本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

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指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

最高裁○○第000100号

最高裁○○第000100号

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

平成 25 年 5 月 30 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 4 月 25 日 判 決 原告 X 訴訟代理人弁理士田中聡 被告東洋エンタープライズ株式会社 訴訟代理人弁理士野原利雄 主 文 原告の請求を棄却する 訴訟費用は原

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

一括して買い受けた なお, 本件商品である コンタクトレンズ は, 本件商標の指定商品 眼鏡 に含まれる商品である (3) 使用商標は, ハートO2EXスーパー の文字からなるところ, 本件商品の容器に表示された使用商標は, ハート の文字部分だけが赤い字で, かつデザイン化されており, これに続く

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

(Microsoft Word \224\255\225\\\201yMSH\201z \224\273\214\210\201i\217\244\225W\201j.doc)

異議の決定 異議 東京都荒川区東日暮里 3 丁目 27 番 6 号商標権者株式会社エドウイン 東京都渋谷区広尾 商標異議申立人 EVISU JAPAN 株式会社 東京都港区西新橋 1 丁目 18 番 9 号西新橋ノアビル4 階朝比 増田特許事務所代理人弁理士朝比

2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

令和元年 5 月 30 日判決言渡 平成 30 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 23 日 判 決 原告ジー エス エフ ケー シー ピー株式会社 被告ケーシーピーヘビーインダスト リーズカンパニーリミテッド 訴訟代理人弁護士 小 林 幸 夫

4390CD461EB D090030AC8

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

平成  年(オ)第  号

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

1 前提となる事実等 ( 証拠の摘示のない事実は, 争いのない事実又は弁論の全趣旨から容易に認められる事実である ) (1) 当事者原告は, X1 の名称を使用してウエブサイトの制作請負を行っている者であり, 被告は, 不動産業を主な業務としている特例有限会社である (2) 原告によるプログラムの制

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

求める事案である 1 本件商標被告は, 平成 17 年 3 月 7 日, rhythm の文字を横書きしてなる商標 ( 以下 本件商標 という ) について, 第 25 類 履物, 乗馬靴 を指定商品として, 商標登録出願し, 同年 9 月 16 日に設定登録を受けた ( 登録第 号

G-235 登録商標 一部取消審決取消請求事件 : 知財高裁平成 28( 行 ケ )10230 平成 29 年 9 月 14 日 (2 部 ) 判決 < 請求棄却 > キーワード 商標権 50 条 1 項 ( 不使用取消 ), 社会通念上同一と認められる商標, 平面図 形商標, 位置商標, 部分意匠

4F1803FBFF227B8C E002B126

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

Taro jtd

同法 46 条 1 項 1 号により, 無効とすることはできない, というものである 第 3 当事者の主張 1 審決の取消事由に関する原告の主張 (1) 取消事由 1( 商標法 3 条 1 項柱書該当性判断の誤り ) 審決は, 本件商標に関し, 願書に記載された指定商品又は指定役務に使用していること

31 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 1 原告の求めた裁判 主文同旨 事実及び理由 第 2 事案の概要 本件は, 商標登録を無効とした審決の取消訴訟である 争点は, 商標法 4 条 1 項 10 号該当性 ( 引用商標の周知性の有無 ) である 1 特許庁における手続の経

して, 損害賠償金 330 万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成 28 年 月 21 日 ( 原告が被告に本件請求の通知を送付した日の翌日 ) から支払済みまで民法所定の年 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨により容

平成 30 年 3 月 29 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 9 日 判 決 5 原告株式会社フィールドアロー 同訴訟代理人弁護士 青 山 友 和 被 告 ソ メ ヤ 株 式 会 社 同訴訟代理

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,


-2 -


ない 4 訴訟費用は, 第 1,2 審とも被控訴人の負担とする 第 2 事案の概要 1 事案の要旨本件は, 原判決別紙 商標権目録 記載の商標権を有する控訴人が, 被控訴人に対し, 被控訴人が原判決別紙 被告標章目録 記載の標章をインターネットホームページのサイトで使用する行為が, 控訴人の商標権を

平成 28 年 10 月 11 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結の日平成 28 年 7 月 7 日 判 決 原 告 オーガスタナショナルインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士 中 村 稔 同 松 尾 和 子 同 田 中 伸 一 郎 同訴訟代

