Microsoft Word - 事前評価表最終版0623final.doc

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事業事前評価表 1. 案件名国名 : ラオス人民民主共和国案件名 : ルアンパバーン世界遺産の持続可能な管理保全能力向上プロジェクト Project for Capacity Enhancement for Sustainable World Heritage Management and Pres

ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

事業事前評価表 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名農業保険実施能力向上プロジェクト英名 The Project of Capacity Development for the Implementation of Agr

事業事前評価表

事業事前評価表

事業事前評価表

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

護ディプロマ課程を 3 年制看護ディプロマ課程に変更したのに加え ディプロマ課程看護師の現任研修により学士が取得できる 2 年制ポスト ベーシック課程とは別に大学教育として看護学士課程制度 (4 年制 ) を導入することを定めた 学術的に高度な 4 年制看護学士課程の卒業生は輩出されたばかりであるが

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部運輸交通 情報通信グループ 1. 案件名国名 : バングラデシュ国案件名 : 和名橋梁維持管理プロジェクト 有償勘定技術支援 英名 Bridge Management Capacity Development Project 2. 事業の背景と必要性


2008年6月XX日

事業事前評価表

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事業事前評価表 国際協力機構地球環境部環境管理第一チーム 1. 案件名 国名 : パキスタン国案件名 : 和名パンジャブ州上下水道管理能力強化プロジェクト英名 Project for Improving the Capacity of WASAs in Punjab Province 2. 事業の背

は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

事業事前評価表

事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部資源 エネルギーグループ第二チーム 1. 案件名国名 : ザンビア共和国案件名 : 和名ザンビアにおける鉛汚染のメカニズムの解明と健康 経済リスク評価手法および予防 修復技術の開発英名 The Project for Visualization of

事業事前評価表

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政府説明資料

政府説明資料

無償資金協力 案件概要書 2017 年 8 月 29 日 1. 基本情報 (1) 国名 : カンボジア王国 (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 : シハヌークビル特別市 プノンペン (3) 案件名 : 港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画 (The Project for Port

Microsoft Word - 事前評価

事業事前評価表 1. 案件名 ( 国名 ) 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 貧困削減戦略支援無償 ( 教育 ) (Poverty reduction efforts) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における初等教育セクターの現状と課題バン

事業事前評価表

欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

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政府説明資料

事業事前評価表

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評価調査結果要約表 1. 案件概要 国名 : メキシコ合衆国案件名 : メキシコ国電子分野における研究 教育手法の開発分野 : 中小企業振興援助形態 : 技術プロジェクト所轄部署 : 中南米部中米 カリブチーム協力金額 ( 評価時点 ):20,375 千円協力期間 (R/D):2003 年 11 月

援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

研究は重要項目とされている 本事業は CERMEL と長崎大学の共同研究を通じて 1 対象地域におけるウイルス感染症の流行状況の解明 2 新規に同定されたウイルスの性状解析 3 公衆衛生対策上優先度の高いウイルスに対する診断法の開発を行い ガボン側研究機関のウイルス感染症研究開発の能力向上に貢献する

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) JST 中間評価 1 の実施要領 平成 29 年 6 月改定 JST 国際部 SATREPS グループ 1. 地球規模課題国際科学技術協力 (SATREPS) プロジェクトの中間評価について SATREPS は JST による研究支援お

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ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド

事業事前評価表

0528事業事前評価表(円借款+附帯技プロ)final.doc

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド (PMBOK ガイド ) 第 6 版 訂正表 - 第 3 刷り 注 : 次の正誤表は PMBOK ガイド第 6 版 の第 1 刷りと第 2 刷りに関するものです 本 ( または PDF) の印刷部数を確認するには 著作権ページ ( 通知ページおよび目次の前 )

(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

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政府説明資料

令 (2006 年 5 号 ) では 2025 年までの国家エネルギー政策の数値目標を設定し エネルギー供給量に対する新 再生可能エネルギーの目標値を 17%( うち地熱エネルギーは 5 %) に定めた また 2010 年の Vision 25/25 において 新 再生可能エネルギーの目標値を 25

