11総法不審第120号

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処分済み

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第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第

処分済み

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保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

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取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

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7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

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処分済み

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

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目 次 1 固定資産税と固定資産税評価 1 1 固定資産税とは 1 2 固定資産税の課税のしくみ 2 (1) 固定資産税を納める人 ( 納税義務者 ) 2 (2) 税額の計算 2 2 固定資産税評価のあらまし 1 固定資産税評価の意義 2 固定資産税評価によって求める価格とは 3 固定資産の価格を求

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遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は

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ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

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1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

Microsoft Word - 答申書(一)5号本体(公表用・伏せ字有り)

所得税確定申告セミナー

平成 30 年 9 月 25 日 諮問 平成 30 年 11 月 13 日審議 ( 第 27 回第 4 部会 ) 平成 30 年 12 月 11 日審議 ( 第 28 回第 4 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1

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特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

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固定資産評価審査申出とは

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とは適正な時価をいう旨, 6 号で 基準年度 とは昭和 3 1 年度及び昭和 3 3 年度並びに昭和 3 3 年度から起算して 3 年度又は 3 の倍数の年度を経過したごとの年度をいう旨, 7 号で 第二年度 とは基準年度の翌年度をいう旨, 8 号で 第三年度 とは第二年度の翌年度 ( 中略 ) を

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

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1 天神 5 丁目本件土地及び状況類似地域 天神 5 丁目 本件土地 1 状況類似地域 標準宅地

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高島市職員措置請求に係る監査の結果について 第 1 請求の受付 1 請求書の提出平成 29 年 9 月 28 日 2 請求人 3 請求の要旨 ( 高島市職員措置請求書 の原文のまま記載) 1 請求の要旨高島市長による平成 29 年度の固定資産税の賦課において 別紙の固定資産について 家屋の未評価によ

<4D F736F F D2095F18D9091E682518D E7390EC8E E738C7689E690C58FF097E182CC88EA959482F089FC90B382B782E98FF097E EA8C88816A B8C91CE8FC6955C E646F6378>

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

む ), 倉庫その他の建物をいう ( 同条 3 号 ) 固定資産課税台帳 とは, 土地課税台帳, 土地補充課税台帳, 家屋課税台帳, 家屋補充課税台帳及び償却資産課税台帳を総称するものである ( 同条 9 号 ) 家屋課税台帳 とは, 登記簿に登記されている家屋 ( 建物の区分所有等に関する法律 (

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諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

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仕事の依頼に諾否の自由はなく 業務の内容及び遂行方法について本件会社の指揮命令を受け アシスタント雇用等に関する規程等により 業務を他人に代替させえない 所得税の源泉徴収 雇用保険 厚生年金 健康保険の保険料徴収がある 営業所 机 パソコン 文具等は本件会社の提供に係るものであり 経費は立替精算であ

承認第03号-都市計画税条例の一部改正(専決処分)【確定】

1. 固定資産税 都市計画税について 固定資産税は 毎年 1 月 1 日 ( 賦課期日 といいます ) 現在に土地 家屋 償却資産 ( こ れらを総称して 固定資産 といいます ) を所有している人が その固定資産の所在する 市町村に納める税金です 都市計画税は 下水道 街路 公園などの都市計画事業

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

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家屋評価事務取扱要領

もあり 安全で問題のない生活を送るためには家庭の中で請求人一人の力だけでは難しく 周りの大人の支援を必要としている状況である 現在も上記のような状況から 仕事ができずにいる また 本件処分は本件診断書に基づいて行われているが その後本件児童の状態が変わっているので 平成 30 年 3 月 26 日付

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

平成  年(オ)第  号

審 査 請 求 事 務 取 扱 要 領

<4D F736F F D2095BD90AC E D738CC2816A939A905C91E D862E646F63>

( 賦課期日 ) 第 4 条都市計画税の賦課期日は 当該年度の初日の属する年の1 月 1 日とする ( 納期 ) 第 5 条都市計画税の納期は 次のとおりとする 第 1 期 4 月 1 日から同月 30 日まで第 2 期 7 月 1 日から同月 31 日まで第 3 期 12 月 1 日から同月 25

