わが国の投資顧問業務について

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会員限り

金融商品取引法の改正 ~ インサイダー取引規制に係る見直しについて 1. はじめに 2013 年 4 月 16 日に 金融商品取引法等の一部を改正する法律案 が第 183 回国会に提出され 同年 6 月 12 日に成立 同月 19 日に公布されました ( 平成 25 年法律第 45 号 以下 改正法

(4) リスク管理の徹底運用受託者は 運用ガイドライン及び組合との間で合意した目標リスク ( トラッキング エラー等 ) を遵守し リスク管理を徹底しなければならない (5) その他その他 組合から運用上の指示がある場合には 運用受託者はこれに従うものとする 3 個別の資産区分に関する運用上の遵守事

事務ガイドライン ( 第三分冊 )13 指定信用情報機関関係新旧対照表 Ⅰ-2 業務の適切性 現行改正後 ( 案 ) Ⅰ-2 業務の適切性 Ⅰ-2-4 信用情報提供等業務の委託業務の効率化の観点から 内閣総理大臣 ( 金融庁長官 ) の承認を受けて信用情報提供等業務の一部を委託することが可能とされて

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五有価証券 ( 証券取引法第二条第一項に規定する有価証券又は同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利をいう ) を取得させる行為 ( 代理又は媒介に該当するもの並びに同条第十七項に規定する有価証券先物取引 ( 第十号において 有価証券先物取引 という ) 及び同条第二十一項に規定する有価証券先

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退職等年金給付積立金等の管理運用の方針

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

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間 ) に係る譲渡益や配当等が非課税となる口座をいう (6) 事業主等民間企業等 官公庁等又はその他の事業体で 当該職場に所属する役職員等に対して職場積立 NISAを提供する主体をいう (7) 利用者職場積立 NISAを利用する役職員等をいう (8) 事務局職場積立 NISAの運営に係る以下の事務等

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アナリスト レポートの取扱い等に関する規則 ( 平 ) ( 目的 ) 第 1 条この規則は アナリスト レポートの取扱い等に関し 協会員 ( 特別会員にあっては 金融商品取引法 ( 以下 金商法 という ) 第 33 条第 2 項第 3 号ハ又は同項第 4 号ロに掲げる行為 ( 以下

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2.MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針 MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針の策定 公表 MUFG は お客さま本位の取組みの徹底を図るため グループ共通の指針となる MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針 を策定 公表します 本方針の下 グループ各社がお客

することを可能とするとともに 投資対象についても 株式以外の有価証券を対象に加えることとする ただし 指標連動型 ETF( 現物拠出 現物交換型 ETF 及び 金銭拠出 現物交換型 ETFのうち指標に連動するもの ) について 満たすべき要件を設けることとする 具体的には 1 現物拠出型 ETFにつ


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本 Q&A においては 以下の略称を用いています 法 金商法 金融商品取引法 施行令 金融商品取引法施行令 府令 金商業等府令 金融商品取引業等に関する内閣府令 監督指針 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針 パブコメ 平成 19 年 7 月 31 日付金融庁 コメントの概要及びコ メントに対す

PYT & Associates Attorney at law

なお 検証に当たっては 特に以下の点に留意する イ.~ニ.( 略 ) 改正後 なお 検証に当たっては 特に以下の点に留意する イ.~ニ.( 略 ) ( 新設 ) ホ. 経営に実質的に関与していない第三者と根保証契約を締結する場合には 契約締結後 保証人の要請があれば 定期的又は必要に応じて随時 被保

< 目的 > 専ら被保険者の利益 にはそぐわない目的で運用が行われるとの懸念を払拭し 運用に対する国民の信頼を高める 運用の多様化 高度化が進む中で 適切にリスクを管理しつつ 機動的な対応を可能に GPIF ガバナンス強化のイメージ ( 案 ) < 方向性 > 1 独任制から合議制への転換基本ポート

