11総法不審第120号

Similar documents
11総法不審第120号

11総法不審第120号

処分済み

11総法不審第120号

11総法不審第120号

11総法不審第120号

処分済み

第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第

11総法不審第120号

被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

11総法不審第120号

11総法不審第120号

11総法不審第120号

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

11総法不審第120号

11総法不審第120号

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

11総法不審第120号

遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は

11総法不審第120号

処分済み

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

11総法不審第120号

11総法不審第120号

11総法不審第120号

11総法不審第120号

11総法不審第120号

平成  年(オ)第  号

11総法不審第120号

特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

<4D F736F F D2095BD90AC E D738CC2816A939A905C91E D862E646F63>

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

02 条の3に規定する固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例 ( 以下 本件特例 という ) の適用を受ける住宅用地に該当せず, その余の部分に限り上記の住宅用地に該当するものとして, 平成 26 年 6 月 2 日付けで平成 26 年度分の固定資産税及び都市計画税の各賦課決定 ( 以下, 併せて

Microsoft Word - 385y浅妻最H230325

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

総務省が所管する地方税法ではなく 財務省が所管する国有財産法の適用を受けるとのことであり 実施機関の本件決定は失当である (2) 本件は 国税庁からの教示による公文書公開請求であり これを実施機関が非公開決定するとは言語道断である (3) 尖閣諸島の国有化は 日本と中国の外交問題に発展していることも

11総法不審第120号

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

11総法不審第120号

11総法不審第120号

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

高島市職員措置請求に係る監査の結果について 第 1 請求の受付 1 請求書の提出平成 29 年 9 月 28 日 2 請求人 3 請求の要旨 ( 高島市職員措置請求書 の原文のまま記載) 1 請求の要旨高島市長による平成 29 年度の固定資産税の賦課において 別紙の固定資産について 家屋の未評価によ

(2) 被災代替住宅用地の特例について 特例の概要 被災住宅用地の所有者等が当該被災住宅用地の代替土地を平成 33 年 3 月 31 日までの間に取得した場合 当該代替土地のうち被災住宅用地相当分について 取得後 3 年度分 当該土地を住宅用地とみなし 住宅用地の価格 ( 課税標準 ) の特例を適用

11総法不審第120号

Microsoft Word - H30 市税のしおり最終版

11総法不審第120号

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

住民監査請求監査結果 第 1 請求の収受 1 請求人 ( 省略 ) 2 請求書の受付日平成 28 年 8 月 16 日 3 請求の内容請求人から提出された ( 省略 ) 建物への固定資産税の賦課において 公金の賦課を怠る事実に該当する福井市職員措置請求 ( 住民監査請求 ) 書 の要旨及び事実を証す

がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

無い (3) 特定市が振興協会会長 Aと市教育委員会とで一体に推進した当該文化事業は事業の実施前と実施後のまちの変化における事業の効果について国への報告義務があり, 公正に適法に事業を行う責務の存在は当該文化事業の目標の1は中心市街地の賑わいの促進にあって中心市街地活性化ソフト事業であって公開されて

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

11総法不審第120号

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

耐震減免通達

長は 特措法第 39 条第 1 項に規定する地域福利増進事業等を実施しようとする区域内の土地の土地所有者等の探索に必要な限度で その保有する同項に規定する土地所有者等関連情報を その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができることとなります ( 特措法第 39 条第

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

0 月 22 日現在, 通帳紛失の総合口座記号番号 特定番号 A-B~C 担保定額貯金 4 件 ( 特定金額 A): 平成 15 年 1 月 ~ 平成 16 年 3 月 : 特定郵便局 A 預入が証明されている 調査結果の回答書 の原本の写しの請求と, 特定年月日 Aの 改姓届 ( 開示請求者本人

債務のうち所定の範囲内のものを当該事業主に代わって政府が弁済する旨規定する (2) 賃確法 7 条における上記 政令で定める事由 ( 立替払の事由 ) として 賃金の支払の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 51 年政令第 169 号 以下 賃確令 という )2 条 1 項 4 号及び賃金の支払の確