坂戸市条例第 号

総務省が所管する地方税法ではなく 財務省が所管する国有財産法の適用を受けるとのことであり 実施機関の本件決定は失当である (2) 本件は 国税庁からの教示による公文書公開請求であり これを実施機関が非公開決定するとは言語道断である (3) 尖閣諸島の国有化は 日本と中国の外交問題に発展していることも

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

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ものであるから 法定相続における遺産分割とパラレルに考えるべき事案であって 相続による不動産の取得 として 法 7 3 条の 7 第 1 号を適用して非課税とされるべきものである 処分庁は 私的取引社会における事実の流れを勝手に分断し その一部だけに税法を適用しており 裁量権の逸脱であって許されない

がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

○不動産を贈与した場合の申請書の様式・記載例(オンライン庁)

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富士見市都市計画税条例 ( 昭和 46 年条例第 40 号 ) 新旧対照表 ( 第 1 条による改正 )( 専決 ) 新 旧 附則 附則 ( 改修実演芸術公演施設に対する都市計画税の減額の規定の適用を受けようとする者がすべき申告 ) 6 法附則第 15 条の11 第 1 項の改修実演芸術公演施設につ

計算式 1 1 建物の価額 ( 固定資産税評価額 ) =2 長期居住権付所有権の価額 +3 長期居住権の価額 2 長期居住権付所有権の価額 ( 注 1) =1 固定資産税評価額 法定耐用年数 ( 経過年数 + 存続年数 ( 注 3)) 法定耐用年数 ( 注 2) 経過年数 ライプニッツ係数 ( 注

固定資産の価格は 国が示す基準で評価します 固定資産の評価は 国が示す 固定資産評価基準 によって行うこととされています ( 固定資産評価基準は 総務大臣が告示します ) これにより 評価した価格 ( 評価額 ) は 毎年 3 月 31 日までに市町村長が決定します 平成 30 年度の価格 ( 評価

北上市空家等対策規則 ( 趣旨 ) 第 1 条この規則は 北上市空家等対策条例 ( 平成 28 年北上市条例第 17 号 以下 条例 という ) の実施に関し必要な事項を定めるものとする ( 守秘義務 ) 第 2 条条例第 7 条に定める空家等対策審議会の委員は 職務上知り得た秘密を他に漏らしてはな

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から


査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

b c.( 略 ) 2 不動産取得税の軽減に係るの発行信託会社等の地方税法附則第 11 条第 12 項に基づく不動産取得税の軽減のための同法施行令附則第 7 条第 12 項に規定するの発行等については 以下のとおり取り扱うものとする イ ロ.( 略 ) 載があること c d.( 略 ) 2 不動産取

198 第 3 章 減価償却資産の取得価額 キーワード ソフトウエアに係る取得価額購入したソフトウエアの取得価額は 1 当該資産の購入の代価と 2 当該資産を事業の用に供するために直接要した費用との合計額とされています 引取運賃 荷役費 運送保険料 購入手数料 関税 その他の当該資産の購入のために要

新座市税条例の一部を改正する条例

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

○不動産を贈与した場合の申請書の様式・記載例(オンライン庁)

等調整都市計画税額が 当該商業地等に係る当該年度分の都市計画税の課税標準となるべき価格に 10 分の 6 を乗じて得た額 ( 当該商業地等が当該年度分の固定資産税について法第 349 条の 3( 第 20 項を除く ) 又は法附則第 15 条から第 15 条の 3 までの規定の適用を受ける商業地等で

自治基本条例素案のたたき台大和市自治基本条例をつくる会

被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

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< F2D FC897DF B96DA D834E838D817A90568B8C E6A7464>