事業事前評価表

評価項目 評価ポイント 所管部局コメント 評価 国際交流に関する情報の収集及び提供事業国際交流活動への住民の参加促進事業国際理解推進事業在住外国人に対する相談事業在住外国人に対する支援事業 安定 確実な施設運営管理 公正公平な施設使用許可や地域に出向いた活動に取り組むなど新たな利用者の増加に努め 利

事業事前評価表

( 参考様式 1) ( 新 ) 事業計画書 1 事業名 : 2 補助事業者名 : 3 事業実施主体名 : Ⅰ 事業計画 1 事業計画期間 : 年 月 ~ 年 月 記載要領 事業計画期間とは 補助事業の開始から事業計画で掲げる目標を達成するまでに要する期間とし その期限は事業実施年 度の翌年度から 3

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5 この施策に係る事務事業 ( 重要度 貢献度順 ) 番号 事務事業名 魅力個店づくり整備促進事業 歳出決算額 ( 千円 ) 施策への関連性 目的に対する指標 年度目標値 年度実績値 推移 区内の既存個店や出店希望 22 者が行う 魅力的な店舗づ 809 くりを支援することで 魅 力個店の集積を図る

受付番号 Panasonic NPO/NGO サポートファンド for SDGs [ 国内助成 ] 2019 年募集 新規助成応募企画書 ( 様式 1) パナソニック株式会社御中 応募要項に記載の 個人情報の取り扱い に同意の上 応募します 応募日 :2019 年月日 (1) 応募団体

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架鉄道三路線 ( うち 二路線は軽量 ) の総延長は 50km にとどまっている 首都圏南方については マニラ市ツツバンからカブヤオ市ママティッドまでの区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみである 首都圏北方は 居住エリアが拡大しているものの 十分な公共交通手段が確保されていないた

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新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

事業事前評価表

ムを保有する 成果 5:SERNAGEOMIN は閉山に必要な技術的な対策能力を確保する 成果 6:SERNAGEOMIN の鉱害に関する監督 検査のための技術が強化される 成果 7:SERNAGEOMIN は鉱害防止対策の策定能力を保有する 成果 8:SERNAGEOMIN の環境影響評価能力が強

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市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

平成18年度標準調査票

を余儀なくされている発表されている このような状況下 当国 NGO カサ アリアンサは 1988 年の設立以来 メキシコ市において路上生活を営む子供の保護 心身のケア 家族との再会支援 社会的自立に向けた教育支援に取り組んできた JICA は 2000 年 12 月から 3 年間 カサ アリアンサを

年次報告書090903_入稿

事業事前評価表

により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

( ( 政策評価 経済 財政再生アクション プログラムとの関係 政策評価 アクシ経ョ済ン 財プ政ロ再グ生ラム 政策 施策 改革項目 第 K 一 P 階 I 層 ) 測定指標 第 K 二 P 階 I 層 ) 分野 : 定量的指標 定性的指標 KPI ( 第一階層 ) KPI ( 第二階層 ) 項目 中

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

大規模災害等に備えたバックアップや通信回線の考慮 庁舎内への保存等の構成について示すこと 1.5. 事業継続 事業者もしくは構成企業 製品製造元等の破綻等により サービスの継続が困難となった場合において それぞれのパターン毎に 具体的な対策を示すこと 事業者の破綻時には第三者へサービスの提供を引き継

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事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 農村開発部農業 農村開発部第二グループ 1. 案件名国名 : スーダン共和国案件名 : 和名ストライガ防除による食料安全保障と貧困克服英名 The project for development of counter mea

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

事務連絡 平成 26 年 4 月 23 日 各実施機関実施責任者殿 各実施機関事務連絡担当者殿 文部科学省科学技術 学術政策局 人材政策課 科学技術人材育成費補助金により雇用する研究者等に係る人件費の取扱いについて 旧科学技術振興調整費 ( 以下 旧調整費 という ) の課題を実施する研究者等の人件

