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1部第3章第 6 節 農業の高付加価値化等の推進 農村には 農産物を始め バイオマス 自然エネルギー 伝統文化等有形無形の様々な資源が存在し ています 農産物の価格低迷や生産資材価格の上昇等 農業経営を取り巻く情勢が厳しさを増す中 農業を持続的に発展させていくためには 農産物の生産のみならず 農村に由来する様々な地域資源を活用した6 次産業化や農商工連携の推進による農産物の加工等を通じた農業の高付加価値化 国産農産物等の輸出促進等を図ることにより 農村地域の雇用の確保と所得の向上を実現していくことが重要です また これと併せ 地産地消 1 の取組等を通じ 生産者と消費者との絆を一層強めていくことも重要です ( 農業生産関連事業の年間総販売金額 ) 農業者の所得を高め経営を安定化させていくためには 農産物の生産 販売等の取組に加えて 農産物の加工や観光農園の開設等の農業生産関連事業 2 の取組が重要となっています 図 3-6-1 農業生産関連事業の年間総販売金額 ( 平成 23(2011) 年度 ) 農林水産省が農業生産関連事業に取り組む農業 経営体及び農協等を対象に行った調査によると 平成 23(2011) 年度における全国の農業生産関 連事業の年間総販売金額は 1 兆 6,368 億円となっ ています ( 図 3-6-1) この年間総販売金額の内訳 をみると 農協等による農産物の直売や加工が 1 兆 1,998 億円となっており 全体の 73% を占め ています 一方 農業経営体による農産物の加工 や直売所等での販売は4,370 億円となっており 全体の27% を占めています これを前年度と比較すると 農業生産関連事業全体で 184 億円減少していますが 業態別には 野 菜の価格低下に加え 東日本大震災の影響等により農産物直売所の年間総販売額が 249 億円減少する 一方 農産物の加工 (18 億円増加 ) 観光農園 (24 億円増加 ) 農家レストラン等 (23 億円増加 ) は いずれも増加しています ( 表 3-6-1) 1 [ 用語の解説 ] を参照 2 農業経営体及び農協等による農産物の加工及び農産物直売所 農業経営体による観光農園 農家民宿 農家レストラン等の各事業をいう 239 第

第 6 節農業の高付加価値化等の推進 表 3-6-1 農業生産関連事業の年間総販売金額の推移 平成 22 年度 (2010) 23 (2011) 年間総販売金額 計 農産物の加工 農業経営体 農協等 計 農産物直売所 農業経営体 農協等 観光農園 ( 単位 : 億円 %) 農家レストラン等 16,552 7,783 2,693 5,091 8,176 1,064 7,112 352 241 (100.0) (47.0) (16.3) (30.8) (49.4) (6.4) (43.0) (2.1) (1.5) 16,368 7,801 2,702 5,100 7,927 1,029 6,899 376 263 (100.0) (47.7) (16.5) (31.2) (48.4) (6.3) (42.1) (2.3) (1.6) 対前年度差 184 18 9 9 249 36 213 24 23 資料 : 農林水産省 農業 農村の 6 次産業化総合調査 注 :( ) 内は年間総販売金額に占める割合 ( 農業生産関連事業は地域の雇用を創出 ) 農業生産関連事業は 農村地域において雇用を創出する場としても重要な役割を果たしています 平成 23(2011) 年度の農業生産関連事業の 図 3-6-2 () 農業生産関連事業の総従事者数 ( 平成 23(2011) 年度 ) 総従事者数は 42 万 9,200 人となっており その内訳をみると 農業経営体によるものが 26 万 400 人と全体の 6 割を占めています ( 図 3-6-2) このうち 農産物の加工を行う農業経営体が 12 9,700 (6.9) 万 6,300 人と最も多くなっています 26400 () 事者 (60.7) これを前年度と比較すると 農業生産関連事業 (32.4) 9,200 人 139,000 42 全体で 2 万 9,800 人増加しており 業態別には 農産物の加工が 1 万 4,100 人増加するとともに 農産物直売所も 1 万 8,500 人増加しています ( 表 3-6-2) 各事業別に1 事業体当たりの従事者数をみると 農協等による農産物の加工が最も多く 29 人 次いで農協等による農産物直売所 13 人 観光農園 55,900(13.0) 17,200(4.0) 資料 : 農林水産省 農業 農村の 次産業化総合調査 注 :( ) 内は総従事者数に占める割合 6 人の順となっています ( 表 3-6-3) これを雇用形態別にみると 農協等による農産物の加工については 従事者数 29 人のうち14 人が常 雇いの雇用者となっており 従事者に占める常雇いの割合が他の事業体より高くなっています 一方 観光農園では 従事者の半数以上を占める4 人が臨時雇いの雇用者となっており 繁忙期に対応した雇 用が行われていることがうかがえます また 農業経営体による農産物の加工については 従事者数が 多いものの個々の事業体規模が小さく 1 事業体当たりの従事者数は4 人にとどまっています () 126,300 (29.4) () 61,000 (14.2) 240

