Microsoft PowerPoint - 5-1大分.ppt [互換モード]

Similar documents
最終.indd

水光No49 最終.indd

ホルムアルデヒド法改正に伴う医療機関 の対応 労働衛生と医療安全

1 物理化学的性質 (1) 化学物質の基本情報 名称 : 酸化プロピレン (Propylene Oxide) 別名 : プロピレンオキシド 1,2-プロピレンオキシド 1,2-エポキシプロパン メチルオキシラン化学式 :C3H6O 分子量 :58.08 CAS 番号 : 労働安全衛生法

Microsoft Word - 1_RA指針通達_確定版(別添1&2を除く)

ホルムアルデヒド法改正に伴う医療機関 の対応 労働衛生と医療安全

有害性総合評価

労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン(案)

27 年度調査結果 ( 入院部門 ) 表 1 入院されている診療科についてお教えください 度数パーセント有効パーセント累積パーセント 有効 内科 循環器内科 神経内科 緩和ケア内科

<4D F736F F F696E74202D2089BB8A7795A88EBF8E77906A838A815B C FC CEB8E9A8F4390B3816A2E707074>

<4D F736F F F696E74202D F30315F837A838B B CC8B4B90A78BAD89BB82C991CE82B782E98EE682E8916

平成30年度 患者様満足度調査 【外 来】

1 施設設備の衛生管理 1-1 食品取扱室の清掃及び保守点検 < 認証基準 > 床 内壁 天井 窓 照明器具 換気扇 手洗い設備及び排水溝の清掃手順 保守点検方法が定められていること 床及び排水溝の清掃は1 日に1 回以上 その他の清掃はそれぞれ清掃の頻度の記載があること 保守点検頻度の記載があるこ

4,4’‐ジアミノジフェニルメタン

Microsoft Word - RM最前線 doc

資料 イミダゾリジンチオン 測定 分析手法に関する検討結果報告書

レベル 1 2 石綿届出対象 記入例 レ労働安全衛生法第 88 条第 3 項 労働安全衛生規則第 90 条第 5 号の2 の規定による計画の届出 石綿障害予防規則第 5 条第 1 項の規定による作業の届出 レ大気汚染防止法第 18 条の15 第 1 項の規定による作業実施の届出を行っております 石綿

GPS 安全性要約書 イソプロピルアルコール (IPA)

< F2D967B91CC955C8E E6A7464>

GPS 安全性要約書 塩酸(35%)

名称未設定

川口工業総合病院 広報誌

10_12A-20.pdf

2 今回調査時におけるオルト-トルイジンのばく露経路の考察ア経気道ばく露 ( 空気中から吸い込むことによるばく露 ) 今回調査時においては 測定されたオルト-トルイジンの気中濃度は十分低く さらに 作業者は十分な性能の呼吸用保護具を着用していたことから 経気道ばく露によるオルト-トルイジンの生体への

GPS 安全性要約書 ホルマリン

<4D F736F F D208F4390B381408EFC926D81458D4C95F F18D908F912E646F63>

の病床数及び新たに併設する介護保険施設の入所定員 ( 病院から転換した病床 ( 以下 転換病床 という ) を活用するものに限る ) の合計が転換前の病院の病床数以下である場合には 実態として 転換後の施設 ( 病院と介護保険施設を併せた全体をいう 以下同じ ) 全体の医療提供の内容は 転換前の病院

目次 Ⅰ 外来 1 アンケート様式 1 2 アンケート集計結果 2 Ⅱ 入院 1 アンケート様式 17 2 アンケート集計結果 18 Ⅲ 分析 31

(1) (2) (3) (1

の病床数及び新たに併設する介護保険施設の入所定員 ( 病院から転換した病床 ( 以下 転換病床 という ) を活用するものに限る ) の合計が転換前の病院の病床数以下である場合には 実態として 転換後の施設 ( 病院と介護保険施設を併せた全体をいう 以下同じ ) 全体の医療提供の内容は 転換前の病院

