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トラック運送事業の経営実態 全日本トラック協会は全国のトラック運送事業者 2,188 社 ( 有効数 ) の平成 25 年度事業報告書に基づき集計 分析した 経営分析報告書 ( 平成 25 年度決算版 ) をまとめた 全日本トラック協会が平成 4 年度から発行しているこの報告書は 会員事業者が自社の

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経営分析報告書について 1. 実施概要公益社団法人全日本トラック協会では 経営戦略化型構造改善事業 ( 昭和 62 年度 ~ 平成 4 年度 ) の一環として 中小トラック運送事業者の経営活動の実態を計数的に把握し 経営管理の改善等に役立てていただくために 平成 4 年度から 経営分析報告書 を毎年

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

( 図表 1) 平成 28 年度医療法人の事業収益の分布 ( 図表 2) 平成 28 年度医療法人の従事者数の分布 25.4% 27.3% 15.8% 11.2% 5.9% n=961 n=961 n= % 18.6% 18.5% 18.9% 14.4% 11.6% 8.1% 資料出所

目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

第2章 食品卸売業の経営指標

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

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生活衛生関係営業の景気動向等調査 平成17年7~9月期

熊本商工会議所 製本第四四半期(HP・報道機関用)

部品メーカーの状況 自動車部品メーカー 75 社の 2017 年度通期 (2017 年 年 3 月 ) の業績は 以下のとおりとなった 1. 決算状況 1 日本基準適用企業 63 社 ( ) 前年同期差 前年同期比 売上高 14,135,817 15,044, ,912 +

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平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

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Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

電通、平成24年3月期連結決算を発表

通期 連結の売上高 営業利益 経常利益としては 過去最高 のれん及び固定資産に係る減損損失を特別損失として 517 億円計上 当期純利益が 3 月 30 日付での予想数値より増加したのは 予想数値公表時の見込み額と比べ 最終決算数値により確定した減損損失額が 53 億円 減少したことによる 事業環境

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Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 28 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 28 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 29 年 1~3 月期 来期平成

平成10年7月8日

プレゼン

2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

我が国中小企業の課題と対応策

2009年3月期 第2四半期決算説明会

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

消費税増税後の仕入・販売単価に関する東北6県企業の動向調査

I. 調査結果概況 景気判断 DI( 現状判断 ) は小幅に上昇し最高値を更新 仕入原価高止まりも客単価が上昇 10 月スーパーマーケット中核店舗における景気判断 49.1 と小幅に上昇し 2010 年 4 月の調査開始以降最高値を記録した 経営動向調査によると売上高 DI が 1.1 とはじめてプ

スライド 1

( 億円 ) 売上高 ( 億円 ) 15, 1, 金 12, 8, 額 9, 6, 営業利益 売上高営業利益率 経常利益 売上高経常利益率 当期利益 売上高当期利益 1.% 8.% 6.% 6, 4, 4.% 3, 2, 2.% '13- 上 '13- 上 '13- 上 '13- 上.% 売上高につ

2019 年 3 月期第 3 四半期決算 ご参考資料 2019 年 1 月 31 日日本通運株式会社経営企画部

製造業3. 東北の産業構造 ( 製造業 ) (1) 製造業 1 概況 製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% の増加 平成 26 年の東北地域の製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% と3 年連続の増加となった また 全国に占める割合は5.5% と前年

調査結果の概要 1. 自社チャンネルの加入者動向については消極的な見通しが大勢を占めた自社チャンネルの全体的な加入者動向としては 現状 では 減少 (50.6%) が最も多く 続いて 横ばい (33.7%) 増加 (13.5%) の順となっている 1 年後 についても 減少 (53.9%) 横ばい

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調査結果の概要 1. 自社チャンネルの加入者動向について 横ばい との見方が拡大自社チャンネルの全体的な加入者動向としては 現状 では 減少 (40.0%) が最も多く 続いて 横ばい (35.6%) 増加 (23.3%) の順となっている また 1 年後 については 横ばい (41.1%) が最も

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社団法人日本生産技能労務協会

第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

平成 21 年第 1 回 ( 平成 21 年 2 月 1 日実施 ) 鳥取県企業経営者見通し調査報告 目次ヘ ーシ 御利用にあたって 1 1 業界の景気判断 3 2 自己企業の売上高判断 5 3 自己企業の経常利益判断 7 4 生産数量の判断 9 5 在庫水準の判断 10 6 生産設備の規模判断 1

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

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第 1 四半期の売上収益は 1,677 億円となり 前年からプラス 6.5% 102 億円の増収となりました 売上収益における為替の影響は 前年 で約マイナス 9 億円でしたので ほぼ影響はありませんでした 事業セグメント利益は 175 億円となり 前年から 26 億円の減益となりました 在庫未実現