審決取消判決の拘束力

判決【】

平成 29 年 5 月 15 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 3 月 6 日 判 決 原 告 BERNARD FRANCE SERVICE 合同会社 訴訟代理人弁護士笹本摂 向多美子 訴訟代理人弁理士木村高明 被 告 ラボラ

認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

(イ係)

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

最高裁○○第000100号

第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

年 1 月 9 日に第 40 類 布地 被服又は毛皮の加工処理 ( 乾燥処理を含む ), 裁縫, ししゅう, 木材の加工, 竹 木皮 とう つる その他の植物性基礎材料の加工 ( 食物原材料の加工を除く ), 食料品の加工, 廃棄物の再生, 印刷 を指定役務 ( 以下 本件指定役務 という ) とし

G-207 登録商標 ヨーロピアン 不使用取消審決取消請求事件 : 知財高裁平成 27( 行 ケ )10032 平成 27 年 9 月 30 日 (1 部 ) 判決 < 棄却 > キーワード 商標法 50 条 ( 登録 3 年以上の登録商標の不使用 ), 登録商標の使用 ( 自他商品の識別機能 ),

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

平成22年5月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

税務訴訟資料第 267 号 -70( 順号 13019) 大阪高等裁判所平成 年 ( ) 第 号更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件国側当事者 国 ( 富田林税務署長 ) 平成 29 年 5 月 11 日棄却 上告受理申立て ( 第一審 大阪地方裁判所 平成 年 ( ) 第 号 平成

1 特許庁における手続の経緯等 ( 後掲証拠及び弁論の全趣旨から認められる事実 ) (1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) の商標権者である ( 甲 1, 2) 登録番号第 号登録出願日平成 26 年 3 月 27 日設定登録日平成 28 年 4 月 22 日登録

21855F41214EA DB3000CCBA

平成 25 年 1 月 10 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 24 年 12 月 19 日 判 決 原 告 アルヴェアエス. アール. エル. (ALVEA S.r.l.) 同訴訟代理人弁理士 橘 哲 男 内

B0B820DFD845F9DE49256B7D0002B34

原告は, 平成 26 年 12 月 9 日, 指定役務を第 35 類 市場調査又は分析, 助産師のあっせん, 助産師のための求人情報の提供, 第 41 類 セミナーの企画 運営又は開催, 電子出版物の提供, 図書及び記録の供覧, 図書の貸与, 書籍の制作, 教育 文化 娯楽 スポーツ用ビデオの制作

(2) B 社に係る破産事件等東京地方裁判所は, 平成 21 年 2 月 24 日,B 社を再生債務者として, 再生手続開始の決定をした しかし, 東京地方裁判所は, 同年 3 月 24 日,B 社の事業継続を不可能とする事実が明らかになったとして, 再生手続廃止の決定をするとともに, 再生手続廃止

第 1 請求 1 被告は, 原告の取引先その他第三者に対し, 原告がNIC INDUST RIES 社製のセラコート塗料を輸入する行為は商標権侵害であるとの虚偽の事実を告知又は流布してはならない 2 被告は, 原告に対し,770 万円及びこれに対する平成 28 年 5 月 11 日 ( 訴状送達の日

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶


⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

処分済み

ア原告は, 平成 26 年 12 月 26 日に設立された, 電気機械器具の研究及び開発等を目的とする株式会社である イ合併前会社ワイラン インクは, 平成 4 年 (1992 年 ) に設立された, カナダ法人である 同社は, 平成 29 年 (2017 年 )6 月 1 日付けで, 他のカナダ法

により容易に認められる事実 ) (1) 当事者等ア原告は,Aの子である イ Aは, 大正 年 月 日生まれの男性であり, 厚生年金保険の被保険者であったが, 平成 年 月 日, 死亡した ( 甲 1) (2) 老齢通算年金の受給 Aは, 昭和 年 月に60 歳に達し, 国民年金の納付済期間である18

被告は,A 大学 C 学部英語専攻の学生である (2) 本件投稿等被告は, 大学 2 年生として受講していた平成 26 年 4 月 14 日の 言語学の基礎 の初回講義 ( 以下 本件講義 という ) において, 原告が 阪神タイガースがリーグ優勝した場合は, 恩赦を発令する また日本シリーズを制覇