国 アメリカ ロシアに次いで世界第 4 位の電力消費国となっている (2014 年 ) 国内の電力供給に関しては 1,114,408GWh の需要に対して供給量は 1,090,851GWh と 2.1% の不足 供給能力もピーク時 153,366MW の需要に対して 148,463MW と 3.2%

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新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

4-3 地域再生計画の目標本事業により 視察ルートの開発 提供や視察案内等を通じて 新しいひとの流れづくり ( 交流人口の拡大 ) と併せ 地域のしごとづくり ( 雇用の創出 ) を実現する なお 本事業の実施にあたっては 本市 石巻市の連携の下 観光施設や交通事業者に加えて 宿泊施設や飲食業等のサ

と衝突して沈没し 147 人が死亡 2014 年 8 月にはパドマ川で約 250 人を乗せたフェリーが荒天のため転覆し 110 人が死亡等の大事故が発生している また 同国は 雨季には大型サイクロンが度々ベンガル湾から来襲し 沿岸部で遭難事故が多発するなど 地理的に自然災害の影響を受けやすい地域であ

名称未設定-1

プロジェクト ( 年 ) 独 (KfW): 西ナイル地区に特化した配電網の拡充 小水力の開発 ( 年 ) 3. 事業概要 (1) 事業の目的ウガンダにおける産業活性化が期待できる地方において 長距離配電線 (33kV 配電線 ) の資機材の調達 据付を行うことによ

平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

Rodrigo Domingues UNDP Borja Santos Porras/UNDP Ecuador UNDP Kazakhstan 2

Colloquium 第109 回 運輸政策コロキウム テーマ1 地方におけるインバウンド観光の実態とその効果 テーマ2 観光立国の推進について 平成 24 年 2 月 16 日 運輸政策研究機構 大会議室 講演の概要 テーマ1 1. 講師 栗原 剛 運輸政策研究機構運輸政策研究所研究員 2. 講師

評価調査結果要約表

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貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 国際協力機構地球環境部防災第一チーム 1. 案件名国名 : フィリピン共和国案件名 : 和名 フィリピンにおける極端気象の監視 情報提供システムの開発 英名 The Project for Development of Ex

るための HIV 予防という マダガスカルの開発ニーズに合致していた 事前評価時における日本の援助方針との整合性 2006 年の日本とマダガスカルの経済協力政策対話に基づく 健康状態の改善を含む 農業 漁業 農村開発に向けたインフラの維持と人材開発を重点とする 日本の援助方針に合致していた 評価判断

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

2014 年度事業計画書 2014 年 3 月 25 日 一般社団法人日本テレワーク協会 1

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5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 棋士のまち加古川 をより幅広く発信するため 市内外の多くの人が 将棋文化にふれる機会や将棋を通じた交流を図ることができる拠点施設を整備するとともに 日本将棋連盟の公式棋戦 加古川青流戦 の開催や将棋を活かした本市独自のソフト事業を展開する 5-2

番号 : 国名 : ヨルダン担当部署 : 社会基盤 平和構築部都市 地域開発グループ第二チーム案件名 : ペトラ地域総合開発プロジェクト詳細計画策定調査 ( 地域開発 / 観光開発 ) 1. 担当業務 格付等 (1) 担当業務 : 地域開発 / 観光開発 (2) 格付 :3 号 (3)

と考えられ 特に外国人観光客の増加が大きく寄与している 今後 沖縄の観光が持続的に成長していくためには 観光消費の拡大と外国人観光客の更なる市場拡大が必須であるが 国内外から多くの観光客を迎えるためには 観光関連産業従事者のホスピタリティマインドの底上げと外国語の対応能力の向上を行うと同時に 個別事

