以下が 対話の方針全文です 平成 26 年 6 月 23 日制定 平成 27 年 12 月 21 日改正 投資先企業との建設的な対話の方針 大和証券投資信託委託株式会社当社は 投資先企業の状況の的確な把握と認識の共有に努めます 特に以下の観点について 重点的に対話を深めてまいります 経営方針 財務戦

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Stewardship2017

Ⅰ. 株主総会における議決権行使結果 (2015 年度 ) 当社は投資先企業の持続的成長をサポートし 中長期的な投資リターンの拡大を図ることを目的として 議決権行使基準を定めており 当該基準に則り 議決権行使を実施しています 2015 年度に株主総会が開催された国内上場企業のうち 当社の議決権行使の

預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投

企業年金におけるスチュワードシップ・コード の受入れ促進に向けて

議決権行使に係る事務取扱手続

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< 目次 > 第 1 章責任投資についての基本的な考え方... 3 第 2 章責任ある投資家としての組織体制... 4 第 3 章 スチュワードシップ活動への取組み 1. 投資先企業の望ましい経営のあり方 (1) 社会的責任への適切な取組み... 5 (2) 資本の効率的な活用による価値創造...

また 代表取締役社長直属の内部監査部門を設置し 法令遵守 内部統制の有効性と効率性 財務内容の適正開示 リスクマネジメントの検証等について 各部門 工場 グループ会社などの監査を定期的に実施し チェック 指導するとともに 監査役との情報共有等の連携を図っております 1-4( 中長期的な経営戦略等 )

ガイドライン

スチュワードシップ コード改訂に当たって 平成 29 年 5 月 29 日 スチュワードシップ コードに関する有識者検討会 1. 平成 26 年 2 月 26 日 日本版スチュワードシップ コードに関する有識者検討会 によりスチュワードシップ コードが策定されてから約 3 年が経過した この間 スチ

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[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

IR 活動の実施状況 IR 活動を実施している企業は 96.6% 全回答企業 1,029 社のうち IR 活動を 実施している と回答した企業は 994 社 ( 全体の 96.6%) であり 4 年連続で実施比率は 95% を超えた IR 活動の体制 IR 専任者がいる企業は約 76% 専任者数は平

1 制定の目的 方針 当社におけるコーポレートガバナンスを向上させるための枠組みである パーク 24 コーポレートガバナンスガイドライン を制定し コーポレートガバナンスの強化 充実に努めることで 当社の中長期的な価値向上と持続的成長を実現する コーポレートガバナンスに対する基本的な考え方公正で透明

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

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大和証券グループ中期経営計画 Passion for the Best 年 4 月 3 日 大和証券グループ本社

コーポレート ガバナンスに関する報告書の主な開示項目 コーポレート ガバナンスに関する報告書 記載項目 ( 内訳 ) 記載上の注意 基本的な考え方 ( 記載例 : コーポレート ガバナンスについての取組みに関する基本的な方針 目的 ) Ⅰ コーポレート ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成

コーポレートガバナンス・ガイドライン

定いたします なお 配当の回数は原則として中間配当と期末配当の年 2 回といたします 3 自己株式 当社は 経営環境の変化に機動的に対応し 株主価値の向上に資する財務政策等の経営の諸施策を実行することを可能とするため 市場環境や資本効率等を勘案しながら適宜自己株式を取得いたします (3) 政策保有株

2017年度 決算説明会資料

平成30年度 スチュワードシップ活動報告

2. 本制度の仕組み 株式市場 残余財産の給付残余株式の無償譲渡 消却94 当社株式 4 代金の支払 1 本株主総会決議 54配代当金の支6 委託者 議決権不行使の指図8当社 受託者( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 日本マスタートラスト信託銀行 BIP 信託 当社株式 金銭 4