本件は, 商標法 50 条 1 項に基づく商標登録取消審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である 1 本件商標及び特許庁における手続の経緯等被告は, 下記の KIRIN の欧文字を横書きしてなり, 平成 8 年 6 月 24 日に出願され, 第 30 類 コーヒー及びココア, 茶, 調味料, 香辛料

B63EE1C51AFE4AD B000BA3B


平成 30 年 9 月 10 日判決言渡 平成 30 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 7 月 11 日 判 決 原告ハワード株式会社 同訴訟代理人弁護士 窪 田 英一郎 乾 裕 介 今 井 優 仁 中 岡 起代子 本阿弥 友 子 同訴訟代理人弁理士

⑴ ⑵ ⑶ ⑷ 1

(1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) に係る商標権 ( 以下 本件商標権 という ) を有している ( 甲 25) 商標登録第 号商標の構成千鳥屋 ( 標準文字 ) 登録出願日平成 23 年 12 月 21 日設定登録日平成 25 年 2 月 8 日指定商品第



8FDEC4DDAFB890A249256E BC

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

Transcription:

平成 29 年 10 月 19 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 10268 号審決取消 ( 商標 ) 請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 8 月 3 日 判 決 原告安踏 ( 中国 ) 有限公司 同訴訟代理人弁理士三上真毅 被告ブルックススポーツインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士 彦 佐竹勝一 山本飛翔 弁理士藤倉大作 主 文 1 原告の請求を棄却する 2 訴訟費用は, 原告の負担とする 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30 日と定める 事実及び理由第 1 請求の趣旨特許庁が取消 2014-300978 号事件について平成 28 年 8 月 9 日にした審決を取り消す 第 2 事案の概要 1

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 4737519 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴, その他の履物, 運動用特殊靴, 被服, ガーター, 靴下止め, ズボンつり, バンド, ベルト, 仮装用衣服, 運動用特殊衣服 を指定商品として, 平成 15 年 12 月 26 日に設定登録されたものである ( 甲 1の1 2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 26 年 12 月 5 日, 本件商標について, 商標法 50 条に基づく商標登録取消審判を請求し ( 取消 2014-300978 号 以下 本件審判請求 という ), その登録は同月 25 日にされた ( 甲 1の1) 特許庁は, 平成 28 年 8 月 9 日, 本件審判の請求は, 成り立たない との審決 ( 以下 本件審決 という ) をし, その謄本は, 同月 18 日に原告に送達された 3 本件審決の理由の要点 ⑴ カスタムプロデュース株式会社 ( 以下 カスタムプロデュース社 という ) は, 被告と提携していること, 及びカスタムプロデュース社は, 被告の日本国内における総代理店であることからすると, カスタムプロデュース社は, 本件商標の通常実施権者というのが相当である ⑵ カスタムプロデュース社が, 平成 26 年 6 月に発行したカタログ ( 甲 2の 9 以下 本件カタログ という ) には, 表紙にブーメラン様の白抜きの図形 2

( 以下 使用商標 という ) が表示されており, 運動靴 が掲載されている 本件カタログは, 平成 26 年 6 月頃から秋にかけて頒布されたと推認できる ⑶ 運動靴 は, 本件商標の指定商品に含まれる ⑷ 本件商標と使用商標は, 線書きであるか白抜きであるかに差異があるが, その態様を同じくするものであるから, 本件商標と使用商標は, 社会通念上同一のものである ⑸ 以上のとおり, 被告は, 通常実施権者が, 本件審判請求の登録前 3 年以内に, 日本国内において, 指定商品に含まれる 運動靴 に関する 広告 に本件商標を使用していたことを証明したと認めることができる 第 3 原告主張の審決取消事由 1 通常実施権者による使用の不存在カスタムプロデュース社が被告の日本における総販売代理店であることを裏付ける証拠は提出されておらず, 同社が運営するウェブサイト ( 甲 2の6) や同社が作成した本件カタログ ( 甲 2の7 9 12 13) にも, その旨の記載はない 平成 24 年 2 月 5 日付けのニュースリリースにおいて, 被告とカスタムプロデュース社との関係は, 提携 (Partner) とされており ( 甲 2の4 5), 総販売代理店とはされていない したがって, カスタムプロデュース社が本件商標の通常実施権者であることは証明されていない 2 使用の事実の不存在被告が本件カタログ ( 甲 2の9) の印刷を発注した際の請求書であるとして本件審判請求において提出したもの ( 甲 2の10 以下 本件請求書 という ) に記載された商品名からは, 発注された印刷物が本件カタログかどうか明らかでないし, 印刷部数も黒塗りで秘匿されている また, カタログが印刷された事実があるからといって, 当該カタログが頒布されたことにはならず, 頒布された事実の立証はない 3