第2章マウスを用いた動物モデルに関する研究

Microsoft Word - 【発出版1】局向け粉状物質通達

1403 公衆衛生学 2 森満 - 4 前期 科目平均 回答数 ( 非常に良い ) 回答数 ( よい ) 回答数 ( 普通 ) 回答数 ( やや劣る ) 公衆衛生学 2 学年平均学部平均

日本医師会「2008年度緊急レセプト調査(4~6月分)」結果報告(2008年8月6日)

31608 要旨 ルミノール発光 3513 後藤唯花 3612 熊﨑なつみ 3617 新野彩乃 3619 鈴木梨那 私たちは ルミノール反応で起こる化学発光が強い光で長時間続く条件について興味をもち 研究を行った まず触媒の濃度に着目し 1~9% の値で実験を行ったところ触媒濃度が低いほど強い光で長


評価項目 A Bともすべての項目に を入れてください 評価項目 A 宣言内容 ( 共通項目 ) チェック項目 取り組み結果 出来た概ね出来た出来なかった 1 経営者が率先し 健康づくりに取り組みます 健康宣言証の社内掲示など 健康づくりに関する企業方針について 従業員へ周知していますか? 経営者自身

PowerPoint プレゼンテーション

安全衛生管理規程作成例

GPS 安全性要約書 苛性ソーダ(48%)



untitled

クリニカルパスの 普及・体制の現状と課題

PowerPoint プレゼンテーション

法律 出典 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年 8 月 10 日法律第 145 号 ) 政令 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 36 年 1 月 26 日政令第 11 号 ) 省令 医薬品 医療機器等の品質

2012年度 発議文書台帳(施行簿) 労働基準局安全衛生部科学物質対策課分

平成19年度 病院立入検査結果について

める製品でトリブチルスズ化合物が使用されているものの環境汚染防止措置に関し公表する技術上の指針本指針は 第二種特定化学物質であるトリブチルスズ=メタクリラート ビス ( トリブチルスズ ) =フマラート トリブチルスズ=フルオリド ビス ( トリブチルスズ )=2,3 ジブロモスクシナート トリブチ

1. 北海道 ( 医師数データ集 )(218 年版 ) 目次 北海道 南渡島医療圏 南檜山医療圏 北渡島檜山医療圏 札幌医療圏 後志医療圏 南空知医療圏 中空知医療圏 北空知医

66 条の 6 改正のねらい 果通知 第 第 1 章改正労働安全衛生法 逐条解説 第 5 節 すべての健康診断結果の労働者への通知 特殊健康診断結果の追加 ( 第 66 条の 6 関係 ) 労働安全衛生法において 一般健康診断については 健康診断の実施後にその結果を本人へ通知する義務が規定されている


<945F96F B3816A2E786264>

しょうゆの食塩分測定方法 ( モール法 ) 手順書 1. 適用範囲 この手順書は 日本農林規格に定めるしょうゆに適用する 2. 測定方法の概要 試料に水を加え 指示薬としてクロム酸カリウム溶液を加え 0.02 mol/l 硝酸銀溶液で滴定し 滴定終点までに消費した硝酸銀溶液の量から塩化ナトリウム含有

市報2016年3月号-10


一酸化炭素中毒災害発生状況については 毎年 30~40 件前後発生 例年起因別で多いのは内燃機関の使用によるもの ( 約 4 割 ) 調理器具の使用によるもの ( 約 2 割 ) 屋外における有害作業による中毒災害も発生している 〇一酸化炭素中毒対策に係る規定等 安全衛生規則第 578 条 ( 内燃

印刷インキに関する自主規制 (NL規制)

P SDS_FL-1RUPlus

定化学物質障害予防規衛条文 今回の改正による物質ごとの主な規定の適用 ( 一覧 ) 規制内容 ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト (DDVP) クロロホルムほか 9 物質クロロホルムほか9 物質を 1% 以下 かつ特別有機溶 1% を超えて含有する物剤と有機溶剤と合計して 5% を超える物