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ニュースリリース 農業景況調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 1 8 日 株式会社日本政策金融公庫 平成 30 年農業景況 DI 天候不順響き大幅大幅低下 < 農業景況調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) 農林水産事業は 融資先の担い手農業者

資料1

PowerPoint プレゼンテーション

Ⅰ. 経営状況 A.2019 年 3 月期第 1 四半期決算の概要 1) 概要 ( 連結 ) ( 単位 : 億円 %) 2019/3 期 1Q 実績 /3 期 1Q 実績 2 額 ( 前年比 ) 3=1-2 率 ( 前年比 ) 4=3 2 X100 上期予想 (4/27 発表 ) 5 進

2017年度 決算説明会資料

新規文書1

報道関係各位 長期にわたる軽油価格の高止まりで 燃料コスト削減のためのエコドライブや輸送の効率化など徹底した自助努力も既に限界に達し 多くのトラック運送事業者が事業存廃の危機に直面しています しかしながら 私どもは国民生活 産業活動を支える公的物流サービスの担い手として その重要な使命を果たすべく日

6 月調査 (5 月実績 ) 結果概況 景気判断 DI は現状 見通し共に小幅に下降も 50 を上回る高水準を維持 5 月のスーパーマーケット中核店舗における景気判断 DI 現状判断は前月から-0.3 の 54.8 見通し判断前月から-0.9 の 51.0 となり 共に小幅な下降となったが 引き続き

PowerPoint プレゼンテーション

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中小企業の動向

スライド 1

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平成22年7月30日

2014年3月期決算説明会

スライド 1

大分類小分類建設工事の種類 総合工事業 土木建築工事業土木工事業 ( 土木工事が完成工事高の8 割以上 ) 建築工事業 ( 土木工事が完成工事高の2 割未満 ) 設備工事業職別工事業 前記による土木一式工事 舗装工事 しゅんせつ工事 水道施設工事 造園工事建築一式工事電気工事 管工事 機械器具設置工

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四国地方 主要8行の預金・貸出金等分析(2017年第2四半期(中間期)決算)

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2018年3月期 第1四半期決算概要

熊本商工会議所 製本第四四半期(HP用)

「中小企業の景況感に関する調査」集計結果

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( 億円 ) 売上高 ( 億円 ) 25, 25, 営業利益 経常利益 当期利益 1.% 金 額 2, 15, 2, 15, 売上高営業利益率 売上高経常利益率 売上高当期利益 8.% 6.% 1, 1, 4.% 5, 5, 2.% 24 度 25 度 24 度 25 度 24 度 25 度 24

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

Microsoft Word 年3月期第2四半期決算 主要建設会社決算分析_ 【最終版】

Microsoft Word 製造業 収益構造

決算サマリー 2019 年 3 月期第 1 四半期業績概要 売上高 596 億円 ( 前四半期比横ばい ) 営業利益 60 億円 ( 同 34% 増 ) 自動車向けの需要が コンデンサ中心に堅調 2019 年 3 月期業績予想 上期の業績予想を上方修正 自動車 産業機器の電子化やスマートフォンの高機

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( 図表 1) 特別養護老人ホームの平米単価の推移 ( 平均 ) n=1,836 全国東北 3 県 注 1) 平米単価は建築工事請負金額および設計監

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経営指標の概要 ( 電気事業 ) 1. 経営の状況 ( 電気事業全体で算出 ) 算出式 ( 法適用事業 ) 算出式 ( 法非適用事業 ) 1 経常収支比率 (%) 1 収益的収支比率 (%) 指標の意味 経常収益 100 経常費用 総収益 100 総費用 + 地方債償還金 法適用企業に用いる経常収支

Microsoft PowerPoint - 資料102-3.ppt [互換モード]

第 60 回法人企業景気予測調査 ( 平成 31 年 1-3 月期調査 ) 福島県の概要 平成 31 年 3 月 12 日財務省東北財務局福島財務事務所 調査要領 1. 調査の目的と根拠我が国経済活動の主要部分を占める企業活動を把握することにより 経済の現状及び今後の見通しに関する基礎資料を得ること


[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

2018年度 第3四半期累計 1-9月 実績 2017年 19月期 2018年 19月期 増減 () 9,302 9, % +4.1% 営業利益 % 0.0% % +9.7% 親会社の所有者に 帰属する四半期利