株式併合、単元株式数の変更および定款の一部変更に関するお知らせ

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H25見える化 Ⅰ

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2019 年 6 月 26 日 各 位 会社名 代表者名 問合せ先 株式会社スターフライヤー代表取締役社長執行役員松石禎己 ( コード番号 :9206 東証第二部 ) 取締役常務執行役員柴田隆 (TEL ) コーポレートガバナンス方針 の改定について 当社は 2019 年 6

平成27年5月20日

回答企業の属性 < 上場市場区分 > 東証マサ ース (n=9) 2.9% JQ その他 (n=30) 9.6% 東証 2 部 (n=11) 3.5% 東証 1 部 (n=262) 84.0% 2/14

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< 本制度の仕組みの概要 > 5 ポイント付与 委託者 当社 3 自己株式の処分 1 役員株式交付規程の 制定 2 信託 < 他益信託 > を設定 ( 金銭を信託 ) 3 払込 受託者 ( 予定 ) 三井住友信託銀行 ( 再信託受託者 : 日本トラスティ サービス信託銀行 当社株式 株式交付信託 信

開示府令改正案(役員報酬の開示拡充へ)

第 Ⅰ 章総則 ( 目的 ) 第 1 条本ガイドラインは 群栄化学工業株式会社 ( 以下 当社 という ) が 次に定める 社是 理念 実現のため ステークホルダーと協働して企業価値を向上させ 持続的に発展できるよう より良い経営を実現することを目的とする 2. 当社は GCIグループ基本理念 を制

コーポレートガバナンス ガイドライン 2015 年 10 月 27 日制定 2018 年 12 月 13 日改定 大王製紙株式会社 1

2. 株式の併合 (1) 併合の目的上記 1. に記載のとおり 単元株式数を 1,000 株から 100 株に変更することに伴ない 証券取引所が望ましいとしている投資単位の水準 (5 万円以上 50 万円未満 ) および中長期的な株価変動等を勘案し 株式の併合を行なうことといたします (2) 併合の

日本株式市場の保有者比率の推移 ( 時価ベース ) 過去 30 年の間に投資家の保有比率は大きく変化 100% 90% 80% 70% 60% 50% 1.9% 0.4% 1.9% 0.9% 1.8% 0.9% 2.1% 3.7% 5.5% 2.5% 5.2% 2.8% 4.5% 9.1% 10.7

(4) 併合により減少する株主数本株式併合を行った場合 10 株未満の株式のみご所有の株主様 156 名 ( そのご所有株式数の合計は 198 株 ) が株主たる地位を失うことになります なお 当社の単元未満株式をご所有の株主様は 会社法第 192 条 1 項の定めにより その単元未満株式を買い取る

8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

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コーポレートガバナンス基本方針

しております 2. 株式併合により減少する株式数 は 株式併合前の発行済株式総数に株式の併合割合を乗じた理論値です (3) 株式併合による影響等本株式併合により 発行済株式総数が 2 分の 1 に減少することとなりますが 純資産等は変動しませんので 1 株当たり純資産額は 2 倍となり 株式市況の変

基本原則

単元株式数の変更、株式併合および定款一部変更に関するお知らせ

規則フォーマット

( 別紙 1) BIP 信託の概要 株式市場 残余財産の給付4 本件株式 4 代金の支払い 1 株主総会決議 委託者 5配当 受託者( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 日本マスタートラスト信託銀行 本 BIP 信託株式 金銭 6 議決権不行使の指図93信託設定7 株式交付 8 残

平成 年 月 日

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2. BIP 信託の仕組み 1 本株主総会決議 株式市場 9 残余財産の給付 8 残余株式の無償譲渡 消却 4 当社株式 5 配当 委託者 当社 受託者 ( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 ( 株 ) 日本マスタートラスト信託銀行 ( 株 ) 本信託 3 信託設定 7 当社株式等

2 政策保有株式に係る議決権行使の基準政策保有株式の議決権行使に当たっては 投資先企業の中長期的な企業価値向上が株主利益への向上にも繋がるものであることを前提とし 株主への還元方針 コーポレートガバナンスや企業の社会的責任への取組み等総合的観点から議決権を行使する (4) 買収防衛策は 経営陣 取締

