11総法不審第120号

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処分済み

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処分済み

保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第

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ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

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取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

目 次 1 固定資産税と固定資産税評価 1 1 固定資産税とは 1 2 固定資産税の課税のしくみ 2 (1) 固定資産税を納める人 ( 納税義務者 ) 2 (2) 税額の計算 2 2 固定資産税評価のあらまし 1 固定資産税評価の意義 2 固定資産税評価によって求める価格とは 3 固定資産の価格を求

特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

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遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は

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処分済み

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1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

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固定資産評価審査申出とは

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

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仕事の依頼に諾否の自由はなく 業務の内容及び遂行方法について本件会社の指揮命令を受け アシスタント雇用等に関する規程等により 業務を他人に代替させえない 所得税の源泉徴収 雇用保険 厚生年金 健康保険の保険料徴収がある 営業所 机 パソコン 文具等は本件会社の提供に係るものであり 経費は立替精算であ

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高島市職員措置請求に係る監査の結果について 第 1 請求の受付 1 請求書の提出平成 29 年 9 月 28 日 2 請求人 3 請求の要旨 ( 高島市職員措置請求書 の原文のまま記載) 1 請求の要旨高島市長による平成 29 年度の固定資産税の賦課において 別紙の固定資産について 家屋の未評価によ

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平成 30 年 9 月 25 日 諮問 平成 30 年 11 月 13 日審議 ( 第 27 回第 4 部会 ) 平成 30 年 12 月 11 日審議 ( 第 28 回第 4 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1

平成  年(オ)第  号

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( 賦課期日 ) 第 4 条都市計画税の賦課期日は 当該年度の初日の属する年の1 月 1 日とする ( 納期 ) 第 5 条都市計画税の納期は 次のとおりとする 第 1 期 4 月 1 日から同月 30 日まで第 2 期 7 月 1 日から同月 31 日まで第 3 期 12 月 1 日から同月 25

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1. 固定資産税 都市計画税について 固定資産税は 毎年 1 月 1 日 ( 賦課期日 といいます ) 現在に土地 家屋 償却資産 ( こ れらを総称して 固定資産 といいます ) を所有している人が その固定資産の所在する 市町村に納める税金です 都市計画税は 下水道 街路 公園などの都市計画事業

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

1 天神 5 丁目本件土地及び状況類似地域 天神 5 丁目 本件土地 1 状況類似地域 標準宅地

総務省が所管する地方税法ではなく 財務省が所管する国有財産法の適用を受けるとのことであり 実施機関の本件決定は失当である (2) 本件は 国税庁からの教示による公文書公開請求であり これを実施機関が非公開決定するとは言語道断である (3) 尖閣諸島の国有化は 日本と中国の外交問題に発展していることも

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<4D F736F F D2095F18D9091E682518D E7390EC8E E738C7689E690C58FF097E182CC88EA959482F089FC90B382B782E98FF097E EA8C88816A B8C91CE8FC6955C E646F6378>

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

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である なお 国の通達でも 生命保険外交員は 代理業でない限り個人事業税の課税は不可とされている 仕事の依頼に諾否の自由はなく 業務の内容及び遂行方法について本件会社の指揮命令を受け アシスタント雇用等に関する規定等により 業務を他人に代替させえない 所得税の源泉徴収 雇用保険 厚生年金 健康保険の

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

所得税確定申告セミナー

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録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

とは適正な時価をいう旨, 6 号で 基準年度 とは昭和 3 1 年度及び昭和 3 3 年度並びに昭和 3 3 年度から起算して 3 年度又は 3 の倍数の年度を経過したごとの年度をいう旨, 7 号で 第二年度 とは基準年度の翌年度をいう旨, 8 号で 第三年度 とは第二年度の翌年度 ( 中略 ) を

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

承認第03号-都市計画税条例の一部改正(専決処分)【確定】

審 査 請 求 事 務 取 扱 要 領

Microsoft Word - 暱京髟裆 平拒16年(衄ㇳ)32.docx

Microsoft Word - 答申書(一)5号本体(公表用・伏せ字有り)

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

<4D F736F F D2095BD90AC E D738CC2816A939A905C91E D862E646F63>


-2 -


13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

む ), 倉庫その他の建物をいう ( 同条 3 号 ) 固定資産課税台帳 とは, 土地課税台帳, 土地補充課税台帳, 家屋課税台帳, 家屋補充課税台帳及び償却資産課税台帳を総称するものである ( 同条 9 号 ) 家屋課税台帳 とは, 登記簿に登記されている家屋 ( 建物の区分所有等に関する法律 (