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技プロ用事業事前評価表 国際協力機構経済基盤開発部都市 地域開発第一課 1. 案件名国名 : エジプト国案件名 : 大エジプト博物館保存修復センタープロジェクト ( フェーズ II) The Project for the Conservation Centre in the Grand Egyptian Museum (Operation and Management) (Phase II) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における観光セクター / 文化遺産保護の現状と課題エジプトにおける観光セクターは 外貨獲得を通じた経済効果 雇用創出への波及効果が高く GDPの4.3% 1 雇用の12.6% 2 を占めている 2009 年度 3 の観光客数は 1,254 万人 観光収入は約 116 億ドルである 観光客数は 2005 年にエジプト最大のリゾート地であるシャルム エル シェイクでの同時多発テロをはじめ 観光客が死傷するテロが観光地等で発生したものの 2008 年度まではおおむね緩やかに増加した 2008 年秋からの世界経済危機の影響により 2009 年度の観光客数は前年度に比べ30 万人ほど減少したものの 2010 年度第一四半期の観光客数は再び増加 (29% 増 ) に転じ 2010 年度の観光収益は17% 増を見込んでいた ところが 2011 年 1 月 25 日のデモに端を発した政変の影響により 第三四半期の観光客数は前年比 45.3% の大幅減 (3 月の観光客数は60% 減 ) となり 観光省は 2011 年の観光収益が前年度比 (125 億ドル ) で約 25% 減の見込みであると発表した 観光セクターは 治安や内外政不安が観光客の動静にも大きな影響を与えるが 今回エジプトにおいては 観光のハイ シーズンを直撃した形となり 観光客数の激減が観光業に直接 間接的に従事している人々に深刻な影響を与え 多数の失業者や大幅な収入減を発生させていることから 治安の確保 イメージの回復を積極的に行い 観光客を呼び戻すことが急務となっている 他方 近年の急激な観光開発は 十分な対策がとられないままに 主要な観光地に観光客が集中する状況を生み出しているため 周辺自然環境に大きな負荷を与えるだけでなく 文化遺産の適切な修復 保存にとっても脅威となっていることから 安定した観光産業の発展のためには 周辺環境保護及び文化遺産保全への対応も併 1 2009/2010 The Central Agency for Public Mobilization &Statistics, Egypt 2 Tourism Sector Developments in Egypt 2008, Business Studies and Analysis Center 3 エジプトの会計年度は 7 月 1 日から翌年の 6 月 30 日まで 1

せて急務となっている とりわけ膨大な文化遺産に関しては 十分な保存修復と管理を実施するための人材が 現状では質 量ともに不足している 文化遺産の保存修復と管理において 中心的な役割を担う考古省 ( 旧考古庁 4 ) の職員に対し 国内外の様々な機関による考古学 保存修復分野の人材育成プログラムが実施されているものの 継続的に質の高い専門家を育成可能とする教育機会は依然不足しており 特に文化遺産保存に関わる科学技術レベルの向上や 修復理論の理解と実践を目的とした人材育成プログラムは少ないのが現状である また エジプトでは 研究を目的とした文化財サンプルの国外持ち出しが禁止されており 加えて上述のとおり国内の専門家が不足している状況が 文化遺産の保存修復が進まないことの一因となっている 具体的には 考古学 保存修復のみならず 文化財科学や保存科学といった 文化財に関連する科学分野の専門家養成が急務となっている さらに 博物館の管理に関しては 全体的な展示 保存計画 博物館管理組織が不透明である場合が多く 円滑かつ継続的な運営のためには 更なる改善が必要となっている 本事業は 2006 年 5 月 15 日にL/Aが調印された円借款事業 大エジプト博物館建設事業 に附帯するものである 大エジプト博物館の建設は円借款により進められているが エジプト政府は自国予算により同博物館に展示 収蔵予定である 遺物の保存修復を行う付属施設 保存修復センター の整備を進めた 大エジプト博物館ならびに保存修復センターが新規に設置される組織であったことから 本事業では フェーズI ( 準備フェーズ ) とフェーズII( 本格協力フェーズ ) との二つにフェーズ分けを行うこととした フェーズIでは エジプト側実施体制が整うまでの間 その実施体制整備を側面支援しつつ 展示される文化財のデータベース作成や 早急に技術移転が望まれる分野のトレーニングを先行して行い フェーズIIの協力内容を検討していくものとし フェーズIのR/Dを2008 年 4 月 4 日に締結した 保存修復センターは2010 年 6 月に正式オープンし 実施体制が整った また フェーズIIで実施していく人材育成計画の内容も概ね整理されたことから これを以ってフェーズIIへと移行するものである なお 文化財データベース作成は 新たに設置される大エジプト博物館情報センターへとその業務が引き継がれる予定となっており 引き続きフェーズIIにおいて技術支援を行っていく 現在の保存修復センターにおいて 個別の技術水準は一定のレベルにあり スタッフも能力の高い人材が配置されている しかしながら組織全体としてみた場合にはマネジメント上の課題が散見され 世界的な標準から見ると更なる改善を要する事項も多い 4 2011 年 2 月に文化省から分離し省に格上げされた 2

