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経済見通し

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中小企業の動向

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第1章

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表紙49

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

資料1

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経済情報:日銀短観(2011年6月)の結果について.doc

目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

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中国:PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

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平成10年7月8日

貸出は積極的だが消費者向けの環境に変化

平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

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別紙2

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Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

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景況 貴社の景況 平成 3 年 期の 貴社の景況判断 BSI を全産でみると 大企 中堅企は 上昇 超 中小企は 下降 超となっている 先行きを全産でみると 大企 中堅企は 上昇 超で推移する 中小企は 下降 超で推移するとなっている 貴社の景況判断 BSI( 上昇 - 下降 社数構成比) ( 単位

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 28 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 28 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 29 年 1~3 月期 来期平成

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

<8A C52E786C7378>

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

<4D F736F F D F4390B3817A4D42418C6F896390ED97AA8D758B60985E814091E63289F AE8E9197BF E646F63>

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

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2018年夏のボーナス見通し

2017年夏のボーナス見通し

2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

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我が国中小企業の課題と対応策

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

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マイナス金利付き量的 質 的金融緩和と日本経済 内閣府経済社会総合研究所主任研究員 京都大学経済学研究科特任准教授 敦賀貴之 この講演に含まれる内容や意見は講演者個人のものであり 内閣府の見解を表すものではありません

(Microsoft PowerPoint \201y\221\3461\216l\224\274\212\372_\225\361\215\220\217\221HP\224\305\201z.pptx)

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「法人企業統計調査」及び「法人企業景気予測調査」に関する意見交換会

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

一企業当たりの事業所数は 14. 事業所 ( 前年度差.6 事業所減 ) 常時従業者数 499 人 ( 前年度比.8% 減 ) 売上高は 23.4 億円 ( 同 2.9% 減 ) 製造企業の一企業当たりの売上高は 億円 ( 前年度比 3.9% 減 ) 営業利益は 1 億円 ( 同.6%

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新規文書1

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拡大する企業の「投資」

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2016年冬のボーナス見通し

平成22年7月30日

スライド 1

平成 21 年第 1 回 ( 平成 21 年 2 月 1 日実施 ) 鳥取県企業経営者見通し調査報告 目次ヘ ーシ 御利用にあたって 1 1 業界の景気判断 3 2 自己企業の売上高判断 5 3 自己企業の経常利益判断 7 4 生産数量の判断 9 5 在庫水準の判断 10 6 生産設備の規模判断 1

SERIまんすりー2月号 今月のみどころ

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第 60 回法人企業景気予測調査 ( 平成 31 年 1-3 月期調査 ) 福島県の概要 平成 31 年 3 月 12 日財務省東北財務局福島財務事務所 調査要領 1. 調査の目的と根拠我が国経済活動の主要部分を占める企業活動を把握することにより 経済の現状及び今後の見通しに関する基礎資料を得ること

第 部 B/S とキャッシュフロー 表 B 金満家この 1 年間の投資と調達の内容 ( 昨年末 ~ 本年末 )( 単位 : 百万円 ) 車 15 家 5 銀行借入 5 内部留保 ( 注 ) 昨年末と本年初は同じ B/S この結果 本年末の B/S は表 C のようになります 表 C

第 1 四半期は好調なスタートとなり 通年でも好調を維持する見通しです 主要製品の販売量を高水準で維持しながら 他の主な指標すべてにおいても 非常に好調であった前年同期からさらに大幅に向上しました と コベストロのチーフ コマーシャル オフィサー (CCO) であり 次期最高経営責任者 (CEO)

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当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

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雇用の現状_季刊版2014年夏号

スライド 1

新今回の要望に合関理連性する事項設 拡充又は延長を必要とする理中小企業は地域の経済や雇用を支え 我が国経済全体を発展させる重要な役割を担っている 中小企業の設備投資を促進し 成長の底上げに不可欠な設備や IT 化等への投資の加速化や生産性の向上を図る ⑴ 政策目的 ⑵ 施策の必要性 昨今の中小企業の

第2章_プラントコストインデックス

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

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不動産経済 表紙OL

平成 22 年 5 月 7 日 問い合わせ先 国土交通省土地 水資源局土地市場課課長補佐小酒井淑乃 係長塩野進代表 : ( 内線 :30-214, ) 直通 : 土地取引動向調査 (*) ( 平成 22 年 3 月調査 ) の結果について