高圧ガス(第580号),P50-56

参考 < これまでの合同会合における検討経緯 > 1 第 1 回合同会合 ( 平成 15 年 1 月 21 日 ) 了承事項 1 平成 14 年末に都道府県及びインターネットを通じて行った調査で情報提供のあった資材のうち 食酢 重曹 及び 天敵 ( 使用される場所の周辺で採取されたもの ) の 3

GPS 安全性要約書 モノエタノールアミン(MEA)

平29・6・13(火) 平成29年度 神奈川県医師会 産業医部会 総会・研修会

第 5 条保健所長は 必要に応じ 巡回指導を行い 営業施設の設置状況等の把握に努めるものとする 2 保健所長は 前項の調査の結果 別表に定める基準に適合しないと認めるときは 営業者等に対し 必要な措置を講ずるよう指導し 又は勧告するものとする 附則 この要綱は 平成 15 年 4 月 1 日から施行

実用発電用原子炉の設置 運転等に関する規則 ( 抜粋 ) ( 昭和 53 年 最終改正 : 平成 25 年 )( 通商産業省令 ) ( 工場又は事業所において行われる廃棄 ) 第九十条法第四十三条の三の二十二第一項の規定により 発電用原子炉設置者は 発電用原子炉施設を設置した工場又は事業所において行

Microsoft PowerPoint - gennjyou.ppt [互換モード]

2 病院次のいずれにも該当する病院のうち 相当程度の患者の見守り体制を有するもの ( 火災発生時の消火活動を適切に実施することができる体制を有するものとして総務省令で定めるもの ) 以外のもの ( ア ) 特定診療科名を有するもの ( イ ) 一般病床又は療養病床を有する病院 火災発生時の延焼を抑制

資料 o- トルイジンの分析測定法に関する検討結果報告書 中央労働災害防止協会 中国四国安全衛生サービスセンター

PowerPoint プレゼンテーション

1

Ⅰ バイタルリンク 利用申込書 ( 様式 1-1)( 様式 ) の手続 バイタルリンク を利用する者 ( 以下 システム利用者 という ) は 小松島市医師会長宛に あらかじ め次の手順による手続きが必要になります 新規登録手続の手順 1 <システム利用者 ( 医療 介護事業者 )>

Microsoft Word - 05_指針公示第26号【日付入り】

2017年度患者さん満足度調査結果(入院)

2. 経口移行 ( 経口維持 ) 加算 経口移行 ( 経口維持 ) 計画に相当する内容を各サービスにおけるサービス計画の中に記載する場合は その記載をもって経口移行 ( 経口維持 ) 計画の作成に代えることができる 従来どおり経口移行 ( 経口維持 ) 計画を別に作成してよい 口腔機能向上加算 口腔

課題名

平成27年度.indd

Microsoft Word - 4-2”©„Èfi_„�Ł\.doc

HC09-033(ADP-HKPII).xls

別紙 常勤医師等の取扱いについて 1. 一日平均患者数の計算における診療日数 (1) 入院患者数ア通常の年は 365 日である イ病院に休止した期間がある場合は その期間を除く (2) 外来患者数ア実外来診療日数 ( 各科別の年間の外来診療日数で除すのではなく 病院の実外来診療日数で除すこと ) イ

PRESS RELEASE 報道関係者各位 2011 年 10 月 25 日 ティーペック株式会社 CSR 活動 日本初! 専門医療検索 を携帯電話から可能に! ティーペック医療機関検索 2011 年 11 月 1 日から無料サービス拡充 1) 全国の医療機関情報検索がより便利に 電話による健康相談

安全データシート Page 1 of 6 LOCTITE FREEZE & RELEASE SDS No. : V001.2 改訂 : 発行日 : 化学物質等及び会社情報 製品コード : 製品名 : LOCTITE FR