Results Presentation

一企業当たりの事業所数は 14. 事業所 ( 前年度差.6 事業所減 ) 常時従業者数 499 人 ( 前年度比.8% 減 ) 売上高は 23.4 億円 ( 同 2.9% 減 ) 製造企業の一企業当たりの売上高は 億円 ( 前年度比 3.9% 減 ) 営業利益は 1 億円 ( 同.6%

景気見通し調査 ( 平成 25 年 3 月期 ) 調査結果 福井商工会議所 中小企業総合支援センター 調査の概要 当調査は 福井商工会議所管内の小規模事業所の短期的な景気動向を把握するため 毎年 3 月 6 月 9 月 12 月の年 4 回実施している 調査時期 平成 25 年 3 月 13 日 (

2017(平成29)年度第1四半期 決算説明資料

Transcription:

全ト協の経営分析平成 23 年度決算版 平成 25 年 3 月 営業収益 営業利益は連続減 赤字体質が続く業界の 9 割を占める 10 台以下 11~20 台 21~50 台 の約 6 割 (1,073/1,827 社 ) が営業赤字経常利益も連続減少 ~ 厳しい経営環境続く ~ 貨物運送事業の営業収益 営業利益率の推移 (1 社平均 ) 区分 営業収益 ( 千円 ) 営業利益率 (%) 21 年度 22 年度 23 年度 21 年度 22 年度 23 年度 全体 ~10 台 ( 3.4) ( 0.4) ( 1.5) (1.1) ( 2.0) ( 2.9) 195,061 49,134 192,178 49,656 188,259 48,220 0.4 3.6 0.7 3.2 1.0 3.1 ( 0.8) (0.4) ( 1.4) 車 11~20 1.4 1.5 1.9 131,061 131,600 129,774 両 ( 3.9) ( 0.1) ( 1.4) 規 21~50 1.2 0.7 1.0 285,618 285,456 281,556 模 ( 7.0) ( 0.8) ( 6.5) 別 51~100 1.2 0.6 0.7 597,645 592,896 554,623 101 以上 ( 2.0) ( 0.9) ( 6.1) 1,120,542 1,110,899 1,043,384 0.2 0.7 0.1 注 : 営業収益のカッコ内は前年度比伸び率 単位 % はマイナス (%) 2 1 0-1 -2-3 -4 車両規模別の経常利益率の推移 19 20 21 22 23 ~10 台 -2.5-3.6-1.3-1.4-1.1 11~20-0.7-2.1-0.2-0.2-0.8 21~50 0.4-0.5 1.0 0.4 0.1 51~100 0.6 0.2 1.8 1.2 1.3 101 台以上 0.8 0.8 0.3 1.6 1.7 全体 -0.1-0.8 0.7 0.4 0.1 多い 車両台数 少ない 全日本トラック協会は 平成 23 年度決算版経営分析報告簡易版をまとめた 全国の事業者 1,976 社 ( 有効数 ) から提出された平成 23 年度決算 ( 平成 22 年 10 月から平成 24 年 8 月 ) の 一般貨物自動車運送事業報告書 について 平成 24 年 10 月から平成 25 年 2 月にかけて決算内容を分析した トラック運送事業においては 営業赤字企業の割合が過半数を占める状況が続いており 平成 23 年度は 57%(1,135 社 ) と前年度と同程度となっている 特に車両 10 台以下 (600 社 ) では 6 割を超えて (378 社 ) 推移している また トラック運送事業の売上げに当たる平成 23 年度の営業収益 ( 貨物運送事業収入 ) は 1 社平均 188,259 千円で 前年度に比べマイナス 2.0% と 6 年連続して減少し 営業利益率はマイナス 1.0% で 5 年連続の赤字となった 平成 23 年度トラック運送業界は 国内の景気回復の遅れによる輸送量の停滞や 軽油価格の上昇に加え 安全 環境対策に係るコスト増といった厳しい局面に置かれ 多くの中小事業者が事業存廃の岐路に立たされているというのが実態である なお 平成 24 年 12 月からの円安による軽油価格上昇などの要因を加味すると足下の経営実態は 本分析結果に比較して厳しさを増しているものと推測される 1

