< 目次 > 第 1 章責任投資についての基本的な考え方... 3 第 2 章責任ある投資家としての組織体制... 4 第 3 章 スチュワードシップ活動への取組み 1. 投資先企業の望ましい経営のあり方 (1) 社会的責任への適切な取組み... 5 (2) 資本の効率的な活用による価値創造...

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チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針


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Transcription:

責任投資への取組み 当社は お客様から委託された資金を運用し お客様の利益向上を目指す運用会社として フィデュー シャリー デューティー ( 注 1) を果たすため 以下の取組みを行っています お客様にとって最良のパフォーマンスを提供することを常に最優先の目的として お客様からお預かりした資産の中長期的な成長を目指します スチュワードシップ コード及びコーポレートガバナンス コード ( 注 2) の下 投資先企業との建設的な目的を持った対話 ( エンゲージメント ) 議決権行使 ESG( 注 3) の考慮などを通じてスチュワードシップ責任を果たし 投資の好循環を実現してゆきます 投資の好循環により 企業の稼ぐ力 と 国民の資産形成 の拡大及び健全で持続可能な社会の実現に取り組んでゆきます お客様と社会から深く信頼される運用会社として 資産運用ビジネスを通じて社会の発展に貢献してゆきます ( 出所 ) 金融庁及び経済産業省資料等を参考に野村アセットマネジメント作成 ( 注 1) フィデューシャリー デューティー (Fiduciary Duty) とは 顧客本位の業務運営 を行う義務を意味します ( 注 2) コーポレートガバナンス コード とは 株式会社東京証券取引所が有価証券上場規程の別添として 2015 年 6 月 1 日付で定めたもので 実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則が取りまとめられています ( 注 3) ESG とは Environment( 環境 ) Social( 社会 ) 及び (Corporate)Governance( 企業統治 ) の総称です 当社は ESG 課題を 企業が社会的責任や持続性の観点から取り組むべき事項として重要視しています 1

< 目次 > 第 1 章責任投資についての基本的な考え方... 3 第 2 章責任ある投資家としての組織体制... 4 第 3 章 スチュワードシップ活動への取組み 1. 投資先企業の望ましい経営のあり方 (1) 社会的責任への適切な取組み... 5 (2) 資本の効率的な活用による価値創造... 5 (3) コーポレート ガバナンス機能の十分な発揮... 5 (4) 適切な情報開示と投資家との対話... 6 2. エンゲージメント (1) エンゲージメントの基本方針... 6 (2) エンゲージメントの状況... 7 (3) エンゲージメントの事例... 7 3. 議決権行使 (1) 議決権行使の基本方針... 8 グローバルな議決権行使の基本方針 と 日本企業に対する議決権行使基準... 8 (2) 議決権行使に関する組織体制... 9 (3) 議決権行使結果... 9 第 4 章 責任投資に係る各種原則への対応 1. 日本版スチュワードシップ コード... 10 2. 国連責任投資原則 ( 国連 PRI) (1) 国連 PRI への署名... 16 (2) 国連 PRI に対する私たちの考え方... 16 3. 持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則 (21 世紀金融行動原則 )... 17 2

第 1 章責任投資についての基本的な考え方 当社は 常にお客様のニーズに適した質の高い資産運用サービスを提供し お客様と社会から深く信頼される運用会社として 資産運用ビジネスを通じて社会の発展に貢献してゆくことを その使命と考えています お客様の資産を預かる運用会社として フィデューシャリー デューティーに基づき 運用において直面する利益相反の課題について お客様の利益を損なうことがないよう適切な管理を行い 独立性を確保してゆきます また 議決権など有価証券投資に付与されている権利を適切に行使し お客様の利益の最大化に努めてゆきます お客様の資産の中長期的成長において投資先企業の持続的成長と価値創造が不可欠であり 当社はそれらの実現のために エンゲージメントや議決権行使などのスチュワードシップ活動 (*) に取り組むことを 運用会社として果たすべき重要な責務であると考えています 投資先企業における ESG に係わる課題は 企業が社会の一員として持続的に事業活動を行い 価値を創造してゆくうえで対処すべき基本的な課題です 従って 当社はスチュワードシップ活動において投資先企業における ESG 課題への対応状況を的確に把握し 企業が適切に課題に取り組むよう 対話に努めてゆきます 当社は 以上のような行動全般が 最終的に 健全で持続可能な社会および効率的かつ安定的な資本市場の実現につながるものであると考え 責任ある投資家 としてとるべき行動であると認識しています その上で これらの行動を伴う投資を 責任投資 と定義し 積極的に取り組んでゆきます (*) 金融庁は 同庁が作成した 日本版スチュワードシップ コード において スチュワードシップ責任を以 下のように説明しています 本コードにおいて スチュワードシップ責任 とは 機関投資家が 投資先の日本企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な 目的を持った対話 ( エンゲージメント ) などを通じて 当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより 顧客 受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を意味する 本コードは 機関投資家が 顧客 受益者と投資先企業の双方を視野に入れ 責任ある機関投資家 として当該 スチュワードシップ責任 を果たすに当たり有用と考えられる諸原則を定めるものである ( 出所 ) 金融庁 3