脱有機溶剤吸引工事について

CERT化学2013前期_問題

1. リスクアセスメントの実施時期 ( 安衛則第 34 条の 2 の 7 第 1 項 ) 施行日 ( 平成 28 年 6 月 1 日 ) 以降 該当する場合に実施します < 法律上の実施義務 > 1. 対象物を原材料などとして新規に採用したり 変更したりするとき 2. 対象物を製造し または取り扱う

イソプロピルアルコール ( 株 ) トクヤマ 2014 年 2 月 20 日 1/5 GPS/JIPS 安全性要約書 イソプロピルアルコール 要旨イソプロピルアルコール ( 以下 IPA と略します ) は 常温で芳香がある無色の液体で 水と自由に混和します 引火性があるので火気には注意が必要です

PaintManual2008

警備員指導教育責任者の選任の基準 ( 警備員規模別 ) 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 9 人以下 (n=65) 26.2% 9.2% 6.2% 6.2% 49.2% 3.1% 2.6% 10~29 人 (n=116) 30.2% 13.8% 5.2% 8.6

< F2D8BCE96B18E9E8AD481438B7889C993998B4B92F F3132>

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - RM最前線 doc

2 安全衛生教育の実施等 () 6 派遣労働者を雇い入れたときに雇入れ時の安全衛生教育を行 はい いいえ っています () 7 派遣労働者の派遣先事業場を変更するなど 作業内容を変更 はい いいえ したときは 当該派遣労働者に対し 作業内容変更時の安全 衛生教育を行っています ()() 8 6 及び

資料4-3 木酢液の検討状況について

有害性リスクアセスメント支援ツール BIGDr.Worker のご説明 現在 簡易なリスクアセスメント支援ツールとして厚生労働省からコントロール バンディングが公開されています しかし このツールを用いたリスクアセスメントでは 詳細な作業環境を反映させることができないため 過大評価になる傾向が指摘さ

(6) 集団回収第 57 条の2 第 3 項に規定するリサイクル推進団体による再利用を目的として集団回収対象物 ( 再利用が可能な家庭廃棄物のうち 規則で定める廃棄物をいう 以下同じ ) を回収する活動をいう ( 処理 ) 第 19 条 2 3 前 2 項に規定する一般廃棄物の処理の基準は 規則で定

<4D F736F F D E63188C4816A8D4C93878CA78BC696B18AC7979D91CC90A78A6D94468C9F8DB88EC08E7B97768D6A816989FC90B38CE3816A2E646F63>

[ 廃棄物の最終処分場 ( 管理型 )] 平成 29(2017) 年度 1 施設名称 1 号管理型処分場 (1) 埋立てた廃棄物の各月ごとの種類及び数量 規則第 12 条の 7 の 2 第 8 項イ 種類汚泥燃え殻紙くずばいじん 合計 単位 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月

ウスターソース類の食塩分測定方法 ( モール法 ) 手順書 1. 適用範囲 この手順書は 日本農林規格に定めるウスターソース類及びその周辺製品に適用する 2. 測定方法の概要試料に水を加え ろ過した後 指示薬としてクロム酸カリウム溶液を加え 0.1 mol/l 硝酸銀溶液で滴定し 滴定終点までに消費

Microsoft Word - .A.X.x.X.g...m.i.m.....j.doc


Transcription:

大分県内の医療関係機関及びホルムアルデヒド等使用事業場におけるホルムアルデヒド等化学物質によるばく露防止措置に係る対策推進状況の実態調査について 主任研究者共同研究者 大分産業保健推進センター所長大分産業保健推進センター基幹相談員同同 三角田吹青木青野 順一光司郎一雄裕士