XBRL導入範囲の拡大

2. 株式併合 (1) 株式併合の目的上記 1. 単元株式数の変更 に記載のとおり 当社株式の単元株式数を変更するにあたり 中長期的な株価変動を勘案しつつ 投資単位を証券取引所が望ましいとする水準 (5 万円以上 5 0 万円未満 ) に調整することを目的として 株式併合 (2 株を1 株に併合 )

コーポレートガバナンス コードについて 本コードにおいて コーポレートガバナンス とは 会社が 株主をはじめ顧客 従業員 地域社会等の立場を踏まえた上で 透明 公正かつ迅速 果断な意思決定を行うための仕組みを意味する 本コードは 実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたも

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コーポレート・ガバナンス基本方針

Process 1 Process 2 Process 3 0.5% 5.4% 42.1% 52.0% 9.1% 3.3% 10.6% 39.7% 21.2% 16.2%

【PDF】コーポレートガバナンス・ガイドライン

重大な約款変更に係る書面決議の基準日設定公告

業活動を行う上で関わる顧客をはじめとするすべてのステークホルダーとの良好なネットワークおよび関係を構築 維持することが大切であると考えます そのために 以下のコーポレートガバナンス コードにおける基本的な考え方に則って コーポレート ガバナンスの充実に取り組みます (1) 株主の権利を尊重し 平等性

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単元株式数の変更、株式併合及び定款の一部変更に関するお知らせ

独立役員、適時開示に関する東証規則改正案

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実際の株主総会プロセスはどのように見られているか 決めるプロセス ( 決議の場 ) 株主総会は 法律 ( 会社法 ) で決められたことを最低限行い 法定書類の記載事項をきちんと開示するところが出発点との企業における認識 上場企業においては 議決権行使の結果は 事前にわかっている場合がほとんどとの指摘

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株式併合、単元株式数の変更及び定款の一部変更に関するお知らせ

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PYT & Associates Attorney at law

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1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

問 2 戦略的な知的財産管理を適切に行っていくためには, 組織体制と同様に知的財産関連予算の取扱も重要である その負担部署としては知的財産部門と事業部門に分けることができる この予算負担部署について述べた (1)~(3) について,( イ ) 内在する課題 ( 問題点 ) があるかないか,( ロ )

20 21 The Hachijuni Bank, LTD.

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平成 26 年 5 月 13 日 各 位 会社名カルビー株式会社代表者名代表取締役社長兼 COO 伊藤秀二 ( コード番号 :2229 東証第一部 ) 問合せ先上級執行役員財務経理本部長菊地耕一 (TEL: ) 業績連動型株式報酬制度の導入に関するお知らせ 当社は 平成 26

2. 株式併合 (1) 株式併合を行う理由上記 1. 単元株式数の変更 のとおり 単元株式数を 1,000 株から 100 株にするにあたり 中長期的な株価変動を勘案しつつ 投資単位を適切な水準に調整するため 株式併合を行います (2) 併合の内容 1 併合する株式の種類 普通株式 2 併合の方法

マエザワ CG 基本方針 ( 平成 27 年 12 月 11 日施行 ) 前澤工業株式会社

(2) 併合の内容 1 併合する株式の種類普通株式 2 併合の割合平成 30 年 10 月 1 日をもって 同年 9 月 30 日 ( 実質上 9 月 28 日 ) の最終の株主名簿に記載された株主さまの所有株式 5 株につき 1 株の割合で併合いたします 3 併合により減少する株式数併合前の発行済

(4) 1 株未満の端数が生じる場合の処理本株式併合の結果 1 株未満の端数が生じた場合は 会社法第 235 条の定めに基づき 一括して処分し その処分代金を端数が生じた株主様に対して端数の割合に応じて分配いたします (5) 効力発生日における発行可能株式総数本株式併合による発行済株式数の減少に伴い

平成13年11月8日

2 名以上の独立社外取締役の選任状況 2 名以上の独立社外取締役を選任する上場会社の比率は 市場第一部では 9 割を超え 91.3% に JPX 日経 400では 97.7% に 2 名以上の独立社外取締役を選任する上場会社 ( 市場第一部 ) の比率推移 ( 参考 ) 100% 88.0% 91.