2018 Brother Industries, Ltd. All Rights Reserved 年度第 3 四半期連結業績概要 16Q3 増減 増減率 () は為替影響 除く増減率 売上収益 1,878 1, % (+6.4%) 事業セグメント利益 224

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第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

関西経済レポート (2019 年 9 月 ) 令和元年 (2019 年 )9 月 30 日 ~ 輸出減少が継続 インバウンド消費はプラスの伸びを維持 ~ 足元の経済情勢と当面の見通し 関西経済は輸出 生産が斑模様であるが 内需が下支えとなり底堅く推移している 企業部門では 輸出は中国経済の減速等によ

エコノミスト便り

ニュースリリース 農業景況調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 1 8 日 株式会社日本政策金融公庫 平成 30 年農業景況 DI 天候不順響き大幅大幅低下 < 農業景況調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) 農林水産事業は 融資先の担い手農業者

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /1 年 7~9 月期の近畿圏市場 1. 中古マンション市場の動き 成約価格は前年比で 3 期連続上昇 1 年 7~9 月期の近畿レインズへの成約報告件数は,9 件と 前年同期比で 1.% 増加した (P1 図表 1) 新規登録件数は 15

Microsoft PowerPoint - 平成22年度決算の概要(Ver2)

第 図 (1) 経常利益の推移 経常利益の改善要因 企業収益は 交易条件の改善と固定費の抑制により改善 (22 年度対比 累積寄与差 兆円 ) 売上高要因 変動費率要因 固定費要因 ( うち人件費

熊本商工会議所 製本第四四半期(HP用)

経済・物価情勢の展望(2018年1月)

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Transcription:

三井住友信託銀行調査月報 年 月号 マイナス金利政策の国内設備投資への影響 < 要旨 > 日本銀行による量的 質的金融緩和政策 (QQE) 導入以降 円安の追い風を受け企業業績が上向いているものの 設備投資額の水準は過去のバブル期 リーマンショック前の水準には回復していない 今回のマイナス金利政策導入に際し日本銀行が意図している効果の一つに 実質金利の引き下げを通じた国内企業の投資需要喚起がある しかし国内企業の投資行動を分析すると 足元では実質金利低下が投資行動に与える影響は不安定になっていることから マイナス金利導入による実質金利低下の投資需要喚起効果はそれほど見込めず 投資行動の促進には企業の先行き判断が重要な要素となっていることが分かった マイナス金利政策は企業にとって資金調達の緩和的環境を作りだすが 企業の投資行動を促進する為には 構造改革により日本経済の持続的な成長を達成し 企業の国内需要への成長期待を高めていくことが必要となろう 日本銀行は景気と物価上昇基調の減速を受け 年 月にマイナス金利導入を決定した その目的の一つは国内の投資需要低迷に対する実質金利引き下げによる企業の設備投資喚起 である そこで本稿では マイナス金利政策が企業の設備行動に与える影響を考察する. 伸び悩む設備投資額 まず 法人企業統計による設備投資額を製造業と非製造業に分けて見ると 足元で持ち直しの 兆しは見えるもののバブル期とリーマンショック前の水準と比較すると依然として低い ( 図表 ) 規 模別で見ると製造業 非製造業とも中堅 中小で持ち直しの姿が明確に出ている一方 大企業は 依然として力強さに欠ける状況である ( 次頁図表 ) ( 年 =) 図表 設備投資額指数 ( 業種別 ) の推移 全産業 製造業 非製造業 97 97 97 979 9 9 9 99 99 997 9 ( 注 ) 設備投資額は後方 四半期移動平均を使用 いずれも金融 保険業は除く