1. はじめに 平成 20 年 3 月の特定化学物質障害予防規則等の改正により ホルムアルデヒドが特定化学物質の第 3 類物質から第 2 類物質に変更され その取り扱い作業場で局所排気装置の設置 作業環境測定の実施等が義務付けられることになった しかし 施行から半年以上経過したにもかかわらず ホルムアルデヒドの使用及び管理状況が把握されていない状況である ま状況である また ホルムアルデヒドは主に病院等の医療機関で細胞組織の固定や滅菌等で水溶液として多く使用されている このような状況を考慮し 大分県内におけるホルムアルデヒドを主に取り扱う医療機関を対象に その労働衛生管理体制の実態を把握するために アンケート調査及び実地調査 ( 聞き取り調査 個人ばく露濃度測定 ) を実施した

2. アンケート調査等の方法 2.1 対象事業場及び実施期間 平成 20 年 10 月 大分県内の医療関係機関 1531 事業場に対しアンケートを配布し エチレンオキシド及びホルムアルデヒド取り扱い状況実態調査を行った 回答事業場数は683 件あり 回収率は45% であった ( 前回の回収率は 33%) 2.2 実地調査の方法 ( 個人ばく露濃度の測定及び評価方法 ) ホルムアルデヒド捕集用 DNPH 捕集管及びミニポンプを用いて0.2L/minの流量で固体捕集し 高速液体クロマトグラフ法で分析した 個人ばく露濃度測定結果は 日本産業衛生学会の許容濃度 01 0.1ppm を基準値として評価した

3. アンケート調査結果 3.1 エチレンオキシドばく露防止措置に係る対策推進状況実態調査結果

3.1.1 特化則に挙げられている実施項目の実施率 図 1. エチレンオキシト に関する特化則に挙げられている実施項目の実施率 0% 20% 40% 60% 80% 100% 作業手順所書の作成等 平成 14 年度平成 20 年度 60 % 84 % 31 % 9% 15 % 2% 全体換気装置の設置 平成 14 年度 59 % 平成 20 年度 85 % 33 % 11 % 8% 特化作業主任者の選任 平成 14 年度平成 20 年度 54 % 86 % 40 % 12 % 7% 3% 局排等定期自主検査 平成 14 年度平成 20 年度 52 % 64 % 39 % 25 % 9% 12 % 関係者以外立入禁止掲示 平成 14 年度平成 20 年度 39 % 50 % 54 % 47 % 8% 3% 名称, 注意事項等掲示 平成 14 年度平成 20 年度 33 % 62 % 59 % 36 % 8% 3% 特化作業主任者職務掲示 平成 14 年度平成 20 年度 27 % 66 % 64 % 32 % 9% 3% 作業記録の作成 平成 14 年度平成 20 年度 27 % 56 % 65 % 40 % 8% 防毒マスクの常備 平成 14 年度平成 20 年度 26 % 62 % 64 % 33 % 9% 6% 容器表示確認と MSDS の保管 平成 14 年度平成 20 年度 22 % 27 % 66 % 62 % 12 % 12 % 実施未実施無記入

3.1.2 作業環境測定の評価結果 平成 20 年 (n=96) 9 3%3% 平成 14 年 (n=45) 6 16% 11% 9% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 第 Ⅰ 管理区分第 Ⅱ 管理区分第 Ⅲ 管理区分無記入

3.1.3 エチレンオキシドばく露防止措置に係る対策推進状況実態調査結果のまとめ 今回 平成 14 年に実施したアンケート調査結果と比較すると ガスボンベタイプの滅菌器からカートリッジタイプの滅菌器へ滅菌器を更新している傾向がある事が分かった エアレーション時間を延長していた (10 時間以上の割合が 57% から 86% へ増加 ) 特定化学物質等障害予防規則 に挙げられている実施項目の全ての項目で実施率が増加していた 作業環境測定実施率が 2 倍程度増加していた 作業環境測定実施率が 2 倍程度増加していた ( 評価結果も第 Ⅰ 管理区分が 6 から 9 へ増加 )

