New Technology of the Global Twin Breaker G-TWIN series 岡本泰道 Yasumichi Okamoto 佐藤朗史 Akifumi Sato 浜田佳伸 Yoshinobu Hamada 富士電機は, 市場のグローバル化を背景に, グローバルツインブレーカ G - TWIN の開発 製品化を順次進め,2009 年 1 月には 32 AF のシリーズが完成し, 本格的な市場展開を図っている 下位機器との遮断保護協調の関係で, 小型 高限流化新技術としてフォーク型二接点遮断方式を採用した また, 電力の供給安定性 信頼性の観点から, 近年需要伸長が期待されている母線直結形プラグインブレーカの機種を拡充した さらに独自のアーク消弧機能を開発して, 太陽電池やデータセンタなどの直流回路向け遮断器の機種も拡充した Against the backdrop of market globalization, Fuji Electric has developed and commercialized the G-TWIN global breaker, and upon completing the 32 to AF series in January 2009, launched a full-scale effort to expand the market. Because of the relationship of protective coordination with lower devices, a fork-type dual-contact breaking method was adopted as new technology for compact high performance current-limiting breaking. Moreover, to ensure the stability and reliability of the supply of electric power, Fuji Electric has expanded its lineup of plug-in circuit breaker models, and demand for these models is expected to increase in recent years. Fuji Electric has also developed a proprietary arc extinguishing function and expanded its lineup of breaker models for use in photovoltaic cells and the DC circuits in data centers. 1 まえがき 2 AF 小定格品の高限流遮断技術 配線用遮断器 (MCCB) や漏電遮断器 (ELCB) は, 配電線路や負荷への過電流や配電回路の短絡 地絡および漏電といった電気事故から配線 設備機器 人体などを保護する役割を果たし, 電気を使用するすべての機器や装置, 設備, 建造物に設置されている 富士電機は,1990 年に世界で初めて MCCB と ELCB の外形寸法を統一した ツインブレーカ を発売し, 取付け互換性や付属装置の共用化による利便性の向上と盤設備や装置の標準化 小型化への貢献によって, 多くのお客さまの支持を受けてきた 一方, 近年のグローバルな事業展開を進めているお客さまの要求に応えるため, これまで規格ごとに適合認証を取得してきた製品バリエーションに対しすべての規格を一つのシリーズでカバーできるグローバル MCCB/ELCB が必要であると考え, グローバル と ツイン のコンセプトを統合した G - TWIN ブレーカを開発 発売した 2009 年 1 月には 32 AF の全シリーズ化を完成し ( 表 ₁, 表 ₂, 表 ₃) 本格的な市場展開を図っている 開発の基本コンセプト, 新 JIS/IEC 規格と UL489 規格への適合の統合や, その要素技術開発などについては, 既 ⑴,⑵ 刊別稿にて述べてきた 本稿では, 下位機器との遮断保護協調をするための分岐回路遮断器の高限流化に対する技術革新として, AF を取り上げ小定格電流品の高限流遮断技術について述べる また電力の供給安定性 信頼性の観点から近年需要伸長が期待されている母線直結形プラグイン遮断器や直流回路への適用拡大について, その対応製品を紹介する モールドケースを使用した低圧遮断器の遮断能力は, 遮断時に発生するアークエネルギーによるストレスの処理限界によってほぼ決定される ストレスが制御できない場合は, 急激な内部圧力の増大によるモールドケースの破壊や, 高温による導電部材や絶縁部材の溶融 