所得税確定申告セミナー

平成 30 年 9 月 25 日 諮問 平成 30 年 11 月 13 日審議 ( 第 27 回第 4 部会 ) 平成 30 年 12 月 11 日審議 ( 第 28 回第 4 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

(イ係)

本件は, 控訴人が, 本件決定は本件附則の解釈及び事実の認定を誤ってなされたものであると主張して, 被控訴人に対し, 本件決定のうち, 本件附則を適用した上で算出した税額を超える部分の取消しを求めた事案である (2) 原審は, 本件附則にいう 住宅用地として使用することができない 場合とは, 当該土

固定資産評価審査申出とは

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

( 賦課期日 ) 第 4 条都市計画税の賦課期日は 当該年度の初日の属する年の1 月 1 日とする ( 納期 ) 第 5 条都市計画税の納期は 次のとおりとする 第 1 期 4 月 1 日から同月 30 日まで第 2 期 7 月 1 日から同月 31 日まで第 3 期 12 月 1 日から同月 25

旨の申告 ( 以下 本件申告 という ) をしたところ, 処分行政庁から, 本件不動産取得税を還付しない旨の処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 処分行政庁が所属する東京都を被告として, 本件処分の取消しを求める事案である 原判決は, 控訴人の請求を棄却したので, これを不服とする控

第 4 審査関係人の主張の要旨 1 審査請求人の主張審査請求人は 次のとおり 本件処分は 違法又は不当である旨を主張している (1) 審査請求人が 複数の取引先から依頼を受けて行っている翻訳の業務は 法第 72 条の2 第 3 項の規定により個人事業税が課されるべきいずれの事業としても法に定められて

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

11総法不審第120号

美浜町空家等解体促進費補助金交付要綱

目次 1. 概要 2. 計算例 3. 住宅用地に対する課税標準の特例 4. 判例紹介 5. 是正制度

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

11総法不審第120号

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

1. 固定資産税 都市計画税について 固定資産税は 毎年 1 月 1 日 ( 賦課期日 といいます ) 現在に土地 家屋 償却資産 ( こ れらを総称して 固定資産 といいます ) を所有している人が その固定資産の所在する 市町村に納める税金です 都市計画税は 下水道 街路 公園などの都市計画事業

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

自治基本条例素案のたたき台大和市自治基本条例をつくる会

3-3 新旧対照表(条例の審査基準).rtf

附則 この規則は 平成 29 年 3 月 1 日から施行する

ナショナル・トラスト税制関係通知

北上市空家等対策規則 ( 趣旨 ) 第 1 条この規則は 北上市空家等対策条例 ( 平成 28 年北上市条例第 17 号 以下 条例 という ) の実施に関し必要な事項を定めるものとする ( 守秘義務 ) 第 2 条条例第 7 条に定める空家等対策審議会の委員は 職務上知り得た秘密を他に漏らしてはな

11総法不審第120号

MJS/ 第 79 回租税判例研究会 ( ) MJS 判例研究会 平成 30 年 8 月 9 日 報告者西野道之助 更正の請求/ 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除 平成 28 年 7 月 8 日 東京地裁 ( 棄却 )( 控訴 ) 平成 29 年 1 月 26 日

11総法不審第120号

< F2D F090E0967B95B C52E6A7464>

<4D F736F F D D7390AD8BE689E682CC95CF8D5882C994BA82A4936F8B4C96BC8B60906C939982CC8F5A8F8A82CC95CF8D5882C98C5782E9936F8B4C8E9

平成14年7月3日

仕事の依頼に諾否の自由はなく 業務の内容及び遂行方法について本件会社の指揮命令を受け アシスタント雇用等に関する規程等により 業務を他人に代替させえない 所得税の源泉徴収 雇用保険 厚生年金 健康保険の保険料徴収がある 営業所 机 パソコン 文具等は本件会社の提供に係るものであり 経費は立替精算であ