3.2 ホルムアルデヒドばく露防止措置に係る対策推進状況実態調査結果

3.2.1 ホルムアルデヒドに関する特化則の義務付けのある項目の実施率 (n=135) 局排の設置 11% 87% 2% 局排がある場合の自主検査 13% 87% 0% 全体換気装置の設置 68% 27% 5% 作業手順書に基づく作業 21% 75% 特化作業主任者の選任 特化作業主任者の掲示 の名称 注意事項の掲示 12% 15% 31% 8 81% 63% 6% 実施未実施無記入 関係者以外立ち入り禁止の表示 2 72% 作業記録の保存 16% 80% MSDS の保管 10% 8 5% 防毒マスクの常備 18% 79% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

3.2.2 ホルムアルデヒドばく露防止措置に係る対策推進状況実態調査結果のまとめ 全体の 7 の事業場が ホルムアルデヒドを 36~38% 38% 含有する市販の500mL 水溶液を希釈 調合して 組織の固定や保存に使用していた 特化則の改正に基いて具体的な措置を実施しているのは全体の3% 足らずであり 未だほとんどの事業場が対応できていない状況であった 6 月以内毎の健康診断については全体の4 で実施 労働衛生教育については 22% で実施と 共に低い実施率であった

4. ホルムアルデヒドにおける 聞き取り ( 実地 ) 調査 4.1.1 対象事業場 回答事業場数 683 件の内 ホルムアルデヒドを取り扱う作業があると回答した135 事業場のうち81 事業場について 聞き取り ( 実地調査 ) を行って労働衛生管理等の実態をまとめた 更に 個人ばく露濃度測定を希望した 46 事業場のうち44 事業場 53 箇所の作業場について ホルムアルデヒド取り扱い作業時の個人ばく露濃度測定を実施した

4.1.2 診療科目別ホルムアルデヒド使用状況 (n=81) 総合病院又は複数科目 62 眼科 1 産婦人科 耳鼻咽喉科 3 3 循環器科整形外科内科脳神経外科泌尿器科皮膚科歯科 1 2 2 1 1 3 2 0 10 20 30 40 50 60 70

4.2 個人ばく露濃度測定の調査結果 4.2.1 個人ばく露濃度測定とは 個人ばく露濃度測定とは 作業者個人の有害物質のばく露濃度を測定するもので 評価には日本産業衛生学会の許容濃度又は ACGIH の TLV 等を用います 許容濃度とは 1 日 8 時間 週 5 日間程度の作業時間で作業しても 有害物質にばく露される濃度がそれ以下であれば ほとんどの作業者から疾病は発生しないであろうという濃度です 個人ばく露サンプラー ( DNPHカートリッシ )