第 2 章 責任ある投資家としての組織体制 当社は スチュワードシップ活動において発生する可能性のある利益相反を適切に管理するため 独立性の高い運用 調査関係者で構成される 責任投資委員会 を設置し スチュワードシップ活動における方針の策定等を行います 委員会の委員は 原則として運用 調査における意思決定に係る者のみとし 利益相反の立場にある者又はそれを代弁する可能性のある者を除外しています また 取締役会の下に利益相反管理統括責任者と独立社外取締役のみによって構成される 責任投資諮問会議 を設け 特に利益相反を伴う議決権行使等のスチュワードシップ活動については 利益相反によりお客様の利益が損なわれることなく意思決定されるよう監視する体制としています 責任投資諮問会議は 必要に応じて 経営会議又は責任投資委員会に改善を勧告し その内容を取締役会に報告します さらに 責任投資委員会には責任投資諮問会議のメンバーが陪席し 利益相反の観点から問題がある場合は速やかに意見を述べることができるようにすることで 責任投資諮問会議がスチュワードシップ活動に係る利益相反を適切に監視し 未然に防止できる体制としています 4

第 3 章スチュワードシップ活動への取組み 当社は 投資先企業が企業価値の向上と持続的成長を実現するために望ましい経営のあり方を定め これを実現するよう エンゲージメントの基本方針および議決権行使の基本方針を定め 公正かつ一貫 した姿勢をもって投資先企業への働きかけを行ってゆきます 1. 投資先企業の望ましい経営のあり方 (1) 社会的責任への適切な取組み当社は 企業が常に適切な行動を取ることは 企業が社会の一員として存在を認められるための必須条件であるとともに 事業活動の持続性の基盤であると考えます 企業の適切な行動の前提として 企業が法令を遵守するのはもちろんのこと 社会良識 社内の規則 規範なども遵守すべき事項に含まれると考えます 当社は グローバルな環境や社会の問題など ESG 課題に代表される様々な企業の社会的責任に対しても 企業が適切な行動をとることで 長期的な企業価値が向上すると考えます (2) 資本の効率的な活用による価値創造当社は 企業価値の向上と持続的成長のためには 企業が中長期的に資本コストを上回る効率で資本を活用して価値を創造することが必要であると考えます また 企業が資本を効率的に活用して価値を創造することは 企業が社会的貢献を実現するためにも必要と考えます (3) コーポレート ガバナンス機能の十分な発揮当社は 企業が価値創造と持続的成長を実現させてゆくための前提として コーポレート ガバナンスが十分機能していることが必要であると考えます 当社は 望ましいコーポレート ガバナンスの形態を 以下のように考えます 1 取締役会が 適正な経営判断が下せる人材と規模で構成され 十分に機能していること 2 監査委員会または監査役会が 株主に代って取締役の業務を監査することのできる適切な人材で構成され 十分に機能していること 3 各種委員会が設置される場合 それぞれの委員会が適切な人材で構成され かつ 独立性を保ちつつ運営されていること 4 役員報酬が 企業価値の向上と経営者のインセンティブのバランスがとれたものであること 5コンプライアンス 内部監査など 十分な内部統制を可能とするガバナンス システムが確立されていること 6 法令 市場規則などを順守し コーポレートガバナンス コードなどに適切に対応していること 5