1部第3章表 3-6-2 平成 22 年度 (2010) 23 (2011) 農業生産関連事業の総従事者数の推移 総従事者数 計 農産物の加工 農業経営体 農協等 計 農産物直売所 農業経営体 農協等 観光農園 ( 単位 :100 人 %) 農家レストラン等 3,995 1,419 1,128 291 1,816 481 1,335 617 143 (100.0) (35.5) (28.2) (7.3) (45.5) (12.0) (33.4) (15.4) (3.6) 4,292 1,561 1,263 297 2,000 610 1,390 559 172 (100.0) (36.4) (29.4) (6.9) (46.6) (14.2) (32.4) (13.0) (4.0) 対前年度差 298 141 135 7 185 129 55 57 29 資料 : 農林水産省 農業 農村の 6 次産業化総合調査 注 :( ) 内は総従事者数に占める割合 表 3-6-3 1 事業体当たりの従事者数 ( 平成 23(2011) 年度 ) 1 事業体当たり従事者数家族又は雇用者構成員常雇い臨時雇い 農業生産関連事業計 6.6 3.4 1.3 1.9 農産物の加工 5.2 2.4 1.2 1.6 農業経営体 4.4 2.2 0.7 1.5 農協等 28.6 8.5 13.8 6.3 農産物直売所 8.7 5.2 1.8 1.7 農業経営体 4.8 2.6 0.5 1.7 農協等 13.4 8.3 3.3 1.8 観光農園 6.3 2.5 0.4 3.5 農家レストラン等 5.1 2.4 1.0 1.7 資料 : 農林水産省 農業 農村の 6 次産業化総合調査 (6 次産業化の取組は経営向上や地域雇用に効果 ) ( 単位 : 人 ) 日本公庫が 6 次産業化や大規模経営に取り組む農業者を対象に行った調査によると 6 次産業化に取 り組んだ目的については 生産 加工 販売の一元化を通じた価格決定権の確保のため が69% と最も高く 次いで 規格外品 キズもの 余剰品の活用のため 40% となっています ( 図 3-6-3) 農産物の価格が低迷する中 農業者が価格決定権の確保や未利用資源の活用を通じて 所得の向上を目指していることがうかがえます 241 第

第 6 節農業の高付加価値化等の推進 図 3-6-3 6 次産業化に取り組んだ目的 ( 複数回答 ) また 日本公庫から融資を受けた農業者について 融資前と融資の3 年後における売上高の変化をみると 6 次産業化に取り組んでいる者の経営は25% 増の高い伸びを示している一方 6 次産業化に取り組んでいない者の経営は15% 増にとどまっています ( 図 3-6-4) さらに 従業員等に支払う給与等についても 6 次産業化に取り組んでいる者の経営は融資を受ける 3 年前に比べて 32% 増加していますが 6 次産業化に取り組んでいない者の経営は 9% 増にとどまっています ( 図 3-6-5) このように 6 次産業化の取組は 農業者の経営向上のみならず 雇用の増大を通じた地域経済の活性化にもつながっていることがうかがえます 図 3-6-4 融資後 3 年間の売上高増加率 図 3-6-5 融資後 3 年間の雇用創出等による従業員給与等増加率 242

1部第3章第243 ( 生産 加工 販売部門別にみた課題 ) 農林水産省が 6 次産業化に取り組む事業者を対象に行った調査をみると 6 次産業化に取り組む際の 課題は 生産面では 需要に見合う生産量が確保できない との回答が 41% と最も高く 次いで 資 材 燃料費用がかさむ (38%) 生産量が不安定で安定供給ができない (36%) の順となっており 需要に即した生産物の安定供給とコスト低減が課題となっています ( 図 3-6-6) 加工面では 生産性 が上がらない 資材 燃料等の費用がかさむ が 41% と最も高く 次いで 加工技術 製造技術が 習得できない (34%) となっており 生産性の向上と加工技術等の習得が課題となっています 販売 面では 広報宣伝 販売促進の費用がかさむ が43% と最も高く 次いで 販売先の開拓が進まない (42%) 営業手法 販売手法が習得できない (33%) の順となっており 販路の開拓等の販売促進 機能の強化が課題となっています 図 3-6-6 農業の6 次産業化に向けた課題 ( 複数回答 )

