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第 30 回高度医療評価会議 平成 24 年 3 月 14 日 資料 2-3 高度医療審査の照会事項 ( 山口構成員 ) に対する回答 (1) 高度医療技術名 : ディスポーザブル高周波切開鉗子を用いた内視鏡的粘膜下層剥離術 (Endoscopic Submucosal Dissection:ESD) 日付平成 24 年 3 月 1 日所属 国立がん研究センター東病院氏名土井俊彦 1. 胃あるいは食道における粘膜がんのディスポーザブル高周波切開鉗子を用いた内視鏡的粘膜下層切開剥離術 (Endoscopic Submucosal Dissection:ESD) の安全性試験 step1 実施レポート のディスポーザブル高周波切開鉗子の不具合の状況の表の 回転不良の欄に だんだんと回転操作がしにくくなる 回転飛びが発生する (2 例 ) 最初からあまり良くなかった(1 例 ) などと使用された 5 本のうち 3 本で不具合が報告されている また 製品番号 1001 では先端部が挿入時に (?) 破損 2 本目に交換などと記載されている これは本器の本来の性能なのか あるいは初期不良品なのか? この結果はどのように評価されたのか? 1. に対する回答ご意見ありがとうございます 以下に回答させて頂きます 回転飛び 回転操作がしづらかった点に関しては 術者より指摘がありましたが ESD 自体は問題なく完遂できております 本医療機器の鉗子シャフトは 外側の皮膜と中心軸となるコイルシースから構成されております このコイルシースをより回転トルクが伝わりやすい構成に改良することを予定しており 回転操作の問題については改善が可能と判断しております また 一方破損に関しては 機器の不具合ではなく適切な操作がされなかった事が原因であり 試験開始の段階から想定され注意喚起していたものでした 今後の試験では 被験機器概要書などで使用上の注意を喚起すると共に術者にも周知徹底を図る事によって同様の不具合が発生しない様に方策を立てる予定です

第 30 回高度医療評価会議 平成 24 年 3 月 14 日 資料 2-3 2. 高度医療申請様式第 3 号高度医療の実施計画の 3. 期待される適応症 効能及び効果で 穿孔や出血等の合併症の可能性を低減できる また 習熟していない医師でも ESD が実施できる可能性がある との記載がある この可能性の根拠はブタを用いた実験であるとしたら IT ナイフなどの他器具とどのような比較がなされたのかお示しいただきたい 2. に対する回答ご意見ありがとうございます 以下に回答させて頂きます まず 手技的な観点での比較ですが 広く使用されている IT ナイフ等従来の電気メス型機器では 切開または剥離は内視鏡操作によって行われ これは長い鉗子の先にメスをつけて遠隔から切開を加えているのに似ています それに加えて 筋層の方向に力が加わったり通電したりする操作が必要になるため 特に手技に習熟していない術者では 穿孔や出血のリスクは避けられません それに対して 本試験で評価する高周波切開鉗子は ハサミ型の鉗子であり 切開 剥離の時点での操作はハサミで挟み込んだ状態でのみ行われ内視鏡の操作に依存しません また 粘膜切開はもちろん 剥離操作の際にも 筋層の方向へ力が伝わることはなく 通電も少ないため穿孔のリスクは殆どないと思われます これは 非常に単純化して比喩すると 幼児が紙を切るときに カッターナイフとハサミでどちらが紙の下の台を傷つけずに切ることが出来るかというのに似ています 次に 構造的 技術的な面での比較ですが 切開 剥離を行う際 IT ナイフは電極に通電しながら機器を動かして切開 剥離が必要な構造であり 接触部分での抵抗 ( インピーダンス ) は目的臓器の抵抗のみではなく内視鏡の操作にも依存しますが 本機器では組織を把持しその場でほとんど動かさずに通電し切開 剥離を行うためにその抵抗は目的臓器のみに依存することになり電気学的にも安定していると考えられます また 通電する際にも IT ナイフは電極先端部の絶縁チップ以外は電極があらわになっている状態で通電しますが 本機器では組織を把持した状態では電極がセラミクスに囲まれており 把持した組織にだけ通電できるという違いがあります これによって穿孔などの SAE の発生可能性を低減することが可能となると考えております そして 実際に被験者に対して使用しての比較ですが 本機器を用いた step 1 での 4 例の実際の ESD では 穿孔や処置を要する出血はなかっただけでなく 手技の全経過中に合併症が懸念される場面すらありませんでした これは従来機器では再現しがたい安全性であり 初心者でも安全に治療が行える可能性が高いと考えられました ご指摘のブタの実験では 習熟してない医師によるランダム化比較試験を行