平成22年2月●日

目次 ドイツにおける貸金業等の状況 2 フランスにおける貸金業等の状況 4 米国における貸金業等の状況 6 英国における貸金業等の状況 8 韓国における貸金業等の状況 9 ( 注 1) 本レポートは 金融庁信用制度参事官室において 外国当局 調査会社 研究者等からのヒアリング結果等に基づいて作成した

有価証券等の情報(会社計)162 満期保有目的の債券 がを超えるもの がを超えないもの 公社債 435, ,721 31, , ,565 29,336 外国証券 ( 公社債 ) 1,506,014 1,835, ,712 1,493,938 1,778

ファンド名説明 ifree 8 資産バランス 本を含む世界の 8 資産へ均等に分散投資します 株式および不動産投資信託に投資することで世界の経済成 の果実を享受するとともに これらとは値動きの異なる債券にも投資することで安定した収益の確保も期待できます これまで預貯 中 だったお客様が幅広く資産を分

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特定個人情報の取扱いの対応について

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162 有価証券等の情報(会社計 満期保有目的の債券 ( 単位 : 百万円 ) がを超えるもの がを超えないもの )合計 2,041,222 2,440, ,058 1,942,014 2,303, ,434 責任準備金対応債券 ( 単位 : 百万円 ) が貸借対照表 公社債

受益者の皆様へ 平成 28 年 2 月 15 日 弊社投資信託の基準価額の下落について 平素より弊社投資信託をご愛顧賜り 厚くお礼申しあげます さて 先週末 2 月 12 日 ( 金 ) 以下のファンドの基準価額が 前営業日の基準価額に対して 5% 以上下落しており その要因につきましてご報告いたし

農地中間管理機構 ( 仮称 ) の制度の骨格 ( 案 ) 資料 農地中間管理機構の指定都道府県のコントロールの下に適切に構造改革 生産コスト引下げを推進するため 都道府県段階に設置する 1 都道府県知事は 農地中間管理事業を公平かつ適正に行うことができる法人 ( 地方公共団体の第 3セク

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問 4. 登録制度に関する次の記述のうち 誤っているものはどれか a. 第 2 種旅行業を営もうとする者は その主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に新規登録の申請をしなければならない b. 平成 18 年 4 月 1 日に登録の有効期間が満了となる旅行業者に対して 同年 4 月 15 日に更

8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

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事業内容を補完し又は一体不可分として捉えることができる業務については行うことが可能であると考えられることから 債務保証や質権設定がこのような趣旨で行われるのであれば可能であると考えられます LPSにおいて出資一口の金額は均一であることが必要でしょうか LPS 法において出資一口の金額は均一でなければ

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将来返上認可 過去返上認可 6 基金 解散認可 1 基金 一括納付による解散である 3 指定基金制度ア概要年金給付等に要する積立金の積立水準が著しく低い基金を 厚生労働大臣が指定します この指定された基金に対して 5 年間の財政健全化計画を作成させ これに基づき事業運営を行うよう重点的に指導すること

プライバシーポリシー 2019 年 1 月改正 藍澤證券株式会社 当社は お客様の個人情報及び個人番号 ( 以下 個人情報等 といいます ) に対する取組み方針として 次のとおり プライバシーポリシーを策定し 公表いたします 1. 基本方針 藍澤證券株式会社 ( 以下 当社 ) では お客様からお預

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各位 2019 年 2 月 21 日 インフラファンド発行者名 東京インフラ エネルギー投資法人 代表者名 執行役員 杉本啓二 ( コード番号 9285) 管理会社名 東京インフラアセットマネジメント株式会社 代表者名 代表取締役社長 杉本啓二 問合せ先 管理本部長 真山秀睦 (TEL: 03-65