である なお 国の通達でも 生命保険外交員は 代理業でない限り個人事業税の課税は不可とされている 仕事の依頼に諾否の自由はなく 業務の内容及び遂行方法について本件会社の指揮命令を受け アシスタント雇用等に関する規定等により 業務を他人に代替させえない 所得税の源泉徴収 雇用保険 厚生年金 健康保険の

3. 同意要件との関係宿泊税について 不同意要件に該当する事由があるかどうか検討する (1) 国税又は他の地方税と課税標準を同じくし かつ 住民の負担が著しく過重となること 1 課税標準宿泊行為に関連して課税される既存の税目としては 消費税及び地方消費税がある 宿泊税は宿泊者の担税力に着目して宿泊数

1 天神 5 丁目本件土地及び状況類似地域 天神 5 丁目 本件土地 1 状況類似地域 標準宅地

Transcription:

答 申 審査請求人 ( 以下 請求人 という ) が提起した地方税法 ( 以下 法 という ) 3 4 2 条 1 項の規定に基づく固定資産税賦課処分及び法 7 0 2 条 1 項の規定に基づく都市計画税賦課処分に係る審査請求について 審査庁から諮問があったので 次のとおり答申する 第 1 審査会の結論 本件審査請求は 棄却すべきである 第 2 審査請求の趣旨本件審査請求の趣旨は 東京都 都税事務所長 ( 以下 処分庁 という ) が 請求人に対し 平成 28 年 9 月 9 日付けで行った別紙物件目録記載の土地 ( 以下 本件土地 という なお 平方メートルについては m2 と表記する ) に係る平成 2 8 年度分の固定資産税及び都市計画税 ( 以下 固定資産税等 という ) 賦課処分 ( 以下 本件処分 という ) について その取消しを求めるものである 第 3 請求人の主張の要旨請求人は 以下のように 本件処分の違法性 不当性を主張している 本件土地は 住宅建替えのため 平成 27 年 11 月 4 日に本件既存住宅を取り壊し 本件賦課期日現在は更地であったが 崖地であることから 住宅新築工事を行うために必要な工程の一環として 当該崖の取壊し工事を行い 同日までにこれを終えていたのであるから 新築工事の着手があったものであり 住宅建替え中の土地と - 1 -

して住宅特例の適用が認められるべきである また 住宅建替え中の土地に住宅特例を適用する措置は 賦課期日現在更地になっていても その土地に前年から住み続けているとみなせる場合に 税の軽減を行う制度であれば 同じように住宅建替えを目的としながら 本件土地はたまたま崖の工事が必要だったために 賦課期日までに住宅の新築工事が行われかったことのみによって 住宅特例の適用をしないことは制度の趣旨にそぐわず 公平性を欠く 本件土地を非住宅用地と認定して 住宅特例を適用せずになされた本件処分は誤りであるため 取消しを求める 第 4 審理員意見書の結論 本件審査請求は理由がないから 行政不服審査法 45 条 2 項によ り棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 平成 28 年 1 2 月 1 9 日 諮問 審議経過 平成 29 年 2 月 1 5 日審議 ( 第 6 回第 1 部会 ) 平成 29 年 3 月 2 2 日審議 ( 第 7 回第 1 部会 ) 平成 29 年 4 月 2 4 日審議 ( 第 8 回第 1 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1 法令等の定め及び判例 (1) 固定資産税等の賦課期日法 359 条によれば 固定資産税の賦課期日は当該年度の初日 - 2 -