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

無い (3) 特定市が振興協会会長 Aと市教育委員会とで一体に推進した当該文化事業は事業の実施前と実施後のまちの変化における事業の効果について国への報告義務があり, 公正に適法に事業を行う責務の存在は当該文化事業の目標の1は中心市街地の賑わいの促進にあって中心市街地活性化ソフト事業であって公開されて

債務のうち所定の範囲内のものを当該事業主に代わって政府が弁済する旨規定する (2) 賃確法 7 条における上記 政令で定める事由 ( 立替払の事由 ) として 賃金の支払の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 51 年政令第 169 号 以下 賃確令 という )2 条 1 項 4 号及び賃金の支払の確

藤沢市木造住宅簡易耐震改修工事補助金交付要綱 ( 趣旨 ) 第 1 条この要綱は, 木造住宅の耐震改修工事を促進することにより, 災害に強い安全なまちづくりを推進するため, 藤沢市耐震改修促進計画に基づき, 簡易耐震改修工事のための補強設計及び簡易耐震改修工事並びに工事監理に要する費用に対する補助金

Transcription:

答 申 審査請求人 ( 以下 請求人 という ) が提起した地方税法 ( 以下 法 という ) に基づく不動産取得税賦課処分に係る審査請求につい て 審査庁から諮問があったので 次のとおり答申する 第 1 審査会の結論 本件審査請求は 棄却すべきである 第 2 審査請求の趣旨本件審査請求の趣旨は 東京都 都税事務所長 ( 以下 処分庁 という ) が請求人に対し平成 2 9 年 2 月 7 日付けで行った別紙物件目録記載の家屋 ( 以下 本件家屋 という ) の取得に係る不動産取得税賦課処分 ( 別紙処分目録記載のとおり 以下 本件処分 という ) について その取消し又は変更を求めるものである 第 3 請求人の主張の要旨請求人は おおむね以下の理由から 本件処分の違法性又は不当性を主張している 本件建物に係る評価協力資料の提出を失念していたことから 本件建物の評価額は過大に算出されたものと思われ これに基づく本件処分は見直して欲しい 第 4 審理員意見書の結論 本件審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り棄却すべきである - 1 -

第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 29 年 8 月 1 8 日 諮問 平成 29 年 10 月 17 日審議 ( 第 14 回第 2 部会 ) 平成 29 年 12 月 1 日審議 ( 第 15 回第 2 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1 法令等の定め ⑴ 法 7 3 条の 1 3 第 1 項によれば 不動産取得税の課税標準は 不動産を取得した時における不動産の価格とされ この価格とは 適正な時価をいうとされている ( 法 73 条 5 号 ) ⑵ 法 7 3 条の 2 1 第 1 項によれば 道府県知事 ( 法 1 条 2 項により 都知事 と読み替える なお 東京都都税条例 ( 以下 条例 という )4 条の3により 都知事の権限は 本件では処分庁に委任されている ) は 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については 当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとされ 同条第 2 項によれば 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産については 本件評価基準によって 当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとされている ⑶ 非木造家屋の評価方法についてア本件評価基準において 家屋の評価は 木造家屋及び木造家屋以外の家屋 ( 非木造家屋 ) の区分に従い 各個の家屋について評点数を付設し 当該評点数に評点一点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法によるものとされ 各個の家 - 2 -