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アガルートアカデミー宅地建物取引士試験総合講義業法 第 1 宅地 建物 取引 業 とは 宅地建物取引業 ( 宅建業 ) を営むためには 原則として 免許を受ける必要があります (3 条 1 項 ) 宅地建物取引業 とは 宅地または建物の取引を業として行うことをいいます (2 条 2 号 ) 宅地 建

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協会員の従業員に関する規則 及び 協会員の従業員における上場会社等の特定有価証券等に係る売買等に関する規則 等の一部改正について ( 案 ) 平成 29 年 5 月 17 日日本証券業協会 Ⅰ. 改正の趣旨本協会では 平成 28 年 7 月 19 日付で 自主規制規則の見直しに関する検討計画について

社長必見≪ここがポイント≫マイナンバーガイドライン(事業者編)

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平成 20 年 2 月 21 日金融庁証券取引等監視委員会 金融商品取引法の疑問に答えます

この制度は 2003 年 9 月 2 日から施行され 旧 地方自治法 244 条の2による管理委託を行ってきた 公の施設 の場合は 3 年間 ( 経過措置 ) の間に自治体が指定管理者制度に移行することになっている 現時点で 指定管理者制度導入のため 1 指定の手続きについて一般ルールとして定めた自

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証券総合取引および口座開設に関する確認書兼確約書(2017年3月31日改定版)

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新株予約権 取得請求権等が付された上場有価証券等については これらの権利を行使できる期間に制限がありますのでご留意ください また 新株予約権証券は あらかじめ定められた期限内に新株予約権を行使しないことにより 投資金額全額を失う場合があります 外国証券については 我が国の金融商品取引所に上場されてい

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い また 独立代理人は その行為が行われる方法について本人から詳細な指示を受けない 本人が代理人の特別な技能や知識に依存しているという事実は 独立性の指標となる 法的独立性の基準に関して 親会社が株主としてその子会社に対して行使する支配は 親会社の代理人としての子会社の独立性の検討にあたっては無関係

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平成 30 年 4 月 24 日 各 位 会社名楽天株式会社 代表者名代表取締役会長兼社長三木谷浩史 ( コード :4755 東証第一部 ) 連結子会社 ( 楽天証券株式会社 ) の決算について 当社連結子会社の楽天証券株式会社 ( 代表取締役社長 : 楠雄治 本社 : 東京都世田谷区 以下 楽天証

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Ⅱ. 主な内容 第 1 部公益法人の概況 1. 法人数 平成 29 年 12 月 1 日の公益法人は 9,493 法人 ( 前年比 +35) である 公益法人数の変動は 公益認定又は移行認定により増加し 法人の解散 公益認定の取消し及び合併に伴う減少がある ( 注 ) 公益認定 : 一般法人で公益認

プライバシーポリシー ( 個人情報保護宣言 ) 当社は 当社の営む事業に関して取得した個人情報について 個人情報保護法及びその他関係諸法令 主務大臣のガイドライン及び認定個人情報保護団体の指針並びにその他の規範を遵守すると共に 以下のとおり個人情報保護方針を策定し これを遵守することを宣言いたします

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平成22 年 11月 15日

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重大な約款変更(確定)のお知らせ

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中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律

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特別勘定運用レポートをご覧いただくにあたって 当資料をご覧いただく際にご留意いただきたい事項 当資料はご契約者さま等に対し 三井住友海上プライマリー生命のえがお ひろがる 積立金自動移転特約付通貨選択一般勘定移行型変額終身保険 の特別勘定および特別勘定が主たる投資対象とする投資信託の運用状況を開示す

規制 制度改革に関する閣議決定事項に係るフォローアップ調査の結果 ( 抜粋 ) 規制 制度改革に係る追加方針 ( 抜粋 ) 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 番号 規制 制度改革に係る追加方針 ( 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 ) における決定内容 規制 制度改革事項 規制 制度