(2) 当該国における観光セクター / 文化遺産保護の開発政策と本事業の位置づけ観光省は 第 6 次社会経済開発 5 ヵ年計画のセクター目標として 2011 年度までの観光客数を 1,400 万人 観光からの収入を 120 億ドル 新規雇用創出を 120 万人とする旨掲げており 積極的な観光開発 マーケティング インフラ整備を行っている エジプトの観光資源である歴史的遺産を保護 整備することは観光産業振興にとってきわめて重要であり 考古省は 上記観光政策と並行して 遺跡の発掘 保存修復 遺跡管理 博物館整備を重要な政策として位置づけ 数々の事業を行って来ている 本事業では 大エジプト博物館保存修復センターの人材育成及び組織体制確立を目的としており 上述のエジプトの政策にも合致する (3) 観光セクター / 文化遺産保護に対する我が国及び JICA の援助方針と実績我が国の対エジプト援助重点分野の一つに 持続的成長と雇用創出の実現 が掲げられている 本事業は そのうちの開発課題 輸出振興 産業育成 の 観光開発支援 プログラムに位置付けられる円借款事業 大エジプト博物館建設事業 を軸として 我が国の知見と技術を活用しつつ ハード ソフトの両面から エジプト側の取り組みを積極的に支援していく方針である なお 類似分野への協力実績としては 2004 年度に文化遺産無償資金協力 王家の谷周辺地区整備計画 が実施され ビジターセンターの建設と関連機材の整備がなされている (4) 他の援助機関の対応エジプトの遺跡 遺物の保存 修復や 人材育成及び資金協力については 多数のドナー ファンドが協力を行って来ている (UNESCO UNDP アラブ開発基金 USAID フランス イタリア EU アガハーン財団 シカゴ大学 ゲッティ保存修復研究所など) 本事業は日本の支援のみを受け入れる形で実施されており 事業内容に他の援助機関との重複はない 3. 事業概要 (1) 事業目的 ( 協力プログラムにおける位置づけを含む ) 本事業は 大エジプト博物館保存修復センター The Conservation Centre in the Grand Egyptian Museum (GEM-CC) において その組織運営方針の確立 スタッフの知識 技術向上 収蔵品データベース構築体制整備支援を行うことにより 総合的な保存修復 研究機関としての機能具備を図り もって GEM-CC の国際的な保存修復 研究拠点としての基盤整備に寄与するものである (2) プロジェクトサイト / 対象地域名エジプト国ギザ県 3