(4) 適切な情報開示と投資家との対話当社は 投資先企業の状況を的確に把握するために 企業が適時 適切に情報を開示し説明責任を果たすことが必要であると考えます また 投資家の意見を適切に経営に反映させるために 企業が積極的に投資家との対話を行うことが必要であると考えます 特に法令違反や反社会的行為については 原因の究明および責任の所在の明確化ならびに効果的な再発防止策の策定および徹底について 十分な開示と説明を求めます 2. エンゲージメント (1) エンゲージメントの基本方針当社は 投資先企業とのエンゲージメントを スチュワードシップ活動における責任を果たすための有力な手段と考えており 積極的に取り組んでゆきます 当社は エンゲージメントは 投資先企業やその事業環境に関する深い理解に基づいて行うものと考えており 企業の状況の的確な把握に努めてゆきます その上で エンゲージメントを通じて 企業が望ましい経営を行い 企業価値の向上と持続的成長を実現するよう促してゆきます ただし 経営に課題を抱える企業に対して改善を要求することのみをエンゲージメントと考えるのではなく 望ましい経営を行っている企業に投資家としての支持を伝えることも エンゲージメントにおける重要な要素であると考えています 当社は ファンダメンタルズについての徹底的な調査 分析をベースとした中長期投資を基本としており 中長期的なファンダメンタルズがエンゲージメントにおける中心的なテーマであると考えています ただし 個々の投資先企業と対話すべき具体的な内容は 企業を取り巻く環境や企業の経営状況の違いなどによって多様であると考えています 以上の考えのもと 当社は エンゲージメントの際の基本的な姿勢を以下のように定め 投資先企業との日々の対話の中で議論を行い 相互理解を深めることでスチュワードシップ責任を果たしてゆきます 1 友好的かつ建設的な姿勢で対話に努めること 2 財務情報だけではなく ESG 課題への対応状況や背景にある戦略や哲学などの非財務情報の理解にも努めること 3 資本の効率的利用に関する投資先企業の考え方を聞くとともに当社の考え方を伝えること 4 重大な不祥事 事故などが生じた際には原因や再発防止策を聞き健全な経営を促すこと 当社は このような活動を通して 投資先企業に価値創造と持続的成長を促してゆきます エンゲージメントにおいて インサイダー取引規制における未公表の重要事実 あるいは その恐れのあ る情報を受領する場合も考えられます 未公表の重要事実 あるいは その恐れのある情報を受領し た場合は 法令 諸規則や社内ルール等に則って 適切にその情報を取り扱います 6

(2) エンゲージメントの状況当社は 投資判断において企業への直接取材を重視しており コンタクト件数は年間延べ 5,000 件以上に及びます その内容は 説明会への参加から IR 担当者への取材や現場見学 経営者とのミーティングまで多岐にわたっていますが 中でも 当社内において行われる企業とのミーティングは年間約 2,000 件に上り 企業経営に関する詳細な議論や経営課題に関する率直な意見交換ができる重要な対話機会と位置付けられます これらの来社ミーティングのうち およそ 4 割は企業経営を担う役員の方々に出席いただいており 経営全般にわたる多様な議論が行われております 企業を取り巻く事業環境や事業戦略 財務戦略 それらの結果である経営実績 そして株主還元などの資本政策は相互に密接に関連しており エンゲージメントはそれらについての日々の対話の中において行われるべきものだと当社は考えます なお コンプライアンスやコーポレート ガバナンスなどに関わる課題についても対話の機会を設けるなど ESG の観点においても機関投資家としての責任を果たすべく努めております (3) エンゲージメントの事例当社は 投資先企業との対話は お互いの理解に基づく建設的なものであるべきだと考えています そのためには企業側の IR 努力に加えて 投資家側の理解を深める努力も不可欠です 当社はできるだけ多くの企業との間で継続的なコミュニケーションを行うよう努めています このような日々のコミュニケーションの中で 建設的な 目的を持った対話 すなわちエンゲージメントが実現できるものと 当社は考えます エンゲージメントの主なテーマとしては 1 企業価値向上に向けた事業戦略などに関するもの 2 安全管理やコンプライアンスなどに関するもの 3コーポレート ガバナンス体制など議決権行使に関するもの 4ESG 課題への取組みに関するもの などがあげられます 以下 当社で行われた対話の一部を 概要のみご紹介します 企業価値向上に向けた事業戦略などに関する対話事例 電機機器会社の経営者にお越しいただき 中期経営計画に関し 事業の選択と集中の観点から 今後の経営戦略について対話を行いました 卸売会社の経営者にお越しいただき コーポレートガバナンス コードへの積極的対応の観点から ROE8~10% 水準の達成のために利益水準の向上とともに財務レバレッジを適正レベルまで高めていく考え方などについて対話を行いました 安全管理やコンプライアンスなどに関する対話事例 自動車会社や自動車部品会社を訪問し 各々の不祥事の経緯を確認するとともに今後の取組みについて対話を行いました 化学会社の IR 担当者にお越しいただき 不祥事に絡んだ継続的なエンゲージメントの中で 企業イメージが毀損したことを踏まえて 今後は非財務的側面の強化も含めて企業価値向上の努 7