4.2.2 個人ばく露濃度測定結果一覧表 (n=53) 19 許容濃度 =0.1ppm No. ばく露濃度 (ppm) 作業内容 作業時間 ( 分 ) 取扱い量 (ml) 取扱いの種類 (%) マスクの有無 出入口の開閉 窓の開閉 局排の有無 全換等の有無 1 0.005 未満希釈 2 50 37 無し 閉 無し 無し 有 2 0.01 内視鏡分注 2 40 20 有 閉 無し 無し 無し 3 0.01 臓器水洗 60 500 20 活性炭 開 閉 有 有 4 0.01 小分け 1 200 20 無し 開 無し 無し 有 5 0.01 分注 3 10 37 無し 閉 閉 無し 有 6 0.01 小分け 1 100 20 有 開 無し 無し 有 7 0.01 希釈調合 5 20 37 無し 開 無し 無し 無し 8 0.02 小分け 4.5 24 37 無 閉 閉 無し 有 9 0.02 切り出し ラミナーテーフ ルあり 6 50 20 有 閉 閉 有 有 10 0.02 臓器保存室への立ち入り 15 0 30 無し 閉 無し 無し 有 11 0.02 希釈 調合 3 1000 37 無し 開 閉 無し 有 12 0.02 内視鏡室 小分け 1 3 10 無し 閉 閉 無し 有 13 0.02 小分け 2 2 10 無し 開 無し 無し 有 14 0.02 希釈 分注 1 20 20 無し 閉 閉 無し 有 15 0.03 切り出し 容器多数散在 10 100 15 無し開閉有有 室内循環型 16 0.03 容器開放 0.5 700 10 無し閉閉無し有 17 0.04 エフゲン滅菌器開放 0.5 固体 5 無し閉閉無し無し 18 0.04 小分け 15 200 20 無し開無し無し無し 0.04 臓器保存分注 4 1050 20 有開無し無し有 20 0.05 滅菌機へのホルマリン投入 15 50 37 無し 閉 開 無し 有 21 0.05 希釈 2 400 20 無し 閉 閉 無し 有 22 0.05 計量 調合 直ぐに退出 1 400 37 有 開 閉 無し 有 23 0.05 切り出し 容器開放 フード内 30 50 20 無し 閉 閉 有 有 24 0.06 希釈 小分け 10 75 37 無し 閉 閉 無し 有 25 0.08 エフゲン滅菌器開放 10 10 33 無し 閉 無し 無し 有 26 010 0.10 臓器の容器から取り出し 2 1000 10 無し 開 閉 有 有 27 0.11 滅菌器へ小分け 20 300 10 無し 半屋外 無し 無し 無し 28 0.13 希釈 6 1000 20 無し 閉 閉 無し 有 29 0.13 小分け 16 800 10 活性炭 開 無し 無し 有 30 0.13 希釈 5 100 37 無し 閉 閉 無し 有 31 0.13 容器開放 30 1000 20 無し 閉 閉 無し 有 32 0.14 容器開放 5 100 20 無し 閉 無し 無し 有 33 014 0.14 容器開放 10 1000 20 無し 閉 無し 無し 有 34 0.14 作業前 - - - - - - - - - 35 0.16 希釈調合 7 500 20 無し 閉 閉 無し 有 36 0.17 容器開放 5 100 20 無し 開 無し 無し 有 37 0.17 臓器の容器から取り出し 写真撮影 30 500 20 活性炭 閉 閉 有 有 38 0.20 水洗済臓器の切り出し 20 500 20 活性炭 開 閉 有 有 39 0.21 容器開放 5 1500 20 無し 閉 無し 無し 有 40 024 0.24 容器開放 写真撮影 4 1000 15 無し 閉 閉 無し 有停止 41 0.25 切り出し 40 1000 10 無し 閉 閉 有 有 42 0.25 希釈 3 50 10 無し 開 閉 無し 有 43 0.27 容器開放 液移し替え 3 150 20 有 閉 閉 無し 無し 44 0.32 切り出し 水洗 10 500 10 無し 閉 閉 有 有 45 0.33 小容器開放 カセットつめ 10 40 10 無し 閉 閉 無し 有 46 0.47 臓器水洗い 25 1000 10 無し 閉 閉 有 有 47 050 0.50 切り出し 容器開放. 臓器容器取り出し 30 500 10 無し 開 閉 有 有 48 0.52 容器から臓器の移し変え 10 500 20 活性炭 開 閉 有 有 49 0.57 臓器の容器から取り出し 切り出し 10 500 10 無し 閉 閉 無し 有 50 0.59 容器開放 臓器取り出し水洗 6 1000 10 無し 開 閉 無し 有 51 1.37 液槽交換 18 30000 20 活性炭 開 閉 有 有 52 1.37 液槽交換 17 1200 38 有 開 無し 無し 有 53 2.42 液槽交換 4 10000 10 有 開 無し 無し 有 室内換気の状態

4.2.3 作業別個人ばく露濃度の範囲 (n=53) 作業内容別のばく露濃度測定結果 (n=53) ( 単位 :ppm) 0.01 未満 1 0.01 ~ 0.1 未満 0.1 ~1.0 未満 1.0 ~ 3 5 19 臓器の切り出し 固定及びホルムアルテ ヒト 水溶液入り容器開放 (n=28) 0.01 未満 3 0.01 ~ 0.1 未満 0.1 ~ 1.0 未満 5 13 ホルムアルテ ヒト 水溶液の希釈 調合及び内視鏡用容器等への分注 (n=21) 1.0 ~ 0 001 0.01 未満 0 0.01 ~ 0.1 未満 3 滅菌作業 (n=4) 0.1 ~ 1.0 未満 1 1.0 ~ 0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 ( 許容濃度 :0.1ppm) ( 箇所 )