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上場有価証券等書面

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b c.( 略 ) 2 不動産取得税の軽減に係るの発行信託会社等の地方税法附則第 11 条第 12 項に基づく不動産取得税の軽減のための同法施行令附則第 7 条第 12 項に規定するの発行等については 以下のとおり取り扱うものとする イ ロ.( 略 ) 載があること c d.( 略 ) 2 不動産取

株式併合、単元株式数の変更および定款の一部変更に関するお知らせ

Transcription:

資料 1 わが国の投資顧問業務について 平成 17 年 4 月 15 日 ( 金 )

わが国の投資顧問ビジネスの発展 投資顧問業務は 顧客との直接のコミュニケーションを通じ 顧客の特性 ニーズを踏まえたテーラーメードで かつ専門的な資産運用サービス ( 投資助言 投資一任業務 ) を提供することを特徴としている 加えて 顧客に対して忠実に専門家としての注意深さをもって業務を行う 受託者責任 が強く求められており 各種の自主規制ルールを自ら課し 遵守することによって 顧客の側 に立ったサービスを提供している 投資一任会社では 独自の運用スタイルや運用手法を持つ会社が勢力を伸ばしつつある 最近では 顧客が国内外のコンサルタント会社からのパフォーマンス評価や定性評価を踏まえ委託先を選定するケースが一般的である 投資一任会社は 常に市場からの評価にさらされており このような中で競争を続けていることが業界全体の質的向上につながっている 1

わが国の投資顧問ビジネスの発展 投資一任会社の契約資産残高は 順調に拡大してきている とりわけ 平成 2 年 4 月の厚生年金基金への運用参入以降 各種年金を中心に契約資産残高は 100 兆円を超える規模にまで拡大 年金資金の運用においては信託銀行に次ぐ地位を占めている ( 単位 : 兆円 ) 120.0 100.0 投資一任会社の契約資産残高推移 郵貯 簡保資金への運用参入厚年基金の代行返上 102.4 株式市場の低迷 80.0 適格退職年金への運用参入 90.7 91.1 88.8 83.7 93.2 国民年金基金への運用参入 71.4 60.0 40.0 厚生年金基金への運用参入 30.4 33.0 年福事業団 ( 当時 ) への運用参入 34.8 36.2 39.4 38.2 45.8 56.0 60.7 20.0 16.6 20.8 0.0 63 年 3 月末 元年 3 月末 2 年 3 月末 3 年 3 月末 4 年 3 月末 5 年 3 月末 6 年 3 月末 7 年 3 月末 8 年 3 月末 9 年 3 月末 10 年 3 月末 11 年 3 月末 12 年 3 月末 13 年 3 月末 14 年 3 月末 15 年 3 月末 16 年 3 月末 16 年 12 月末 2 ( 社 ) 日本証券投資顧問業協会

わが国の投資顧問ビジネスの発展 投資一任会社の顧客層は 顧客は年金など機関投資家が中心 (cf 証券会社のラップビジネスは個人顧客が中心 ) 不特定多数の個人が中心の投資信託と比べ 機関投資家の高度なニーズに沿ったテーラーメイドの商品提供が求められる 比較的長期的な視野に立ったリスクテークが可能である わが国経済のリスクマネー供給に重要な役割を果たす存在 ( 参考 ) 投資一任会社の契約資産の内訳 ( 平成 16 年 12 月 兆円 ) 年金 投資信託 金融機関 事業会社 その他 個人 小計 海外 合計 43.2 1.7 35.3 4.3 2.1 0.04 82.8 19.6 102.4 3