(3) 本事業の受益者 ( ターゲットグループ ) GEM-CC スタッフ 142 名 情報センター The Grand Egyptian Museum Information Center(GEM-IC) スタッフ ( 新組織 5 ) (4) 事業スケジュール ( 協力期間 ) 2011 年 7 月 -2016 年 3 月を予定 ( 計 57 ヶ月 ) (5) 総事業費 ( 日本側 ) 約 10 億円 ( フェーズ I における投入約 3.3 億円 フェーズ II における投入約 6.7 億円 ) (6) 相手国側実施機関考古省大エジプト博物館 (7) 投入 ( インプット ) 1) 日本側 専門家派遣 チーフアドバイザー( コーディネーション ) IT( データベース ) 業務調整 / 研修 テクニカル チーフ アドバイザー ( 保存修復 ) 保存修復研修計画 その他研修プログラム実施のための短期専門家 機材 研修に必要な機材 現地活動費用 研修プログラム実施費用等 日本及び第三国での研修( 視察を含む ) 日本国内における支援委員会の設置 国内支援業務および国内支援体制の整備 2) エジプト国側 カウンターパートの配置 GEM-CC のセンター長 GEM-CC の各部門長 管理部門を含めた GEM-CC のスタッフ GEM-IC のスタッフ 研修コーディネーター プロジェクト運営管理費用 オフィススペース 電気 水道 電話 インターネット環境 機材 保存修復業務 収蔵 IC の業務に必要な機材 消耗品 (8) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境に対する影響 / 用地取得 住民移転 1カテゴリ分類 (A,B,C を記載 ):C 2カテゴリ分類の根拠本事業は 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月 ) 上 環境への望ましくない影響が最小限であると判断されるため 2) ジェンダー 平等推進 / 平和構築 貧困削減 : 特になし 3) その他 : 特になし (9) 関連する援助活動 5 2011 年 1 月に行ったエジプト側との協議において エジプト側は 2012 年 3 月末までに GEM-IC を組織化し スタッフを配置するということで 両者合意している 4

1) 我が国の援助活動 : 本事業は円借款事業により建設される大エジプト博物館に展示 収蔵予定の遺物の保存修復 データベース整備支援を行うものであり 同事業における展示 移送計画とは密な情報交換が必要である 2) 他ドナー等の援助活動 : 特になし 4. 協力の枠組み (1) 協力概要 1) 上位目標 : 大エジプト博物館保存修復センター (GEM-CC) が エジプトにおける文化財保存修復の中心的な機関として 国際的な保存修復 研究拠点としての基盤が整備される 指標 1: エジプト国内外の他の保存修復関係者による視察や保存修復にかかる手法 技術の照会状況指標 2:GEM-CC 内で開催する国際的な研究会 セミナー等開催状況指標 3: 国際シンポジウム等での GEM-CC スタッフの活動発表状況 2) プロジェクト目標 :GEM-CC が自立的に運営され 国際的に認められる水準の 総合的な保存修復 研究機関として機能するようになる 指標 1: 組織運営方針の GEM-CC スタッフへの浸透状況指標 2:GEM-CC における収蔵品の 国際的に認められる水準での保存管理 保存修復 保存科学の知識 技術の導入状況 3) 成果及び活動成果 1:GEM-CC の組織運営方針が確立される 指標 1-1 明文化された組織定款 業務フロー マネジメント方針 業務評価システム 予算執行状況 業務安全 衛生管理体制活動 1-1 組織運営についてのアドバイスを行う 活動 1-2 日本や世界の類似組織における経験を紹介する 成果 2:GEM-CC スタッフの保存修復に関する知識および技術が向上する 6 指標 2-1 GEM-CC スタッフの業務実施状況指標 2-2 予防保存原則 7 の導入とその実践状況指標 2-3 適切な保存修復に関する知識 技術の習得とその活用状況指標 2-4 保存科学 8 の導入と実践状況 6 成果 2に係る目標値は本フェーズ開始後 3ヶ月以内を目途に実施するベースライン調査の結果を踏まえ 本フェーズ開始後 6ヶ月以内に設定するものとする 7 遺物の将来的な劣化を回避または最小限にとどめるためにあらゆる手段と方策を講じる 年代や状態に関わらず 遺物を取り巻く環境の文脈において実施される 遺物の材質や構成に影響を及ぼさないよう 間接的な処置を行う 遺物の外観が変容することはない ( 仮訳 ) ~ Terminology to characterize the conservation of tangible cultural heritage (ICOM-CC,2008 Delhi) 5

