平成 30 年度第 1 回神奈川県行政不服審査会議事録 1 日時平成 30 年 4 月 17 日 ( 火 ) 15:00~17:45 2 場所神奈川県庁新庁舎 8 階議会第 2 会議室 3 出席者飯島委員 磯部委員 板垣委員 大関委員 小圷委員 水地委員 常岡委員 三浦委員 吉村委員 4 概要 ( 開会に先立ち 楯岡政策局長から各委員に委嘱状の交付を行った ) (1) 開会 事務局が開会宣言をし 会長が選出されるまで事務局が進行を務めるこ とを報告し 本審査会の議事について公開することを決定した (2) あいさつ 楯岡政策局長が開会あいさつを行った (3) 委員紹介 各委員が自己紹介を行った (4) 会長互選 委員の互選により常岡委員を会長に選出した (5) 会長職務代理者指名 常岡会長が水地委員を会長職務代理者に指名した (6) 部会の構成員選任 次に次第の 6 部会の構成員の選任 について 事務局から説明をお願いしたい ( 資料 6 に基づいて事務局から説明 ) ただいま説明のあった部会の構成員の選任について 意見 質問はあるか -1-
質疑 意見なし 特になければ原案のとおり決定とする (7) 部会長選任第 3 部会については神奈川県行政不服審査会条例第 8 条第 1 項により会長が部会長を兼ねるため 常岡会長が部会長となる 第 1 部会及び第 2 部会については 各部会の委員の互選により 第 1 部会については小圷委員を 第 2 部会については水地委員を部会長に選出した (8) 議事及び報告事項ア神奈川県行政不服審査会年次報告 ( 平成 29 年度 ) 次第の8(1) 神奈川県行政不服審査会年次報告( 平成 29 年度 ) について 事務局から説明をお願いしたい ( 資料 7 に基づいて事務局から説明 ) ただいまの説明について意見 質問はあるか 質疑応答 平成 29 年度中の審査請求の件数は約 150 件で 答申は66 件 審査会で繰り越したのは約 20 件であるとすると 約 60 件の審査請求の処理は どうなっているか 残りの約 60 件は審理員による審理手続中の案件である 審理員意見書作成までの平均期間はどれくらいか おおむね 8 か月程度である -2-
い 答申書のとおりの裁決となっていない 2 案件について説明をお願いした 結論に変更はないが 答申書のとおりとなっていない案件としては 第 3 部会で議論した保育所の入所保留処分に対する審査請求である 審理員意見書のとおりの答申とはならず 審査会として独自に答申書を作成したが 裁決時には審理員意見書のとおりの内容の裁決となった 結論に変更があった案件については 第 2 部会で議論した生活保護関係の審査請求である 対象処分が4つあり うち 2つは先行処分で 後行処分により変更されていたため却下 残り2 件は後行処分であり棄却として答申したが 裁決時には 先行処分 1つのみ却下で 残り3つは棄却となっている 答申書の内容を修正して裁決する案件について 担当部会にフィードバッ クをお願いしたい そのように対応したい これまでの町村からの諮問件数を教えてほしい 平成 28 年度は 0 件 平成 29 年度は 1 件である イ平成 30 年度以降の諮問案件の各部会への割振りについて 続いて次第の8(2) 平成 30 年度以降の諮問案件の各部会への割振りについて 事務局から説明をお願いしたい ( 資料 8 に基づいて事務局から説明 ) ただいまの説明について意見 質問はあるか -3-
質疑 意見なし ウ通達等の内部基準の取扱いについて 続いて次第の8(3) 通達等の内部基準の取扱いについて 事務局から説明をお願いしたい ( 資料 9 に基づいて事務局から説明 ) ただいまの説明について意見 質問はあるか 質疑応答 ( 吉村委員 ) 内部基準の合理性をある程度前提とするのか 一から判断するのか 審査会でとるスタンスによって 答申書での記載ぶりは変わってくると思う 運用としては 書きぶり 2 が妥当だと思う 書きぶり 3 は 内部基準の合理性について 一から記載するというイメー ジか 書きぶり 2 は 書きぶり 3 と比較して簡潔に内部基準の適正性の判断をす ることになると思う 合理性があり適正なものであるとまで判断するか 不合理な点は認められないという程度の判断にするのかに違いはあるとは思う スタンスとしては 書きぶり2に賛成 それでは 内部基準の合理性審査をした結果の答申書への反映は 書きぶ り 2 を基本とすることでよいか -4-
