案件 (6) その他特記事項 : 特になし 4. 過去の類似案件の教訓と本事業への適用トンガ王国向け 離島間連絡船建造計画 の事後評価等では 予備部品を一定の頻度で定期的に交換して船舶の長寿命化を目指す予防的保守管理方針 (Preventive Maintenance Policy 以下 PMP という ) を採用することにより 故障を未然に防ぎ 船舶の状態を常に最適に保持していることが 安定的かつ安全な運航の実現に繋がっているとされている 本事業においても PMP の考え方を取り入れることにより 新船の長寿命化を図る 以上 [ 別添資料 ] 地図

離島開発用多目的船建造計画地図 別添 ニウタオ ナヌメア ナヌマンガ バイツプ ヌイ ヌクフェタウ 大洋州地域 フナフチ パプアニューギニア ツバル ヌクラエラエ 二ウラキタ