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2. 株式併合 (1) 併合の目的上記 1. に記載の単元株式数の変更後も 当社株式の売買単位当たりの価格について 証券取引所が望ましいとする水準 (5 万円以上 50 万円未満 ) を維持し 各株主さまの議決権数に変更が生じることがないよう 当社株式について 10 株を 1 株に併合 ( 以下 本

Transcription:

2016 年 8 月 4 日 スチュワードシップ活動の状況に関する報告 (2015 年 7 月 ~2016 年 6 月 ) 大和証券投資信託委託株式会社 当社は 投資信託委託会社として 受託者責任を遂行すべく 投資信託おのおのに設けられた運用方針に基づき それぞれの運用目標を最大限達成するように努めております その一環として 投資先企業 ( 投資先企業及び投資候補先企業を指し 以下同じ ) の企業価値を高めるべく 議決権行使を含め さまざまな形で対話をしてまいりました 当社は 2014 年 5 月に 責任ある機関投資家 の諸原則 日本版スチュワードシップ コード の受け入れを表明し その後 スチュワードシップ責任に対する当社の取り組み方針 と 投資先企業との建設的な対話の方針 を発表いたしました また 昨年はエンゲージメント チームを立ち上げて投資先企業とより有効なエンゲージメントを行う体制を整備し アナリスト ハンドブック を作成するなど担当者のレベルアップに努めて スチュワードシップ責任の遂行に取り組んでまいりました 日本版スチュワードシップ コードは 機関投資家が 投資先企業やその事業環境などに関する深い理解に基づく建設的な 目的を持った対話 ( エンゲージメント ) などを通じて 企業価値の向上や持続的成長を促すことにより 顧客 受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図ることを期待しています ここに 2015 年 7 月 ~2016 年 6 月における当社の取り組み状況をご報告いたします Ⅰ. 建設的な対話 ( エンゲージメント ) の状況 (1) エンゲージメントにおける方針当社は 企業価値の持続的な向上に資する対話を行うことを目的に 投資先企業との建設的な対話の方針 を公表しています エンゲージメントにおいて重要な 資本効率 資本政策 情報開示 ESG の観点を投資先企業と共有し それらに対する取り組みなどを題材に企業価値の中長期的な向上につながる議論を行うことが重要であると考えています 1

以下が 対話の方針全文です 平成 26 年 6 月 23 日制定 平成 27 年 12 月 21 日改正 投資先企業との建設的な対話の方針 大和証券投資信託委託株式会社当社は 投資先企業の状況の的確な把握と認識の共有に努めます 特に以下の観点について 重点的に対話を深めてまいります 経営方針 財務戦略に対する観点 ROE の中長期的な向上のための 投資先企業毎の方針や取り組み 資本コストに関する考え方 キャッシュの水準に関する方針やキャッシュの活用方針 配当政策や自社株買い政策など株主還元に関する方針や取り組み 企業価値が毀損されるおそれがあると考えられる場合に その問題の改善方針投資家との対話 情報開示に対する観点 中長期的な経営方針についての投資家との対話に関する取り組み 情報開示の充実に関する取り組み環境 社会 企業統治 (ESG) 課題に対する観点 社外取締役の配置や独立性の確保など企業統治に関する取り組み 持続可能な社会の形成や地球環境課題への対応に向けた取り組みなお 投資先企業との対話に際して 未公表の重要事実を含む法人関係情報の提供を働きかけることを一切いたしません 万が一それらに該当する情報を取得した場合には 当該企業に対して当該情報の速やかな公表を促します (2) エンゲージメントの態勢 1 リサーチ活動の一環としてのエンゲージメントリサーチ活動は主に調査部企業調査課に所属するアナリストが担当しております アナリストは 総員 17 名 (2016 年 6 月末現在 ) で 素材 加工組立 非製造 金融 不動産 の 4 チーム体制をとっております 2

