Windows10 プロビジョニング検証レポート
1. はじめに 本書は Wind ows10 がインストールされたPC を大量に準備する際のいくつかの手順について 検証した結果をまとめたものになります 本書の情報は 2018 年 3 月時点のものです 本書に掲載されている内容は 弊社の検証環境での結果であり すべての環境下で動作することを保証するものではありません 本書に含まれる情報は 記載内容および結果を保証するものではありません その為 本書の内容を元に実施したことに起因するあらゆる損害の責任を負いません 本書の内容をご参考にされる際は 自己責任でお願い致します 本書の内容は 事前の予告なく変更を行う場合があります 本書の一部あるいは全てにおいて 一般的な公開情報を除き 著作権をはじめとするあらゆる権利を留保致します 本書の第三者に対する開示 公表 頒布は 弊社による事前承諾を受けた場合を除き 電子的複写 送信 コピー ファックス送付 郵送等のあらゆる手段において禁止します
手動セットアップ2.Windows10 大量展開方法 2-1. Windows10 が大量に必要になるとき 前回の検証レポート (http ://swsupport.yrl.co.jp/windows_migration/) では Windows7 からWindows10 へのデータ移行を行うツールとその手順について検証した Windows10 へのデータ移行を複数のユーザーが同時期に実施する場合 対象ユーザーの数だけ Windows10 の PC を管理者が予め用意しておく必要がある しかし Windows10 のインストールを 1 台ずつ手作業でセットアップすることは非常に困難である Windows10 に移行したい! 管理者 ユーザー また Win dows10 は半年毎に新しいバージョンがリリースされ 3 世代前のバージョンはEOS となってしまう このような半年毎という短期間で行われるバージョンアップの度に 使用しているアプリケーション 周辺機器の動作確認や検証 最新バージョンへの移行及びその作業準備 手順の変更等を行う必要があり 工数が膨大なものとなってしまう 2017.3 2017.9 2018.3 2018.9 1703 正式リリース 正式リリース EOS 2 世代前までサポート 3 つ先が出たら EOS Creators Update 1709 FalCreators Update 1803 正式リリース EOS EOS EOS 1809 正式リリース そこで PC を複数台セットアップする際の管理者の負荷を軽減させる方法として 以下のような方法が使われる 1. ワイプ & ロード 2. インプレース アップグレード 3. プロビジョニング 次項では それぞれの方法の特徴について説明する
2-2. ワイプ & ロード とは ワイプ & ロード とは ボリュームライセンス版の OS を代表となる PC1 台にクリーンインストールし 各種設定やアプリケーションのインストール等を行い その状態を OS も含めたコピー ( マスターイメージ ) を作成 それを必要な PC に復元 ( クローニング ) する という従来からよく使われていた方法である (Wipe: ぬぐう ふき取る 消し去る / Load: データを読み込む ) クローニングのツールとして Win dows アセスメント & デプロイメントキット (ADK) や System Center Configuration Manager(SCCM) といったツールが存在する 展開先 クリーンインストール マスターイメージ作成 クローン 2-3. インプレース アップグレード とは インプレース アップグレード とは Windows7 または Windows8.1 がインストールされた PC を OS の各種設定やアプリケーション ドライバー等を維持したまま Windows10 へ 1 台ずつ OS バージョンアップする方法である Microsoft 社のWEB ページからWindows10 のアップグレードツールをダウンロードし WEB 経由でWindows10 にアップグレードする方法と Win dows10 のボリュームライセンス版 DVD を使ってWindows10 にアップグレードする方法がある 変更なし 変更なし デバイスドライバー アプリケーション デバイスドライバー アプリケーション OS のみバージョンアップ Windows7/8.1 Windows10