投資顧問業者の登録状況の推移 投資一任会社については 当初は証券 銀行 保険の系列運用会社が中心であったが この数年はこうした系列の運用会社が減少する一方で 外資系や独立系の会社が増加してきている また 平成 16 年 4 月の投資顧問業法改正により 信託銀行の投資一任業務 証券会社のラップ口座を通じての投資一任業務が開始されたことから 一段と幅広い業態の参入が進んでいる ( 単位 : 件数 ) 800 投資一任会社の系列別内訳数 700 600 500 400 登録顧問会社投資助言会社 695 うち協会会員数 (203) 561 うち協会会員数 (82) 証券銀行信託生保 14 13 2 8 300 損保 3 200 投資一任会社 流通等 5 100 134 うち協会会員数 (121) 独立 26 0 外資 55 62 年 10 月 63 年 3 月末 元年 3 月末 2 年 3 月末 3 年 3 月末 4 年 3 月末 5 年 3 月末 6 年 3 月末 7 年 3 月末 8 年 3 月末 9 年 3 月末 10 年 3 月末 11 年 3 月末 12 年 3 月末 13 年 3 月末 14 年 3 月末 15 年 3 月末 16 年 3 月末 16 年 12 月末 証券会社 ( 兼業 ) 2 信託銀行 ( 兼業 ) 6 合計 134 4

投資顧問業法について ~ 制定の経緯 ~ 昭和 61 年 11 月 有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律 施行 当時 誠備グループ事件, 投資ジャーナル事件等 悪質業者による様々な投資家被害が発生したことが契機となり 投資顧問業法が制定され投資者保護のため様々な行為規制が設けられた < 参考 > ( 法第 1 条 : 目的 ) この法律は 有価証券に係る投資顧問業を営む者について登録制度を実施し その事業に対し必要な規制を行うことにより その業務の適正な運営を確保し もつて投資者の保護を図ることを目的とする 5

投資顧問業法について ~ 投資助言と投資一任 ~ 投資助言業務 有価証券の価値等又は有価証券の価値等の分析に基づく投資判断に関し 顧客から報酬を得て助言を行う 投資一任業務 顧客から有価証券の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに 当該投資判断に基づき当該顧客のため投資を行うのに必要な権限を委任され 顧客に代わって投資を行う 投資顧問会社 投資助言契約 顧客 投資一任契約 顧客 信託契約 実際に投資するかどうかは顧客の判断 発注 投資顧問会社 三者協定 信託銀行資産の保管 管理 証券会社等 < 投資者保護に係る規制 > 証券取引行為の禁止 ( 助言のみ ) 金銭又は有価証券の預託の受入れ等の禁止 金銭又は有価証券の貸付け 貸付けの媒介等の禁止 発注 運用指図 証券会社等 有価証券等売買 受渡し 6

投資顧問業法について ~ 登録 認可 ~ 登録 投資顧問業 (= 投資助言業務 ) を営む場合 内閣総理大臣の登録を受ける必要がある 個人 法人共に適格要件の定めあり 営業保証金の供託が必要 ( 主たる営業所につき500 万円 ) 認可 投資一任業務を営む場合 登録を受けた投資顧問業者で 内閣総理大臣の認可を受ける必要がある 営業保証金の供託が必要 ( 上記に加え主たる営業所につき 2000 万円 ) < 参考 : 投資顧問業法逐条解説より > 他人から投資判断を一任されて有価証券投資を行うことは 他人の財産に直接関与する業務であり 当事者間における高い信頼関係を必要とする 登録を受けた投資顧問業者のうちで 人的構成 財産的基礎からみて 当該業務を行ったとしても投資者保護上問題を生じることがないと認められる者だけが 一定の業務の内容及び方法にしたがって行う場合にのみ これを認可する 7