したがって, 本件審決が認定した使用の事実は, 証明されていない 3 使用商標と本件商標との同一性の不存在本件商標と下記の使用商標は, 線書きであるか白抜きであるかに差異がある 線書きであるか黒抜きであるかの差異をもって登録が認められている商標がある ( 甲 3~6) から, 本件商標と使用商標は, 線書きであるか白抜きであるかの差異によって, 社会通念上同一とは認められない 第 4 被告の主張 1 通常実施権者による使用の不存在について ⑴ カスタムプロデュース社は被告の日本国内における販売総代理店であることア販売総代理店とは, 法的に定義された用語ではないが, 一般に, 特定の地域や特定の市場全体についての販売権を一手に担う代理店を指す言葉として用いられている そのため, 名称のいかんを問わず, カスタムプロデュース社が, 特定の地域 ( 日本国内 ) について, 被告が取り扱う商品の販売権を一手に担う代理店ということができれば, カスタムプロデュース社は被告の日本国内における販売総代理店に当たるということができる イ被告は, 平成 24 年 1 月 23 日に, ブルックス スポーツ株式会社及びカスタムプロデュース社との間で, カスタムプロデュース社が日本における被告の販売総代理店になる旨の契約を締結しており ( 乙 1), カスタムプロデュース社が被告の日本における販売総代理店であることは明らかである なお, カスタムプロデュース社が日本における被告の販売総代理店であることは, 新聞でも取り上げら 4

れている ( 乙 2) また, 平成 24 年 2 月 5 日付けのニュースリリースにおいて,1 被告がカスタムプロデュース社と提携しており,2カスタムプロデュース社が被告の日本におけるパートナーであることを発表している ( 甲 2の4 5) ところ, このような不特定多数の第三者に向けたプレスリリースにおいて提携先を偽る特段の理由は存しない さらに, 特定商取引に関する法律 11 条及び特定商取引に関する法律施行規則 8 条 1 項 1 号によると, 商品の通信販売を行う際には, 通信販売事業者の名称及び住所を表示する義務があり, この義務に基づき, 被告の製品を取り扱うウェブサイト ( 甲 2の6) の 特定商取引法に基づく表示 に, 販売業者として カスタムプロデュース株式会社 と表示されている ( 以下 本件特商法表示 という ) ウ被告, ブルックス スポーツ株式会社及びカスタムプロデュース社の間における, 上記イの契約書 ( 乙 1) の1 条 A 項において, カスタムプロデュース社は, exclusive distributor と規定されている また, カスタムプロデュース社は, 運営元の異なる各種ウェブサイトにおいて被告の 輸入総代理店 と表記されている ( 乙 3~6) エしたがって, カスタムプロデュース社は, 被告の日本国内における販売総代理店である ⑵ カスタムプロデュース社が通常使用権者であることア前記 ⑴のとおり, カスタムプロデュース社は, 被告の日本国内における販売総代理店であるから, カスタムプロデュース社は本件商標の通常使用権者ということができる イ仮に, カスタムプロデュース社が被告の日本国内における販売総代理店といえない場合であっても, 以下のとおり, 本件の事実関係の下では, カスタムプロデュース社は本件商標の通常使用権者ということができる 被告, ブルックス スポーツ株式会社及びカスタムプロデュース社の間における, 前記 ⑴イの契約書 ( 乙 1)5 条 A 項により, カスタムプロデュース社 5