力を継続し 投資家への情報発信も強化していくことについて対話を行いました コーポレート ガバナンス体制など議決権行使に関する対話事例 通信会社の役員にお越しいただき 取締役会出席率の低い社外取締役候補に関し その理由と今後の対応策について対話を行いました 化学会社の役員にお越しいただき 中長期的な執行能力の底上げのための施策として 取締役会での議論をより中長期的な戦略の話が中心になるように改善すること 経営を担う人材育成の見える化などについて対話を行いました ESG 課題への取組みに関する対話事例 金融機関の IR 担当者からご相談をいただき 単なる CSR 活動に留まらず 会社として目指す姿や企業価値の向上 持続的成長のあり方 関係するステークホルダー等を定義し それに対する取組みとリンクする形で対処すべき ESG 課題を特定することが大切であると提案しました 運輸会社の IR 担当者からご相談をいただき 高品質なサービスを提供している割には ROE 実績が高くないため 一段の効率化や販売価格の引上げなどによる収益性の向上 CSR への取組みがどのように企業価値の向上につながるのかという観点からの説明などが求められると提案しました 3. 議決権行使 (1) 議決権行使の基本方針当社は お客様から委託された資金を運用し お客様の利益向上をめざす運用会社として フィデューシャリー デューティー ( 顧客本位の業務運営 を行う義務) を負っています 当社の負っている義務を果たし役割を全うするため 投資先企業に望ましい経営を促し企業価値の向上と持続的成長を実現してゆくように グローバルな議決権行使の基本方針 を定め その方針に基づいて議決権を適切に行使します また 日本企業に対しては グローバルな議決権行使の基本方針 に基づき 日本企業に対する議決権行使基準 を 具体的な議案判断の基準として定めています 議決権を適切に行使することで 投資先企業に対して 長期的に株主の利益を尊重した経営を行うよう求めてゆきます 具体的な内容につきましては 以下のファイルをご参照下さい <PDF ファイル > グローバルな議決権行使の基本方針 と 日本企業に対する議決権行使基準 ( ご参考 )2018 年 11 月 1 日付の改定について 8

(2) 議決権行使に関する組織体制当社における議決権行使に係る意思決定は 責任投資委員会がこれを行います 責任投資委員会は 経営会議において任命された委員長と 委員長が指名した委員で構成されています 委員は各運用領域の責任者を中心に構成されると共に 社外取締役も同席し より透明性の高い意思決定の行える組織体制を構築しております 議決権行使に係る一連の業務については 役割分担を定められた各部署が責任をもって遂行しています (3) 議決権行使結果 当社における議決権行使結果は 四半期ごとに 議案分類ごとの集計結果と 個別の投資先企業 および議案ごとの判断結果を それぞれ開示しております <PDF ファイル> 2018 年 7 月 ~9 月議決権行使結果 2018 年 4 月 ~6 月議決権行使結果 2018 年 1 月 ~3 月議決権行使結果 2017 年 10 月 ~12 月議決権行使結果 2017 年 7 月 ~9 月議決権行使結果 2017 年 4 月 ~6 月議決権行使結果 2017 年 1 月 ~3 月議決権行使結果 9

第 4 章責任投資に係る各種原則への対応 1. 日本版スチュワードシップ コード 当社は 責任ある機関投資家 の諸原則 日本版スチュワードシップ コード を受け入れることを 2014 年 5 月に表明しました また 2017 年 5 月に改訂されたコードについても 2017 年 11 月 1 日に受け入れを表明しております 同コードに対応する当社の考えや取組みは以下のとおりです (2018 年 2 月 28 日現在 ) 当社では 投資先企業の企業価値の向上と持続的成長を促す活動に継続的に取り組んでゆくとともに 活動の進捗や成果について定期的に自己評価を行い 公表することによって 改善を図り よりよい活動に繋げてゆきます 当社は インベストメント チェーンの中の運用機関としての責務を深く理解し 投資先企業の持続的成長を促し 顧客 受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図るために スチュワードシップ責任を適切に果たしてまいります 責任ある機関投資家 の諸原則 日本版スチュワードシップ コード Principles for Responsible Institutional Investors 原則 1 機関投資家は スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し これを公表すべきである 当社は お客様から委託された資金を運用し お客様の利益向上を目指す運用会社として フィデュー シャリー デューティー ( 注 1) を果たすため 以下の取組みを行っています お客様にとって最良のパフォーマンスを提供することを常に最優先の目的として お客様からお預かりした資産の中長期的な成長を目指します スチュワードシップ コード及びコーポレートガバナンス コード ( 注 2) の下 投資先企業との建設的な目的を持った対話 ( エンゲージメント ) 議決権行使 ESG( 注 3) の考慮などを通じてスチュワードシップ責任を果たし 投資の好循環を実現してゆきます 投資の好循環により 企業の稼ぐ力 と 国民の資産形成 の拡大及び健全で持続可能な社会の実現に取り組んでゆきます お客様と社会から深く信頼される運用会社として 資産運用ビジネスを通じて社会の発展に貢献してゆきます ( 注 1) フィデューシャリー デューティー (Fiduciary Duty) とは 顧客本位の業務運営 を行う務を意味します ( 注 2) コーポレートガバナンス コード とは 株式会社東京証券取引所が有価証券上場規程の別添として 2015 年 6 月 1 日付で定めたもので 実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則が取りまとめられています ( 注 3) ESG とは Environment ( 環境 ) Social ( 社会 ) 及び (Corporate)Governance ( 企業統治 ) の総称です 当社としては 企業が社会的責任や持続性の観点から取り組むべき重要な事項として重視しています 10