< 異議なし > それでは 答申書の記載方法としては 書きぶり 2 のとおりとするので よろしく願いたい エ諮問のあり方について 続いて次第の8(4) 諮問のあり方について 事務局から説明をお願いしたい ( 資料 10 に基づいて事務局から説明 ) ただいまの説明について意見 質問はあるか 質疑応答 諮問対象となる審査請求を明確にするという趣旨の提案ということでよいか 資料 10の6ページに記載のような諮問の場合 一見して審査請求対象が明確ではない この場合 諮問されている審査請求を特定した上で 答申書を作成していた 諮問書の様式を修正することにより 答申書作成の効率化につながるのではないかと考え 提案させていただいた 実務運用の結果の改善提案であることからよいのではないか それでは 原案について特に異議がないようなので 諮問書の様式につい ては 事務局の提案のとおりとさせていただく オ神奈川県行政不服審査会の答申書の様式について 続いて次第の 8(5) 神奈川県行政不服審査会の答申書の様式について -5-
事務局から説明をお願いしたい ( 資料 11 に基づいて事務局から説明 ) ただいまの説明について意見 質問はあるか 質疑応答 ( 三浦委員 ) 当審査会は 審理員意見書の内容をチェックすることが制度的に想定されている役割だと思うが 審理員と審査庁の見解に大きく相違がある場合において どのように対応すべきか 審理員意見書の内容を審査庁がそのまま行政不服審査会に諮問することを立法者は想定したと思われる しかし 法文上 規定は一切ない 行政不服審査会は 諮問に対して答申する機関であるので 審査庁がどのような諮問をしてくるかによることになる 当審査会で判断する対象は諮問内容である 諮問内容が審理員意見書のとおりでないとすると 答申は 審理員意見書 諮問内容 審査会の判断の三段書きにする必要がある 審理員意見書のとおりではない諮問を排除することはできないのか 諮問に対して答申するのであり 諮問自体が違法などと判断することはで きない 案の 2 は 審査会の判断の内容が新たに項立てされて 分かりやすくなっ ていると思う -6-
現行様式では 審査会の判断内容が 埋没しているところがあった ( 大関委員 ) 審理員意見書の内容を修正して諮問された場合も 案の 2 のほうが作成し やすくなるのではないか 案の 2 を支持する意見が大勢を占めているようなので 答申書の様式は 案の 2 を採用することとしたい カ行政不服審査法第 43 条第 1 項第 5 号に規定する諮問不要とする場合について 続いて次第の8(6) 行政不服審査法第 43 条第 1 項第 5 号に規定する諮問不要とする場合について 事務局から説明をお願いしたい ( 資料 12 に基づいて事務局から説明 ) ただいまの説明について意見 質問はあるか 質疑応答 審理員が生活保護大量請求事案の審理をしていく中で 論点がほぼ同じであり 諮問不要と考えられる事案を審査庁に情報提供することは考えられる 行政不服審査法第 43 条第 1 項第 5 号の規定に該当しないにもかかわらず 審査庁が諮問不要と判断して裁決した場合はどうなるか 裁決固有の瑕疵になると思われる 取扱要領のようなものを策定するのが望ましいのではないか 個別の審査請求ごとに判断するやり方というのは 諮問不要でよいか という形で当審査会に話が来るようなイメージか -7-
いったんは諮問してもらう必要があるかもしれない 当審査会に審査請求の情報が来なければ判断はできない 医学研究の論文の掲載のために 倫理審査委員会を通す必要がある ただ 倫理審査委員会に諮るまでもないような軽微な内容の場合 1 人の委員による簡易審査が行われることがあると聴いている 当審査会においても そのような仕組みをとることが考えられる 資料 12の5ページのような 同一審査請求人が同一理由で提起する審査請求の場合は 若干処分の内容が異なるケースもあることから 個別に内容を見て判断していくことが必要かもしれない 難民認定の審査に携わっていた際 1 人の申請者が6 回続けて申請をしているケースに遭遇したことがある その場合に 申請内容に新しい事情が見受けられない限りは 簡易審査で却下してはどうか という議論が行われたことがある 新しい事情が見受けられない審査請求を繰り返すような人に対する仕組みを設ける必要はあるのかもしれない 生活保護においては 毎回新しい処分が行われており 一律に取り扱うこ とは難しい 同一人による繰り返しの請求については 審査会での調査審議においては 新しい事情の有無を確認して判断することとしており 審査会として負担があるということはない 本日の会議で諮問不要類型を決定しなければならない緊急性まではない 生活保護大量請求事案の処理をしていく中で 何らかの基準化をすることが -8-