4.2.4 個人ばく露濃度測定結果のまとめ (1) ばく露濃度測定を行った作業箇所を 作業内容別に見ると 53 作業箇所中 臓器の切り出し及び固定 ホルムアルデヒド溶液入り容器の開放作業が28 箇所 希釈調合 内視鏡用等小分け作業が 21 箇所 滅菌作業が 4 箇所であった 作業時間は 10 分以下の短時間作業が 37 箇所と多く 全体の70% を占めていた 切り出し 容器の開放作業におけるばく露濃度測定結果では ホルムアルデヒド入り保存容器から固定された臓器標本を取り出し 切り出しを行う際にホルムアルデヒド蒸気の発散量が多くなるため その作業全体の79% に当たる22 箇所で許容濃度を超えていた 又 臓器保存用ホルムアルデヒド槽の液を交換する際に測定した値が最も高く 2. 42ppmであった

4.2.4 個人ばく露濃度測定結果のまとめ (2) 個人ばく露濃度測定を実施した 53 箇所中 28 箇所 (53%) で許容濃度を超えており 半分以上の作業場で改善が必要と考えられる 局排の設置率が25% と低いにもかかわらず 防毒マスク等の着用率が28% と低いため 保護具の着用等を含めた作業者教育の実施 作業管理及び作業環作業管理境管理の改善を早急に進めることが必要と言える

5. まとめ 今回 アンケート調査及び個人ばく露濃度測定等の実地調査を行うことによって ホルムアルデヒドを取扱う事業場の労働衛生管理の実態を概ね把握することができた 特に個人ばく露濃度測定を行うことにより 実際の医療現場における作業環境管理及び作業管理の問題点が明らかになっ作業管たことは これからの医療関係機関における労働衛生管理に対する認識のレベルアップを図る上で大変有効であったと考えられる 今回の調査時にエチレンオキシドについても6 年前と同様の調査を行った結果 特化則に義務付けられている項目全てにおいて 先に示す通り実施率も上がっており 医療関係機関おにおける職員に対する健康管理 作業管理 作業環境管理に対する意識も数段向上していると言える しかし 未だホルムアルデヒド取り扱いに関する管理は不十分であるため 今後とも事業場における有害化学物質等の管理方法等について 具体的な改善事例等を示しながら 労働衛生管理に対する意識の向上を図る活動を継続して進めて行く必要があると言える

5.1 エチレンオキシド及びホルムアルデヒドの特化則実施項目の比較表 エチレンオキシト 及びホルムアルテ ヒト の特化則実施項目の実施率 0% 20% 40% 60% 80% 100% 局排の設置 11 % 87 % 2% 局排の定期自主検査 52 % 39 % 9% 13 % 87 % 0 % 全体換気装置の設置 59 % 68 % 33 % 27 % 8% 5% 作業手順書に基づく作業 21 % 60 % 75 % 31 % 9% 特化作業主任者の選任 31 % 54 % 40 % 63 % 7% 6% 特化作業主任者職務の掲示 27 % 12 % 84 % 64 % 9% 名称 注意事項の掲示 33 % 15 % 81 % 59 % 8% 関係者以外立ち入り禁止の表示 39 % 24 % 72 % 54 % 8% 作業記録の保存 27 % 16 % 65 % 80 % 8% MSDS の保管 22 % 10 % 66 % 84 % 12% 5% 防毒マスクの常備 18 % 26 % 64 % 9% 79 % 凡例 : エチレンオキシド : ホルムアルデヒド 実施未実施無記入