役員退職慰労金 弔慰金規程の留意点 第 1 条 ( 総則 ) 当社の取締役または監査役 ( 以下役員という ) が退職したとき または役掌が大きく変更したとき 1は 株主総会の決議を経て 2 役員退職慰労金を支給することができる 1. 分掌変更 ( 法人税基本通達 9-2-32) のこと 2. 役員退職金支給には株主総会の決議 が必要 ( 会社法 361 条 ) 第 2 条 ( 目的 ) この規程は 役員の退職または法人税基本通達による分掌変更等 1の場合に 一時金および分割払いによる支給を行い 3 もって役員在任期間中の功労に報い 退職後における役員または遺族の生活の安定に寄与することを目的とする 3. 役員退職金を一時金だけでなく会社の状況によっては 分割で支払うことも考えられるため そのことを考えての規程第 3 条 ( 適用の範囲 ) この規程は 全役員に適用する ただし 次の各項のいずれかに該当する場合は 役員退職慰労金を減額または支給しないことがある この第 3 条の規程は 退職金の不支給規程 会社に対して不利益な行為があった場合には 退職金の全額または一部を支給しないというもの 1. 退職にあたり 所定の手続きおよび事務処理等をなさず 会社業務の運用に支障をきたす場合 2. 退職にあたり 会社の信用を傷つけ または在任中知り得た会社の機密を漏らすことによって 会社に損害を与える恐れのある場合 3. 在任中不都合な行為があり 役員を解任された場合 4. その他前各項に準ずる行為があり 取締役会で減額ないし不支給を適当と認めた場合 ( 例 ) 第 4 条 ( 算定基準 ) 最終報酬月額方式の場合 4 役員退職慰労金の算定は 次の各項目をそれぞれ乗じた額とする 1. 退任時最終報酬月額 2. 役員在任年数 3. 退任時役位別倍率ただし 算定額に万円未満の端数がある場合は万円単位に切り上げる 4. 最終報酬月額方式 とは 役員の退任時の最終報酬 役員在任年数 役位別倍率 ( 功績倍率 ) で計算する この最終報酬月額方式はいくつかの問題点があり ( 本文 役員退職金の算定方式 参照 ) 次項の 役員別倍率 または次の 1 年あたりの平均額 方式を使うケースもある 1
( 退任時役位別倍率 ) 退任時役位 功績倍率 退任時役位 功績倍率 取締役会長 常務取締役 取締役社長 取締役 専務取締役 監査役 ( 例 ) 第 4 条 ( 算定基準 ) 役位別倍率方式( 基準報酬 ) の場合 5 役員退職慰労金の算定額は 退任まで在位したそれぞれの役位ごとに次の役位別の1~ 3の各項目を乗じた金額を求め それを合計した金額とする 1. 役位別基準報酬月額 2. 役位別在任年数 3. 役位別倍率ただし 算定額に万円未満の端数がある場合は万円単位に切り上げる 5. 役位別倍率方式( 基準報酬 ) とは 役位ごとに退職金額を計算し それぞれを合計して退職金額を算定する方式 具体的には 役位ごとの基準報酬 役位ごとの在任年数 役位ごとの倍率 で取締役時代 常務時代 専務時代 社長時代のそれぞれの退職金額を算定し 合計したもの 特に創業社長ではなく二代目以降の社長の算定に活用 ( 役位別基準報酬と役位別倍率は次の値を適用する ) 役位 基準報酬 倍率 役位 基準報酬 倍率 取締役会長 常務取締役 取締役社長 取締役 専務取締役 監査役 ( 例 ) 第 4 条 ( 算定基準 ) 1 年当たりの平均額方式の場合 6 役員退職慰労金の算定額は 役位ごとの1 年当たりの平均額に対し 役員在任年数を乗じて計算する ただし 算定額に万円未満の端数がある場合は万円単位に切り上げる 6. 1 年あたりの平均額方式 とは 近隣の同規模 同業種の 1 年当たりの役位ごとの退職金額を参考に 算定会社の退職金額を決定する 具体的には公表されているデータに基づき 近隣の同規模 同業種の役位ごとの退職金支払い状況から それぞれのケースの 1 年あたりの退職金額を求め ( 役位ごとの退職金額 在任年数 ) その 1 年あたりの退職金額の平均値 (1 年あたりの退職金合計をサンプル数で除した金額 ) を求め その金額に算定会社の役員の在任年数を乗じて退職金額を算定する方法である ポイントは近隣の同規模 同業種の役位ごとの退職金額の情報をどのようにして入手するかということ サンプル数は多いほどより普遍性が求められる 2