2-4. プロビジョニングとは プロビジョニング とは Windows10 で新たに導入された方法で 企業や学校などのグループ内の複数の PC に対して 共通の各種設定やアプリケーションのインストーラー カスタムスクリプト等を 1 つにまとめたもの ( パッケージ ) を作成することができるツールである このツールで作成されたパッケージ ( プロビジョニング パッケージ ) をWin dows10 インストール済みのPC 上で ダブルクリックで適用することにより パッケージ内に組み込まれたWindows の設定 アプリケーションのインストール カスタムスクリプトの実行等を自動的に行うことができる プロビジョニングでできること コンピューター名の指定プロダクトキー ( ボリュームライセンス ) の設定プレインストールされているソフトウェアの削除 Wi-Fi の設定 Active Directory への登録ローカルアカウントの作成アプリケーションの追加カスタム スクリプトの実行証明書の追加プロビジョニング パッケージにパスワードを設定 等々 次項で それぞれの方法の特徴やメリット デメリットについて検討する
2-3. 特徴の比較 それぞれの方法 ツールの特徴について 以下にまとめる ADK SCCM インプレース アップグレード プロビジョニング 概要 Windows PE を使い コマンド操作で OS イメージを作成し展開 OS イメージを SCCM で作成 管理 配布 既存の Windows 7/8.1 を WEB サイト経由で Windows10 にアップグレード Windows10 がインストール済みの PC に 必要な設定を 1 つにまとめたものを適用 事前に必要なアプリケーション 装置 Windows10 のインストール DVD ADK 空の DVD または USB デバイス 共有フォルダ ActiveDirectory 環境 DHCP WDS ADK SQL Server SCCM サーバー証明書 クライアント証明書 共有フォルダ インターネット接続環境 Windows10 Upgrade ツールまたは Windows10 のボリュームライセンス DVD Windows イメージ及び構成デザイナー (ICD) 展開時の操作 CUI ( コマンド操作 ) GUI PXE ブート GUI GUI OS イメージの作成 必要必要不要不要 OS ライセンス ボリュームライセンスキーが必要 ( 再イメージング権の行使の為 ) ボリュームライセンスキーが必要 ( 再イメージング権の行使の為 ) 既存 PC のライセンスを使用 またはボリュームライセンスキー (DVD 入手の為 ) ライセンス登録済みの PC に対する方法の為 別途不要 OS バージョン Windows Updateを Windows Updateをユー アップ時の対 ユーザーが実行 ザーが実行 WDS:WindowsDiliveryService(Windows 応展開サービス ) 新バージョンの OSイ 管理サーバー(SCCM) か メージを作成し 再イ ら新バージョンを配布 ンストール コスト ( 費用 工数 ) OS イメージの作成 管理に工数がかかる SCCM は有償事前の環境準備が必要 Windows Update をユーザーが実行 Windows7 または 8.1 の PC を用意する必要がある Windows Update をユーザーが実行 新バージョンのインストールデータをパッケージ化し ユーザーが実行 パッケージ作成は ウィザード形式 メリット デメリット イメージ展開はスクリプトによる自動化も可能 複数の PC の管理が可能 初めに古いバージョンの OS が必要 Windows 10 を最初から用意する方が効率的 既存 PC に対しての方法としてはよい パッケージ適用はダブルクリック程度 Windows10 のみ対応 プロビジョニング で Windows 10 をセットアップしていくメリットは 上記の表より 以下のような点を挙げることができる パッケージの作成における操作は GUI 形式の為 直感的な操作が可能 従来の方法とは異なり OS イメージの作成 / 管理が不要 有償製品を追加で購入する必要がない パッケージの適用はダブルクリックのみで 難しい操作は不要 Windows 10 の PC が予め必要だが PC を新規購入やレンタルで用意すると OS のインストールは不要 以降では プロビジョニング による Windows10 のセットアップ方法について 検証を行った
3. 検証内容と手順の概要 3-1. 必要な環境 以下のような環境を準備する 作業用 PC( パッケージ作成 ) Windows 10 を使用 適用先 PC( パッケージ適用先 ) Windows 10 を使用 3-2. プロビジョニングに必要な環境の準備 (1) プロビジョニング パッケージを作成する為のツール Windows イメージングおよび構成デザイナー (Windows ICD) は Windows アセスメント & デプロイメントキット (ADK) に含まれている その為 以下の URL から Windows アセスメント & デプロイメントキット (ADK) をダウンロードする ダウンロードするバージョンは OS のバージョンに合わせる 例 )Win dows10ver.1709の PC を使用する場合は Ver.1709 のADK https://developer.microsoft.com/ja-jp/windows/hardware/windows-assessment-deployment-kit (2) インストーラーを起動し インストールを開始する 以下の項目のチェックボックスにチェックが入っていること Deployment Tools イメージおよび構成デザイナー (ICD)