全ト協調査 トラック運送事業の経営実態 平成 23 度決算版 全日本トラック協会は全国のトラック運送事業者 1,976 社 ( 有効数 ) の平成 23 年度事業報告書に基づき集計 分析した 経営分析報告書 ( 平成 23 年度決算版 ) をまとめた 全日本トラック協会が平成 4 年度から発行しているこの報告書は 会員事業者が自社の現状を客観的に把握し 今後の経営改善に資する指標を提供するもので 希望者には全国や県内の同規模事業者と比較し 問題点とその改善策をまとめた 企業診断書 を作成している 売上高 ( 営業収益 ) の状況 平成 23 年度は 3 月の東日本大震災による国内の経済状況の悪化が見られたが 後半の復興施策や収益の持ち直しにより 緩やかに回復してきている こうした情勢下 トラック運送業界では輸送量の停滞が続き 平成 23 年度の売上高 ( 兼業分を含む全売上高 1 社平均 ) は 189,480 千円と 前年度の 193,914 千円に比べて 2.3% の減収となった うち貨物運送事業収入 (1 社平均 ) も 188,259 千円と 前年度の 192,178 千円に比べて 2.0% 減少し 全売上高 貨物運送事業収入ともに 6 年連続の減収となった < 売上高 ( 貨物運送事業収入 ) の推移 > (1 社平均 : 百万円 ) 210 200 190 197.0 195.1 193.9 192.2 189.5 188.3 180 170 160 150 売上高 貨物運送事業収入 2

貨物運送事業収入 (1 社平均 ) を車両規模別に見ると 規模に関わらず減少となった 大きく減少したのは 51~100 台 ( 同マイナス 6.5%) 101 台以上 ( 同マイナス 6.1%) となっている 地域別に見ると 四国 九州を除いたすべての地域で前年度に比べ減少しており 厳しい状況が窺われる 特に 近畿 ( 同マイナス 16.3%) は減少幅が大きくなっている なお 平成 23 年度の輸送トン数 (1 社平均 ) は 63,425 トンで 前年度の 63,141 トンと比較してほぼ横ばいとなっている 上記の売上高の減少を勘案すると 輸送トン当たりの売上が減少することで事業者への負担が増加している < 輸送トン数 ) の推移 > (1 社平均 : 千トン ) 80 60 60.6 63.1 63.4 40 20 0 全日本トラック協会が四半期ごとに実施している トラック運送業界の景況感調査 により一般貨物の 営業収入 輸送数量 運賃料金水準 の判断指標の推移を見ると 20 年度後半までは世界経済の後退の影響から悪化していたが 21 年 4-6 月期から徐々に水準が上昇し 22 年にはほぼ悪化前の水準に戻った しかしながらその水準は依然としてマイナスであり さらに 23 年 3 月には東日本大震災の影響もあり再び悪化している 3

採算 ( 利益 ) の状況 営業利益率平成 23 年度の売上高営業利益率はマイナス 0.9% と 5 年連続して営業赤字となり 前年度のマイナス 0.6% から悪化した 貨物運送事業の営業収益営業利益率もマイナス 1.0% となり 前年度のマイナス 0.7% から悪化した 営業利益は 19 年度以降 営業収益が減少する一方 燃料価格が高水準にあることから 各企業の経費節減など懸命な経営努力も及ばず マイナスが続いている 23 年度も 燃料価格が上昇したため営業損失が拡大した 貨物運送事業の実際の営業損失 (1 社平均 ) は 1,804 千円で 前年度の営業損失 1,409 千円に比べマイナス幅が拡大し 経営は引き続き厳しい状況にある < 売上高 ( 営業収益 ) 営業利益率の推移 > (1 社平均 : 百万円 ) 0.5 0.0-0.5-0.3-0.4-1.0-0.6-0.7-0.9-1.0-1.5 売上高営業利益率営業収益営業利益率 営業収益営業利益率は前年度に比べて 0.3 ポイント低下した 営業収益が前年度比マイナス 2.0% となったのに対し 営業費用 ( 運送費 + 一般管理費 ) の減少幅が前年度比マイナス 1.8% となった 営業費用の大部分を占める運送費用を見ると 燃料油脂費が前年度比プラス 8.5% と増加する一方 人件費は前年度比マイナス 0.8% と減少している 事業者の経営努力が及ばない燃料価格の上昇要因が大きく影響している 営業収益営業利益率を規模別に見ると 10 台以下 と 51~100 台 以外の規模において利益率が低下した また 規模の小さいところでは総じて営業赤字の状態にあり 特に 10 台以下 11~20 台 では 10 年以上も赤字が続くなど 厳しい経営を余儀なくされている 地域別に見ると すべての地域において営業赤字となった また 東北 北陸信越 中部 を除いた地域で前年度より利益率が低下した 特に低下幅が大きかったのは中国 ( 前年度比 0.9 ポイント低下 ) で 以下 関東 ( 同 0.7 ポイント低下 ) となっている 4