は, 本件商標を含む被告の商標を使用する権利と義務があるから, 本件商標を使用する権利を許諾されていることは明らかである 前記 ⑴イの本件特商法表示は, カスタムプロデュース社が被告の商品 ( 本件商標が付された商品を含む ) を日本国内において販売していることを強く裏付けるものである また, 前記 ⑴イのとおり, 被告は, カスタムプロデュース社と提携し, 日本におけるパートナーにする旨発表しているから, 日本国内におけるカスタムプロデュース社による本件商標が付された被告の製品の販売は, 被告の意思に基づくものということができる したがって, カスタムプロデュース社は本件商標の通常使用権者である 2 使用の事実の不存在についてカタログを有償で発行したにもかかわらず, 一切頒布しないということは経済的に極めて不自然, 不合理であり, 特段の事情がない限り, カタログを発行すれば, それを頒布したものとみるのが商取引の通念から相当である カスタムプロデュース社は, 本件カタログを, 平成 26 年 6 月 10 日に1 万 80 00 部発注し, 同月 24 日に納品され, 同年 7 月から, 約 200 店舗にわたる被告の商品の取扱店舗に頒布し, 頒布先の店舗では, 店舗に訪れた消費者に本件カタログを頒布している ( 乙 7~9) 本件カタログの表紙には CATALOG FA LL 2014 と表示されており, 本件カタログは, 平成 26 年秋の商品カタログであるため, 同年 7 月に頒布されたことと整合する 本件請求書 ( 甲 2の10, 乙 8) には, 注文内容として BROOKS14FW _USER_CAT と表記されているところ, BROOKS は被告を意味し, 14 は2014 年の下 2 桁を意味し, FW は秋冬を示す FALL&WI NTER を意味し, CAT は CATALOG の最初の3 文字を意味し, USER は消費者向けを意味する 本件カタログは, 消費者に向けた, 平成 2 6 年秋冬における被告の商品 ( 靴 ) に関するカタログであるため, 上記注文内容と 6

符合する また, 本件請求書 ( 甲 2の10, 乙 8) における 4cカラー は,4 色カラーであることを意味しており, このことは, 本件カタログがカラー表記であることと整合するものであるし, 本件請求書 ( 甲 2の10, 乙 8) における A4 3 倍 の表記は,A4の3 倍である 297mm 627mm の紙を使用し, 余分な部分をカットすることでカタログを作成していることを意味しており, このことは, 本件カタログのサイズと整合する さらに, 本件カタログの5 葉目の右下に, 2014.6 との表記があるが, 本件カタログが2014 年秋冬の商品を扱っており,6 月はまだ秋ではないことを踏まえると, 2014.6 の表記は, カタログの発行日を示しているものと考えるのが自然である 他方, 本件請求書 ( 甲 2の10, 乙 8) における 日付 の 2014-06-10 の表記は, 請求書の発行日が別途記載されていることを踏まえると, 注文商品の作成年月日を指していると考えるのが合理的であって, 本件請求書は, 本件カタログの頒布開始の時期と, 時期的にも整合する したがって, 本件請求書は, 本件カタログに係る請求書であることが合理的に推認できる 以上のとおり, 本件カタログは, カスタムプロデュース社によって, 平成 26 年 7 月から秋にかけて頒布されたものである 3 使用商標と本件商標との同一性の不存在について商標法 50 条が規定する 社会通念上同一と認められる商標 は, 同条における 登録商標 の意味を明らかにするものであって, 他の条項における解釈が, 商標法 50 条の解釈の指針となるものではない そのため, 類似する複数の商標が登録されていることをもって, 使用商標と本件商標とが 社会通念上同一と認められる商標 に当たらないことの直接の理由付けに用いることはできない また, 類似した商標が審査の段階で看過されて登録されることはあり得るため, 類似する図形からなる商標が併存して登録されていることは, 特許庁が両者の併存を積極的に認めたことを必ずしも意味しない 原告の挙げる登録例 ( 甲 3~6) には, 線描きであるか黒抜きであるか以外にも, 7

