冬の寒さ

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序 蕁麻疹は, 皮膚科領域ではアトピー性皮膚炎, 接触皮膚炎などの湿疹 皮膚炎群, せつとびひ, 癤などの感染症と並ぶ, ありふれた疾患 ( コモンディジーズ )( 群 ) である. その病態は, 皮膚マスト細胞の急激な脱顆粒により説明され, 多くの場合は抗ヒスタミン薬の内服によりマスト細胞から遊離

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市民公開講座 皮膚病総合医学研究所大通じんぼ皮膚科 神保孝一 主催加齢皮膚医学研究会皮膚悪性腫瘍研究会 2016 年 11 月 6 日 ( 日 ) 共催公益財団法人札幌国際プラザ 1

冬の雪国に特異な生活環境と生活習慣皮膚病 生活習慣病とは 生活習慣 環境が要因となって発生 悪化する病気 心理的負担とストレス 加齢肉体活動の低下 慢性的寒冷環境 生活習慣皮膚病 社会活動の低下 加齢 QOL の低下 ストレス対処の低下 心身症 精神疾患の合併 治療への不対応 2

北海道の冬の環境に特有の皮膚症状 生理的環境 皮膚が乾燥 皮膚の生理機能と免疫 抗アレルギー力が低下 肉体的 精神的ストレスが増加し 皮膚に影響 物理的環境 室内と戸外との温度差 湿度差 室内は暖房により乾燥 冬期間は戸外活動が極端に減少 運動量が減少 発汗量も減少 3

皮膚表面の生理とバリア ( 防壁 ) 機能 表皮 角質細胞 保湿因子 顆粒細胞 角質細胞 真皮 皮下脂肪 放出 天然保湿因子 ( フィラグリン ) 産生顆粒細胞 4

1. 角質細胞層が厚くなる 2. 皮脂の分泌が低下する 冬の寒冷に伴う皮膚の乾燥 免疫の低下 免疫細胞 ( ランゲルハンス細胞 ) 角質細胞 顆粒細胞 角質層 : 角質 ( ケラチンが充満 ) 細胞 層板顆粒から放出された天然保湿因子が細胞質と細胞間に充満している 3. 発汗等の水分代謝低下 有棘細胞 4. 全身の免疫能の低下 基底細胞 基底膜 顆粒層 : 顆粒細胞 ( 天然保湿因子を産生する層板顆粒を形成 ) 天然保湿因子 : セラミド コレステロール 脂肪酸などを放出 5

乾皮症 ( 乾燥肌 ) と掻痒 ( 痒み ) 角層細胞の乾燥 ( 乾燥肌 ): 白い粉をふいた皮膚 乾皮症の背景とその影響 1. 体内外からの水分 皮脂 脂質補給の減少 2. 天然保湿因子 (NMF) の減少 3. 加齢に伴う角質構造の変化 ; 古くなった角層が厚く堆積 ( 若年 :14 日 高齢者 21 日 ) 4. 皮膚表面の神経を刺激し 痒みをおこす 5. 掻破の結果 細菌感染の誘発 6. 湿疹 皮膚炎の誘発 悪化 7. 皮膚の黒ずみ シミの悪化 6

思春期以降 顔面 非髪頭部 胸 背部および腋 陰股部の脂漏部位 脂漏性皮膚炎 全身の好発部位 眼瞼炎 鼻傍部 中高年の場合 新生児 乳児と異なり ストレスや疲労 飲酒 睡眠不足等により誘発される 発生 悪化には癜風菌や細菌の関与が示唆されている 7

手 / 足に好発の生活習慣病 冬の寒冷 温度差 乾燥 しもやけ あかぎれ 皮膚血管循環機能障害 皮膚表面バリア機能障害 しもやけ 晩秋から初冬 晩冬から初春にかけての寒暖差の大きい (10 度以上 ) 季節に発症しやすい 末梢血管での血行調節不全のため赤く腫れ 痒くなる 発汗や水仕事の後 皮膚を濡れたままにしておくと水分が蒸発し 急激に皮膚温が下降した際に発生しやすい あかぎれ 皮脂の分泌の少ない手指先端 踵に発症しやすい 皮膚が腫れ 表面が割れ 出血を伴う 水仕事をする機会の多い主婦や美容師 調理師に起こりやすい 皮膚バリア機能障害 8