ものであるから 法定相続における遺産分割とパラレルに考えるべき事案であって 相続による不動産の取得 として 法 7 3 条の 7 第 1 号を適用して非課税とされるべきものである 処分庁は 私的取引社会における事実の流れを勝手に分断し その一部だけに税法を適用しており 裁量権の逸脱であって許されない

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もあり 安全で問題のない生活を送るためには家庭の中で請求人一人の力だけでは難しく 周りの大人の支援を必要としている状況である 現在も上記のような状況から 仕事ができずにいる また 本件処分は本件診断書に基づいて行われているが その後本件児童の状態が変わっているので 平成 30 年 3 月 26 日付

富士見市都市計画税条例 ( 昭和 46 年条例第 40 号 ) 新旧対照表 ( 第 1 条による改正 )( 専決 ) 新 旧 附則 附則 ( 改修実演芸術公演施設に対する都市計画税の減額の規定の適用を受けようとする者がすべき申告 ) 6 法附則第 15 条の11 第 1 項の改修実演芸術公演施設につ

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

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旨の申告 ( 以下 本件申告 という ) をしたところ, 処分行政庁から, 本件不動産取得税を還付しない旨の処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 処分行政庁が所属する東京都を被告として, 本件処分の取消しを求める事案である 原判決は, 控訴人の請求を棄却したので, これを不服とする控

被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

○H30条例19-1

○不動産を贈与した場合の申請書の様式・記載例(オンライン庁)

無い (3) 特定市が振興協会会長 Aと市教育委員会とで一体に推進した当該文化事業は事業の実施前と実施後のまちの変化における事業の効果について国への報告義務があり, 公正に適法に事業を行う責務の存在は当該文化事業の目標の1は中心市街地の賑わいの促進にあって中心市街地活性化ソフト事業であって公開されて

計算式 1 1 建物の価額 ( 固定資産税評価額 ) =2 長期居住権付所有権の価額 +3 長期居住権の価額 2 長期居住権付所有権の価額 ( 注 1) =1 固定資産税評価額 法定耐用年数 ( 経過年数 + 存続年数 ( 注 3)) 法定耐用年数 ( 注 2) 経過年数 ライプニッツ係数 ( 注

#210★祝7500【H30税法対策】「登録免許税ほか」優先暗記30【宅建動画の渋谷会】佐伯竜PDF

7 固定資産税に関する事務 基礎項目評価書

家屋評価事務取扱要領

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶


(2) 被災代替住宅用地の特例について 特例の概要 被災住宅用地の所有者等が当該被災住宅用地の代替土地を平成 33 年 3 月 31 日までの間に取得した場合 当該代替土地のうち被災住宅用地相当分について 取得後 3 年度分 当該土地を住宅用地とみなし 住宅用地の価格 ( 課税標準 ) の特例を適用

異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分


b c.( 略 ) 2 不動産取得税の軽減に係るの発行信託会社等の地方税法附則第 11 条第 12 項に基づく不動産取得税の軽減のための同法施行令附則第 7 条第 12 項に規定するの発行等については 以下のとおり取り扱うものとする イ ロ.( 略 ) 載があること c d.( 略 ) 2 不動産取

⑴ ⑵ ⑶ ⑷ 1

Transcription:

答 申 審査請求人 ( 以下 請求人 という ) が提起した地方税法 ( 以下 法 という ) に基づく不動産取得税賦課処分に係る審査請求につ いて 審査庁から諮問があったので 次のとおり答申する 第 1 審査会の結論 本件審査請求は 棄却すべきである 第 2 審査請求の趣旨本件審査請求の趣旨は 東京都 都税事務所長 ( 以下 処分庁 という ) が請求人に対し平成 2 8 年 10 月 7 日付けで行った別紙物件目録記載の家屋 ( 以下 本件家屋 という ) の取得に係る不動産取得税賦課処分 ( 以下 本件処分 という ) について その変更を求めるものである 第 3 請求人の主張の要旨請求人は おおむね以下の理由から 本件処分の違法性又は不当性を主張している 本件課税標準となるべき価格 ( 2 0, 7 0 3, 7 7 1 円 ) は 新築登記原因日の平成 2 7 年 1 1 月 2 7 日時点における本件家屋の価格であるが 請求人が本件家屋について所有権を取得したのは 同年 12 月 24 日である 一方で 平成 2 8 年度固定資産評価の額は 1 6, 5 6 3, 0 00 円であり 本件課税標準となるべき価格からは 4, 1 4 0, 7 7 1 円の減価となっている 1