経常利益率平成 23 年度の売上高経常利益率は 0.1% となり 前年度の 0.5% から 0.4 ポイント低下した うち貨物運送事業の営業収益経常利益率は 0.1% と前年度の 0.4% から 0.3 ポイント低下した 貨物運送事業の実際の経常損益額 (1 社平均 ) は 131 千円の黒字で 前年度の 764 千円から減少した 17 年度以降 20 年度まで経常減益が続き 21 年度にようやく増益となったものの 22 年度以降は減益が続いている < 売上高 ( 営業収益 ) 経常利益率の推移 > (1 社平均 : 百万円 ) 0.9 0.7 0.5 0.9 0.7 0.5 0.4 0.3 0.1-0.1-0.3 0.1 0.1-0.5 売上高経常利益率営業収益経常利益率 営業収益経常利益率を規模別に見ると 10 台以下 はマイナス 1.1%( 同プラス 0.3%) で前年よりわずかに上昇したものの 営業利益率と同様 10 年以上連続して赤字 11~20 台 もマイナス 0.8%( 同マイナス 0.6%) と 17 年度以降 7 年連続の赤字となっている 地域別に見ると 23 年度は 6 地域で低下し 上昇したのは東北と九州 横ばいが北海道であった さらに 4 地域 ( 北陸信越 関東 中国 四国 ) において赤字となった 5

利益計上 ( 黒字 ) 企業割合平成 23 年度の貨物運送事業の利益計上 ( 黒字 ) 企業の割合を見ると 営業利益計上企業割合は 43%( 集計対象事業者 1,976 社中 841 社 ) で 前年度の 42% と比較してほぼ横ばい 経常利益計上企業割合は 54%(1,976 社中 1,072 社 ) と前年度の 56% から 2 ポイント低下した 営業赤字企業の割合は過半数を占める状況が続いており 平成 23 年度は 57% と前年度から横ばいとなった < 黒字企業割合の推移 > ( 貨物運送事業 : %) 70 60 50 40 48 61 56 42 43 54 30 20 10 0 営業利益経常利益 規模別に見ると 21~50 台 51~100 台 を除いた規模で営業黒字企業割合が横ばいもしくは低下した なお 10 台以下 では赤字企業割合が 63% と 6 割を超え 11 ~20 台 は同 60% 21~50 台 では同 53% となっており 規模が小さいところでは依然として営業赤字企業が過半数を占めている また 経常黒字企業割合においても規模が小さいほど黒字企業割合が低い傾向がみられ 規模が小さいところでは経営環境が厳しい状況にある 地域別では 中国 四国において 50% を下回っており 厳しい経営環境におかれている 最も低いのは中国 (45%) であった 既に見たように 23 年度は営業収益 ( 貨物運送事業収入 ) の減少が続く中で 原油価格の上昇により燃料費負担が増加するなど 収益面で非常に厳しい状況にある このような厳しい環境において 個別企業は合理化を推進し 日々懸命に経営努力を続けているが 懸命なコスト削減努力にもかかわらず全ての地域で営業赤字企業が過半数を占めていることは 業界を取り巻く環境がかつて経験したことのないほど厳しくなっていることを顕著に表している 前掲の トラック運送業界の景況感調査 により 経常損益 に関する判断指標の推移を見ると 20 年度後半までは悪化が続いていたが 21 年 4-6 月期には下げ止まり 22 年 1-3 月期には悪化前の水準に戻り 22 年中はほぼ横ばいの推移となった ただし水準自体は依然として水面下で 悪化 の水準にあり 厳しい状況が続いている点は変わりない また 業界の景況感は経常損益より下げ幅が大きく 業界の存立基盤を不安視していることがうかがわれる さらに 23 年 3 月の東日本大震災発生後は国内の経済情勢が急激に悪化しており 先行きも懸念材料が多く 業界を取り巻く環境は今後も厳しい状況が続くものと思われる 6

燃料費比率の推移 燃料価格上昇が燃料費比率に及ぼす影響燃料費が営業収益に占める割合 ( 燃料費比率 ) は 平成 21 年 14.2% 平成 22 年度 16.2% で 本年度は前年度比 1.7 ポイント上昇し 17.9% となった 平成 21 年から原油価格上昇の影響を受けて 燃料費が上昇している 地域別に見ると 東北は 21.9% と高く 40% 近くになる事業者も存在している 営業収益が年々減少しているが 原油価格上昇により 軽油価格が上昇し 利益率を圧迫していることが考察される トラック運送業では運送原価に燃料費が占める割合が高いため 燃料価格の上昇は中小事業者の経営に大きく影響を与え 事業廃止に追い込まれる事業者が増えている < 燃料費比率の推移 > ( 貨物運送事業 : %) 20 17.9 16.2 15 14.2 10 燃料費比率 7