家計調査からみた新潟の家計の収入・支出面の特徴

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本稿のポイント における個人消費と所得の動向をみると 所得が対比弱めで推移してきた一方 個人消費の堅調さは並みで推移するなど 所得対比でみた個人消費の堅調さ が目立つ の個人消費の特徴を業態別にみると 百貨店 がに比べて好調である一方 スーパー が弱めの姿となっている また 品目別にみると 衣料品

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年 月 日日本銀行新潟支店 家計調査 からみた新潟 の家計の収入 支出面の特徴点 要旨 新潟の家計収支の特徴点をみると 年代入り後 収入面においては 世帯主の定期収入の減少を背景に勤労者世帯の収入は漸減傾向にあり 全国 比 その優位性も年を追うごとに縮小している 一方 支出面では 収入面 における全国比の優位性縮小分の大半は貯蓄の圧縮で対応されているが 消費 支出や非消費支出も相応に圧縮されている 消費支出額の対全国差の動きの背景を分析すると 以下の つの特徴点が 確認できる 高齢化の進展が 一部品目の支出額を下支えしている 全国に比べた支出額の 多い または 少ない に 新潟の生活習慣やライフスタイルが影響している 個人消費においては 足もと進行する高齢化に伴う需要の変化や 地域毎 の支出動向の特徴を捉えた需要喚起策の立案や販促活動の強化等が重要に なってくると思われる また こうした取り組みが消費活動の活発化 ひいて は地域経済の活性化に繋がると期待される ( はじめに ) 新潟県内の需要において個人消費のウェイトは高い ( 図表 < 次頁 >) また 昨年中 県内景気が持ち直していく過程で 個人消費がこれを下支えしたほか 足もと景気が弱含んでいる中にあっても 個人消費は底堅く推移している ( 図表 < 次頁 >) このため 今後の景気動向をみる上で 個人消費の分析は重要と考えられる 本稿では 個人消費を 家計の収入 支出の新潟と全国との比較という切り口で 家計調査 統計を用いて特徴点の整理および分析を行った 家計調査 は 全国約 9 千世帯を対象に 家計の収入 支出 貯蓄 負債などを毎月調査してい る統計調査 ( 総務省作成 ) 本稿で利用する新潟の計数については 統計 ( 家計調査 ) の制約上 本統計の 新潟市 の計数を用いている ( 本統計では計数を都道府県庁所在市単位で集計しているため )

( 図表 ) 県内総生産のうち個人消費の占める割合 ( 図表 ) 新潟県の民間最終消費支出 ( 個人消費 ) ( 年度 新潟県ベース ) の推移 ( 実質季節調整済み 前期比 ) (%) 個人消費以外 9.% 個人消費 6.% - - - Q 年度 ( 資料出所 ) 新潟県 県民経済計算 ( 資料出所 ) 新潟県 四半期別県民経済計算速報 ( 家計収支の特徴 ) () 収入面 支出行動の前提となる収入面をみると 年代入り後の新潟市の勤労者世帯の収入は漸減傾向にある また 全国平均との乖離額 ( 優位性 ) も縮小してきており 年には全国平均を下回った ( 図表 ) こうした動きの背景について 新潟における収入の対全国差を 年代の前半 (~5 年 ) と後半 (6~ 年 ) とで比較することにより確認する 大きな特徴は 世帯主の定期収入 が 年代後半において 全国比劣位に転じていることと 世帯主の収入の減少を 配偶者の収入 が補っていることである このうち については 新潟における女性の労働力率が 年から 5 年にかけて全国比プラス幅が拡大した後 年時点でも同程度のプラス幅を維持していることとも整合的である ( 図表 ) ( 図表 ) 勤労者世帯の実収入の推移 ( 図表 ) 勤労者世帯の実収入についての ( 年収ベース ) 全国差の内訳 9 8 7 6 5 - - 新潟市 - 全国 ( 右目盛 ) 全国新潟市 < 新潟市の全国との平均乖離額 > 前半 (~5 年 ) 後半 (6~ 年 ) 後半 - 前半 6 5 5 6 7 8 9 年 ( 注 ) 二人以上世帯のうち勤労者世帯 8 6 8 6 - - 8 6 - - -6-8 < 新潟市の全国との平均乖離額 > 前半後半後半 - 前半 (~5 年 ) (6~ 年 ) 世帯主の定期収入 6 5 配偶者収入 他の臨時収入等 配偶者収入 実収入 < 女性の労働力率 > (%) (%P) 5 新潟市 5 新潟市 - 全国 ( 右目盛 ).. 世帯主 賞与 世帯主 定期収入 5 6 7 8 9 年 ( 注 ) 二人以上世帯のうち勤労者世帯 国勢調査 5 5 全国.8 年 5