外観において多くの差異が存するほか, 観念も異なるものである 使用商標と本件商標とは, 社会通念上同一の商標である 第 5 当裁判所の判断 1 カスタムプロデュース社が通常実施権者であるかどうかについて ⑴ 証拠 ( 甲 2の1 4~6, 乙 1,7) によると, 次の事実が認められる ア被告, ブルックス スポーツ株式会社 ( 以下 ブルックス スポーツ社 という ) 及びカスタムプロデュース社は, 平成 24 年 1 月 23 日, カスタムプロデュース社を日本におけるブルックス製品 ( ランニング用運動靴 ) の独占的なディストリビュータとする契約を締結した この契約においては, 本件商標は, 被告に帰属する独占的な財産であること, カスタムプロデュース社が, 広告, カタログ, 価格表等を作成したときは, その使用前に承認を得ることなどが規定されている イ平成 24 年 2 月 5 日付けのニュースリリースにおいて, 被告は, カスタムプロデュース社と提携しており, 同社が被告の日本におけるパートナーであることを発表した ウ被告の日本におけるウェブサイトは, カスタムプロデュース社が運営しており, 同ウェブサイトにおけるオンラインショップは, 平成 26 年 10 月から開設されているところ, 同ウェブサイトには, 特定商取引に関する法律に基づく表記 として, カスタムプロデュース株式会社 が販売業者として表示されている ( 本件特商法表示 ) ⑵ 以上の事実に, 後記 2のとおり, カスタムプロデュース社は, 本件カタログを作成し, 頒布するなどしていることを総合すると, 同社は, 平成 24 年 1 月 2 3 日に, 被告から, 日本において本件商標が付されたランニング用運動靴を独占的に販売する権利を与えられ, それに伴って, 本件商標の通常実施権を許諾されたものと認められる 2 本件カタログの頒布について 8

⑴ 証拠 ( 甲 2の1 9 10, 乙 7~10) と弁論の全趣旨によると, 次の事実が認められる アカスタムプロデュース社は, 平成 26 年 6 月 10 日, 両面カラー,A4 3 倍 (297 627),4cカラーの本件カタログ1 万 8000 冊を発注し, 同月 24 日に納品を受け, 同年 7 月から, 約 200 店舗にわたる被告の商品の取扱店舗に頒布し, 本件カタログは, 各店舗では, 一般消費者に頒布された イ本件カタログの表紙には, 使用商標が表示されるとともに BROOK S CATALOG FALL 2014 の表記がある 本件カタログには, 商品である運動靴の写真が多数掲載されている 本件カタログは, 平成 26 年の秋冬商品のカタログである ⑵ 上記 ⑴の認定について, 原告は, 本件請求書に記載された商品名からは, 発注された印刷物が本件カタログかどうか明らかでないし, また, カタログが印刷された事実があるからといって, 当該カタログが頒布されたことにはならず, 頒布された事実の立証はないと主張する しかし, 本件請求書に記載された商品が本件カタログであること及び本件カタログが頒布された事実は, 乙 7( カスタムプロデュース社代表者の陳述書 ) によって認められる 本件請求書 ( 甲 2の10, 乙 8) に記載された注文内容である BRO OKS14FW_USER_CAT, 商品内容である 両面カラー,A4 3 倍 (297 627),4cカラー は, 本件カタログ ( 甲 2の9) と整合するものであるし, 時期的にも, 本件カタログが平成 26 年の秋冬商品のカタログであることと整合するのであって, 前記認定事実を覆すに足りる証拠はない したがって, 原告の上記主張を採用することはできない ⑶ 前記 1 認定のとおり, カスタムプロデュース社は, 本件商標についての通常実施権者であるところ, 前記 ⑴ 認定のとおり, 同社は, 使用商標が付された本件カタログを作成し, 平成 26 年 7 月から頒布したものと認められるから, 同社は, 広告 に使用商標を付して頒布したものと認められる 9

3 使用商標と本件商標との同一性について本件商標と使用商標を対比すると, 図形の形状は同じであり, 線書きであるか白抜きであるかに差異があるのみであるから, 本件商標と使用商標は, 社会通念上, 同一の商標であると認められる この点について, 原告は, 線書きであるか黒抜きであるかの差異をもって登録が認められている商標がある ( 甲 3~6) と主張するが, そのような登録例があるからといって, 上記判断が左右されることはない 4 以上によると, 被告は, 通常実施権者が, 本件審判請求の登録前 3 年以内に, 日本国内において, 指定商品について本件商標を使用していたことを証明したと認めることができる 第 6 結論よって, 本件審決を取り消すべき理由はないから, 原告の請求を棄却することとして, 主文のとおり判決する 知的財産高等裁判所第 2 部 裁判長裁判官 森義之 裁判官 森岡礼子 10

裁判官佐藤達文は, 転補につき署名押印することができない 裁判長裁判官 森義之 11