第 30 回高度医療評価会議 平成 24 年 3 月 14 日 資料 2-3 って安全性を比較するといったところまでは行っておりませんが 上記の手技的 技術 構造的 実際の被験者を対象とした臨床試験の結果に対する考察より 穿孔や出血等の合併症の可能性を低減できる また 習熟していない医師でも ESD が実施できる可能性がある 医療機器開発が可能であると考え それを本試験を通じて確認していきたいと考えております 3. エンドポイントは SAE であり 11.9% の発生率が一般的としているが 引用論文は 2006 年のものである 評価者の調べた範囲では 最近の SAE 発生率は 11.9% より低い報告が多い 研究者らも認めている通り SAE の発生率は 施設 術者 病巣の状態 年代によって大きく異なっているのが実情である 本試験に参加する比較的経験豊富な医師が 従来の器具を用いて行ったとき 11.9% に近い SAE 発生率が現在も予想されるのか その根拠を示されたい 3. に対する回答ご指摘ありがとうございます ご指摘頂きましたように 比較的経験豊富な医師が従来の器具を用いて ESD を実施すれば 11.9% より低くなる可能性があると考えております ただ 本試験で使用するヒストリカルコントロールの SAE 割合の根拠を 11.9% としており その理由を以下に述べさせて頂きます 本医療機器のコンセプトは ESD に習熟していない医師が本医療機器を使用しても習熟した医師が使用した場合と同等の安全性が担保できる そしてそれは一般の内視鏡医が行う IT ナイフなどを用いた ESD と比較しても安全性が優れているというものです そのため本試験では ヒストリカルコントロールのデータを 現在のエキスパートのデータでは無く 現在の一般病院での内視鏡医のデータに近いと思われる ESD が広く普及し始めた頃に国立がんセンターで実施された習熟した医師 習熟していない医師の両方のデータを含んだ Gotoda らの論文からの引用を用いて それと ( 本試験の術者も本機器には習熟していないため 実際に市販されたときの習熟していない医師が本機器を使用した場合と大きくは乖離しないと思われる ) 本試験での SAE 発生割合を比較するデザインとしています

第 30 回高度医療評価会議 平成 24 年 3 月 14 日 資料 2-3 4. すでに住友ベークライトから SB ナイフ が 富士フイルムから ディスポーザブル高周波はさみ鉗子 DP2618DT が発売 使用されているが 性能的には類似したものと考えられる これらの機器との比較はされているのか? 4. に対する回答ご指摘ありがとうございます 以下に回答させて頂きます ご指摘頂きましたように 本医療機器と SB ナイフ ディスポーザブル高周波はさみ鉗子 DP2618DT は 把持して切開 剥離を行うという機能面で類似していますが 性能面では大きく異なると考えています 切開 剥離の性能に直接関わる電極の絶縁構造において 本機器ではセラミクスを使用しているのに対し ご指摘の 2 つの機器はいずれもフッ素樹脂コーティングを使用しています フッ素樹脂は 電気抵抗率 ( 体積抵抗率 ) の観点では十分に大きいが 耐熱性 耐摩耗性の観点においてセラミクスに対して劣ると考えられており 切開 剥離を繰り返す ESD において安定した切開 剥離性能が発揮できる点において セラミクスが優れていると考えています 実際に 4 名で実施した Step 1 の臨床試験においても 術者の感触ではありますが SB ナイフなどに比べて大幅に切開が容易であると評価されました