原則 2 機関投資家は スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について 明確な方針を策定 し これを公表すべきである 当社は お客様の利益より当社を含むお客様以外の者の利益を優先させることによりお客様の利益が不当に損なわれる事態を防止する義務を負っています そこで 当社は 利益相反のおそれのある取引等を適切に管理するため 利益相反管理方針 を策定しています スチュワードシップ活動に関する同方針の概要は以下の通りです 1 責任投資に特化した意思決定機関の設置当社では 投資先企業及びその他諸機関等における ESG 課題に関する事項 エンゲージメント ( 注 1) 議決権行使等に関する事項を責任ある機関投資家として考慮すべき事項と定め 責任投資に係る意思決定を行うため 責任投資委員会を設置しています 責任投資委員会の委員長は経営会議が指名し 審議の結果及び決定事項は経営会議に報告されています 委員は 利益相反の立場にある者又はそれを代弁する可能性のある者を除外し 原則として運用 調査に係る意思決定を行う者とし 委員会では投資先企業が企業価値の向上や持続的成長を実現できるよう議論し 意思決定を行っています 議決権行使において利益相反が生じ得る議案については その事実を明らかにした上で 複数の議決権行使助言会社の意見を参考に 株主利益の観点から 責任投資委員会において議決権行使の判断を行っています 2 利益相反が生じ得る局面の特定当社では スチュワードシップ活動において重要な利益相反が生じ得る局面として 以下の議案に係る議決権行使を特定しています グループ関係会社並びにその他の野村ホールディングス株式会社の子会社及び関連会社の株主総会の議案 グループ関係会社が関わる案件 ( たとえば グループ関係会社が財務アドバイザーを務める M&A 及びグループ関係会社が主幹事会社を務める有価証券の募集 売出し ) に係る議案 グループ関係会社 とは 野村ホールディングス株式会社及び野村グループに属して銀行業 金融商品取引業その他の金融業に従事する日本及び外国の会社 ( 当社を除く ) であって 当社の利益相反管理統括責任者が利益相反管理の観点から管理対象に含める必要があると判断した会社のことです 3 独立した諮問会議による監視業務執行から独立した機関として 取締役会の下に 責任投資諮問会議 を設けており 特に利益相反を伴う議決権行使等のスチュワードシップ活動については 利益相反によりお客様の利益が損なわれることなく責任投資委員会において意思決定が行われるよう監視する体制としています 監視機能を適切に果たすため 同会議は利益相反管理統括責任者と独立社外取締役のみによって構成されています また 責任投資委員会には責任投資諮問会議のメンバーが陪席し 利益相反の観点から問題があ 11