したがって 本件家屋の本来の取得価格は 1 6, 5 6 3, 0 00 円に 9 4 6, 4 6 1 円 ( 上記の減価分 4, 1 4 0, 7 7 1 円を 平成 2 7 年 1 1 月 2 7 日から同年 1 2 月 3 1 日までの日数 ( 3 5 日間 ) で除し これに同年 1 2 月 2 4 日から同月 3 1 日までの日数 ( 8 日間 ) を乗じた額 ) を加えた 1 7, 5 0 9, 4 6 1 円とすべきであり 不動産取得税額は これに 3 % を乗じた 5 2 5, 2 8 3 円とすべきである 第 4 審理員意見書の結論 本件審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 平成 29 年 2 月 1 3 日 諮問 審議経過 平成 2 9 年 3 月 2 2 日審議 ( 第 7 回第 1 部会 ) 平成 29 年 4 月 2 4 日審議 ( 第 8 回第 1 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1 法令等の定め ⑴ 法 7 3 条の 2 第 1 項によれば 不動産取得税は 不動産の取得に対し 当該不動産所在の道府県 ( 法 1 条 2 項により 都 と読み替える ) において 当該不動産の取得者に課するものとされている また 法 7 3 条の 2 第 2 項によれば 家屋が新築された場合 2

においては 当該家屋について最初の使用又は譲渡が行われた日において家屋の取得がなされたものとみなし 当該家屋の所有者又は譲受人を取得者とみなして これに対して不動産取得税を課するものとされている 上記 不動産の取得 とは 私法上の不動産の所有権の取得の意味であり 所有権の取得の登記の有無は問わないものと解されている ( 石島弘著 不動産取得税と固定資産税の研究 租税法研究第 3 巻 1 6 5 頁 ) ⑵ 法 7 3 条の 1 3 第 1 項によれば 不動産取得税の課税標準 は 不動産を取得した時における不動産の価格とするとされており 法 7 3 条 5 号によれば この価格とは 適正な時価をいうとされている そして 法 7 3 条の 2 1 第 2 項によれば 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産については 道府県知事 ( 法 1 条 2 項により 都知事 と読み替え さらに 本件については 法 3 条の 2 及び東京都都税条例 ( 昭和 2 5 年東京都条例第 5 6 号 ) 4 条の 3 により 都知事の権限が処分庁へ委任されている ) が法 3 8 8 条 1 項の固定資産評価基準 ( 昭和 3 8 年 1 2 月 2 5 日自治省告示第 1 5 8 号 以下 評価基準 という ) によって 当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとされている ⑶ 評価基準においては 家屋の評価は 再建築価格を基準として評価する再建築価格方式が採用されている これは 評価の対象である家屋と同一のものを評価の時点において再建築する場合に必要とされる建築費 ( 再建築費 ) を求め これに各種増減価を施して家屋の価格を決定するものである 具体的には 木造家屋の場合 家屋の再建築費評点数 ( 下記 ⑷ ) を基礎として これに損耗の状況による減点補正率を乗じ 3

ることで評点数を付設し さらに 家屋の状況に応じ必要があるもの ( 建築様式が著しく旧式となっているもの 所在地域の状況によりその価額が減少すると認められるもの等 ) については 家屋の需給事情による減点補正率を乗じて これに評点 1 点当たりの価額を乗じて家屋の価額を求めるものである ( 評価基準第 2 章 第 1 節 一及び二 同章 第 2 節 一 1 同節 六 ) ⑷ 評価基準によれば 木造家屋の再建築費評点数の算出は 部分別による再建築費評点数の算出方法 又は 比準による再建築費評点数の算出方法 ( 以下 比準評価 という ) のいずれかによるとされている ( 評価基準第 2 章 第 2 節 一 2) 比準評価は 当該市町村に所在する木造家屋を その実態に応じ 構造 程度 規模等の別に区分し それぞれの区分ごとに標準とすべき木造家屋 ( 以下 標準木造家屋 という ) を定め まず標準木造家屋について再建築費評点数を付設し 評価の対象である家屋 ( 本件の場合は 本件家屋 ) と同一の区分に属する標準木造家屋の各部分別の使用資材 施工量等の相違を考慮し 当該標準木造家屋の部分別再建築費評点数又は再建築費評点数に比準して 評価の対象である家屋の再建築費評点数を求める方法である ( 評価基準第 2 章 第 2 節 三 ) ⑸ 東京都では 評価基準によって特別区及び市町村の存する区域における固定資産 ( 家屋 ) の評価に当たり その取扱いの統一化を図るとともに 効率的な事務運営を推進するため 東京都固定資産 ( 家屋 ) 評価事務取扱要領 ( 昭和 3 8 年 8 月 1 9 日付 3 8 主課固発第 2 8 7 号東京都主税局長通達 以下 取扱要領 という ) を策定している そして その別表の 家屋単位当たり再建築費評点比準表 4