第 30 回高度医療評価会議 平成 24 年 3 月 14 日 資料 2-3 高度医療審査の照会事項 ( 山口構成員 ) に対する回答 (2) 高度医療技術名 : ディスポーザブル高周波切開鉗子を用いた内視鏡的粘膜下層剥離術 (Endoscopic Submucosal Dissection:ESD) 日付 2012 年 3 月 2 日所属国立がん研究センター東病院 氏名土井俊彦 1. このコイルシースをより回転トルクが伝わりやすい構成に改良することを予定しており と記載されていますが この研究に使用される製品は改良されたものを使用するのでしょうか? ( 指摘事項 (1) の1に対する更問 ) 1. に対する回答ご質問ありがとうございます Step 2 段階では改良された医療機器を用いる予定です 2. 本試験の術者も本機器には習熟していないため 実際に市販されたときの習熟していない医師が本機器を使用した場合と大きくは乖離しないと思われる との回答ですが 本研究に参加している高度の技術を持った医師の行った結果と 現在の一般病院での内視鏡医のデータに近いと思われる ESD が広く普及し始めた頃に国立がんセンターで実施された習熟した医師 習熟していない医師の両方のデータを含んだ Gotoda らの論文 の結果を比較することはフェアーな比較とは言えないと思います 少なくとも今回参加される施設での最近の SAE の発生率を早急に取りまとめて ( 通常このような高度の施設では毎年 SAE の発生率は検証しておられることと思いますので可能だと思いますが ) 確かに発生率が 11.9% に近いものであることをお示しください ( 指摘事項 (1) の3に対する更問 ) 2. に対する回答ご質問ありがとうございます ご指摘頂きましたように IT ナイフ等に習熟した施設 ( エキスパート施設 ) では IT ナイフ等による ESD の SAE 発生割合は Gotoda らの 11.9% よりは低く抑えられており 比較的安全に実施されていると考えられます しかし 本医療機器は開発コンセプトとして SAE 発生割合がエキスパート施設では IT ナイフ等従来の ESD 本医療機器での ESD となるかもしれないが エキスパートではない施設では IT ナイフ等従来の ESD 本医療機器での ESD となることを目的としています そのため 後者の SAE 発生割合がエキスパートではない施設

第 30 回高度医療評価会議 平成 24 年 3 月 14 日 資料 2-3 では IT ナイフ等従来の ESD 本医療機器での ESD というコンセプトを検証するためには 比較対照となるヒストリカルコントロールは エキスパートではない施設の IT ナイフ等従来の ESD の SAE 発生割合のデータ すなわち Gotoda らの論文での 11.9% として これを統計学的に否定できる ( 期待する SAE 割合は穿孔 0.5% 出血 4% の 4.5% と設定 ) ことを確認するデザインとしています 次に 上記の前提となっている エキスパートではない施設の IT ナイフ等での SAE 割合は 11.9% が妥当か? 本試験の SAE 割合を エキスパートではない施設の本医療機器での SAE 割合と見なすのが妥当か? について順に述べます ESD が普及する前の Gotoda らの頃とは違い 各種学会などの指導により ESD については熟練した内視鏡医に限定された術式という定義もあり 発表されるデータのほとんどは 100 例近い ESD 経験を積んだ医師のデータとなっており エキスパートではない医師のデータは学会等で発表されることが少ない ( パブリケーションバイアス ) と考えられます ESD 件数は年間 10-20 症例程度の施設が多く ラーニングカーブなどを考慮してそれらの施設の成績は Gotoda らの報告に近いと考えています 実際に 静岡がんセンターでの ESD の初期段階でのデータでは SAE 発生割合は 15%( 穿孔割合は 2005 年の 4.9% 出血は 2007 年の 10.1%: ただしこれは本試験より難易度が高い症例が含まれており 実際はもう少し低いと考えられます ) 国立がん研究センター東病院での 2008 年の穿孔割合 4.1%( やはり本試験より難易度の高い症例を含む ) と Gotoda らの論文と同等の結果でした また ご指摘の両院の直近のエキスパートによるデータについては 大変申し訳ありませんが両院ともにすぐに提示させて頂けるデータはございませんでした 次に IT ナイフ等に習熟した医師による本試験の結果が エキスパートではない施設の本医療機器での ESD の SAE 発生割合と同等と見なせるか? という点についてです ご指摘頂きましたように 今回の試験を検討する段階でも エキスパートではない医師 ( レジデントなど ) を術者として試験を実施すべきではないかという議論はありました ただ 本医療機器は未承認の医療機器であり上記のコンセプトも臨床試験として確認されていない段階でエキスパート以外が本医療機器を使用した ESD を被験者対象に実施するのは安全性の確保 倫理的な面から難しいと考え本試験では術者をエキスパートに限定しました また 前回の質問事項 2. に対する回答にも記載させて頂いておりますように IT ナイフ等の操作に伴う習熟した操作 ( 先端に電気メスをつけた内視鏡を遠隔操作して筋層を傷つけないようにしながら切開する ) は本医療機器での ESD には不要となっているため ある程度の内視鏡診断 治療の経験がある医師が本医療機器を使って行う ESD と今回の術者が本医療機器に習熟してない段階で行う ESD とで SAE 発生割合はそれほど大きく乖離はしないのではないかと考えていま