しもやけ あかぎれになってしまったら 皮膚に潤いを与える保湿成分 ( アミノ酸 グリセリン等 ) や皮膚を保護する成分 ( セラミド ワセリン等 ) が配合された保湿剤を塗り 皮膚の乾燥を防ぐ 保湿成分水分をキープして潤いを与える 保護 ( エモリエント ) 成分水分の蒸発を防ぐ あかぎれが出来ている時は亜鉛華軟膏や手袋で傷口を保護 手足の指をほぐすようにマッサージし 血行促進 ( 水疱が出来ている場合はマッサージ中止 ) 入浴などで身体が温まるとかゆみが強まることがあるので かきこわさないように注意 9

しもやけ あかぎれの予防 保温 外出時は手袋や耳あて 厚手の靴下を履くなど防寒対策 温かい飲み物を飲む 入浴など 内側からも 温める 汗をかいたり濡れたりしたら 水分をしっかりふき取る習慣をつける 保湿 家事や入浴後には保湿クリーム 亜鉛華軟膏を塗る 水仕事の時にはゴム手袋で手を保護 血行促進 入浴時などに 手足の指をもみほぐすマッサージ 圧迫されると血行が悪くなるので きつめの靴は避ける 血液の循環をよくする ビタミン E や 熱エネルギーの素となる タンパク質 を摂取する アーモンド 豆腐 魚 肉 うなぎ ビタミン E 卵黄 タンパク質 10

Ⅰ. 突発性の蕁麻疹 蕁麻疹の分類 明らかな誘因が無く 毎日のように繰り返し症状が現れる急性蕁麻疹 慢性蕁麻疹 Ⅱ. 特定刺激や負担により誘発される蕁麻疹刺激が加わることにより現れるアレルギー性 非アレルギー性蕁麻疹寒冷 発汗 接触蕁麻疹等 Ⅲ. 特殊な蕁麻疹または蕁麻疹類似疾患 血管性浮腫 蕁麻疹様血管炎 色素性蕁麻疹等 11

蕁麻疹の起こる仕組み アレルゲン 表皮 真皮 知覚神経 4 1 3 2 1 血管 血管 マスト細胞 ( 肥満細胞 ) ヒスタミン 1 2 3 4 アレルゲンが皮膚から直接 もしくは血管を通して真皮内のマスト細胞 ( 肥満細胞 ) に到達マスト細胞が活性化し ヒスタミンなどが放出されるヒスタミンにより血管が拡張し 血漿成分が漏れ出ることで 皮膚は赤く膨れ上がるヒスタミンが知覚神経を刺激し 痒みを感じる 12

蕁麻疹の悪化因子 食品果物 青魚 肉 防腐剤 薬剤抗生物質 解熱鎮痛剤 降圧剤 物理的刺激 皮膚のこすれ 寒冷 温熱 日光 圧迫 発汗入浴 運動 精神的緊張 その他感染症 疲労 ストレス 13

妊娠と蕁麻疹 蕁麻疹の治療に使う内服薬は すべて血液 胎盤を通して胎児にも届く 妊娠 2 ヶ月に相当する期間は 赤ちゃんの基本的な体が出来る時期のため 原則として全ての内服治療を中止する 現在市販されている抗ヒスタミン薬 抗アレルギー薬により胎児に奇形を生じる作用は見つかっていない 抗ヒスタミン薬 抗アレルギー薬は体内に蓄積しないので 妊娠が成立するまでは内服治療中止の必要なし 14

日常生活での注意点 特定の刺激により症状があらわれる蕁麻疹の場合 服の刺激が原因と考えられる場合 : 木綿製などの生地が柔らかくゆったりした服装にする 汗が原因と考えられる場合 : 激しい運動は控え 発汗を促すような刺激物の摂取は避ける ( 入浴で症状が改善される場合もある ) 誘因が明らかでない蕁麻疹の場合 生活上のストレス 疲労をためないようにする 過度の飲酒は避ける 悪化因子となる食品や薬剤 感染症 ( かぜなど ) に注意 15