三井住友信託銀行調査月報 年 月号 図表 設備投資額指数 ( 規模別 ) の推移 ( 年 =) 製造業 ( 年 =) 非製造業 大企業 中堅 中小 大企業 中堅 中小 97 97 9 9 99 99 97 97 9 9 99 99 ( 注 ) 設備投資額は後方 四半期移動平均を使用 資本金 億円以上を大企業 億円未満を中堅 中小企業と分類した いずれも金融 保険業は除く. 企業業績は好調も設備投資加速の兆候はない 年 月の日本銀行による量的 質的金融緩和政策 (QQE) の実施以降 日本円の対ドルレートは大幅な円安になり企業の業績を後押しした これはキャッシュフロー (= 経常利益.+ 減価償却費 ) がリーマンショック前とほぼ同水準にまで回復していることからも確認できる ( 図表 ) キャッシュフローの増加に伴い設備投資額も伸びているが 設備投資対キャッシュフロー比率を見ると 9 年代初頭から下がり続け 足元ではほぼ横ばい (. 倍程度 ) で推移しており 企業の投資行動が大幅に加速している訳ではない こうした状況は規模別 産業別に見ても確認できる ( 次頁図表 ) 業種別 規模別共にキャッシュフローの増加に伴い設備投資が上向いている姿が見てとれるものの 設備投資対キャッシュフロー比率は足元横ばい程度で推移している 図表 キャッシュフローと設備投資額 ( 全産業 ) の推移 キャッシュフロー設備投資額設備投資対キャッシュフロー比率 ( 右目盛 )....... 97 97 9 9 99 99 ( 注 ) キャッシュフロー = 経常利益 ( 当期末 ).+ 減価償却費 ( 当期末償却固定資産 ) 設備投資対キャッシュフロー比率 = 設備投資額 キャッシュフロー 設備投資額 経常利益 減価償却費は後方 四半期移動平均を使用 いずれも金融 保険業は除く

三井住友信託銀行調査月報 年 月号 図表 キャッシュフローと設備投資額 ( 規模 / 産業別 ) の推移 7 ( 兆円 ) ( 倍 ) キャッシュフロー設備投資額 設備投資対キャッシュフロー比率 ( 右目盛 )... 7 非 キャッシュフロー設備投資額設備投資対キャッシュフロー比率 ( 右目盛 ).............. 97 97 9 9 99 99. キャッシュフロー.. 設備投資額設備投資対キャッシュフロー比率 ( 右目盛 )............ 97 97 9 9 99 99 非 キャッシュフロー. 7 設備投資額設備投資対キャッシュフロー比率 ( 右目盛 ).....9.... 97 97 9 9 99 99 97 97 9 9 99 99 ( 注 ) キャッシュフロー = 経常利益 ( 当期末 ).+ 減価償却費 ( 当期末償却固定資産 ) 設備投資対キャッシュ フロー比率 = 設備投資額 キャッシュフロー 設備投資額 経常利益 減価償却費は後方 四半期移動平 均を使用 いずれも金融 保険業は除く. 実質金利が企業の設備投資行動に与える影響 以上のような状況の中で日銀は 実質金利の更なる低下による企業の投資需要の喚起を目的の一つとしてマイナス金利導入を決定した この政策が企業の投資行動をどの程度加速させるのであろうか そこで実質金利を変数の一つとする設備投資関数 を推計し 実質金利の回帰係数の推移を見ることにより設備投資への効果を検証する 推計の詳細については < 付注 > を参照のこと

三井住友信託銀行調査月報 年 月号 - - - - 9 99 99 - - - - 実質金利の回帰係数 / 製造業 実質金利の回帰係数 / 非製造業 非 非 図表 実質金利と景況感の回帰係数の推移....... -. -. 9 99 99..... -. 非 非 - -. 9 9 ( 注 ) 網掛け部分は回帰係数が想定通りの効果を持つ範囲を表す 推計の詳細については < 付注 >を参照のこと 日本銀行 全国企業短期経済観測調査 企業物価指数 金融経済統計月報 実質金利の回帰係数の動きを見ると 製造業は大企業 中堅 中小ともに 99 年から 99 年 の一部の期間を除き 9 年代後半から 年代前半まではほぼマイナス圏内で推移し 想定 通り実質金利の上昇が投資を抑制するという結果が得られた しかし リーマンショック前の 年前後からプラス圏で推移するようになり 実質金利の上昇が逆に投資を促進する結果となって いる ( 図表 ) 次に非製造業の回帰係数の動きを見ると 大企業はリーマンショック前後 中堅 中小は 年頃にプラス圏で推移し想定とは逆の効果を示している また推計した設備投資関数の変数のうち 企業の先行きの判断を表す景況感の回帰係数の動 きに注目すると の足元の期間 の 9 年頃 非製造業の 年代初頭の一部を除き ほぼプラス圏内で推移しており 企業の先行きの判断が上向けば 投資を促進するという関係があることが分かる 景況感の回帰係数 / 製造業 景況感の回帰係数 / 非製造業 以上の推計結果から 実質金利が企業の投資行動に影響を与える効果は一定ではなく 回帰 係数は 製造業は 99 年から 99 年 年前後 リーマンショック前後の 期間 非製造業 は 年頃とリーマンショック前後の 期間でその効果が変化していることが見て取れる また