第 30 回高度医療評価会議 平成 24 年 3 月 14 日 資料 2-3 す 3.SB ナイフなど他社の製品に対する優越性を述べておられますが つまるところ耐久性がセラミックの方が良いということだと理解しました 本器具はディスポ製品なので過大な耐久性は要求されないと考えますが 耐久性についての具体的なデータがあればお示しください また ステップ1の臨床試験で評価項目に SB ナイフなどに比較して大幅な切開が容易であるという術者の感触 が含まれていたのでしょうか? 評価項目が設定されていたとしたら その結果をお示しください ( 指摘事項 (1) の4に対する更問 ) 3. に対する回答ご質問ありがとうございます ESD における機器の耐久性については ディスポーザブルとはいえ 術者の技術および治療対象に大きく依存されます 実際 数分から数時間と時間的な差もありますし 機器に対しての通電時間も大きく差があることから 耐久性については ディスポーザブルとはいえ高いほど良いと考えております SB ナイフについては 基本的には ESD において IT ナイフなどの切開デバイスの補助デバイスとしての位置づけで考えて開発されていますが 本デバイスについては 単体で ESD を行えることを前提で設計 企画されております その点でも 研究者としては IT ナイフと同等およびそれ以上の性能を期待して研究評価を主なっております セラミクスの耐久性に関しまして 本機器 ( セラミクス ) と SB ナイフなどの他社機器 ( フッ素樹脂 ) で比較したデータはございませんが 素材の一般的な物性データをお示しいたします 物性 単位 セラミクス フッ素樹脂 ジルコニアアルミナ PTFE PFA FEP 引張弾性率 GPa 200 以上 200 以上 0.40-0.60 0.31-0.35 0.32-0.36 圧縮強度 Mpa 5000 以上 2000 以上 10-15 15-20 14-19 最高使用温度 1000 以上 1000 以上 260 260 200 セラミクス使用により期待される具体的な効果について 機器概要書からの抜粋を参考までに以下にお示しします ---------------------------------------------------------------------- 本品はジルコニア アルミナなどのセラミクス部品を先端部に用い 切開電極以外の部分はセラミクスにより電気的に絶縁されている 一般的に セラミクスの特性は 以下の通りである

第 30 回高度医療評価会議 平成 24 年 3 月 14 日 資料 2-3 高い電気抵抗率( 体積抵抗率 :10 12 [Ω cm] 以上 ) を有している 高い耐摩耗性(10[GPa] 以上 ) を有している ( 参考 : ステンレス (SUS304) で 5[GPa]) 非常に高い温度耐性(1000 以上 ) を有している 高い化学的安定性を有している上記の特性から 樹脂製コーティングなど他の絶縁方法を用いた医療機器に比べ 以下の特徴を持たせることができる 簡単に傷が付かず 絶縁破壊しにくい 1000 以上の高温に耐え 消化液の影響も受けづらいため ESD 使用中に容易に劣化しない このため セラミクスを先端部に使用することで 手技開始から終了まで 絶縁性能が低下しない 高い絶縁性能により切開電極以外の部分からの高周波漏れ電流を低減できるため 必要最低限の電流を切開電極に集中させることができる これにより 少ない高周波電力で切開できる 粘膜 粘膜下層だけを切開 剥離することが可能となり 予期せぬ消化管穿孔や出血 生体組織への熱侵襲による後穿孔 後出血が低減できると期待される -------------------------------------------------------------------- また Step 1 の CRF などでの評価項目には術者の感触は含まれておらず あくまで術者の主観に基づくものです ご指摘のように 切りやすいかどうか? を臨床試験の客観的なエンドポイントとして収集するのは困難だとは考えておりますが このような種類の医療機器では必ずしもすべての性能を客観的データで示すことが難しい場合もありますので 参考として提示させて頂いた次第です 最終的な有用性の判断については 本試験終了後 病変や施工時間なども考慮して総合的な判断が必要となると考えております