なお 勤労者世帯の収入が漸減傾向にあり かつ全国比で優位性が縮小してきている点 については 新潟において就業者ウェイトの高い建設業や卸 小売業に従事する勤労者の 実収入が減少している点が寄与していると推察される ( 図表 5 図表 6) ( 図表 5) 産業別の就業者数ウェイト ( 年 新潟市 ) ( 図表 6) 建設業 卸 小売業に従事する就業者一人当たり総生産 < 新潟市 > < 新潟市 - 全国 > 農業.7% その他 次.% その他 次 6.% 製造業.5% 建設業 9.6% (%P) 5 建設業 医療福祉 卸小売業 8 6 ( 指数 : 年 =) 新潟市 全国 < 建設業 > 9 9 5 9 年 5 年 年 宿泊飲食サービス 5.9% () 支出面 医療福祉.% 卸小売.% その他 次.% - - - - -5 各産業合計 次 ( 資料出所 ) 総務省 国勢調査 製造業 次 次 9 8 7 6 ( 指数 : 年 =) 新潟市 全国 < 卸 小売業 > 8 年 5 年 年 ( 注 ) 就業者一人当たり総生産の算出に当たり 統計上の制約から 総生産は 全国が暦年 新潟市が年度 また 全国の 年総生産は 年の計数を 新潟市の 年総生産は 9 年度の計数を夫々代用 就業者数は 全国が年度 新潟市が暦年 新潟市の卸 小売業の 年就業者数は飲食店を含むほか 全国の 年就業者は 年度計数を代用 ( 資料出所 ) 総務省 国勢調査 内閣府 国民経済計算 新潟県 市町村民経済計算 9 68 一方 支出面では 収入面における全国との優位性縮小はもっぱら貯蓄の圧縮で対応さ れてきているが 消費支出 非消費支出額についても 全国との差が平均して圧縮されて きている ( 図表 7) 8 6 - - ( 図表 7) 勤労者世帯の実収入についての全国差内訳 ( 支出面からの寄与度分解 ) 黒字 ( 貯蓄 ) 消費支出 非消費支出 実収入 5 6 7 8 9 年 < 新潟市の全国との平均乖離額 > 前半 (~5 年 ) 後半 (6~ 年 ) 後半 - 前半 消費支出 非消費支出 8 黒字 6 ( 注 ) 二人以上世帯のうち勤労者世帯

( 支出面の動きについての背景分析 ) 前述のように 新潟の消費支出額の対全国差は縮小している この動きの背景について 品目別支出額 ( 全国差 ) 別に分析した 当該分析でも 年代の前半 (~5 年 ) と後半 (6~ 年 ) を比較するというアプローチを採用している 結果は 次の 点にまとめられる 高齢化の進展が 一部品目の支出額を下支えしている ( 図表 8) 新潟では 全国対比で高齢化がより進んでいる こうした中 多くの品目で支出額が減少している中で 食料 家具 家事用品 保健医療 については 年代後半にかけて高齢化が進んでいること ( 世帯分布変化要因 ) が 支出額の減少を抑える形で作用している これは 年齢階層が高い世帯 ( 高齢層 ) での消費意欲が強いことが背景にあると思われる ( 図表 8) 年代の前半から後半にかけての全国差の変化 ( 世帯主の年齢階層の変化要因 ) 食料住居光熱 水道家具 家事用品 支出額 世帯分布変化要因 < 世帯分布要因 の矢印の付け方 > 消費支出額全体に占める各品目の支出額ウェイト ( 全年代平均 < 全国 >) を算出する また 年代別に 各品目の支出額ウェイトを算出し 全年代平均との差の値を算出 年代の前半 後半ごとに で算出した 年代別支出額ウェイ < 年齢階層別 支出額ウェイト ( 平均との差 )> 6 - - -6 8 (%P) 例えば 教育 の場合 被服及び履物 トの全年代平均と差 と 世帯数ウ 保健医療交通 通信教育教養娯楽 ェイトの全国差 を掛け 新潟の年代別世帯数を用いて加重平均値を算出 で算出した加重平均値について 年代後半の値から前半の値を差し引き プラスの場合 マイナスの場合 < 年齢階層別 世帯数ウェイト ( 全国差 )> (%P) 前半 (~5 年 ) 後半 (6~ 年 ) 後半 - 前半 ( 注 ). 二人以上世帯. 純粋な高齢化だけではなく 新潟市の政令指定都市移行 (7 年 ) 時における周辺市町村との合併も 高齢者世帯の増加に繋がっている点に留意する必要がある 勤労者世帯に限定した場合 年齢階層が高い世帯 ( 高齢層 ) のウェイトが低く 高齢層の支出動向を的確に把握出来ない可能性があるため 勤労者世帯以外も含むベースの統計について分析