三井住友信託銀行調査月報 年 月号 足元でも実質金利の回帰係数は想定とは逆の効果を示しており 実質金利の低下が企業の設備投資需要を喚起するという効果は見込みづらい結果となった 一方で企業の先行き判断が上向けば設備投資を促進するという関係は安定しており 設備投資需要の喚起の為には重要な要素であることが分かった. まとめとこの先の展望 実質金利の低下は企業が設備投資を決定する際の一要素にすぎない 企業の先行き判断と投資行動の関係を見ても 国内需要の成長見込みが低く 投資に対して十分な採算が取れないと企業が判断するのであれば 実質金利低下による投資需要刺激効果は相殺され設備投資は伸びないと考えられる 上述の実質金利の回帰係数の変化があった製造業の 期間と非製造業の 期間を 企業のアンケート調査による実質経済成長率の見通しと比較してみると 見通しが大きくマイナスに落ち込むショックを経験した時期とほぼ一致しており この時期を境に実質金利低下に対して設備投資が反応しにくくなっていることが分かる ( 図表 ) また 足元では 製造業 非製造業共に今後 年間の見通しも落ち込んでおり 企業の年度計画における設備投資額の伸び率も を除きほぼ横ばいとなっている ( 図表 次頁図表 7) こうした観察からは マイナス金利政策により今後実質金利が低下しても 企業の設備投資が大幅に上向いていくとは考えにくい マイナス金利政策は企業にとって資金調達の緩和的環境を作りだすが 企業の投資行動を促進する為には 構造改革により日本経済の持続的な成長を達成し 企業の国内需要への成長期待を高めていくことが必要となろう 図表 我が国の実質経済成長率 製造業 非製造業.... (%) 次年度の見通し今後 年間の見通し今後 年間の見通し.... (%) 次年度の見通し今後 年間の見通し今後 年間の見通し...... -. -. -. 9 9 99 99 ( 資料 ) 内閣府 企業行動に関するアンケート調査 -. 9 9 99 99

三井住友信託銀行調査月報 年 月号 - - - - ( 前年度比 %) 図表 7 設備投資額 ( 年度計画 )( 含む土地投資額 除くソフトウェア投資額 ) 伸び率の推移 製造業 計画 7 7 - - - 非製造業 ( 前年度比 %) 非非 計画 -7 7 ( 注 ) 中堅 中小企業については設備投資額を合算した上で伸び率を計算している ( 資料 ) 日本銀行 全国企業短期経済観測調査 経済調査チーム加藤秀忠 :Kato_Hidetada@smtb.jp) < 付注 > 推計式は以下の通りである 設備投資額 ( 対前年増減率 ) =キャッシュフロー ( 対前年増減率 )+キャッシュフロー( 対前年増減率 )(t-) + 設備過剰感 + 景況感 + 負債比率 ( 対前年増減差 ) + 負債比率 ( 対前年増減差 )(t-)+ 実質金利 + 切片 (t-) は 四半期前のデータを使用していることを意味する 設備過剰感と景況感には 日本銀行 全国企業短期経済観測調査 の生産 営業用設備 DI と業況判断 DI( 次期予測 ) をそれぞれ使用した なお中堅 中小企業の DI 値は 中堅企業と中小企業の算出平均を用いている 実質金利は長期プライムレート- 企業物価指数上昇率 ( 対前年増減率 ) で算出した 推計に使用したサンプル期間は製造業については 97 年第 四半期 ~ 年第 四半期 非製造業については 99 年第 四半期 ~ 年第 四半期である いずれも推計に使用するサンプルを 四半期に固定して 推計期間の始期と終期を 四半期ずつ後方にずらしながら逐次的に推計を行うローリング回帰分析により推計を行った 本資料は作成時点で入手可能なデータに基づき経済 金融情報を提供するものであり 投資勧誘を目的としたものではありません