の属する年の1 月 1 日とするとされており また 法 702 条の 6によれば 都市計画税についても同様とされている そして 固定資産税等の納税義務者 課税客体 課税標準等の課税要件は 賦課期日現在の状況によって確定されるものである (2) 固定資産税等の課税標準及び住宅特例土地に対して課する固定資産税等の課税標準は 基準年度 ( 法 341 条 6 号 ) における賦課期日における価格で土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録されたものとされている ( 法 3 49 条 702 条 ) この課税標準につき 法 349 条の 3 の 2 は 専ら人の居住の用に供する家屋又はその一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの敷地の用に供されている土地 ( 住宅用地 ) に対して課する固定資産税の課税標準は 法 349 条により課税標準となるべき価格の3 分の 1 の額とし ( 1 項 ) このうち 住宅 1 戸について200m2までの土地 ( 小規模住宅用地 ) に対して課する固定資産税の課税標準は 上記 3 分の 1 の額のところを6 分の 1 の額とする旨定めている ( 2 項 ) また 住宅用地に対して課する都市計画税の課税標準は 法 3 4 9 条により課税標準となるべき価格の3 分の2の額とし 小規模住宅用地の場合にはこれを 3 分の1の額とする旨 法 7 0 2 条の 3 に定められている (3) 平成 23 年の最高裁判所判決上記の 敷地の用に供されている土地 について 最高裁判所平成 23 年 3 月 25 日判決 最高裁判所裁判集民事第 2 3 6 号 3 11 頁 ( 以下 2 3 年最高裁判決 という ) は 住宅特例は 居住用家屋の 敷地の用に供されている土地 ( 地方税法第 3 49 条の3の2 第 1 項 ) に対して適用されるものであるところ ある土地が上記 敷地の用に供されている土地 に当たるかどうかは 当該年度の固定資産税の賦課期日における当該土地の現況によって決すべきものである とし 具体的事例として 賦課 - 3 -

期日における土地の現況が 取り壊した居住用家屋の所有者であった者を建築主として 居住用家屋となる予定の新家屋の建築工事が現に進行中であることが客観的に見て取れる状況にあった場合には これに当たる旨判示している (4) なお 租税法の非課税要件を定める規定については 租税負担公平の原則から 不公平の拡大を防止するため 解釈の狭義性 厳格性が強く要請されており ( 最高裁判所平成元年 11 月 30 日判決 税務訴訟資料 174 号 823 頁 その原審大阪高等裁判所昭和 6 3 年 1 0 月 2 6 日判決 税務訴訟資料 1 6 6 号 3 5 8 頁 ) このことは 課税標準の特例により税負担の軽減を図る住宅特例に係る規定の適用に当たっても同様と解される したがって 仮に新築家屋の建築確認や工事の準備段階における何らかの事情により申請や着工が遅れた等 請求人の場合に特有の個別的な事情があったとしても それを考慮して住宅特例に係る規定を拡張して適用することはできない 2 これを本件についてみると 本件土地上に存在した本件既存住宅は 平成 2 7 年 1 1 月中に取り壊されており 同年 1 2 月 24 日に現地調査に赴いた担当職員も 本件土地が更地となっていることを確認し その後 新築家屋のため建築確認申請がなされたのが平成 28 年 1 月 29 日であるから 本件賦課期日現在 本件土地は更地の状況であると認められる 本件土地に係る平成 28 年度の固定資産税等の賦課において住宅特例を適用するためには 2 3 年最高裁判決の判示するところによれば 本件賦課期日における本件土地の 現況 が 居住用家屋の 敷地の用に供されている土地 と認められることが必要であるが 本件賦課期日の本件土地の現況は 上記のとおり更地の状態であり 新築家屋の工事も未だ着手されていないものであるから 本件土地について 居住用家屋の敷地の用に供されている土地と認定することはできない したがって 処分庁が本件土地について住宅特例を - 4 -