できればいいと思う キ答申書の 付言 について 続いて次第の8(7) 答申書の 付言 について 事務局から説明をお願いしたい ( 資料 13 に基づいて事務局から説明 ) ただいまの説明について意見 質問はあるか 質疑応答 ( 三浦委員 ) 付言の内容で 処分庁の実務内容の改善を求めるものが多い 処分庁に付言の内容が伝わる仕組みはあるか 行政不服審査法上 答申書を処分庁に送付する手続はない ただ 裁決に 答申書の付言の内容が反映されているケースがある 審査庁が裁決する際に 処分庁に答申書の付言を伝えるような仕組みを整 えてもらえないか 事務局から答申書を審査庁に送付する際に 処分庁への答申書の送付を依 頼することはできないか ( 三浦委員 ) 行政不服審査は 行政の適正な運営を確保することも目的としており 具 体的な法文の規定がなくても 可能ではないか 付言の内容にも 処分庁の実務改善のアドバイス的なものから 違法 不当に近い運用の是正まで様々あると思われる 付言の性格に応じて 特に違法 不当に近い行政運営を未然に予防するためにやっていかなければ意味が -9-
ないのではないか 各委員から様々意見が出た 事務局としてはどうか 付言をしても 処分庁に伝わらなければ意味がないので 審査庁事務所管 課とも相談しながら対応を考えたい ク行政不服審査法第 16 条に規定する標準審理期間について 続いて次第の8(8) 行政不服審査法第 16 条に規定する標準審理期間について 事務局から説明をお願いしたい ( 資料 14 に基づいて事務局から説明 ) ただいまの説明について意見 質問はあるか 質疑応答 この審査会で考えるべき話ではないが 処分庁が作成する弁明書の出来がいいと 事案の全容の把握が容易となり 審理がスムーズに進む 結果的に審理期間の短縮につながることがある 神奈川県の審理員意見書の完成度は他の自治体と比較しても高く 審査会での調査審議の大きな助けとなっている 審理期間を短縮するにしても 現在の審理員意見書の完成度は維持してもらいたい 神奈川県の審理員の審理体制は 法曹資格を持つ非常勤職員と常勤職員との共同審理で行っている 平成 30 年度は 法曹資格を持つ非常勤職員の勤務時間を増やし 常勤職員に法曹有資格者を配置することで 審理体制を強化した また 審理員意見書の完成度について言及があったが 審理期間も無視できず 審理員の審理の密度については検討課題となっている 審理の密度を浅くした場合の当審査会の負担も考慮しながら 皆様と相談して考えて -10-
いきたい ケ生活保護法における保護の変更決定処分が行われた場合における先行処分に対する審査請求の取扱いについて 続いて次第の8(9) 生活保護法における保護の変更決定処分が行われた場合における先行処分に対する審査請求の取扱いについて 事務局から説明をお願いしたい ( 資料 15 に基づいて事務局から説明 ) 第 1 部会と第 2 部会ではかなりスタンスの違いがある 第 2 部会は 基本的には後行処分を争うべきというスタンスであり 第 1 部会は その逆で 先行処分を争うことでも構わないという印象である まず それぞれの部会の委員から御意見をお願いしたい 質疑応答 第 1 部会の意見の趣旨は理解するが 当事者の意思が後行処分を争うものであれば 後行処分に対する審査請求を提起してもらう必要があるのではないか 訴訟とは違い 審査請求は無料で提起できるので そのような対応を求めても 審査請求人に酷にはならない 第 2 部会で取り扱った事案は 常に先行処分 後行処分のいずれについても審査請求が提起されている案件である 当該審査請求人は あらゆる処分について審査請求を提起する者であり 第 2 部会での検討もそれを前提としている 先行処分に対する審査請求で後行処分について言及がないにもかかわらず 後行処分を審理対象としてよいか 民事訴訟とは場面が異なるのではないかと考えた ( 三浦委員 ) 行政法上は 処分を前提として考える ( 吉村委員 ) 行政法上の整理を前提とした上で 厚生労働省の整理をどう評価するかと -11-
いうことだと思う 権利救済の観点から もう少し柔軟にしてもよいのでは と第 1 部会で議論があった 租税の減額再更正処分と訴えの利益の関係についての昭和 56 年 4 月 24 日最高裁判決では 当初の更正処分を争うべきと判示されている 一方 増額再更正処分の場合は 最後の処分を争うものとされている 本日の議論の参考になると思われる 第 2 部会の考え方が 特定の審査請求人が提起した複数の審査請求の処理を前提としたものであるとすると 当該考え方を全ての審査請求に適用してよいか 逆に 第 1 部会の意見も 先行処分に対する審査請求書で明確に後行処分に対する不服であると主張していない場合にも 当事者意思で不服があると読むのもどうか という思いはある ( 小圷委員 ) 第 1 部会で取り扱った事案は 先行処分に対して審査請求が提起されている 厚生労働省の整理では 後行処分により消滅した先行処分を 権利救済の観点から例外的に本案審理する取扱いをすることとなるが 消滅した処分を審理することになり 理論的に疑問がある その中で 先行処分 後行処分とで共通の違法性を争うものと考えることはできるのではないか というのが第 1 部会での議論の流れである 先行処分は残存しているとすると 後行処分に対して審査請求が提起された場合は 先行処分に対して審査請求をする利益はなくなったと考えてよいと思うが 後行処分に対して審査請求が提起されていない場合は どう考えるか 後行処分により先行処分が変更されていたとしても 先行処分が残存しているのであれば 先行処分に対する審査請求は存続しうるのではないか ( 大関委員 ) 資料上 後行処分により先行処分が変更された場合に 先行処分に対する審査請求の利益がなくなると書いてある 先行処分に対してのみ審査請求が提起された場合も同様となるか -12-