(1 年当たりの平均額は 同規模同業種の近隣の 1 年当たりの退職金額を参考に決定する ) 役位 1 年当たりの平均額 役位 1 年当たりの平均額 取締役会長 常務取締役 取締役社長 取締役 専務取締役 監査役 第 5 条 ( 在任期間 ) 役員在任年数は 1 ヵ年を単位とし 端数は月割とする ただし 1 ヵ月未満は 1 ヵ月に切 り上げる 第 6 条 ( 功績加算 ) 在任中に特に功績顕著と認められる役員に対しては 第 4 条により算定される役員退職慰労金額にその 30% を超えない額を限度として 加算することがある 7 7. 功績加算または功労加算ともいう 会社によっては功労金 特別功労金と呼ぶところもある 会社に対して著しく功績顕著な役員に対しては 第 4 条で計算した退職金の合計額に対して 最大で 3 割増しの退職金を払うことができるというもの 一般的には創業社長や 会社の発展に著しく貢献したり ( 中興の祖 ) 会社の窮地を救った役員などに適用 実際の功績加算の平均値は 10% 程度 第 7 条 ( 弔慰金 ) 任期中に死亡したときは 次の金額を死亡退職金とは別に弔慰金として支給する 8 業務上の死亡の場合円 業務外の死亡の場合円 8. この部分が弔慰金規程にあたる部分 別途役員の弔慰金規程を設けても良い いずれにしても 弔慰金規程が無いと弔慰金としては認められない ( 全部死亡退職金の扱いとなる ) また一般的な弔慰金規程には 税法上の上限である金額 = 業務上死亡の場合には報酬の 3 年分 業務外死亡の場合には報酬の 6 か月分を支給する旨の規程を作っている会社が多い しかし現実に報酬の 3 年分の金額を準備するには中小企業にとって大変なことになる そこで例えば 業務上死亡 800 万円 業務外死亡 500 万円というように中小企業にとって支払い可能な金額を取締役会で決めるようアドバイス 弔慰金はあくまで会社から遺族に支払う花輪代としての位置づけである 3
第 8 条 ( 支給時期 ) 1. 役員退職慰労金 弔慰金の支給時期は原則として株主総会の決議または承認後ヵ月以内 9とする 9. 一般的には株主総会の決議または承認後 1~3カ月以内が多い 2. 前項の規定にかかわらず 会社の業績やその他やむを得ない事情により支給が困難であるときは 取締役会の承認を得て その事由が消滅するまで退職慰労金等の支給を延期することができる ( 例 ) 第 9 条 ( 死亡役員に対する死亡退職金等 ) 一般例 1. 死亡した役員に対する死亡退職金 弔慰金は遺族に支給する 2. 遺族とは配偶者を第一順位とし 配偶者のいない場合には子 父母 孫 祖父母 兄弟姉妹の順位とする なお 該当者が複数いるときは代表者に対して支給するものとする 10 10 死亡退職金の受け取り順位を規程したもの 一般的には記載のように 民法上の法定相続人の順位で受け取るように記載しているケースが多い ( 例 ) 第 9 条 ( 死亡役員に対する死亡退職金等 ) 退職金受取り指定例 1. 死亡した役員に対する死亡退職金等は 遺族の中で役員の指定した者に支給する 11 2. 指定がない場合 または指定した遺族が死亡している場合 または遺族以外の者を指定している場合は次の順位とする 第一順位 配偶者第二順位 子 第三順位 父母 以降 孫 祖父母 兄弟姉妹の順位とする なお 該当者が複数いるときは代表者に対して支給するものとする 11. 死亡退職金 弔慰金の支払先を 役員自身が指定できるようにしたもの 例えば遺族 ( 相続人 ) の中でも後継者に指定するなどして 退職金の活用を考えることができる もちろん指定は遺族 ( 相続人 ) に限定 これにより子供などの後継者の納税資金 分割資金 ( 代償交付金 ) 自社株の買取り資金など様々な活用が考えられる 指定がない場合などは一般的な受取り順位にする規程も盛り込む 4