指標 2-5 収蔵品の保存管理 取扱いに関する知識 技術の習得とその活用状況指標 2-6 国際シンポジウムや国内外の関連機関での活動状況活動 2-1 スタッフの現在の能力を把握するために キャパシティアセスメントシートを作成する 活動 2-2 詳細な研修プログラムを作成する 活動 2-3 研修教材を作成する 活動 2-4 研修プログラムを実施する 活動 2-5 研修プログラムの評価を行う 活動 2-6 研修を通じて作成されたアクションプランの実施にむけたアドバイスを行う 活動 2-7 キャパシティアセスメントシートを用い 定期的な能力コンサルテーションを行う 成果 3: 収蔵品データベース構築のための体制が整備される 指標 3-1 大エジプト博物館情報センター (GEM-IC) の設立指標 3-2 データベース構築にかかる確立された業務フローができる指標 3-3 GEM-IC スタッフの自立的な業務 ( 遺物のデータベースへの登録 ) 実施状況指標 3-4 GEM-CC の活動と GEM-IC の活動とをリンクさせるための基盤整備ができる活動 3-1 GEM-IC のスタッフが配置され 組織として設立される 活動 3-2 ADD(Archeological Database Department) の業務を GEM-IC に適切に引継ぐ 活動 3-3 GEM-IC の業務に対するアドバイスを行う 4) プロジェクト実施上の留意点 研修の対象となるスタッフの能力把握のため 本フェーズ開始後 3ヶ月以内を目途に キャパシティアセスメントに関するベースライン調査を実施する GEM-CC スタッフの保存修復に係る知識や技術は 比較的高いレベルにある しかし 保存修復作業の基礎となるデータベースが不十分なままであったり 記録方法が杜撰であったり あるいは GEM-CC 組織全体として統一された運営管理がなされていないといった課題を抱えている 保存修復に関する研修を実施しながら ( 成果 2) 国際的水準の運営管理法の理解を促進していくこと ( 成果 1) また正確なデータベースを構築支援していくこと ( 成果 3) により 本事業の目標達成をねらう GEM-CC 自体は 2010 年 6 月に正式開館し 一部管理者の欠員は見受けられるものの 概ね通常業務に必要なスタッフ配置もなされ 本案件を実施していくための受 8 遺物の構造 材質を調査し 劣化の原因を究明して 保存方法や保存処理方法について研究する学問 6

け入れ体制が固まった 他方 大エジプト博物館の建設 整備及び運営管理に係る組織体制は未だ流動的な面があり 今後も変更の可能性がある GEM-CC は大エジプト博物館に所掌されており 大エジプト博物館の建設事業の進捗が遺物の保存修復計画や GEM-CC の予算 人員配置などにも影響を与えるため その進捗及び動向を絶えず把握しておくことが重要である (2) その他インパクト : 古代エジプトの文化遺産は世界中から注目されており 日本の観光客の関心も高い 本事業の効果は 技術協力の所期の効果に加え日本 エジプトの文化交流面においても大きく発現し得るものと考えられる 本事業を通じて派遣される日本人専門家とエジプト人カウンターパートとの共同研究に発展することも期待される 5. 前提条件 外部条件 ( リスク コントロール ) (1) 事業実施のための前提 GEM-CC の役割が変更されない GEM-CC GEM-IC の設立 維持管理及び運営に必要な予算が エジプト側によって手当てされる (2) 成果達成のための外部条件主たるカウンターパートが プロジェクト期間を通じて継続的に配置される (3) プロジェクト目標達成のための外部条件大エジプト博物館建設事業が大幅に遅延しない (4) 上位目標達成のための外部条件エジプトの治安情勢が悪化しない 6. 評価結果 本事業はエジプト国の開発政策 開発ニーズ 日本の援助政策と十分に合致しており また計画の適切性が認められることから 実施の意義は高い 7. 過去の類似案件の教訓と本事業への活用 ヨルダン博物館活動を通じた観光振興プロジェクト(2004 年 ~2007 年 ) においては 成果達成状況の測定の際 定量的データが不足していたために効果の発現が不明確であった成果指標が存在した 本事業では カウンターパートの能力についてベースライン調査を行う予定であり この結果を活用して効果の発現状況をモニタリングしていくこととしている 8. 今後の評価計画 7

(1) 今後の評価に用いる主な指標 4.(1) のとおり (2) 今後の評価計画事業開始 3 ヶ月以内ベースライン調査事業開始 3 年後中間レビュー事業終了 6 ヶ月前終了時評価事業終了 3 年後事後評価 以上 8