全国に比べた支出額の 多い または 少ない に 新潟の生活習慣やライフスタイ ルが影響している ( 図表 9 図表 図表 ) 新潟には 仕事熱心 家事にかける時間が相対的に少ない という特徴のほか 余暇はスポーツよりも室内で過ごす傾向 がみられる これらは 光熱 水道 や 交通 通信 の支出額の多さや 家具 家事用品 被服および履物 保健医療 の支出額の少なさに繋がっているとみられる ( 図表 9) 年代前半 後半別の ( 図表 ) 新潟市民のライフスタイル 品目別支出額ウェイトの全国差 (%P) (% %P) 前半 (~5 年 ) 後半 (6~ 年 ) 食料..8 住居..7 光熱 水道.. 家具 家事用品.. 被服及び履物.. 保健医療..5 交通 通信.. 教育.. 教養娯楽.. 日当たりの時間配分 行動者率 新潟市全国新潟市 - 全国 仕事 5.9.8. 仕事熱心 家事 5.7 6.. 買物.6.8. 通勤 通学以外の移動.7.. スポーツ 56.9 6. 6. 学習等 7.5 5. 7.7 趣味 娯楽 8. 8.8.6 旅行 7. 7.. 家事に費やす時間が相対的に少ない 余暇は室内で過ごす傾向 ( 注 ) 二人以上世帯 ( 注 ). 新潟市は 周辺市町村も含む 新潟大都市圏 ( 注 ). 学習等は 学習 自己啓発 訓練 趣味 娯楽は テレビ ビデオ等を除くスポーツや映画鑑賞等 ( 資料出所 ) 総務省 平成 年社会生活基本調査 ( 図表 ) 地域特有のライフスタイルと品目別支出額ウェイトの相関関係 光熱 水道 家具 家事用品 被服及び履物 保健医療 交通 通信 仕事の時間配分...6.69 家事の時間配分.5.75.6.57 買物 + 通勤通学以外の移動の時間配分.69.6.8.55 スポーツ 学習等の行動者率平均.6.5.6.67 趣味 娯楽 旅行の行動者率平均..9.8. 世帯当たり自動車保有台数.86 ( 注 ). 全国 地域および全国 新潟市における ライフスタイル ( 各行動別の 日当たり時間配分または行動者率 ) と品目別支出額ウェイト ( 年平均 ) の相関係数 ( 注 ). 学習等は 学習 自己啓発 訓練 趣味 娯楽は テレビ ビデオ等を除くスポーツや映画鑑賞等 平成 年社会生活基本調査 全国消費実態調査 図表 をみると 例えば 仕事の時間配分 が多いほど 被服及び履物 への支出ウェイトが低い傾向がみられるほか 家事の時間配分 が多いほど 家具 家事用品 への支出ウェイトが高くなる傾向がみられる 5

( まとめ ) 以上の分析から 新潟の家計の動向 特に支出面での特徴点について考察すると 高齢化の進展度合いやライフスタイルといった 地域固有の要因が支出に影響することがわかった 個人消費においては 近年 需要サイドのニーズの変化が顕著である これに対し 供給サイドでは ニーズの変化に柔軟に対応し 需要者が欲する商品やサービスをいかに提供できるかが売上増における重要な要素となっている 本稿の分析結果を踏まえると 足もと進行する高齢化に伴う需要の変化や 地域毎の支出動向の特徴を捉えた需要喚起策の立案や販促活動の強化等が重要になってくると思われる また こうした取り組みが消費活動の活発化 ひいては地域経済の活性化に繋がると期待される 以 上 6