る場合はその場で速やかに意見を述べることができるようにすることで 責任投資諮問会議がスチュワードシップ活動に係る利益相反を適切に監視し 未然に防止できる体制としています 責任投資諮問会議は 必要に応じて 経営会議又は責任投資委員会に改善を勧告し その内容を取締役会に報告します 4 経営陣の取り組み当社は 指名委員会等設置会社として経営の監督と執行を分離することで ガバナンスの透明性を高めています 取締役会は 執行役による業務執行に対する監督機能を担っており 経営の独立性と監督の実効性を確保するために野村グループ外から独立社外取締役を複数選任しています 当社の経営陣は 取締役会の監督の下 利益相反管理方針の策定や責任投資委員会の整備など スチュワードシップ責任を果たすための取組みを積極的に推進しております ( 注 1) エンゲージメントとは 投資先企業との建設的な目的を持った対話のことです 原則 3 機関投資家は 投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため 当該 企業の状況を的確に把握すべきである 当社は 投資先企業の理解について 以下のとおり定めています 投資先企業の事業内容や事業環境 経営等について 深い理解に努めること 企業のファンダメンタルズを調査 分析する際には 財務情報だけでなく ESG 課題への対応状況や背景にある戦略や哲学など非財務情報も対象とすること 運用における投資判断 投資先企業とのエンゲージメント 議決権行使などのスチュワードシップ活動は 企業に関する深い理解に基づいて行うこと 当社では 上記を具現化するための体制整備に努めています 当社は 経験豊富かつ多様なアナリスト を多数擁する独自のインハウス リサーチ体制を有しています 加えて 2016 年 4 月にはスチュワードシッ プ活動や ESG 調査等を専門的に担う責任投資調査部を設置しています 当社におけるアナリストや ESG スペシャリストの企業訪問調査やトップ マネジメントとの面談は 年間延べ 5,000 回以上に及びます 当社には日本を代表する企業や次世代を担う成長企業のトップ マネジメントの方々が多数訪問され 一方で企業訪問の際にはトップ マネジメント自らご対応頂くケースも多くあります これらのトップ ミーティングを通じて企業の経営戦略や企業理念 リスクや収益機会等について把握しています 得られた情報に基づきアナリストや ESG スペシャリストと運用担当者の間で活発な議論を行うことで 投資先企業の特徴を踏まえた実効的な状況の把握を行うとともに 企業価値を毀損するおそれのある事項についても早期に把握することに努めています 12

原則 4 機関投資家は 投資先企業との建設的な 目的を持った対話 を通じて 投資先企業と認識の共有を 図るとともに 問題の改善に努めるべきである 当社は エンゲージメント ( 投資先企業との建設的な目的を持った対話 ) を スチュワードシップ責任を果たすための有力な手段と考えており エンゲージメントの基本的な姿勢を以下のように定め これに積極的に取り組んでいます 1 友好的かつ建設的な姿勢で対話に努めること 2 財務情報だけではなく ESG 課題への対応状況や背景にある戦略や哲学などの非財務情報の理解にも努めること 3 資本の効率的利用に関する投資先企業の考え方を聞くとともに当社の考え方を伝えること 4 重大な不祥事 事故などが生じた際には原因や再発防止策を聞き健全な経営を促すこと エンゲージメントにおいては 望ましい経営のあり方を以下のように定めたうえで 公正かつ一貫した姿勢をもって働きかけを行います 1 社会的責任への適切な取り組み 2 資本の効率的な活用による価値創造 3 コーポレートガバナンス機能の十分な発揮 4 適切な情報開示と投資家との対話 エンゲージメントの対象となる企業は アクティブ運用 ( 注 1) のみならずパッシブ運用 ( 注 2) も含め 当 社がその株式を保有している企業の中から 重要性等を勘案して効率的なエンゲージメントができるよう 選定しています 企業価値が毀損されるおそれがある企業に対しては 一層のエンゲージメントを通じて相互理解を目指し 改善に向けた働きかけを行います なお 経営に課題を抱える企業に対して改善を要求することのみをエンゲージメントと考えるのではなく 望ましい経営を行っている企業に投資家としての支持を伝えることも エンゲージメントにおける重要な要素であると考えています 他の機関投資家等との協働 ( 集団的エンゲージメント ) については 投資先企業への働きかけの実効 性を高める活動であると考え 適切に取り組むこととしますが 個別事案における協働については 運用に おける守秘義務も考慮し 慎重に判断します エンゲージメントに際しては 法人関係情報及びその示唆情報 ( 注 3) 又はそれに該当するおそれのあ る情報を受領する場合も考えられます これらの情報を受領した場合は 法令 諸規則や社内ルール等 に則って 適切にその情報を取り扱います 13