アトピー性皮膚炎 アトピー性皮膚炎は憎悪 寛解を繰り返す 掻痒のある湿疹 患者の多くはアトピー素因を持つ < 病因 > 患者のアトピー素因に対外環境要因 皮膚免疫機能低下が加わって発症する アトピー素因とアトピー性皮膚炎の発症は遺伝する傾向 皮膚の炎症はアレルギー機序と非アレルギー機序によって誘発される 16

アトピー性皮膚炎の病態生理 急性期 : 滲出傾向 ( ジュクジュク ) が強い 慢性期 : 苔癬化 ( ゴリゴリ ) が強い 皮膚表面のセラミドや天然保湿因子の減少 皮膚のバリア機能や水分保持能が低下 角質構造が粗く 皮膚が乾燥 皮膚の感染にかかりやすく 黄色ブドウ球菌などが定着しやすい 痒みの閾値が低下 17

アトピー性皮膚炎における主な皮膚機能異常 アトピー性皮膚炎には様々の皮膚機能異常があり それらが皮膚炎の発症および憎悪に深くかかわることが知られている 1. 水分保持能 バリア機能の低下角層の天然保湿因子の減少 細胞間脂質のセラミドの低下が原因 抗原の侵入が容易な状態 2. 痒みの閾値の低下知覚神経が表皮内への侵入 伸長するため 軽微な刺激でも痒みが発生 3. 皮膚免疫能の低下 易感染性伝染性膿痂疹 単純ヘルペス 伝染性軟属腫など皮膚感染症に罹患 18

アトピー性皮膚炎の緊急課題 難治性成人型発生例の増加 1. 成人になるまでに治ることが多いが 近年難治例や成人型が増加 2. 顔面に難治性の発赤 頚部を主体に明らかな色素沈着 全身に痒みの強い小結節 ( 痒疹 ) が多発する症例が注目されている 3. 子供の頃にはアトピー性皮膚炎はなかったが 20 歳頃に初めて症状が出ることもあり その場合は顔面から頚部にかけて強く発赤を認めることが多くなる 19

成人型 大人アトピーの発生原因 以前に比べて大気汚染がひどくなったこと ダニやカビが繁殖しやすい機密性の高い建物が増えたこと 衣類や食品に化学物質が増えたことなどが背景 ストレスや不規則な生活習慣も大人アトピーを増加させる原因 子供の治療とは違い その人にあった治療法を見つけて治療しなければならない 幼少期よりステロイドを使っている場合 皮膚のステロイド依存が強く 幼少時より脱ステロイドを行うことが難しくなる 20

アトピー性皮膚炎の治療法 外用療法 ( ぬり薬 ) 1. 保湿剤 2. ステロイド 内服療法 ( のみ薬 ) 1. ステロイド ( 短期パルスは問題なし ) 2. シクロスポリン ( 免疫異常を抑える 副作用 : 血圧上昇 腎障害 ) 3. メソトレキセート ( 細胞増殖を抑える 副作用 : 間質性肺炎 肝硬変 ) 光線療法 1.PUVA( プーバ ) 療法 ( ソラレンを内服 または外用し 3. 免疫抑制剤 ( タクロリムス ) 長波長紫外線照射 ) 2. ナローバンドUVB (311~313nm 中波長紫外線照射 ) ビタミン D3 産生を介し フィラグリン産生を増加させ 表皮セラミド産生を亢進させ 抗菌ペプチド産生を促し 皮膚免疫を活性化させ バリア機能を改善させ 炎症を抑え 表皮内かゆみ受容体をブロックし 掻痒を抑制 21

アトピー性皮膚炎経過中の注意事項 伝染性膿痂疹 カポジ水痘様発疹症 伝染性軟属腫などの感染症を合併しやすいため これらの早期発見に努め 速やかに適切な処置を行う 眼病変 ( 特に白内障 網膜剥離など ) の合併に注意目を強くこする あるいは叩くなどの外傷性要因は眼病変の発生 悪化につながる可能性がある 外用薬により接触皮膚炎をおこす可能性もあるので 症状が遷延 悪化する場合は注意する 22