適用せずに本件処分を行ったことについては 違法 不当な点はない 3 (1) 以上のとおり 本件処分は 法の規定に則ってなされた適法 妥当な処分であるということができる しかしながら 請求人は 本件土地において 本件既存住宅の解体後に直ちに新築住宅の建設工事に着手しようとしても その前段に崖を取り壊す工事を必要とするため 住宅自体の工事着手は 賦課期日までに出来なかったものであるから 請求人が行った崖の工事はこれを住宅建替え工事の着手として認め 本件土地を住宅建替え中の土地と認めるべきである あるいは 崖の工事が必要という特殊事情がある場合 賦課期日において住宅建築に着手できていないからといって住宅特例の適用を排除するのは 他の場合と比べ不公平である旨主張する ところで 23 年最高裁判決においては 賦課期日における当該土地の現況 により判断することを示す一方 敷地の用に供されている土地 の認定基準についてこれを具体的に示しているものではないから 請求人の上記主張について 上記最高裁判決の趣旨に沿いつつ 租税法の例外規定における解釈の厳格性の要請に反しない範囲内で なお 本件賦課期日における本件土地の現況について 住宅の敷地の用に供されている土地であると認めることが可能かどうか 以下 念のため検討する (2) 法の規定全般の解釈 適用に関する地方自治法 2 4 5 条の 4 第 1 項の規定に基づく技術的な助言として 地方税法の施行に関する取扱いについて ( 市町村税関係 ) ( 平成 22 年 4 月 1 日付け総税市第 1 6 号総務大臣通知 以下 取扱通知 という ) があり これによれば 住宅特例に関し 敷地の用に供されている土地 とは 特例対象となる家屋を維持し又はその効用を果すために使用されている1 画地の土地で賦課期日現在において当該家屋の存するもの又はその上に既存の当該家屋に代えてこれら - 5 -

の家屋が建設中であるもの をいうとされている ( 第 3 章第 2 節第 1 20 (1)) また 取扱通知における 既存の当該家屋に代えてこれらの家屋が建設中であるもの の具体的な取扱いに当たっては さらに 住宅建替え中の土地に係る固定資産税及び都市計画税の課税について ( 平成 6 年 2 月 22 日付け自治固第 17 号 自治省税務局固定資産税課長通知 以下 建替え通知 という ) を参照することとされ 取扱通知における 既存の当該家屋に代えてこれらの家屋が建設中であるもの として取り扱う要件として 既存の住宅に代えて住宅を建設している土地で 住宅の建設が当該年度に係る賦課期日において着手されており 当該住宅が当該年度の翌年度に係る賦課期日までに完成するものであること ( 建替え通知 1 (2)) 等を挙げている そして 特別区の存する区域において 実際に固定資産税等を課する権限を有する東京都では 住宅を建替え中の土地において住宅特例が適用される場合について 住宅建替え中の土地に係る住宅用地の認定について ( 平成 28 年 3 月 25 日付け27 主資評第 516 号主税局資産税部長通達 以下 都通達 という ) により取り扱っている 都通達では 住宅特例の適用基準として 当該年度に係る賦課期日において 住宅の新築工事に着手していること 等を要件に挙げている これらの通知 通達は 課税庁が法の解釈適用を行うに当たって参考とすべき基準として 妥当なものと考えられる そうとすると 請求人の主張を認めるか否かについては 本件土地が 本件賦課期日において たんに建物取壊し後の更地というだけではなく 既に崖地の工事に着手しこれを完了しているという現況にあることをもって 本件既存住宅に代えて本件土地上に建設する住宅の新築工事に着手しているとまで言うことができるかどうか という点が問題となる - 6 -