( 注 1) アクティブ運用 とは ベンチマークとなる市場インデックス( 日経平均株価や TOPIX など ) を上回る運用成績をあげることを目標とする運用方法です ( 注 2) パッシブ運用 とは ベンチマークに連動する運用成績を目標とする運用手法です ( 注 3) 示唆情報 とは 法人関係情報の取得を示唆する情報のことです 原則 5 機関投資家は 議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに 議決権行使の方針については 単に形式的な判断基準に留まるのではなく 投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである 当社は お客様から委託された資金を運用し お客様の利益向上をめざす運用会社として フィデューシャリー デューティーを負っており 原則としてすべての保有株式について議決権を行使しています 責任投資委員会は グローバルな議決権行使の基本方針 を定めており さらに日本株式については この基本方針に基づき 日本企業に対する議決権行使基準 を定めています 責任投資委員会は これらの基本方針と基準を定期的に見直し 公表します 当社は 議決権行使において 当社の負っている役割を全うし責任を果たすため 国内外の投資先企業に望ましい経営を促し 投資先企業が企業価値の向上と持続的成長を実現してゆくように これらの基本方針と基準に則って 投資先企業に対し議決権を適切に行使します なお 当社では 議決権行使はエンゲージメントの一環と位置付けており 投資先企業の実態を踏まえた判断を行うよう努めています 当社は 従来 日本株式に係る議決権の行使結果を 議案の主な種類ごとに整理 集計し 主要な賛否判断の理由とともに 当社のホームページにおいて 議決権行使結果 として公表しておりましたが 2017 年 1-3 月の行使実績より 個別の投資先企業及び議案ごとの賛否判断の結果の公表 いわゆる 個別開示 も開始し 四半期ごとに更新しています これによって 議決権の適切な行使についての可視性をさらに高めるよう 努めています なお 当社は 多様な論点を確認し より適切な議決権行使を行う目的で 複数の議決権行使助言会社と契約し それらの意見を取得しています 当社の責任投資委員会は 議決権行使の判断に当たって 助言会社の意見を参考にしますが 株主利益の観点から 議決権行使の基本方針に則って独自の判断を行っています 当社では 議決権に係る権利確定日をまたぐ貸株取引を行う場合があります 貸株取引を行う際には 議決権の確保に留意するなど お客様の資産の中長期的な成長に資するよう配慮します 14

原則 6 機関投資家は 議決権の行使も含め スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて 原 則として 顧客 受益者に対して定期的に報告を行うべきである 当社は 情報開示やお客様への報告を通じて 説明責任を適切に果たしてゆきます 議決権の行使結果については 議案の主な種類ごとに整理 集計して公表するだけでなく 個別の投資先企業及び議案ごとの賛否判断の結果の公表 いわゆる 個別開示 も開始し 四半期ごとに更新しています また エンゲージメントについては 1 企業価値向上に向けた事業戦略などに関するもの 2 安全管理やコンプライアンスなどに関するもの 3コーポレート ガバナンス体制など議決権行使に関するもの 4ESG 課題への取組みに関するもの といったテーマ別に事例を公表しています 議決権行使やエンゲージメントといったスチュワードシップ活動については記録を残し 計画的な実施に努 めています 原則 7 機関投資家は 投資先企業の持続的成長に資するよう 投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき 当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである 当社で投資判断を行うアナリストや運用担当者は ファンダメンタルズの調査 分析の一環として 投資先企業やその事業環境等の状況を的確に把握するため 投資先企業との対話を日々行っています また スチュワードシップ活動や ESG 調査等を専門的に担う 責任投資調査部 を設置し スチュワードシップ活動を適切に推進するための人員の確保やアナリストや運用担当者との連携の強化を図っています 更にスチュワードシップ活動に関する社外の研究会等にも積極的に参加し 運用機関としてのスチュワードシップ責任を果たすための実力を備えるよう努めています 当社の経営陣は 運用機関としてのスチュワードシップ責任を果たすため 適切な能力 経験を備え 自らがスチュワードシップ活動の実行に関して重要な役割 責務を担っていることを認識し スチュワードシップ活動に関する課題に取組んでいます 具体的には 野村グループ外から独立社外取締役を選任し メンバーの過半数を独立社外取締役とする責任投資諮問会議を設置するなど 利益相反によりお客様の利益が損なわれることのないよう 運用会社としてのガバナンスの強化に努めてきました さらに 適切に議決権を行使しているか否かについての可視性をさらに高める観点から 日本株式における議決権の行使結果を 個別の投資先企業及び議案ごとに公表する いわゆる個別開示を 他社に先駆けて実施することを決断するなど スチュワードシップ活動に積極的に取り組んでいます 当社は 上記のスチュワードシップ活動や自らのガバナンス体制 利益相反管理等について 定期的に振 15