企業との対話に際してアナリストが考えるべき論点を整理することを目的として アナリスト ハンドブック~ スチュワードシップ コード に関するアナリスト活動の手引き~ を作成し リサーチ活動の基盤整備を行っています この アナリスト ハンドブック は 経済産業省の 持続的成長への競争力とインセンティブ~ 企業と投資家の望ましい関係構築 ~ プロジェクト最終報告書( いわゆる 伊藤レポート ) を題材に勉強会を行った後 2015 年 9 月に完成させました 2015 年 7 月から 2016 年 6 月までの期間では 1,754 社の企業を対象に 8,722 件 ( うち決算説明会等への出席が 2,537 件 ) のリサーチ活動を行いました そのうち 540 社 (778 件 ) と 対話の方針に基づいたエンゲージメントを行いました 対話の方針に基づいたエンゲージメントは 1.ROE 資本コスト 2. 資本政策 3. 投資家との対話の方針 情報開示 4. 環境 社会 企業統治 (ESG) の4つに類型化しており 当期間の実績は下表のようになりました 観点対話件数 1.ROE 資本コストについて 291 2. 資本政策 ( キャッシュ活用 株主還元など ) について 513 3. 投資家との対話の方針 情報開示について 468 4. 環境 社会 企業統治 (ESG) について 109 ( 注 ) 一回のミーティングで複数の観点から対話をする場合があるため 重複計上しております 2 エンゲージメント チーム日本版スチュワードシップ コードの受け入れを踏まえて 2015 年 6 月からは 調査部 エクイティ運用部が共同でエンゲージメント チームを設立し 活動を開始しました 2016 年 6 月時点のメンバーは 運用本部長 (CIO) 運用副本部長 2 名 エクイティ運用部長 エクイティ運用部ファンドマネージャー 2 名 調査部アナリスト 2 名の合計 8 名となっています 当該期間に 17 社とのエンゲージメント チーム ミーティングを行いました 対象先企業は アクティブ運用ファンドでの保有比率の高い中小型銘柄を中心に選定しました ミーティングでは中長期的な視点での議論を重視し 可能な限り対象先企業の社長をはじめとする代表取締役との意見交換を行い 当社が投資先企業に期待すること 建設的に対話したいこと 資本政策の考え方 企業の本源的価値についての考察などを記載した 大和投資信託のエンゲージメント方針の紹介 を手交して建設的な対話を行いました 3

3 ガバナンス ミーティング議決権行使に関する話題やコーポレート ガバナンス体制など 当該期間に投資先企業のガバナンスを主なテーマにしたガバナンス ミーティングを 116 社 (145 件 ) と行いました ガバナンス ミーティングでは 当方から投資先企業のガバナンス体制について意見をのべ 企業からは議案の背景の説明 当社の議決権行使基準に対する意見をいただくなど 有用なミーティングを行いました 当期間の実績は下表のようになりました 観点対話件数 1.ROE 資本コストについて 72 2. 資本政策 ( キャッシュ活用 株主還元など ) について 60 3. 投資家との対話の方針 情報開示について 76 4. 環境 社会 企業統治 (ESG) について 141 ( 注 ) 一回のミーティングで複数の観点から対話をする場合があるため 重複計上しております (3) エンゲージメントの具体事例 企業の経営者との対話の具体的事例の一部について 概要をご報告いたします 1 経営方針 財務戦略に対する観点 - ROE 資本コストについて <A 社 > A 社は 2017 年 3 月に期限を迎える中期経営計画で ROE 目標を設定していますが 同業他社との比較では低い水準です この目標設定の背景についての説明を受けた上で 次期中期経営計画で同業他社並みの ROE 目標を掲げるための考え方について議論しました <B 社 > 主力事業が成熟市場にあるなか 他社事例も紹介しながら海外展開やブランドに関する戦略を議論しました 他社事例は事業戦略立案の参考になると評価を受け 今後も継続的にディスカッションの機会を持つことになりました <C 社 > C 社は 事業範囲が旧来型の不動産業にとどまっていたことから 市場の評価が高まらず株価が同業他社に比べてかなり割安な状態に放置されていました 競合他社が中 4