(3) そこで この点については更に 東京都の特別区の区域を所管する各都税事務所においては 経常的な住宅用地認定事務について 住宅用地認定事務の手引き ( 平成 23 年 3 月 31 日付け主資評第 386 号資産税部長通達 ) に準拠して処理しているが その中の質疑応答集第 3 章 ( 住宅建替え中の土地の認定に関する Q&A) 問 4に対する答においては 都通達に言う 新築工事に着手していること とは 現に水盛り 遣り方 根切り等 住宅の基礎工事に着手していることをいう したがって 造成工事等の開発行為 地盤改良 地鎮祭等のように 住宅の基礎工事に着手する前の状況は 新築工事に着手していること とはいわない としている そこで 当審査会において 上記質疑応答集の趣旨について 当該住宅用地認定事務の担当部署 ( 主税局資産税部 ) に確認したところ 上記答の趣旨は 住宅の新築工事に着手しているかどうかは 住宅の基礎工事に着手する前の土地の工事ではなく 住宅の建物本体の基礎工事に着手しているかどうかで判断するということであるとの回答があった この回答は 課税庁が法の解釈適用を行うに当たって基準とすべき取扱通知 建替え通知及び都通達の趣旨と内容を踏まえた合理的なものであると認められる 本件土地で行われた崖の工事は その性質上 上記のような具体的に特定された住宅の基礎工事の範疇に入るべきものと言うことはできず より前段階の上記例示中の開発行為等と同種のものであると言うことができる 上記質疑応答集の示すように 当該土地において実際に行われた工事の種類によって 賦課期日における住宅建設の着手があるか否か ひいては当該土地につき住宅特例の適用があるか否かを判断することは 賦課期日における当該土地の現況 により 住宅の敷地の用に供されている土地であるかどうかの認定判断を行うべきとする23 年最高裁判決に照らしても 妥当なものと考えられる また 同判決は 土地の現 - 7 -

況 によることとしているから 仮に崖の工事が 住宅建替えの意思に基づくものであったとしても そのような主観的要素を判断の材料とすることはできないものである そうであるとすると 結局本件土地は 本件賦課期日において 住宅建設の着手はなく 住宅の敷地の用に供されている土地とは認められない (4) ところで 上記都通達 2 (2) の 当該年度に係る賦課期日において 住宅の新築工事に着手していること の要件については さらに例外的な取扱いも設けられており なお 当該年度に係る賦課期日において 建築主事又は指定確認検査機関が住宅の新築に関する確認申請書を受領していることが受領印等により確認でき かつ 当該年度に係る賦課期日後の3 月末日までに住宅の新築工事に着手している場合には これに含めて取り扱う とされている しかし 本件土地上の新築住宅に係る確認申請の受付は 本件賦課期日より後の平成 2 8 年 1 月 2 9 日であるから これには該当しないことが明らかである (5) また 請求人は たまたま崖の工事が必要な本件土地の場合にも 一般の住宅建替えの場合と同じように 本件賦課期日以前の新築着工かその後の着工かによって 住宅特例の適否を決めるのは不公平である旨主張する しかしながら 固定資産税等の納税義務者 課税客体 課税標準等の課税要件は 賦課期日現在の状況によって確定されるものであることは 法の規定するところから明らかである そして 固定資産税等の対象となる土地あるいはその所有者に特有の個別的な事情を考慮 斟酌して 住宅特例等のような例外的な定めを拡張的に適用すべく 法の規定をその文理を離れて解釈しようとすれば それは租税法律主義の原則に違背することに帰し そのような解釈に基づく処分は 違法なものとなる したがって 処分庁が 請求人が言うような 本件土地につい - 8 -

て崖の工事が必要であるために 住宅新築工事の着手が本件賦課期日までに行えないという特殊事情を 本件処分を行うに当たって全く考慮に入れなかったとしても そのことをもって 本件処分を違法 不当と言うことはできない (6) 以上に検討したところからしても 本件処分には取消理由となるような違法 不当な点はないとの結論は変わらないものである 4 請求人の主張以外の違法性又は不当性についての検討その他 本件処分に違法又は不当な点は認められない 以上のとおり 審査会として 審理員が行った審理手続の適正性や法令解釈の妥当性を審議した結果 審理手続 法令解釈のいずれも適正に行われているものと判断する よって 第 1 審査会の結論 のとおり判断する ( 答申を行った委員の氏名 ) 髙橋滋 窪木登志子 筑紫圭一 別紙 ( 略 ) - 9 -