屋の評点数については 再建築費評点数を基礎とする再建築価格方式が採用されている ( 第 2 章 第 1 節 一及び二 ) そして 本件評価基準が採用している再建築価格方式とは 評価の対象となる家屋と同一のものを 評価の時点においてその場所に建築するものとした場合に必要とされる建築費 ( 再建築費 ) を求め これに建築時からの経過年数に応じた減点補正等を行うことによって その家屋の評価額を求める方法であり 建物を現実に新築した際の特殊事情に左右されることなく 適正な時価を算出する最も妥当な方法であるとされている ( 京都地方裁判所昭和 50 年 12 月 12 日判決 ( 判例タイムズ338 号 315 頁 )) イまた 本件評価基準において 非木造家屋の評点数の算出方法については その状況に応じ 部分別による再建築費評点数の算出方法又は比準による再建築費評点数の算出方法のいずれかにより 再建築費評点数を求めるものとされている ( 第 2 章 第 3 節 一 2) ウそして 東京都の場合 東京都特別区に存する地域における本件評価基準による固定資産 ( 家屋 ) の評価に当たっては本件評価要領が定められ 具体的な評価が行われている エ本件評価要領によれば 比準評価は 本件評価要領の別表 家屋単位当たり再建築費評点比準表 ( 以下 比準表 という ) において 特別区に所在する家屋の実態に応じ 構造 用途 程度等の区分により選定された標準とすべき家屋 ( 以下 標準家屋 という ) と同一の構造 用途 程度等の区分に属するもの ( 以下 比準家屋 という ) に対して行い 床面積が1,000m2を超えるもの及び比準評価によることが不適当と認められる家屋を除き 比準評価によることとされている ( 第 2 章 第 2 節 第 4 1ないし3) オこのうち 比準評価によることが不適当と認められる家屋と - 3 -

は 非木造家屋においては評点基準表及び主要構造部の組み合わせが標準家屋と異なる家屋 標準家屋とは異なる部分が多く比準することが困難な家屋 専有部分の天井の高さ 附帯設備の程度等に著しい差違のある家屋等をいうとされている ( 本件評価要領第 2 章 第 2 節 第 4 3 ) カ次に 比準家屋に係る再建築費評点数は 当該比準家屋と適用すべき標準家屋の各部分別の使用資材 施工量等の相違を考慮し 当該標準家屋の単位当たり再建築費評点数に比準して求めることとされており この場合 当該比準家屋と適用すべき標準家屋との相違のうち 総合補正係数及び加算評点数の補正を行うことによって評価の適正が確保されるものについては 単位当たり再建築費評点数の補正を行うものとされている ( 本件評価要領第 2 章 第 2 節 第 4 4) キそして 本件建物が該当する非木造家屋においては 当該比準家屋と適用すべき標準家屋との相違のうち 総合補正係数 ( 標準家屋と比準家屋との各部分別区分の使用資材 施工量及び施工の程度等の相違を総合的に考慮して一棟全体に対して 1.10~0.90 の範囲内で 0.05 単位の数値を基本として適用し 標準家屋の再建築費評点数に乗ずる係数 ) 及び加算評点数 ( 標準家屋に施工されていない建築設備が比準家屋に施工されている場合に行う評点数の加算 ) により補正を行うことによって評価の適正が確保されるものについては 単位当たり再建築費評点数の補正を行うことにより比準評価を行うこととされている ( 本件評価要領第 2 章 第 2 節 第 4 4 ⑵) クまた 平成 2 7 基準年度における評点 1 点当たりの価額は 1 円 物価水準による補正率 設計管理費等による補正率 により得た額を基礎として市町村が定めるものとされており ( 本件評価基準第 2 章 第 4 節 2) 東京都では 特別区内 - 4 -