期経営計画で訪日外国人向けのホテル事業を中期的に拡大することを発表し 持続的 な ROE の向上策として投資家の評価を高めたことを 事業拡大の成功例として紹介し 説明を行いました 2 経営方針 財務戦略に対する観点 - 資本政策について <D 社 > D 社は 事業環境が良好ななか ROE が 20% を上回る高い水準にある一方 自己資本比率も高い水準に達しています ストックビジネスであるため安定的な業績が見込まれ 設備投資が必要とも考えづらい会社です こういった状況のもとでさらに資本効率を高めるために 相対的に低位に留まる配当性向に着目し 株主還元の有効性について対話を行いました <E 社 > E 社は キャッシュリッチかつ低 ROE が課題でしたが 持続的な成長や 100% を超える総還元性向となる新中期経営計画を公表し 当面の改善傾向を確認することができました さらに企業価値を向上して行くために 中期経営計画以降を視野に入れた長期の成長戦略や 投資と株主還元のバランスについてのディスカッションを実施しています 3 投資家との対話 情報開示に対する観点 <F 社 > ビジネスモデルと研究開発が成長の鍵になると考え この 2 点に関する情報開示のあり方について議論しました その後公表されたアニュアルレポートにおいて 研究開発の効率性についての説明が行われており IR の充実につながりました <G 社 > G 社は 3 ヵ年の中期経営計画にて利益目標とともに株式時価総額目標を掲げています しかし 利益目標を達成するだけでは当該時価総額目標を達成できるかは不透明であると考え 中期経営計画以降を含む長期成長戦略等の株価バリュエーション向上施策について議論を行いました また 株価を意識した経営には 業績目標をクリアするだけではなく 投資家との対話方法や成長戦略を明確化するなど 投資家による企業の評価を高める努力が必要であることを訴えました 5

<H 社 > H 社は IR 活動に消極的であったことから企業価値が過小評価されていると考えました そこで IR 強化の必要性につき継続的に議論を行いました その後 決算説明会が開催されるようになったことに加え 中期経営計画の公表も行われるようになりました <I 社 > I 社は独自の技術と商品を強みとして安定成長を続ける企業ですが 代表取締役社長が機関投資家と接する機会をほとんど設けていませんでした 今回 IR 向上の必要性や 企業価値向上を意識するメリットなどを 代表取締役社長を含むマネジメントと議論しました その後同社は 中長期的な業績向上や企業価値向上に対する貢献意欲を高めることなどを目的として ストックオプションの導入を発表しました 4 環境 社会 企業統治 (ESG) 課題に対する観点 <J 社 > 主力事業が成長市場にあるなか オーナー企業である J 社においては 競合環境の見極めや投資意思決定における社外取締役の役割が特に大きいと考え 経営陣と議論しました また 的確な経営判断に重要な役割を果たす社外取締役が直接投資家との接点になることは 株式市場における信頼感醸成に繋がると説明したところ 社外取締役と投資家の対話についても前向きに検討していただけることになりました <K 社 > 環境規制に関する国際条約の発効に向けて批准が進んでいます K 社は 条約発効に先行して環境対応装置の導入を開始 ここ数年装置の導入数を増やしてきました このような取り組みを企業価値向上に結びつける方策について議論を行いました <L 社 > 買収防衛策が更新期限を迎えるに当たって 当社の議決権行使の基準と考え方を説明しました 取締役会による恣意的な発動余地がある場合には買収防衛策議案に反対する旨説明したところ 後日 防衛策発動に際しては買収者がルールを遵守しない場合を除き必ず株主意思確認総会を開き 株主の権利を尊重したスキームに変更することを検討している旨の連絡がありました 6