3-3. プロビジョニング パッケージの作成 (1) スタート >Windows Kits>Windows イメージングおよび構成デザイナーを起動する (2) デスクトップデバイスのプロビジョニング を選択する (3) ウィザードに従って設定値を入力し パッケージを作成する 作成後 適用先 PC に転送する 今回の検証では コンピューター名は一旦 ランダム値 で設定し インストール後に変更 ドメイン参加するという順序で行った
3-4. プロビジョニング パッケージの適用 (1) 展開先 PC にて 転送されたパッケージをダブルクリックする (2) パッケージにパスワードを設定している場合は パスワードの入力画面が表示されるので パッケージ作成時に指定したパスワードを入力する (3) そのまま待機することで パッケージに含まれる設定が適用される 数回 OS が再起動されるが そのまま待つ (4) 企業 学校などのグループでは コンピューター名を管理しやすいもの ( 文字列 + 連続する数字や記号 等 ) を付与することが多い為 このタイミングでコンピューター名を変更する コンピュータ名の変更後は OS が再起動され OS 起動後にドメインへ参加させる コンピューター名の変更及びドメイン参加を GUI 操作で行うことも スクリプトを作成し 自動で行うこともできる
補足 (1) 対象の PC が 購入直後 ( 初めて電源を入れる または OS インストール直後 ) の状態の場合 [Windows] キーを連続して 5 回押すことにより USB デバイス内にあるプロビジョニングパッケージを初回セットアップ時に適用することができる Windows キーを 5 回押す 補足 (2) 上記手順では ウィザード形式での設定を行ったが さらに詳細な設定をすることも可能である
4. 検証を終えて 今回 Windows10 を複数台セットアップする為の方法のうち プロビジョニング について検証した この方法は これまでの主流であった OS を含めてコピーを作成 (OS イメージ化 ) する方法とは異なり 既に Windows10 がインストール済みのPC に適用する方法の為 様々な機種にも適用ができ BYO D(Bring YourOwn Device) 環境にも適用することができ 汎用性が高いと感じた パッケージ作成方法は 基本的な設定はウィザードに従って行うものであり 比較的容易に作成することができた また 適用方法についても ほぼ ダブルクリックするだけ と非常に簡単な為 あまり PC の操作に慣れていないエンドユーザーでも操作しやすい方法だと感じた 弊社では 従来よりWin dows に関する豊富なノウハウを蓄積しており 現在でもWindows10 への移行 構築のご相談を多く頂いています Windows の移行 構築に関するご相談は 下記 URL からお問い合わせください 横河レンタ リース株式会社 htps://www.yrl.com 今回 企業内で使用するにあたり必要な設定 アプリケーションをまとめて適用する プロビジョニング という方法について検証を実施したが 実際にはユーザーの業務内容によって必要なアプリケーションが異なることが考えられ PC1 台ずつ個別にアプリケーションをインストールしていくことは困難であると推測される ユーザー全員が共通して必要なアプリケーションについては プロビジョニングで作成するパッケージに含め 個別にインストールが必要なソフトウェアについてはユーザーそれぞれがインストールを行う環境が望ましい しかし アプリケーションのインストールには管理者権限が必要となることが多く また どんなアプリケーションでもインストール可能 とするのではなく 管理者が予め許可したアプリケーションのみインストールできるようにすることが必要となる そこで 弊社では Flex Work Place ファミリー製品の ApSelf という製品を開発した これは ユーザーに管理権限を与えることなく 管理者が許可したアプリケーションのみをユーザー自身にインストールさせることができる製品である 次回はこれを用いた検証を実施したいと思う アプリケーション セットアップ画面を管理者権限なしでユーザーが操作 ユーザーによりパッケージを起動 AppSelf パッケージ 管理者 作成 転送 ユーザー
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