飛散により絶縁耐力の低下や開閉機構の動作不具合などが発生する 従来シリーズの UL 規格品は, 北米向けシリーズとしてツインブレーカとは独立した系列を持っている ツインブレーカと比較して外形寸法が大きく, 遮断機構のスペースや主接点開極距離も大きく, ストレスを許容しやすかった 同一外形寸法で新 JIS/IEC 規格と UL 規格品を同時に満足する G - TWIN ブレーカの開発に当たっては, より限流効果を高めた新しい遮断機構の開発を行う必要があった 遮断能力を高める方法として, 短絡発生時点から高速開極によってアーク電圧を高め, 冷却可能な電流値まで限流することが最も有効である G - TWIN ブレーカでは, 小定格領域の限流性能を向上させるために, 大定格品で採用した細隙 ( さいげき ) 板によるアブレーション効果の拡大, アーク駆動促進のための磁気ヨークの最適配置, 筐体 ( きょうたい ) の隔離構造による負荷側への排出ガス抑制などの技術に加え, フォーク形 2 接点遮断方式を開発し, より限流効果を高める技術を実現した 大定格品と小定格品の遮断部構造の特徴の比較を図 ₁, 図 ₂に, また小定格品の遮断部構造の概要を図 ₃に示す フォーク形 2 接点遮断方式の電磁反発原理を図 ₄に示す 電源側端子から接続した一次側固定接触子は,U 字に折り返され固定接点が接合されている 対向する可動接触子も, ブレーカの幅方向でコの字に折り返され二次側の接点を介し固定接触子に対向している 二次側の固定接触子は負荷 161( 57 )
表 ₁ G-TWIN スタンダードシリーズ ( 配線用 ) 表 ₂ G-TWIN グローバルシリーズ ( 配線用 ) フレーム 定格遮断容量 lcu(ka) AC230 V AC440 V FAB ELB フレーム 定格遮断容量 lcu(ka) AC230 V AC440 V FAB ELB 32 2.5 EW32AAG 2.5 1.5 BW32AAG EW32EAG 25 10 BWRAGU EWRAGU 25 10 BWEAGU EWEAGU 5 2.5 BW32SAG EW32SAG 2.5 1.5 BWAAG EWAAG 5 2.5 BWEAG EWEAG 30 BWJAGU EWJAGU BWRAGU EWRAGU 36 18 BWEAGU 10 7.5 BWSAG EWSAG 30 BWJAGU EWJAGU 25 10 BWRAG EWRAG BWRAGU EWRAGU 65 BWHAG EWHAG 30 BWEAGU 63 5 2.5 BW63EAG EW63EAG 10 7.5 BW63SAG EW63SAG 85 36 BWSAGU EWSAGU BWRAGU EWRAGU 25 10 BW63RAG EW63RAG 70 BWHAGU EWHAGU 5 1.5 BWAAG EWAAG 25 10 BWEAG EWEAG 630 36 BW630EAGU BW630RAGU EW630RAGU 30 BWJAG EWJAG 70 BW630HAGU BWRAG EWRAG 36 BWEAGU 65 BWHAG EWHAG BWRAGU 36 18 BWEAG EWEAG 70 BWHAGU 30 BWJAG EWJAG BWRAG EWRAG 65 BWHAG EWHAG 30 BWEAG EWEAG 85 36 BWSAG EWSAG BWRAG EWRAG 70 BWHAG EWHAG 36 BW630EAG EW630EAG 表 ₃ G-TWIN スタンダードシリーズ の派生機種構成 フレーム 電動機保護用変圧器一次側用瞬時遮断式ノンオートスイッチ漏電警報付きZCT付き単三中性線欠相保護付き二種耐熱形抵抗溶接機用4極品DC専用品32 630 BW630RAG EW630RAG 70 BW630HAG EW630HAG 36 BWEAG EWEAG BWRAG EWRAG 70 BWHAG EWHAG 63 側にストレートに延長され, 過電流検出部に接続されている 短絡電流が発生すると一次側 二次側の固定接触子と可動接触子間にそれぞれ電磁反発力が発生し, 磁気ヨークの効果も加わり 2 接点が同時に高速開極する 接点間に発生したアークは一次側と二次側で直列に発生しているため, アーク電圧の上昇率 dv/dt は,1 接点に比較して約 2 倍となる また,1 接点と同様の消弧室のスペースで 2 倍の開極距離を確保することで, アーク電圧ピーク値も約 2 倍を実現し限流効果を大幅に高めた 図 ₅に従来構造とのアーク電圧の比較を示す これらの技術の適用により, 従来シリーズのブレーカと比較して通過電流二乗時間積 I 2 t において約 15% の低減と同時に, 国内標準サイズのブレーカ外形で,UL489 規格を満足する性能を実現した また,MCCB と ELCB を同一寸法とするツインブレーカ思想を維持しつつ,40 A 以上の大定格品の開閉機構とも部品の共用化もできた 630 3 高信頼性 高効率な電力供給システム技術 ₃.