Ⅱ. 議決権行使の状況 2015 年 7 月 ~2016 年 6 月に 2,407 社の日本企業に対し 議決権を行使いたしました 議決権は 議決権の指図行使に関する方針 ( 以下 議決権行使の方針 ) に基づいて行使しております 当社は議決権行使の方針を 投資先企業の持続的成長に資するべく 適宜見直しております 企業とのエンゲージメントは 見直しの契機としても重要な役割を果たしています 以下に 当期間に行った議決権行使の基準の主要な変更点と背景をご紹介します 業績判定基準において ROE のみを尺度とすることにつき 多くの企業から画一的すぎるとの意見をいただいたことから より説明力が高い議案判断を目指して 従来の ROE に加え 株式市場における評価 (PBR) を基準に取り込みました 社外取締役の独立性基準において 基準の客観性をより高めることを目的に 東証の独立性基準を準用する基準に変更しました 買収防衛策議案においては業績による判断基準を設けておりましたが 有識者との意見交換なども踏まえてこれを廃止し 買収防衛策のスキームを重視する基準を導入しました 定款変更議案においては 重要な業務執行の決定の取締役への委任 業務執行取締役の責任減免 取締役会決議による剰余金の配当 に関わる定款変更については 従来は反対していましたが 会社法の趣旨に照らして原則賛成に変更しました 議決権の行使結果については 別途 2016 年 5 月 6 月議決権行使結果 を作成し公表しております 議決権行使結果には 議決権行使の方針の主な変更点も記載しています 7

Ⅲ. スチュワードシップ活動の更なる向上について 1 調査部の取り組み アナリスト ハンドブック 作成後 非財務情報評価 と 中長期の企業価値評価 の 2 つをテーマにプロジェクトチームを立ち上げました この 2 つのプロジェクトの目的は 中長期的な観点での企業との対話を深めて行くことにあります 非財務情報 の開示は 2015 年に一つの転機を迎えたと思われます コーポレート ガバナンス コード が策定されたことを受け 上場企業が提出を義務付けられている コーポレート ガバナンス報告書 の開示内容が拡充されました このような情報開示の変化を勘案し 企業との対話や企業価値評価において 非財務情報 を活用して行きたいと考えております また プロジェクトチームの議論を アナリスト ハンドブック にも反映させ リサーチ活動の基盤強化とスチュワードシップ活動の向上につなげたいと考えております 2 エンゲージメント チームの取り組み今後は これまでミーティングを実施した企業との継続的な対話を行うことに加えて これらのうち中期経営計画を策定していない企業に対してはその策定を促し 中長期成長戦略に関する積極的な意見交換を行いたいと考えております また これまでは実現しませんでしたが 投資先企業の社外取締役との建設的な対話の実現に向けて努力して行きたいと考えております 3 議決権行使方針に係る取り組み当社は 国内の全ての投資先企業について 議決権を行使しています 議決権行使は 議決権の指図行使に関する方針 に基づいて行っております 当該方針については 会社法やコーポレート ガバナンス コードなどの制度 企業との対話から得られる知見 株式市場や企業を取り巻く状況など さまざまな側面から随時見直しを行い 投資先企業の持続的成長に資するよう努めています 今後の課題は コーポレート ガバナンスや議決権行使についての当社の考えを より多くの企業に伝えていくことであると認識しています そのためには より多くの企業と対話を行っていくことが重要であると考えています なかでも 当社が反対した議案について当該企業と対話を行うことは有意義であり その機会を得られるよう取り組んでいく考えです 以上 8