第 6 節農業の高付加価値化等の推進 ( 総合化事業計画の認定件数は着実に増加 ) 農林水産省では 平成 23(2011) 年 3 月に施行された 地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律 に基づき 農林水産物等の特色を活かしつつ 1 次産業から 2 次 3 次産業を通じて消費者までをつなぐ 6 次産業化に取り組む農林漁業者等の事業計画を総合化事業計画 1 として認定しています 平成 23(2011) 年度の認定開始以降 総合化事業計画の認定件数は順調に増加しており 平成 24 (2012) 年度までの累積認定件数は1,321 件 ( うち農畜産物関係 1,190 件 ) となっています この認定件数を地域別にみると 近畿が 232 件と最も多く 次いで九州 220 件 関東 209 件の順となっています ( 図 3-6-7) また 都道府県別でみると北海道が81 件 長野県 60 件 兵庫県 52 件 滋賀県 48 件の順となっています 認定案件の対象農林水産物は 野菜が最も高く 32% 次いで果樹 18% 米 13% の順となっています このうち 米については 米粉等を利用した加工品製造等に関する計画が増加したことにより 平成 23(2011) 年度の12% に比べて1ポイント上昇し13% となりました 図 3-6-7 総合化事業計画の認定状況の推移 1 農林漁業経営の改善を図るため 農林漁業者等が農林水産物及び副産物 ( バイオマス等 ) の生産及びその加工又は販売を一体的に行う事業活動に関する計画 244

1部第3章事例 九条ねぎ の栽培 加工でのバリューチェーンの構築 きょうとし京都府京都市のこと京都 ( 株 )( 平成 14(2002) 年設立 ) は 自ら生産した京都の伝統野菜 九条ねぎ (800t( うち契約農家からの購入 400t)) を自社工場において カットねぎやねぎ油等に加工し ラーメン店 (300 店と独占契約 ) スーパー 百貨店等に販売しています 6 次産業化に取り組むことにより 売上高が平 成 24(2012) 年には 5 億 9,000 万円まで拡大しました やまだとしゆき代表取締役の山田敏之さんは アパレル業界での営業経験があり そのノウハウを活かした飛び込み販売でラーメン業界のニーズを把握し 青ねぎの食習慣が少ない関東でラーメンの食材としての需要を創出しました また 製造過程での低温管理 オゾン水による殺菌等の洗浄作業の工夫 物流段階でのクール便の直送等による鮮度管理の徹底により バリューチェーンを構築し カッ トねぎに 新鮮さ を付加することで 商品価値の提案を行って 九条ねぎの栽培風景 います さらに 京都府内の 3 か所の産地と結合し 九条ねぎの 栽培管理を統一するとともに 産地出荷リレー体制の構築により品質が安定した原料の周年供給を実 現させ 事業規模の拡大を可能としました ( 農商工等連携事業計画の認定件数は 500 件を超えるまでに増加 ) 農林水産省及び経済産業省では 農商工連携に取り組む中小企業者及び農林漁業者の事業計画を 平 成 20(2008) 年 7 月に施行された農商工等連携促進法 1 に基づき 農商工等連携事業計画として認定 しています 農商工等連携事業計画の累積認定件数は着実に増加しており 平成 25(2013) 年 2 月には 546 件と なりました 認定件数を地域別にみると 関東が最も多く120 件 次いで中国四国 78 件 東海 73 件 近畿 70 件の順となっています ( 図 3-6-8) また 事業内容は 新規用途開拓による地域農林水産物の需要拡大 ブランド向上 が 261 件と最も多く 次いで 新たな作目や品種の特徴を活かした需要拡大 (104 件 ) 規格外や低未利用品の有効活用 (87 件 ) の順となっています 1 正式名称は 中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律 245 第