₁ 母線直結形プラグインブレーカ近年, 設備施工の簡素化 省力化や電気供給の安定性 保守性の向上, 環境負荷低減などの観点から, 母線直結形の差込形遮断器 ( プラグインブレーカ ) が注目され, データセンタや公共施設など, 電気の供給信頼性の要求が高い設備を中心に普及し始めている 母線直結形プラグインブレーカ ( 図 ₆) は, 従来の挿入形のようなスタッド端子方式に替わり, 電源側端子にクリップ状接続子を設け, 盤側に施工された銅ブスバーを直 162( 58 )
図 ₁ 大定格品 (40 A) 遮断部構造の特徴 図 ₂ 小定格品 (15 30 A) 遮断部構造の特徴 接挟持接続する構造となっている ( 図 ₇) 電源側の配線に電線を使用することなく構成できるため, 次のような効果がある 配電盤 分電盤の省スペース化と省資源化 組立時間の短縮と短納期化 容量変更の容易化と交換作業時間の短縮 作業忘れ 接続ミスの防止富士電機では, 配電盤用 ( ブスバーピッチ 70 mm) と分電盤用 ( ブスバーピッチ 45 または 30 mm) など, 用途 保護目的に合わせた選択ができる豊富なバリエーションを用意している ( 表 ₄) 配電盤用は, 分岐回路用として 630 AF までの MCCB/ELCB が搭載可能であり, 母線ブスバーの最大通電電流は 2, A である また, 一般配線用 MCCB/ ELCB のほかにも, 漏電警報付きブレーカや電力監視機能付きの FePSU ブレーカ など, ブレーカの用途選定も自在である 動力分電盤や電灯分電盤用は, さらなる盤の小型化のためブスバーピッチ 45 mm および 30 mm の 2 種類を準備し, それぞれ分岐回路用として 32 AF,32 AF の取付けが可能である ブスバーピッチ 30 mm 品では, マニュアルモータスタータ (MMS) の搭載が可能で,MMS の超高限流遮断性能により, 上位遮断器との選択協調遮断が構築でき, 電気の供給信頼性の実現に貢献できる また, ブレーカを引き出したとき, 母線を閉鎖する安全シャッタ機能や, 差込み状態を確認できるゲージ機能など, 安全性を配慮したオプションも準備している ( 一部機種を除く ) 図 ₃ 小定格品の遮断部構造 図 ₄ 接触子形状による電磁反発原理 図 ₅ アーク電圧比較 ₃.₂ G-TWIN の直流用ブレーカシリーズ近年, 太陽光発電などのクリーンエネルギーや, データセンタの普及とともに電力供給の高信頼性化 高効率化への要求が高まり, 従来の交流送配電から直流送配電への適用需要が増えている 特にデータセンタ分野においては, AC - DC 変換を少なくして最大 10 20% の送電ロスを減らすことができるといわれており, 省エネ効果が大きい また, 近年は送電ロスを減らすために, より高い電圧での送配電技術の要求もある 163( 59 )
表 ₄ G-TWIN の母線直結形プラグインブレーカのバリエーション 名 称 母線直結形プラグイン 主用途 配電盤 分電盤 適用 AF,,,630 32,,,, 32(MMS) (MCCB-) 分岐遮断容量 200 V/ ka 分岐遮断容量 200 V/2.5 25 ka 取付ピッチ 15 mm 15 mm mm 取付高さ mm 91 mm 94 mm 母線配置 垂直 垂直 垂直 ブスバー厚さ 10 mm 4 mm 3 mm ブスバーピッチ 70 mm 45 mm 30 mm 特 徴 差込確認インジケータ 電力監視ブレーカや漏電警報など搭載可 高遮断容量 充電部シャッタ機構 差込確認インジケータ 高, 中遮断容量 超高遮断容量 選択遮断性能 省スペース 中遮断容量 省スペース 図 ₆ 母線直結形プラグインブレーカの外観 図 ₈ 交流回路と直流回路の電流波形 電流 電流 な I I 流 直流 図 ₉ 直流回路の電流遮波形 接 極 アーク電圧 図 ₇ 母線接続部の構造 電流 電 電圧 アーク 一般に交流回路では電流零点が周期的に存在し, 零点に おいて絶縁が確保できていれば容易に電流が遮断できる ( 図 ₈) 直流回路では零点が存在しないため, ブレーカで は接点間に発生するアーク電圧を電源電圧以上に上げて電流を遮断する ( 零点を作る ) 技術が必要となる ( 図 ₉) また, 電源電圧が大きくなるにつれアーク消弧機構の大型化や接点間の開極距離も必要となるため, 機器の小型化が困難となる 富士電機では,DC 専用の独自のアーク消弧機構を開発することで, 効果的に遮断できる技術を確立した さらに, より高い電圧を遮断するために,3 極や 4 極ブレーカを直列配線し, 接点開極距離を確保して高電圧への適用を可能とした これにより標準的なブレーカでは適用範囲 164( 60 )