において 東京都が特別区において標準とすべき家屋を木造 非木造等の別に 構造 規模等に応じて各種選定した上で それぞれの再建築費評点数を示している 2 これを本件についてみると 本件家屋は 平成 2 7 年 11 月 2 7 日に所有者を請求人として新築された木造家屋であり 本件処分の時点では固定資産課税台帳には価格が登録されていなかったため 本件課税標準となるべき価格については 処分庁が決定することとなる ( 1 ⑵ ) 本件課税標準となるべき価格は 本件家屋が新築の家屋であるため 損耗の状況による減点補正率の適用がなく 評点を減点すべき特段の家屋の需給事情も認められないことから 単位当たりの再建築費評点 ( 取扱要領第 2 章 第 1 節 第 6 2 により 単位当たりの再建築費評点数の 1 0 0 点未満を切り捨てたもの 以下同じ ) 延床面積 評点 1 点当たりの価額 で算出されることになる ( 1 ⑶ ) そして 処分庁は 本件家屋の比準評価として 家屋単位当たり再建築費評点比準表 の中から 本件家屋と状況が類似している標準木造家屋 ( 標準家屋番号 7 0 : 共同住宅及び寄宿舎用建物 軸組構法 3 階建 延床面積 1 4 2. 3 8 m2 単位当たりの再建築費評点数は 1 0 6, 3 47 点とされており 単位当たりの再建築費評点は 1 0 6, 3 0 0 点となる ) を選定した上で 本件家屋 ( 延床面積 1 9 5. 4 2 m2 ) が当該標準木造家屋よりも延床面積が大きいことから 単位当たり評点数の減額要因を反映させるために補正係数 0. 9 5 を乗じて 本件家屋の単位当たりの再建築費評点を 1 0 0, 9 0 0 点としたことが認められる その上で処分庁は これに 延床面積 ( 1 9 5. 4 2 m2 ) 及び評点 1 点当たりの価額 ( 1. 0 5 円 ) を乗じて 本件課税標準となるべき価格を 2 0, 7 0 3, 7 7 1 円と算出し 法 2 0 条の 4 5

の 2 第 1 項の規定により 1, 0 0 0 円未満は切り捨てた上で 本件課税標準額を 2 0, 7 0 3, 0 0 0 円とし さらに これに本件処分の時点における不動産取得税の税率 ( 法附則 1 1 条の 2 第 1 項の規定により 3 / 1 0 0 ) を乗じて得た 6 2 1, 0 0 0 円 ( 法 2 0 条の 4 の 2 第 3 項の規定により 1 0 0 円未満は切り捨て ) を税額として 本件処分をしたことが認められる 以上のとおり 本件課税標準額及びそれに基づく税額の算出は 上記 1の法令等の定めに即し 適正になされており 違算等の事実も認められず 本件処分に違法又は不当な点を認めることはできない 3 請求人は 本件審査請求書に 平成 28 年度固定資産税 都市計画税課税明細書 を添付の上で 上記 ( 第 3 ) のとおり主張しており 要するに 本件課税標準となるべき価格 ( 2 0, 7 0 3, 7 7 1 円 ) と 賦課期日を平成 2 8 年 1 月 1 日とする平成 2 8 年度分の固定資産税及び都市計画税賦課処分における本件家屋の価格 ( 1 6, 5 6 3, 0 0 0 円 ) との間に 4, 1 4 0, 7 7 1 円のかい離があることから この減価分を日割りした上で 同日から所有権保存登記の日 ( 平成 2 7 年 1 2 月 2 4 日 ) まで逆算する方法により 本件家屋の価格を求めるべきだと主張する しかし 不動産取得税を賦課する本件処分において 比準評価による再建築価格方式によって算定された本件課税標準額及びそれに基づく税額の算出が 法令等の定めに即して適正に行われたと認められるのは上記 2 のとおりであって 固定資産税及び都市計画税賦課処分における価格を加味する方法により本件家屋の価格を決定すべきであるとの請求人の上記主張は 請求人独自の法解釈によるものと言うほかなく これを本件処分の変更理由として採用することはできない 4 請求人の主張以外の違法性又は不当性についての検討 6

その他 本件処分に違法又は不当な点は認められない 以上のとおり 審査会として 審理員が行った審理手続の適正性や法令解釈の妥当性を審議した結果 審理手続 法令解釈のいずれも適正に行われているものと判断する よって 第 1 審査会の結論 のとおり判断する ( 答申を行った委員の氏名 ) 髙橋滋 窪木登志子 筑紫圭一 別紙 ( 略 ) 7