における平成 27 年度から平成 29 年度までの各年度における非木造家屋 ( 木造及び軽量鉄骨造の簡易附属家を除く ) の評点 1 点当たりの価額については 1. 1 0 円と定めている ( 平成 27 基準年度における家屋の評点一点当たりの価額について ( 通知 ) 平成 27 年 2 月 20 日付 26 主資評第 330 号主税局長通知 ) 2 本件建物の評価についてこれを本件についてみると 審理員の調査によれば 処分庁は 本件建物が新築された非木造家屋であり 新築時点 ( 平成 2 8 年 4 月 5 日 ) において 固定資産課税台帳に価格が登録されていなかったため 上記 1 の法令等の規定に基づき 本件評価基準で定める再建築価格方式によって 本件建物の課税標準額を決定した上で 本件処分を行ったものと認められ 違算等も認められないことから 本件処分に違法 不当な点を認めることはできない ( 不動産取得税賦課決定調書 [ 家屋原始 ] 及び家屋調査票 ) 3 請求人は 本件建物に係る評価協力資料の提出を失念していたことから 本件建物の評価額は過大に算出されたものと思われ これに基づく本件処分は見直して欲しいなどとして 本件処分の違法 不当を主張する しかし 本件建物の評価額 ( 課税標準額 ) は 上記 1の法令等の規定に基づき 比準評価に基づく再建築価格方式により決定されるべきものであって 本件処分が違法 不当でないことは上記 2 のとおりであるから 請求人の主張には理由がないと言わざるを得ない 4 なお 念のため 本件処分について 本件建物に係る本件評価基準等の適用が誤っていないかどうか 以下検討する ⑴ 審理員の調査によれば 処分庁は 本件建物 ( 比準家屋 ) が非木造 ( 鉄筋コンクリート造 )6 階建ての共同住宅 ( 延床面積 36 6.84m2 居室 11 戸 一戸当たり33.34m2又は33.4 4m2 ) であって その構造及び用途から見て 比準表の標準家屋 - 5 -

のうち 非木造用の 住宅 アパート用建物 ( 鉄筋コンクリート造 )( 標準家屋番号 141ないし169) の中から 本件建物の再建築費の評点算定に係る標準家屋を選択すべきであると判断し 本件建物の主要構造部 階層 外壁 一戸当たりの面積 建築設備の個数及び間取り等を総合的に考慮し 標準家屋番号 1 51 の標準家屋( 住宅 アパート用建物 ( 鉄筋コンクリート造 )4 階建 延床面積 362.51m2 ( 一戸当たり32.95 m2 ) 単位当たり再建築評点数 129,387 点 以下 本件標準家屋 という ) を本件建物の再建築費の評点算定に係る標準家屋としたことが認められ そこに 格別 不合理な点は認められない そうすると 本件建物の単位当たり再建築費評点数を求めるに当たり 本件建物に適用すべき標準家屋として 本件建物の特徴に最も近似する本件標準家屋を選定した処分庁の判断に 違法又は不当な点が存在すると認めることは困難である ⑵ そして 処分庁は 本件建物と本件標準家屋とを比較し 仕上げ及び設備の数量 大きさ等について差が小さいと認められたことから 補正係数を1.00とした上で 本件建物については 運搬設備 ( エレベーター ) が1 基設置されていることから 加算評点数を10,932 点と決定し 本件建物の単位当たり再建築費評点数を140,232 点 ( 1 2 9, 3 0 0 点 ( 1 0 0 点未満を切捨て ) 1. 0 0 + 1 0, 9 3 2 点 ) と算出したものである さらに 処分庁は この140,200 点 (100 点未満を切捨て ) に 本件建物の床面積と非木造家屋の評点一点当たりの価額 (1.10) を乗じて 本件建物の評価額を56,574,0 6 4 円 ( 1 4 0, 2 0 0 点 1. 1 0 3 6 6. 8 4 m2 ) とした上で 法 20 条の4の2 第 1 項により1,000 円未満を切り捨てすることにより 本件建物の価格 (56,574,000 円 ) を求め これを基に 法附則 11 条の2による不動産取得税の税 - 6 -

率 3% を適用し 本件建物に係る不動産取得税額 ( 1, 6 9 7, 200 円 (100 円未満切捨て )) を算出し 本件処分を行ったものと認められる 以上のとおり 本件処分は 上記 1の法令等の規定に基づき 適正になされていることから 違法又は不当な点を認めることはできない 4 請求人の主張以外の違法性又は不当性についての検討その他 本件処分に違法又は不当な点は認められない 以上のとおり 審査会として 審理員が行った審理手続の適正性や法令解釈の妥当性を審議した結果 審理手続 法令解釈のいずれも適正に行われているものと判断する よって 第 1 審査会の結論 のとおり判断する ( 答申を行った委員の氏名 ) 近藤ルミ子 山口卓男 山本未来 別紙 ( 略 ) - 7 -