第 10 条 ( 生命保険契約の締結 ) 1. 会社は役員退職慰労金 弔慰金の支払いに際し 一時的な資金負担を軽減するため 会社との間で 役員を被保険者とする生命保険契約を締結する 2. 役員が退職したときは役員退職慰労金の全部または一部として この保険契約上の名義を退職役員に変更の上 保険証券を交付することがある この場合 保険契約の評価額は解約返戻金相当額とする 3. 新任の役員については 就任後速やかに加入手続きをとるものとする 12. 役員退職慰労金の原資を特定の会社の生命保険を使って準備できるようにするための規程 退職金規程の変更は後述 12 条の取締役会などでの改定が必要となる 13. いわゆる役員退職慰労金 ( 生存退職金 ) として生命保険の現物支給ができるようにした規程 この一文がないと 生命保険で準備しても解約して現金化した上で退職金を支給しなければならなくなる 手続きは法人から個人契約への名義変更 なお所得税基本通達 36-37 条により 法人から役員個人への生命保険を移した場合の評価は解約返戻金とする したがって解約返戻金が役員退職慰労金規程における退職金の一部もしくは全部となる 個人契約に変更したことにより 勇退後の相続対策 ( 納税 分割対策 ) として活用できる 第 11 条 ( 使用人兼務役員の取扱い ) この規程により支給する役員退職慰労金の中には 使用人兼務役員に対し使用人として支給すべき退職給与を含まない 14. 役員退職慰労金規程であるため 役員分の退職金についての取り決めである 特に使用人兼務役員 ( 使用人身分と役員身分が混在する役員 例えば取締役営業部長 取締役経理部長など ) における使用人部分は従業員の退職金規程に準じて支払われるため この規程の対象とはならないことを意味している ( 参考条文 : 法人税基本通達 9-2-37 役員が使用人兼務役員に該当しなくなった場合の退職給与 巻末参照 第 12 条 ( 規程の改定 ) この規程は 改定権を有する取締役会の決議をもって随時改定することができる 15. 役員退職慰労金規程の作成および改定は 株主総会または取締役会により行います したがって株主総会で作成した場合は 改定も株主総会で行い 取締役会で作成した場合は 取締役会に改定権限があります その意味で 取締役会で作成 改定を行うことが簡単 5
第 13 条 ( その他 ) 本規程に定めなき事項については 取締役会で協議決定する 第 14 条 ( 施行日 ) この規程は 年 月 日より施行し 施行後に退職する役員に対して適用する 16 16. 当然だが当退職金規程施行前の退職役員には適用しない また施行後において当規程 は全役員に適用されるため 退職金の資金準備を社長だけということにならないよう注意 ( 参考 ) ( 役員が使用人兼務役員に該当しなくなった場合の退職給与 ) 法人税基本通達 9-2-37 使用人兼務役員であった役員が 法第 34 条第 1 項 役員給与の損金不算入 に規定する使用人としての職務を有する役員に該当しないこととなった場合において その使用人兼務役員であった期間に係る退職給与として支給した金額があるときは たとえその額がその使用人としての職務に対する退職給与の額として計算されているときであっても その支給した金額は 当該役員に対する給与 ( 退職給与を除く ) とする ただし その退職給与として支給した給与が次のすべてに該当するときは その支給した金額は使用人としての退職給与として取り扱うものとする ( 平 19 年課法 2-3 二十二 により追加 ) (1) 当該給与の支給の対象となった者が既往に使用人から使用人兼務役員に昇格した者 ( その使用人であった期間が相当の期間であるものに限る ) であり かつ 当該者に対しその昇格をした時にその使用人であった期間に係る退職給与の支給をしていないこと (2) 当該給与の額が 使用人としての退職給与規程に基づき その使用人であった期間及び使用人兼務役員であった期間を通算してその使用人としての職務に対する退職給与として計算されており かつ 当該退職給与として相当であると認められる金額であること 6