第 6 節農業の高付加価値化等の推進 図 3-6-8 農商工等連携事業計画の認定状況 ( 地産地消の取組 ) 地産地消とは 地域で生産された農林水産物をその地域内において消費する取組です 地産地消の取組は食料自給率の向上に加え 直売所や加工の取組等を通じて農林水産業の高付加価値化につながるものであり 生産者 と 消費者 との結び付きの強化や地域の活性化等の効果が期待されます 地産地消については 地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律 及び同法に基づき平成 23(2011) 年 3 月に定められた基本方針 1 により 6 次産業化と総合的に推進することとされました このため 農林漁業者等による加工品の開発の促進や そのために必要な処理加工施設や直売所等の6 次産業化関連施設の整備等に加え 学校給食等における地域農林水産物の利用の促進 直売所等を利用した地域の農林水産物の利用の促進 活動の核となる人材の育成及び多様な主体の連携等の各種取組が推進されています 中でも 直売所を利用した地域の農林水産物の利用の促進については 上記の基本方針において 通年営業直売所のうち年間販売額が1 億円以上のものの割合を 平成 32(2020) 年度までに50% 以上とすることを目標としています 平成 23(2011) 年度における年間販売金額が 1 億円以上の通年営業直売所の割合は 前年 (17.5%) と同程度の17.3% となっています ( 図 3-6-9) 1 正式名称は 農林漁業者等による農林漁業及び関連事業の総合化並びに地域の農林水産物の利用の促進に関する基本方針 246

1部第3章図 3-6-9 年間販売金額規模別の農産物直売所の割合の推移 このほか 学校や老人ホームの給食においても 地場産物の利用の拡大が重要な課題となっていま す 学校給食における地場産物の利用については 平成 18(2006) 年 3 月に策定された食育推進基本計画において 学校給食における地場産物を使用する割合 ( 食材数ベース ) を平成 22(2010) 年度までに 30% 以上とする目標が設定されましたが 平成 22(2010) 年度の実績は 25% にとどまっています 1 このため 平成 23(2011) 年 3 月に策定された第 2 次食育推進基本計画において 学校給食における地場産物を使用する割合を平成 27(2015) 年度までに 30% 以上とする目標が改めて設定されました また 老人ホームにおける地産地消の取組については 一部で取組がみられるものの 全国的な取組として発展するまでには至っていない状況にあります 農林水産省が 学校給食を実施する公立小学校や老人ホーム等の一部を対象に行った地場産物の利用状況調査をみると 学校給食においては ほぼ毎日利用 が 49% と最も高く 次いで 食材が豊富な時期のみ利用 (18%) となっています ( 図 3-6-10) 一方 老人ホームにおいては 国内産を意識して利用している が61% と最も高く 次いで 市町村産を意識して利用している (12%) となっています 図 3-6-10 学校給食 老人ホームにおける地場産物の利用状況 1 文部科学省 平成 22 年度学校給食における地場産物の活用状況調査 完全給食を実施する公立小 中学校 29,255 校のうち 490 校を対象 に実施 学校給食に使用した食品数のうち 当該都道府県で生産 収穫 水揚げされた食材の使用率 247 第

第 6 節農業の高付加価値化等の推進 また 学校給食や老人ホームにおける地場産物の利用を拡大するための課題をみると 学校給食 老人ホーム共に 必要数量や品目の確保を課題とする回答の割合が高くなっています ( 図 3-6-11) 特に 学校給食においては 品質の均質化 価格の低下や関係者の相互理解の促進についても課題として認識されており 老人ホームにおいては コストの高さを課題とする割合が高くなっています 図 3-6-11 学校給食 老人ホームにおける地場産物利用拡大の課題 ( 複数回答 ) 事例 学校給食に地元産有機農産物を供給する取組 いまばりしいまばりたちばな愛媛県今治市の JA 今治立花では 地域の農業者で組織する 立花地区有機農業研究会 と連携して 地区内の小中学校の給食に地元産有機農産物を供給しています この取組は 昭和 58(1983) 年に小学校 1 校への供給から始まり 現在では 4 小学校 1 中学校に約 1,700 食を供給するまでに拡大し 給食で使用される野菜の 4 割 (15t) を供給しています 当初は 学校側から農産物への虫の混入や規格の不揃い等による苦情がありましたが 有機農産物の特徴を理解してもらうことや農業者側が選果の努力を行うことで苦情を解消しました JA 今治立花は 旬菜旬食 を原則として 露地野菜を中心に供給しているため 給食の献立に旬の野菜が使用されるようになったほか 毎日給食の時間に野菜を供給した生産者を紹介することで 児童生徒が自分の食べているものについて関心を示すよ 立花地区有機農業研究会のみなさん うになり 食べ残しがほぼゼロに減少するという効果をもたらしました JA 今治立花では 取組の継続に当たって 高い技術が必要な有機 JAS 栽培の担い手確保や農地の減少の進行といった課題の解消に取り組みながら 今後は有機野菜だけでなく有機栽培米の供給も行っていきたいと考えています 248