表 ₅ G-TWIN 直流シリーズ ラインアップ一覧 表 ₆ G-TWIN 並列通電仕様 定格電圧 DC (V) 基本形式 BW32 * BW BW63 BW BW 接続方式 2 極 定格電流 3 32 5 63 15 遮断容量 I cu(ka) EAG JAG SAG RAG HAG - - 2.5 - - 2.5-5 5-5 - - - - - 15-40 - 形式 AF 極数 BW32 32 BW BW63 63 BW BW 定格電流 ( 最大 ) 40 A 60 A 75 A A 90 A A 1 A 225 A 定格遮断容量 (I cu) DC60 V DC V 7.5 ka 5 ka 20 ka 10 ka 20 ka 10 ka 15 ka 10 ka 175 A 30 ka 20 ka A 60 ka 40 ka BW 10 20-30 - BW 5 A 60 ka 40 ka BW 9 A 80 ka 60 ka BW 20-20 40 40 BW630 630 1, A 80 ka 60 ka BW 1,900 A 80 ka 60 ka BW630 BW BW32 0 3 32 20 - - 40 40 - - 2.5 - - 図 ₁₀ 並列通電用ブレーカ BW BW63 3 極 5 63 - - 5 - - BW 5 - - - - BW 5 - - 2.5 - - BW 2.5 - - - - 0 BW BW 3 極 15-10 - 20 - - 10-20 - が DC V までなのに対し,G - TWIN の DC シリーズ BW 20-20 40 40 では 3 極品で 0 V,4 極品 ( AF) で 600 V までの電圧回路に適用できるようになり,G - TWIN BW630 BW BW 0 15 20 - - 40 40 - - - 25 - シリーズの全 AF で幅広いニーズに合った製品ラインアップを構築した ( 表 ₅) また, 過電流保護素子を持たない開閉器 ( ノンオート SW) のシリーズ化も行い, 機種選択の幅を広げている 600 BW BW 4 極 - 25-40 - - - - 40 40 ₃.₃ 直流用ブレーカの派生機種 ⑴ 並列通電ブレーカ G - TWIN では直流シリーズのラインアップとして, 低電圧直流回路用の並列通電仕様も新たに加えた ( 表 ₆) BW630 BW 0 - - - 40 40 主に携帯基地局など向けの直流電源設備のブレーカとして ( 図 ₁0 ) 採用されているもので,2 相または 3 相に分流 *: は遮断容量形式を表す 通電させて 1 相当たりに流れる電流を小さくし, 従来の各 AF における最大定格以上の通電ができ, 機器および盤の 小型化に寄与している 165( 61 )
⑵ 太陽光発電用小型断路器市場普及が著しい太陽光発電分野では, 太陽電池インバータの保守点検を可能とするための断路器の設置が, JIS C60364-5 - 55 規格で要求されている また, 太陽電池の発電効率向上を狙って高電圧化が進んでいる これに対応するため, 従来のアーク消弧機構に永久磁石を搭載した小型アーク消弧機構を開発し, 太陽光発電に最適な小型断路器を開発した 交流出力側に設置する ELCB と同一サイズにして盤設計の標準化や, 太陽電池設備の小型化に貢献できる シリーズ. 富士時報. 2006, vol.79, no.2, p.160-166. ⑵ 高橋康弘ほか. グローバルツインブレーカ G - Twinシリーズ の商品拡充と機能を高める付属装置. 富士時報. 2008, vol.81, no.3, p.237-241. 岡本泰道低圧遮断器の開発設計, 低圧機器全般の商品企画に従事 現在, 富士電機機器制御株式会社技術 開発本部開発部担当課長 4 あとがき G - TWIN ブレーカの要素技術, 市場対応機種について紹介した 今後, 国内外の電気設備の信頼性や安全性 効率化の進展により, 選択遮断協調や直流配電などの市場ニーズに対する品ぞろえや製品品質の向上がますます重要になってくると考える お客さまの要求を的確に取り入れ, 市場ニーズにマッチした G - TWIN ブレーカなどの製品の拡充とシリーズの充実を図っていく所存である 佐藤朗史低圧遮断器の開発設計に従事 現在, 富士電機機器制御株式会社技術 開発本部開発部主任 浜田佳伸低圧遮断器の開発設計に従事 現在, 富士電機機器制御株式会社技術 開発本部開発部主任 参考文献 ⑴ 久保山勝典ほか. 新グローバルMCCB/ELCB G - Twin 166( 62 )
* に されている および は, それぞれの が する または である があります