第 2 部会としては 例外は設けないとしていたが 具体的な事案によって は 例外も考えられるかもしれない 処分庁の行う変更決定処分に 審査請求人が振り回されることとなるのはよくないのではないか 後行処分で先行処分が変更されたとしても 先行処分は修正された形で生きているものと考え 先行処分に対する審査請求も存続すると考える余地はないか 第 2 部会の事案は 先行処分と後行処分が事実上 連続しており 後行処分が行われることが当事者も想定できるが 第 1 部会の事案は 先行処分と後行処分に連続性はない その点で違いはあるのかもしれない 事例 1のような 先行処分と後行処分に事実上の連続性がある場合においては 後行処分を争うべきだというのが第 2 部会の考え方であるとすると 後行処分に対して審査請求が提起されていない場合 後行処分を争うべきだと示唆するのは どの段階で行うべきか 制度上は 審査庁だと思うが 審理員でも可能だと思う 行政不服審査法上 処分庁に教示義務が課せられているが 後行処分にお いても教示はなされている 教示の内容を見て 後行処分に対しても審査請求を提起しなければならな いと審査請求人は思わないかもしれない 先行処分の後 後行処分が行われることがある程度予定されているときに 先行処分に対する審査請求と後行処分に対する審査請求が同じレベルで取り扱われていることが 混乱を招く要因となっているのではないか 後行処分に対する審査請求をするように運用を徹底することが必要ではないか -13-
事例 1 について 磯部委員も後行処分を争うべきと考えるということでよ いか 審査請求人に二度手間を強いるのはおかしいと思う 事例 1のような場合には 第 2 部会の考え方でよいのではないかという意見が大勢を占めているように思う 事例 2のような 先行処分 後行処分との間に連続関係がないような場合についても 第 2 部会の考え方で処理してよいか 審査請求人に後行処分を争うかどうか確認するという運用は難しいのか 審査請求人の意思確認は 審査請求書として提出させる必要があるか 審査請求書として提出させた場合 当該審査請求の適法性審査から審理員 指名と 一連の手続を最初から行う必要があると思われる か 審理員の審理手続の中で 後行処分への審査請求の示唆を行うことはどう 行政不服審査法上 明文の規定がない 訴えの変更 を認めることになる また 審理員は審査庁から指名を受けて 初めて審査請求の審理手続を進めることができるが 訴えの変更 が行われた場合 審査庁からの指名が必要かどうか 検討を要すると思われる ( 三浦委員 ) 審査請求人の意思確認せずに 対応する方法はないか -14-
第 1 部会の意見は 意思確認せずに 先行処分に対する審査請求の内容か ら 後行処分に対する不服も含まれていると考えるものと認識している 事務局からの発言でもあったとおり 審査請求対象を変更するのに 厳格 な手続になっていると思われるところ 別処分の審理をすることができるか 審査請求人の意思の問題ではなく 処分の性質として 後行処分の変更に より 先行処分が修正された形で存続するという構成で考えられないか 先行処分に何らかの誤りがあるから後行処分が行われるのであり 先行処 分に対する審査請求は認容ということになるか 一般的には 後行処分で先行処分の瑕疵が治癒されている中 先行処分の審査請求を取り扱う意味は薄い気がする 後行処分に対して不服の意思を明示していない中 後行処分を取り消せ とは裁決できないのではないか 先行処分の判断の中で 後行処分に言及することは考えられると思う その場合に 後行処分について 審査請求前置を満たしたことにはならないかもしれない 議論は尽きないが 時間の関係で審議はここまでとさせていただきたい 事例 1のようなケースについては おおむね合意を得ることができたが 事例 2のようなケースで第 2 部会の考え方のように取り扱ってよいか 結論は出なかった そこで 第 2 部会で 事例 2のようなケースをどう取り扱うべきか検討いただき 検討結果を第 1 部会 第 3 部会にお知らせいただきたい 書面審理の形で統一見解をまとめることができればと思う (9) その他 次第の議事 9 その他 について事務局から説明をお願いしたい ( 資料 16 に基づいて事務局から説明 ) -15-
(10) 閉会 それではこれで平成 30 年度第 1 回神奈川県行政不服審査会を終了する 長時間の御審議ありがとうございました 以上 -16-