脱ステロイドについて 脱ステロイドや脱保湿は アトピー性皮膚炎の根治治療ではなく 使用による影響を除去する方法である 長年ステロイドや保湿剤を使用している場合は 脱ステロイドや脱保湿とともに アトピー性皮膚炎の根治治療が必要 急激な脱ステロイドは 重い離脱症状が現れるため 結果としてまたステロイドを使用しなければいけない状態になるという悪循環を引き起こす 脱ステロイドは 徐々に使用量を減らしステロイドを最小限にしながら 合わせてアトピー性皮膚炎の根治治療を進めていくことが大切 23

アレルギーマーチとアトピー性皮膚炎患者の経過 成人喘息 高齢者のアトピー 経気道感作 寛解 アレルギー性鼻炎花粉症 吸入性抗原 ( ハウスダストなど ) 寛解 気管支喘息 食餌性抗原 ( 卵 牛乳など ) 経胎盤感作 経皮膚感作 アトピー性皮膚炎 アトピー素因 アレルギーマーチ アトピー素因のある人に アレルギー性疾患が次から次へと発症してくる様子を行進 ( マーチ ) に例えた言葉 24

アトピー性皮膚炎のスキンケア 肌の清潔を心がける 汗をかいたらこまめにシャワーを浴びる お風呂はぬるめのお湯に短時間入る 石鹸は刺激の少ない弱酸性を使用する薬用せっけんは刺激が強いので避ける 保湿剤を効果的に使う 自分の肌に合った 刺激の少ないものを選ぶ 湿度の低い冬場は白色ワセリンや油性の軟膏 汗をかきやすい夏場はクリームタイプのもの 肌に触れるものは刺激の少ないものを 化繊やウール 麻などの刺激のあるものは避け 木綿の物を選ぶ 衣類や枕カバーは頻繁に洗濯し よくすすいでよく乾かす 25

乾癬の発症機序 病因の詳細は不明だが自己免疫異常が背景 表皮細胞の増殖亢進とそれに伴う細胞周期の短縮 免疫異常 乾癬発生初期には リンパ球浸潤 後に角層下に多核白血球が浸潤し 微小膿瘍を形成 遺伝的要因 ( 体質 ) 免疫異常 外的要因 ( ストレス ) ストレス 病巣感染等により誘発され 外的圧迫を受ける部位に発生 ( ケブネル現象 ) 26

雪国の乾燥肌の原因 症状と対策 (1) 原因体の中で起こっている事対策法 寒気空気乾燥 ストレス 湿度低下による皮膚の乾燥 皮膚ターンオーバー周期の乱れバリア機能の低下 加湿器の使用 ストレスの適当な発散 睡眠不足 食生活 成長ホルモン分泌低下皮膚再生 免疫能の低下 新陳代謝の低下皮膚乾燥防御機能の低下 適度な睡眠 ビタミン A C 等の積極的摂取 便秘 喫煙 腸内毒素の産生生活機能の低下 活性酸素の増加による血流悪化 老化ビタミン C 不足によるコラーゲン産生低下 適度な運動イモ類 豆類などの摂取 禁煙 27

雪国の乾燥肌の原因 症状と対策 (2) 原因体の中で起こっている事対策法 過度のスキンケア スキンケアの放置 汗 冷え性 加齢 皮膚表面の皮脂の低下 消失 肌荒れ 皮膚不快感 痒み 睡眠不足 集中力欠如 発汗と共に皮脂損失 皮膚乾燥 新陳代謝の低下 角質層の保湿成分 機能の低下 マイルドなクレンジングクリーム 保湿剤等の使用 止痒剤 抗炎症剤の処方 シャワー等による洗い流し 保湿剤 ビタミン E 等の摂取飲み物 服装等に注意 保湿剤の常用 28

身近な乾燥肌対策 一日 2 リットルの水分を取る 一度に取らず一日かけて飲む 肌の表面が取られてしまうので スポンジ等で肌を擦りすぎない 風呂上りに使い心地のよい乳液タイプやクリームの保湿剤を肌が乾く前に塗る 肌に刺激のある香料や 肌を乾燥させるアルコールが入っていないものを選ぶ さらさらの物よりも濃いテクスチャーの物が良い 加湿器を使用する 洗濯物を室内で干す 浴槽にお湯をはったままドアを開ける 鍋物 麺類など湯気の上がるものを選ぶ 鉢植えの植物を飾る 外気が肌に触れないようにする 頭 首元 足首も注意 29