り返り 自己評価を行い お客様に説明するとともに ホームページに開示しています PDCA サイクル ( 注 1) を確立し よりよい取り組みを行うことで 運用機関としてのスチュワードシップ責任を果たし 投 資先企業の持続的成長に貢献してまいります ( 注 1) PDCA サイクル とは Plan( 計画 ) Do( 実行 ) Check( 評価 ) Act( 改善 ) を繰り返すことで 業 務を改善していく手法です <PDF ファイル > 自己評価 (2017 年 ) 2. 国連責任投資原則 ( 国連 PRI) (1) 国連 PRI への署名国連責任投資原則 : The United Nations-backed Principles for Responsible Investment Initiative( 国連 PRI) とは 2006 年に当時のコフィー アナン国連事務総長が提唱した以下の 6 つの原則です 原則では 環境 (E:Environment) 社会(S:Social) 企業統治 (G:Corporate Governance) の課題を投資の意思決定に取り込むことが提唱されています 機関投資家が この原則を適用することで より広範な社会の目的 (broader objectives of society) を達成できるであろうというものです 当社およびその海外拠点は 国連 PRI の基本的な考え方に賛同し 2011 年 3 月 1 日に署名会社となりました 責任投資原則 1. 私たちは投資分析と意思決定のプロセスに ESG の課題を組み込みます 2. 私たちは活動的な ( 株式 ) 所有者になり ( 株式の ) 所有方針と ( 株式の ) 所有慣習に ESG 問題を組み入れます 3. 私たちは 投資対象の主体に対して ESG の課題について適切な開示を求めます 4. 私たちは 資産運用業界において本原則が受け入れられ 実行に移されるよう働きかけを行います 5. 私たちは 本原則を実行する際の効果を高めるために 協働します 6. 私たちは 本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します (2) 国連 PRI に対する私たちの考え方当社は 本原則に賛同し 受託者責任に反しない範囲で活動します この活動により 企業が ESG 課題に代表される様々な企業の社会的責任に対する関心を高め 長期的な企業価値の向上を目指すことにつながると同時に 私たちが機関投資家としての社会的責任を果たすことができると考えています 16

3. 持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則 (21 世紀金融行動原則 ) 持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則 (21 世紀金融行動原則 ) とは 持続可能な社会の形成のために必要な責任と役割を果たしたいと考える金融機関の行動指針として策定されたもので 環境省を事務局とし 金融庁 経済産業省 国土交通省をオブザーバーとして 2011 年度に発足した枠組みです 同原則は 直面する環境 社会 ガバナンス (ESG) 等の様々な課題に対し 金融機関が業態を越えて協働し 本業を活かして取組みを進めていくための指針となるものです 野村グループは 有志の民間金融機関で構成された環境金融行動原則起草委員会に 2010 年 9 月の発足当初より参画して本原則の枠組みづくりを進めて参りました 当社は 21 世紀金融行動原則の基本的な考え方に賛同し 2012 年 1 月に野村證券株式会社とともに署名会社となり 証券 運用 投資銀行ワーキンググループを中心に活動に参加しています 21 世紀金融行動原則 1. 自らが果たすべき責任と役割を認識し 予防的アプローチの視点も踏まえ それぞれの事業を通じ持続可能な社会の形成に向けた最善の取組みを推進する 2. 環境産業に代表される 持続可能な社会の形成に寄与する産業 の発展と競争力の向上に資する金融商品 サービスの開発 提供を通じ 持続可能なグローバル社会の形成に貢献する 3. 地域の振興と持続可能性の向上の視点に立ち 中小企業などの環境配慮や市民の環境意識の向上 災害への備えやコミュニティ活動をサポートする 4. 持続可能な社会の形成には 多様なステークホルダーが連携することが重要と認識し かかる取組みに自ら参画するだけでなく主体的な役割を担うよう努める 5. 環境関連法規の遵守にとどまらず 省資源 省エネルギー等の環境負荷の軽減に積極的に取り組み サプライヤーにも働き掛けるように努める 6. 社会の持続可能性を高める活動が経営的な課題であると認識するとともに 取組みの情報開示に努める 7. 上記の取組みを日常業務において積極的に実践するために 環境や社会の問題に対する自社の役職員の意識向上を図る 証券 運用 投資銀行ガイドライン < 運用業務 > 資産運用の基準や規程 要領に ESG 関連課題を反映し 投融資の判断プロセスに反映する ESG の観点を考慮することを議決権行使のガイドラインに明記する 投資先企業選定のための CSR レポートの分析による取組事例を蓄積し 自社の CSR 取組向上へ活用する 社外有識者から意見 アドバイスを受け 自社の ESG への取組向上に活用する 受託者責任に反しない範囲で ESG を考慮した 持続可能な社会の形成に資する商品等に投資する 17

投資先企業に ESG の情報開示等について積極的に働きかけ 取引先企業の ESG 課題に 関する意識 取組みを促す 18