投資顧問業法について ~ 主な投資者保護に係る規制 ~ 広告規制 ( 法第 13 条 ) 誇大広告の禁止など 契約締結前 締結時のディスクロージャー規定 (14 条 15 条書面 ) 自己取引等のディスクロージャー規定 (16 条書面 ) クーリングオフ規定 ( 法第 17 条 ) 投資一任契約には適用されない 証券取引行為の禁止 ( 法第 18 条 ) 投資一任契約には例外規定あり 金銭又は有価証券の預託の受入れ等の禁止 ( 法第 19 条 ) 金銭又は有価証券の貸付け 貸付けの媒介等の禁止 ( 法第 20 条 ) 忠実義務 ( 法第 21 条 法第 30 条の2) その他禁止行為 ( 法第 22 条 法第 30 条の3) 損失補填 特別の利益の提供 スカルピングの禁止等 これら一連の投資者保護の枠組みが機能し 業法制定以来 登録業者による悪質な刑事事件は発生していない 巷間報道される顧客資金の不正利用 持逃げといった事件の類は無登録業者等によるもの 8

投資顧問業法について ~ 主な投資者保護に係る規制 ~ 認可投資顧問業者 ( 投資一任業者 ) に対する規制 兼業制限 ( 法第 31 条 ) 専業義務が課せられている 届出業務 ( 投資信託委託業 投資法人資産運用業 ) 認可業務 ( 証券業 信託業務 ) 承認業務 ( 上記以外の業務 ) 業務方法書の提出 取締役の兼職制限 主要株主規定 最低資本金規制 報告書の交付 (32 条書面 ) 9

その他の投資者保護のための仕組み 自主規制ルール 自主規制機関である日本証券投資顧問業協会が適切な行為規範を確立し 会員にその遵守を求めること等を通じて投資者保護を図る 行為規範の遵守状況は当然に検証される また 公益及び投資者の保護に資する行為規範の趣旨は非会員にあっても求められる ( 金融検査マニュアルより ) 自主規制ルールの 4 つの柱 1. 広告 勧誘等に関する自主規制基準 2. 内部者取引の未然防止についてのガイドライン 3. 業務運営にあたり留意すべき基準について 4. 業務執行体制に関する自主規制基準 10

現行法上の問題点 投資顧問業法における投資 ( 助言 ) 対象 証券取引法に規定する有価証券に限定されている 為替, 金融先物, 金融デリバティブ等を利用するには有価証券投資に付随することが前提 例えば金融デリバティブのみを扱う商品では兼業承認が必要となる 兼業承認を受けるにしても手続上の負荷や時間的ロスを勘案すると 高度化する顧客ニーズに対応したタイムリーな商品設計や顧客営業が難しい (cf) 信託銀行 ( 本来は投資対象に特段の制限なし ) が 兼業で投資一任業務を行う場合は有価証券に限定されることになる 投資信託委託業者は 主たる投資対象を有価証券のほか不動産や金融デリバティブ取引に係る権利など投信法に定める 特定資産 とすれば 特定資産以外についても投資が可能 11

現行法上の問題点 可能な業務 取引の範囲は? 有価証券の貸付け ( セキュリティーズ レンディング ) 為替オーバーレイ業務 議決権行使の助言 他業態との境界線が曖昧に 証券会社の付随業務としての投資助言 フィナンシャル アドバイザー等 12

投資顧問業者の受託者責任 ~ 資産運用業務における忠実義務 ~ 忠実義務 投資助言 ( 法第 21 条 ) 投資顧問業者は 法令及び投資顧問契約の本旨に従い 顧客のため忠実に投資顧問業を行わなければならない 投資一任 ( 法第 30 条の2) 認可投資顧問業者 ( 再委任を受けた者を含む ) は 法令及び投資一任契約の本旨に従い 顧客のため忠実に投資一任契約に係る業務を行わなければならない 13

投資顧問業者の受託者責任 ~ 利益相反防止の枠組みをどう考えるか ~ 現在の 投資サービス法 の議論において 証券業と投資顧問業務を一体化する方向性が示されている 顧客と市場との仲介者として顧客を相手方とする証券業 ( 販売, 引受, 自己売買等 ) と 顧客の側に立つ投資顧問業務との間には 利益相反の発生する恐れがある これらの利益相反防止の枠組みが構築され そのエンフォースメントが効果的に行われるかどうか 十分な検討が必要であろう 14